第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

今後の経営環境につきましては、個人消費は雇用所得環境の改善により持ち直しの動きを見せているものの、物価上昇等により実質所得は伸び悩みが見込まれます。企業部門は高水準の収益を背景に設備投資は堅調に推移しているものの、人件費や原材料費の増加に伴い、今後は増益率が鈍化し設備投資の伸びも頭打ちになることが予測されます。
 一方、世界経済は欧州の政治リスクや北朝鮮問題、米国トランプ政権の保護貿易主義的な経済政策や米国の利上げに伴う新興国経済への影響が懸念され、依然として不透明な環境が続くと予想されます。
 このような状況のなか、当社グループといたしましては、これら内外の環境変化から受ける影響を極力低減することで、経営の安定化を図り、事業構造改革の重点方針としている「セラミックス・耐火物事業」への取組みを一層加速させること、さらには経営全般に亘る改革を着実に実行することにより、企業体質の更なる強化と継続的な企業価値の向上に取り組んでまいります。
 「耐火物事業」は組織改革により製造・販売・技術の一体運営の推進を図っておりますが、顧客ニーズの収集・分析力を強化し、高い顧客満足の得られる高品質の製品とサービスの提供により、より一層の顧客満足の向上に努めるとともに、新たな顧客層の開拓に向けて営業活動を強力に推進してまいります。また、中国の環境規制に端を発した窯業原料の高騰に対しては、調達先の多様化等により原料の安定調達に努力してまいります。
 「プラント事業」においても、顧客の各種ニーズに対応すべく、製品構成の幅を広げるために新製品の開発を強化し、新規顧客獲得に向けて努力するとともに、ユーザーの海外進出を見据え、海外販売にも積極的に取組んでまいります。
 「建材及び舗装用材事業」においては、東京オリンピック関連による公共事業の増加に伴う需要を確実に受注につなげるとともに、技術開発の強化により高機能の製品開発、新工法の開発に注力し、新規顧客の開拓に努めてまいります。
 各事業においてこれらの戦略の実現に努め、グループ各社の特色を活かした連携を一層強化することで、企業価値の向上に取組んでまいります。
 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(景気及び市場の動向)

 当社の耐火物事業はセメント市場向けが主力のため、政府の公共事業政策や建設業界の動向により大きな影響を受ける可能性があります。また、プラント事業も設備投資の動向、建材及び舗装用材事業も公共事業の動向に影響を受ける度合いが大きく、これらが当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(原料、燃料価格の高騰)

 当社グループの製品製造のために調達している原料及び燃料価格が高騰し、今後もこれらの価格が高水準で推移し、または更なる高騰がある場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(災害による影響)

 当社グループの生産拠点は、岐阜県瑞浪市、愛知県半田市、三重県四日市市等にあり、各工場で製品品種ごとの分業体制を採っております。各工場とも火災、風水害等の影響を最小限とするため定期点検等の災害防止対策を講じておりますが、これら災害が発生した場合、また特に想定されている南海トラフ大地震が発生した場合、かなりの震度が予想される地域にあるだけに、当社グループの生産及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

(製品の品質)

 当社グループの製品に欠陥が生じないよう品質管理基準を定め生産を行っております。また、欠陥による損害賠償等が発生した場合に備え、製造物責任保険に加入し業績への影響を最小限に抑える手段を講じております。しかし、製品の欠陥によるクレームに対処すべく製品保証、補修工事などが発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(その他)

 同業他社との競合による販売価格低下・利益率低下、環境規制の強化、社員の高齢化及び定年に伴う技術・ノウハウの伝承などが当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、海外経済の回復を背景とした輸出の増加および企業収益や雇用・所得環境の改善を背景に、全体として緩やかな回復基調が続きました。
 一方で、海外経済においては、米国トランプ政権による経済政策や欧州における金融政策・財政政策のもと景気拡大は継続しているものの、米国長期金利の上昇やトランプ大統領の保護主義的な通商政策が、今後の世界経済に悪影響を及ぼす可能性が懸念されます。
 このような状況のもと、セメント業界向け耐火物を中心とする耐火物事業は、国内セメント販売数量が前年並となる中、中国の環境規制強化に端を発した原料費の大幅な急騰の影響があったものの、生産性向上とコストダウン、新規顧客および新規市場の開拓に取組んだことと、更には販売価格への転嫁がある程度進み、売上、利益ともに増加いたしました。
 プラント事業については、企業収益の改善を受けて積極的な設備投資が見られる中で、特に半導体関連向け設備の好調が続き、採算性の向上やコスト削減にも取り組んだ結果、売上高、利益ともに増加いたしました。
 建材及び舗装用材事業については、前期完工予定工事の当期へのずれ込みに加え、コスト削減に取り組んだ結果、売上高、利益ともに増加いたしました。
 不動産賃貸事業は、遊休不動産を積極的に活用した結果、売上高、利益ともに増加いたしました。

 この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,389百万円増加し、15,636百万円となりました。

 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ524百万円増加し、6,889百万円となりました。

 当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ865百万円増加し、8,747百万円となりました。

 

b.経営成績

 当連結会計年度の経営成績は、売上高は11,408百万円(前連結会計年度比10.9%増)、営業利益は1,085百万円(前連結会計年度比51.0%増)、経常利益は1,185百万円(前連結会計年度比53.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は725百万円(前連結会計年度比38.4%増)となりました。

 

 セグメントのごとの経営成績は次のとおりであります。

(耐火物事業)

 耐火物事業につきましては、当連結会計年度の売上高は4,210百万円(前連結会計年度比15.9%増)、セグメント利益は220百万円(前連結会計年度比23.4%増)となりました。

(プラント事業)

 プラント事業につきましては、当連結会計年度の売上高は4,581百万円(前連結会計年度比5.3%増)、セグメント利益は564百万円(前連結会計年度比35.8%増)となりました。

(建材及び舗装用材事業)

 建材及び舗装用材事業につきましては、当連結会計年度の売上高は2,294百万円(前連結会計年度比12.4%増)、セグメント利益は123百万円(前連結会計年度比174.5%増)となりました。

(不動産賃貸事業)

 不動産賃貸事業につきましては、当連結会計年度の売上高は255百万円(前連結会計年度比8.4%増)、セグメント利益は140百万円(前連結会計年度比2.4%増)となりました。

(その他)

 主に、外注品等を販売する事業であり、当連結会計年度の売上高は67百万円(前連結会計年度比168.7%増)、セグメント利益は6百万円(前連結会計年度比31.7%増)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という)は358百万円(前連結会計年度比15.4%)減少し、1,965百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は602百万円(前連結会計年度比16.8%減)となりました。

 収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益1,117百万円、仕入債務の増加額528百万円、減価償却費204百万円及び前受金の増加額110百万円であり、支出の主な内訳は、たな卸資産の増加額647百万円、売上債権の増加額366百万円及び法人税等の支払額334百万円によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は902百万円(前連結会計年度比156.2%増)となりました。

 収入の主な内訳は、有価証券の償還による収入292百万円及び定期預金の払戻による収入97百万円であり、支出の主な内訳は、有形固定資産の取得による支出617百万円、事業譲受による支出356百万円、投資有価証券の取得による支出222百万円及び定期預金の預入による支出97百万円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は57百万円(前連結会計年度比56.4%減)となりました。

 収入の主な内訳は、自己株式の売却による収入88百万円であり、支出の主な内訳は、配当金の支払額72百万円及び社債の償還による支出70百万円によるものであります。

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

生産高(千円)

前年同期比(%)

耐火物事業

3,328,817

+9.7

プラント事業

3,458,432

△3.1

建材及び舗装用材事業

1,904,946

+11.9

その他

合計

8,692,195

+4.7

(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 金額は、製造原価によっております。

3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

4 不動産賃貸事業については、その性質上、該当事項がないため記載しておりません。

 

b.受注実績

 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比

(%)

受注残高

(千円)

前年同期比

(%)

耐火物事業

5,057,720

+31.4

2,036,056

+71.3

プラント事業

5,978,451

+39.5

3,133,758

+80.4

建材及び舗装用材事業

2,255,718

+3.4

194,157

△16.6

その他

75,170

+171.9

12,516

+185.9

合計

13,367,060

+29.2

5,376,489

+70.0

(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3 不動産賃貸事業については、その性質上、該当事項がないため記載しておりません。

 

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

耐火物事業

4,210,245

+15.9

プラント事業

4,581,625

+5.3

建材及び舗装用材事業

2,294,414

+12.4

不動産賃貸事業

255,261

+8.4

その他

67,032

+168.7

合計

11,408,578

+10.9

(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等

①財政状態

(資産の状況)

 流動資産は、現金及び預金、有価証券が減少したものの、たな卸資産、電子記録債権の増加などにより、全体としては9,625百万円(前期末比466百万円増)となりました。固定資産は、繰延税金資産が減少したものの、建物及び構築物(純額)、投資有価証券、のれん、土地の増加などにより、全体としては6,010百万円(前期末比923百万円増)となりました。その結果、資産合計では15,636百万円(前期末比1,389百万円増)となりました。

(負債の状況)

 流動負債は、未払消費税等が減少したものの、1年内償還予定の社債、支払手形及び買掛金、電子記録債務、賞与引当金の増加などにより、全体としては5,472百万円(前期末比973百万円増)となりました。固定負債は、株式給付引当金が増加したものの、社債、退職給付に係る負債の減少などにより、全体としては1,416百万円(前期末比449百万円減)となりました。その結果、負債合計では、6,889百万円(前期末比524百万円増)となりました。

(純資産の状況)

 純資産は、繰延ヘッジ損益が減少したものの、利益剰余金、その他有価証券評価差額金、非支配株主持分の増加などにより8,747百万円(前期末比865百万円増)となり、自己資本比率は51.0%(前期末比0.7ポイント増)となりました。

 

②経営成績

(売上高)

 売上高は、当社グループ全体が好調に推移したことなどにより、前連結会計年度に比べ10.9%増の11,408百万円となりました。

(売上原価、販売費及び一般管理費)

 売上原価は、売上高の増加などにより、前連結会計年度に比べ6.3%増の8,486百万円となりました。

 販売費及び一般管理費は、人件費増加などにより、前連結会計年度に比べ16.0%増の1,836百万円となりました。

(親会社株式に帰属する当期純利益)

 親会社株主に帰属する当期純利益は、売上高の増加及びコスト削減に取り組んだ結果、前連結会計年度に比べ38.4%増の725百万円となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

b.経営成績状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営成績状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「第2 事業の状況 2事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

c.資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用及び金融機関からの借入と社債の発行により資金調達を行っており、運転資金及び設備資金につきましては、当社グループのものを含め当社において一元管理しております。

 

d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、資産効率の向上及び株主資本の有効利用が全てのステークホルダーの利益に合致するものと考え、「自己資本利益率(ROE)」を重要な指標と位置付けております。当連結会計年度における「自己資本利益率(ROE)」は9.6%(前年同期比1.9ポイント改善)でした。引き続きこれらの指標について、改善されるよう取り組んでまいります。

 

4【経営上の重要な契約等】

 平成29年8月31日の取締役会において、花王株式会社より高機能セラミックスの製造及び販売事業を譲り受けることについて決議を行い、平成29年9月29日を譲渡日とする事業譲渡契約を平成29年8月31日付で締結しております。

 詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりであります。

 

5【研究開発活動】

 当社グループは、①耐火物及びその関連技術、②ニューセラミックス技術、③各種工業炉及び付帯設備技術、並びに④建材及び舗装用材料・工法技術の4分野を中心に、経営基盤と事業競争力強化を実現するため研究開発に力を注いでおります。

 これらの研究開発は、当社の技術研究所、各工場、プラント部及び連結子会社の美州興産㈱技術部が連携し、耐火物事業(セラミックス・耐火物事業)、プラント事業、建材及び舗装用材事業においてそれぞれ研究テーマを設定し推進しております。当連結会計年度における研究開発費の総額は236百万円であり、この内訳は耐火物事業171百万円、プラント事業34百万円、建材及び舗装用材事業31百万円であります。

 当連結会計年度におけるセグメント別の研究開発活動のテーマは下記のとおりであります。

○耐火物事業(セラミックス・耐火物事業)

(1)耐火物の新製品開発及び既存製品の品質改良

(2)耐火物の補修技術の開発

(3)耐火物及びセラミックスの革新的製造技術の開発

(4)高機能非酸化物系ニューセラミックスの研究開発

(5)機能性酸化物系ニューセラミックスの研究開発

(6)軽量複合材料の研究開発

○プラント事業

(1)工業炉の高効率化に関する熱マネージメントシステムの開発

(2)マイクロウエーブ加熱装置の実用化技術の開発

(3)工業炉の雰囲気制御に関する開発及び改良

○建材及び舗装用材事業

(1)路面温度上昇抑制舗装用遮熱セラミックス骨材の研究開発

(2)街路・景観舗装材の材料と工法の研究開発

(3)機能性道路維持補修材の材料と工法の研究開発

(4)工場・倉庫床の高機能化に伴う塗り床材の材料と工法の研究開発

(5)インフラ整備に向けたセラミックス系材料の応用技術開発