当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
①経営方針
当社グループは、2022年5月13日に公表いたしました中期経営計画“MINO トランスフォメーション・プラン2025”の定量目標に関しまして、主要顧客であるセメント業界の生産量が漸減する中、各事業の収益性を改善し、最終年度の2025年3月期には過去最高の売上高及び利益額を達成することができました。
この実績を踏まえ、2030年のありたい姿として、新市場、新製品、新規事業の開発によって+αを生み出し、セラミックス事業を耐火物事業と並ぶ新たな柱へと成長させ、売上高220億円+α、営業利益30億円+αの実現を目指す「“セラミックスαカンパニー”への進化」を掲げました。
このありたい姿の達成に向け、これまでの中期経営計画での取り組みを継承しつつ、新たな中期経営計画「Take Off~新しいステージへの挑戦~」を策定いたしました。本計画では、耐火物事業から耐火物セラミックス事業への転換を図り、2028年3月期には売上高175億円、営業利益21億円の達成を計画しております。
資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について、近年の業績は安定的に推移しておりますが、2023年3月期より株主還元やIR活動を強化した結果、PBRは上昇傾向にあるものの、依然として0.59倍と低水準に留まっております。PBR1倍を目指すための対策として、セラミックス事業の拡大と共に適切な利益水準を確保するための価格改定を粘り強く推進すること、そして耐火物セラミックス事業のセグメント利益率を早期に10%に引き上げることを目標とし、安定的な連結営業利益率12%の達成を目指します。
また、配当総額を段階的に増やすことで、2025年3月期の配当性向29.5%を2028年3月期までに40%程度に引き上げるとともに、IRフェアを活用した対面での個人投資家向け説明会の開催や、株主向け工場見学会の開催といったIR活動を強化することで、株主の皆様のご期待に沿えるよう取り組んでまいります。
数値目標 (単位:百万円)
|
|
2025年3月期 (実績) |
2026年3月期 (計画) |
2027年3月期 (計画) |
2028年3月期 (計画) |
|
売上高 (前期比) |
15,058 (+899) |
16,000 (+941) |
16,500 (+500) |
17,500 (+1,000) |
|
営業利益 (前期比) |
1,576 (+224) |
1,750 (+173) |
1,900 (+150) |
2,100 (+200) |
|
経常利益 (前期比) |
1,680 (+210) |
1,850 (+169) |
2,000 (+150) |
2,200 (+200) |
|
ROS(売上高経常利益率) |
11.2% |
11.6% |
12.1% |
12.6% |
|
親会社株主に帰属する当期純利益 (前期比) |
1,217 (+162) |
1,300 (+82) |
1,400 (+100) |
1,500 (+100) |
|
配当性向 |
29.5% |
33%程度 |
37%程度 |
40%程度 |
|
ROE |
8.7% |
8.8% |
8.9% |
9.0% |
②経営環境及び対処すべき課題等
今後の経営環境につきましては、物価高の影響が見られるものの、雇用・所得環境の緩やかな改善に加え、サービス需要やインバウンド需要の回復が個人消費を下支えすると見込まれます。また、高水準の企業収益を背景とした設備投資も引き続き底堅く推移することが予想され、国内需要を中心に景気の緩やかな回復基調が続くことが期待されます。
一方、世界経済においては、米国の相互課税による不透明感の拡大、ロシア・ウクライナ情勢や中東情勢をはじめとする地政学的リスク、資源価格の変動に加え、主要国の金融政策や予測困難な貿易政策など、依然として不透明な状況が継続すると予想されます。
このような状況の中、当社グループの対処すべき事業上の課題は以下のとおりであります。
第一に持続的な成長と企業価値の向上を図るため、事業ポートフォリオの最適化を目指し、成長性と収益性の2軸でポートフォリオを管理することで、経営資源の最適化を図ります。また、耐火物事業等の安定的収益を基に、高成長・高収益が期待される海外事業・セラミックス事業の拡大を図ります。
第二に「耐火物事業」においては、国内のセメント生産量が漸減する中、セメント業界向け耐火物市場における更なるシェアの拡大及びセメント業界向け市場以外への高付加価値品の売上拡大による収益性の改善を図ります。
また、国内外の電子部品・半導体産業向けのキルンファニチャーの生産体制の見直しによる納期短縮、原価低減により、顧客満足度の更なる向上に努めるとともに、セラミックス受託加工では、前中期経営計画期間中に拡充した設備投資を活かして、受注案件の拡大を目指してまいります。
第三に「プラント事業」においては、市場における競争が激化する一方で、外注費や調達品価格等の原価上昇が見込まれるため利益率が低下する傾向にありますが、次世代省エネルギー型工業炉の営業開始やリサイクル分野等の新分野開拓により売上拡大を目指してまいります。加えて、子会社の岩佐機械工業株式会社とのシナジー効果を高めることで、さらなる生産性の向上を図ってまいります。
また、工事部門では、施工管理体制の抜本的な見直しと持続可能な組織体制を構築し、新市場及び新規顧客の開拓を進めてまいります。
第四に「建材及び舗装用材事業」においては、鉄道や道路等のインフラ工事の増加が見込まれております。他方、原材料費等の物価や労務費の高騰に対しては、価格転嫁や業務運営の見直しによる生産性の向上を図り、主力製品の機能性セラミックス骨材で景観舗装材業界を牽引することにより、持続的な成長と収益性の向上を目指してまいります。
各事業においてこれらの戦略の確実な実現に努め、従来の顧客基盤を守りつつ、新たな収益基盤の構築を図るべく、当社グループの総合力を結集して取り組んでまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社グループは、前中期経営計画(2022-24年度)での取り組みを継承した新中期経営計画(2025-27年度)「Take Off~新しいステージへの挑戦~」を2025年5月15日に公表しております。新中期経営計画において、非財務目標としてサステナビリティに関する目標を3つ(以下、「(2)戦略」の頁参照)掲げており、その進捗に関して経営企画部長が関係部門から取りまとめた上で、経営会議に報告・管理しております。
(2)戦略
当社グループは2025年5月15日に公表しております新中期経営計画に記載のとおり、2030年のありたい姿として「“セラミックスαカンパニー”への進化」を掲げており、サステナビリティに関しての戦略及び目標を定めております。これらの戦略及び目標は、前中期経営計画におけるサステナビリティ関連の各種施策の進捗とその結果明らかになった「新中期経営計画への課題」を踏まえ、発展させたものとなっております。具体的には、以下の取り組みを推進してまいります。
①カーボンニュートラル(CN)製品の開発
• 高機能・高性能を併せ持つ環境負荷低減型のセメントフリーあるいはセメントレス先進キャスタブルの開発
• 耐火物・セラミックスの中間領域で、新分野商材の開発・量産化の検討
• 次世代省エネ炉の2027年3月期中の上市を目指し、耐久試験・試験焼成を推進
• 水素燃焼技術の開発
②CO2排出削減
• 既に対応済みの亀崎工場以外についても、都市ガスへの燃料転換を検討
• 材料設計・生産プロセスの改善によるCO2排出削減効果の検証
③リサイクル
• 設備投資によるリサイクル分野強化の検討
• リサイクル分野等への焼成炉販売の拡大
なお、前中期経営計画におけるサステナビリティに関する戦略及び施策は以下のとおりとなります。
|
目 標 |
取り組み状況 |
新中期経営計画への課題 |
|
次世代省エネ炉開発 |
2023年8月に従来比40-70%のCO₂削減が可能な次世代省エネ炉に関するプレスリリースを実施。現在上市に向けたテスト焼成段階 |
耐久性向上を目指した試験の継続、顧客製品の試験焼成、上市 |
|
カーボンニュートラル(CN)に向けた製品開発 |
セメントロータリーキルン仮焼帯用れんがへのエコマーク取得、短時間乾燥仕様キャスタブルの実炉への施工、熱交換用セラミックス部材の開発と実炉投入 |
実炉での耐用トレースと必要に応じた改良や、生産プロセスの改善に資する材料設計が与えるCN効果の確認 |
|
燃料転換 |
2025年2月に亀崎工場の使用燃料を重油から都市ガスに転換(環境省SHIFT事業補助金活用) |
その他工場についても燃料転換を検討 |
|
リサイクル |
セラミックス原料加工事業におけるリサイクル事業強化のための設備投資実施 |
設備投資によるリサイクル分野強化の検討 |
|
電化道路向け骨材供給 |
道路ゼネコン向けに骨材供給開始 |
実証道路向けに骨材供給量を増加 |
また、当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、以下のとおりであります。
・2021年10月より従来の外部派遣研修に加え、オンライン動画研修制度を制定し、役職毎に指定する研修を年3回受講している他、指定する3か月間は社員個人の志向に合わせた研修を自由に受講可能な環境を整備することで社員のスキルアップやリスキリングを促しております。加えて2023年3月期より社員一人当たり5,000円/年の教育予算を各部門に配賦し、外部講習、資格試験用テキストや考査費に活用する等社員教育に積極的に投資を行っております。
・2022年10月より法定の育児休暇制度に加え、独自の育児奨励休暇制度(子供が一歳に達する日までで最大5日間の有給休暇を付与)を制定し、特に男性社員の子育てを奨励しております。当事業年度の男性社員の育児休業取得率は、100.0%(1/1名)であります。
・2024年7月と2025年1月に当社社員に対し、エンゲージメントサーベイを実施し、業務負担、職務、成長の機会、上司、同僚・部下、承認と報酬、人事評価、中期経営計画、文化、離職意思、心身の健康、福利厚生等の各項目における社員の意識を把握し、各部門長へのフィードバックを実施するとともに要望の多い項目に関して改善を実施いたしました。
・女性社員を対象として、働きやすい職場環境に関する意見交換会並びに管理職を目指す意欲のある社員の育成を目的としたキャリア研修を実施いたしました。加えて、中途入社社員を対象として、社内コミュニケーションの活性化及び帰属意識の向上を目的とした研修を実施しております。
(3)リスク管理
環境負荷低減型製品への市場ニーズの高まり、資源循環型社会への移行に伴うリサイクル需要の増大は、当社グループにとって新たな事業機会となる一方で、これに対応できない場合は競争力低下などのリスクも伴うと認識しております。
当該リスクに対し、情報収集、対応策の検討・決定及びその実施状況を経営会議で把握しております。また、四半期に一度「リスク・コンプライアンス委員会」を開催し、当社グループ内で発生した安全や品質に係る事例、法令改正、内部監査指摘事項を代表取締役社長以下取締役(監査等委員及び社外取締役を含む)、執行役員、部門長と共有することで、各部門のリスク感度を高め、同種事案の再発防止や法令違反に繋がる行為の未然防止に努めております。その他、各部門や子会社で管理可能なリスクは、各組織が中心となって対応しております。
(4)指標及び目標
当社グループでは、上記「(2)戦略」の頁においてサステナビリティに関する目標を3つ掲げております。また、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いており、当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。特に女性の管理職比率及び女性正社員比率は低位となっており、人材の多様性確保のためにはそれぞれ2030年3月期までに10%、25%へと引き上げる目標を掲げております。なお、提出会社では具体的な取組みが行われているものの、連結グループに属する会社では行われていないため、次の指標に関する実績は、提出会社のものを記載しております。
|
指標 |
目標 |
実績(当連結会計年度) |
前年度比 |
|
|
|
|
|
(2/72名) |
+0.1% |
|
|
|
|
(1/1名) |
- |
|
|
|
|
(40/269名) |
+0.5% |
(注)上記の管理職は女性活躍推進法に定める範囲とは異なり、提出会社の規程に基づいております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。ただし、以下に記載したリスクは当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、記載したリスク以外のリスクも潜在的に存在するものと判断しております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(景気及び市場の動向に係るリスク) 発生可能性:中 影響度:中
当社の耐火物事業はセメント市場向けが主力のため、国内建設業界の動向や政府の公共事業政策によってセメント需要が変動することにより大きな影響を受ける可能性があります。また、プラント事業は設備投資の、建材及び舗装用材事業は公共事業の動向次第で、大きな影響を受ける可能性があります。
(原料、燃料価格の高騰に係るリスク) 発生可能性:中 影響度:中
当社グループは、耐火物原料及び重油等の燃料を調達しておりますが、これらの原料及び燃料はリスク管理の観点からも調達先を分散して国内外の複数の取引先から購入・調達を行っております。国外からの購入については、為替動向を考慮しながら為替予約等により、価格変動リスクの軽減を図っておりますが、為替レートの変動による影響を受ける場合があります。また、特に原料及び燃料の調達価格が大きく変動する場合に当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(特定の業界への依存に係るリスク) 発生可能性:小 影響度:中
当社グループは、国内建設業界が最終需要者であるセメント製造設備用れんがやエンジニアリングの売上が当社グループ全体の売上の約3割を占めております。当社グループは、海外販路の拡充やプラント事業の強化等を通して国内建設業界の動向に左右されない事業構造への転換を目指しておりますが、国内建設業界におけるセメント需要が変動した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(自然災害、感染症による影響に係るリスク) 発生可能性:中 影響度:大
当社グループの生産拠点は、岐阜県瑞浪市、愛知県半田市、三重県四日市市等にあり、各工場で製品品種毎の分業体制を採っております。各工場とも火災・風水害等の影響を最小限とするため定期点検を実施し、設備や施設の劣化、不具合、潜在的な危険箇所の早期発見に努めております。また、耐震診断を実施し、建物や設備の脆弱性を把握し、具体的な補強対策を講じるなどの災害防止対策を講じております。しかしながら、南海トラフ巨大地震のような大規模地震が発生した場合、かなりの震度が予想される地域にあるだけに、当社グループの生産体制、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、新型コロナウイルス感染症に代表される感染症蔓延リスクが景気の先行き及び今後の当社グループに与える影響は不透明でありますが、感染症の蔓延により国内建設業界の事業縮小、取引先における設備投資の抑制が長期化した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(労働災害に係るリスク) 発生可能性:中 影響度:小
当社グループでは、多くの生産設備や製造装置を用いて業務を行っており、従業員の安全管理が不可欠であると認識しております。労働災害の防止や労働者の安全と健康管理のため、労働安全衛生法等に則り安全衛生体制の整備、強化を行っておりますが、万が一重大な事故や労働災害が発生し、一時的な操業停止や復旧費用、さらには補償金等の負担等が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(製品の品質に係るリスク) 発生可能性:中 影響度:中
当社グループは、ISO9001の品質保証規格の認証を受けており、製品に欠陥が生じないよう品質管理基準を定め生産を行っております。また、欠陥による損害賠償等が発生した場合に備え、製造物責任保険に加入し業績への影響を最小限に抑える手段を講じております。しかし、製品の欠陥によるクレームに対処すべく製品保証、補修工事などによる多額の追加費用が発生した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(固定資産の減損に係るリスク) 発生可能性:小 影響度:中
当社グループは、固定資産の減損に係る会計基準等を適用しております。経営環境の著しい悪化による収益性の低下等により、保有する固定資産に減損損失が発生した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(保有投資有価証券の価格変動に係るリスク) 発生可能性:中 影響度:小
当社グループでは、保有している投資有価証券について、定期的に取締役会等でモニタリング及び投資有価証券の保有可否の検討を実施しておりますが、投資先の業績不振、証券市場における市況の悪化等で投資有価証券の価値が変動した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(他社との競合に係るリスク) 発生可能性:小 影響度:小
当社グループは、継続的なイノベーション、コスト管理、差別化戦略、及び市場調査の強化などの対策を講じることで、競争環境に適応し、企業の競争力を維持・向上させておりますが、当社製品を上回る性能の新製品が競合企業により開発・上市されたり、競合により販売価格の低下や利益率の低下が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(法的規制の強化に係るリスク) 発生可能性:小 影響度:小
当社グループは建設業法、消防法、下請代金支払遅延等防止法、大気汚染防止法、騒音規制法、振動規制法、毒物及び劇物取締法、労働安全衛生法、廃棄物の処理及び清掃に関する法律といった関連法令や条例、各種ガイドライン等の遵守を徹底し事業運営を行っております。万一これらの法令等に違反するような事態が発生した場合や、今後新たな法令等の制定、既存法令等の解釈変更がなされ事業が制約を受けることになった場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(生産設備に係るリスク) 発生可能性:小 影響度:中
当社グループが所有する主要生産設備の中には、導入後の経過年数が長いものも少なくなく、定期的な補修等の実施により正常稼働に努めておりますが、設備故障を含む操業トラブルや想定を超える異常停止等が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(特定の仕入先・外注先への依存に係るリスク) 発生可能性:小 影響度:中
当社グループは、耐火物事業の原料の仕入や耐火物関連工事の外注に関し特定の取引先との取引額の割合が高い状況にあります。現状では、仕入先及び外注先と安定的な取引関係を維持しておりますが、仕入先及び外注先における経営戦略の変更、収益性の悪化、品質問題等が発生した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(人材の獲得及び育成に係るリスク) 発生可能性:中 影響度:小
当社グループは、魅力的な雇用条件の提供、継続的な研修・育成、社内コミュニケーションの強化、人材採用の多様化、パートナーシップの活用などの対策を講じることで、人材の獲得及び育成を行っておりますが、人材の確保や育成が計画通りに進まなかった場合、あるいは重要な人材が社外へ流出した場合には、競争力の低下や事業拡大の制約要因が生じ、当社グループの生産体制、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(情報の漏洩に係るリスク) 発生可能性:小 影響度:中
当社グループの保有する個人情報や当社グループの技術・営業等の事業に関する機密情報等については、ウイルス検知ソフトの導入、社内規程の整備やその徹底を通じて万全を期しておりますが、コンピューターウイルスの感染や不正アクセスその他不測の事態により社外に漏洩した場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(知的財産権に係るリスク) 発生可能性:小 影響度:小
当社グループは、事業活動に有用な知的財産権の取得に努める一方で、事前調査や管理体制を強化することで第三者の知的財産権を侵害しないように努めておりますが、かかる知的財産権の侵害が発生してしまう可能性を完全に排除することは困難であり、万一知的財産権を侵害してしまった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(内部統制に係るリスク) 発生可能性:小 影響度:小
当社グループは、企業価値を最大化すべく、コーポレート・ガバナンスの充実を経営の重要課題と位置付けております。また、業務の適正性及び財務報告の信頼性を確保するため、これらに係る内部統制が有効に機能する体制を構築、整備、運用しております。しかしながら、事業の急速な拡大などにより、十分な内部管理体制の構築が追いつかない状況が生じる場合には、適切な業務運営が困難となり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は、次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、物価高による影響が見られるものの、雇用・所得環境の改善を背景に個人消費には持ち直しの動きが見られ、高水準の企業収益を背景とした設備投資も底堅く推移し、景気は緩やかな回復基調にあります。一方、世界経済に関しては、米国の関税政策に対する懸念から世界各国の株式市場は大幅に下落し、トランプ政権の経済政策が予測困難で米国の景気後退観測もあることから、世界経済の先行きは極めて不透明な状況になっております。
このような状況の下、セメント業界向けを中心とする耐火物事業においては、セメントの国内生産量の減少傾向が続く状況の中、新規取引先の開拓及び生産性向上への積極的な取り組みにより、売上高、利益ともに前年度を上回る結果となりました。
プラント事業においては、工事部門が堅調に推移したことに加え、設備部門においても、半導体関連の需要回復に伴い顧客の設備投資が増加したことから、売上高、利益ともに前年度を上回る結果となりました。
建材及び舗装用材事業においては、各種製品の価格改定等もあり売上高、利益ともに前年度を上回る結果となりました。
不動産賃貸事業においては、賃料値上げの効果もあり売上高、利益ともに前年度を上回る結果となり、安定的な収益の確保に貢献いたしました。
これらの結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前期末に比べ951百万円増加し、21,336百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前期末に比べ36百万円増加し、6,828百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前期末に比べ915百万円増加し、14,507百万円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高は15,058百万円(前年同期比6.3%増)、営業利益は1,576百万円(前年同期比16.6%増)、経常利益は1,680百万円(前年同期比14.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,217百万円(前年同期比15.4%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(耐火物事業)
耐火物事業につきましては、当連結会計年度の売上高は6,267百万円(前年同期比3.2%増)、セグメント利益は343百万円(前年同期比37.1%増)となりました。
(プラント事業)
プラント事業につきましては、当連結会計年度の売上高は5,696百万円(前年同期比12.4%増)、セグメント利益は825百万円(前年同期比16.7%増)となりました。
(建材及び舗装用材事業)
建材及び舗装用材事業につきましては、当連結会計年度の売上高は2,554百万円(前年同期比1.5%増)、セグメント利益は214百万円(前年同期比12.8%増)となりました。
(不動産賃貸事業)
不動産賃貸事業につきましては、当連結会計年度の売上高は396百万円(前年同期比4.3%増)、セグメント利益は195百万円(前年同期比9.8%増)となりました。
(その他)
主に、外注品等を販売する事業であり、当連結会計年度の売上高は143百万円(前年同期比20.6%増)、セグメント利益は28百万円(前年同期比15.4%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という)は前連結会計年度末に比べ271百万円比増加し、4,153百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は1,204百万円(前年同期比36.4%減)となりました。
収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益1,680百万円、減価償却費445百万円及び売上債権の減少額332百万円によるものであります。支出の主な内訳は、法人税等の支払額483百万円及び契約資産の増加額404百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は513百万円(前年同期比220.2%増)となりました。
収入の主な内訳は、有価証券の償還による収入200百万円によるものであります。支出の主な内訳は、有形固定資産の取得による支出583百万円及び、投資有価証券取得による支出127百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は419百万円(前年同期比8.5%減)となりました。
支出の主な内訳は、配当金の支払額359百万円及び社債の償還による支出60百万円によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
生産高(千円) |
前年同期比(%) |
|
耐火物事業 |
4,669,368 |
99.7 |
|
プラント事業 |
4,311,456 |
116.5 |
|
建材及び舗装用材事業 |
1,900,232 |
99.9 |
|
その他 |
— |
- |
|
合計 |
10,881,057 |
105.8 |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は、製造原価によっております。
3 不動産賃貸事業については、その性質上、該当事項がないため記載しておりません。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高(千円) |
前年同期比 (%) |
受注残高 (千円) |
前年同期比 (%) |
|
耐火物事業 |
6,740,258 |
104.9 |
2,636,263 |
121.9 |
|
プラント事業 |
6,107,075 |
106.1 |
4,151,137 |
111.0 |
|
建材及び舗装用材事業 |
2,614,801 |
103.1 |
253,960 |
130.9 |
|
その他 |
156,596 |
125.7 |
48,423 |
137.9 |
|
合計 |
15,618,732 |
105.3 |
7,089,785 |
115.6 |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 不動産賃貸事業については、その性質上、該当事項がないため記載しておりません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
販売高(千円) |
前年同期比(%) |
|
耐火物事業 |
6,267,438 |
103.2 |
|
プラント事業 |
5,696,563 |
112.4 |
|
建材及び舗装用材事業 |
2,554,855 |
101.5 |
|
不動産賃貸事業 |
396,661 |
104.3 |
|
その他 |
143,281 |
120.6 |
|
合計 |
15,058,799 |
106.3 |
(注)セグメント間取引については、相殺消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態
(資産の状況)
流動資産は、契約資産や棚卸資産の増加などにより、全体としては12,939百万円(前期末比544百万円増)となりました。固定資産は、建物及び構築物(純額)や投資有価証券の増加などにより、全体としては8,396百万円(前期末比406百万円増)となりました。その結果、資産合計では、21,336百万円(前期末比951百万円増)となりました。
(負債の状況)
流動負債は、支払手形及び買掛金が増加したものの、電子記録債務の減少などにより、全体としては5,174百万円(前期末比69百万円減)となりました。固定負債は、社債が減少したものの、役員株式給付引当金や退職給付に係る負債の増加などにより、全体としては1,654百万円(前期末比106百万円増)となりました。その結果、負債合計では、6,828百万円(前期末比36百万円増)となりました。
(純資産の状況)
純資産は、利益剰余金やその他有価証券評価差額金の増加などにより、14,507百万円(前期末比915百万円増)となり、自己資本比率は68.0%(前期末比1.3ポイント増)となりました。
b.経営成績
(売上高)
売上高は、新規取引先の開拓や生産性向上、半導体関連需要の回復に伴い顧客の設備投資が増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ6.3%増の15,058百万円となりました。
(各段階利益)
営業利益は、販売価格への転嫁に加え新規取引先の開拓や生産性の向上が進んだこと、顧客の設備投資意欲が旺盛であったことなどにより、1,576百万円(前年同期比16.6%増)となりました。経常利益は受取配当金や受取保険金などにより1,680百万円(前年同期比14.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は税金費用の計上などにより1,217百万円(前年同期比15.4%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは、事業運営上必要な流動性を常に確保し、高い財務健全性を担保することを基本方針としております。必要な資金については、事業により創出されるフリー・キャッシュ・フローに加えて、金融機関からの借入及び社債の発行により資金調達を行っており、運転資金及び設備資金に充当予定の調達資金につきましては、当社グループのものを含め当社において一元管理しております。なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は4,153百万円、有利子負債残高は1,470百万円であり、手元流動性は十分に確保している状況であり、財務状況は健全であると認識しております。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
この連結財務諸表作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。
当社グループは、①耐火物及びその関連技術、②先進セラミックス技術、③各種工業炉及び付帯設備技術、並びに④建材及び舗装用材料・工法技術の4分野を中心に、経営基盤と事業競争力強化を実現するため研究開発に力を注いでおります。
これらの研究開発は、当社の技術研究所、各工場、プラント部及び連結子会社の美州興産㈱技術部が連携し、耐火物事業(セラミックス・耐火物事業)、プラント事業、建材及び舗装用材事業においてそれぞれ研究テーマを設定し推進しております。当連結会計年度における研究開発費の総額は
当連結会計年度におけるセグメント別の研究開発活動のテーマは、下記のとおりであります。
○耐火物事業(セラミックス・耐火物事業)
(1)耐火物の新製品開発及び既存製品の品質改良
(2)耐火物の補修技術の開発
(3)耐火物及びセラミックスの革新的製造技術の開発
(4)非酸化物系高機能セラミックス部材の研究開発
(5)酸化物系機能性セラミックス部材の研究開発
(6)軽量複合材料の研究開発
○プラント事業
(1)工業炉の高効率化に関する熱マネージメントシステムの開発
○建材及び舗装用材事業
(1)インフラ整備に向けたセラミックス系、無機系材料の応用技術開発
(2)高機能化に伴う塗り床材・景観舗装材の材料と工法の研究開発
(3)機能性道路維持補修材の材料と工法の研究開発
(4)路面温度上昇抑制舗装用遮熱セラミックス骨材の研究開発