文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、創業以来一貫して、人類共通の財産である地下資源の有効活用に取り組んでまいりました。地下資源のもつ秘められた可能性にますます大きな期待がかけられている現在、当社グループは、長年培ってまいりました「品質と技術」をさらに研鑽し、多様化するニーズにグループ各社が一丸となって、積極果敢に挑戦して、企業価値の一層の向上を図り、社会に貢献していくことを経営の基本としております。
当社グループは2023年度を初年度とする3ヵ年中期経営計画を策定しておりますが、外部環境の急激な変化を踏まえ、最終年度である2025年度の経営数値目標を見直しました。見直し後の目標値は、連結売上高169億円、連結営業利益16億円、ROE5.7%以上としております。当社の想定する株主資本コストは5~6%であり、現時点ではこれに近接する水準を目標としておりますが、将来的にはこれを安定的に上回るROEを確実に実現していく方針です。その実現に向けて、ベントナイト本来の性能を最大限に活かした高付加価値製品の開発、生産販売の省人化、デジタル化を通じて、社会課題の解決、顧客の価値創造を実現し、高収益事業構造を構築してまいります。
具体的な戦略としては、次のとおりであります。
・地熱発電事業/放射性廃棄物処理事業への注力(環境建設分野)
・森林整備事業(アグリビジネス分野)
・インフラ整備事業(国土強靭化)の取込み推進(環境建設分野)
・種子コーティング事業(アグリ分野)
・ガスバリア材料(クレイサイエンス分野)
・素形材分野、クレイサイエンス分野のアセアン市場展開推進
・高品質原鉱の安定調達に向けた海外鉱利用
・ESG経営及びDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進
・新鉱区開発、採鉱技術開発
世界経済は、ウクライナ、中東をはじめとする地政学リスクの継続に加え、米国トランプ政権の関税政策による減速への懸念が高まっております。加えて、国内においては労働力不足や物流費・人件費の上昇等、構造的なコスト負担の増大が見込まれるなど、不確実性の高い事業環境が継続すると認識しております。
このような認識のもと、当社グループは、事業分野間の連携強化と機動的な事業運営を推進し、各事業領域における付加価値の創出および諸課題の解決を通じて、持続的な収益の確保に努めてまいります。また、成長戦略の実現に向けては、研究開発や人材育成への投資を継続するとともに、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進体制の整備にも注力してまいります。
各事業部門の経営環境及び事業上の課題については、下記の通りであります。
① ベントナイト事業 素形材分野
世界的な脱炭素化への潮流を受けた自動車の国内生産台数の減少、化石燃料車のEVシフトに伴う鋳造部品点数の減少により、国内鋳造向けベントナイト需要の低減が予想され、将来的な国内市場縮小への対応が課題となっております。対処といたしましては、海外事業会社のKUNIMINE (THAILAND) CO.,LTD.を通じてアセアンへ進出する日系企業との連携を強め、海外ユーザーへ対応していくとともに、国内においても高い販売占有率(シェア)を活かした関連商材の拡販、製品と技術サービスの充実を図ることにより、収益の拡大に努めてまいります。
② ベントナイト事業 環境建設分野
建設業界においては、資材価格や人件費の高騰が工事単価を押し上げており、予算制約等の影響により土木工事件数は低調な推移が予想されます。また、一部大型公共工事において、自治体の財源不足、地域との調和不足による工期遅延等が発生しております。大型工事の遅延や急な再開による出荷変動が発生した場合、出荷量が計画に対して大きく変動するため、業績予測が困難なことが課題となっております。当分野の安定した成長を図るため、国内インフラ整備事業、地熱発電事業の取り込み、放射性廃棄物処理事業に対して積極的な営業活動を行うとともに、止水材等の高付加価値品の販売を拡充してまいります。
③ ベントナイト事業 ペット関連分野
国内の猫飼育頭数は堅調に推移しており、安定した需要が見込まれる一方で、国内市場における製品の多様化が進み、競争環境は厳しさを増しております。また、インフレ進行による原料、包装資材、物流費の上昇が課題となっておりますが、原料調達から生産販売までのバリューチェーンを国内で完結できる強みを活かして、コストダウンを進めるとともに、関連商品の拡充を図ることで収益の拡大に努めてまいります。
④ クレイサイエンス事業
当分野の製品は、一般工業用途として各種産業で広く利用されておりますが、環境規制強化にともなう市場ニーズの変化や、代替技術・素材の出現が、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当分野は、粘土本来の秘められた効能を最大限引き出す新規用途開発を進めておりますが、社会実装に時間を要することも課題となっております。今後も産学官連携を高めて、先端機能材料分野等での速やかな研究・製品開発を目指すとともに、国内外への市場拡大を図るべく市場ニーズを捉えた製品開発を進めてまいります。
⑤ アグリ事業
当分野は農薬等の受託生産が中心であるため、農薬市場の縮小等による委託元の販売不振や、委託方針の変化による受注減少等が懸念され、当社側で生産量を主体的にコントロール出来ず販売量が減少することが課題となっております。当分野では、種子コーティング等の新規受託領域の拡大を進めるとともに、製剤技術力、特に造粒技術の高度化にさらに磨きをかけ、事業分野の成長を図ってまいります。
⑥ その他
生産関連につきましては、継続した省人・省力化投資を推し進めることによって生産体制を強化し、人手不足の問題解消や生産性向上を実現することで、事業機会を確実に捉えるよう努めてまいります。またベントナイト資源確保の観点から、鉱量の確保や新鉱区開発のための積極投資も行ってまいります。輸入原鉱の急激な為替変動によるリスクへの対策としては、為替予約、外貨預金等を活用する事でヘッジを行ってまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
クニミネ工業グループは『経世済民』の経営理念を掲げ、貴重な地下資源であるベントナイトを中心に、高付加価値商品やサービスの展開により基幹産業を支え、国の繁栄に貢献してまいりました。当社が中核事業として取り扱うベントナイトは、自然環境への負荷が少なく、生命体と環境にやさしい無機鉱物です。この貴重な資源を科学し、未来のニーズを創造することで、社会への価値を提供していきたいと考えています。当社グループの技術を活用して、廃棄物処理などの社会課題の解決や、新たな産業を支援・創出していくことがESGへつながる取り組みと考えており、事業活動を通じて社会的な目標であるSDGsの達成を目指しております。
当社グループでは、持続可能な社会、環境への意識の高まりを事業機会と捉えて、代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ推進委員会を設置しております。ESGをより意識した経営の実現に向け、これまで社内の部署や事業単位で取り組んできた施策や啓発活動を企業・グループ全体に展開し、部署横断的な取り組みとして強化・加速させるため、情報収集や課題認識、解決策の提案など、中枢となる役割を担います。また、必要に応じ、経営委員会や取締役会へ付議し、事業およびガバナンス双方の視点から意見交換を活性化させてまいります。
当社グループでは、サステナビリティ推進委員会において、サステナビリティに関連するリスクおよび機会を識別し、その優先度を評価、選別しております。リスクおよび機会評価プロセスにより特定された重要リスクおよび機会に対して、サステナビリティ推進委員会事務局が関係各部と協議の上、対応を行って参ります。その後、リスクおよび機会評価の結果は、サステナビリティ推進委員会を通じて取締役会に報告されます。
③戦略
当社グループでは、サステナビリティに関連する事業機会として『重金属、放射性廃棄物処分事業』『地熱発電事業』『農林水産振興事業』を重要事業機会と捉えて営業活動の強化、CO2排出量の削減、関連する研究開発投資、設備増強投資に注力して参ります。
当社グループが重点事業機会として認識している『重金属、放射性廃棄物処分事業』『地熱発電事業』『農林水産振興事業』に関して、下記の目標を掲げております。同時に重点事業機会向け生産に係るCO2削減にも取り組んで参ります。
◆中期経営計画目標(2026年3月までの3年間)
◆中長期目標(2031年3月期までの8年間)
・関連売上高5,000百万円
・関連設備投資1,000百万円
・2030年にかけてScope2 の排出量ゼロを目標。(約8,000t削減)
CO2排出削減への取組に関する詳細な情報については、以下の当社ウェブサイトに公表されている2025年3月期決算説明会資料をご参照ください。
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①戦略
当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、以下のとおりであります。
人材育成方針
当社グループは、製品・サービスを通し、持続可能な社会の創造および当社グループが永続的な成長を遂げるため、絶えざるイノベーションに向け挑戦し続ける人材を育成します。
そのために、社員一人ひとりがチャレンジ精神を持ち、経験を成長の糧として、次なる挑戦へとつなげられるマインドの養成を目的とした教育体制を構築および組織風土の醸成を推進します。
・社員が成長を実感し、それをモチベーションとして次のステップへの挑戦の原動力とできる教育機会を提供する。
・多様な経験を通し、独自の発想・新たな視点を生み出す人員配置を行う。
・自主性を尊重し、チャレンジしたことが称賛される制度・組織づくりを行う。
社内環境整備方針
当社グループは、性別・年齢・国籍・人種・宗教・障害の有無・性自認および性的指向等に関わらず、社員一人ひとりが、感受性や価値観等の違いを尊重し、企業価値向上および社会貢献を目指せる社内制度構築および環境整備を推進し、多様性を新たな発想、視点へとつなげ、組織横断的に連携し、イノベーションに向けて突き進んでいく集団を作り上げることを目指します。
②指標及び目標
当社グループでは、上記①において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に係る指標については、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取組が行われているものの、連結グループに属するすべての会社では行われていないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、次の指標に関する目標及び実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。
(注)1.株式会社ビズアップ総研が提供するオンライン研修サービス「e-jinzai」への月毎のアクセス数の平均。
同一講座の重複受講及び全体教育は除外しております。
2.調査には、株式会社アトラエが提供するエンゲージメントサーベイ・解析ツール「wevox」を利用
3.役員・短期臨時員・パートタイマーを除く
4.重大労働災害:死亡、負傷又は疾病により、障害等級第1~7級に該当した労働災害
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、本項における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループの主要事業であるベントナイト事業、クレイサイエンス事業およびアグリ事業は、いずれも市場での厳しい競争にさらされております。そのため、新技術や新製品の開発、あるいは、競合他社との価格低減競争等により、経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、十分な与信管理を行っておりますが、取引先に予期せぬ貸倒れが発生した場合は、追加的な損失や引当金の計上が必要となり、経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、原料の一部を海外から輸入しております。そのため、為替相場の変動によるリスクをヘッジする目的で、為替予約等で対策を講じております。しかしながら、リスクヘッジにより為替相場変動の影響を緩和することは可能であっても、影響を完全に排除することは不可能であり、経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループには、鉱山会社が3社あり、原鉱採掘を行っております。毎年、探鉱ボーリングを実施して原鉱埋蔵量の確保は行っておりますが、災害や事故等の発生により、採掘が不可能になる危惧や、品質の低下および原鉱の枯渇等が発生する危惧があります。また、一部海外より原鉱を輸入しておりますが、原鉱の輸入につきましても、災害や事故等の発生や国際情勢の変化等により、輸入が困難となる危惧があります。こうした状況の発生が経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、主に製造工程において重油や電力等のエネルギーを使用しております。これらのエネルギー価格の変動により、経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、原鉱の輸入の他様々な原材料を外部より購入しております。これらの原材料は、為替相場の変動や原油価格の変動、その他の要因等によって仕入価格が上昇するおそれがあり、経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、徹底した品質管理のもとで製品を製造しておりますが、すべての製品が完全無欠という保証はありません。また、製造物賠償責任保険等に加入しておりますが、これらの保険が賠償額の全額を賄える保証もありません。そのため、製品の欠陥が、経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、鉱山および工場において安全対策等を十分に実施しておりますが、大規模な地震や近隣の火山の噴火、火災、事故等が発生した場合は、生産、出荷等が著しく低下するおそれがあり、経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの行う事業に適用される主な法的規制として、鉱山でのベントナイト原鉱石採掘に関連する採石法、アグリ事業での製品製造に関連する農薬取締法等があります。これらの関係法令は社会情勢の変化等に応じて適宜、改正や解釈の変更等が行われる可能性があります。その場合には経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。主な法的規制に関する許認可の内容は以下のとおりです。
当社グループは、採石法第32条に定める採石業者登録および採石法第33条で定める採取計画の許認可を以下のとおり受けております。なお、現状これら許認可等について、その継続に支障をきたす要因は発生しておりませんが、万一、採石法第32条の10および第33条の11、12の規定やその他の関連法令に抵触する等により、業務停止又は取消し等の処分を受けることとなった場合には、経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 農薬取締法関連
当社グループは、農薬取締法第2条に定める農薬登録につきまして、当社小名浜工場、郡山工場および太田工場において、製造品目ごとに農薬登録票の許認可を受け、製造場の名称および所在地登録を行っております。なお、現状これら登録について、その継続に支障をきたす要因は発生しておりませんが、万一、農薬取締法第14条の規定やその他の関連法令に抵触する等により、業務停止又は取消し等の処分を受けることとなった場合には、経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、事業活動を通じてお客様や取引先の個人情報および機密情報を入手することがあり、また、営業・技術上の機密情報を保有しております。 当社グループでは、これら情報に関する管理体制の強化と社員教育を展開し、適切なセキュリティ対策を講じています。しかしながら、予想を超えるサイバー攻撃、不正アクセス、コンピューターウィルス侵入等により、重要情報が流出した場合や、重要データの破壊、改ざん、システム停止等が生じた場合は、当社グループの信用低下により、業績および財務状況に影響を及ぼす場合があります。
当社グループは、事業活動による地球環境への影響を認識し、CO2排出量の削減や資源の有効活用に努め、環境負荷の低減を進めております。 しかしながら、CO2の排出に対する新たな規制等が導入された場合には、ベントナイト事業を中心に当社グループの事業活動が制約を受けたり、事業活動に係る費用が増加する可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度における当社グループを取り巻く環境は、労働力不足や物流コストの上昇といった課題を抱えつつも、賃上げや設備投資の増加が景気を下支えし、総じて緩やかな回復基調となりました。鉱工業生産は、主力の自動車産業において、半導体不足の緩和や生産能力の増強による回復が一部で見られたものの、大手メーカーの不正問題や中国市場における現地メーカー製BEV車への重点化により、生産台数は低調に推移しており、今後も厳しい見通しとなっております。また、世界経済においては、ウクライナ情勢の長期化や中東情勢の緊迫化による資源・エネルギー価格の高騰を起因とした物価上昇、各国の金融政策による為替変動等、先行き不透明な状況が継続しております。
このような状況のもと、当社グループは、高付加価値製品・サービスの提案、適切な価格改定などの販売活動を強化するとともに、より一層のコストダウンへの取り組みを進めることで、収益確保に向けて注力してまいりました。今後も、インフレ進行に伴うコスト上昇圧力は継続すると見られ、予断を許さない状況が続いておりますが、引き続き製品・サービスの高付加価値化、販売価格の適正化、原価低減による収益の改善に取り組んでまいります。
以上の結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は17,399百万円となり、前連結会計年度末に比べ578百万円増加いたしました。これは主に現金及び預金が342百万円、受取手形及び売掛金が316百万円それぞれ減少したものの原材料及び貯蔵品が1,094百万円増加したことによるものであります。
固定資産は8,439百万円となり、前連結会計年度末に比べ32百万円増加いたしました。これは主に有形固定資産が288百万円、投資その他の資産が投資有価証券の売却等により203百万円それぞれ減少したものの、無形固定資産が525百万円増加したことによるものであります。
この結果、総資産は、25,839百万円となり、前連結会計年度末に比べ610百万円増加いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は2,243百万円となり、前連結会計年度末に比べ125百万円増加いたしました。
固定負債は前連結会計年度末に比べ1百万円増加し、1,243百万円となりました。
この結果、負債合計は、3,487百万円となり、前連結会計年度末に比べ126百万円増加いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は22,351百万円となり、前連結会計年度末に比べ483百万円増加いたしました。これは主に自己株式の取得により332百万円減少したものの、利益剰余金が583百万円、為替換算調整勘定が円安により174百万円増加したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は83.4%(前連結会計年度末は84.0%)となりました。
当連結会計年度の業績は、売上高は15,707百万円(前年同期比0.2%増)、営業利益は1,280百万円(同4.0%増)、経常利益は主に前期の為替差益95百万円が当期は11百万円の為替差損に転じたことにより1,583百万円(同3.7%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は主に投資有価証券売却益が152百万円発生したことにより1,078百万円(同3.3%増)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前連結会計年度との比較については、前連結会計年度の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
素形材分野は、主に建機やトラック向け等の主要得意先における減産の影響により、減収となりました。環境建設分野は、一般土木工事の需要が低調であったものの、価格改定の効果や年度後半において地熱向け需要が回復したこと等により、若干の増収となりました。ペット関連は、需要は一服したものの、不採算品目の整理を行った結果、減収増益となりました。
この結果、当セグメントの売上高は11,094百万円(前年同期比 2.1%減)、セグメント利益は1,074百万円(同 22.5%減)となりました。
クニピアの一般工業用途としての輸出向けの需要が若干減少したものの、各分野において前期から取り組んでいる価格改定の効果等により、増収となりました。
この結果、当セグメントの売上高は1,808百万円(前年同期比 10.1%増)、セグメント利益は181百万円(同318.2%増)となりました。
主たる農薬分野において、種子コーティング剤や除草剤が好調に推移したことに加え、ベントナイト販売も含めた価格改定の効果等により、増収となりました。
この結果、当セグメントの売上高は2,804百万円(前年同期比 3.7%増)、セグメント利益は553百万円(同38.1%増)となりました。
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」)は、前連結会計年度末に比べ361百万円減少し、7,881百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、1,023百万円(前年同期比46.7%減)となりました。これは主に、棚卸資産の増加1,177百万円、法人税等の支払額454百万円があったものの、増加要因として税金等調整前当期純利益1,699百万円、減価償却費835百万円等があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、769百万円(同26.1%減)となりました。これは主に、投資有価証券の売却による収入が350百万円あったものの、有形固定資産の取得による支出が514百万円、無形固定資産の取得による支出が548百万円あったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、858百万円(同18.1%増)となりました。これは主に、自己株式の取得による支出が332百万円、配当金の支払額494百万円があったことによるものであります。
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.金額は販売価格によっております。
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.金額は仕入価格によっております。
当連結会計年度におけるベントナイト事業の一部およびアグリ事業の受注実績を示すと、次のとおりであります。
(注) 1.ベントナイト事業の一部およびアグリ事業以外は、見込み生産を行っております。
2.金額は販売価格によっております。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、当該割合が 100分の10を超える相手先がないため、記載を省略しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成につきましては「第5 経理の状況 1.連結財務諸表及び財務諸表の作成方法について (1)」、重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1.(1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載されているとおりであります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1.(1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(売上高)
当連結会計年度における売上高の概況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に記載しております。
(営業利益の状況)
売上原価につきましては、11,245百万円と前連結会計年度に比べ29百万円の増加(前年同期比0.3%増 )となりましたが、売上原価率は前連結会計年度から横這いの71.6%となりました。これは主に輸入原鉱価格や各種原材料価格は前連結会計年度から継続して高止まりしているものの、主にクレイサイエンス事業やアグリ事業で価格改定が進んだことによるものであります。
販売費及び一般管理費につきましては、コストダウンの取り組み等により、前連結会計年度に比べ46百万円減少(同1.4 %減)の3,181百万円となりました。
以上の結果、営業利益は1,280百万円となり、前連結会計年度に比べ49百万円の増加(同4.0 %増)となりました。
(経常利益の状況)
営業外収益につきましては、受取利息が37百万円、受取配当金が96百万円それぞれ増加したものの、前連結会計年度に発生した有価証券売却益121百万円が当連結会計年度は発生しなかったこと、為替差益が為替差損に転じたことにより、前連結会計年度に比べ94百万円減少の330百万円となりました。営業外費用につきましては、為替差損11百万円が発生したこと等により、17百万円増加の28百万円となりました。
以上の結果、経常利益は1,583百万円となり、前連結会計年度に比べ61百万円の減少(同3.7%減)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益の状況)
特別利益につきましては、投資有価証券売却益152百万円が発生したことにより前連結会計年度に比べ141百万円増加の152百万円となりました。
特別損失につきましては、前連結会計年度に発生した固定資産撤去費用引当金繰入額77百万円が当連結会計年度は無いこと等により56百万円減少の35百万円となりました。
また、法人税等合計につきましては、法人税、住民税及び事業税が105百万円増加したこと等により前連結会計年度に比べ75百万円増加の563百万円となりました。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は1,078百万円となり、前連結会計年度に比べ34百万円の増加(同3.3%増)となりました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しております。
当社グループのキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
当社グループは、運転資金及び設備資金につきましては、内部資金または必要に応じ借入により資金調達することとしております。このうち、借入による資金調達に関しましては、金融機関とコミットメントライン契約10億円を設定し、資金調達の機動性および安定性を確保しております。
当社グループは、今後も営業活動により得られるキャッシュ・フローを基本に将来必要な運転資金及び設備資金を調達していく考えであります。
当社グループの経営陣は、現在の経営環境および入手可能な情報に基づき、最善の経営方針を立案するよう努めておりますが、当社グループをとりまく経営環境は今後も厳しい状況が続くものと考えられます。このような状況下で、当社グループといたしましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(2)目標とする経営指標及び中長期的な会社の経営戦略」にも記載しましたとおり、戦略的課題に重点的に取り組むことで、他社との差別化を図って、高収益化構造を実現することを最優先課題として考えております。
該当事項はありません。
当連結会計年度における研究開発活動は、将来を見据えた新商品の開発を主眼に産学連携・企業連携による異分野とのコラボレーションを主体とした技術協力及び材料開発に取り組みました。
ベントナイト事業では、鋳物、土木・建築基礎、ペットトイレ砂、産業廃棄物及び放射性廃棄物地層処分分野に対する商品の安定供給と市場ニーズに適合させた機能性の高い製品の提案を図るため、既存品の品質向上のための改良技術並びに新規の鋳物用添加剤の適用や掘削安定液開発を行い、より高い品質の把握のため新規の特性評価技術の考案を進めました。また、低炭素化へ貢献するための3R(リデュース・リユース・リサイクル)を実現するため、集塵ダストや粘土副産物の再利用とした取り組みも研究開発課題として取り組んでいます。さらに、長年培った既存技術を応用し、産学官連携による共同研究を推進して生産動物医療分野への参入へ向けた取り組みを引き続き行いました。
止水材分野では、独自技術による高機能性商品の開発やコストダウンのための原材料及び配合検討を行いました。
クレイサイエンス事業では、水素、酸素、水蒸気のガスバリア用途向けとしてニーズに沿ったデータ収集を継続し、技術提案することで企業連携による材料開発・課題解決に向けた取り組みを行いました。大阪大学との共同研究にて見出した三次元細胞培養におけるスフェロイド促進機能に関しては、2024年5月より試薬販売を開始し市場展開を進めました。また当該技術について第7回日本オープンイノベーション大賞に応募し、文部科学大臣賞を受賞しました。山形大学との共同研究にて見出した粘土の電気化学特性に関しては、蓄積してきたデータをまとめ技術提案を開始し、企業連携に向けた取り組みを行いました。
化粧品分野では、粘土鉱物を用いた界面活性剤フリーの乳化手法について技術提案を進め、ユーザー連携による材料開発を進めました。またSPFブースト効果についても新たに見出し、CITE JAPAN 2025での技術紹介に向け準備を進めました。
なお、当連結会計年度の研究開発費は、
当社グループの研究開発活動は、ベントナイト事業のみならず、すべての事業に関連する研究が多いため、研究開発費をセグメントに区分して記載しておりません。