第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

 当社はプレキャストコンクリート製品の製造・販売を通じて「美しく豊かな環境づくりに貢献する」を経営理念としており、「最高の品質を追究します」「最高のサービスを提供します」「創意と工夫で挑戦します」をモットーに、都市環境、住環境、ならびに自然環境に寄与する優れた独自製品を社会に送り出してまいります。

 

(2)目標とする経営指標

 当社はキャッシュ・フローを重視した経営により財務体質を強化し、収益力や資本効率を向上させることを経営上の重要な責務と考えており、そのためにフリー・キャッシュ・フローの増大を重視しております。

 更に収益力の指標としてROA(総資産経常利益率)や資本効率の指標としてROE(自己資本当期純利益率)についても、より一層の改善を目指してまいります。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

 当社の掲げる経営理念「美しく豊かな環境づくりに貢献する」は、ESG(環境・社会・ガバナンス)やSDGs(持続可能な開発目標)を始めとするサステナビリティ(持続可能性)への取組みとソリューションにより、豊かな環境を次世代に引き継いでいくことを使命として掲げていることから、当社グループは、プレキャストコンクリート製品のもつ優れた特性と当社オリジナルの特注対応力を活かしながら、「国土強靭化」「防災・減災」「安全・安心」「長寿命化」「環境・リサイクル」などの多様なテーマに対応し、社会ニーズにマッチした環境関連製品の開発・販売を通じて、社会的な課題の解決に貢献していくことを目指しております。

 また、厳しい状況が続く経営環境のなかで、「低コスト体質の実現」と「付加価値の高い製品開発・販売」を柱とした事業戦略により、一層の収益性の向上と財務体質の強化に取り組んでまいります。

 

(4)経営環境

 当社グループが主要事業とするプレキャストコンクリート製品の製造・販売について、土木資材事業においては、相次ぐ自然災害や社会資本の老朽化、人手不足などを背景に、国の進める「国土強靭化」を始め、「防災・減災」「流域治水」「安全・安心」「維持・補修」や建設現場での生産性向上が中長期的な課題とされるなかで、現場の省力化や生産性向上に向け、今後もその重要性が増すと見込まれます。一方、景観資材事業では、都市部における駅前や商業施設を始めとする再開発事業においては、建築外構やスマート化への需要が高まるなかで、景観性とともにさまざまな機能性(ヒートアイランド現象の抑制や集中豪雨の影響緩和など)も求められることから、施工現場のニーズに対応したカスタマイズ対応が求められています。また、エクステリア事業においては、ライフスタイルの変化に応じた意匠性が求められるとともに、自然災害の多発化を背景に、耐震性や防災機能も兼ね備えた製品への需要が高まっています。

 当社グループは、同業他社の多くが地域や事業を限定し展開するなかで、土木資材事業、景観資材事業、エクステリア事業の3事業を全国展開することで、それぞれの事業の強みを活かした幅広い品揃えと豊富なソリューションにより事業を展開しております。また、役所や建設コンサルタントなどへの提案営業を軸とした特注対応力も強みのひとつであります。

 なお、新型コロナウイルス感染症については、感染拡大の局面においては民間の建築外構工事の縮減などが見られたものの、現在はほぼ終息しつつあることから、当社グループを取り巻く経営環境への影響は極めて限定的であると判断しております。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループは、(4)に記載の強みを事業活動の柱とし、国の進める「国土強靭化」を始め、「防災・減災」、「流域治水」、「維持・補修」などの重点テーマや建設現場の生産性向上へのソリューションとして、プレキャスト化のメリットをユーザーに訴求しながら地域の需要や特性に応じた提案を推し進め、シェアおよび収益の拡大を目指してまいります。また、当社オリジナルのカスタマイズ技術を駆使した高付加価値の製品・工法の開発と拡販に注力するとともに、3次元データ等のデジタル技術を駆使した製品モデルの提案による難易度の高い特注物件への対応力強化や、グリーンインフラ、カーボンニュートラルといった社会的課題に貢献する素材や製品の開発を通じて、多様化・高度化するユーザーのニーズに的確に応えてまいります。加えて、本年4月に新設した「市場開拓部」、「事業戦略室」、「サステナビリティ推進室」ならびに「広報・IR室」により、それぞれ新市場や新事業分野の開拓、事業成長に向けた中長期経営戦略の策定、脱炭素化やリスク・マネジメント等への取組み強化やブランド力強化など、当社グループにおける重要課題のソリューションに向けて鋭意取り組んでまいります。

 一方、昨年4月の茨城工場創設に伴う製販一体の態勢確立により、東日本地区における土木資材製品の一層の拡販に注力するとともに、本年1月に子会社化した葉月工業株式会社との連携により九州地区における本格的な事業展開を図るなど、当社グループの持続的成長に向けた地域戦略の推進により、収益の確保に努めてまいります。また、今後も予想されるセメント、骨材や鉄筋などの原材料価格やエネルギーコストの高騰への対策として、生産部門を始めとするあらゆる部門で管理強化と効率化によるコスト低減を図るとともに、販売価格の適正化を推し進めることで、利益の創出を図ってまいります。

 当社グループは、上記の事業活動を通じて、より一層の収益性の向上と財務体質の強化を推し進めてまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 当社グループは、「美しく豊かな環境づくりに貢献する」を企業理念に掲げ、企業活動を通じて、さまざまな社会的課題へのソリューションに向けて取り組んでおります。特に、近年重要度の増している気候変動リスクを始めとするサステナビリティについては、経営上の重要課題のひとつとして認識し、当社事業の中核であるプレキャストコンクリート製品を通じて、サステナブルな社会への貢献に向けたソリューションを推し進め、企業価値の向上を実現すべく取り組んでおります。

 また、当社グループは、今後も持続的成長を続け企業価値を高めるべく、社員一人ひとりがその能力を最大限に発揮できるよう、人材育成や働き方改革などを柱とした人財戦略を掲げ、人材活性化に注力しております。

 

(1)ガバナンス

 サステナビリティに係る各種課題への取組み強化を図るべく、総務人事部内に「サステナビリティ推進室」を設置し、当社グループ全体における気候変動リスクを始めとするリスク・マネジメント全般、ならびにESG(環境・社会・ガバナンス)やSDGs(持続可能な開発目標)に係る当社の課題抽出や優先取組みテーマの選定、具体的なマテリアリティやKPIの策定等を推進中です。

 「サステナビリティ推進室」にて策定されたサステナビリティに係る報告・提言は、経営推進会議での検討を経て、取締役会にて審議され、中長期的な経営戦略やリスク管理・評価に反映させる体制としております。

 

(2)戦略

 当社グループは、事業活動を通じたサステナビリティに係るリスク・課題について識別し、それぞれの経営へのインパクトを評価しながら、リスクの軽減ならびに機会の獲得に向けて対策を推進しております。

 

 

区分

サステナビリティ上の重要なリスク・機会

ESG

区分

重要度

具体的な対策

リスク

脱炭素化への対応遅延によるユーザー離れ

E・S

自社素材開発や他社技術導入・コラボによるセメント代替技術を用いた製品の開発・拡販

原材料・エネルギー価格高騰による収益への影響

E・G

生産設備更新による生産効率向上、太陽光発電システムの導入

多発する自然災害による事業活動への影響

BCP・BCMの構築・拡充、定期的訓練の実施

システム老朽化、セキュリティリスクの発生、業務効率の低下

セキュリティ対策の強化、AIやRPAツールを用いたDX化の推進

人材不足による事業推進の停滞

働きやすい環境づくりの推進・PR、女性、外国人やキャリア採用推進

機会

国の推進する「i-Construction」による販売機会の増大

E・S

プレキャストコンクリート製品のメリット訴求、

VE(バリューエンジニアリング)提案推進

BIM/CIMへの対応、ドローン等のICT導入

国土強靭化、防災・減災等重点課題の推進

流域治水や長寿命化に対応した製品の開発・提案の推進

老朽化の進む社会資本のメンテナンス機会増大

インフラ・マネジメント部門による点検~補修のパッケージ提案

環境配慮型製品への市場評価向上、優先採用

CO2排出量削減型製品の開発・上市・拡販

 

 当社グループにおいては、持続的成長を実現するためには、なによりも人材育成とその能力の最大限の発揮が欠かせないとの認識から、「生産性向上・付加価値創出に向けた人材の「創」・「育」・「実」の実践」を方針に掲げ、下記の人財戦略を策定し推進しております。

「創」・・・効果的な採用活動、働き方改革

・当社グループの競争力アップにつながる人材の採用

・ミドル・シニア社員の働き方改革・制度改革

「育」・・・人財の活性化

・社員研修、各種プロジェクト立上げ・参画、自己啓発支援等による育成推進

・健康経営、ワークライフバランス推進、ハラスメント防止等による働きやすい環境の創出

 ※当社は、2019年8月に厚生労働省が認定する「くるみん認定」、2023年3月に経済産業省と日本健康会議が共同で実施する「健康経営優良法人2023(大規模法人部門)」の認定をそれぞれ取得しております。

「実」・・・評価・インセンティブ

・中期経営計画(現在策定中)を反映した人事・評価システムの構築

・モチベーションアップにつながるインセンティブ制度の充実

 

(3)リスク管理

 サステナビリティに係るリスク管理については、総務人事部内に設置の「サステナビリティ推進室」にて、社内の各部門ならびに連結子会社と連携しながら現状調査に基づきリスクを識別し、識別されたリスクの評価に基づいた取組方針やマテリアリティ、KPIを策定のうえ、経営推進会議での検討を経て、取締役会に報告し、その審議を経てリスク管理に係る事項を決定し推進する体制をとっております。取締役会は、サステナビリティに係る対応策や目標およびその進捗について、「サステナビリティ推進室」により報告を受け、監督ならびに必要に応じて指示を行います。

 

(4)指標及び目標

 サステナビリティ関連のリスク及び機会に関してその実績を長期的に評価・管理し、及び監視するために用いられる具体的な指標や目標については、現在、サステナビリティ推進室を中心に策定中であります。公開が可能となった時点で、当社ホームページ等で開示の予定にしております。

 人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績は下記のとおりであります。なお、当社グループでは、上記「(2)戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針については、連結グループ全体で具体的な取組みが行われているものの、連結子会社において、過去に遡及して関連する指標のデータを取得することが困難なため、連結グループとしての記載が困難であります。このため、次の指標に関する目標及び実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。

①女性従業員の活躍フィールド拡大の促進

当社は、幅広い職種・フィールドでの女性従業員の活躍を促進しており、事務系以外の職種に従事する女性従業員数の推移および目標は次のとおりであります。

 

 

2018年度

2019年度

2020年

2021年度

2022年度

2025年度

(目標)

営業職

5

6

8

7

9

14

技術職

4

5

5

6

6

8

製造職

2

2

3

5

デザイナー

4

4

3

3

5

企画職

2

2

3

合計

9

15

19

20

23

35

 

②有給休暇取得の促進

当社は働き方改革の一環として有給休暇の取得を推奨しており、その取得率の推移および目標は次のとおりであります。

 

2018年度

2019年度

2020年

2021年度

2022年度

2025年度

(目標)

当社

42.9%

61.7%

59.0%

60.1%

69.6%

75%

厚生労働省調査

52.4%

56.3%

56.6%

58.3%

 

③男性従業員の育児休暇取得の促進

当社は多様な働き方促進や働きやすい環境づくりの一環として男性従業員の育児休暇取得を促進しており、2022年度における取得率は16.7%でした。2025年度には30%超の取得率達成を目標としております。

 

 なお、女性や中途採用者の経営職や管理職等への登用については、女性や中途採用者等の区別なく、あくまでも実績および見識・スキル等に基づく総合的観点から検討・実施すべきとの観点から、多様性の確保についての測定可能な指標や目標は定めておりません。

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

 (1)目下、顕在化しているリスク

 原材料価格やエネルギーコスト、配送コストの想定外の高騰

 当社グループの製品の主要原材料は砂・砂利、セメントや鋼材などであり、製造工程においてボイラー用途に重油を使用しております。また、施工現場までの製品供給は、重量物が主体であるため、運送会社に手配の上、大型車両による配送を行っております。これら原材料価格やエネルギーコスト、配送コストが想定以上に上昇した場合、当社グループの利益を始めとする経営成績や財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、原材料等の価格高騰の業績への影響を抑制すべく、生産部門を始めあらゆる部門での管理強化と効率性の向上に努めるとともに、販売価格の適正化を推し進めております。また、当社製品の配送手配を担当する株式会社サンキャリーを中心に、配送効率の向上に努めております。

 

 (2)過去に顕在化したことがあり、将来においても発生の可能性のあるリスク

 ①公共投資の動向

 当社グループの土木資材事業ならびに景観資材事業は、それぞれ売上の大部分を公共事業に供する製品の販売により獲得していることから、公共事業において発注減少や進捗遅延が発生する場合は、当社グループの売上を始めとする経営成績や財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、公共事業の動向による影響を軽減すべく、民間商業施設や学校法人などの民間需要の開拓、受注獲得に注力しております。また、公共工事においても、「防災・減災」や「維持・補修」などの重点テーマに対応した製品・工法の提案や新製品・新工法の開発により、受注の獲得を進めております。

 

 ②大規模自然災害

 当社グループは、全国に営業拠点を構えており、生産拠点も西日本を中心に設置しております。今後、地震や台風災害などの自然災害が発生した場合は、災害の影響の程度や範囲により、当社の営業活動や生産活動が正常に行えないことが想定され、当社グループの売上を始めとする経営成績や財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、全社的なBCP(事業継続計画)の構築・運用を通じて、まずは従業員及びその家族の人命を第一とした支援活動を行うとともに、地域の同業他社とも連携しながら、被災を免れた生産拠点での代替生産・配送などを進め、継続的な事業活動を通じたインフラの復旧活動を推進いたします。

 

 ③感染症の感染拡大による影響

 新型コロナウイルス感染症のような感染症が拡大した場合、当社グループにおいては、民間の建築外構工事における縮減などに伴い、当社製品の売上減少を余儀なくされ、売上を始めとする経営成績や財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、緊急対策本部を組織し、テレワークや時差出勤の推進、集合形式の会議や研修、出張等の自粛などの安全対策の全社的な実施により、顧客とのコミュニケーションを維持しつつ感染防止に努めます。

 

 (3)過去に顕在化していないが、将来において発生の可能性のあるリスク

 ①知的財産権

 当社グループは、開発された技術・製品を保護するために特許などの知的財産権の確立を進めるほか、製品の製造・販売に先立ち第三者が保有する知的財産権を十分調査し、権利を侵害しないよう努めております。しかし、予期しない事情により当社グループと第三者との間で知的財産権に関する紛争が発生し、当社グループに不利な判断がなされた場合には、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 ②製造物責任

 当社グループは、製品の開発や生産にあたっては安全性・品質に十分に配慮しておりますが、製品の予期しない欠陥によって製品の回収や損害賠償につながる可能性があります。保険に加入し賠償に備えているものの、保険による填補ができない事態が発生した場合には、当社グループの経営成績および財政状態のみならず、社会的評価にも影響を及ぼす可能性があります。

 

 ③産業事故災害

 当社グループは、事業活動全般において無事故、無災害に努めておりますが、当社グループの工場において、万が一産業事故災害が発生した場合、自社の保有資産に対しては保険に加入し備えているものの、社会的信用の失墜、生産活動の停止による機会損失などにより、当社グループの経営成績および財政状態のみならず、社会的評価にも影響を及ぼす可能性があります。

 

 ④人材確保

 当社グループは、安定的な事業運営を行うべく、計画的な人材の確保に努めておりますが、当社グループの想定する人員体制を必要な時期に確保できない場合は、当社グループの事業活動に支障をきたすこととなり、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 ⑤情報セキュリティ

 当社グループは、基幹業務システムを構築の上、各事業拠点を情報ネットワークで接続し事業活動を行っており、セキュリティ対策や社員教育を実施しているものの、サイバー攻撃などによる情報漏洩やネットワーク障害などによる業務の遅延・停滞などの発生により、当社グループの事業活動に支障をきたすこととなり、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況

 当連結会計年度における当社グループ(当社および連結子会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限の緩和に伴い社会経済活動が正常化しつつあるものの、原材料価格の高騰による企業収益や個人消費への影響が顕在化するなど、先行きは不透明な状況で推移いたしました。

 当社グループ(当社および子会社)の需要先である建設業界では、公共事業については、「国土強靭化」などの重点施策に予算が配分されたものの、原材料価格高騰などの影響により一部で発注遅延が生じるなど、厳しい状況で推移しました。一方、民間建設投資については、住宅市場における2022年の新設住宅着工戸数は伸び悩んだものの、企業の設備投資需要の回復に伴い建築・土木工事が活況を呈するなど、前年度に引続き好調を維持しております。

 このような状況のもと当社グループは、販売部門においては、営業担当と各支店に配置の営業推進部が連携しながら、現場の省力化や生産性向上のためのプレキャスト化を訴求すべく、役所や建設コンサルタントに向けた提案営業を鋭意推進するとともに、民間需要の開拓にも注力するなど、受注獲得に努めてまいりました。また、開発・設計部門の支援による3次元データなどのデジタル技術を駆使しながら、高付加価値製品の拡販や難易度の高い特注物件の受注にも注力いたしました。一方、生産部門においても、原材料価格の高騰への対策として、生産性の向上をより一層推進し協力会社とも連携を強化しながら原価の低減に取り組むとともに、物流の効率化を進めるなど、グループ一丸となって収益の獲得に努めてまいりました。さらには、東日本地区における土木資材事業の本格展開に向けて、新たな生産拠点として茨城工場を創設し製販一体化による拡販を推し進めるとともに、本年1月に九州地区における事業拡大の一環として、法面保護工事業を手掛ける葉月工業株式会社(鹿児島県鹿児島市)を子会社化するなど、当社グループの持続的成長の実現のための戦略を推し進めてまいりました。

 当連結会計年度の経営成績は、主に土木資材事業の苦戦に伴い、売上高は113億36百万円(前年比3.7%減)となりました。

 利益面については、減収に加え、原材料価格やエネルギーコストの高騰などの影響により、営業利益は2億80百万円(前年比22.9%減)、経常利益は3億23百万円(前年比22.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は、1億98百万円(前年比27.3%減)となりました。

 セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。

 

 土木資材事業

 国や地方の推進する「国土強靭化」や「防災・減災」、「流域治水」などの重点施策への対策を強化するとともに、建設現場における生産性向上や工期短縮化に向けたプレキャスト化への提案を強力に推し進めた結果、側溝を始めとする道路用製品や擁壁などの製品は堅調に推移したものの、公共工事において原材料価格高騰を起因とした発注遅延が生じたことで、主力のボックスカルバートなどが振るわず、昨年度の業績をけん引した関西地区における民間の大型工事が終了するとともに、東日本地区での販売も伸び悩んだことにより、当セグメントの連結売上高は73億円(前年比8.1%減)、営業利益は2億5百万円(前年比52.8%減)となりました。

 

 景観資材事業

 駅前整備事業や公園・商業施設などの大型物件の受注に向けて、豊富な製品ラインナップと当社オリジナルの特注対応力を活かした提案営業を推進し受注獲得に努めた結果、主力市場である東日本地区を中心に、バリアフリーペイブや透水タイプの舗装材が前年度までの苦戦から回復基調に転じ、擬石を始めとするファニチュア製品も売上を伸ばした結果、当セグメントの連結売上高は29億72百万円(前年比11.8%増)、営業利益は47百万円(前年は1億2百万円の損失)となりました。

 

 エクステリア事業

 水まわり製品を中心に新製品の投入や品揃えの強化によりラインナップの拡充を図り、エクステリア製品の販売を担当する連結子会社のニッコーエクステリア株式会社において、キャンプ場やグランピング施設など新たな市場への提案やハウスメーカーへの拡販に取り組んだ結果、主力の立水栓を始めとするガーデン関連製品は堅調に推移したものの、その他の製品が伸び悩んだことで、当セグメントの連結売上高は10億62百万円(前年比8.6%減)、営業利益は27百万円(前年比13.9%減)となりました。

 

 なお、新型コロナウイルス感染症の影響について、当連結会計年度においては、感染の再拡大に伴う一部の工事に遅延はあったものの、経営成績への影響は限定的であると判断しております。翌連結会計年度においては、感染状況が終息しつつあり、仮に感染再拡大の局面においても経営環境や事業活動への影響は軽微と見込まれることから、当社グループの経営成績への影響は極めて限定的であると見込んでおります。

 また、当連結会計年度における財政状態は、次のとおりであります。

(a)流動資産

 当連結会計年度末における流動資産の残高は、81億83百万円(前連結会計年度末は70億87百万円)となり、10億96百万円増加いたしました。増加の主なものは、受取手形、売掛金及び契約資産の増加(前期比3億35百万円増)などによるものであります。

 

(b)固定資産

 当連結会計年度末における固定資産の残高は、70億23百万円(前連結会計年度末は66億73百万円)となり、3億50百万円増加いたしました。増加の主なものは、有形固定資産の増加(前期比1億19百万円増)などによるものであります。

 

(c)流動負債

 当連結会計年度末における流動負債の残高は、62億89百万円(前連結会計年度末は56億32百万円)となり、6億57百万円増加いたしました。増加の主なものは、短期借入金の増加(前期比3億88百万円増)などによるものであります。

 

(d)固定負債

 当連結会計年度末における固定負債の残高は、14億33百万円(前連結会計年度末は9億66百万円)となり、4億66百万円増加いたしました。増加の主なものは、長期借入金の増加(前期比4億11百万円増)などによるものであります。

 

(e)純資産

 当連結会計年度末における純資産の残高は、74億84百万円(前連結会計年度末は71億61百万円)となり、3億23百万円増加いたしました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ70百万円(5.1%)増加し、14億42百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 税金等調整前当期純利益3億22百万円、減価償却費3億97百万円などで資金増加したものの、棚卸資産の増加額2億80百万円、売上債権の増加額1億1百万円などにより、当連結会計年度において営業活動によって得たキャッシュ・フローは、前年と比較し4億53百万円減少し、2億24百万円となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において投資活動に使用したキャッシュ・フローは、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出により、前年と比較して4億78百万円増加し、7億35百万円となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において財務活動により得たキャッシュ・フローは、前年と比較して9億69百万円増加し、5億81百万円となりました。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

 (a)生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

土木資材事業(千円)

2,936,499

108.18

景観資材事業(千円)

1,392,849

113.92

エクステリア事業(千円)

332,083

96.29

合計(千円)

4,661,432

108.86

(注)金額は、製造原価によっております。

 

 (b)商品仕入実績

 当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

土木資材事業(千円)

2,495,288

77.67

景観資材事業(千円)

573,632

105.03

エクステリア事業(千円)

427,029

95.36

合計(千円)

3,495,950

83.10

(注)1 金額は、仕入価格によっております。

2 上記に対応する商品売上実績は、3,998,061千円であります。

 

 (c)受注実績

 当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。

 

 (d)販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

土木資材事業(千円)

7,300,900

91.9

景観資材事業(千円)

2,972,937

111.8

エクステリア事業(千円)

1,062,313

91.4

合計(千円)

11,336,151

96.3

(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり当社が採用している会計方針等につきましては、第5[経理の状況]1[連結財務諸表等]の[注記事項]4.会計方針に関する事項ならびに(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

 連結財務諸表の作成に当たっては、会計上の見積りを行う必要があり、貸倒引当金や賞与引当金、役員賞与引当金の計上、固定資産の減損に係る回収可能価額の算定、繰延税金資産の回収可能性の判断等につきましては、過去の実績や状況に応じ合理的であると考えられるさまざまな要因に基づき、継続して評価を行い、資産や負債、収益・費用の数値に反映しております。なお、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は異なる可能性があります。

 当社グループは、今後も入手可能な情報を基に見積りに係る検証・評価を行い、適切に連結財務諸表に反映させてまいります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(a)当社グループの当連結会計年度の経営成績等

 当社グループの当連結会計年度の経営成績等については、(1)経営成績等の状況 ①財政状態及び経営成績の状況に記載のとおりであります。

 

(b)当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因

 当社グループの連結売上高の大半を占める土木資材事業および景観資材事業において、主に公共事業に供される製品の販売を行っていることから、公共事業の発注減少や進捗遅延により当社グループの経営成績および財政状態が大きな影響を受ける可能性があります。

 また、原材料価格やエネルギーコスト、輸送コストの想定外の高騰により、その影響を生産効率化やコスト削減、販売価格への転嫁などの諸対策でカバーできない場合、当社グループの経営成績および財政状態が大きな影響を受ける可能性があります。

 一方、新型コロナウイルス感染症の影響については、当連結会計年度は、感染の再拡大に伴う一部の工事に遅延はあったものの、経営成績への影響は限定的であると判断しております。翌連結会計年度においては、感染状況が終息しつつあり、仮に感染再拡大の局面においても経営環境や事業活動への影響は軽微と見込まれることから、当社グループの経営成績への影響は極めて限定的であると見込んでおります。

 

(c)当社グループの資本の財源および資金の流動性

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、工場における原材料仕入などの製造費用ならびに販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、主に、事業拡大に向けたM&Aや既存生産設備の更新、土木資材事業に係る型枠製作、製品開発投資などによるものであります。

 当社グループは、短期運転資金については自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、自己資金及び金融機関からの長期借入を基本としております。

 なお、当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

 

(d)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、現在、中長期的な経営計画等に係る具体的な目標数値は定めておりませんが、財務体質の強化のためのフリー・キャッシュ・フローの増大を重視しているとともに、収益力の指標としてROA(総資産経常利益率)や資本効率の指標としてROE(自己資本当期純利益率)の一層の改善を目指しております。

 当連結会計年度に獲得したフリー・キャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ9億32百万円減少し、5億10百万円のマイナスとなりました。これは主に、営業活動によって得たキャッシュ・フローが前年に比べ4億53百万円減少するとともに、葉月工業株式会社の株式取得による支出などにより投資活動に使用したキャッシュ・フローが4億78百万円増加したことによるものであります。

 また、当連結会計年度のROAは2.2%(前年同期比0.8ポイントの悪化)、ROEは2.7%(前年同期比1.2ポイントの悪化)となりました。ROAおよびROEの悪化の要因は、主に土木資材事業の減収や原材料価格の高騰の影響による収益の悪化によるものであります。

 

(e)経営成績等の状況に関する分析を踏まえた検討内容

 当社グループは、国の進める「国土強靭化」を始め、「防災・減災」、「流域治水」、「維持・補修」などの重点テーマや建設現場の生産性向上へのソリューションとして、プレキャスト化のメリットをユーザーに訴求しながら地域の需要や特性に応じた提案を推し進め、シェアおよび収益の拡大を目指してまいります。また、当社オリジナルのカスタマイズ技術を駆使した高付加価値の製品・工法の開発と拡販に注力するとともに、3次元データ等のデジタル技術を駆使した製品モデルの提案による難易度の高い特注物件への対応力強化や、グリーンインフラ、カーボンニュートラルといった社会的課題に貢献する素材や製品の開発を通じて、多様化・高度化するユーザーのニーズに的確に応えてまいります。加えて、本年4月に新設した「市場開拓部」、「事業戦略室」、「サステナビリティ推進室」ならびに「広報・IR室」により、それぞれ新市場や新事業分野の開拓、事業成長に向けた中長期経営戦略の策定、脱炭素化やリスク・マネジメント等への取組み強化やブランド力強化など、当社グループにおける重要課題のソリューションに向けて鋭意取り組んでまいります。

 一方、昨年4月の茨城工場創設に伴う製販一体の態勢確立により、東日本地区における土木資材製品の一層の拡販に注力するとともに、本年1月に子会社化した葉月工業株式会社との連携により九州地区における本格的な事業展開を図るなど、当社グループの持続的成長に向けた地域戦略の推進により、収益の確保に努めてまいります。また、今後も予想されるセメント、骨材や鉄筋などの原材料価格やエネルギーコストの高騰への対策として、生産部門を始めとするあらゆる部門で管理強化と効率化によるコスト低減を図るとともに、販売価格の適正化を推し進めることで、利益の創出を図ってまいります。

 以上のような施策を当社グループが一丸となって取り組むことで、グループ総和による中長期的な企業価値向上と持続的成長を図りながら、当社の経営理念である「美しく豊かな環境づくり」の実現に向けて鋭意挑戦してまいります。

 

5【経営上の重要な契約等】

 積水樹脂株式会社との企業提携基本契約について

 当社は、積水樹脂株式会社(本社 大阪市北区)と積極的な業務協力および人材交流を通じて、それぞれの事業基盤の強化、拡充、発展を図ることを目的として、1997年4月22日付で企業提携基本契約を締結しております。

 企業提携基本契約の内容は、業務提携、人材提携および資本提携であり、契約期間は1997年4月22日から2年間(以後2年毎の自動更新)となっております。なお当該資本提携に関連して、当社は下記のとおり1997年5月14日付で、同社に対して第三者割当増資を実施し、同社は当社のその他の関係会社となりました。

1 発行株式数

 

普通株式

3,100千株

2 発行価額

 

1株につき

475 円

3 発行価額の総額

 

 

1,472,500千円

4 資本組入額の総額

 

 

737,800千円

5 払込期日

 

 

1997年5月13日

 

6【研究開発活動】

 当社グループ(当社および連結子会社)は「美しく豊かな環境づくりに貢献する」を経営理念とし、「環境との共生」および「景観との調和」をキーワードに、常に社会および顧客が求める製品を開発することをモットーに取組んでおります。

 現在、研究開発は、中長期の製品開発戦略に基づいて、当社開発部を中心に推進されており、研究開発における同業種および異業種交流を含め、産官学との連携も積極的に進めております。

 なお、研究開発は各セグメントにまたがっており、当連結会計年度の研究開発費の総額は、156百万円であります。

 

(1)土木資材事業

 道路の安全対策や維持補修分野への対応を主なテーマとして新製品の開発に注力し、以下の成果をみました。

 

 バリアフリー仕様により歩行者に安全な集水スリット構造をもつ道路用側溝を開発いたしました。

 

 橋梁新設工事において、橋台と既設道路との境界部で発生する路面段差を防止するプレキャスト製の鉄筋コンクリート床版を開発いたしました。

 

 再生可能エネルギー発電所建設に伴う自営線工事において、現場の設置状況に柔軟に対応可能で工期短縮やコスト縮減も図れる自営線桝などを開発いたしました。

 

 雨水貯留機能を持たせることで、豪雨による内水氾濫を抑制する多機能型の側溝「アクアゲッター」を用いて、豪雨時の道路浸水や急勾配における貯留メカニズムのシミュレーションを行うなど、水災害の抑止効果の可視化に取り組みました。

 

(2)景観資材事業

 都市の環境改善に向けた各種技術の開発ならびに安全で快適な公共空間を創造する製品開発に注力し、以下の成果をみました。

 

・舗装材

 港湾施設におけるコンテナヤードなどの重荷重エリア向けに、波型形状を多く設けることでインターロッキング効果を高め、荷重伝達率の大幅向上により不陸やわだちの発生を抑制する重車両対応型ブロック「ニューロッキングブロック」を開発いたしました。

 

・ファニチュア

 「防災かまどベンチ」をより簡易に組立可能な仕様にリニューアルいたしました。

 

 車止め「ストロングボラード」に意匠性の高いスリムタイプを追加したほか、3Dデータ活用と3D型枠造形法を用いた斬新な形状のファニチュア製品のラインナップ追加に取組みました。

 

(3)エクステリア事業

 エクステリアの新規市場の開拓を図るため、顧客の様々なライフスタイルに対応した新製品の開発に注力し、以下の成果をみました。

 

 住宅外構の積みブロックやフェンスの基礎として、日本建築学会の基準に準拠し安全性を確保するとともに、シーリング材を使用することで止水壁としても利用可能なコンクリート基礎「SW基礎ハイパー」を開発いたしました。

 

 内部に雨水を貯留することで、平常時はベンチとして、災害時は貯留水を非常用水として利用可能な多機能型ベンチ「レインリューズ」、備蓄品を収納可能な収納ステップ&ベンチを開発いたしました。

 

 立水栓のレトロブリックシリーズに新たなカラーバリエーションを追加するなど、ラインナップを拡充しました。