当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社はプレキャストコンクリート製品の製造・販売を通じて「美しく豊かな環境づくりに貢献する」を経営理念としており、「最高の品質を追究します」「最高のサービスを提供します」「創意と工夫で挑戦します」をモットーに、都市環境、住環境、ならびに自然環境に寄与する優れた独自製品を社会に送り出してまいります。
(2)目標とする経営指標
当社はキャッシュ・フローを重視した経営により財務体質を強化し、収益力や資本効率を向上させることを経営上の重要な責務と考えており、そのためにフリー・キャッシュ・フローの増大を重視しております。
更に収益力の指標としてROA(総資産経常利益率)や資本効率の指標としてROE(自己資本当期純利益率)についても、より一層の改善を目指してまいります。
(3)中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、「サステナビリティ」を中長期的な経営課題の中核に掲げ、ESG(環境・社会・ガバナンス)やSDGs(持続可能な開発目標)の基盤ともいえる「三方よし」の精神をグループ全体に浸透させながら、基本戦略である「収益性向上」「サステナビリティ取組み加速化」「人的資本活性化」に鋭意取組んでまいります。
具体的には、プレキャストコンクリートのメリットをユーザーに訴求しながら地域の需要や特性に応じた提案を推し進めるとともに、当社オリジナルのカスタマイズ技術を駆使した高付加価値の製品・工法の開発と拡販に注力し、シェアおよび収益の拡大を目指してまいります。また、関東地区における販売拡大や、連結子会社の葉月工業株式会社を起点とした法面保護補修事業の拡大ならびに九州地区での当社事業の早期展開を目指してまいります。
サステナビリティへの取組みについては、「脱炭素型製品の開発・生産・販売を始め、再生可能エネルギーの採用やブルーカーボンへの取組み等を推し進めるとともに、ウェルビーイングやBCP(事業継続計画)およびコンプライアンス等の拡充にも注力することで、当社グループの持続可能性も高めながら、サステナブルな社会の実現に貢献してまいります。
また、当社は人的資本の活性化がグループ全体の持続的成長に不可欠であると認識しており、社員一人ひとりの能力開発・成長により生産性向上を促進すべく、女性社員の活躍推進を始め、教育・研修の充実や健康経営への取組み強化、リスキリングの促進等を通じて、成長戦略を具現化してまいります。
以上のような経営戦略を推進することで、持続的な成長と企業価値の向上を図ってまいります。
(4)経営環境
当社グループが主要事業とするプレキャストコンクリート製品の製造・販売について、相次ぐ自然災害や社会資本の老朽化、人手不足などを背景に、国の進める「国土強靭化」を始め、「防災・減災」「流域治水」「安全・安心」「維持・補修」や建設現場での生産性向上が中長期的な課題とされるなかで、現場の省力化や生産性向上に向け、今後もその重要性が増すと見込まれます。一方、持続する原材料価格やエネルギーコストの高騰に起因する工事発注の遅延や需要の減退などが懸念されます。
当社グループは、同業他社の多くが地域や事業を限定し展開するなかで、土木資材事業、景観資材事業、エクステリア事業の3事業を全国展開することで、それぞれの事業の強みを活かした幅広い品揃えと豊富なソリューションにより事業を展開しております。また、役所や建設コンサルタントなどへの提案営業を軸とした特注対応力も強みのひとつと考えております。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、国の進める「国土強靭化」を始め、「防災・減災」、「流域治水」、「維持・補修」などの重点テーマや建設現場の生産性向上へのソリューションとして、プレキャスト化のメリットをユーザーに訴求しながら地域の需要や特性に応じた提案を推し進め、シェアおよび収益の拡大を目指してまいります。また、当社オリジナルのカスタマイズ技術を駆使した高付加価値の製品・工法の開発と拡販に注力するとともに、3次元データ等のデジタル技術を駆使した製品モデルの提案による難易度の高い特注物件への対応力強化や、グリーンインフラ、カーボンニュートラルといったサステナビリティに貢献する素材や製品の開発を通じて、多様化・高度化するユーザーのニーズに的確に応えてまいります。
一方、東日本地区における土木資材製品の一層の拡販を推し進めるとともに、連結子会社化した葉月工業株式会社との連携により九州地区における本格的な事業展開を図るなど、当社グループの持続的成長に向けた地域戦略の推進により、収益の確保に努めてまいります。また、今後も予想されるセメント、骨材や鉄筋などの原材料価格やエネルギーコストの高騰への対策として、生産部門を始めとするあらゆる部門で管理強化と効率化によるコスト低減を図るとともに、販売価格の適正化を推し進めることで、利益の創出を図ってまいります。
当社グループは、上記の事業活動を通じて、より一層の収益性の向上と財務体質の強化を推し進めてまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、「美しく豊かな環境づくりに貢献する」を企業理念に掲げ、企業活動を通じて、さまざまな社会的課題へのソリューションに向けて取り組んでおります。特に、近年重要度の増している気候変動リスクを始めとするサステナビリティについては、経営上の最重要課題として位置づけ、当社事業の中核であるプレキャストコンクリート製品を通じて、サステナブルな社会への貢献に向けたソリューションを推し進め、持続的成長と企業価値の向上を実現すべく取り組んでおります。
また、当社グループは、今後も持続的成長を続け企業価値を向上させていくためには、人材の多様性確保や育成推進、働きやすい環境づくりによる社員一人ひとりの最大限の能力発揮が欠かせないとの認識から、人材育成や働き方改革などを柱とした人財戦略を掲げ、その活性化に注力しております。
(1)ガバナンス
サステナビリティに係る各種課題への取組み強化を図るべく、2023年4月より総務人事部内に「サステナビリティ推進室」を設置、2024年6月より「サステナビリティ推進室」を社長直轄の組織に再編し、事業本部や開発部、生産改善部などの関係部署と連携しながら、当社グループ全体における気候変動リスクを始めとするリスクマネジメント全般、ならびにESG(環境・社会・ガバナンス)やSDGs(持続可能な開発目標)に係る当社グループの課題抽出や優先取組みテーマの選定、具体的なマテリアリティやKPIの策定等を推進しております。
「サステナビリティ推進室」にて策定されたサステナビリティに係る報告・提言は、経営推進会議での検討を経て、取締役会にて審議され、中長期的な経営戦略やリスク管理・評価に反映させる体制としております。
なお、当社グループでは、代表取締役が重点的に取組む年間の経営指針をアクション・キーワードとして掲げ、その実践と浸透に努めておりますが、2024年は「サステナビリティの実践で創るNIKKOの未来」を掲げ、サステナビリティへの取組みを、当社グループの存在理由そのものを左右する最重要な経営課題として位置づけ、具体的な戦略の策定と実践に向けて取組みを進めております。
(2)戦略
当社グループは、事業活動を通じたサステナビリティに係るリスクと機会について識別し、それぞれの経営へのインパクトを評価しながら、リスクの軽減ならびに機会の獲得を経営戦略策定の中核として位置づけ、対策を推進しております。
■識別したリスクと機会
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区分 |
サステナビリティ上の重要なリスク・機会 |
ESG 区分 |
重要度 |
具体的な対策 |
|
リスク |
脱炭素化への対応遅延によるユーザー離れ |
E・S |
高 |
自社素材開発や他社技術導入・共同研究によるセメント代替技術を用いた製品の開発・拡販 |
|
地球温暖化による環境への影響 |
E・G |
中 |
生産設備更新による生産効率向上、太陽光発電システム導入など再生可能エネルギーの利用促進 |
|
|
甚大化・多発化する自然災害による事業活動への影響 |
G |
中 |
BCP・BCMの構築・拡充、定期的訓練の実施 地域社会とのコミュニケーション強化 |
|
|
システム老朽化、セキュリティリスクの発生、業務効率の低下 |
G |
中 |
セキュリティ対策の強化、AIやRPAツールを用いたDX化の推進 |
|
|
建設業・運送業従事者の人手不足・高齢化 |
S |
高 |
プレキャスト製品の提案強化、現場での機械施工技術開発、配送合理化 |
|
|
人材不足による事業活動の停滞 |
S・G |
高 |
働きやすい環境づくり、健康経営推進、ワークライフバランスやダイバーシティの推進 |
|
|
機会 |
国の推進する「i-Construction」による販売機会の増大 |
E・S |
高 |
プレキャストコンクリート製品のメリット訴求、 VE(バリューエンジニアリング)提案推進 BIM/CIMへの対応、ドローン等のICT導入 |
|
国土強靭化、防災・減災等重点課題の推進 |
S |
高 |
流域治水や安全・安心に対応した製品の開発・提案の推進 |
|
|
老朽化の進む社会資本のメンテナンス機会増大 |
S |
中 |
インフラ・マネジメント部門による点検~補修のパッケージ提案 |
|
|
脱炭素型製品への市場評価向上、優先採用 |
E |
高 |
CO2排出量削減型製品の開発・上市・拡販 既存製品への脱炭素化技術展開・標準化 他社脱炭素技術の導入・応用 |
|
|
海洋資源の保全 |
E |
中 |
産学連携による海洋生態系の保全(魚礁など) 藻場育成によるブルーカーボンへの取組み |
|
|
リサイクル材料使用による循環型社会への貢献 |
E・S |
中 |
スラグや廃材等を利用したコンクリート製品の開発 |
また、当社グループにおいては、持続的成長を実現するためには、なによりも人材育成とその能力の最大限の発揮が欠かせないとの認識から、「生産性向上・付加価値創出に向けた人材の「創」・「育」・「実」の実践」を方針に掲げ、下記の「人財戦略」を策定し推進しております。
「創」・・・効果的な採用活動、働き方改革
・当社グループの競争力アップにつながる人材の採用
・定年年齢の引上げによるシニア社員の意識改革・働き方改革推進
「育」・・・人財の活性化
・社員研修、各種プロジェクト立上げ・参画、自己啓発・リスキリング支援等による育成推進
・社員の健康状態の把握や健康増進の取り組み、メンタルヘルスケアや感染症予防対策の推進等、健康経営の実践
・ワークライフバランスやダイバーシティの推進、ハラスメント防止等による働きやすい環境の創出
※当社は、2019年8月に「子育てサポート企業」として厚生労働省より「くるみん認定」を受けております。
「実」・・・評価・インセンティブ
・成果やプロセスを公正に評価する新しい人事考課システムの構築
・モチベーションアップにつながるインセンティブ制度の充実
(3)リスク管理
サステナビリティに係るリスク管理については、「サステナビリティ推進室」にて、社内の各部門ならびに連結子会社と連携しながら現状調査に基づきリスクを識別し、識別されたリスクの評価に基づいた取組方針やマテリアリティ、KPIを策定のうえ、経営推進会議での検討を経て、取締役会に報告し、その審議を経てリスク管理に係る事項を決定し推進する体制をとっております。取締役会は、サステナビリティに係る対応策や目標およびその進捗について、「サステナビリティ推進室」により報告を受け、監督ならびに必要に応じて指示を行います。
(4)指標及び目標
当社グループにおけるサステナビリティへの取組みのうち、気候変動に関するリスクと機会に係る課題に向けて、主にCO2を始めとする温室効果ガスの排出量削減について取組みを推進中です。提出会社においては、2023年6月に會澤高圧コンクリート株式会社(北海道苫小牧市、代表取締役 會澤祥弘)の提唱するセメント・コンクリート産業の脱炭素化に向けた取組みを加速するプログラム「aNET ZEROイニシアティブ協定」を締結し、2040年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロ(カーボンニュートラル)とする目標を掲げ、目標達成に向けたロードマップに基づき取組みを進めております。
■カーボンニュートラル実現に向けた目標
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2013年度 |
2030年 |
2040年 |
|
CO2排出量削減目標 (Scope1~3) |
ベンチマーク排出量 ・Scope1,2: ・Scope3: 排出量計 |
2013年度比46%削減 |
カーボンニュートラル実現 |
■目標達成に向けた取組み
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区分 |
取組内容 |
具体的な成果 |
|
Scope1、2削減への取組み |
・生産設備の更新(省エネ・生産効率向上) ・再生可能エネルギーの導入 |
太陽光発電設備の導入(志度工場、2024年3月竣工)など。 |
|
Scope3削減への取組み |
・低炭素型コンクリートの開発・展開 セメントレスもしくはセメント使用量抑制によるCO2排出量の低減 ・長寿命化コンクリートの開発・展開 製品ライフサイクル長期化による実質CO2排出量の抑制 ・他社技術の導入・製品化 |
一般コンクリート比で50%以上のCO2排出量を抑制する低炭素型コンクリート「Necoコンクリート®」の開発(2024年6月より製造・販売)、など。 |
|
カーボンネガティブ への取組み |
・ブルーカーボンに向けた製品開発・展開 ・CO2吸着技術の開発 など |
産学共同による研究・開発推進中。 |
人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績は下記のとおりであります。なお、当社グループでは、上記「(2)戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針については、連結グループ全体で具体的な取組みが行われているものの、連結子会社において、過去に遡及して関連する指標のデータを取得することが困難なため、連結グループとしての記載が困難であります。このため、次の指標に関する目標及び実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。
①女性従業員の活躍フィールド拡大の促進
当社は、幅広い職種・フィールドでの女性従業員の活躍を促進しており、事務系以外の職種に従事する女性従業員数の推移および目標は次のとおりであります。
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|
2019年度 |
2020年 |
2021年度 |
2022年度 |
2023年度 |
(目標) |
|
|
6 |
8 |
7 |
9 |
|
|
|
|
5 |
5 |
6 |
6 |
|
|
|
|
- |
2 |
2 |
3 |
|
|
|
|
4 |
4 |
3 |
3 |
|
|
|
|
- |
- |
2 |
2 |
|
|
|
合計 |
15 |
19 |
20 |
23 |
28 |
38 |
②有給休暇取得の促進
当社は働き方改革の一環として有給休暇の取得を推奨しており、その取得率の推移および目標は次のとおりであります。
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|
2019年度 |
2020年 |
2021年度 |
2022年度 |
2023年度 |
(目標) |
|
|
61.7% |
59.0% |
60.1% |
69.6% |
|
|
|
厚生労働省調査 |
56.3% |
56.6% |
58.3% |
62.1% |
- |
- |
③男性従業員の育児休暇取得の促進
当社は多様な働き方促進や働きやすい環境づくりの一環として男性従業員の育児休暇取得を促進しており、2023年度における取得率は44.4%でした。2025年度には50%超の取得率達成を目標としております。
なお、女性や中途採用者の経営職や管理職等への登用については、女性や中途採用者等の区別なく、あくまでも実績および見識・スキル等に基づく総合的観点から検討・実施すべきとの観点から、多様性の確保についての測定可能な指標や目標は定めておりません。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)目下、顕在化しているリスク
原材料価格やエネルギーコスト、配送コストの想定外の高騰
当社グループの製品の主要原材料は砂・砂利、セメントや鋼材などであり、製造工程においてボイラー用途に重油を使用しております。また、施工現場までの製品供給は、重量物が主体であるため、運送会社に手配の上、大型車両による配送を行っております。これら原材料価格やエネルギーコスト、配送コストが想定以上に上昇した場合、当社グループの利益を始めとする経営成績や財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、原材料等の価格高騰の業績への影響を抑制すべく、生産部門を始めあらゆる部門での管理強化と効率性の向上に努めるとともに、販売価格の適正化を推し進めております。また、当社製品の配送手配を担当する株式会社サンキャリーを中心に、配送効率の向上に努めております。
(2)過去に顕在化したことがあり、将来においても発生の可能性のあるリスク
①公共投資の動向
当社グループの土木資材事業ならびに景観資材事業は、それぞれ売上の大部分を公共事業に供する製品の販売により獲得していることから、公共事業において発注減少や進捗遅延が発生する場合は、当社グループの売上を始めとする経営成績や財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、公共事業の動向による影響を軽減すべく、民間商業施設や学校法人などの民間需要の開拓、受注獲得に注力しております。また、公共工事においても、「防災・減災」や「維持・補修」などの重点テーマに対応した製品・工法の提案や新製品・新工法の開発により、受注の獲得を進めております。
②気候変動等に伴う大規模自然災害
当社グループは、全国に営業拠点を構えており、生産拠点も西日本を中心に設置しております。今後、地震や台風災害などの自然災害が発生した場合は、災害の影響の程度や範囲により、当社の営業活動や生産活動が正常に行えないことが想定され、当社グループの売上を始めとする経営成績や財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、全社的なBCP(事業継続計画)の構築・運用を通じて、まずは従業員及びその家族の人命を第一とした支援活動を行うとともに、地域の同業他社とも連携しながら、被災を免れた生産拠点での代替生産・配送などを進め、継続的な事業活動を通じたインフラの復旧活動を推進いたします。
③感染症の感染拡大による影響
新型コロナウイルス感染症のような感染症が拡大した場合、当社グループにおいては、民間の建築外構工事における縮減などに伴い、当社製品の売上減少を余儀なくされ、売上を始めとする経営成績や財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、緊急対策本部を組織し、テレワークや時差出勤の推進、集合形式の会議や研修、出張等の自粛などの安全対策の全社的な実施により、顧客とのコミュニケーションを維持しつつ感染防止に努めます。
(3)過去に顕在化していないが、将来において発生の可能性のあるリスク
①知的財産権
当社グループは、開発された技術・製品を保護するために特許などの知的財産権の確立を進めるほか、製品の製造・販売に先立ち第三者が保有する知的財産権を十分調査し、権利を侵害しないよう努めております。しかし、予期しない事情により当社グループと第三者との間で知的財産権に関する紛争が発生し、当社グループに不利な判断がなされた場合には、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
②製造物責任
当社グループは、製品の開発や生産にあたっては安全性・品質に十分に配慮しておりますが、製品の予期しない欠陥によって製品の回収や損害賠償につながる可能性があります。保険に加入し賠償に備えているものの、保険による填補ができない事態が発生した場合には、当社グループの経営成績および財政状態のみならず、社会的評価にも影響を及ぼす可能性があります。
③産業事故災害
当社グループは、事業活動全般において無事故、無災害に努めておりますが、当社グループの工場において、万が一産業事故災害が発生した場合、自社の保有資産に対しては保険に加入し備えているものの、社会的信用の失墜、生産活動の停止による機会損失などにより、当社グループの経営成績および財政状態のみならず、社会的評価にも影響を及ぼす可能性があります。
④人材確保
当社グループは、安定的な事業運営を行うべく、計画的な人材の確保に努めておりますが、当社グループの想定する人員体制を必要な時期に確保できない場合は、当社グループの事業活動に支障をきたすこととなり、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤情報セキュリティ
当社グループは、基幹業務システムを構築の上、各事業拠点を情報ネットワークで接続し事業活動を行っており、セキュリティ対策や社員教育を実施しているものの、サイバー攻撃などによる情報漏洩やネットワーク障害などによる業務の遅延・停滞などの発生により、当社グループの事業活動に支障をきたすこととなり、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況
当連結会計年度における当社グループ(当社および連結子会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による影響が緩和され、社会・経済活動の正常化が進んだものの、不安定な国際情勢や円安を背景に、原材料価格やエネルギーコストの高騰の影響が残るなど、先行きは不透明な状況で推移いたしました。
当社グループ(当社および子会社)の需要先である建設業界では、公共事業については、「国土強靭化」や「防災・減災」などの重点施策に予算が配分され、コスト高騰に対する価格転嫁も進んだことなどから好調に推移しました。一方、民間建設投資については、住宅市場における2023年の新設住宅着工戸数が3年ぶりに減少したものの、堅調な企業の設備投資意欲などを背景に底堅く推移しました。
このような状況のもと、当社グループは、販売部門においては、現場の省力化や生産性向上のためのプレキャスト化を訴求すべく、役所や建設コンサルタントに向けた提案営業や新規顧客開拓を鋭意推進し、受注獲得に努めてまいりました。また、開発・設計部門の支援による3次元データ等のデジタル技術を駆使しながら、高付加価値製品の拡販や難易度の高い特注物件の受注にも注力いたしました。加えて、原材料価格やエネルギーコストの高騰に対処すべく、販売価格の適正化にも取り組んでまいりました。
一方、生産部門においても、原材料価格やエネルギーコストの高騰の影響を抑制すべく、生産性の向上をより一層推進し、協力会社との連携も強化しながらさらなる原価の低減を推し進めるなど、グループ一丸となって収益の向上に努めてまいりました。
また、地域戦略として、東日本地区における土木資材製品の拡販によるシェア獲得に努めるとともに、連結子会社の葉月工業株式会社(鹿児島県鹿児島市)との連携により、九州地区における本格的な事業展開に向け検討を進めてまいりました。加えて、優れた耐久性・安全性に加え、既存の工法にない排水機能をもつ補強土擁壁工法「スリットウォール工法」を事業譲受し、山間部や宅地造成等の法面や盛土の安全・安心確保に向けた提案工法として全国展開すべく対応を進めてまいりました。さらには、脱炭素化についても重要な経営課題と位置づけ、2023年4月に新設の「サステナビリティ推進室」を中心とした取組みを加速化すべく、カーボンニュートラルに向けた低炭素型素材・製品の開発や再生可能エネルギーの導入など、具体的な施策を推し進めてまいりました。
当連結会計年度の経営成績は、土木資材事業が大型物件工事の進捗により好調に推移するとともに、葉月工業株式会社の業績を連結の範囲に含めたことで、売上高は136億73百万円(前年比20.6%増)となりました。
利益面については、増収や高付加価値製品の拡販効果に加え、販売価格の適正化の進捗などにより、営業利益は4億14百万円(前年比47.6%増)、経常利益は4億64百万円(前年比43.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2億95百万円(前年比48.6%増)となりました。
セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。
土木資材事業
国や地方の推進する「国土強靭化」や「防災・減災」、「流域治水」などの重点施策への対策を強化するとともに、建設現場における生産性向上や工期短縮化に向けたプレキャスト化への提案を強力に推し進めた結果、主力のボックスカルバートを始め、側溝などの道路用製品が堅調に推移したほか、関西地区において、港湾施設のメンテナンスに向けた高耐久性の走行路版および港湾関連製品や、高速道路の橋脚に用いられる高耐久性埋設型枠「SEEDフォーム」などが売上を伸ばし、加えて、葉月工業株式会社の業績を連結の範囲に含めたことで、当セグメントの連結売上高は96億17百万円(前年比31.7%増)、営業利益は4億21百万円(前年比105.2%増)となりました。
景観資材事業
駅前や公園・商業施設の整備・再開発事業に係る大型物件の受注に向けて、豊富な製品ラインナップと当社オリジナルの特注対応力を活かした提案営業を推進し受注獲得に努めたことで、主力のバリアフリーペイブや透水タイプの舗装材はやや伸び悩んだものの、特注ベンチを始めとする高付加価値の擬石ファニチュア製品などが売上を伸ばした結果、当セグメントの連結売上高は30億87百万円(前年比3.8%増)、営業損失は36百万円(前年は47百万円の利益)となりました。
エクステリア事業
水まわり製品を中心に新製品の投入や品揃えの強化によりラインナップの拡充を図り、エクステリア製品の販売を担当する連結子会社のニッコーエクステリア株式会社において、ハウスメーカーを中心に提案営業を推し進め拡販に取り組んだものの、主力の立水栓を始めとするガーデン関連製品が伸び悩み、その他の製品も振るわなかったことで、当セグメントの連結売上高は9億68百万円(前年比8.8%減)、営業利益は29百万円(前年比8.3%増)となりました。
なお、当連結会計年度における財政状態は、次のとおりであります。
(a)流動資産
当連結会計年度末における流動資産の残高は、81億85百万円(前連結会計年度末は81億83百万円)となり、1百万円増加いたしました。
(b)固定資産
当連結会計年度末における固定資産の残高は、74億33百万円(前連結会計年度末は70億23百万円)となり、4億9百万円増加いたしました。増加の主なものは、有形固定資産の増加(前期比2億50百万円増)などによるものであります。
(c)流動負債
当連結会計年度末における流動負債の残高は、66億42百万円(前連結会計年度末は62億89百万円)となり、3億53百万円増加いたしました。増加の主なものは、電子記録債務の増加(前期比2億77百万円増)などによるものであります。
(d)固定負債
当連結会計年度末における固定負債の残高は、13億15百万円(前連結会計年度末は14億33百万円)となり、1億17百万円減少いたしました。減少の主なものは、長期借入金の減少(前期比2億30百万円減)などによるものであります。
(e)純資産
当連結会計年度末における純資産の残高は、76億60百万円(前連結会計年度末は74億84百万円)となり、1億76百万円増加いたしました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ11百万円(0.8%)増加し、14億54百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
税金等調整前当期純利益4億63百万円、仕入債務の増加額2億34百万円などにより、当連結会計年度において営業活動によって得たキャッシュ・フローは、前年と比較し10億30百万円増加し、12億55百万円となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動に使用したキャッシュ・フローは、前年度に連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出があったことで、前年と比較して3億8百万円減少し、4億26百万円となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動に使用したキャッシュ・フローは、長期借入金の返済などにより、前年と比較して13億98百万円増加し、8億16百万円となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
(a)生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
土木資材事業(千円) |
3,363,698 |
114.55 |
|
景観資材事業(千円) |
1,413,276 |
101.47 |
|
エクステリア事業(千円) |
285,622 |
86.01 |
|
合計(千円) |
5,062,597 |
108.61 |
(注)金額は、製造原価によっております。
(b)商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
土木資材事業(千円) |
2,761,541 |
110.67 |
|
景観資材事業(千円) |
661,369 |
115.29 |
|
エクステリア事業(千円) |
347,057 |
81.27 |
|
合計(千円) |
3,769,968 |
105.26 |
(注)1 金額は、仕入価格によっております。
2 上記に対応する商品売上実績は、4,182,000千円であります。
(c)受注実績
当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
(d)販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前年同期比(%) |
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土木資材事業(千円) |
9,617,364 |
131.73 |
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景観資材事業(千円) |
3,087,261 |
103.85 |
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エクステリア事業(千円) |
968,556 |
91.17 |
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合計(千円) |
13,673,182 |
120.62 |
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
また、当連結会計年度の販売実績の契約形態の別内訳は、次のとおりであります。
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内 訳 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
構成比(%) |
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製品売上(千円) |
7,573,402 |
55.39 |
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商品売上(千円) |
4,182,000 |
30.58 |
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工事売上(千円) |
1,917,779 |
14.03 |
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合計(千円) |
13,673,182 |
100.00 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり当社が採用している会計方針等につきましては、第5[経理の状況]1[連結財務諸表等]の[注記事項]4.会計方針に関する事項ならびに(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
連結財務諸表の作成に当たっては、会計上の見積りを行う必要があり、貸倒引当金や賞与引当金、役員賞与引当金の計上、固定資産の減損に係る回収可能価額の算定、繰延税金資産の回収可能性の判断等につきましては、過去の実績や状況に応じ合理的であると考えられるさまざまな要因に基づき、継続して評価を行い、資産や負債、収益・費用の数値に反映しております。なお、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は異なる可能性があります。
当社グループは、今後も入手可能な情報を基に見積りに係る検証・評価を行い、適切に連結財務諸表に反映させてまいります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(a)当社グループの当連結会計年度の経営成績等
当社グループの当連結会計年度の経営成績等については、(1)経営成績等の状況 ①財政状態及び経営成績の状況に記載のとおりであります。
(b)当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの連結売上高の大半を占める土木資材事業および景観資材事業において、主に公共事業に供される製品の販売を行っていることから、公共事業の発注減少や進捗遅延により当社グループの経営成績および財政状態が大きな影響を受ける可能性があります。
また、原材料価格やエネルギーコスト、輸送コストの想定外の高騰により、その影響を生産効率化やコスト削減、販売価格への転嫁などの諸対策でカバーできない場合、当社グループの経営成績および財政状態が大きな影響を受ける可能性があります。
(c)当社グループの資本の財源および資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、工場における原材料仕入などの製造費用ならびに販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、主に、事業拡大に向けたM&Aや既存生産設備の更新、土木資材事業に係る型枠製作、製品開発投資などによるものであります。
当社グループは、短期運転資金については自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、自己資金及び金融機関からの長期借入を基本としております。
なお、当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
(d)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、現在、中長期的な経営計画等に係る具体的な目標数値は定めておりませんが、財務体質の強化のためのフリー・キャッシュ・フローの増大を重視しているとともに、収益力の指標としてROA(総資産経常利益率)や資本効率の指標としてROE(自己資本当期純利益率)の一層の改善を目指しております。
当連結会計年度に獲得したフリー・キャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ13億39百万円増加し、8億28百万円となりました。これは主に、営業活動によって得たキャッシュ・フローが前年に比べ10億30百万円増加したことなどによるものであります。
また、当連結会計年度のROAは3.0%(前年同期比0.8ポイントの改善)、ROEは3.9%(前年同期比1.2ポイントの改善)となりました。ROAおよびROEの改善の要因は、主に土木資材事業の増収や高付加価値製品の拡販効果に加え、販売価格の適正化の進捗などによるものであります。
(e)経営成績等の状況に関する分析を踏まえた検討内容
当社グループは、「サステナビリティ」を経営課題の中核に掲げ、ESG(環境・社会・ガバナンス)やSDGs(持続可能な開発目標)の基盤ともいえる「三方よし」の精神をグループ全体に浸透させながら、基本戦略である「収益性向上」「サステナビリティ取組み加速化」「人的資本活性化」に鋭意取組んでまいります。
具体的には、国の進める「国土強靭化」を始め、「防災・減災」「流域治水」「維持・補修」などの重点テーマや建設現場の生産性向上へのソリューションとして、プレキャスト化のメリットをユーザーに訴求しながら地域の需要や特性に応じた提案を推し進めるとともに、当社オリジナルのカスタマイズ技術を駆使した高付加価値の製品・工法の開発と拡販に注力し、シェアおよび収益の拡大を目指してまいります。また、需要ボリュームの大きい関東地区における販売拡大や、連結子会社の葉月工業株式会社を起点とした法面保護補修事業の拡大ならびに九州地区での当社事業の早期展開を目指してまいります。加えて、今後も予想される原材料価格やエネルギーコストの高騰への対策として、生産部門を始めとするあらゆる部門で管理強化と効率化によるコスト低減を図るとともに、販売価格の適正化も推し進めることで、利益の創出を図ってまいります。
サステナビリティへの取組みについては、「サステナビリティ推進室」が中心となり、脱炭素型製品の開発・生産・販売を始め、再生可能エネルギーの採用やブルーカーボンへの取組み等を推し進め、2040年までのカーボンニュートラル実現を目指すとともに、ウェルビーイングやBCP(事業継続計画)およびコンプライアンス等の拡充にも注力することで、当社グループの持続可能性も高めながら、サステナブルな社会の実現に貢献してまいります。
また、当社は人的資本の活性化がグループ全体の持続的成長に不可欠であると認識しており、社員一人ひとりの能力開発・成長により生産性向上を促進すべく、女性社員の活躍推進を始め、教育・研修の充実や健康経営への取組み強化、リスキリングの促進等を通じて、成長戦略を具現化してまいります。
一方、東京証券取引所より要請の「資本コストと株価を意識した経営の実現に向けた対応」についても重要な経営課題のひとつと位置づけ、現在策定中の中長期経営計画における成長戦略に基づき持続的に収益性を高めていくとともに、株主還元の充実ならびにステークホルダーとの対話を一層拡充することで、ROE(自己資本利益率)およびPBR(株価純資産倍率)の向上に努めてまいります。また、企業提携基本契約を締結中の積水樹脂株式会社との関係も、経営の独立性は維持しつつも、お互いの事業上の強みを活かしながらパートナーシップの強化を図り、企業グループ全体の成長に寄与してまいります。
以上のような施策を当社グループが一丸となって取組むことで、中長期的な企業価値向上と持続的成長を図りながら、経営理念である「美しく豊かな環境づくり」の実現に向けて鋭意挑戦してまいります。
積水樹脂株式会社との企業提携基本契約について
当社は、積水樹脂株式会社(本社 大阪市北区)と積極的な業務協力および人材交流を通じて、それぞれの事業基盤の強化、拡充、発展を図ることを目的として、1997年4月22日付で企業提携基本契約を締結しております。
企業提携基本契約の内容は、業務提携、人材提携および資本提携であり、契約期間は1997年4月22日から2年間(以後2年毎の自動更新)となっております。なお当該資本提携に関連して、当社は下記のとおり1997年5月14日付で、同社に対して第三者割当増資を実施し、同社は当社のその他の関係会社となりました。
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1 発行株式数 |
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普通株式 |
3,100千株 |
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2 発行価額 |
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1株につき |
475 円 |
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3 発行価額の総額 |
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1,472,500千円 |
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4 資本組入額の総額 |
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737,800千円 |
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5 払込期日 |
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1997年5月13日 |
当社グループ(当社および連結子会社)は「美しく豊かな環境づくりに貢献する」を経営理念とし、「環境との共生」および「景観との調和」をキーワードに、常に社会および顧客が求める製品を開発することをモットーに取組んでおります。
現在、研究開発は、中長期の製品開発戦略に基づいて、当社開発部を中心に推進されており、研究開発における同業種および異業種交流を含め、産官学との連携も積極的に進めております。
なお、研究開発は各セグメントにまたがっており、当連結会計年度の研究開発費の総額は、
(1)土木資材事業
道路の安全対策や維持補修分野への対応を主なテーマとして新製品の開発に注力し、以下の成果をみました。
港湾事業向けとして、荷役車両などの重荷重に対応でき、現場打ちと比較して急速施工が可能でメンテナンス性にも優れるプレキャスト型のコンテナマットを開発いたしました。
フェンス支柱孔を設け、天端部の斜め加工によりあらゆる縦断勾配への対応が可能な軽重量のL型擁壁「フェンセルウォール」を開発いたしました。
セメント使用量を抑制し産業副産物である高炉スラグ微粉末に置換することで、通常コンクリートと同等の性能を維持しつつCO2排出量を半減可能な環境配慮型コンクリート「Necoコンクリート」を開発し、当社の既存製品への展開を推し進めました。
(2)景観資材事業
都市の環境改善に向けた各種技術の開発ならびに安全で快適な公共空間を創造する製品開発に注力し、以下の成果をみました。
・舗装材
視覚障がい者誘導用ブロックの両側面に配置することで、誘導用ブロックとの輝度比を長期にわたり保ち、かつ景観にも優しい「カラーサポートブロック」を開発いたしました。
景観性を重視したデザインペイブに、幅広い施工パターンが可能な長尺タイプをアイテム追加いたしました。
・ファニチュア
デジタル技術を製品設計や型枠製作に援用した擬石ファニチュアやグラフィックコンクリート等の特注物件対応に鋭意取組み、ラインナップの拡充を図りました。
(3)エクステリア事業
エクステリアの新規市場の開拓を図るため、顧客の様々なライフスタイルに対応した新製品の開発に注力し、以下の成果をみました。
カーボンニュートラルやヒートアイランド現象緩和に向けた取組の一環として、CO2の吸収・固定化に優れた苔(スナゴケ)を用いた緑化ボードを開発いたしました。
立水栓の排水口として設置されるフラットパンについて、本体内部に着脱可能な人工芝を配することで、周囲の人工芝とコーディネート可能なアイテムを追加いたしました。