第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

 当社はプレキャストコンクリート製品の製造・販売を通じて「美しく豊かな環境づくりに貢献する」を経営理念としており、「最高の品質を追究します」「最高のサービスを提供します」「創意と工夫で挑戦します」をモットーに、都市環境、住環境、ならびに自然環境に寄与する優れた独自製品を社会に送り出してまいります。

 

(2)目標とする経営指標

 当社グループは、「Nikko Revolution Towards 2033」にて定めましたとおり、株価・資本コストを意識した経営を早期に実現すべく、ROE(自己資本利益率)ならびにPBR(株価純資産倍率)の向上に注力してまいります。

 また、株主還元にも注力し、成長投資や財務の健全性は維持しつつも目標配当性向35%、目標総還元性向50%を設定し、安定的かつ継続的な配当を図ってまいります。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

 当社グループは、「グループ成長戦略」、「サステナビリティ取組強化戦略」、「人的資本活性化戦略」、そしてこれらの戦略を推し進めるための「経営基盤強化戦略」の4つを基本戦略とした中期経営計画「Nikko Revolution Towards 2033」を2025年4月に発表いたしました。

 具体的には、プレキャストコンクリートのメリットをユーザーに訴求しながら地域の需要や特性に応じた提案を推し進めるとともに、当社オリジナルのカスタマイズ技術を駆使した高付加価値の製品・工法の開発と拡販に注力し、シェアおよび収益の拡大を目指してまいります。また、関東地区における販売拡大や、連結子会社の葉月工業株式会社を起点とした九州地区での事業展開など、エリア戦略を着実に遂行しながら成長戦略を強力に推し進めてまいります。

 サステナビリティへの取組みについては、「サステナビリティ推進委員会」を中心にESG経営の実現に向けた取り組みを加速化し、特にE(環境)については、脱炭素製品の開発・生産・販売を始め、再生可能エネルギーの採用やブルーカーボンへの取組み等を推し進め、2040年までのカーボンニュートラル実現に向けて鋭意取組んでまいります。

 また、当社は人的資本の活性化がグループ全体の持続的成長に不可欠であると認識しており、社員一人ひとりの成長を組織の成長と結びつけることでエンゲージメントの向上を推し進めるべく、教育・研修の充実や健康経営への取組み強化等を通じて、グループ全体のウェルビーイングの実現を目指してまいります。

 一方、東京証券取引所より要請の「資本コストと株価を意識した経営の実現に向けた対応」についても重要な経営課題のひとつと位置づけ、資本政策の基本方針に基づき株主還元の充実を進める一方、IRの拡充とガバナンス強化を図ることで、ROE(自己資本利益率)およびPBR(株価純資産倍率)の向上に努めてまいります。

 以上のような施策を推し進めることで、中期経営計画の基本方針である「美しく豊かな環境づくりを通じてサステナビリティ実現に貢献する日本興業グループ」の実現に挑戦してまいります。

 

(4)経営環境

 当社グループが主要事業とするプレキャストコンクリート製品の製造・販売について、相次ぐ自然災害や社会資本の老朽化、人手不足などを背景に、国の進める「国土強靭化」を始め、「防災・減災」「流域治水」「安全・安心」「維持・補修」や建設現場での生産性向上が中長期的な課題とされるなかで、現場の省力化や生産性向上に向け、今後もその重要性が増すと見込まれます。一方、持続する原材料価格やエネルギーコストの高騰に起因する工事発注の遅延や需要の減退などが懸念されます。

 当社グループは、同業他社の多くが地域や事業を限定し展開するなかで、土木資材事業、景観資材事業、エクステリア事業の3事業を全国展開することで、それぞれの事業の強みを活かした幅広い品揃えと豊富なソリューションにより事業を展開しております。また、役所や建設コンサルタントなどへの提案営業を軸とした特注対応力も強みのひとつと考えております。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループは、国の進める「国土強靭化」を始め、「防災・減災」、「流域治水」、「維持・補修」などの重点テーマや建設現場の生産性向上へのソリューションとして、プレキャスト化のメリットをユーザーに訴求しながら地域の需要や特性に応じた提案を推し進め、シェアおよび収益の拡大を目指してまいります。また、当社オリジナルのカスタマイズ技術を駆使した高付加価値の製品・工法の開発と拡販に注力するとともに、3次元データ等のデジタル技術を駆使した製品モデルの提案による難易度の高い特注物件への対応力強化や、グリーンインフラ、カーボンニュートラルといったサステナビリティに貢献する素材や製品の開発を通じて、多様化・高度化するユーザーのニーズに的確に応えてまいります。

 さらに、東日本地区における土木資材製品の一層の拡販を推し進めるとともに、連結子会社化した葉月工業株式会社との連携により九州地区における本格的な事業展開を図るなど、当社グループの持続的成長に向けた地域戦略の推進により、収益の確保に努めてまいります。

 一方、今後も予想されるセメント、骨材や鉄筋などの原材料価格やエネルギーコストの高騰への対策として、生産部門を始めとするあらゆる部門で管理強化と効率化によるコスト低減を図るとともに、販売価格の適正化を推し進めることで、利益の創出を図ってまいります。また、老朽化した生産設備による問題を防ぐため、生産状況をふまえながら適切かつ計画的に設備更新を実施してまいります。

 当社グループは、上記の事業活動を通じて、より一層の収益性の向上と財務体質の強化を推し進めてまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 当社グループは、「美しく豊かな環境づくりに貢献する」を企業理念に掲げ、企業活動を通じて、さまざまな社会的課題へのソリューションに向けて取り組んでおります。特に、近年重要度の増している気候変動リスクを始めとするサステナビリティについては、経営上の最重要課題として位置づけ、当社事業の中核であるプレキャストコンクリート製品を通じて、サステナブルな社会への貢献に向けたソリューションを推し進め、持続的成長と企業価値の向上を実現すべく取り組んでおります。

 また、当社グループは、今後も持続的成長を続け企業価値を向上させていくためには、人材の多様性確保や育成推進、働きやすい環境づくりによる社員一人ひとりの最大限の能力発揮が欠かせないとの認識から、人材育成や働き方改革などを柱とした人財戦略を掲げ、その活性化に注力しております。

 

(1)ガバナンス

 サステナビリティに係る各種課題への取組み強化を図るべく、2023年4月より総務人事部内に「サステナビリティ推進室」を設置、2024年6月より「サステナビリティ推進室」を社長直轄の組織に再編し、事業本部や開発部、生産改善部などの関係部署と連携しながら、当社グループ全体における気候変動リスクを始めとするリスクマネジメント全般、ならびにESG(環境・社会・ガバナンス)やSDGs(持続可能な開発目標)に係る当社グループの課題抽出や優先取組みテーマの選定、具体的なマテリアリティやKPIの策定等を推進しております。

 2024年9月には組織横断的に選出されたメンバーによる「サステナビリティ推進委員会」を「サステナビリティ推進室」を主幹として発足し、原則2か月に1回開催することにより、サステナビリティの取組みの進捗を確認しております。また、サステナビリティはESG経営であるという観点から、同委員会内で「E(環境)」、「S(社会)、「G(ガバナンス)」の3つの分科会を定期的に開催しており、多角的かつ具体的な意見を抽出し、同委員会内で共有しております。

 「サステナビリティ推進委員会」にて策定されたサステナビリティに係る提言は、政策推進会議での検討を経て、取締役会に報告され、審議されます。また、取締役会は同委員会の活動状況を監督するとともに、状況に応じた適切な指示を行う役割を担っております。

 

(2)戦略

 当社グループは、事業活動を通じたサステナビリティに係るリスクと機会について識別し、それぞれの経営へのインパクトを評価しながら、リスクの軽減ならびに機会の獲得を経営戦略策定の中核として位置づけ、対策を推進しております。

 

■識別したリスクと機会

 

区分

サステナビリティ上の重要なリスク・機会

ESG

区分

重要度

具体的な対策

リスク

脱炭素化への対応遅延によるユーザー離れ

E・S

自社素材開発や他社技術導入・共同研究によるセメント代替技術を用いた製品の開発・拡販

建設業・運送業従事者の人手不足・高齢化による施工遅延

プレキャスト製品の提案強化、現場での機械施工技術開発、配送合理化

人材不足による事業活動の停滞

S・G

働きやすい環境づくり、健康経営推進、ワークライフバランスやダイバーシティの推進

温室効果ガスの排出抑制対策の遅れによる社会的評価の低下

E・G

生産設備更新による生産効率向上、太陽光発電システム導入など再生可能エネルギーの利用促進

甚大化・多発化する自然災害による事業活動の停止

BCP・BCMの構築・拡充、定期的訓練の実施

地域社会とのコミュニケーション強化

システム老朽化、セキュリティリスクの発生、業務効率の低下

セキュリティ対策の強化、AIやRPAツールを用いたDX化の推進

機会

国の推進する「i-Construction」による販売機会の増大

E・S

プレキャストコンクリート製品のメリット訴求、

VE(バリューエンジニアリング)提案推進

BIM/CIMへの対応、ドローン等のICT導入

国土強靭化、防災・減災等重点課題の推進

流域治水や安全・安心に対応した製品の開発・提案の推進

脱炭素型製品への市場評価向上、優先採用

CO排出量削減型製品の開発・上市・拡販

既存製品への脱炭素化技術展開・標準化

他社脱炭素技術の導入・応用

老朽化の進む社会資本のメンテナンス機会増大

インフラ・マネジメント部門による点検~補修のパッケージ提案

海洋資源の保全

産学連携による海洋生態系の保全(魚礁など)

藻場育成によるブルーカーボンへの取組み

リサイクル材料使用による循環型社会への貢献

E・S

スラグや廃材等を利用したコンクリート製品の開発

 

(3)リスク管理

 サステナビリティに係るリスクおよび機会の管理については、「サステナビリティ推進室」と「サステナビリティ推進委員会」が連携しながら現状調査に基づきリスクを識別し、識別されたリスクおよび機会の評価に基づいた取組方針やマテリアリティ、KPIを策定のうえ、経営推進会議での検討を経て取締役会に報告し、その審議を経てリスク管理に係る事項を決定し推進する体制をとっております。また、より具体的な対応策については「サステナビリティ推進委員会」の各分科会にてテーマに応じたリスクの抽出や方針の検討を行い、同委員会で取りまとめの上、取締役会に報告しております。取締役会は同委員会の報告を受け、監督ならびに必要に応じて指示を行います。

 

(4)指標及び目標

 当社グループにおけるサステナビリティへの取組みのうち、気候変動に関するリスクと機会に係る課題に向けて、主にCOを始めとする温室効果ガスの排出量削減について取組みを推進中です。当社においては、2023年6月に會澤高圧コンクリート株式会社(北海道苫小牧市、代表取締役 會澤祥弘)の提唱するセメント・コンクリート産業の脱炭素化に向けた取組みを加速するプログラム「aNET ZEROイニシアティブ協定」を締結し、2040年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロ(カーボンニュートラル)とする目標を掲げ、目標達成に向けたロードマップに基づき取組みを進めております。

 

 ■カーボンニュートラル実現に向けた目標(提出会社)

 

実績

目標

2013年度

2022年度

2030年

2040年

CO排出量

削減目標

(Scope1~3)

ベンチマーク排出量

・Scope1,2:   5,096t-CO2

・Scope3:    75,169t-CO2

   排出量計 80,265t-CO2

排出量

・Scope1,2:   5,170t-CO2

・Scope3:    64,543t-CO2

   排出量計 69,713t-CO2

2013年度比

46%削減

カーボン

ニュートラル

実現

 

 ■目標達成に向けた取組み

区分

取組内容

具体的な成果

Scope1、2削減への取組み

・生産設備の更新(省エネ・生産効率向上)

・再生可能エネルギーの導入

・生産設備更新

・LED照明導入

Scope3削減への取組み

・低炭素型コンクリートの開発・展開

セメントレスもしくはセメント使用量抑制によるCO2排出量の低減

・長寿命化コンクリートの開発・展開

製品ライフサイクル長期化による実質CO排出量の抑制

・他社技術の導入・製品化

・低炭素型コンクリート「Necoコンクリート®」の既存製品への展開進捗

・大手ゼネコン等とのカーボンネガティブコンクリート研究開発

カーボンネガティブ

への取組み

・ブルーカーボンに向けた製品開発・展開

・CO吸着技術の開発      など

産学共同による研究・開発推進中。

 

 人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績は下記のとおりであります。なお、当社グループでは、上記「(2)戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針については、連結グループ全体で具体的な取組みが行われているものの、連結子会社については、データ収集体制を構築中であり、連結グループとしての記載が困難であります。このため、次の指標に関する目標及び実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。

①女性従業員の活躍フィールド拡大の促進

当社は、幅広い職種・フィールドでの女性従業員の活躍を促進しており、事務系以外の職種に従事する女性従業員数の推移および目標は次のとおりであります。

 

 

2019年度

2020年

2021年度

2022年度

2023年度

2024年度

2025年度

(目標)

営業職

6

8

7

9

12

12

15

技術職

5

5

6

6

9

8

10

製造職

2

2

3

3

3

5

デザイナー

4

4

3

3

3

2

5

企画職

2

2

1

2

3

合計

15

19

20

23

28

27

38

 

②有給休暇取得の促進

当社は働き方改革の一環として有給休暇の取得を推奨しており、その取得率の推移および目標は次のとおりであります。

 

2019年度

2020年

2021年度

2022年度

2023年度

2024年度

2025年度

(目標)

当社

61.7%

59.0%

60.1%

69.6%

70.1%

70.3

75

厚生労働省調査

56.3%

56.6%

58.3%

62.1%

65.3%

 

③男性従業員の育児休暇取得の促進

当社は多様な働き方促進や働きやすい環境づくりの一環として男性従業員の育児休暇取得を促進しており、2024年度における取得率は57.1%と50%を超えております。2025年度も50%超の取得率達成を目標としております。

 なお、女性や中途採用者の経営職や管理職等への登用については、女性や中途採用者等の区別なく、あくまでも実績および見識・スキル等に基づく総合的観点から検討・実施すべきとの観点から、多様性の確保についての測定可能な指標や目標は定めておりません。

 

 

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

 (1)目下、顕在化しているリスク

 原材料価格やエネルギーコスト、配送コストの想定外の高騰

 当社グループの製品の主要原材料は砂・砂利、セメントや鋼材などであり、製造工程においてボイラー用途に重油を使用しております。また、施工現場までの製品供給は、重量物が主体であるため、運送会社に手配の上、大型車両による配送を行っております。これら原材料価格やエネルギーコスト、配送コストが想定以上に上昇した場合、当社グループの利益を始めとする経営成績や財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、原材料等の価格高騰の業績への影響を抑制すべく、生産部門を始めあらゆる部門での管理強化と効率性の向上に努めるとともに、販売価格の適正化を推し進めております。また、当社製品の配送手配を担当する株式会社サンキャリーを中心に、配送効率の向上に努めております。

 

 (2)過去に顕在化したことがあり、将来においても発生の可能性のあるリスク

 ①公共投資の動向

 当社グループの土木資材事業ならびに景観資材事業は、それぞれ売上の大部分を公共事業に供する製品の販売により獲得していることから、公共事業において発注減少や進捗遅延が発生する場合は、当社グループの売上を始めとする経営成績や財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、公共事業の動向による影響を軽減すべく、民間商業施設や学校法人などの民間需要の開拓、受注獲得に注力しております。また、公共工事においても、「防災・減災」や「維持・補修」などの重点テーマに対応した製品・工法の提案や新製品・新工法の開発により、受注の獲得を進めております。

 

 ②気候変動等に伴う大規模自然災害

 当社グループは、全国に営業拠点を構えており、生産拠点も西日本を中心に設置しております。今後、地震や台風災害などの自然災害が発生した場合は、災害の影響の程度や範囲により、当社の営業活動や生産活動が正常に行えないことが想定され、当社グループの売上を始めとする経営成績や財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、全社的なBCP(事業継続計画)の構築・運用を通じて、まずは従業員及びその家族の人命を第一とした支援活動を行うとともに、地域の同業他社とも連携しながら、被災を免れた生産拠点での代替生産・配送などを進め、継続的な事業活動を通じたインフラの復旧活動を推進いたします。

 

 ③感染症の感染拡大による影響

 新型コロナウイルス感染症のような感染症が拡大した場合、当社グループにおいては、民間の建築外構工事における縮減などに伴い、当社製品の売上減少を余儀なくされ、売上を始めとする経営成績や財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、緊急対策本部を組織し、テレワークや時差出勤の推進、集合形式の会議や研修、出張等の自粛などの安全対策の全社的な実施により、顧客とのコミュニケーションを維持しつつ感染防止に努めます。

 

 (3)過去に顕在化していないが、将来において発生の可能性のあるリスク

 ①知的財産権

 当社グループは、開発された技術・製品を保護するために特許などの知的財産権の確立を進めるほか、製品の製造・販売に先立ち第三者が保有する知的財産権を十分調査し、権利を侵害しないよう努めております。しかし、予期しない事情により当社グループと第三者との間で知的財産権に関する紛争が発生し、当社グループに不利な判断がなされた場合には、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 ②製造物責任

 当社グループは、製品の開発や生産にあたっては安全性・品質に十分に配慮しておりますが、製品の予期しない欠陥によって製品の回収や損害賠償につながる可能性があります。保険に加入し賠償に備えているものの、保険による填補ができない事態が発生した場合には、当社グループの経営成績および財政状態のみならず、社会的評価にも影響を及ぼす可能性があります。

 

 ③産業事故災害

 当社グループは、事業活動全般において無事故、無災害に努めておりますが、当社グループの工場において、万が一産業事故災害が発生した場合、自社の保有資産に対しては保険に加入し備えているものの、社会的信用の失墜、生産活動の停止による機会損失などにより、当社グループの経営成績および財政状態のみならず、社会的評価にも影響を及ぼす可能性があります。

 

 ④人材確保

 当社グループは、安定的な事業運営を行うべく、計画的な人材の確保に努めておりますが、当社グループの想定する人員体制を必要な時期に確保できない場合は、当社グループの事業活動に支障をきたすこととなり、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 ⑤情報セキュリティ

 当社グループは、基幹業務システムを構築の上、各事業拠点を情報ネットワークで接続し事業活動を行っており、セキュリティ対策や社員教育を実施しているものの、サイバー攻撃などによる情報漏洩やネットワーク障害などによる業務の遅延・停滞などの発生により、当社グループの事業活動に支障をきたすこととなり、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況

 当連結会計年度における当社グループ(当社および連結子会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度のわが国経済は、雇用や所得環境の改善を背景に緩やかな回復基調が持続しているものの、原材料価格やエネルギーコストの高騰などの影響に加え、米国の通商政策への懸念もあり、先行きは不透明な状況で推移いたしました。

 当社グループ(当社および子会社)の需要先である建設業界では、公共事業については、「国土強靭化」や「防災・減災」「維持・補修」などの重点施策への予算配分を背景に堅調に推移しました。一方、民間建設投資については、住宅市場における2024年の新設住宅着工戸数が昨年に引続き減少したものの、企業の設備投資意欲の回復や建設需要の増加などにより好調に推移しました。

 このような状況のもと、当社グループ(当社および子会社)は、販売部門においては、提案営業を担当する営業推進部の体制を強化・再編の上、開発・設計部門や生産部門などの関連部署とも連携しながら、役所や建設コンサルタントに向けて当社プレキャストコンクリート製品のもつ優れた機能性を訴求し、受注の獲得に努めてまいりました。また、3次元データ等のデジタル技術を駆使し、高付加価値製品の拡販や難易度の高い特注物件の受注に注力するとともに、港湾事業や民間の大型造成事業などへのアプローチも鋭意推し進めてまいりました。加えて、原材料価格高騰分の販売価格への転嫁にも注力いたしました。

 一方、生産部門においては、原材料価格や物流コスト高騰への対策として、製造品目の再配置などの施策により生産性の向上を一層推進し、協力会社との連携も強化しながら原価の低減や配送の効率化に取組むなど、グループ一丸となって収益の確保に努めたものの、一部の工場において、生産設備の老朽化に起因する問題も顕在化いたしました。

 なお、サステナビリティへの取組みについては、組織横断的にサステナビリティを推進する「サステナビリティ推進委員会」が中心となり、取締役会とも連携しながらグループ全体のESG経営の実現に向けた取組みを推し進めたほか、低炭素型コンクリート「Necoコンクリート®」を用いた製品の製造・販売にも注力いたしました。

 当連結会計年度の経営成績は、土木資材事業および景観資材事業において大型物件工事が進捗し

たことで、売上高は147億46百万円(前期比7.8%増)となりました。

 利益面については、増収に加え、原材料価格高騰分の販売価格への転嫁を着実に推進したことが奏功し、営業利益は5億94百万円(前期比43.5%増)、経常利益は6億40百万円(前期比38.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は3億93百万円(前期比33.4%増)となりました。

 セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。

 

 土木資材事業

 国や地方の推進する「国土強靭化」や「防災・減災」「維持・補修」「流域治水」などの重

点施策への対策を強化するとともに、建設現場における生産性向上や工期短縮化に向けたプレ

キャスト化への提案を推し進めた結果、大型物件工事に供する遊水池や防火水槽などの貯留・

防災製品を始め、かんたん側溝などの道路用製品や擁壁製品、港湾向け製品などが堅調に推移

したほか、CO2排出削減により環境への負担軽減に貢献する低炭素型コンクリート「Necoコンク

リート®」を用いた製品も売上を伸ばし、連結子会社の葉月工業株式会社も業績に寄与したこと

などにより、当セグメントの連結売上高は102億92百万円(前期比7.0%増)、当セグメント利

益は4億85百万円(前期比15.3%増)となりました。

 

 景観資材事業

 駅前や公園・商業施設の整備・再開発事業に係る大型物件の受注に向けて、豊富な製品ライ

ンナップと当社オリジナルの特注対応力を活かした提案営業を推進し受注獲得に努めたこと

で、首都圏の大型開発物件を始め、大阪・関西万博関連の物件工事やJR高松駅周辺の再開発

エリアにおける整備工事などの進捗に伴い、主力のバリアフリーペイブや透水タイプの舗装

材、特注ベンチを始めとする擬石ファニチュア製品などが売上を伸ばし、当セグメントの連結

売上高は35億53百万円(前期比15.1%増)、当セグメント利益は1億5百万円(前期は36百万

円の損失)となりました。

 

 エクステリア事業

 水まわり製品を中心に新製品の投入や品揃えの強化によりラインナップの拡充を図り、販売

を担当する連結子会社のニッコーエクステリア株式会社において、各社展示会への出展やSNS戦

略の展開に注力しながらハウスメーカーを中心に拡販に取組んだものの、主力の立水栓を始め

とするガーデン関連製品が伸び悩み、その他の製品も振るわなかったことで、当セグメントの

連結売上高は9億円(前期比7.0%減)、当セグメント利益は3百万円(前期比88.4%減)とな

りました。

 

 なお、当連結会計年度における財政状態は、次のとおりであります。

(a)流動資産

 当連結会計年度末における流動資産の残高は、87億68百万円(前連結会計年度末は81億85百万円)となり、5億83百万円増加いたしました。増加の主なものは、電子記録債権の増加(前期比3億18百万円増)などによるものであります。

 

(b)固定資産

 当連結会計年度末における固定資産の残高は、74億40百万円(前連結会計年度末は74億33百万円)となり、6百万円増加いたしました。

 

(c)流動負債

 当連結会計年度末における流動負債の残高は、70億88百万円(前連結会計年度末は66億42百万円)となり、4億45百万円増加いたしました。増加の主なものは、電子記録債務の増加(前期比1億98百万円増)などによるものであります。

 

(d)固定負債

 当連結会計年度末における固定負債の残高は、12億7百万円(前連結会計年度末は13億15百万円)となり、1億7百万円減少いたしました。減少の主なものは、長期借入金の減少(前期比1億3百万円減)などによるものであります。

 

(e)純資産

 当連結会計年度末における純資産の残高は、79億13百万円(前連結会計年度末は76億60百万円)となり、2億52百万円増加いたしました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ12百万円(0.9%)増加し、14億67百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 売上債権や棚卸資産の増加などにより、当連結会計年度において営業活動によって得たキャッシュ・フローは、前年と比較し5億89百万円減少し、6億65百万円となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において投資活動に使用したキャッシュ・フローは、前年と比較して1億16百万円減少し、3億10百万円となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において財務活動に使用したキャッシュ・フローは、前年度に子会社株式の取得があったことなどにより、前年と比較して4億74百万円減少し、3億42百万円となりました。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

 (a)生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前年同期比(%)

土木資材事業(千円)

3,516,860

104.55

景観資材事業(千円)

1,658,050

117.32

エクステリア事業(千円)

270,360

94.66

合計(千円)

5,445,271

107.56

(注)金額は、製造原価によっております。

 

 (b)商品仕入実績

 当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前年同期比(%)

土木資材事業(千円)

3,115,306

112.81

景観資材事業(千円)

593,569

89.75

エクステリア事業(千円)

316,439

91.18

合計(千円)

4,025,316

106.77

(注)1 金額は、仕入価格によっております。

2 上記に対応する商品売上実績は、4,605,580千円であります。

 

 (c)受注実績

 当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。

 

 (d)販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前年同期比(%)

土木資材事業(千円)

10,292,574

107.02

景観資材事業(千円)

3,553,219

115.09

エクステリア事業(千円)

900,388

92.96

合計(千円)

14,746,181

107.85

(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

 また、当連結会計年度の販売実績の契約形態の別内訳は、次のとおりであります。

内   訳

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

構成比(%)

製品売上(千円)

8,184,713

55.51

商品売上(千円)

4,605,580

31.23

工事売上(千円)

1,955,888

13.26

合計(千円)

14,746,181

100.00

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり当社が採用している会計方針等につきましては、第5[経理の状況]1[連結財務諸表等]の[注記事項]4.会計方針に関する事項に記載のとおりであります。

 連結財務諸表の作成に当たっては、会計上の見積りを行う必要があり、貸倒引当金や賞与引当金、役員賞与引当金の計上、固定資産の減損に係る回収可能価額の算定、繰延税金資産の回収可能性の判断等につきましては、過去の実績や状況に応じ合理的であると考えられるさまざまな要因に基づき、継続して評価を行い、資産や負債、収益・費用の数値に反映しております。なお、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は異なる可能性があります。

 当社グループは、今後も入手可能な情報を基に見積りに係る検証・評価を行い、適切に連結財務諸表に反映させてまいります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(a)当社グループの当連結会計年度の経営成績等

 当社グループの当連結会計年度の経営成績等については、(1)経営成績等の状況 ①財政状態及び経営成績の状況に記載のとおりであります。

 

(b)当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因

 当社グループの連結売上高の大半を占める土木資材事業および景観資材事業において、主に公共事業に供される製品の販売を行っていることから、公共事業の発注減少や進捗遅延により当社グループの経営成績および財政状態が大きな影響を受ける可能性があります。

 また、原材料価格やエネルギーコスト、輸送コストの想定外の高騰により、その影響を生産効率化やコスト削減、販売価格への転嫁などの諸対策でカバーできない場合、当社グループの経営成績および財政状態が大きな影響を受ける可能性があります。

 

(c)当社グループの資本の財源および資金の流動性

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、工場における原材料仕入などの製造費用ならびに販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、主に、事業拡大に向けたM&Aや既存生産設備の更新、土木資材事業に係る型枠製作、製品開発投資などによるものであります。

 当社グループは、短期運転資金については自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、自己資金及び金融機関からの長期借入を基本としております。

 なお、当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

 

(d)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、財務体質の強化のための従来から引き続きフリー・キャッシュ・フローの増大を重視しております。また、2025年4月公開の「Nikko Revolution Towards 2033」においては、企業価値の指標としてPBR(株価純資産倍率)1倍以上、資本効率の指標としてROE(自己資本利益率)8.0%以上を目指しております。

 当連結会計年度に獲得したフリー・キャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ4億73百万円減少し、3億54百万円となりました。これは主に、営業活動によって得たキャッシュ・フローが前年に比べ5億89百万円減少したことなどによるものであります。

 また、当連結会計年度のROAは4.0%(前年同期比1.0ポイントの改善)、ROEは5.1%(前年同期比1.2ポイントの改善)となりました。ROAおよびROEの改善の要因は、主に土木資材事業の増収や高付加価値製品の拡販効果に加え、販売価格の適正化の進捗などによるものであります。

 

(e)経営成績等の状況に関する分析を踏まえた検討内容

 当社グループは、「美しく豊かな環境作りを通じてサステナビリティ実現に貢献する日本興業グループ」を基本方針に掲げ、収益力の向上と成果の適正配分の両立を目指す「グループ成長戦略」、サステナビリティへの取組みを加速化させるための「サステナビリティ取組強化戦略」、ウェルビーイングの推進を目指す「人的資本活性化戦略」、そしてこれらの戦略を推し進めるための「経営基盤強化戦略」、以上4つの戦略に基づき、持続的成長による企業価値の向上を目指してまいります。

 具体的には、国や地方の進める重点施策や建設現場の生産性向上へのソリューションとして、プレキャスト化のメリットをユーザーに訴求しながら地域の需要や特性に応じた提案を推し進めるとともに、当社オリジナルのカスタマイズ技術を駆使した高付加価値の製品・工法の開発と拡販に注力し、シェアおよび収益の拡大を図ってまいります。また、港湾を始め、空港や防衛施設に向けた製品・素材開発を推し進めるなど、新規事業領域の拡大を図っていくとともに、需要ボリュームの大きい関東地区でのさらなる事業拡大や、連結子会社の葉月工業株式会社を起点とした九州地区での事業展開など、エリア戦略も着実に遂行しながら成長戦略を強力に推し進めてまいります。加えて、生産部門においては、老朽化した生産設備の更新を早急に進め、生産効率の向上によるコスト低減を図るとともに、あらゆる部門が、原材料価格高騰分の販売価格への適正な転嫁や物流合理化、管理強化と生産性向上に取組むことで、利益の創出を図ってまいります。

 サステナビリティへの取組みについては、「サステナビリティ推進委員会」が中心となり、ESG経営の実現に向けた取組みを加速化させてまいります。特に、E(環境)については、昨年上市した低炭素型コンクリート「Necoコンクリート®」を始めとする脱炭素型製品の開発・生産・販売を始め、再生可能エネルギーの採用やブルーカーボンへの取組み等を推し進め、2040年までのカーボンニュートラル実現に向けて鋭意取組んでまいります。

 また、当社は人的資本の活性化がグループ全体の持続的成長に不可欠であると認識しており、社員一人ひとりの成長を組織の成長と結びつけることでエンゲージメントの向上を推し進めるべく、教育・研修の充実や健康経営への取組み強化等を通じて、グループ全体のウェルビーイングの実現を目指してまいります。

 一方、東京証券取引所より要請の「資本コストと株価を意識した経営の実現に向けた対応」についても重要な経営課題のひとつと位置づけ、2025年4月公開の中長期経営計画における成長戦略に基づき持続的に収益性を高めていくとともに、資本政策の基本方針に基づき株主還元の充実を進める一方、IRの拡充とガバナンス強化を図ることで、ROE(自己資本利益率)およびPBR(株価純資産倍率)の向上に努めてまいります。また、企業提携基本契約を締結中の積水樹脂株式会社との関係も、経営の独立性は維持しつつも、お互いの事業上の強みを活かしながらパートナーシップの強化を図り、企業グループ全体の成長に寄与してまいります。

 以上のような施策を当社グループが一丸となって取組むことで、持続的成長を実現し企業価値向上を図りながら、経営理念である「美しく豊かな環境づくり」の実現に向けて鋭意挑戦してまいります。

 

5【重要な契約等】

 積水樹脂株式会社との企業提携基本契約について

 当社は、積水樹脂株式会社(本社 大阪市北区)と積極的な業務協力および人材交流を通じて、それぞれの事業基盤の強化、拡充、発展を図ることを目的として、1997年4月22日付で企業提携基本契約を締結しております。

 企業提携基本契約の内容は、業務提携、人材提携および資本提携であり、契約期間は1997年4月22日から2年間(以後2年毎の自動更新)となっております。なお当該資本提携に関連して、当社は下記のとおり1997年5月14日付で、同社に対して第三者割当増資を実施し、同社は当社のその他の関係会社となりました。

1 発行株式数

 

普通株式

3,100千株

2 発行価額

 

1株につき

475 円

3 発行価額の総額

 

 

1,472,500千円

4 資本組入額の総額

 

 

737,800千円

5 払込期日

 

 

1997年5月13日

 

6【研究開発活動】

 当社グループ(当社および連結子会社)は「美しく豊かな環境づくりに貢献する」を経営理念とし、「環境との共生」および「景観との調和」をキーワードに、常に社会および顧客が求める製品を開発することをモットーに取組んでおります。

 現在、研究開発は、中長期の製品開発戦略に基づいて、当社開発部を中心に推進されており、研究開発における同業種および異業種交流を含め、産官学との連携も積極的に進めております。

 なお、研究開発は各セグメントにまたがっており、当連結会計年度の研究開発費の総額は、146百万円であります。

 

(1)土木資材事業

 道路の安全対策や維持補修分野への対応を主なテーマとして新製品の開発に注力し、以下の成果をみました。

 

 港湾事業向けとして、タイヤ式門型クレーンの電力供給ケーブルを収納するためのトラフに排水機能を備えたケーブルトラフや、空港施設向けとして、津波や浸水等の防災向けに供される機械式継手を用いたL型スロープ擁壁を開発いたしました。

 

 藻場造成により、ブルーカーボンの効果も期待できる環境調和型人工藻場礁を開発いたしました。

 

 流域治水への対応として雨水貯留機能をもつ側溝「アクアゲッター®」に、浸透孔を設け雨水の浸透機能を備えた浸透型を追加いたしました。

 

(2)景観資材事業

 都市の環境改善に向けた各種技術の開発ならびに安全で快適な公共空間を創造する製品開発に注力し、以下の成果をみました。

 

・ファニチュア

 防災関連製品の「かまどベンチ」や「かまどスツール」について、デザイン性を向上させたラインナップを追加いたしました。

 

 特注対応として採用実績のあったLED照明を使用したサークルベンチなど、照明ファニチュアの規格化や、デザイン性の高い擬石ベンチのラインナップ拡充に取り組みました。

 

 3Dデータなどデジタル技術を駆使することで、難易度の高い特注物件に鋭意対応してまいりました。

 

(3)エクステリア事業

 エクステリアの新規市場の開拓を図るため、顧客の様々なライフスタイルに対応した新製品の開発に注力し、以下の成果をみました。

 

 ペット関連事業強化の一環として、既設のホースに簡単に接続でき、ミストの気化熱により熱中症を防ぐ立水栓「ミストコロン」や、愛犬の身体を屋外で洗うことができるシャワープレイス「シカクル」などをラインナップした水まわり製品の新シリーズ「わんGOO」を開発いたしました。

 

 最近の住宅の流行にあわせたモノトーンのカラーリングが特徴的な立水栓やパンなど、水まわり製品のラインナップ強化に取組みました。