第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1) 会社の経営の基本方針

当社は、「強く・美しく・取り扱いやすく・値打ちで、より安全な屋根材を提供する」という経営理念に基づき、天然資源の粘土を主原料とする高温焼成物の粘土瓦を含む屋根材を製造する企業として、社会的責任を果たすために、コーポレート・ガバナンスを経営の最重要課題とし、7項目の経営基本方針を定め、経営管理体制の確立を図ることを経営の基本としております。

① 住文化に貢献し、社会に役立つために、公正かつ明瞭な自由競争を行うとともに、適正利潤を追求し、事業の持続的成長を追求する。

② 高品質で安全な粘土瓦を開発・製造するための生産システム並びに品質保証体制を構築し、維持する。

③ 省資源・省エネルギー化を推進し、環境にやさしい屋根材を製造するための環境管理システムを構築し、維持する。

④ 個人情報管理体制を構築し、維持する。

⑤ キャッシュ・フロー重視の経営を推進し、企業価値を高めるよう努める。

⑥ 従業員の生活の安定・向上を、常に、念頭におき、株主とともに、業績に応じた適正で安定的な配当を維持する。

⑦ 激動する時代に対応するために、利益は適正に内部留保する。

 

(2) 経営環境、中長期的な会社の経営戦略・対処すべき課題

当事業年度における住宅産業界の景況感は、消費税増税の反動減や新型コロナウイルス感染症の影響、さらに少子高齢化による人口減少や人口の都市部集中など、今後も不安定な市場環境が続くことが予想されます。

そのような状況下、当社としましては、2018年4月にスタートした中期経営計画(2019年3月期~2021年3月期の2年目として、きめ細やかな災害復旧対応、コスト削減等の自助努力を続けた結果、増収増益を達成いたしました。今後も中期経営計画のビジョンである「わくわくする げんきな会社」を実現するため、下記の基本戦略を軸に具体的施策を進めることで、企業価値の一層の向上を目指しております。

製造部門、営業部門、管理部門がそれぞれのミッションを掲げ、目標達成を目指します。

① 環境面など市場ニーズに即した高付加価値な製品の開発

② ものづくりの現場における過剰在庫及びコスト抑制と、品質・生産性向上の更なる推進

③ 営業活動体制の刷新と、住宅市場における粘土瓦の優位性訴求を通じた鶴弥ブランドの拡大

④ 人材教育・技術の伝承を推進し、市場環境に対応できる人的体制の構築

⑤ 陶板事業をはじめとした新製品と海外市場も含めた新市場における事業拡大

 

特に粘土瓦の製造販売事業と並ぶ経営の2本柱とすることを目的とした新事業「陶板事業」については、抗菌性を有した高機能製品「陶板壁材「スーパートライ Wall」抗菌性光触媒シリーズ」をラインナップに追加するなど、引き続き積極的に営業活動・研究開発活動を推し進めて参ります。その一方、粘土瓦事業の生産体制においても、引き続き、過剰在庫を抑制し、より効率的で需要動向に柔軟な生産体制を構築することを目指しております。

 

当社は、厳しい市場環境下にあっても、強固な経営基盤を維持・拡大することを目標に、企業として高いモチベーションを持って、事業活動を拡充していくための施策を継続して推進してまいります。

 

新型コロナウイルス感染症の流行拡大については、当事業年度(2020年3月期)の業績に与える影響は軽微でありました。今後につきましては、2020年4月~5月の非常事態宣言下において、建設会社や大手ハウスメーカーを中心として建設・建築工事の一部休止が行われたこと、また、住宅展示場の休止などが行われたことで、今後の住宅市場の先行きに影響を与える可能性がありますが、現時点で当社への影響を合理的に算定することは困難であります。一方で、2019年8月~10月の豪雨・台風で被害を受けられた住宅の補修はまだ完了しておらず、住生活に関わる企業の社会的責任として、当社においては最大限の感染防止策を講じた上で事業を継続し、安心安全な防災瓦の安定供給に努めて参る所存であります。それと同時に、この機を捉えて、経営体質、事業活動全般について見直しを行い、長期的な視野に立って一層の経営基盤強化を図って参ります。

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 また、新型コロナウイルス感染症の流行拡大の影響及び対策については、前項「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の「(1)会社の経営の基本方針」「(2)経営環境、中長期的な会社の経営戦略・対処すべき課題」に記載のとおりであります。

 

① 業績の変動について

当社は屋根材である粘土瓦の製造販売を主たる事業としており、全国各地の工事店・問屋・瓦メーカー・ハウスメーカー等に幅広く粘土瓦を供給しております。

粘土瓦は、住宅新設時に多量に使用されるため、当社の業績は持家着工戸数の増減に影響されます。また、持家着工戸数は、一般景気動向、金利動向、住宅地価動向、税制及び法的規則等様々な要因を受けており、当社の業績もこれらの要因に左右される可能性があります。

② 経営成績の季節的変動について

当社の売上高は、季節的に見て、冬場の1・2月は住宅着工の不需要時となりますので通常月に比べ低くなる傾向があります。

③ 燃料価格の変動について

当社の主な事業である粘土瓦の製造に用いる主たる燃料はブタンガスでありますので、当社の業績は国際市況に連動する原油価格の変動により影響を受ける可能性があります。

④ 特定の取引先への依存度について

当社の主要原材料である粘土は、㈱丸長(以下、同社という。)からの仕入が100%であります。粘土瓦は、配合粘土を使用しており、その配合割合によって製品品質に影響が出るため、その仕入は限られた業者からの供給が、業界の通例となっているためであります。

当社は、同社の財政状態及び経営成績を常に把握し、品質・納期等について万全の管理体制をとっておりますが、万一同社の経営が行き詰った場合には、当社は瓦製造に支障をきたし、業績面に影響を受ける可能性があります。

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の概況及び分析

① 当事業年度の経営成績の概況及び分析

当事業年度におけるわが国経済は、企業による設備投資や雇用環境の改善が続く一方、中東情勢の緊迫化や、大国間の貿易摩擦による企業活動への影響が表面化するなど、先行きの不透明感が強まっていた中、新型コロナウイルス感染症の世界的流行拡大が重なったことによって、さらに不確実な状況となって参りました。

また、当業界におきましては、業績に与える影響が大きい持家着工戸数が、消費税増税前の需要拡大によって、当第2四半期累計期間(4月~9月)までは前年を上回る状況にありましたが、直近では一転して反動減となり、非常事態宣言等で経済活動に一定の制限がかかることも予想される中、今後の動向に注意する必要があります。

このような経営環境のもと、当社は、2019年8月~10月の豪雨・台風被害によって発生した住宅の補修需要にきめ細かい営業・出荷対応を行いました。また、災害に強い当社主力製品「地震・台風・大雨に強い防災瓦 スーパートライ110シリーズ」が第6回ジャパン・レジリエンスアワード(強靭化大賞)最優秀賞を受賞するなどPR活動を強化した結果、売上高につきしましては、前年同期比ほぼ横ばいの8,301百万円となりました。

一方で、損益面につきましては、国際的な原油価格の低下や、継続したコスト削減により、当事業年度における売上原価率は前年同期比1.8ポイント減の71.9%となり、売上総利益は前年同期比6.9%増の2,332百万円となりました。

また、販売費及び一般管理費につきましては、広告宣伝費の見直しや、製品運搬用のパレットの回収や補修を強化するなどの自助努力によって、前年同期比0.4%減の1,894百万円となりました。

なお、新事業である陶板事業においては、2020年5月11日より、①室内照明でも光触媒による抗菌性を有し、②暗所では銀成分の抗菌性が期待される、高機能製品「陶板壁材「スーパートライ Wall」抗菌性光触媒シリーズ」をラインナップに追加するなど、引き続き積極的な研究開発活動を推進いたしました。

以上により、当事業年度の業績は、売上高8,301百万円(前年同期比ほぼ横ばい)、営業利益438百万円(前年同期比56.9%増)、経常利益449百万円(前年同期比50.2%増)、当期純利益298百万円(前年同期比163.0%増)の増収増益となりました。

なお、前事業年度に、稼働率の低下しておりますJ形瓦生産設備の稼働体制についての方針を決定したことにより、該当する生産設備(衣浦工場第1ライン)の減損損失83百万円を特別損失に計上しております。

 

② 当事業年度の財政状態の概況及び分析

当事業年度末の資産につきましては、現金及び預金の減少209百万円(前年同期比11.5%減)、売掛金の減少147百万円(前年同期比14.3%減)等により15,816百万円(前年同期比3.4%減)となりました。

負債につきましては、短期借入金(1年内返済予定長期借入金含む)の減少425百万円(前年同期比18.7%減)、長期借入金の減少50百万円(前年同期比100.0%減)等により4,451百万円(前年同期比13.1%減)となりました。純資産につきましては、その他有価証券評価差額金の減少70百万円(前年同期比33.0%減)等により11,365百万円(前年同期比1.0%増)となりました

 

③ 当事業年度のキャッシュ・フローの概況及び分析

当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べて209百万円減少し、1,592百万円となりました。

当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果、得られた資金は、426百万円となりました(前年同期間に比べ170百万円減少)。

営業活動による資金の増加要因としては、主に税引前当期純利益449百万円、売上債権の減少額309百万円等によるものです。

一方、資金の減少要因としては、主にたな卸資産の増加額187百万円、仕入債務の減少額190百万円等によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果、使用した資金は、45百万円となりました(前年同期間に比べ19百万円増加)。

投資活動による資金の増加要因としては、主に貸付金の回収による収入24百万円等によるものです。

一方、資金の減少要因としては、固定資産の取得による支出70百万円によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果、使用した資金は、590百万円となりました(前年同期間に比べ14百万円増加)。

財務活動による資金の減少要因としては、主に短期借入金の減少額100百万円、長期借入金の返済による支出375百万円及び配当金の支払額115百万円等によるものです。

(2) 生産、受注及び販売の実績

① 生産実績

 当事業年度の生産実績を品目別に示すと、次のとおりであります。

品目別

金額(千円)

前年同期比(%)

J形瓦

2,047,010

108.5

F形瓦

5,374,636

110.1

M形瓦

476,475

96.7

合計

7,898,122

108.7

 (注)1.金額は平均売価によっております。

2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。

② 仕入実績

 当事業年度の製品の仕入実績及び商品の仕入実績を品目別に示すと、次のとおりであります。

品目別

金額(千円)

前年同期比(%)

製品

J形瓦

78,921

108.0

F形瓦

226,932

110.9

M形瓦

28,929

90.3

小計

334,784

108.1

商品

その他

367,321

92.4

合計

702,106

99.3

 (注)1.金額は仕入価格によっております。

2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。

3.商品の「その他」は、S形瓦・いぶし瓦・副資材が主力であります。

③ 受注実績

 当社は受注見込みによる生産方式をとっておりますので、該当事項はありません。

④ 販売実績

 当事業年度の販売実績を品目別に示すと、次のとおりであります。

品目別

金額(千円)

前年同期比(%)

製品

J形瓦

1,856,758

93.2

F形瓦

5,329,981

104.4

M形瓦

478,683

92.4

小計

7,665,423

100.7

商品

その他

519,789

96.3

工事売上

115,926

79.6

合計

8,301,139

100.0

(注) 上記金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(3) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

① 重要な会計方針及び見積り及び当該見積りに用いた仮定

 重要な会計方針及び新型コロナウイルス感染症流行拡大の影響に関する会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1.財務諸表等 (1) 財務諸表 [注記事項]」に記載のとおりであります。

 

② 当事業年度の財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社の当事業年度の財政状態及び経営成績等は、売上高が前年同期比ほぼ横ばいの8,301百万円となり、売上総利益2,332百万円(前年同期比6.9%増)、営業利益438百万円(前年同期比56.9%増)、経常利益449百万円(前年同期比50.2%増)、当期純利益298百万円(前年同期比163.0%増)の増収増益となりました。なお、前事業年度に稼働率の低下しておりますJ形瓦生産設備の稼働体制について新たな方針を決定したことにより、該当する生産設備(衣浦工場第1ライン)の減損損失83百万円を特別損失に計上しております。

当社の経営成績に重要な影響を与える外的要因としては、国内の持家着工数及び燃料価格の変動が挙げられます。国内の持家着工数は、景気動向や金利動向、政府による各種施策による影響を受け、燃料価格は国際的な原油価格の動向に影響を受けます。当事業年度においては、持家着工戸数の減少、原油価格の低下が、上記経営成績に影響しております。

新型コロナウイルス感染症の流行拡大については、当事業年度においては、その直接的な影響は軽微であり、今後については、前項「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の「(1)会社の経営の基本方針」「(2)経営環境、中長期的な会社の経営戦略・対処すべき課題」に記載のとおりであります。

経営方針・経営戦略につきましては、前項「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の「(1)会社の経営の基本方針」「(2)経営環境、中長期的な会社の経営戦略・対処すべき課題」に記載のとおりであります。経営上の目標及びその達成状況を判断するための客観的な指標等については、装置産業である当社の事業内容を鑑み、売上高経常利益率の向上と、自己資本比率を中心とした財務体質の強化を目指しておりますが、前述の外部環境による影響に加え、先行的な設備投資や研究開発活動等によって左右されるため、具体的な数値目標は公表しておりません。なお、当事業年度としては、前述の外部環境の影響及びコスト削減等の自助努力から経常利益率は5.4%となりました。加えて、借入金の返済によって自己資本比率は71.9%となりました。

当社の資本の財源及び資金の流動性については、前述の「(1) 経営成績等の概況及び分析 ③当事業年度のキャッシュ・フローの概況及び分析」に記載のとおりであり、財務方針については後述の「③ 資本の財源及び資金の流動性」に記載のとおりであります。

なお、当社は粘土瓦の製造・販売事業の単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しておりますが、前述の「(2) 生産、受注及び販売の実績」にて、製品の品種別に実績を記載しております。住宅様式の洋風化に伴い、従来の和風のJ形瓦から、洋風のF形瓦への需要の移行が継続しております。

 

③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社の所要資金調達は大きく分けて設備投資資金・運転資金となっております。基本的には「営業活動によるキャッシュ・フロー」の増加を中心としながらも、多額の設備資金につきましては、その時点で最適な方法による調達を原則としております。また、銀行借入金につきましては、阿久比工場用地・衣浦工場用地を始め、担保に供していない資産もあり、借入限度枠にも余裕があり、手元流動性預金・手形割引とあわせ、緊急な支払にも対応可能な体制を整えております。

余資の運用につきましては、借入金の返済を最優先としております。

当事業年度においては、多額の設備投資が無く、営業活動によるキャッシュ・フローによって得られた資金については借入金の返済(財務活動によるキャッシュ・フロー)に充当しております。

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

 

5【研究開発活動】

当社の研究開発方針として、粘土瓦の製造・販売事業においては、顧客のニーズに重点を置き、性能や施工性が向上する製品開発を行っています。一方、新たな取り組みである陶板分野においては、幅広い製品開発及び量産体制の構築を図っています。

 

当事業年度の成果として、好評を頂いている遮熱色に「アンティックブラウンS色」を追加しました。陶器瓦の釉薬による遮熱性能は、有機塗料と比較し経年低下が少ない特長があります。また、自然災害などで被災した屋根の一時養生部材として「らく棟シート」を発売しました。2019年8月~10月の豪雨・台風での被害を受け開発しました。

また、既存製品につきましては、顧客からの聞き取りを継続して行い、施工性向上に向けた細やかな仕様変更・改良を行いました。今後も、製品の追加・改良と共に、出荷動向を踏まえた製品の統廃合を適宜行い、顧客満足と生産効率の両立を図って参ります。

 

一方、新たな取り組みである陶板分野では、目地の耐久性向上の新工法として、関連部材及び施工仕様の開発を行い「シールレス工法」の発売を開始しました。さらに、抗菌性を有した高機能製品「陶板壁材「スーパートライ Wall」抗菌性光触媒シリーズ」をラインナップに追加しました。

 

上記取組みの結果、当事業年度の一般管理費と製造原価に含まれる研究開発費は総額337百万円となりました。