(1) 会社の経営の基本方針
当社は、「強く・美しく・取り扱いやすく・値打ちで、より安全な屋根材を提供する」という経営理念に基づき、天然資源の粘土を主原料とする高温焼成物の粘土瓦を含む屋根材を製造する企業として、社会的責任を果たすために、コーポレート・ガバナンスを経営の最重要課題とし、7項目の経営基本方針を定め、経営管理体制の確立を図ることを経営の基本としております。
当事業年度における住宅産業界の景況感は、新型コロナウイルス感染症の流行による影響が前事業年度と比較すると限定的となったものの、持家着工戸数は引き続き低水準で推移するなど、厳しい環境下にあり、加えて国際的な資源・エネルギーコストの高騰も重なり、当事業年度の経営成績は増収減益となりました。
当社では、当事業年度からスタートしている中期経営計画(2022年3月期~2024年3月期)の下、「感動品質」をビジョンとして、下記の基本戦略を軸に具体的施策を進め、全てのステークホルダーからの信頼を得ることで企業価値の一層の向上を目指しております。
開発部、製造本部、営業本部、管理本部がそれぞれのミッションを掲げ、目標達成を目指します。
① 施工性や環境面など市場ニーズに即した高付加価値な製品の開発
② 製品品質のさらなる向上による顧客感動への訴求
③ 営業品質のさらなる向上による顧客感動への訴求
④ 市場環境に対応できる人的体制の構築
⑤ 陶板事業をはじめとした新事業及び新市場における事業拡大
⑥ サステナビリティへの取り組みの強化
当社は、厳しい市場環境下にあっても、強固な経営基盤を維持・拡大することを目標に、企業として高いモチベーションを持って、事業活動を拡充していくための施策を継続して推進してまいります。
また、当社では次のサステナビリティ・ビジョンとその達成に向けての具体的項目を策定し、持続可能な開発目標(SDGs)達成への取り組みを継続・強化しております。
<サステナビリティ・ビジョン>
当社は、生活の基盤である「住まい」に関わる企業として
安心・安全な製品を皆様にお届けするという事業活動を進め
同時に、ジェンダー平等や自然環境への配慮といった項目を中心に
従業員をはじめとしたすべてのステークホルダーからの期待に応えることで
持続可能な社会、循環型社会の実現に貢献します。
<達成に向けての具体的項目>
① 鶴弥は日本の住文化を守ると同時に、安全かつ強靭(レジリエンス)な住居の提供に貢献します
② 鶴弥はジェンダー平等を達成し、安全で働きがいのある職場づくりを進めます
③ 鶴弥は生産活動における環境への影響を低減し、低炭素社会の実現と地球環境との共生を進めます
④ 鶴弥は限りある天然資源の有効活用、循環型社会の構築に貢献します
経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標につきましては、 3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」 (3) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容 に記載のとおりであります。
当社は社内規定である経営管理総則に、経営リスクの識別・分析・評価についての社内体制を定めております。
通常予見されるビジネスリスクについては「管理を必要とするビジネスリスク」として同規定に具体的に明示するとともに、そのビジネスリスクの管理方法を定めております。これら管理を必要とするビジネスリスクについては、その管理を行うことを事前に定められた主要な委員会や会議体で管理を行い、重大なリスクは取締役会に報告することとしております。
また一方で、通常予見されないビジネスリスクが発生した場合、もしくはその発生が予測される場合にはその程度に応じて経営危機管理委員会を招集し、対処することとしております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
また、今般のウクライナをめぐる国際情勢の影響につきましては、③に記載の通り、国際市況に連動する原油価格の変動により業績に影響を与える可能性があります。
当社は屋根材である粘土瓦の製造販売を主たる事業としており、全国各地の工事店・問屋・瓦メーカー・ハウスメーカー等に幅広く粘土瓦を供給しております。
粘土瓦は、住宅新設時に多量に使用されるため、当社の業績は持家着工戸数の増減に影響されます。また、持家着工戸数は、一般景気動向、金利動向、住宅地価動向、税制及び法的規則等様々な要因を受けており、当社の業績もこれらの要因に左右される可能性があります。
当社の売上高は、季節的に見て、冬場の1・2月は住宅着工の不需要時となりますので通常月に比べ低くなる傾向があります。
当社の主な事業である粘土瓦の製造に用いる主たる燃料はブタンガスでありますので、当社の業績は国際市況に連動する原油価格の変動により影響を受ける可能性があります。
当社の主要原材料である粘土は、㈱丸長(以下、同社という。)からの仕入が100%であります。粘土瓦は、配合粘土を使用しており、その配合割合によって製品品質に影響が出るため、その仕入は限られた業者からの供給が、業界の通例となっているためであります。
当社は、同社の財政状態及び経営成績を常に把握し、品質・納期等について万全の管理体制をとっておりますが、万一同社の経営が行き詰った場合には、当社は瓦製造に支障をきたし、業績面に影響を受ける可能性があります。
当社は、固定資産の減損に係る会計基準を適用しています。また、製商品在庫の棚卸高は収益性の低下に基づく簿価切下げ後の金額を計上しております。今後、経営環境の著しい悪化等による収益性の低下や市場価格の下落等により、保有する固定資産の減損損失又は製商品在庫の評価損が発生し、当社の財政状態・経営成績に影響を与える可能性があります。
当社は、将来年度の課税所得の見積額に基づき回収可能性を判断したうえで繰延税金資産を計上しています。今後、経営環境の著しい悪化等による収益性の低下や市場価格の下落等により、将来の課税所得の見積額に変動が生じた場合、当社の財政状態・経営成績に影響を与える可能性があります。
⑦ 退職給付債務について
当社の退職給付費用及び退職給付債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の長期期待運用収益率に基づいて算出されております。実際の結果が前提条件と異なる場合、当社の財政状態・経営成績に影響を与える可能性があります。
当社が保有している株式等の投資有価証券の価値が大幅に下落した場合は、評価損の発生により当社の財政状態・経営成績に影響を与える可能性があります。
当社は与信管理の徹底を図り万全を期しておりますが、今後の景気動向等によっては想定以上に販売先の信用状態の悪化等が生じる可能性があり、当社の財政状態・経営成績に影響を与える可能性があります。
当社は、原材料の調達の利便性から、本社及び主要な生産拠点をすべて愛知県内に設置しております。このため、東海地方に甚大な被害を与えることが予想される大規模災害の発生によって、当社の財政状態・経営成績に影響を与える可能性があります。
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当事業年度におけるわが国経済は、前事業年度からの新型コロナウイルス感染症流行の影響が継続する中、当事業年度後半には業種や地域によって状況は異なるものの経済活動や景気動向に一定の回復傾向が期待される状況となりました。その一方で、国際的な経済回復基調下において、資源・資材・原油価格等の取引価格が上昇傾向となる中で、2022年2月のロシアのウクライナ侵攻により生じたロシア産原油・天然ガスの供給懸念によって、エネルギー資源の国際取引価格が記録的な高値水準となるなど、その影響は現在でも先行き不透明な状況にあります。
当業界におきましては、前事業年度と比較して雇用や所得環境が回復傾向にあり、業績に大きく影響する持家着工戸数が前年を上回る水準で推移したものの、コロナ以前の水準には至らず、引き続き厳しい状況下にあります。
このような経営環境のもと、当社では、感染拡大防止対策をきっかけに、製品PR動画の配信やWEBセミナー、WEBカタログ、リモート営業といったデジタルコンテンツを用いた新たな営業活動の方策を実施いたしました。また、前述の資源・資材・原油価格等の上昇に対して2022年3月から主力製品の価格改定を行うなど、積極的な活動展開を進めました。その結果、売上高につきましては前年同期比6.2%増の7,739百万円となりました。
一方、損益面につきましては、歩留り・工場稼働率の向上に加え、継続的なコスト削減といった、ものづくり企業としての自助努力を推進いたしましたが、前述のエネルギー資源価格を中心とした急激なコスト増加を吸収するには至らず、当事業年度における売上原価率は、前年同期比4.2ポイント増の76.5%となり、売上総利益は前年同期比9.9%減の1,817百万円となりました。販売費及び一般管理費におきましては、WEB上での新たな営業活動や研究開発活動への先行投資は継続しつつも、同時にコスト削減も実施し、前年同期比0.7%増の1,667百万円となりました。
この結果、当事業年度の業績は、売上高7,739百万円(前年同期比6.2%増)、営業利益150百万円(前年同期比58.4%減)、経常利益189百万円(前年同期比56.0%減)、当期純利益128百万円(前年同期比56.0%減)の増収減益となりました。
なお、当事業年度の経営成績を踏まえ、前述の通り、原材料費・エネルギーコスト・運送費・設備維持費等の上昇が、自助努力では吸収できる範囲を大きく超えていることから、2022年3月より製品価格の改定を実施し、適正取引価格の浸透に注力しております。
当事業年度末の資産につきましては、現金及び預金の減少318百万円(前事業年度末比16.4%減)等により15,728百万円(前事業年度末比1.0%減)となりました。
負債につきましては、短期借入金の減少300百万円(前事業年度末比16.7%減)等により4,004百万円(前事業年度末比4.7%減)となりました。純資産につきましては、利益剰余金の増加37百万円(前事業年度末比0.6%増)等により11,724百万円(前事業年度末比0.3%増)となりました。
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べて318百万円減少し、1,615百万円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、得られた資金は、216百万円となりました(前年同期間に比べ277百万円の減少)。
営業活動による資金の増加要因としては、主に税引前当期純利益189百万円、減価償却費225百万円及び仕入債務の増加額146百万円等によるものです。
一方、資金の減少要因としては、主に法人税等の支払額162百万円、売上債権の増加額132百万円等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は、144百万円となりました(前年同期間に比べ91百万円の増加)。
投資活動による資金の減少要因としては、主に固定資産の取得による支出144百万円等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、使用した資金は、390百万円となりました(前年同期間に比べ288百万円増加)。
財務活動による資金の減少要因としては、短期借入金の減少額300百万円及び配当金の支払額90百万円によるものです。
当事業年度の生産実績を品目別に示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は平均売価によっております。
当事業年度の製品の仕入実績及び商品の仕入実績を品目別に示すと、次のとおりであります。
(注) 1.金額は仕入価格によっております。
2.商品の「その他」は、S形瓦・いぶし瓦・副資材が主力であります。
当社は受注見込みによる生産方式をとっておりますので、該当事項はありません。
④ 販売実績
当事業年度の販売実績を品目別に示すと、次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社の当事業年度の財政状態及び経営成績等は、売上高が前年同期比6.2%増の7,739百万円となった一方、売上総利益1,817百万円(前年同期比9.9%減)、営業利益150百万円(前年同期比58.4%減)、経常利益189百万円(前年同期比56.0%減)、当期純利益128百万円(前年同期比56.0%減)の増収減益となりました。
当社の経営成績に重要な影響を与える外的要因としては、国内の持家着工戸数及び燃料価格の変動が挙げられます。国内の持家着工数は、景気動向や金利動向、政府による各種施策による影響を受け、燃料価格は国際的な原油価格の動向に影響を受けます。当事業年度においては、持家着工戸数の増加があったものの、原油価格の上昇が大きく上記経営成績に影響しております。
新型コロナウイルス感染症の流行拡大については、当事業年度においては、前事業年度と比較して持家着工戸数及び売上高への影響は限定的でありました。一方で、ウクライナをめぐる国際情勢に関し、燃料価格をはじめとしたエネルギーコストの上昇が当事業年度の売上原価へ一定の影響があり、今後も原油価格の変動により業績に影響を与える可能性があります。
経営方針・経営戦略につきましては、1「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」(1) 会社の経営の基本方針、(2) 経営環境、中長期的な会社の経営戦略・優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題についてに記載のとおりであります。
経営上の目標及びその達成状況を判断するための客観的な指標等については、装置産業である当社の事業内容を鑑み、売上高経常利益率の向上と、自己資本比率を中心とした財務体質の強化を目指しておりますが、前述の外部環境による影響に加え、先行的な設備投資や研究開発活動等によって左右されるため、具体的な数値目標は公表しておりません。なお、当事業年度としては、前述の外部環境の影響が大きくコスト削減等の自助努力はあったものの経常利益率は2.5%となりました。一方で、借入金の返済によって自己資本比率は74.5%となりました。
当社の資本の財源及び資金の流動性については、前述の (1) 経営成績等の概況及び分析 ③ 当事業年度のキャッシュ・フローの概況及び分析 に記載のとおりであり、財務方針については後述の ② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報 に記載のとおりであります。
なお、当社は粘土瓦の製造・販売事業の単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しておりますが、前述の (2) 生産、受注及び販売の実績 にて、製品の品種別に実績を記載しております。住宅様式の洋風化に伴い、従来の和風のJ形瓦から、洋風のF形瓦・M形瓦への需要の移行が継続しております。
当社の所要資金調達は大きく分けて設備投資資金・運転資金となっております。基本的には営業活動によるキャッシュ・フローの増加を中心としながらも、多額の設備資金につきましては、その時点で最適な方法による調達を原則としております。
また、銀行借入金につきましては、阿久比工場用地・衣浦工場用地を始め、担保に供していない資産もあり、借入限度枠にも余裕があり、手元流動性預金・手形割引とあわせ、緊急な支払にも対応可能な体制を整えております。
余資の運用につきましては、借入金の返済を最優先としております。当事業年度においては、前事業年度末に繰り越した現金と当事業年度の営業活動によって得られたキャッシュ・フローを設備投資及び借入金の返済に充当しております。
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成しております。
この財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、ウクライナをめぐる国際情勢の影響も含めて当事業年度末において合理的と考えられる様々な要因を勘案した結果、翌事業年度の財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクはないものと判断しております。詳細は、 第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 「注記事項」(重要な会計上の見積り) に記載のとおりであります。
該当事項はありません。
当社の研究開発方針として、粘土瓦の製造・販売事業においては、顧客のニーズに重点を置き、性能や施工性が向上する製品開発を行っています。
一方、新たな取り組みである陶板分野においては、幅広い製品開発及び量産体制の構築を図っています。
当事業年度の成果として、既存製品につきましては、顧客からの聞き取りを継続して行い、製造本部との協力により、施工性向上に向けた細やかな仕様変更・改良を行いました。
今後も、製品の追加・改良と共に、出荷動向を踏まえた製品の統廃合を適宜行い、顧客満足と生産効率の両立を図って参ります。
一方、新たな取り組みである陶板分野では、陶板屋根材「スーパートライ美軽」をリニューアル致しました。意匠面では中空形状をそのままに重厚感を感じる本体形状に一新、施工面では下地のEPSマットと固定金具が不要になり、施工時間の短縮が可能となりました。
上記取り組みの結果、当事業年度の一般管理費と製造原価に含まれる研究開発費は総額