第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2021年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針

 当社は、パウダー&サーフェス分野で世界最高技術を提供し、私たちが理想とする「エクセレントカンパニー」を目指します。

企業理念としては以下を掲げ、創業以来一貫して製品の高品質化と安定供給に努めております。

 

1.企業使命

・高度産業社会の期待に新技術で応え、地球に優しく、人々が快適に暮らせる未来の創造に貢献します。

2.経営姿勢

・お客様の視点に立って独自のソリューションを提案します。

・一人ひとりが「働きがい」と「働きやすさ」を実感できる会社を目指します。

・経営環境の変化に対応するため、何事にも積極果敢にチャレンジし、変革し続けます。

・技術と経営の質を高め、法令を遵守し、ステークホルダーの信頼に応えます。

3.行動規範

・お客様の満足を常に考え行動します。

・問題の本質を追求し、迅速かつ確実に解決します。

・夢の実現に向け、熱意、誠意、創意を持ってチャレンジします。

・一人ひとりのアイデアを尊重し、それをカタチにします。

・良き市民・良き国際人として高い倫理観をもって行動します。

 

ますます多様化する顧客ニーズや技術水準の高度化に対して、当社は迅速かつ的確に対応し「お客様目線の実践」に取組むことにより、企業価値を高めてまいります。

 

(2) 経営戦略

 当社は、パウダー&サーフェス分野で、お客様のニーズにより早くより正しく対応するために、周辺技術を取り込んだ先進技術と最高の品質を継続的に提供し、お客様から真っ先に依頼がくる信頼関係をつくり上げ、ニッチ市場におけるトップシェアを獲得します。

 

(3) 経営環境

 当社が主に事業展開している半導体市場は好不況の波が激しい産業構造にあり、当社においては、その波から受ける影響を緩和させ、売上の安定化と更なる拡大を目指し、事業領域の拡大に努めてまいりました。しかしながら、近年、半導体の堅調な需要に支えられ、シリコン事業及びCMP事業の売上が大きく伸長したことに加え、当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染拡大防止のための「STAY HOME」に伴うデータセンター及びPC向けの需要増加により、市況は堅調に推移したこと、更に、米中貿易摩擦の激化に対する懸念から在庫積み上げの動きがあったことから、当社の半導体向け製品の売上が大きく伸びたことにより、半導体市場への依存度が益々高まる状況となっております。

 

(4) 企業価値向上のための課題

 当社の事業展開において依存度が高まっている半導体市場に対して、中長期的にはかつてのように前年比二桁成長が続くことを期待することは困難であると考えております。このため、新規事業本部及び先端技術研究所においては引き続き短期及び中長期視点での研究開発と新規事業の探索・育成による事業領域の拡大に努めるとともに、機能材事業本部を中心に非半導体領域及び非研磨分野での用途拡大を進めていくことが当社の企業価値向上のための課題であると認識しております。

 

(5) 課題に対する取組み

① 当社の企業価値の源泉について

当社の創業以来蓄積されたノウハウと研究開発力から生まれた当社製品の数々は、シリコンウェハーに代表される半導体基板の鏡面研磨、半導体チップの多層配線に必要なCMP(化学的機械的平坦化)、ハードディスクの研磨等、高精度な表面加工が求められる先端産業に欠かせぬものとなっております。なかでも、主力事業分野である半導体基板向け超精密研磨材では世界ナンバーワンのマーケットシェアを維持しており、超精密研磨のリーディングカンパニーとして、市場優位性を維持しております。

当社は、超精密研磨分野において長年にわたってお客様の要求に応え続けるとともに、開発・製造技術の向上・蓄積に努めてまいりました。その過程において、お客様との信頼関係を築き上げ、柱となる3つのコア技術「ろ過・分級・精製技術」「パウダー技術」「ケミカル技術」を確立しました。「ろ過・分級・精製技術」は、砥粒の粒度分布を制御し、研磨対象物の品質に悪影響を及ぼす粗大粒子や不純物を除去する技術、「パウダー技術」は、粒子の形状を制御し、異なる粒子を均一に混ぜ合わせ造粒する技術、「ケミカル技術」は、研磨材の性能向上に寄与する分散・溶解・表面保護作用を発現させる添加剤を適切に選定する技術です。

 当社のコーポレートスローガン「技術を磨き、心をつなぐ」には、先端技術を通してより良い製品づくりに貢献し、人々の心をつなぎ、生活を豊かにするという意味が込められており、人を尊重し地球環境に配慮した製品づくりが当社の「ものづくり」の根底に流れております。当社はこうした「ものづくりの精神」と従業員一人ひとりが変化に果敢に挑戦するという企業風土により、企業競争力を高めてまいりました。

 当社の企業価値の源泉は、こうした製造現場と一体となった高い技術力・開発力、長い歴史のなかで培われたお客様との信頼関係、労使間の健全かつ一体感のある企業風土にあると考えております。今後の技術革新をリードし業績の拡大を目指していくためにも、お客様の信頼度の更なる向上、従業員の士気向上を図っていくことが重要と考えており、当社はこうした方針のもと、引き続き企業価値の向上にグループを挙げ取組んでまいります。

 

② 企業価値向上のための取組み(中長期経営計画)

2016年11月に策定した現行の中長期経営計画では、「私たちは一人ひとりの前向きなアイデアとチャレンジを応援します」を中長期企業ビジョンに据えました。これは、社員一人ひとりから自発的なアイデアとチャレンジが次々と生まれ、それを育む土壌を整えることで、環境の変化に対応し、目指すべき最終ゴールである企業文化ビジョンに掲げた「強く、やさしく、面白い」会社に向かっていくことを意図したものです。

 当社が主たる事業領域としている半導体市場の環境変化は激しさを増しており、売上高の8割以上を半導体関連分野が占める当社への影響も小さくありません。長らく半導体市場の主役であったパソコンに代わり、市場を牽引してきたスマートフォンも既に成長率は大きく鈍化し、ポストスマートフォンとしてAI、IoT、自動運転等業界の動きが活発化しております。こうした事業環境下、安定的かつ持続的な成長を遂げるためには、特定の市場や用途に偏ることがない事業構造が必要であると考え、非半導体関連売上構成比の向上を目指してまいりました。一方で、当社は2012年に事業ドメインを「パウダー&サーフェス」と定めましたが、実際のところは従前同様に研磨材を中心にした事業活動が軸となっておりました。

 中長期経営計画では、成長の方向性として目指す事業ドメインを改めて「パウダー&サーフェス」と再認識するとともに「表面加工ソリューション」を新たに掲げ、新規事業売上構成比、非半導体向け売上構成比及び非研磨分野売上構成比の向上に向けた取組みを進めております。また、新規用途の拡充及び新規事業の育成・獲得も中長期経営計画の一つの柱としており、短期的には既存事業での深掘りと周辺領域の新規用途開拓を進め、中期的には「パウダー&サーフェス」を意識した非研磨用途・事業を拡充し、更に長期視点では新規事業・新技術育成を進めております。

なお、長期視点では、2015年4月に先端技術研究所を設置し、既存事業の基盤強化と中長期視点での研究開発、新規事業機会の探索と創出活動及び当社技術の強みを体系化・全社共有化・伝播することに取組んでおります。その取組みの一環として当社事業の強化と新規事業創出のスピードアップを目的として、同年11月にコーポレート・ベンチャー・キャピタルファンドを設立し、独自技術を有する複数のベンチャー企業に対して出資を行っております。

上記取組み成果を測る指標として、新規事業売上構成比、非半導体向け売上構成比及び非研磨分野売上構成比について目標を定め、定期的に進捗の確認を行い、安定的かつ持続的な成長に繋げてまいります。また、成長分野への積極投資と併せ株主の皆様への還元についても目標とする連結配当性向を50%以上とし強化しております。

CSR活動においては、これまでの活動に加え、両立支援、女性活躍推進等にもより一層力を注ぎ、持続的な企業価値増大を目指してまいります。

 

 具体的な各事業毎の施策は以下のとおりであります。

[シリコン事業]

半導体基板となるシリコンウェハーを高精度に平坦・鏡面化する研磨工程で用いられる研磨材を研究開発し製造販売する事業です。切断から仕上げ研磨までトータルソリューションを可能とする高品質な製品・サービスを揃えております。益々高度化するお客様の要求に応えるべく、引き続き新技術に支えられた独自性の高い新製品を提供し、「最も信頼されるパートナー」を目指してまいります。また、近年、電気自動車、ハイブリッド自動車の普及が進む中で、注目度が高まっているパワーデバイス基板向け製品開発にも注力し、一部上市しております。

 

[CMP事業]

半導体デバイスの製造工程で用いられる研磨材を研究開発し製造販売する事業です。半導体デバイスは高性能化、高密度化、高集積化に伴い、CMPが適用される工程は増加傾向にあります。お客様の製造・開発拠点に近い、日本、米国、台湾に製造・開発拠点を設け、お客様とより密接な関係を構築し、お客様のロードマップに沿った新製品を開発しております。

[ディスク事業]

デジタルデータの記録媒体であるハードディスクドライブ用ディスク基板の製造工程に用いられる研磨材を研究開発し製造販売する事業です。お客様の生産拠点が集中するマレーシアに製造拠点を置くとともに技術スタッフを配置し、技術サポートを実施することでお客様との信頼関係を構築しております。クラウドサービスや5Gにより送受信されるデータ容量の増加が見込まれており、データセンター向けのハードディスク需要が高まっている中で、次世代ディスク基板への要求を早期に入手し具現化するため基礎開発の拡充も図り、お客様の要求に合った新製品をタイムリーに提供してまいります。

[機能材事業]

電子部品、自動車、レンズ等の製造工程で使用される精密砥石、研磨布紙及びラッピング・ポリシング・ブラスト向けの研磨材と充填剤等として使用される機能性材を研究開発し製造販売する事業です。粒子形状・粒度分布制御及び造粒技術を始めとするパウダー技術を活かし、お客様のご要望に的確な対応をすることにより潜在的なニーズまでも引き出し、更に信頼を高めてまいります。また、パウダーの新たな用途についても技術力を強化し、探索を進めております。

[溶射材事業]

半導体装置、航空機及び鉄鋼等様々な業界の機械部材の長寿命化、高機能化を実現するために、環境に優しい表面処理として使用される溶射用途向けに、主にサーメット、セラミックス等の溶射材を研究開発し製造販売する事業です。独自の粉末造粒技術を一層強化し、タイムリーなソリューション提案を行うとともに、新規市場として期待される3Dプリンター用超硬材料等の開発にも注力し、売上拡大を目指してまいります。

[新規事業]

既存事業以外の様々な新規用途で用いられる、多種多様な材料(金属、樹脂、セラミック、複合材料等)や形状(2次元、3次元形状)に対応した研磨材等を研究開発し製造販売する事業です。世界の様々な業界のお客様から寄せられる、新たな表面創成のご要望に、研磨材のみならず用途に応じた周辺消耗材や装置、加工プロセスまでを含めたトータルソリューションでお応えしてまいります。

 

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2021年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)原材料の調達について

当社グループは、原材料や部品等を外部より購入しております。購入にあたっては複数の購入先を確保することを基本としておりますが、一部の品目においては限られた購入先に依存しております。そのため、需要の急激な増加に伴う供給不足や供給先からの供給遅延により十分な供給が受けられない可能性があります。

このようなリスクに対応するため、仕入先との関係強化や代替原材料の認定を推進する等の対策を進めております。

 

(2)研究開発について

当社グループは超精密研磨材分野においてこれまで高いシェアと利益率を維持してまいりました。しかしながら、予想を超えた技術・市場の変化により、お客様の技術的なニーズを満たす製品を速やかに提供できない場合は、将来の成長と収益性を低下させ、当社グループの業績に大きな影響を与える可能性があります。

このようなリスクに対応するため、当社グループでは、日本のほか、米国、台湾に研究拠点を設け、お客様のすぐ近くで、お客様の求める製品をタイムリーに提供できるよう、お客様と一体となって新製品の開発を推進しております。また、変化の激しい市場環境に対応するために、自社内での研究開発にとどまらず様々な分野で大学・研究機関・企業とも積極的に連携を進めております。

 

(3)企業買収について

当社グループは、事業の成長を加速させる上で必要な技術の獲得や市場における優位性の確立に資するM&Aは有効な手段と考えておりますが、買収後の市場環境や競争環境の著しい変化があった場合には投下資本の回収が困難となり、ひいては当社グループの業績に大きな影響を与える可能性があります。

M&Aの検討にあたっては、対象となる市場の動向や顧客ニーズ、被買収企業の業績、財務状況、技術優位性や市場競争力、将来事業計画及びシナジー効果に加え、M&Aに伴うリスク分析結果等を考慮しております。また、買収前には専門家を活用したデューデリジェンスにより被買収企業の実態及び問題点の有無を調査し、買収後は企業価値の向上と長期的成長を支える新たなマネジメント並びにガバナンス体制を構築、推進いたします。

 

(4)製品保証について

当社グループでは製品の品質保証体制を確立し、製造物責任保険も付保しております。しかし、当社製品に起因する損害が発生した場合、当社グループの業績に大きな影響を与える可能性があります。

このようなリスクに対応するため、当社グループでは品質保証体制を継続的に改善し、お客様からの新たな要求に対する品質改善に努めるだけでなく、品質に関わるクレームを受けた際には原因の根本対策による再発防止を徹底する等、高度化するお客様からの品質要求に応えるための体制を整備しております。

 

(5)競争の激化について

当社グループの主力事業分野である半導体基板向け超精密研磨材では世界ナンバーワンのマーケットシェアを維持しており、超精密研磨のリーディングカンパニーとして、市場優位性を維持しております。しかしながら、国内外に多様な競合企業が存在するため、当社グループの競争優位が脅かされたり、当社製品を上回る性能の新製品が競合企業により開発・上市されるリスクがあります。

このようなリスクに対応するため、研磨機構の科学的解明に基づき、研磨材の重要構成成分である薬液を独自設計することで、研磨性能の向上を図っております。また、半導体基板の研磨工程には、粗研磨から最終研磨まで複数の研磨工程があり、当社グループはその全ての工程の研磨材を手掛け、最終仕上げ面をお客様の求めに応じ高品位かつ効率的に発現させうる、各工程における最適な研磨材とプロセスを提供しております。

 

(6)原材料の価格について

当社グループで製造している研磨材には、海外から輸入される天然資源を原材料とするものがあります。近年当該原材料価格が高騰しており、更なる原材料価格の高騰は利益の一層の減少や、ひいては固定資産の減損に繋がり、当社グループの業績に大きな影響を与える可能性があります。

このようなリスクに対応するため、複数購買の推進等、影響を低減する施策に取組んでおります。

(7)市場環境の変動について

当社グループが事業活動を行っている日本、北米、アジア及び欧州等の市場において、景気後退により個人消費や民間設備投資が減少した場合、当社グループが提供する製品の需要減少や価格競争の激化が進展し、当社グループの業績に大きな影響を与える可能性があります。

このようなリスクに対応するため、お客様から最新情報を入手し、アナリストや投資家とのコミュニケーションを通じて市場動向の把握、分析及び事業戦略を立案する等、適宜対策を講じております。

 

(8)海外での事業展開について

当社グループでは、日本、北米、アジア及び欧州等において幅広く海外活動を展開しています。そのため、海外における政治経済情勢の悪化、予期しない法律や規制の変更、治安の悪化等のリスクが内在しており、当社グループの業績に大きな影響を与える可能性があります。

このようなリスクに対応するために、有事の際の連絡系統を確立し、グローバルで速やかに情報共有できる体制を取っております。また、年2回グローバルリスク委員会を開催し現地リスクの特定、対策を講じております。

 

(9)情報漏洩について

当社グループは技術、営業、その他事業に係る機密情報並びに多数の企業及び個人の情報を保有しております。それらについては、万全の情報管理体制を構築しておりますが、コンピューターウイルス、その他の要因により情報漏洩等が発生した場合、当社グループの業績に大きな影響を与える可能性があります。

このようなリスクに対応するために、当社グループでは、情報セキュリティに関する各種規程を整備・運用し、役員従業員への教育研修等を通じて、情報及び情報機器の適正な取扱いを浸透させております。

 

(10)災害等について

地震や台風等大規模な自然災害その他の事象により大きな被害を受けた場合、正常な生産活動や研究開発活動が妨げられ、当社グループの事業活動、業績及び財政状態に大きな影響を与える可能性があります。
 加えて、新型コロナウイルス等の感染症の拡大により、供給元、納入先、当社グループの工場等のサプライチェーンに影響が生じた場合や、従業員の感染による操業停止等により、同様の影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、このようなリスクに対応するべく、事業継続計画(BCP)や災害対策マニュアルの策定、及びその実効性を高めるための定期的な訓練を実施し、災害発生時においても重要な事業の継続、早急な事業復旧が可能な体制の整備を行っております。
 また、新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、時差出勤及び在宅勤務の実施並びに衛生管理の徹底等を実行するとともに、従業員向けのガイドラインの策定・更新を重ね、運用しております。

 

(11)為替変動について

当社グループは積極的に海外との取引を展開しており、海外連結子会社6社を有しております。2020年3月期及び2021年3月期における連結売上高の海外売上構成比は、それぞれ75.1%及び76.8%となっており、今後も高い比率で推移するものと想定いたします。外貨建ての取引は必要に応じて先物為替予約によりヘッジを行っておりますが、為替変動が当社グループの業績に大きな影響を与える可能性があります。

 

(12)知的財産権について

当社は技術主導型の企業であり、知的財産を優れた製品の競争力確保のための重要な源泉であると位置付け、その強化に継続的に取組んでおります。しかしながら、当社グループの知的財産権が侵害される可能性や第三者が保有する知的財産権を侵害する可能性があり、当社グループの事業遂行や競争力に影響を与える可能性があります。

更なる技術の差別化を目的とした独自技術の確保に努めるとともに、より強固な知的財産ポートフォリオを確立し、第三者の知的財産権に関する調査・侵害予防活動を遂行するため、海外子会社を含むグループ全体での知的財産の管理・運営体制の整備を進めております。また、訴訟等の発生にもタイムリーかつ効果的に対応できるよう国内及び主要マーケット各国の知財・法務の専門家との連携ネットワークを確立し、その維持強化を図っております。

 

(13)人材について

当社グループが競争力を維持するためには、今後の事業展開に必要な優秀な人材の確保・育成が重要であると認識し必要な施策を実施しております。こうした優秀な人材が確保・育成できなかった場合、当社グループの事業遂行に制約を受け、当社グループの業績に大きな影響を与える可能性があります。

このようなリスクに対応するべく、事業運営に必要なビジネススキルを可視化し、高い専門性や豊富な経験を有する人材の採用を進めているほか、長期的な人材確保の観点から若手人材を継続的に採用し、必要なビジネススキルの習得に資するトレーニング機会の充実を図っております。加えて女性活躍推進や仕事と家庭の両立支援といったダイバーシティ施策を推進し、個々の就業ニーズに対応できる仕組みを強化しております。

 

(14)固定資産の減損について

当社グループでは、固定資産の減損に係る会計基準を適用しております。今後、事業環境の大幅な悪化や原材料価格の高騰及び競争の激化等があった場合には、減損損失が発生し、当社グループの業績に大きな影響を与える可能性があります。

このようなリスクに対して、(2)研究開発について、(5)競争の激化について及び(6)原材料の価格について等に記載しているとおり適宜対策を講じておりますが、当連結会計年度には収益性の悪化及び資産の市場価値の著しい下落等により、減損損失を計上しております。

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当連結会計年度の当社グループを取り巻く環境は、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響により各国で経済活動が停滞し、また、貿易摩擦に加え香港問題等により米中対立の懸念が高まる中、世界経済は不透明感が一層強まりました。一方、世界半導体市場は、新型コロナウイルス感染拡大防止のための「STAY HOME」に伴うデータセンター及びPC向けの需要増加により、市況は堅調に推移したことに加え、米中貿易摩擦の激化に対する懸念から在庫積み上げの動きがありました。

 こうした状況下、当連結会計年度の業績は、売上高41,956百万円(前期比9.2%増)、営業利益7,639百万円(前期比27.2%増)、経常利益7,709百万円(前期比24.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益5,607百万円(前期比31.3%増)となりました

 

 セグメントの業績は、次のとおりであります。

 日本につきましては、最先端半導体デバイス向けCMP製品及びシリコンウェハー向け製品の販売が増加したことにより、売上高は24,781百万円(前期比13.2%増)、セグメント利益(営業利益)は売上増加に加え製品構成の良化により7,362百万円(前期比35.5%増)となりました

 北米につきましては、売上高は5,628百万円(前期比1.9%減)となりましたが、セグメント利益(営業利益)は製品構成の良化により、416百万円(前期比47.7%増)となりました。

 アジアにつきましては、最先端ロジックデバイス向けCMP製品の販売が好調に推移したことから、売上高は10,044百万円(前期比8.6%増)、セグメント利益(営業利益)は2,050百万円(前期比4.9%増)となりました。

 欧州につきましては、売上高は1,502百万円(前期比1.3%減)セグメント利益(営業利益)は為替の影響もあり159百万円(前期比19.7%減)となりました

 

 主な用途別売上の実績は、次のとおりであります。

 シリコンウェハー向け製品につきましては、半導体業界の高い稼働に支えられ、ラッピング材の売上高4,604百万円(前期比20.0%増)、ポリシング材の売上高は9,621百万円(前期比6.8%増)となりました

 CMP向け製品につきましては、メモリ向けでは需要に一服感が見られたものの、ロジック向けの需要は引き続き好調に推移したことから、売上高は20,037百万円(前期比15.4%増)となりました

 ハードディスク向け製品につきましては、SSD(ソリッドステート・ドライブ)への置き換えによる市場の縮小及び顧客の生産プロセスの変更の影響により、売上高は1,705百万円(前期比21.2%減)となりました

 非半導体関連の一般工業用研磨材につきましては、自動車及び産業機械向け需要の回復もみられ、売上高は3,779百万円(前期比5.8%増)となりました

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、29,418百万円となり、前連結会計年度に比べ、6,499百万円増加しました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は、8,743百万円の収入となり、前連結会計年度に比べ、2,510百万円増加しました。これは主に、税金等調整前当期純利益の増加による資金の増加があったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は、42百万円の支出となり、前連結会計年度に比べ、3,502百万円減少しました。これは前連結会計年度に投資有価証券の取得による支出があったこと及び当連結会計年度に有価証券の償還による収入があったこと等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は、2,481百万円の支出となり、前連結会計年度に比べ、267百万円増加しました。これは主に、配当金の支払いが増加したことによるものであります。

(資本の財源及び資金の流動性)

 当社グループの必要な運転資金及び設備資金の財源につきましては、自己資金を基本としております。また、当連結会計年度末の流動比率は577.3%であり、十分な流動性を確保しているものと認識しております。

 当社グループは企業価値向上のために、最先端半導体分野での研究開発や新規事業の創出及びM&Aに活用する資金を必要としております。また一方では、株主に対する適正な利益還元を行うことを経営の重要課題と認識しております。当社グループといたしましては、安定的な事業運営と成長のための投資及び積極的な株主還元を勘案し、持続的な企業価値向上に資する現金及び現金同等物の活用を志向してまいります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

  当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

前年同期比(%)

日本

(百万円)

31,009

115.4

北米

(百万円)

5,542

108.0

アジア

(百万円)

5,510

112.3

合計

(百万円)

42,062

113.9

 (注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

b.受注実績

  当社グループは、一部受注生産を行っておりますが、受注生産高の売上高に占める割合の重要性が乏しいため、記載を省略しております。

 

c.販売実績

  当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

前年同期比(%)

日本

(百万円)

24,781

113.2

北米

(百万円)

5,628

98.1

アジア

(百万円)

10,044

108.6

欧州

(百万円)

1,502

98.7

合計

(百万円)

41,956

109.2

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2019年4月1日

  至 2020年3月31日)

当連結会計年度

(自 2020年4月1日

  至 2021年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

長瀬産業㈱

7,178

18.7

11,230

26.8

TAIWAN SEMICONDUCTOR MANUFACTURING CO., LTD.

5,432

14.1

6,483

15.5

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2021年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 当社グループは、連結財務諸表の作成において使用される以下の重要な会計方針が特に当社グループの重要な判断と見積りに大きな影響を与えると考えております。

 

a.貸倒引当金

当社グループは、お客様の支払不能時に発生する損失の見積額について、貸倒引当金を計上しておりますが、お客様の支払能力が低下した場合には追加引当が必要となる可能性があります。

 

b.棚卸資産

当社グループは、棚卸資産の将来需要及び市場状況に基づく時価の見積額と原価との間に差額が生じた場合、評価減を実施しております。

 

c.固定資産の減損

当社グループは、固定資産の減損に係る会計基準を適用しております。この適用に当たり、合理的で説明可能な仮定及び予測に基づいて将来のキャッシュ・フロー等の見積りを行っておりますが、その仮定及び予測に変動が生じた場合、減損損失の計上が必要となる可能性があります。使用価値の算定に使用される将来キャッシュ・フローは、経営者により承認された経営計画を基礎とし、貨幣の時間的価値及び当該資産の固有のリスクを反映した税引前割引率を用いて見積もっております。なお、当連結会計年度において、収益及びキャッシュ・フローの早急な改善が見込めないと判断した事業用資産について減損損失を計上しております。

 

d.投資の減損

当社グループは、長期的な取引関係の維持のために、特定のお客様及び金融機関の株式を所有しております。これらの株式の投資価値が下落した場合、減損損失の計上が必要となる可能性があります。この減損処理は、時価が取得原価に対して50%以上下落した場合、加えて30%~50%程度下落した場合で、回復の見込がないと判断される場合に行います。また、将来の市況悪化や投資先の業績不振により、評価損の計上が必要となる可能性があります。

なお、当社において回復の見込みがないとは次のいずれかの要件に当てはまる場合をいいます。
イ.株価が過去2年間継続的に30%以上下落し一度も回復傾向のない状態にある
ロ.株式の発行会社が債務超過の状態にある
ハ.株式の発行会社が2期連続で損失を計上しており、翌期も損失計上が予想される

 

e.繰延税金資産の回収可能性

繰延税金資産の回収可能性は、過去の納税状況や将来の事業計画等、現状入手可能な情報を用いて判断しております。当社グループは、回収可能と見込めないと判断した部分を除いて繰延税金資産を計上しておりますが、経営成績の悪化等により将来の課税所得の見積額が減少した場合や法定税率の変更等により繰延税金資産が取崩された場合に、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

f.退職給付債務等

当社グループの退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の期待運用収益率に基づいて算出しております。しかしながら、運用環境の悪化等により、実際の結果がこれらの前提条件と異なった場合、あるいは前提条件の変更が必要になった場合には、退職給付費用や債務が増加し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。なお、詳細につきましては、第5「経理の状況」1「連結財務諸表等」(1)連結財務諸表「注記事項」(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)(4)退職給付に係る会計処理の方法及び(退職給付関係)をご参照下さい。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社は、持続的な企業価値増大を目指し、中長期経営計画を策定しております。その概要については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)課題に対する取組み ②企業価値向上のための取組み(中長期経営計画)」に記載のとおりであります。現行の中長期経営計画では、連結売上高、連結営業利益率、連結新規事業売上高構成比を特に重要な経営指標と捉え、その実現に向けた取組みを進めております。当連結会計年度につきましては、新規事業及びM&Aに関する取組みを進めているものの十分な売上を計上するまでに至っておらず、連結売上高及び連結新規事業売上構成比は計画に対し未達となりました。一方で、半導体市場が好調に推移したことに加え収益性の高い最先端製品に注力したことから、連結営業利益率は計画を上回りました。

 

2021年3月期

中長期経営計画

2021年3月期

実績

連結売上高(億円)

522

419

連結営業利益率(%)

14.2

18.2

連結新規事業売上構成比(%)

21.0

1.8

 当社といたしましては、持続的な企業価値向上のためには、新規事業売上構成を高める必要があると考えており、引き続き中長期経営計画の取組みを進めてまいります。

 

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

当社製品は、お客様にて製造される製品の性能を大きく左右するため、原材料の検討から最終製品の開発に至るまでの一貫した研究開発活動を進めております。当社のコア技術である、①ろ過・分級・精製技術、②パウダー技術、③ケミカル技術の強化、並びに新規生産技術の開発と実用化を推進しております。また、個々のお客様のニーズに即したソリューション型プロセス開発を行っております。

当連結会計年度の研究開発費4,116百万円で、日本が3,228百万円、北米が670百万円、アジアが218百万円となりました。

なお、日本においては全ての製品の研究開発活動を、北米及びアジアにおいてはCMP向け製品の研究開発活動を行っております。

シリコンウェハー用のファイナルポリシング材においては、半導体デバイスの微細化に伴い、ウェハー表面の極微小なディフェクト(パーティクル、欠陥、異物)の低減と表面の平滑性がますます重要となっております。近年、極微小ディフェクトを低減し、同時により高精度な平滑面に仕上げることができるポリシング材を開発しており、大手のお客様で採用されております。また、一次・二次ポリシング材についても、加工精度と生産性向上に寄与する新コンセプトの商品を開発しており、多くのお客様に採用されております。

ラッピング材に関しましては、シリコンウェハー用途を中心に、品質向上及びコスト低減を念頭に置いた量産化技術の開発に取組んでおり、その開発から生まれた製品は一部のお客様に採用されております。

パワーデバイスの分野で用いられるSiC基板やGaN基板等、難加工材料用のポリシング材においては、高速・高面質となる新たな商品・プロセスの開発に取組んでおります。

CMP向け製品については、半導体デバイスの高集積化がますます進展し、新構造トランジスタを作製するためのポリシング材をはじめとする各種製品の需要拡大が進んでおります。加えて、次世代に向け更なる微細化に対応した各種ポリシング材製品の開発を進めております。新規製品の一部は大手のお客様で採用に向けて評価が進められております。

ハードディスク用ポリシング材に関しましては、主力製品のアルミディスク用ポリシング材は、他社との競争激化に対抗すべく、高性能な次世代品の開発をしており、採用に向けたお客様での評価が進められております。また、ガラスディスク用ポリシング材は、大手のお客様で量産使用されており、次世代の高記録密度ガラスディスクにも対応できる見込みです。

機能材分野におきましては、プラスチック、ガラス、セラミックを中心に多種多様な材料の研磨材・機能性材の開発に取組んでおります。多種多様なお客様に対応するため、お客様のご要望を的確に捉え、当社の技術力を活用してお客様にご満足していただける開発を推進しています。

 溶射材事業につきましては、半導体及び液晶関連製造装置等に高純度セラミックス材、鉄鋼・発電・航空機及び一般機械部品等にはサーメット材、更に新規の溶射技術・装置に最適な材料の開発を推進し需要拡大を図っております。

 新規事業におきましては、既存事業以外の様々な新規用途で用いられる、多種多様な素材(金属、樹脂、セラミック、複合材料等)や形状(2次元、3次元形状)に対応した研磨材等の開発に取組んでおります。モバイル端末やディスプレイ、LED、自動車をはじめとする、世界の様々な業界のお客様から寄せられる、新たな表面創成のご要望に、トータルソリューションでお応えしております

 先端技術研究所は、1)既存のコア技術の深耕・強化、2)フジミの技術と親和性の有る分野での新規事業の創出、3)フジミとシナジーを有し、基盤技術強化や補完に役立つ有望な技術を保有するベンチャーへの投資やM&Aの3つを遂行するために設立して以来、6年が経過しました。この間、開発活動としては展示会を利用してコア技術を社外発信し、社外研究機関との連携を活発化させ、「パウダー&サーフェス分野」で事業領域の拡大となる新規事業テーマの探索に努めて参りました。また、既存事業に関わるろ過・分級技術、パウダー技術、ケミカル技術や分析技術の強化を推進しております。