当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、基幹事業である土木用・建築用セメント製品事業を中心に、収益の確保を最優先とした事業展開を基本方針とし、市況の情勢に呼応する販売体制の確立や業務効率の向上を目指した企業体質改善への取り組みに加え、提案・設計営業の強化や土木用大型コンクリート構造物のプレキャスト化への推進により、販売力の強化とシェアの拡大を図り、市況動向への迅速な対応にも注力することを重点方針としております。
(2)経営戦略等
上記重点方針のもと、社会資本の整備に向けた具体策への情報収集に加え、国土強靭化に向けた防災・減災対策や道路・橋梁等の老朽化対策等に対する各地方自治体の動向に今以上の注視を重ねております。また、自然災害による被災地に対しましては、工事の進捗に合わせ必要とされるコンクリート二次製品の安定的な供給が責務であると受け止め、当社グループの総力を結集させ全力にて取り組むとともに、業務効率の向上を目的とした同業他社とのアライアンスなど、根幹的な収益確保に向けた企業体質の改善にも取り組んでおります。
(3)経営環境
今後の当社グループを取り巻く経営環境につきましては、国土交通省の2024年度当初予算は前年度と同水準にて決定され、建設業の2024年問題に対し有効活用が期待されているプレキャスト工法の推進も活発になると予測されます。また、防衛省の2024年度当初予算は前年度比17.0%増となっており、九州・沖縄方面を始め当社の事業エリアである関東・東北地区でも防衛省関連事業が期待される状況下にあります。そのほか、当社の本店所在地である熊本県内では、半導体関連産業の集積に伴う産業用地の整備や周辺道路の交通渋滞改善に向けた道路整備等の公共事業投資に加え、関連産業の工場建設や住宅供給等の民間設備投資も多く計画されております。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
上記の経営環境を踏まえ、当社グループは、建設業界の人手不足や働き方改革に対応できるプレキャスト工法の需要増を見据えて製品供給体制の強化を図るとともに、新設した品質保証室を中心に技術本部や製造部門と連携し、顧客が求める高品質へのニーズにも応えるべく取り組んでまいります。また、雇用・所得環境の改善を目的とした賃金の上昇に加え、物価上昇圧力による原材料並びに資材・経費の価格上昇や高止まりも継続されることが予想され、これらに伴うコストアップへの対処として、利益率の改善や販売価格への転嫁にも取り組んでまいります。
(5)課題に対する具体的な取組状況等
当社グループは当面の課題に対処するため、土木用セメント製品事業におきましては、大型コンクリート構造物のプレキャスト化の普及拡大を推進すべく、継続的かつ意欲的な営業活動に努め、国や各地方自治体の防災・減災、国土強靭化の動きにも適宜対応してまいります。また、自社製造品の売上割合増加による利益率の改善を目指し、営業・工場の連携をより一層深め、製品供給体制の強化を図るとともに、製造の効率化と利益率向上に取り組んでまいります。
建築用セメント製品事業におきましては、建設現場における人手不足の常態化や働き方改革による4週8休等が浸透しつつある中、これらに対応できる建築用コンクリート製品の強みを活かしながら、回復基調にある民間建設投資の動きに臨機応変に対応するとともに、安定的な受注の確保による工場生産量の平準化を徹底し、労務費上昇や資材価格高騰などによるコストアップを吸収すべく原価低減を図ってまいります。
不動産関連事業におきましては、物価高や金利上昇並びに半導体工場周辺における地価高騰など、住宅の購買意欲に懸念材料もみられる中、環境の激しい変化に柔軟に対応するとともに、自社分譲地の開発や販売を促進してまいります。また、主な集客拠点である総合住宅展示場及び複数展開する建売モデルハウスへ効率的に誘導するなどインサイドセールスを強化してまいります。
(6)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、持続的な事業拡大による企業価値の向上を経営の目標とするとともに、財務の安全性と株主還元のバランスをとりつつ、十分な財務基盤を確保することを資本政策の基本方針としております。
このような方針のもと、ROE(自己資本利益率)を重要な経営指標として捉え、資本効率を重視した経営により10%以上を目標としております。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社グループは、「人と環境の最適な調和を提唱し、豊かな社会の発展に貢献します」との経営理念に基づき、ESG(環境・社会・ガバナンス)を重視した経営や経済価値と社会価値の双方を創出するサステナビリティが重要な経営課題であるという認識のもと、中長期的な企業価値向上の観点からその取り組みを推進しております。この取り組み状況等につきましては、各本部長が定期的に取締役会および経営会議に報告し、取締役会にて経営に関する重要事項について迅速な意思決定や取締役間の意思疎通と業務の執行に対する監督を行っております。なお、取締役会は取締役及び事業責任者等が出席する経営会議とともに原則月1回開催し、これらには監査役も常時出席し、経営及び事業に関わる案件について随時、監査・監督を行っております。また、内部監査室が計画的かつ網羅的な内部監査の結果等を都度取締役・監査役に報告するとともに、定期的に代表取締役社長に報告しております。
(2)戦略
当社は、環境問題に関しまして、気候変動により激甚化する災害に対し、被災地へのコンクリート製品の適時適切な供給はもちろんのこと、気候変動のリスク自体を減らす為に温室効果ガスの低減を狙い、同業者の會澤高圧コンクリート㈱(北海道苫小牧市)と「a NET ZERO イニシアティブ協定」を締結し、同業52社と共に協力し、カーボンニュートラルの施策を実施しております。これには、当社の技術部門及び管理部門が主体となり、経過は取締役会への報告を行う体制としております。カーボンニュートラルの具体的な戦略としましては、コンクリートに関する新技術の共有や削減方法の技術開発を行うWGへ参画し、定期的に各社の削減状況の共有を行う事で削減に向けて確実に進めていくこととしております。
(3)リスク管理
当社は、サステナビリティに関するリスクの識別や優先すべきリスクの抽出を含め、グループ経営に関するさまざまなリスクを審議するため、内部監査室と管理本部が協力し、直接的あるいは間接的に当社グループの経営または事業運営に支障をきたす可能性のあるリスクに迅速かつ的確に対処し、適宜グループ各社に必要な指示・監督を行うとともに、その内容を定期的に取締役会に報告する体制を整えております。
なお、当社グループにおけるリスクマネジメントの取組みについては「
ます。
(4)指標及び目標
環境問題に関しましては、カーボンニュートラルの実現期限を2040年までと定め取り組んでおります。
当社グループの事業その他に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。なお、当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存であります。
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営成績の変動要因について
①土木用セメント製品事業における公共事業投資の影響について
土木用セメント製品事業については、国土交通省をはじめ地方自治体が行う公共事業の動向に大きく影響を受ける分野であり、この国土交通省や地方自治体の予算執行や物件発注などの公共事業投資内容により、当事業における製品需要が変動いたします。
②土木用セメント製品事業における季節的変動について
当社の土木用セメント製品事業の売上高は、公共事業の発注と関連性があり、上半期の売上高に比べて下半期の売上高の割合が多くなる傾向にあります。今後も同様の理由により季節的変動が予想されることから、業績を判断する際には、留意する必要があります。なお、2024年3月期における当事業の年間売上高に占める下半期の売上高の割合は59.9%であります。
③金利の変動について
当社グループは、金融機関からの借入れにより必要な運転・設備資金を調達しており、短期的な資金調達については、そのほとんどが変動金利となっております。当社グループでは、この金利変動リスクを軽減するため、借入金の返済等による有利子負債の圧縮に努めておりますが、急激な金利の変動(上昇)により、当社グループの経営成績が影響を受ける可能性があります。
(2)災害について
①自然災害の影響について
当社の一部の製造工場は、立地条件により台風や地震などの自然災害の影響を受ける可能性があります。これらの災害防止には自治体などの協力を得て、可能な限り対策に努めておりますが、これらの事象が発生した場合、製品及び原材料等に被害が生じる可能性があり、また、資材等の購入、生産活動、製品の販売及び物流などに遅延や停止が生じ、そのような状況が長期にわたる場合には、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
②感染症の拡大について
当社グループの事業関連である建設業界では、ウイルス等の感染拡大により経済が悪化し、民間設備投資などが減少した場合のほか、国の判断による緊急事態宣言の発動や建設資材不足などにより、建設工事が中断・遅延した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、ウイルス等の感染拡大に歯止めが掛からず、経済活動の停滞が長期化し、取引先等の企業存続が危ぶまれる状況となれば、当社グループの業績への影響は避けられないものとなります。なお、当社グループにおいて、係る状況を迎えた際には、あらゆる策を講じてウイルス等の感染防止に努める所存でありますが、当社グループ内で罹患者が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)原材料の市況変動について
当社グループにおける原材料等の資材調達は、専従する調達担当部門を核として市況価格等の動向の情報収集に努めるとともに、集中購買のメリットを生かした有利調達にも注力しております。しかしながら、製品の主要原材料はセメント・鉄筋等であり、それら原材料の価格が高騰した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症に対する行動制限緩和に伴うインバウンド需要の増加や各種政策の効果により、緩やかな持ち直しの動きが見られたものの、ウクライナ・中東の地政学リスクの増大や原材料・エネルギー価格の上昇、金利・為替の変動など、景気の先行きは不透明な状況で推移いたしました。
当社グループを取り巻く経営環境におきましては、国の継続的基本方針の一つである「国民の安全・安心の確保」を実現するために、国土交通省の2023年度当初予算は前年度と同水準にて決定され、VFM(Value for Money)の考え方を取り入れたプレキャスト工法の活用推進も活発になってきており、防衛省関連におきましても、九州・沖縄方面の事業拡大が期待される状況となりました。また、当社の本店所在地である熊本県内の大型企業誘致に関連する事業も多く計画されており、新型コロナウイルス感染症の影響で縮小傾向にあった民間需要も徐々に回復の兆しが見えてまいりました。
このような状況のもと、当社グループは、国土強靭化計画に基づく防災・減災対策並びに道路・トンネル・橋梁等の各種インフラ老朽化対策に向けた国や各地方自治体の動向に注視するとともに、生活の基盤を支える社会資本整備への具体策に向けた情報収集にも注力してまいりました。また、エネルギー価格の高騰およびウクライナや中東の情勢等に起因する諸品目の価格高騰などを要因として、原材料並びに資材・経費の価格上昇が続いておりますが、当社グループでは徹底した工場生産量の平準化による原価低減と柔軟な販売価格への転嫁により、係る原価の上昇をカバーできるよう努めてまいりました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ3,508百万円増加し、18,620百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ2,282百万円増加し、11,628百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,225百万円増加し、6,991百万円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高20,807百万円(前年同期比15.4%増)、営業利益1,824百万円(同118.7%増)、経常利益1,834百万円(同120.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,297百万円(同139.9%増)となりました。
セグメントの経営成績は次のとおりであります。
土木用セメント製品事業は、売上高16,316百万円(前年同期比25.0%増)、営業利益2,725百万円(同95.4%増)となりました。
建築用セメント製品事業は、売上高3,659百万円(前年同期比6.2%減)、営業利益58百万円(同73.4%減)となりました。
その他の事業は、売上高830百万円(前年同期比22.8%減)、営業損失4百万円(前年同期は営業利益9百万円)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ678百万円増加し、当連結会計年度末には1,955百万円(前年同期末は1,277百万円)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は1,313百万円(前年同期は260百万円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は411百万円(前年同期は329百万円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は223百万円(前年同期は245百万円の収入)となりました。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
土木用セメント製品(千円) |
8,590,271 |
151.6 |
|
建築用セメント製品(千円) |
3,648,298 |
96.0 |
|
報告セグメント計(千円) |
12,238,569 |
129.3 |
|
その他(千円) |
830,330 |
77.1 |
|
合計(千円) |
13,068,899 |
124.0 |
(注)金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
b.商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
土木用セメント製品(千円) |
6,538,591 |
106.2 |
|
建築用セメント製品(千円) |
887 |
1.3 |
|
報告セグメント計(千円) |
6,539,479 |
105.1 |
|
その他(千円) |
- |
- |
|
合計(千円) |
6,539,479 |
105.1 |
(注)金額は仕入価格によっております。
c.受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
ただし、土木用セメント製品については、一部特殊製品についてのみ受注生産を行っておりますが、大部分は過去の実績並びに設計活動等による予測に基づき生産をしておりますので、記載を省略しております。
|
セグメントの名称 |
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
|
建築用セメント製品 |
4,937,176 |
121.0 |
3,445,602 |
158.9 |
|
その他 |
961,772 |
113.5 |
461,195 |
139.6 |
|
合計 |
5,898,949 |
119.7 |
3,906,797 |
156.4 |
(注)金額は販売価格によっております。
d.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
土木用セメント製品(千円) |
16,316,371 |
125.0 |
|
建築用セメント製品(千円) |
3,659,833 |
93.8 |
|
報告セグメント計(千円) |
19,976,204 |
117.8 |
|
その他(千円) |
830,840 |
77.2 |
|
合計(千円) |
20,807,045 |
115.4 |
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、当社グループが採用している重要な会計方針は「第5 経理の状況1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。また、当社グループの連結財務諸表の作成につきましては、決算日における資産、負債及び報告期間における損益に影響を与える事項につき、過去の実績やその時点で入手可能な情報に基づき、合理的と考えられる範囲で継続的に見積り及び判断を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性により異なる場合があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
イ.財政状態
当連結会計年度末における総資産につきましては、前連結会計年度末に比べ35億8百万円増加の186億2千万円となりました。これは主に、売上高の増加などにより、売上債権(受取手形、売掛金、契約資産の合計額)が23億2千8百万円、現金及び預金が6億7千8百万円、棚卸資産(商品及び製品、原材料及び貯蔵品、未成工事支出金の合計額)が3億1千7百万円、それぞれ増加したことによるものであります。
負債につきましては、前連結会計年度末に比べ22億8千2百万円増加の116億2千8百万円となりました。これは主に、売上高の増加に伴う仕入の増加により仕入債務(支払手形及び買掛金と電子記録債務の合計額)が20億9百万円、税金の計上により未払法人税等及び未払消費税等が8千6百万円及び2千8百万円、賞与の計上により賞与引当金が8千3百万円、それぞれ増加したことによるものであります。
純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ12億2千5百万円増加の69億9千1百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益により利益剰余金が11億3千6百万円増加したことによるものであります。
ロ.経営成績
当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度に比べ15.4%増の208億7百万円となりました。これは主に、土木用セメント製品事業における大型案件や防衛省関連など、九州地区の工事活況によるものであります。
売上原価は、前連結会計年度に比べ11.5%増の155億5千5百万円となりました。これは主に、売上高の増加や賃上げに伴う人件費の増加によるによるものであります。
販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ5.6%増の34億2千7百万円となりました。これは主に、賃上げに伴う人件費の増加によるものであります。
親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ139.9%増の12億9千7百万円となりました。これは主に、売上高の増加や利益率の改善によるものであります。
ハ.キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、売上債権の増加や法人税等の支払い、有形固定資産の取得による支出などによる資金の減少要因があったものの、仕入債務の増加や税金等調整前当期純利益などによる資金の増加要因により、前連結会計年度末に比べ6億7千8百万円増加し、当連結会計年度末には19億5千5百万円(前年同期末は12億7千7百万円)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は13億1千3百万円(前年同期は2億6千万円の収入)となりました。これは主に、売上債権の増加が23億1千9百万円あったものの、仕入債務の増加が20億9百万円あったことや税金等調整前当期純利益が18億3千4百万円となったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は4億1千1百万円(前年同期は3億2千9百万円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出が4億2千8百万円あったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は2億2千3百万円(前年同期は2億4千5百万円の収入)となりました。これは主に、長期借入の返済による支出が3億6千2百万円あったことによるものであります。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
c.資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としており、短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入、設備投資や長期運転資金は金融機関からの長期借入を基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は21億9千2百万円となっており、現金及び現金同等物の残高は19億5千5百万円となっております。
d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、持続的な事業拡大による企業価値の向上を経営の目標とするとともに、財務の安全性と株主還元のバランスをとりつつ、十分な財務基盤を確保することを資本政策の基本方針としております。
このような方針のもと、ROE(自己資本利益率)を重要な経営指標として捉え、資本効率を重視した経営により10%以上を目標としております。
当連結会計年度のROEは、堅調な業績に支えられ前年同期比10.6ポイント増の20.3%となりましたが、今後も引き続き、製造工場における生産効率の向上を追求するとともに、市況を踏まえた販売価格の見直し並びに販売管理費の圧縮にも注力し、目標とするROEを維持してまいります。
e.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
イ.土木用セメント製品事業
当事業におきましては、大型案件の受注獲得に向けて技術提案力を強化し、技術本部・生産統括本部との連携を図るとともに、九州域内における大型案件や防衛省関連の情報収集に努め、国や各地方自治体の防災・減災、国土強靭化の動きにも適宜対応できるよう注力してまいりました。
この結果、売上高は163億1千6百万円(前年同期比25.0%増)、営業利益は27億2千5百万円(同95.4%増)となりました。
ロ.建築用セメント製品事業
当事業におきましては、回復傾向にある民間需要の動きに遅れることがないよう積極的な対応を心掛け、人手不足や工期短縮に対応できる建築用コンクリート製品の強みを積極的にアピールし、安定的な受注の確保に努めるとともに、工場生産量の平準化による原価低減を徹底してまいりました。
この結果、売上高は36億5千9百万円(前年同期比6.2%減)、営業利益は5千8百万円(同73.4%減)となりました。
ハ.その他の事業
不動産関連事業におきましては、リニューアルオープンした総合住宅展示場のモデルハウスと複数展開する「建売モデルハウス」へのWEB活用による効率的な集客を強化し、「質」を重視した受注活動を目指すとともに、人気エリアにおける自社分譲地の開発や販売にも注力して土地の受注売上の増大を図ってまいりました。
この結果、売上高は8億3千万円(前年同期比22.8%減)、営業損益は4百万円の損失(前年同期は9百万円の利益)となりました。
(1)技術援助契約
|
契約会社名 |
契約締結先 |
契約品目 |
契約内容 |
契約期間 |
|
㈱ヤマックス (当社) |
大和クレス㈱ 他27社 |
TSKJ工法 |
コンクリート二次製品の耐震性(T)、止水性(S)、可撓性(K)、継手(J)に関する技術援助及び部材納入契約 |
各社とも2年間契約で以後1年毎に自動更新 |
|
㈱ヤマックス (当社) |
福岡県道路用コンクリート製品協同組合 他26社 |
マルチスリット側溝 |
土木用コンクリート二次製品の多機能型側溝に関する技術援助及び型枠・部材納入契約 |
各社とも2年間契約で以後1年毎に自動更新 |
|
㈱ヤマックス (当社) |
ケイコン㈱ 他12社 |
YPJ工法 |
コンクリート部材の剛結合ジョイント工法に関する技術援助及び部材納入契約 |
各社とも2年間契約で以後1年毎に自動更新 |
|
㈱ヤマックス (当社) |
共和コンクリート工業㈱ 他5社 |
ワンダージョイント工法 |
コンクリート部材結合の高性能継手工法に関する技術援助及び部材納入契約 |
各社とも2年間契約で以後1年毎に自動更新 |
|
㈱ヤマックス (当社) |
丸栄コンクリート工業㈱ 他6社 |
大型プレキャスト工法製品 |
土木用大型プレキャスト工法製品に関する技術援助契約 |
各社とも2年間契約で以後1年毎に自動更新 |
(注)上記について、ロイヤルティーの受取りはありません。
(2)技術導入契約
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契約会社名 |
契約締結先 |
契約品目 |
契約内容 |
契約期間 |
|
㈱ヤマックス (当社) |
大成建設㈱ |
住宅用プレキャストコンクリート板 |
住宅用プレキャストコンクリート板商品名「パルコン」の製造に関する技術導入及び納品契約 |
1973年9月1日から1976年8月31日まで以後1年毎に自動更新 |
(注)上記について、ロイヤルティーの支払いはありません。
当社グループの研究開発活動は、当社技術本部が主体となり新製品及び新技術の開発並びに様々な技術支援活動を行っており、グループ全体の技術的な信用や収益に直接貢献し得るよう努めております。当該部署は、材料、製品、工法、品質及び調査診断に至るまで、先端的で幅広い研究開発活動を行うとともに、大学・企業の研究機関との共同研究により技術力の向上に努めながら、新入社員、営業及び若手社員に対し技術指導を通じ、人材育成にも助力しております。また、当該部署は、当社グループにおける品質基準の監視的役割を担っており、製造設備・製造手順から原材料に至るまで注視し、品質の安定並びに効率性を含めたコスト管理を図り、時代の高度かつ多様なニーズに応えられる企業を目指しております。
また、当社グループは、今後における環境共生型企業を見据え、全工場においてゼロ・エミッション工場を目標に製品製造段階で発生する廃棄物を有効利用する技術の開発も進めております。さらに、NPO法人九州コンクリート製品協会の技術委員として参画し、コンクリート二次製品の技術者の資質向上を通じた更なる品質の向上を図るため、九州地区の製品協会の技術者を対象とした講習会の開催及びプレコン管理士制度の構築など、コンクリート二次製品の信頼性や普及率の向上に向けた活動にも注力しております。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費の総額は
(1)土木用セメント製品事業
当連結会計年度におきましては、多分割大型カルバートの接合技術「圧着式接合工法(PJ工法)」につきまして、引き続き、施工性と経済性を追求して産学共同研究によるブラッシュアップを図っており、このほか、九州大学、長崎大学、熊本高等専門学校などと共同して「構造・工法および材料技術」に関する研究開発活動を行うとともに、高耐久化、施工性、経済性、カーボンニュートラルなどの付加価値を伴う製品開発に努めております。
なお、PJ工法は、2024年5月22日に開催された一般社団法人熊本県工業連合会総会におきまして、「第27回(令和5年度)熊本県工業大賞」を受賞いたしました。
土木用セメント製品事業に係る研究開発費は
(2)建築用セメント製品事業
当連結会計年度におきましては、一般社団法人プレハブ建築協会によるPC部材品質認定制度におきまして、既に非構造部材の認定を取得している当社の小川工場が、設計基準強度36N/mm2を超え60N/mm2までの構造部材の認定を取得いたしました。この小川工場と、既に設計基準強度36N/mm2を超え80N/mm2までの非構造部材および構造部材の生産技術性能証明を保有する当社の長洲工場とともに、昨今の建築部材のプレキャスト化の市場動向に合わせて、高品質なプレキャストコンクリート製品を提供できるよう努めております。
建築用セメント製品事業に係る研究開発費は