第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものです。

 

(1)経営方針

 当社は、設立以来、常に“オンリーワン”を基本理念とし、企業活動を通して快適な住環境を創造し、地球環境に優しい製品の開発、及び積極的な販売を通して顧客満足度の向上に努めております。

 企業の発展のため、正当な利益確保、株主様への適正な利益還元、従業員の生活のさらなる向上、内部組織の充実を推進することを経営方針として、顧客に支持される「オンリーワン企業」を目指しております。

 

(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は、高品質・高付加価値製品の開発を図り、中期的に資本効率をより重視する観点から「自己資本当期純利益率(ROE)」の向上を経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標としております。

 

(3)経営戦略等

 当社は、多様化する顧客のニーズに応えるべく高品質・高付加価値製品を提供できる企業であり続けるとともに、安定成長の確保と収益性の向上に重点をおいた経営改善に努めてまいります。

 

(4)経営環境及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 わが国経済は、政府や日銀が積極的な政策等を打ち出しましたが、新設住宅着工戸数の推移や原油価格の動向等により、今後の売上高への影響や製造コストの上昇が懸念されます。

 こうした厳しい経営環境に対処するため、当社におきましては、生産面においては、製造現場の安全性向上と品質向上を両立させつつ効率化に努めるとともに、物流のより一層の合理化にも取り組むことで、製造原価や輸送の徹底的なコスト削減に努めております。営業面におきましては、騒音防止効果のある屋根瓦からの雨だれ防止効果のついたTM袖瓦を開発することにより、他社にはない高付加価値の瓦を販売し顧客満足度の向上に努めております。

 また、製造コストに見合った適正な販売価格改定についてのご理解をいただくことで、安定供給体制の確保に努めております。

当社は、お客様に一層信頼される企業として成長すべく、「新5S」(スマイル・セーフティー・スペシャルティー・スリム・スピード)を理念として、掲げております。

第63期につきましては、セーフティー(現場重視)、スペシャルティー(チェックシートの改善)、スリム(他部署との連携強化)、スピード(情報発信のスピード化)、スマイル(成果の確認)を重点項目に掲げました。

引き続き、安全な職場環境の整備、お客様満足度の向上及び従業員の意識向上、高付加価値商品の提供を通して、企業環境の激変に的確に対応しうる経営体質の構築及びより一層の収益性の向上と財務体質の強化を推し進めてまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものです。

 当社は、企業理念である「オンリーワン企業として快適な住環境の創造を通じて社会に貢献する」のもと、創業以来一貫して、環境にやさしい製品づくりと持続可能な企業活動を重視してまいりました。サステナビリティの追求は、当社が掲げる「地球環境との共生」と「地域社会への貢献」の具体化そのものであると位置づけております。

 現時点では、サステナビリティに関する基本方針を文書化しておりませんが、今後の経営戦略において中核的なテーマとして据え、具体的な課題の明確化と取り組みの体系化を進めてまいります。

 

(1)ガバナンス

 サステナビリティ関連のガバナンス体制は、現在はコーポレート・ガバナンス体制の中で対応しております。たとえば、製造工程における環境リスク管理、情報セキュリティやコンプライアンス教育などは、内部統制システムの一環として位置付けられ、取締役会および監査等委員会にて定期的にレビューされております。

 今後は、当社の中長期経営計画における重点項目として、サステナビリティガバナンスの独立性と専門性の強化も検討いたします。

 詳細は、「第4提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等(1)コーポレート・ガバナンスの概要」をご参照ください。

 

(2)戦略

 当社では、現時点においてサステナビリティに関する明文化された基本方針は定めておりませんが、企業理念に基づき、事業活動の中で環境・社会・経済の調和を図ることは極めて重要な経営課題であると認識しております。

 特に、瓦製造販売という事業特性においては、「自然素材を活かした建材の提供」「長寿命で再利用可能な製品設計」「地域社会との密接な連携」など、持続可能な社会の構築に資する要素を数多く含んでおり、これらを踏まえた活動を継続的に実施しております。

具体的には、以下のような戦略的取り組みを展開しております。

・廃瓦を活用した園芸用資材「リサイクルコーン」の商品化と販路拡大による資源循環の促進

・騒音や雨垂れへの対応機能を備えた「TM袖瓦」など、付加価値を高めた屋根材の開発

・瓦の文化的価値を活かしたインテリア商品『鬼瓦家守 onigawara iemori』による新市場の開拓と日本の住文化の発信

・eラーニングによる全従業員への情報セキュリティ・個人情報保護教育の実施による人的資本への投資

 また、人材の多様性の確保に関しても、今後の重要課題と捉えており、中核人材の育成や多様なバックグラウンドを持つ人材の登用を推進すべく、育成方針や社内環境整備のあり方について検討を進めてまいります。

 将来的には、これらの個別取組を体系化し、当社としてのサステナビリティ基本方針の策定と、より戦略的・計画的な施策展開へとつなげていく方針です。

 なお、「コーポレート・ガバナンス報告書(2025年8月25日付、東京証券取引所提出)」をご参照ください。

 

(3)リスク管理

 当社では、現時点においてサステナビリティに関する明確な基本方針は定めておりませんが、企業の持続的な成長に向け、事業運営上のさまざまなリスク管理体制を構築し、実務レベルでの対応を進めております。

 サステナビリティに関連するリスクについては、現在、コーポレート・ガバナンス体制の一環として管理しており、専用の組織体制は未設置であるものの、環境・労働安全・コンプライアンスなどに関するリスクは、各部門が主導し、社内での連携を通じて管理・是正対応を行っております。

 具体的には、以下のような管理活動を実施しております。

・各工場において、大気・騒音・振動等の公害防止に関する法令遵守体制を構築し、碧南市等への公害防止計画書の提出を継続的に実施

・生産設備・作業工程に関する安全衛生管理マニュアルの整備と現場巡視によるリスクの未然防止

・災害・感染症・原材料供給不安などを想定したBCP(事業継続計画)の検討と平時訓練の実施

・eラーニング等による従業員への法令順守・情報セキュリティ・個人情報保護教育の定期実施

 また、環境や労務に関わる重要なリスク情報については、取締役会および監査等委員会において定期的に報告・共有され、必要に応じて対応策の見直しが図られています。

 将来的には、サステナビリティ方針の策定にあわせ、ESG(環境・社会・ガバナンス)リスクを体系的に整理し、リスク管理体制を一層強化・明文化していく方針です。

 なお、現状のガバナンス体制については、第4提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等(1)コーポレート・ガバナンスの概要、及び「コーポレート・ガバナンス報告書(2025年8月25日付、東京証券取引所提出)」をご参照ください。

 

(4)指標及び目標

 当社では、現時点においてサステナビリティに関する基本方針を明文化しておらず、これに基づく包括的なKPI(重要業績評価指標)や目標の設定は行っておりません。

 しかしながら、企業の持続的成長を支える人的資本や労働環境、環境負荷の低減といった側面において、実態を可視化するための指標については一部導入を進めており、引き続き改善を図ってまいります。

 特に人材に関する分野では、以下の指標を用いて、社内の労働環境整備の状況を把握しております

・管理職に占める女性労働者の割合

・男性労働者の育児休業取得率

・労働者の男女間における賃金の差異

 当該指標の実績の詳細は、「第1企業の概況 5従業員の状況(3)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」に記載のとおりです。現時点では、各指標に対する数値目標は設定しておりませんが、法制度の動向や社会的要請を踏まえ、目標の明確化も含めて必要に応じた対応を検討してまいります。

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。リスクが顕在化する可能性の程度や時期、顕在化した場合に当社の経営成績等に与える影響については、合理的に予見することが困難であるため記載しておりません。

 なお、文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであり、事業等のリスクはこれらに限定されるものではありません。

 

(1)新設住宅着工戸数について

当社は、粘土瓦を国内の大手ハウスメーカーをはじめ工事店、問屋、代理店等を経由して販売しております。

粘土瓦は、住宅の新設時に多量に使用されることが多く、その使用量は新設住宅着工戸数の増減に左右され景気動向、住宅地価の変動、金利動向、政府の住宅政策、税制、少子化等の要因も、業績に影響を及ぼす可能性があります。

今後の動向に関しましては、客先との情報共有を強化し、情報収集と分析を強化して対応しております。

 

(2)事業に対する法的規制について

当社は、社会的責任の立場から地域住民の生活環境を保全するため、法的規制、行政指導について常に関心をもち、公害防止のため万全の措置を講じ、法的に適正と認められておりますが、法律の改正又は新たな規制の制定により、当社工場の運営に支障を来たし、業績に影響を及ぼす可能性があります。なお、当社港南工場及び明石センターにおいて碧南市長に対し公害防止計画書を提出しております。

碧南市における法的規制の主なものは以下のとおりであります。

大気汚染防止法

水質汚濁法

騒音規制法・振動規制法

廃棄物の処理及び清掃に関する法律

 これらの対策として、定期的に従業員に対して法的規制に関する教育を行うことで、適切な知識を身に着けるよう努めてまいります。

 

(3)特定取引先への依存度について

① 原材料仕入について

当社は、粘土瓦の主原料となる、粘土及び釉薬を特定の仕入先より仕入れを行っております。粘土については配合粘土を使用しており、その粘土の配合割合によって、製造工程に影響を及ぼすことがあり、限られた仕入先から供給を受けることが業界の通例となっております。また、釉薬についても同様であり、色調、品質的に安定度の高いものが求められるため、限られた仕入先から仕入れを行っております。このため特定の仕入先への依存度が高くなっており、仕入先の経営状態が悪化した場合、当社製品の製造に支障をきたし、業績に影響を及ぼす可能性があります。

これらの対策として、主要仕入先及び主要仕入先の供給先との情報共有を強化し、協力体制を構築し対応しております。

② 販売先について

当社が生産するモデュール瓦は、その製造技術・品質、施工性、作業環境等の改善技術が認められ、大手ハウスメーカーの採用を受けていることから、大手ハウスメーカー向け専用瓦となっております。従いまして大手ハウスメーカーの販売する住宅の様式、屋根仕様の大幅な変更、また、当社の特許権等を無視し他社が類似商品の生産を行い多量に市場投入した場合に、業績に影響を及ぼす可能性があります。

これらの対策として、当社は新規顧客の開拓、既存顧客への拡販を図る等の積極的な販売活動によりリスク低減に努めております。

 

(4)原油価格の変動の影響について

当社は、液化石油ガス及び重油を燃料として使用しております。当社では常時市況価格を注視しながら取引業者との価格交渉にあたっておりますが、中国・インド等の新興国の需給、中東情勢、米国・ユーロ圏景気、為替レート、投機ファンド等の状況により、原油価格が急激に変動することがあり、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

これらの対策として、仕入先を複数社利用する購買先の多様化とともに、仕入先と当社も含めた相互間で情報共有を行い、想定レートの参考にする等、見通しを立てております。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。

 なお、当事業年度の期首より、表示方法の変更を行ったため、以下の前年同期間との比較については、変更後の表示方法に組替えた数値を記載しております。

 

 ①財政状態及び経営成績の状況

 当事業年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善等を背景に緩やかな回復基調にありましたが、欧州や中東での紛争や中国経済の低迷等、不安定な世界情勢等の影響から資源価格が高騰してまいりました。また各国の政治情勢が及ぼす影響や物価・金利の動向に不透明感が増し、依然として経済の先行きについて不透明な状況が続いております。特にエネルギーコストや原材料費の上昇は、企業収益や価格転嫁に大きな影響を及ぼしており、業種を問わず対応が迫られています。

 住宅市場におきましては、国土交通省が発表している建築着工統計調査報告において、持家着工戸数は前年同月比で減少傾向であり、依然として低い水準で推移しております。また、建築資材の高騰や労務費の増加、物価高等の影響や住宅ローン金利の上昇懸念等、引き続き厳しい状況が続いております。しかしながら、省エネ住宅やリフォーム需要など、特定分野においては堅調な動きも見られており、今後の市場動向を注視する必要があります。

 このような状況の中、当社は、主力製品「CERAMシリーズ」「SHINTOかわらS」の拡販や新規顧客の掘り起こし他、YouTube等のSNSを活用した商品PRやWeb会議型アプリを使用したリモートによる営業活動にも努めてまいりました。また、2024年1月に札幌証券取引所本則市場へ当社株式を上場し、北海道・東北地方を中心に認知度のさらなる向上及び拡販にも努めてまいりました。その結果、売上高は4,627百万円(前期比81百万円増加)と前年比増収となりました。

 利益面におきましては、原油価格の高騰や円安の進行により、製造コストや商品の仕入コストの上昇を余儀なくされました。これに対して当社は、適切なタイミングでの販売価格への転嫁を進めるとともに、歩留まりの改善、工程管理の徹底、さらには生産効率の向上に取り組むことで、収益性の確保に努めてまいりました。その結果、当事業年度においては、営業利益105百万円(前期は63百万円の損失)、経常利益104百万円(前期は54百万円の損失)、当期純利益70百万円(前期は65百万円の損失)となりました。

 財政状態においては、前事業年度末に比べて純資産が35百万円増加し、総資産も127百万円増加しました。これにより、自己資本比率は52.3%となりましたが、総資産の増加に伴い、前期比では0.5ポイントの低下となっております。総資産に対する自己資本の割合は依然として安定しており、財務の健全性は維持されています。流動資産および固定資産のバランスも良好で、引き続き安定した財政基盤を確保しております。一方、売上総利益率は19.5%となり、前期比で改善が見られ、収益性の向上に寄与しております。総資産に対する自己資本の割合は堅調であり、財務の健全性を確保しつつ、利益率の改善にも努めております。

 なお、当社は瓦製造販売事業の単一セグメントであるため、セグメントとの関連は記載しておりません。

 

(流動資産)

 流動資産は、商品及び製品が312百万円増加等に対し、受取手形、売掛金及び契約資産が135百万円、現金及び預金が22百万円減少等により、2,621百万円(前期比185百万円増加)となりました。

(固定資産)

 固定資産は、有形固定資産が47百万円減少等により、3,625百万円(前期比57百万円減少)となりました。その結果、資産合計では、6,247百万円(前期比127百万円増加)となりました。

(流動負債)

 流動負債は、短期借入金が200百万円増加等に対し、電子記録債務が91百万円、買掛金が17百万円減少等により、2,540百万円(前期比145百万円増加)となりました。

(固定負債)

 固定負債は、長期借入金の40百万円減少等により、436百万円(前期比53百万円減少)となりました。その結果、負債合計では、2,976百万円(前期比92百万円増加)となりました。

(純資産)

 純資産は、当期純利益70百万円となり、配当金支払が26百万円あったこと等により、3,270百万円(前期比35百万円増加)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前事業年度と比較して22百万円減少し、83百万円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動における資金の減少は、127百万円(前期177百万円の増加)となりました。

これは、主に売上債権の減額146百万円、非資金費用である減価償却費106百万円の増加要因があったこと等に対し、棚卸資産の増額311百万円、仕入債務の減額109百万円等の減少要因があったこと等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動による資金の減少は、55百万円(前期94百万円の減少)となりました。

これは、主に有形固定資産の取得による支出45百万円があったこと等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動における資金の増加は、161百万円(前期39百万円の減少)となりました。

これは、主に短期借入れによる収入200百万円、配当金の支払額26百万円があったこと等によるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

 生産、受注及び販売の実績について、当社は、瓦製造販売事業の単一セグメントであるため、セグメントとの関連は記載しておりません。

a.生産実績

 当事業年度の生産実績を取扱品目別に示すと、次のとおりであります。

取扱品目

金額(千円)

前年同期増減比(%)

製品瓦

 

 

S形瓦

75,343

30.3

F形瓦

1,487,453

△10.0

合計

1,562,797

△8.7

 (注)金額は、平均売価によっております。

 

b.仕入実績

 当事業年度の仕入実績を取扱品目別に示すと、次のとおりであります。

取扱品目

金額(千円)

前年同期増減比(%)

商品瓦

 

 

J形瓦

97,738

9.3

S形瓦

43,790

43.8

F形瓦

494,345

△7.4

その他の瓦

4,904

4.5

小計

640,779

△2.7

その他(副資材他)(注)2

1,322,702

61.1

合計

1,963,482

32.7

 (注)金額は、仕入価格によっております。

 

c.受注実績

 当社は、受注見込みによる生産方式をとっておりますので、該当事項はありません。

 

d.販売実績

 当事業年度の販売実績を取扱品目別に示すと、次のとおりであります。

取扱品目

金額(千円)

前年同期増減比(%)

製品瓦

 

 

J形瓦

1,398

△73.2

S形瓦

104,834

65.1

F形瓦

1,466,943

△6.9

小計

1,573,177

△4.3

商品瓦

 

 

J形瓦

116,741

△6.2

S形瓦

60,680

47.6

F形瓦

698,861

△4.6

その他の瓦

6,234

△2.3

小計

882,519

△2.4

その他(副資材他)

2,171,400

8.8

合計

4,627,097

1.8

 (注)1.主な相手先別の販売実績は総販売実績に占める割合が10%以上を占める相手先がないため、記載を省略しております。

2.当事業年度において、販売実績に著しい変動がありました。これは近年、瓦の出荷傾向がF形瓦へと変遷し、J形瓦のOEM先が廃業したため前年同月比で減少しております。また、S形瓦につきましては、出荷傾向がF形瓦へと変遷したことにより、同業他社がS形瓦の製造を廃止したことにより増加しております。

3.「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(表示方法の変更)」に記載のとおり、従来「営業外収益」に区分表示していた受取運送料について、当事業年度より「売上高」へ表示することに変更しております。前事業年度に営業外収益に計上しておりました受取運送料を売上高に組替えて前年比較をしております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社の当事業年度の経営成績等につきましては、売上高は、エネルギー資源価格上昇などによる仕入れコストの上昇に対し、販売価格の改定などを行ってきましたが、製品売上高が71百万円、商品売上高が22百万円減収となりました。一方で、堅調に推移しているリフォーム市場向け商材の販売が好調であり、とくに板金売上が前期比181百万円増加したことから、売上高全体では前期比81百万円増の4,627百万円となりました。

 利益面につきましては、販売価格の改定、製品歩留まりの改善、及び効率的な生産体制の徹底といった施策を講じてまいりました。これらの結果、売上総利益率は19.5%となり、前期比で3.2ポイント上昇しました。また、売上総利益は162百万円増益の903百万円(前期741百万円)となりました。

 営業利益は、上述の販売価格の改定に加え、販売費及び一般管理費の削減にも積極的に取り組みました。特に在庫置場間の配送コストの見直しなどを進めた結果、販売費及び一般管理費は6百万円減少の798百万円(前期804百万円)となりました。これらの取組により、営業利益105百万円(前期63百万円の損失)となりました。

 経常利益は、営業外収益が5百万円減少の15百万円(前期20百万円)となったこと、また営業外費用は4百万円増加の15百万円(前期11百万円)となったことにより、経常利益104百万円(前期54百万円の損失)となりました。

 当期純利益は、固定資産除却損13百万円を計上したこと等により、当期純利益70百万円(前期65百万円の損失)となりました。

 財政状態におきましては、前事業年度末に比し純資産が35百万円、総資産が127百万円増加した結果、自己資本比率は52.3%と0.5ポイントの減少となりました。

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当事業年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、前述の(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況に記載のとおりであります。

 当社は、事業運営上の必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期の運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。

 なお、当事業年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は2,056百万円となっております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたっては、棚卸資産の評価、固定資産の減損、繰延税金資産に対する評価性引当額等、会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、財務諸表等に反映されております。

 これらの見積りについては、継続して評価、見直しを行っていますが、自然災害、感染症の感染拡大等予期せぬ事態が発生し、経済活動に多大な影響を与える等の環境の変化により、実際の結果は見積りと異なることがあります。

 財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

(3)経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況

 当社は、中長期的な経営計画等に係る具体的な目標数値は定めておりませんが、企業価値の向上を意識した経営を推進すべく、「自己資本当期純利益率(ROE)」を重要な経営指標として採用しております。ROEは、株主資本に対する利益創出の効率性を示す指標であり、当社においては資本の有効活用と収益性を評価する上で重視しております。

 当連結会計年度におけるROEは2.2%となり、黒字転換を果たしました(前事業年度は当期純損失のため算出しておりません)。この黒字化は、売上総利益率の改善や、コスト構造の見直しによる販管費の抑制など、収益性向上を目的とした取り組みが奏功した結果によるものです。また、経営資源の適正配分や、重点分野への選択と集中を進めたことも、利益体質の強化に寄与しております。

 今後もROEの持続的な改善を意識し、効率的な資本活用と収益力の強化を通じて、企業価値のさらなる向上に努めてまいります。

 

5【重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

当社は、企業経営を通じて住環境の改善を図るとともに、顧客ニーズに応じた製品開発に取り組んでおります。あわせて、エネルギー問題や環境問題にも積極的に対応し、地球環境に優しい企業を目指しております。

技術部門を集約した「テクノセンター」では、品質保証課・開発課・生産技術課が連携し、以下のような取り組みを推進しております。

・品質の安定化

・新製品の開発

・生産効率の向上

・省エネルギー化

・職場環境の改善

これらを通じて、顧客満足(CS)および従業員満足(ES)の向上に努めております。

製品面では、現代建築にマッチし、機能性とデザイン性を兼ね備えた「ストレート袖」がご好評をいただいております。本製品は、「セラムFフラット」や「セラムF3」にも対応しており、選択肢の幅が広がることで、今後さらなる拡販が期待されます。なお、本製品は意匠権および特許を取得済みです。

瓦を玄関などのインテリアに飾れる商品『鬼瓦家守onigawara iemori』は現在9種類の鬼瓦で展開し、その取組みが評価され、経済産業省地域産業資源活用事業計画に採択されました。販路もインテリア業界やギフト業界への拡販を行うことで、幅広い層に瓦及び日本の住文化の情報を発信し、高い評価を受けております。今後も国内外に継続して情報発信していきます。

さらに、瓦の廃材を再利用した水耕栽培用園芸用土「リサイクルコーン」は、7色のバリエーションを展開し、ホームセンターやインテリアショップなどに販路を拡大しています。

今後も製品の軽量化や産業廃棄物の有効活用を目的とした原料開発など、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを継続してまいります。

以上の結果、当事業年度の研究開発費の総額は、8百万円となりました。