第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)企業理念、経営戦略、経営方針

 当社は、「1.世界に通じる基礎を造る 2.進歩の原点は現場にあり 3.仕事を天職として社会に尽くす」を企業理念とし、総合基礎建設業として社会に貢献してまいります。この企業理念の下、当社は基礎建設の事業を日本国内市場からアセアン市場に拡大するため、持株会社体制を採用し、アセアン各国の基礎資材の製造及び建設を事業とする企業と連携し、アセアン市場と日本市場を一体化して基礎建設事業の推進を図ってまいります。

 

(2)経営環境

 国内の主たる事業会社であるジャパンパイル㈱は、コンクリート杭の製造・施工に加え、鋼管杭並びに場所打ち杭による杭基礎工事全般を手掛ける国内唯一の総合基礎建設会社であります。業界屈指の設計部門と施工部門を擁し、お客様の多種多様なニーズに応じて杭基礎工事のすべての分野から最適な設計提案を行うとともに、独自の施工マニュアルに基づいて高品質の施工を実施しております。海外においては、現地パートナー企業の生産能力や営業力、日本で培ってきた建設基礎の高度な技術力を活かして他社との差別化を図っております。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、品質の向上と効率化により施工及び生産体制の強化を実現し、安定した経営基盤の確立を図ることの連結経営指標として、営業利益、自己資本当期純利益率(ROE)を重視しております。また、グループ全体の5か年計画(2019年度~2023年度)を策定し、それぞれの国において斯業のリーディングカンパニーを目指しております。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループはこれまで、総合基礎建設業としての品質向上を推進してまいりました。今後、これらをより進化させるとともに、日本国内、アセアン地域において最高の技術力と最大の基礎建設能力を有するグループを目指し、下記のとおり中長期的に取り組んでまいります。

① 人材育成、人員増強に加え、ICT、QRコード等の情報技術を活用した業務全体の効率化に取り組んでまいります。

② 新技術の開発により事業基盤の強化を図るとともに、杭基礎事業に隣接する新たな事業分野への進出の検討を進めてまいります。

③ 海外ではベトナム等、アセアン諸国での事業化を検討してまいります。

 なお、ミャンマーの事業子会社VJP Co., Ltd.につきましては、注記情報(連結損益計算書関係)に記載の通り、前連結会計年度において減損損失を計上いたしました。引き続き事態の推移を注視しつつ、適切な対応を講じてまいります。

④ 国内外の一体運営を推進し、当社グループ全体の生産・施工における技術力・品質の向上を目指してまいります。

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、その発生を未然に防ぎ、万が一発生した場合でも適切に対処するよう努める方針であります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、当社グループの投資に関連するリスクを全て網羅するものではありません。

(1)当社グループの再編等について

 当社グループは、2010年7月にベトナム最大のコンクリートパイル製造・施工会社であるPhan Vu Investment Corporationと資本提携及び業務提携を締結、持分法適用関連会社化を経て2013年12月には子会社化、2015年6月にはミャンマーにおいてVJP Co., Ltd.を共同出資で設立するなど、当社グループの競争力を強化するため、同業他社との提携や同業他社への資本参加等を積極的に推進しております。また、2015年10月には国内外での更なる積極的な事業展開を見据えて各国に事業子会社を配置する持株会社体制に移行しております。当社は、今後も引き続き、成長著しいアセアン地域における基礎建設関連事業を推進するため、こうしたグループ拡大策を検討し取り組んでいく方針ですが、当社が期待する効果が実現する保証はありません。

(2)製品・工法開発について

 当社グループは、他社との差別化を図り付加価値を高めるため、永年にわたり技術やノウハウを蓄積してまいりました。また、総合基礎建設業として地域・環境面への社会に貢献するという企業行動基準から、優秀な技術者の育成や杭材及び杭施工法の開発に力を注いでまいりました。これらの製品や施工法の開発及び公的な評定取得や国土交通省の認定取得には多くの時間とコストが必要とされますが、これらの投資が常に迅速に回収される保証はありません。

 また、当社グループは製品・工法開発にあたり知的財産(商標権、特許権、意匠権等)の調査を行い、他者の権利に抵触する製品・工法開発を避ける努力をしております。しかしながら他者が知的財産の申請を行ってから公表されるまでに一定の時間を要することや、権利が確定するまでに時間がかかることがあり、当社グループが開発し製造・販売した製品や工法が他者の知的財産に抵触する可能性を排除することができません。その場合、他者から営業権や知的財産権の侵害と損害賠償請求されることも想定され、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3)業界の寡占状況について

 当社グループが属するコンクリートパイル業界において、他社との差別化を図るためには、上記で述べたように優秀な技術者の育成のみならず、製品及び施工法の開発や認定工法を取得することが重要性を増しているものと認識しております。このため、これら多額の開発費負担を抑えるため、認定工法の供与やコンクリート杭の相互供給などがより一層積極的に行われるものと考えられると同時に、これらの費用負担が可能な大手企業による再編と寡占化が進みつつあります。当社グループは、業界大手企業として、業界再編と寡占化の状況に対して必要な施策をとり主導的な役割を果たしていく方針でありますが、当該方針が実現する保証はありません。また、寡占化の進展に伴い、当社グループが想定する以上の価格競争が激化した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4)原材料等の市況変動の影響について

 当社グループは、プレストレスト高強度コンクリートパイルの製造・施工を主力業務としております。その原材料にはセメント、PC鋼棒等を使用しており、仕入先からの価格引き上げ要請により変動し、コストが上昇することもあります。当社グループといたしましては、随時市況価格を注視しながら価格交渉を行い仕入価格を抑制しつつ、原価上昇分を販売先へ転嫁する努力を行っておりますが、価格動向によっては製造原価及び工事原価高により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(5)市場環境について

 当社グループが扱うコンクリートパイルの製造・施工業務は、建築物の基礎工事に関連する事業であり、当然ながら建設投資の多寡が受注に影響します。当社グループは、同業他社と比較して相対的に公共投資関連事業への依存度は低いものと認識しておりますが、民間投資も含めた住宅投資や設備投資等の動向によっては受注が減少し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)法的規制について

 当社グループの主たる事業は建設業に属しており、建設業法第3条第1項及び第2項により法的規制を受け、「建築基準法」に準拠するように求められております。主要な子会社であるジャパンパイル㈱は建設基礎杭の販売・施工にあたり、以下のとおり許認可及び登録をしております。

 当社グループは、これらの許認可等を受けるための諸条件及び関係法令の遵守に努めており、現状において当該許認可等が取り消しとなる事由は発生しておりません。しかし、法令違反等によりその許認可等が取り消された場合には、当社グループの運営に支障をきたし、財政状態及び経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 また、2007年6月に実施された建築確認制度の変更のように、これらの規制の改廃や新たな法的制度が設けられる場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

許認可等の名称

有効期限

取消事由等

建設業許可

(特定建設業許可)

土木工事業

(大臣許可第21607号)

2025年5月

建設業法第29条・第29条の2・第29条の4、第28条第3項及び第5項

 

とび・土工工事業

(大臣許可第21607号)

2025年5月

 また、当社グループは、国内及びアセアン地域において基礎工事関連事業を行っており、国内においては上記の建設業関連の法令に加えて、会社法、金融商品取引法、環境関連法令、各種法令のほか、海外においては各国の法令・規制の適用を受けております。これらの法令遵守及び社会規範の遵守をグループの全役職員に浸透させるべく、企業行動基準を作成して徹底を図っておりますが、万が一、コンプライアンス違反が発生した場合、当社グループの社会的信用やブランドイメージの棄損により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)施工物件の瑕疵について

 当社グループは、日本全国及びアセアン地域において基礎工事を行っており、工事の際には十分な地盤調査、基礎設計、施工方法等の事前検討を行っておりますが、地盤は様々な土質で構成され、また予期せぬ障害物が現われることもあり、予見できない瑕疵によって施工品質の悪化や施工期間の延長が生じる可能性があります。瑕疵に伴う損害賠償請求等が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(8)労災事故災害について

 当社グループは、各地で年間数千件もの基礎工事を行っており、その作業現場は重機に囲まれた屋外作業が中心となっているため、他の産業に比べ重大な労災事故が発生する危険性が高いものと認識しております。当社グループとしては、現場の安全教育の徹底や定期的なパトロールの実施等により事故の発生防止に全力を挙げております。また、事故が発生した場合の金銭的な損失に備え、各種損害保険に加入しておりますが、仮に死亡事故等の重大災害が発生した場合は、人的損失はもちろんのこと、それに伴う社会的信用の失墜、補償等を含む災害対策費用、工期の遅れによる収益の悪化等、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(9)海外事業について

 当社グループは、アセアン地域において関係会社を通じて基礎工事関連事業を展開しておりますが、関係会社が所在している国における政治・経済状況の変化、法律・税制の改正、外国通貨レートの変動の影響などによって、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(10)自然災害等について

 当社グループは、国内及びアセアン地域において事務所、工場並びに施工現場を展開しており、風水害、地震、津波等の大規模自然災害の発生により、建物・設備や従業員への直接的な被害のほか、通信システム、原材料等の供給網の遮断等による間接的な被害を受ける可能性があります。また、新型コロナウイルス等感染症の蔓延により事業の中断や延期が発生する可能性もあります。このような自然災害や新型コロナウイルス等感染症の被害が発生した場合、被害復旧にかかる費用や中断・延期による損失が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大により、経済活動が制約を受ける中、設備投資等において持ち直しの動きが見られるものの、個人消費は弱い動きが続き、景気の足踏み状態が続きました。加えて、2月に発生したウクライナ危機や直近の急激な円安により、原材料や資源等の価格高騰、サプライチェーンの混乱等が懸念されています。

 また、当社グループが事業展開しているアセアン地区におきましては、ベトナムでは感染症が急拡大し社会的隔離措置が強化されたことにより、厳しい経済環境が続きました。ミャンマーでは、昨年2月のクーデター発生後、社会情勢の混乱は収まりつつあるものの経済の停滞が続いております。

 当社が主として属するコンクリートパイル業界は、官需に加え物流倉庫等の民需も増加したことから、全体の出荷量は前期比若干の増加となりました。

 このような事業環境のもと、当社グループは5か年計画の3年目として、日本国内及びアセアン地域における最高の技術力と最大の基礎建設能力を有するグループを目指し、引続き体制整備に取り組んでまいりました。

 国内事業では、新工法「Smart-MAGNUM工法」の拡販に注力するとともに、同工法推進に向けた施工・生産設備の増強に取り組んでまいりました。また施工現場におけるICT導入を推進し、施工管理業務の向上と効率化に取り組んでまいりました。海外事業では、ベトナムの事業子会社のPhan Vu Investment Corporation(以下、PV社という)は、国内事業子会社のジャパンパイル㈱との協働による今後の新たな事業展開を目指し、施工技術の向上に取り組んでまいりました。ミャンマーについては、経済活動が停滞し建設需要が大きく落ち込む中、ミャンマーの事業子会社VJP Co., Ltd.(以下、VJP社という)は規模を縮小して事業継続してまいりました。

 売上高につきましては、国内事業では、新工法「Smart-MAGNUM工法」を広くお客様に知って頂くための販促に注力したことにより、大型物件を中心にコンクリートパイルの受注が順調に推移したこと、鋼管杭、場所打ち杭の完工も堅調に推移したことから前期比増収となりました。海外事業では、ベトナムのPV社において風力発電等再生可能エネルギー分野での基礎工事関連事業が堅調に推移し、前期比増収となったことから、全体で増収となりました。その結果、当連結会計年度の売上高は931億76百万円(前期比6.9%増)となりました。また利益面では、国内事業で、新工法の販促とそれに伴う施工効率の一時的な悪化による粗利率の低下、施工機材の追加設備等のコスト増加に加え、鉄材を中心に原材料価格が上昇したことにより減益となりました。海外事業では、原材料価格の急騰により原価が上昇したこと及び新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、工事の採算が悪化したことにより減益となりました。結果全体としての営業利益は21億84百万円(同34.6%減)、経常利益は21億69百万円(同29.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は14億94百万円となり、前連結会計年度においてはシントク工業㈱の株式取得に伴う負ののれん発生益10億72百万円、VJP社の減損損失7億77百万円をそれぞれ特別損益に計上した関係から、前期比38.7%の減少となりました。

 

 なお、セグメント別の経営成績は以下の通りです。

国内事業 売上高 764億29百万円(前期比7.0%増) 営業利益 15億85百万円(同32.7%減)

海外事業 売上高 168億14百万円(前期比5.0%増) 営業利益 6億30百万円(同47.5%減)

 

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は142億25百万円となり、前連結会計年度末より1億18百万円減少いたしました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における営業活動において得られた資金は、前年同期比36億76百万円減少し36億28百万円となりました。この要因は、売上債権の増加54億87百万円などにより減少しましたが、税金等調整前当期純利益の計上22億15百万円、減価償却費の計上29億98百万円、ファクタリング未払金の増加26億60百万円などにより増加したことなどによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における投資活動において使用した資金は、前年同期比18億88百万円減少し26億60百万円となりました。この要因は、有形固定資産の取得による支出24億91百万円などによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における財務活動において使用した資金は、前年同期比9億75百万円増加し11億31百万円となりました。この要因は、長期借入れによる収入15億12百万円、長期借入金の返済による支出14億73百万円、配当金の支払額8億39百万円などによるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度の生産実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

国内事業

21,134

112.3

海外事業

11,760

132.0

合計

32,895

118.6

 (注) 金額は、製造原価によっております。

b.受注実績

当連結会計年度の受注実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

国内事業

78,319

122.7

32,761

122.4

海外事業

23,015

116.1

10,345

202.6

合計

101,334

121.1

43,106

135.2

 (注)1.受注金額には、工事代金が含まれております。

2.国内事業は主要な子会社であるジャパンパイル㈱の受注実績を記載しております。

3.国内事業における受注残高の算出については、前連結会計年度は工事完成基準における受注残高から工事進行基準による取込み額を控除し、当連結会計年度は工事完成基準における受注残高から工事進行基準及び原価回収基準による取込み額を控除しております。

 

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

国内事業

76,361

107.3

海外事業

16,814

105.0

合計

93,176

106.9

 (注)1.セグメント間の取引つにいては相殺消去しております。

2.販売金額には、工事代金が含まれております。

3.主要な販売先については、総販売実績に対する販売割合が10%以上の相手先はありませんので、記載を省略しております。

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態

(資産)

 総資産は前連結会計年度末に比べ75億35百万円増加し、857億55百万円となりました。主な要因は、棚卸資産が合計で16億54百万円減少しましたが、受取手形、売掛金及び契約資産(前連結会計年度は受取手形及び売掛金)が94億97百万円増加したことなどによるものであります。

(負債)

 負債は前連結会計年度末に比べ58億50百万円増加し、448億66百万円となりました。主な要因は、支払手形及び買掛金が22億79百万円、ファクタリング未払金が28億15百万円、社債及び借入金が合計で8億31百万円それぞれ増加したことなどによるものであります。

(純資産)

 純資産については、親会社株主に帰属する当期純利益計上による増加14億94百万円、配当金の支払いによる減少7億61百万円、為替換算調整勘定の増加6億25百万円、非支配株主持分の増加5億26百万円などの結果、前連結会計年度末に比べ16億84百万円増加し408億89百万円となりました。

 

b.経営成績

(営業損益)

 当連結会計年度の売上高は931億76百万円(前期比6.9%増)、売上原価は817億81百万円(同9.2%増)、売上総利益は113億94百万円(同7.6%減)となりました。主力のコンクリート杭は、主に新工法「Smart-MAGNUM工法」を広くお客様に知って頂くための販促に注力したことにより、大型物件を中心にコンクリートパイルの受注が順調に推移したことで、売上高は前連結会計年度に比べ43億9百万円増加し730億79百万円(同6.3%増)となりました。鋼管杭は大型公共工事案件があったこともあり51億11百万円(同58.3%増)、場所打ち杭は123億20百万円(同4.0%減)で若干の減少となり、全体としては前期比増収となりました。利益面では、国内事業で、新工法の販促とそれに伴う施工効率の一時的な悪化による粗利率の低下、施工機材の追加設備等のコスト増加に加え、鉄材を中心に原材料価格が上昇したことにより減益となりました。海外事業では、原材料価格の急騰により原価が上昇したこと及び新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、工事の採算が悪化したこと等の結果、連結の売上総利益率は1.9ポイント低下し12.2%となりました。

 販売費及び一般管理費につきましては、貸倒引当金繰入額が増加したことを主因として、前連結会計年度に比べ2億23百万円増加し、92億10百万円(同2.5%増)となりました。

 これらにより、営業利益は前連結会計年度に比べ11億56百万円減少し、21億84百万円となりました。

(経常損益)

 営業外収益は保険解約返戻金や保管料収入が増加したことを主因として、前連結会計年度に比べ1億50百万円増加し、4億46百万円(同50.6%増)となりました。また、営業外費用は支払利息が減少したことを主因として、前連結会計年度に比べ94百万円減少し、4億61百万円(同17.0%減)となりました。

 これらにより、経常利益は前連結会計年度に比べ9億12百万円減少し、21億69百万円となりました。

(特別損益)

 特別利益は、上場株式を売却したことに伴い、投資有価証券売却益を39百万円計上いたしました。

 特別損失は、設備の更新に伴う固定資産売却損と除却損を合わせて15百万円計上いたしました。

 以上により、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ9億43百万円減少し、14億94百万円となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループの当連結会計年度におけるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益、減価償却費などの非資金項目に加え、営業活動に係る債権・債務及び税金等の加減算を行った結果、営業活動によるキャッシュ・フローは3,628百万円の獲得となり、投資活動及び財務活動によるキャッシュ・フローによる支出3,791百万円が若干上回りました。投資活動による支出は主に工場投資関連及び施工機材の投資に伴うもので、財務活動による支出は配当金の支払いが主体であります。

 資金の流動性につきましては、財務の健全性の維持を前提として事業活動に必要な流動性を確保しております。また、引き続き新型コロナウイルス感染症が事業展開に与える影響が不透明ですので、手元流動性を確保するために㈱三井住友銀行及び㈱みずほ銀行との間で合計4,000百万円のコミットメントライン契約を締結しております。

 

(契約債務)

 2022年3月31日現在の契約債務の概要は以下のとおりであります。

 

年度別要支払額(百万円)

契約債務

合計

1年以内

1年超3年以内

3年超5年以内

5年超

短期借入金

7,247

7,247

長期借入金

3,833

1,246

1,818

768

リース債務

417

154

80

73

109

 上記の表において、連結貸借対照表の流動負債に計上されている1年内返済予定の長期借入金は、長期借入金に含めております。

 

(財務政策)

 当社グループは、運転資金及び設備資金につきましては、内部資金、借入または社債により資金調達することとしております。このうち、借入または社債による資金調達に関しましては、運転資金については短期借入金で、生産設備・施工機械などの長期資金は、長期借入金または社債で調達しております。

 2022年3月31日現在、長期借入金の残高は1年内返済予定を含めて3,833百万円であります。また、当連結会計年度末において、㈱三井住友銀行及び㈱みずほ銀行との間で合計4,000百万円のコミットメントライン契約を締結しております(借入実行残高-百万円、借入未実行残高4,000百万円)。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、重要な会計方針の選択・適用、資産及び収益・費用の報告及び開示に影響を与える見積り承認に関しては定期的に開催する取締役会において、通常のものは権限規定に基づき稟議手続きによって随時行っております。

 当社グループの重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた主要な仮定は、以下のとおりであります。

イ 国内事業の固定資産減損の検討

 当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産または資産グループについて、当該資産または資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上いたします。

 当連結会計年度において、国内の主要子会社ジャパンパイル㈱の一部工場において減損の兆候が見られたため、減損損失の認識の判定を行った結果、資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が資産グループの固定資産の帳簿価額を上回ったため、減損損失は認識しておりません。当該検討における主要な仮定は、顧客からの受注に基づく売上予測及び事業計画後の成長率であります。

 顧客からの受注に基づく売上予測については、当連結会計年度末の受注残高、翌期以降の受注見込み及び過去の受注実績の動向を加味しております。

 事業計画後の成長率については、市場の成長率の範囲内で見積った成長率を使用しております。

 これらの会計上の見積り及び主要な仮定については合理的に判断をしておりますが、見積り特有の不確実性が伴うため、実際の結果と異なる場合があります。

④ 経営方針・経営戦略を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、品質の向上と効率化により施工及び生産体制の強化を実現し、安定した経営基盤の確立を図ることの経営指標として、営業利益、自己資本当期純利益率(ROE)を重視しております。当連結会計年度におけるROEは、目標値の8.0%に対して4.1%となり、前連結会計年度に比べ2.8ポイント減少しました。

指標

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

営業利益

3,340百万円

2,184百万円

1,156百万円減(34.6%減)

自己資本(A)

(純資産-非支配株主持分)

36,127百万円

37,286百万円

1,158百万円増( 3.2%増)

親会社株主に帰属する当期純利益(B)

2,437百万円

1,494百万円

943百万円減(38.7%減)

ROE(自己資本利益率)

(B/A)

6.9%

4.1%

2.8pt減

 

⑤ 次期の見通し

 今後の見通しにつきましては、新型コロナ感染症はワクチン接種の進展等により厳しい状況が緩和されつつある中で、景気の持ち直しが期待されておりますが、ウクライナ情勢等による先行き不透明感が強まり、鉄材を中心に原材料の価格急騰やサプライチェーンの混乱等のリスクが大きくなりつつあります。

 このような環境のなか、当社グループは5か年計画の4年目として、日本国内及びアセアン地域における最高の技術力と最大の基礎建設能力を有するグループを目指して、引続き体制整備を進めてまいります。

 国内では、総合基礎建設業におけるリーディングカンパニーの位置づけをさらに高める体制づくりに注力してまいります。特にコンクリートパイル部門では、新工法「Smart-MAGNUM工法」の施工性能の優位性を核に、積極的な提案営業を展開してトップシェアを目指してまいります。また、引続きタブレット端末を活用したICT化を全施工現場に導入し、更なる施工品質の向上と効率化を進めてまいります。そのほか、シントク工業㈱との連携を強化し、継手金具の品質向上、生産の効率化にも注力してまいります。

 海外においては、ベトナムのPV社は施工の技術・能力の向上と生産の一層の改善を目指し、採算重視の受注活動を継続するとともに、国内のジャパンパイル㈱との技術面での連携を強化してまいります。南部で一昨年より継続している風力発電の基礎工事関連プロジェクトは昨秋に完工いたしましたが、引続き再生エネルギー関連の基礎工事関連プロジェクトを推進してまいります。ミャンマーのVJP社につきましては、前連結会計年度において現況を踏まえた減損損失を計上いたしましたが、引続き事態の推移を注視しつつ、適切な対応を講じてまいります。

 

 

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

 当社グループの研究開発活動は、子会社ジャパンパイル㈱の技術部門が中心になって、施工部門、基礎設計スタッフおよび生産部門、営業部門などから構成されるプロジェクトチームによって行われています。当連結会計年度には下記のテーマを中心に活動を行いました。

 

(1)杭製品技術分野

 高支持力杭工法に対応した杭材に関する新たな評定取得や評定更新、JIS認証更新を実施しました。

 

(2)施工技術分野

 保有工法の技術を集大成した高機能な高支持力杭工法「Smart-MAGNUM工法」の水平展開を推進するため、社内への技術的講習会実施や社外への各種展示会及び技術広告等投稿を行いました。

 

(3)基礎周辺技術分野

 地中熱利用杭工法である「地熱トルネード工法」の各種展示会及び技術説明会等で普及活動を行いました。

 

(4)基礎関連研究開発分野

 基礎杭に関する研究開発として、二次設計への対応や杭と上部構造物の接合部、支持力機構あるいは地中熱利用などについて、大学、学会、他社、協会などと共同研究や委員会活動を行いました。当連結会計年度の成果については論文にまとめ、(公社)地盤工学会、(一社)日本建築学会等で発表しました。

 

(5)設計技術・品質管理技術分野

 (一社)基礎構造研究会では基礎設計能力の向上に努めました。また、低固定度杭頭接合工法「F.T.Pile構法」、高支持力杭対応杭頭接合工法「ジョイントカプラ工法」の普及に取り組み、多数の実プロジェクトの設計に活用しました。

 

(6)その他

 各種の技術資料の作成、営業部門の支援活動などの業務を行いました。また、特許担当は、特許の出願や調査など特許関係全般の業務のほか、既存特許の管理に取り組みました。当連結会計年度の特許出願数は6件となっています。「TPJ(トリプルプレートジョイント)」と「PJ(ペアリングジョイント)」の2種類がある無溶接継手の研究会活動に参加しました。さらに、(一社)日本建築構造技術者協会や(一社)コンクリートパイル・ポール協会、(一社)日本基礎建設協会など、職能団体や業界団体の委員会活動にも積極的に参加しました。

 

 当連結会計年度の研究開発費の総額は、263百万円であり、セグメント別の内訳は、国内事業263百万円、海外事業-百万円であります。