第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

当中間連結会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1)財政状態及び経営成績の状況

①経営成績の状況

当中間連結会計期間における世界景気は、一部の地域において足踏みが見られたものの、持ち直しの動きが継続しました。しかしながら、欧米の景気動向や米中両国による輸出規制の影響が懸念される他、中東地域を巡り地政学リスクが高まる等、先行き不透明な状況は継続しました。

当企業グループを取り巻く事業環境は、エレクトロニクス分野では、SiC半導体用途の需要に支えられ順調に推移しました。また、モビリティ分野においては、自動車産業の底堅い稼働等を背景に堅調に推移し、一般産業分野においては、企業の底堅い設備投資等を背景に安定的に推移しました。

このような状況の中、当企業グループでは、中期経営計画における経営目標の達成に向け、技術革新に追随しうる高付加価値製品の増強・開発に取り組むとともに、生産性向上によるコスト競争力の向上を図る等、製造・販売・開発が一体となり高付加価値化を加速することで、高度化する顧客ニーズに応え、着実に事業機会を取り込んでまいりました。加えて、原燃料や人件費等のコスト高騰による影響を軽減するべく、価格転嫁等の採算性向上に向けた取り組みを進めてまいりました。

この結果、当中間連結会計期間の経営成績は、売上高26,284百万円(前年同期比10.8%増)となりました。利益については、為替の影響に加え、価格転嫁や販売構成差等の影響で限界利益が増加したこと等により、営業利益5,808百万円(同26.0%増)、経常利益6,994百万円(同31.0%増)、親会社株主に帰属する中間純利益5,156百万円(同24.9%増)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は以下のとおりであります。

 

日本

半導体用は主にSiC半導体向けの強い需要に支えられ前年同期を大きく上回った他、工業炉用や放電加工電極等が堅調に推移したこと等により、売上高14,143百万円(前年同期比14.9%増)、営業利益5,515百万円(同34.4%増)となりました。

 

米国

半導体用や連続鋳造用・工業炉用等の冶金用が好調であったこと等により、売上高2,524百万円(同22.0%増)、営業利益222百万円(同45.7%増)となりました。

 

欧州

主力の冶金用が好調に推移した他、半導体用が伸長し、カーボンブラシ製品も前年同期を上回ったこと等により、売上高2,764百万円(同13.9%増)、人件費等の影響により営業損失48百万円(前年同期は98百万円の営業利益)となりました。

 

アジア

カーボンブラシ製品の販売が家電向け小型モーター用を中心に緩やかに回復したものの、工業炉等の冶金用が低調に推移したこと等により、売上高6,851百万円(前年同期比0.8%減)となり、営業利益604百万円(同57.6%増)となりました。

 

 

品目別の概況は以下のとおりであります。

 

特殊黒鉛製品

エレクトロニクス分野は、単結晶シリコン製造用が微減となったものの、SiC半導体向けの化合物半導体製造用が大きく伸長したこと等により、前年同期比14.2%増となりました。

一般産業分野は、連続鋳造用や工業炉用等の冶金用に加え、放電加工電極も堅調に推移したこと等により、前年同期比0.3%増となりました。

これらの結果、特殊黒鉛製品全体としては、前年同期比4.2%増となりました。

なお、受注高につきましては、大型受注剥落の影響等により、前年同期比9.2%減となりました。

 

一般カーボン製品

機械用カーボン分野は、前期に終了した特定案件の剥落があったものの、シールリングやパンタグラフ用すり板が好調に推移したこと等により、前年同期比3.1%減に留まりました。

電気用カーボン分野は、顧客の稼働が徐々に正常化する中、家電向け小型モーター用の販売が回復したこと等により、前年同期比16.8%増となりました。

これらの結果、一般カーボン製品全体としては、前年同期比7.1%増となりました。

 

複合材その他製品

SiCコーティング黒鉛製品は、SiC半導体向けが大幅に伸長した他、シリコン半導体向けが底堅く推移したこと等により、前年同期を大きく上回りました。C/Cコンポジット製品は、工業炉用が堅調に推移したこと等により、前年同期を上回りました。黒鉛シート製品は、自動車用が堅調に推移したこと等により、前年同期を上回りました。

これらの結果、主要3製品は前年同期比29.7%増となり、複合材その他製品全体としては、前年同期比26.4%増となりました。

 

②財政状態の状況

当中間連結会計期間末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ7,591百万円増加いたしました。これは主に現金及び預金が612百万円減少および有価証券が500百万円減少したものの、受取手形及び売掛金が1,136百万円増加、棚卸資産が2,641百万円増加、有形固定資産が4,171百万円増加および関係会社出資金の増加等により投資その他の資産が460百万円増加したこと等によるものであります。

負債合計は、前連結会計年度末に比べ2,379百万円増加いたしました。これは主に未払金が407百万円増加、未払法人税等が483百万円増加および前受金の増加等により流動負債のその他が1,094百万円増加したこと等によるものであります。

純資産合計は、前連結会計年度末に比べ5,211百万円増加いたしました。これは主に利益剰余金が2,849百万円増加および為替換算調整勘定が2,304百万円増加したこと等によるものであります。

 

(2)キャッシュ・フローの分析

当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前連結会計年度に比べ758百万円減少し、12,843百万円となりました。

 

営業活動の結果、獲得した資金は4,210百万円(前年同期比80.7%増)となりました。これは主に為替差益841百万円(同69.9%増)、売上債権の増加額328百万円(前年同期は595百万円の減少)、棚卸資産の増加額1,638百万円(前年同期比16.5%減)、仕入債務の減少額664百万円(同16.9%増)および法人税等の支払額1,653百万円(同4.2%減)等の資金の減少に対し、税金等調整前中間純利益7,354百万円(同28.6%増)および減価償却費1,799百万円(同9.4%増)等の資金の増加によるものであります。

投資活動の結果、使用した資金は3,113百万円(前年同期は60百万円の獲得)となりました。これは主に定期預金の払戻による収入3,464百万円(前年同期比41.1%減)等の資金の増加に対し、定期預金の預入による支出2,833百万円(同21.4%減)および有形固定資産の取得による支出3,348百万円(同57.3%増)等の資金の減少によるものであります。

財務活動の結果、使用した資金は2,413百万円(同29.7%増)となりました。これは主に配当金の支払額2,304百万円(同57.1%増)等の資金の減少によるものであります。

 

(3)経営方針・経営戦略等

当中間連結会計期間において、当企業グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当中間連結会計期間において、当企業グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(5)研究開発活動

当中間連結会計期間の当企業グループ全体の研究開発活動の金額は473百万円であります。

当社は、カーボンニュートラル社会の実現に向け、2040年に非化石資源から製造された人造黒鉛原料を社会実装することを目指し、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、「NEDO」)が公募した2024年度「NEDO先導研究プログラム/新技術先導研究プログラム」における研究開発課題「人造黒鉛における化石由来原料依存からの脱却に資する革新的製造技術の開発」に対し、「黒鉛材料の非化石原料化に向けた研究開発」(以下、「本研究」)を提案し、このたび研究開発テーマとして採択されました。本研究は、2024年度より最長3年の研究委託事業で、当社が有する粉体制御技術および廃棄物活用技術を応用し、使用済みの黒鉛質材料から人造黒鉛の原料となる基材を創り出す、ケミカルリサイクル技術の確立を目指します。

その他当企業グループ研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

(6)主要な設備

当中間連結会計期間において新たに確定した重要な設備の新設計画は次のとおりであります。

会社名

(所在地)

セグメントの名称

設備の内容

投資予定金額

着手及び完了予定

総額

(百万円)

既支払額

(百万円)

着手

完了

東洋炭素株式会社

生産技術センター

(香川県観音寺市)

日本

製造設備の増設

1,925

2024年2月

2026年2月

東洋炭素株式会社

詫間事業所

(香川県三豊市)

日本

土地

1,052

1,052

2024年5月

2024年5月

 

 

(7)生産、受注及び販売の実績

生産実績

当中間連結会計期間の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当中間連結会計期間

(自 2024年1月1日

至 2024年6月30日)

金額(百万円)

前年同期比(%)

日本

14,294

113.2

米国

2,604

121.2

欧州

2,703

107.9

アジア

7,398

97.7

合計

27,001

108.6

(注)金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

 

受注実績

当中間連結会計期間の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当中間連結会計期間

(自 2024年1月1日

至 2024年6月30日)

受注金額

(百万円)

前年同期比

(%)

受注残高

(百万円)

前年同期比

(%)

日本

14,085

114.8

9,218

105.4

米国

1,949

67.6

4,133

100.9

欧州

2,778

111.0

2,353

123.4

アジア

6,071

105.2

2,261

100.0

合計

24,885

106.2

17,966

105.6

(注)1.金額は販売価格によっております。

2.前中間期以前に外貨建てで受注したもので、当中間期中の為替相場の変動による差異については、当中間期受注金額に含めております。

3.半製品(素材製品)は、主として見込生産であるため、上記の金額には含まれておりません。

4.当中間連結会計期間における受注実績を品目ごとに示すと、次のとおりであります。

品目

当中間連結会計期間

(自2024年1月1日

至2024年6月30日)

受注金額

(百万円)

前年同期比

(%)

受注残高

(百万円)

前年同期比

(%)

特殊黒鉛製品

10,875

90.8

6,980

88.5

一般カーボン製品(機械用カーボン分野)

2,065

101.7

994

96.9

一般カーボン製品(電気用カーボン分野)

2,629

121.4

976

116.5

複合材その他製品

9,315

128.6

9,014

124.2

合計

24,885

106.2

17,966

105.6

 

 

販売実績

当中間連結会計期間の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当中間連結会計期間

(自2024年1月1日

至2024年6月30日)

金額(百万円)

前年同期比(%)

日本

14,143

114.9

米国

2,524

122.0

欧州

2,764

113.9

アジア

6,851

99.2

合計

26,284

110.8

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.当中間連結会計期間の販売実績を品目ごとに示すと、次のとおりであります。

品目

当中間連結会計期間

(自2024年1月1日

至2024年6月30日)

金額(百万円)

前年同期比(%)

特殊黒鉛製品

12,184

104.2

一般カーボン製品(機械用カーボン分野)

1,954

96.9

一般カーボン製品(電気用カーボン分野)

2,456

116.8

複合材その他製品

8,523

126.4

商品

1,164

101.4

合計

26,284

110.8

 

3【経営上の重要な契約等】

当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定または締結等は行われておりません。