第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当企業グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

当企業グループは、「C(カーボン)の可能性を追求し世界に貢献すること」を経営理念とし、「どこにもないモノをつくる」という創業来のパイオニア精神を忘れず、最高の品質と最高の技術を誰よりも先に提供し、人々の暮らしをより豊かにすることで、広く社会に貢献できる企業を目指しております。

 

(2)目標とする経営指標、中長期的な会社の経営戦略並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当企業グループを取り巻く事業環境は、足もとのコロナ禍による経済的混乱に留まらず、地政学的リスクや気候変動リスクの増大等、世界全体を覆う重大な課題に晒されており、今後も不透明かつ不安定な状況が続くと見られます。一方で、これらの課題解決も含めて産業構造やライフスタイルの変化が生じており、デジタル社会や循環型社会の急速な進展はその顕著な一例であります。当企業グループの展開市場においても、既にエレクトロニクス分野や自動車産業をはじめとする一般産業分野において、新たなニーズの出現や技術革新の進展による事業機会の創出・増加が見込まれております。

当企業グループとしては、これらの環境変化をチャンスと位置付け、その動きを機敏に捉えて、変化・高度化する市場のニーズや要請に応える高付加価値な技術・製品をグローバルに提供することにより、大きな成長を目指してまいる所存です。そのためにも、事業環境や市況の変化に左右されない事業ポートフォリオの構築、ならびにグローバルかつ強固なガバナンス体制と経営基盤の確立が課題であると認識しております。

中長期的な経営戦略につきましては、これらの環境認識と課題を踏まえ、会社方針に掲げる「グローバル企業になる」「世のため、社会のためになる」「強い会社になる」ことを実現するべく、高成長・高付加価値事業の徹底拡大、省エネ・省人化等含めた生産技術革新・競争力強化、ならびに海外展開強化等の取組みを着実に進めてまいる所存です。そしてこれらの取組みを支えるグローバル人材の育成を強化してまいります。

事業を通じて環境・社会に貢献する企業として、「さらなる成長」と「企業価値および社会的価値の拡大」を目指し、目標とする経営指標につきましては、2027年に売上高665億円、営業利益135億円を達成し、全社でのROEは10%以上とすることを掲げております。

 

(3)経営環境

今後の国内外の経営環境につきましては、地政学リスクやインフレによる景気停滞に加え、資源価格高騰の影響が懸念されるなど、先行き不透明な状況が継続するものと予想されます。

しかしながら、当企業グループを取り巻く事業環境におきましては、デジタル投資やカーボンニュートラル実現の動きが継続することなどにより、エレクトロニクスやモビリティー、エネルギーなどの産業を中心に、着実な需要が見込まれます。当企業グループにおきましては、一部半導体市場は踊り場局面を迎えるものの対面業界における需要は力強さが継続するほか、冶金用などにおいても堅調な需要を見込んでおります。

このような状況のもと、当企業グループは、中期経営計画に基づき、外部環境の変化を機敏に捉えた事業展開を推進するとともに、生産性向上によるコスト競争力の向上、技術革新に追随しうる新製品ならびに高付加価値製品の開発・増強などに着手し、顧客ニーズに真摯に向き合いながら、事業機会を着実に取り込んでまいる所存です。

 

(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「(2)目標とする経営指標、中長期的な会社の経営戦略並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載の「目標とする経営指標」のとおりです。

 

2【事業等のリスク】

以下におきましては、当企業グループの事業の状況および経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況にリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項およびその他投資者の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる事項を記載しております。

当企業グループは、リスク・コンプライアンス委員会において、経営上重要なリスクを特定・算定および評価を行ったうえで、優先対応リスクの決定を行い、その結果に基づき「リスクマップ」を作成しています。リスクマップは定期的に見直しを行い取締役会に報告しています。

なお、当社の有価証券に関する投資判断は、本項および本書中の本項以外の記載内容もあわせて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。

また、以下の事項のうち将来に関する事項は、本書提出日現在において当企業グループが判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果と異なる場合があります。

 

<リスクマップのイメージおよびリスク管理体制>

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(特に重要なリスク)

(1)災害・感染症等による事業活動の停止について

当企業グループは、大規模災害による主要製品の操業停止の影響を最小限にするため、事業継続計画(BCP)を策定しており、大地震、津波等の自然災害を想定して建物・生産機器等の耐震性・安全性確保、情報システムのバックアップ体制、在庫による供給維持などの施策を講じております。

また、感染症のパンデミックに備えて、グループ全体の基本計画を定め、内閣府、厚生労働省、外務省、地方自治体、WHO(世界保健機関)等の指針を踏まえ、警戒フェーズに対応した行動計画を策定しております。

しかしながら、主要な生産設備が集中する香川県をはじめとした、販売および生産拠点等の所在地において当企業グループの想定を超える災害の発生、感染症の流行等により、操業を停止する場合には、当企業グループの財政状態および経営成績に影響が及ぶ可能性があります。

 

(2)海外事業活動が経営成績に与える影響について

当企業グループは、顧客ニーズへの迅速な対応および適時に供給できるよう販売および生産拠点の拡大を積極的に進めております。当企業グループの連結売上高に占める海外売上高比率は、当連結会計年度において58.3%でありますが、今後、グローバル展開の進展により当該比率がさらに高まる可能性があります。また、海外市場における為替レートの変動、政治情勢の変化および法規制の変化等が当企業グループの経営成績および財政状況に影響を及ぼす可能性があります。特に中国における事業の拡大から、中国における政治および為替政策の変化が、当企業グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)原燃料価格が経営成績に与える影響について

当企業グループは、原燃料の価格上昇の影響を抑えるため、2社購買および販売価格への転嫁等の対策を講じておりますが、予想以上に原燃料価格が上昇した場合には、当企業グループの経営成績に影響が及ぶ可能性があります。

 

(4)棚卸資産について

当企業グループは、加工製品につきましては受注生産でありますが、加工製品の素材となる等方性黒鉛材料の製造に約5ヶ月を要することから、等方性黒鉛材料につきましては見込生産を行っております。また、当企業グループでは、等方性黒鉛材料の需要予測を毎月行い、生産計画を作成することで、過剰在庫を持たないように努めておりますが、予想以上に等方性黒鉛材料の需要が落ち込んだ場合には、製品自体に経時変化はないものの一時的に過剰在庫となる可能性があります。

なお、当企業グループでは、直接販売を基本とすることで、顧客情報を直接入手し、顧客との共同研究開発、自社による製品開発および改良等に反映させることに努めており、その結果、棚卸資産の回転期間が当連結会計年度で5.0ヶ月となっております。

 

(重要なリスク)

(1)市場動向が経営成績に影響を与えることについて

当企業グループの主要製品である特殊黒鉛製品は、エレクトロニクス、金型、冶金、化学および原子炉用等の幅広い分野において利用されておりますが、特にエレクトロニクス分野におきましては、シリコン半導体製造、化合物半導体製造(発光ダイオード、レーザーダイオード)向け市場の拡大にともなって販売を伸張してまいりました。また、複合材その他製品におきましても同様にエレクトロニクス分野に多く使用されております。

当企業グループは、エレクトロニクス分野の市場変動による経営成績への影響に適切に対応すべく、特殊黒鉛製品以外の機械用カーボン製品および電気用カーボン製品のシェア確保、冶金用等での新用途開拓に努め事業リスクの分散を図るとともに、エレクトロニクス業界の動向を分析予測し、適切な経営判断を行うよう努力しておりますが、予想に反しエレクトロニクス業界が低迷した場合には、当企業グループの経営成績に影響が及ぶ可能性があります。

 

(2)競合について

当企業グループは、多岐にわたる顧客に対してカーボン製品を供給しておりますが、カーボン製品業界においては技術競争や価格競争が行われております。当企業グループでは、生産部門と営業部門の連携により様々な顧客ニーズに合致した高付加価値製品やそれを掘り起こす製品の早期開発を進めるとともに、原価低減や経費削減によるコスト低下に努めておりますが、競合他社の動向や価格競争の結果、当企業グループの経営成績に影響が及ぶ可能性があります。

 

(3)法的規制の影響について

当企業グループのカーボン製品は「外国為替及び外国貿易法(外為法)等輸出関連法規」および国際原子力機関(IAEA)による「原子力関連機器の輸出に関する規制等」の適用を受けているほか、各国での事業・投資に関する許認可制度、関税・租税等の税制、公正競争や環境・リサイクル関連などの法的規制の適用も受けております。このような中、当企業グループは法令遵守に努めておりますが、これらの法的規制による指導を受ける可能性があります。また将来において現在予期し得ない法的規制等が設けられた場合には、当企業グループの経営成績に影響が及ぶ可能性があります。

 

(4)情報セキュリティについて

当企業グループは、事業上の機密情報や事業の過程で入手した顧客情報や個人情報を保有しております。

当企業グループでは、これら情報の取扱いに関する管理を強化するとともに、CSIRT体制を構築し、情報システムのウイルス感染やサイバー攻撃によるシステム障害、社外への情報漏洩に対する対策を図っております。

しかしながら、当企業グループの想定を超える攻撃等により、重要データの破壊、改ざん、流出、システム停止等を引き起こす場合には、当企業グループの経営成績に影響が及ぶ可能性があります。

 

(5)今後の投資戦略について

当企業グループの投資戦略においては、定常の設備更新投資・研究開発投資に加えて、戦略的投資を積極的に推進する方針としています。これらの投資においては、市場環境の急激な変化、投資回収期間の長期化等によって、当企業グループの経営成績に影響が及ぶ可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の概要

①経営成績

当連結会計年度においては、内外経済は先進国を中心に持ち直しの動きが見られましたが、ウクライナ問題の長期化や中国における経済活動抑制の影響による資源価格高騰やサプライチェーンの混乱に加え、インフレ加速により欧米では景気回復に足踏みが見られる等、先行き不透明な状況が継続しました。

当企業グループを取り巻く事業環境は、モビリティー分野では、半導体不足や供給制約が自動車産業の稼働に影響を及ぼしました。一方、エレクトロニクス分野では、半導体の一部用途における需要が調整局面を迎えたものの、対面市場においては旺盛な需要が継続し、一般産業分野においても需要は底堅く推移しました。

このような状況の中、当企業グループでは、中期経営計画における経営目標の達成に向け、外部環境の変化を機敏に捉えた事業展開を推進するとともに、生産性向上によるコスト競争力の向上、技術革新に追随しうる新製品および高付加価値製品の開発・増強に着手する等、顧客ニーズに真摯に向き合いながら、事業機会を着実に取り込むべく事業を推進してまいりました。加えて、原燃料価格高騰の影響を軽減するべく採算性の確保・維持に向けた取り組みを進めてまいりました。

この結果、当連結会計年度の経営成績は、カーボンブラシ製品の需要は減少したものの、半導体や冶金用途における堅調な需要に加え、円安の影響もあり、売上高は43,774百万円(前期比16.0%増)となりました。利益については、円安進行により在庫未実現利益が想定以上に増加し利益を下押ししたものの、営業利益6,667百万円(同17.7%増)、経常利益7,369百万円(同17.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益5,181百万円(同16.0%増)となりました。

 

 

売上高

営業利益

経常利益

親会社株主に

帰属する当期純利益

予    想

43,000百万円

7,300百万円

7,600百万円

5,300百万円

実    績

43,774百万円

6,667百万円

7,369百万円

5,181百万円

予  想  比

774百万円増

632百万円減

230百万円減

118百万円減

増  減  率

1.8%増

8.7%減

3.0%減

2.2%減

 

セグメントごとの経営成績は以下のとおりであります。

 

日本

半導体用は強い需要に支えられ前期を大きく上回り、工業炉用や放電加工電極等冶金用全般も好調に推移したほか、機械用カーボン分野が底堅く推移したこと等により、売上高は22,761百万円(前期比17.0%増)、営業利益は6,435百万円(同48.9%増)となりました。

 

米国

半導体用が好調に推移したほか、連続鋳造用等の冶金用や放電加工電極が大幅に増加したこと等により、売上高は3,382百万円(同25.2%増)となり、人件費の増加等により営業利益は91百万円(同30.6%減)となりました。

 

欧州

経済停滞にともなう需要減速の影響等によりカーボンブラシ製品の売上は前期を下回ったものの、主力の冶金用が好調に推移したことに加え、半導体用が増加したこと等により、売上高は3,708百万円(同17.5%増)となり、人件費の増加等により営業利益は35百万円(同71.1%減)となりました。

 

アジア

前期高水準のカーボンブラシ製品は家電・電動工具の需要減速により減少し、太陽電池用は選別受注による高付加価値品へのシフトを推し進めたこと等により大幅に減少したものの、半導体用が大幅に増加したほか、冶金用等が堅調に推移しました。これらの結果、中国における行動制限にともなうサプライチェーン混乱の影響はあったものの、売上高は13,922百万円(同12.0%増)、営業利益は1,075百万円(同0.8%増)となりました。

 

 

品目別の概況は以下のとおりであります。

品目

前連結会計年度

(自 2021年1月1日

至 2021年12月31日)

当連結会計年度

(自 2022年1月1日

至 2022年12月31日)

増減率(%)

金額(百万円)

金額(百万円)

特殊黒鉛製品

17,143

20,230

18.0

一般カーボン製品(機械用カーボン分野)

3,738

3,985

6.6

一般カーボン製品(電気用カーボン分野)

5,727

4,823

△15.8

複合材その他製品

9,306

11,765

26.4

商品

1,819

2,969

63.2

合計

37,734

43,774

16.0

 

特殊黒鉛製品

エレクトロニクス分野は、太陽電池製造用が選別受注による高付加価値品へのシフトを推し進めたこと等により大幅に減少したものの、単結晶シリコン製造用やSiC(炭化ケイ素)半導体向けの化合物半導体製造用が大きく伸長したこと等により、前期比20.0%増となりました。

一般産業分野は、放電加工電極に加え、連続鋳造用や工業炉用等の冶金用が大幅に増加したこと等により、前期比14.6%増となりました。

これらの結果、特殊黒鉛製品全体としては、前期比18.0%増となりました。

 

一般カーボン製品

機械用カーボン分野は、主力の軸受・シールリング等が堅調に推移したこと等により、前期比6.6%増となりました。

電気用カーボン分野は、巣ごもり需要の一巡や、家電・電動工具の需要減速により小型モーター用の需要が減少したことで、前期比15.8%減となりました。

これらの結果、一般カーボン製品全体としては、前期比6.9%減となりました。

 

複合材その他製品

SiC(炭化ケイ素)コーティング黒鉛製品は、シリコンおよびSiC半導体向けが大幅に伸長したこと等により、前期を大きく上回りました。C/Cコンポジット製品は、工業炉用および半導体用の需要が好調だったこと等により、前期を上回りました。また、黒鉛シート製品は、自動車用が減少したものの、半導体用や冶金用が好調に推移したこと等により、前期を上回りました。

これらの結果、主要3製品は前期比27.4%増となり、複合材その他製品全体としては、前期比26.4%増となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前連結会計年度に比べ696百万円減少し、11,773百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果、獲得した資金は5,625百万円(前期比23.2%減)となりました。これは主に売上債権の増加額2,021百万円(同3.4%減)、棚卸資産の増加額1,959百万円(前期は221百万円の減少)および法人税等の支払額1,692百万円(前期比69.7%増)等の資金の減少に対し、税金等調整前当期純利益7,298百万円(同19.0%増)、減価償却費3,153百万円(同6.8%増)および前受金の増加等によるその他の増加額1,131百万円(同47.1%増)等の資金の増加によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果、使用した資金は5,253百万円(同16.0%減)となりました。これは主に定期預金の払戻による収入7,722百万円(同32.4%増)等の資金の増加に対し、定期預金の預入による支出8,334百万円(同21.5%増)および有形固定資産の取得による支出4,219百万円(同16.9%減)等の資金の減少によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果、使用した資金は1,388百万円(同10.1%増)となりました。これは主に配当金の支払額1,259百万円(同20.2%増)等の資金の減少によるものであります。

③生産、受注及び販売の実績

生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年1月1日

至 2022年12月31日)

金額(百万円)

前期比(%)

日本

22,722

118.0

米国

3,454

125.5

欧州

3,759

118.6

アジア

14,225

108.4

合計

44,161

115.3

(注)金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

 

受注実績

当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年1月1日

至 2022年12月31日)

受注金額

(百万円)

前期比

(%)

受注残高

(百万円)

前期比

(%)

日本

22,530

107.3

7,128

116.9

米国

4,022

100.7

3,200

149.6

欧州

4,372

129.6

1,680

189.4

アジア

11,732

105.1

2,480

136.7

合計

42,657

107.9

14,490

132.5

(注)1.金額は販売価格によっております。

2.外貨建てで受注したもので、当期中の為替相場の変動による差異については、当期受注金額に含めております。

3.半製品(素材製品)は、主として見込生産であるため、上記の金額には含まれておりません。

4.当連結会計年度の受注実績を品目ごとに示すと、次のとおりであります。

品目

当連結会計年度

(自 2022年1月1日

至 2022年12月31日)

受注金額

(百万円)

前期比

(%)

受注残高

(百万円)

前期比

(%)

特殊黒鉛製品

20,617

112.2

6,728

148.4

一般カーボン製品

(機械用カーボン分野)

4,034

110.5

964

124.4

一般カーボン製品

(電気用カーボン分野)

4,273

74.5

802

65.3

複合材その他製品

13,732

116.7

5,995

136.3

合計

42,657

107.9

14,490

132.5

5.欧州および一般カーボン製品(機械用カーボン分野)については内示による受注を含めております。

 

販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年1月1日

至 2022年12月31日)

金額(百万円)

前期比(%)

日本

22,761

117.0

米国

3,382

125.2

欧州

3,708

117.5

アジア

13,922

112.0

合計

43,774

116.0

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.総販売実績に対し10%以上に該当する販売先はありません。

3.当連結会計年度の販売実績を品目ごとに示すと、次のとおりであります。

品目

当連結会計年度

(自 2022年1月1日

至 2022年12月31日)

金額(百万円)

前期比(%)

特殊黒鉛製品

20,230

118.0

一般カーボン製品(機械用カーボン分野)

3,985

106.6

一般カーボン製品(電気用カーボン分野)

4,823

84.2

複合材その他製品

11,765

126.4

商品

2,969

163.2

合計

43,774

116.0

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当企業グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、過去の実績等の連結財務諸表作成時に入手可能な情報に基づいて合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

②財政状態の分析

資産・負債および純資産の状況

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ5,777百万円増加いたしました。これは主に受取手形及び売掛金が2,408百万円増加、棚卸資産が2,392百万円増加および繰延税金資産が512百万円増加したこと等によるものであります。

負債合計は、前連結会計年度末に比べ833百万円増加いたしました。これは主に未払金が151百万円減少、設備関係支払手形の減少等により流動負債のその他が215百万円減少および長期リース債務の減少等により固定負債のその他が161百万円減少したものの、支払手形及び買掛金が103百万円増加、未払法人税等が882百万円増加、賞与引当金が169百万円増加したこと等によるものであります。

純資産合計は、前連結会計年度末に比べ4,944百万円増加いたしました。これは主に利益剰余金が3,923百万円増加および為替換算調整勘定が1,111百万円増加したこと等によるものであります。

 

③経営成績の分析

売上高

当企業グループの当連結会計年度の売上高は、カーボンブラシ製品の需要は減少したものの、半導体や冶金用途における堅調な需要に加え、円安の影響等により、43,774百万円(前期比16.0%増)となりました。

 

売上原価、販売費及び一般管理費

売上高に対する売上原価の比率は67.0%となりました。また、販売費及び一般管理費につきましては、売上高に対する比率が17.7%となりました。

 

営業外損益

営業外収益は、受取利息92百万円(同15.9%増)、持分法による投資利益158百万円(同90.2%増)および為替差益282百万円(同13.8%増)等を計上したことにより、770百万円(同14.8%増)となりました。

営業外費用は、支払利息33百万円(同18.9%増)および減価償却費16百万円(同1.7%増)等を計上したことにより、68百万円(同5.0%減)となりました。

 

特別損益

特別利益は、補助金収入42百万円(同205.2%増)および受取和解金73百万円(前期は計上なし)を計上したことにより、129百万円(前期比585.1%増)となりました。

特別損失は、固定資産除却損112百万円(同26.4%減)および操業停止による損失87百万円(前期は計上なし)等を計上したことにより、200百万円(前期比31.2%増)となりました。

 

親会社株主に帰属する当期純利益

以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は5,181百万円(同16.0%増)となりました。

 

④キャッシュ・フローの分析並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

キャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当企業グループの運転資金需要は主に、原材料等の購入費用、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、主に生産設備であります。

当企業グループは、事業運営上必要な運転資金および設備投資資金については、自己資金で賄うことを基本方針としつつ、金融機関からの借入により調達する場合もあります。

 

4【経営上の重要な契約等】

当連結会計年度において、経営上の重要な契約等の決定または締結等は行われておりません。

 

5【研究開発活動】

(1)研究開発活動の方針

当企業グループは、「C(カーボン)の可能性を追求し世界に貢献する」という経営理念の基に、等方性黒鉛材料製造で培われた材料開発技術を基盤とした新しい等方性黒鉛材料やカーボン系複合材料等の新素材の研究開発を進めています。また、新規用途の開発への着目や、従来の特性を超えたカーボン製品開発へ挑戦することにより、顕著に差別化され独自性を有する高品位、高付加価値製品を提供し、顧客満足を得るとともに顧客ニーズを喚起することを基本方針としております。

 

(2)研究開発体制

当企業グループの研究開発は、主として当社の技術開発部門が担っておりますが、生産部門と営業部門との社内連携、ユーザーや大学、国内・海外研究機関等との共同研究も積極的に進め、顧客ニーズに合致した製品やそれを掘り起こす製品の早期開発を推進しております。また当社独自の管理システムによる技術審査を、海外子会社を含め全社的に実施することで、技術・ノウハウの体系的管理を強化しております。

なお、当連結会計年度末における研究開発要員は44名であります。

 

(3)研究開発活動

当連結会計年度の研究開発費の総額は1,121百万円であり、主な研究開発活動は次のとおりであります。

特に、ユーザーのニーズをいち早く掴み技術動向の先頭を走るべく、省エネ・環境負荷低減用途における製品の充実を図るとともに、既存用途の延長線上にはない製造技術や原材料、製品特性などの検証により、環境規制物質・クリーンエネルギー市場の動向に適合した品質を確立するなど、市場要求にマッチした製品をタイムリーに投入するための研究開発活動を強化しております。また、新規製品の開発および生産技術の強化にとどまらず、長期将来を見据えた基礎研究にも力を入れるべく体制整備を行い、未開拓用途や新技術の取り込みを一層強化しております。

 

①特殊黒鉛製品

新機能材料の開発につきましては、エレクトロニクス分野において半導体製造用の新型黒鉛材料を開発し、市場評価が進んでおります。とりわけ、次世代半導体であるSiCウエハー製造部材向けに開発した新たな黒鉛材料につきまして、顧客における評価が進行しており、量産試作フェーズへ移行しました。また、さらなるニーズに対応するべく黒鉛材料の開発に着手するとともに、社内評価体制も強化しております。加えて、長期的に原料を確実に調達するべく、品質を確保しうる新規原料探索ならびに粗原料の使いこなし技術の確立を推進しております。エネルギー関連材料につきましては、原子力用途において、地上に太陽エネルギーを人工的に創るべく研究が進められている核融合炉のプラズマ対向壁用黒鉛材料や、多目的高温ガス炉用黒鉛材料の開発を継続しております。

 

②一般カーボン製品(機械用カーボン分野)

一般産業機械用につきましては、メカニカルシール用としての高機能カーボン材料の市場評価を含めた開発を継続しております。また機械用カーボンの製造技術向上のために導入した製造試験装置を用い、生産性改善およびコストダウンの可能性を見出すことに成功しております。自動車の電動化進展にともない、軽量化や耐久性向上など、自動車部品に対する要求特性がより高度化する中、高い特性に加え、省エネルギーなど環境負荷低減にもつながる部品等の開発・製品化、顧客の納期および品質要求に応える新たな生産技術の導入により、ユーザーニーズを的確に捉えてまいります。とりわけ量産製品に関しての品質維持・向上に向け、原料・副資材における調達難の回避やコストを低減しうる代替原料および代替技術の開発に注力しております。

 

③一般カーボン製品(電気用カーボン分野)

小型モーター用につきましては、主に高性能掃除機用カーボンブラシ、バッテリータイプ電動工具用カーボンブラシの開発を推進するとともに、海外向け洗濯機用カーボンブラシおよび自動車用カーボンブラシの開発を継続しております。カーボンブラシ製品は近年ますますコスト低減への対応が重要な開発課題となっており、当企業グループにおいても生産技術を含めた、総合的な技術開発を加速しております。また、環境規制物質に対する各国の法規制に先駆的に対応するべく、新たな原料の検討を行うなどの開発活動を展開しております。また、風力発電などに代表される再生エネルギー用途、大量輸送機器などに使用されるモーター用途等の大型モーター用の材料の開発を進めており、小型モーター用における従来技術と素材開発技術を掛け合わせ、顧客評価を受けながら機敏な試作品展開を進めております。

 

④複合材その他製品

SiCコーティング黒鉛製品につきましては、半導体製造向けの黒鉛部材に対する品質要求のさらなる高度化に応えるべく、基盤となる黒鉛製品に施す高純度化処理の技術向上に取り組むとともに、需要増へのタイムリーな対応を生産技術改善により実現、さらなる生産性の向上と品質向上を図るべく、顧客ニーズを取り込みながら製造技術強化に注力しております。さらに、次世代の品質要求をも満足しうる膜質の実現など、品質向上のための技術開発や製造設備の検討にも積極的に取り組んでおります。

多孔質炭素CNovel(R) (クノーベル(R))につきましては、燃料電池や次世代電池の材料としての国内外のユーザーにて評価が進行しております、水素エネルギーの利用により環境負荷低減が期待できる燃料電池の電極など、クリーンエネルギー分野での採用を視野に、当該商品を積極的に展開し、社会課題の解決に貢献してまいります。また、特殊色材用途や新規バイオセンサー用途への活用など高付加価値領域での活用の可能性も拡がっています。

連結子会社の上海東洋炭素有限公司においては、独自の製造方法を用いて、電子部品の放熱フィラー材料である窒化アルミニウムの市場提供を開始しました。通信機器の放熱用途など、通信の高速化により高機能化する電子デバイスなどへの適用を見据え試作品を展開し、ユーザー評価を推進しております。

その他当企業グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。