第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当企業グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

当企業グループは、「C(カーボン)の可能性を追求し世界に貢献すること」を経営理念とし、「どこにもないモノをつくる」という創業来のパイオニア精神を忘れず、最高の品質と最高の技術を誰よりも先に提供し、人々の暮らしをより豊かにすることで、広く社会に貢献できる企業を目指しております。

 

(2)目標とする経営指標、中長期的な会社の経営戦略および会社の対処すべき課題

当企業グループを取り巻く事業環境は、特殊黒鉛製品をはじめ主力製品における需要の変動やそれにともなう競争が激化しており、今後中長期的にも激しい競争環境が継続するものと予想されます。一方で、市場環境は、エレクトロニクス分野や自動車産業をはじめ一般産業などにおいても、一時的な調整局面にはあるものの、技術革新の進展による新たな事業機会の増加が見込まれております。また、当企業グループ内部におきましては、特殊黒鉛製品に依存した事業環境やエレクトロニクス市況に左右される収益構造、アジアに偏った事業展開など、事業構造の偏りが課題であると認識しております。

中期経営計画では2022年までを成長への変革フェーズと位置付け、「特定市場に依存しない安定した経営基盤の構築」と「将来の飛躍に向けた生産効率向上」の実現に向け、製品の高付加価値化、生産技術の強化・革新ならびに海外展開強化の取り組みを進めてまいる所存です。これにより現状の事業構造からの脱却を図り、「成長の柱の構築と収益基盤の強化」「安定したポートフォリオの確立」「グローバル企業への飛躍」を目指してまいります。

目標とする経営指標につきましては、2022年に主力の既存事業で売上高500億円・営業利益80億円を達成し、全社でのROEは8%以上とすることを掲げております。

 

2【事業等のリスク】

以下におきましては、当企業グループの事業の状況および経理の状況等に関する事項のうち、リスク要因となる可能性があると考えられる主な事項およびその他投資者の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる事項を記載しております。

当企業グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避および発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社の有価証券に関する投資判断は、本項および本書中の本項以外の記載内容もあわせて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。

なお、以下の事項のうち将来に関する事項は、本書提出日現在において当企業グループが判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果と異なる場合があります。

(1)市場動向が業績に影響を与えることについて

当企業グループの主要製品である特殊黒鉛製品は、エレクトロニクス、金型、冶金、化学および原子炉用等の幅広い分野において利用されておりますが、特にエレクトロニクス分野におきましては、シリコン半導体製造、太陽電池製造、化合物半導体製造(発光ダイオード、レーザーダイオード)向け市場の拡大にともなって販売を伸張してまいりました。また、複合材その他製品におきましても同様にエレクトロニクス分野に多く使用されております。

当企業グループは、エレクトロニクス分野の市場変動による業績への影響に適切に対応すべく、特殊黒鉛製品以外の機械用カーボン製品および電気用カーボン製品のシェア確保、冶金用等での新用途開拓に努め事業リスクの分散を図るとともに、エレクトロニクス業界の動向を分析予測し、適切な経営判断を行うよう努力しておりますが、予想に反しエレクトロニクス業界が低迷した場合には、当企業グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。

 

(2)競合について

当企業グループは、多岐にわたる顧客に対してカーボン製品を供給しておりますが、カーボン製品業界においては技術競争や価格競争が行われております。当企業グループでは、生産部門と営業部門の連携により様々な顧客ニーズに合致した高付加価値製品やそれを掘り起こす製品の早期開発を進めるとともに、原価低減や経費削減によるコスト低下に努めておりますが、競合他社の動向や価格競争の結果、当企業グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。

 

(3)原燃料価格が業績に与える影響について

当企業グループは、原燃料の価格上昇の影響を抑えるため、2社購買および販売価格への転嫁等の対策を講じておりますが、予想以上に原燃料価格が上昇した場合には、当企業グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。

 

(4)たな卸資産について

当企業グループは、加工製品につきましては受注生産でありますが、加工製品の素材となる等方性黒鉛材料の製造に約5ヶ月を要することから、等方性黒鉛材料につきましては見込生産を行っております。また、当企業グループでは、等方性黒鉛材料の需要予測を毎月行い、生産計画を作成することで、過剰在庫を持たないように努めておりますが、予想以上に等方性黒鉛材料の需要が落ち込んだ場合には、製品自体に経時変化はないものの一時的に過剰在庫となる可能性があります。

なお、当企業グループでは、直接販売を基本とすることで、顧客情報を直接入手し、顧客との共同研究開発、自社による製品開発および改良等に反映させることに努めており、その結果、たな卸資産の回転期間が当連結会計年度で5.1ヶ月となっております。

 

(5)災害・感染症等による事業活動の停止について

当企業グループは、地震災害による主要製品の操業停止の影響を最小限にするため、事業継続計画(BCP)を策定しており、一定規模の地震災害を想定して建物・生産機器等の耐震性・安全性確保、情報システムのバックアップ体制、在庫による供給維持などの施策を講じております。

また、感染症のパンデミックに備えて、グループ全体の基本計画を定め、内閣府、厚生労働省、外務省、地方自治体、WHO(世界保健機関)等の指針を踏まえ、警戒フェーズに対応した行動計画を策定しております。

しかしながら、主要な生産設備が集中する香川県をはじめとした、販売および生産拠点等の所在地において当企業グループの想定を超える災害の発生、感染症の流行等により、操業を停止する場合には、当企業グループの財政状態および業績に影響が及ぶ可能性があります。

 

(6)法的規制の影響について

当企業グループのカーボン製品は「外国為替及び外国貿易法(外為法)等輸出関連法規」および国際原子力機関(IAEA)による「原子力関連機器の輸出に関する規制等」の適用を受けているほか、各国での事業・投資に関する許認可制度、関税・租税等の税制、公正競争や環境・リサイクル関連などの法的規制の適用も受けております。このような中、当企業グループは法令遵守に努めておりますが、これらの法的規制による指導を受ける可能性があります。また将来において現在予期し得ない法的規制等が設けられた場合には、当企業グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。

 

(7)海外事業活動が業績に与える影響について

当企業グループは、顧客ニーズへの迅速な対応および適時に供給できるよう販売および生産拠点の拡大を積極的に進めております。当企業グループの連結売上高に占める海外売上高比率は、当連結会計年度において54.8%でありますが、今後、グローバル展開の進展により当該比率がさらに高まる可能性があります。また、海外市場における為替レートの変動、政治情勢の変化および法規制の変化等が当企業グループの経営成績および財政状況に影響を及ぼす可能性があります。特に中国における事業の拡大から、中国における政治および為替政策の変化が、当企業グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)情報セキュリティについて

当企業グループは、事業上の機密情報や事業の過程で入手した顧客情報や個人情報を保有しております。

当企業グループでは、これら情報の取扱いに関する管理を強化するとともに、情報システムのウィルス感染やサイバー攻撃によるシステム障害、社外への情報漏洩に対する対策を図っております。

しかしながら、当企業グループの想定を超える攻撃等により、重要データの破壊、改ざん、流出、システム停止等を引き起こす場合には、当企業グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。

 

(9)今後の投資戦略について

当企業グループの投資戦略においては、定常の設備更新投資・研究開発投資に加えて、戦略的投資を積極的に推進する方針としています。これらの投資においては、市場環境の急激な変化、投資回収期間の長期化等によって、当企業グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の概要

①経営成績

当企業グループを取り巻く事業環境は、半導体市場においては、ウエハー向けを中心とした需要が堅調に推移し、輸送機器関連市場においては、自動車向けが低調に推移したものの、電車向けパンタグラフ用すり板の国内外での需要が拡大しました。そのほかエネルギー関連市場では、太陽電池用の需要が引き続き低迷しております。

このような中、当企業グループは、中期の需要を見据えた設備投資等による高付加価値製品の増強や生産性向上のための積極的な取り組みを実施いたしました。当社といたしましては、これらの取り組みによる新製品・新規事業開発が、事業拡大に不可欠であると認識しております。

この結果、当連結会計年度の経営成績は、前連結会計年度に計上した中国高温ガス炉(HTR-PM)向け売上3,204百万円の剥落により、売上高は36,402百万円(前期比11.5%減(中国高温ガス炉分除く前期比4.0%減))、利益については、人件費等の固定費が増加したことにより、営業利益5,175百万円(同26.2%減)、経常利益5,207百万円(同26.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益2,944百万円(同40.0%減)となりました。

なお、業績予想に対しては、上期は堅調に推移したものの、下期に入り米中貿易摩擦等、外部環境の影響により業績は低迷し、予想を下回る結果となりました。

 

売上高

営業利益

経常利益

親会社株主に

帰属する当期純利益

予    想

37,000百万円

5,800百万円

5,800百万円

4,000百万円

実    績

36,402百万円

5,175百万円

5,207百万円

2,944百万円

予  想  比

597百万円減

624百万円減

592百万円減

1,055百万円減

増  減  率

1.6%減

10.8%減

10.2%減

26.4%減

 

セグメントごとの経営成績は以下のとおりであります。

 

日本

半導体用、LED用および冶金用が好調に推移したほか、機械用カーボン分野においても堅調を維持したものの、前連結会計年度に計上した中国高温ガス炉(HTR-PM)向け売上2,651百万円の剥落があり、売上高は20,568百万円(前期比7.4%減)、営業利益は4,318百万円(同9.7%減)となりました。

 

米国

エレクトロニクス関連および冶金用が好調に推移した結果、売上高は3,084百万円(同4.8%増)となり、固定費の増加により、営業利益は403百万円(同32.1%減)となりました。

 

欧州

エレクトロニクス関連およびカーボンブラシ製品が低調に推移したものの、主力の冶金用は堅調に推移した結果、売上高は3,291百万円(同0.3%増)、営業損失は251百万円(前期は290百万円の営業損失)となりました。

 

アジア

太陽電池用、冶金用およびカーボンブラシ製品が軒並み低調に推移したことに加え、前連結会計年度に計上した中国高温ガス炉(HTR-PM)向け売上553百万円の剥落により、売上高は9,457百万円(前期比25.5%減)、営業利益は569百万円(同73.0%減)となりました。

 

品目別の概況は以下のとおりであります。

品目

前連結会計年度

(自 2018年1月1日

 至 2018年12月31日)

当連結会計年度

(自 2019年1月1日

 至 2019年12月31日)

増減率(%)

金額(百万円)

金額(百万円)

特殊黒鉛製品

20,254

16,417

△18.9

一般カーボン製品(機械用カーボン分野)

3,656

3,921

7.2

一般カーボン製品(電気用カーボン分野)

4,991

4,527

△9.3

複合材その他製品

10,075

9,883

△1.9

商品

2,155

1,652

△23.3

合計

41,132

36,402

△11.5

 

特殊黒鉛製品

エレクトロニクス分野は、単結晶シリコン製造用については着実な需要に支えられ好調に推移したものの、太陽電池製造用の需要が低調に推移したことにより、前期を下回りました。

一般産業分野は、連続鋳造用、放電加工電極用および工業炉用は堅調に推移したものの、主に中国における光ファイバー向けの需要が大幅に減少したことにより、前期を下回りました。

その他においては、前期に計上した中国高温ガス炉(HTR-PM)向け売上3,204百万円が剥落したことにより、前期を下回りました。

これらの結果、特殊黒鉛製品全体としては、前期を下回りました。

一般カーボン製品

機械用カーボン分野は、主力製品である軸受・シール材、パンタグラフ用すり板などの需要が好調に推移したことにより、前期を上回りました。

電気用カーボン分野は、電動工具用や家電用が低調に推移したことにより、前期を下回りました。

これらの結果、一般カーボン製品全体としては、前期を下回りました。

 

複合材その他製品

SiC(炭化ケイ素)コーティング黒鉛製品は、半導体用が好調に推移したものの、LED用が下期以降に減速感を強めたことにより、前期並みの水準となりました。C/Cコンポジット製品は、半導体用および工業炉用が堅調を維持したものの、太陽電池用の売上が落ち込んだことにより、前期を下回りました。また、黒鉛シート製品は、自動車用やエレクトロニクス関連、冶金用が総じて低調に推移したことにより、前期を下回りました。

これらの結果、複合材その他製品全体としては、前期を下回りました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前連結会計年度に比べ313百万円減少し、6,101百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果、獲得した資金は5,149百万円(前期比10.6%減)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益3,946百万円(同40.1%減)、減価償却費2,831百万円(同4.3%減)、減損損失930百万円(同74.0%増)および売上債権の減少額878百万円(前期は1,517百万円の増加)等の資金の増加に対し、たな卸資産の増加額855百万円(前期は497百万円の減少)、仕入債務の減少額818百万円(前期は618百万円の増加)および法人税等の支払額1,728百万円(前期比16.8%増)等の資金の減少によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果、使用した資金は4,017百万円(同7.0%減)となりました。これは主に定期預金の払戻による収入13,951百万円(同39.3%増)等の資金の増加に対し、定期預金の預入による支出14,524百万円(同20.3%増)および有形固定資産の取得による支出3,285百万円(同44.5%増)等の資金の減少によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果、使用した資金は1,372百万円(同17.3%増)となりました。これは主に配当金の支払額1,048百万円(同67.7%増)および長期借入金の返済による支出247百万円(同122.3%増)等の資金の減少によるものであります。

③生産、受注及び販売の実績

生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2019年1月1日

至 2019年12月31日)

金額(百万円)

前期比(%)

日本

20,224

91.2

米国

3,334

100.4

欧州

3,366

100.1

アジア

9,201

69.6

合計

36,126

85.8

(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

受注実績

当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2019年1月1日

至 2019年12月31日)

受注金額

(百万円)

前期比

(%)

受注残高

(百万円)

前期比

(%)

日本

16,750

87.4

3,181

67.2

米国

2,255

56.8

1,103

56.2

欧州

2,962

86.3

793

74.2

アジア

8,151

81.1

1,205

84.4

合計

30,120

82.2

6,283

68.3

(注)1.金額は販売価格によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3.外貨建てで受注したもので、当期中の為替相場の変動による差異については、当期受注金額に含めております。

4.半製品(素材製品)は、主として見込生産であるため、上記の金額には含まれておりません。

5.当連結会計年度の受注状況を品目ごとに示すと、次のとおりであります。

品目

当連結会計年度

(自 2019年1月1日

至 2019年12月31日)

受注金額

(百万円)

前期比

(%)

受注残高

(百万円)

前期比

(%)

特殊黒鉛製品

13,683

82.9

2,279

67.4

一般カーボン製品

(機械用カーボン分野)

3,857

104.3

781

106.6

一般カーボン製品

(電気用カーボン分野)

4,496

94.0

780

91.9

複合材その他製品

8,082

69.4

2,442

57.7

合計

30,120

82.2

6,283

68.3

6.欧州および一般カーボン製品(機械用カーボン分野)については内示による受注を含めております。

販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2019年1月1日

至 2019年12月31日)

金額(百万円)

前期比(%)

日本

20,568

92.6

米国

3,084

104.8

欧州

3,291

100.3

アジア

9,457

74.5

合計

36,402

88.5

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3.総販売実績に対し10%以上に該当する販売先はありません。

4.当連結会計年度の販売実績を品目ごとに示すと、次のとおりであります。

品目

当連結会計年度

(自 2019年1月1日

至 2019年12月31日)

金額(百万円)

前期比(%)

特殊黒鉛製品

16,417

81.1

一般カーボン製品(機械用カーボン分野)

3,921

107.2

一般カーボン製品(電気用カーボン分野)

4,527

90.7

複合材その他製品

9,883

98.1

商品

1,652

76.7

合計

36,402

88.5

 

(2)財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

当企業グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、貸倒引当金等の各引当金を計上しております。また、繰延税金資産の回収可能性の判断等につきましては、過去の実績や他の合理的な方法により見積りを行っており、将来において実現が見込めない部分については評価性引当額を計上しております。ただし、これらは見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。

 

②財政状態の分析

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,131百万円増加いたしました。これは主に受取手形及び売掛金が1,078百万円減少したものの、たな卸資産が729百万円増加および有形固定資産が1,371百万円増加したこと等によるものであります。

負債合計は、前連結会計年度末に比べ478百万円減少いたしました。これは主に営業外電子記録債務等の増加により流動負債その他が1,122百万円増加したものの、支払手形及び買掛金が590百万円減少、電子記録債務が269百万円減少および未払法人税等が413百万円減少したこと等によるものであります。

純資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,609百万円増加いたしました。これは主に為替換算調整勘定が443百万円減少したものの、利益剰余金が1,895百万円増加したこと等によるものであります。

なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態については遡及処理後の前連結会計年度末の数値で比較を行っております。

③経営成績の分析

売上高

当企業グループの当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に計上した中国高温ガス炉(HTR-PM)向け売上3,204百万円が剥落したことに加え、米中貿易摩擦・英国EU離脱問題など外部環境の不透明感増大が市況に波及したこと等により、36,402百万円(前期比11.5%減)となりました。

 

売上原価、販売費及び一般管理費

売上高に対する売上原価の比率は66.9%となりました。また、販売費及び一般管理費につきましては、人件費などの固定費増加等により売上高に対する比率が18.9%となりました。

 

営業外損益

営業外収益は、受取利息59百万円(前期比14.9%増)、持分法による投資利益66百万円(同22.0%減)および受託研究収益32百万円(同75.0%減)等を計上したことにより、321百万円(同27.1%減)となりました。

営業外費用は、為替差損191百万円(同7.3%減)および受託研究費用32百万円(同71.8%減)等を計上したことにより、289百万円(同26.3%減)となりました。

 

特別損益

特別利益は、補助金収入9百万円(前期比84.9%減)、固定資産売却益4百万円(同93.4%減)を計上したことにより、14百万円(同91.0%減)となりました。

特別損失は、固定資産除却損345百万円(同252.0%増)、減損損失930百万円(同74.0%増)等を計上したことにより、1,276百万円(同101.1%増)となりました。

 

親会社株主に帰属する当期純利益

以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は2,944百万円(前期比40.0%減)となりました。

 

④キャッシュ・フローの分析

キャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

4【経営上の重要な契約等】

当連結会計年度において、経営上の重要な契約等の決定または締結等は行われておりません。

 

5【研究開発活動】

(1)研究開発活動の方針

当企業グループは、「C(カーボン)の可能性を追求し世界に貢献する」という経営理念の基に、等方性黒鉛材料製造で培われた材料開発技術を基盤とした新しい等方性黒鉛材料やカーボン系複合材料等の新素材の研究開発を進めています。また、新規用途の開発への着目や、従来の特性を超えたカーボン製品開発へ挑戦することにより、顕著に差別化され独自性を有する高品位、高付加価値製品を提供し、顧客満足を得るとともに顧客ニーズを喚起することを基本方針としております。

 

(2)研究開発体制

当企業グループの研究開発は、主として当社の技術開発部門が担っておりますが、生産部門と営業部門との社内連携、ユーザーや大学、国内・海外研究機関等との共同研究も積極的に進め、顧客ニーズに合致した製品やそれを掘り起こす製品の早期開発を推進しております。また、国内外のグループ会社との共同開発を進める一方、技術・ノウハウの体系化管理を強化・推進しております。

なお、当連結会計年度末における研究開発要員は80名であります。

 

(3)研究開発活動

当連結会計年度の研究開発費の総額は1,126百万円であり、主な研究開発活動は次のとおりであります。

①特殊黒鉛製品

新機能材料の開発につきましては、エレクトロニクス分野において太陽電池製造用黒鉛材料、半導体製造用の新型黒鉛材料を開発し、市場評価を推進しております。一般産業分野におきましても超硬の放電加工用電極向けの高機能黒鉛材料を開発し、従来の銅および銅タングステン電極に替わる材料として市場での評価を経て本格的な拡販を、また連続鋳造分野においても銅合金鋳造用の新型黒鉛材料の開発を継続して推進しております。エネルギー関連材料につきましては、原子力用途において、地上に太陽エネルギーを人工的に創るべく研究が進められている核融合炉のプラズマ対向壁用黒鉛材料や、多目的高温ガス炉用黒鉛材料の開発を継続しております。

 

②一般カーボン製品(機械用カーボン分野)

一般産業機械用につきましては、メカニカルシール用としての高機能カーボン材料の市場評価を含めた開発を継続しております。輸送機械用につきましても、電気鉄道用の各種すり板の開発を継続しております。

 

③一般カーボン製品(電気用カーボン分野)

小型モーター用につきましては、主に高性能掃除機用カーボンブラシ、バッテリータイプ電動工具用カーボンブラシの開発を推進し、海外向け洗濯機用カーボンブラシおよび自動車用カーボンブラシの開発を継続しております。ブラシ製品は近年ますますコスト低減への対応が重要な開発課題となっており、当企業グループにおいても生産技術を含めた、総合的な技術開発を加速しております。

 

④複合材その他製品

省エネルギーへの貢献が期待されるSiC(炭化ケイ素)パワーデバイスの信頼性向上に寄与する独自の技術として「単結晶SiCウエハー表面処理技術」を確立。現在は市場流通サイズに対応すべく大口径SiCウエハーの低コストでの平坦表面処理についても実装に向けた技術開発を進めております。

また、これらSiCウエハーの用途であるパワーデバイスの製造工程にて使用される黒鉛製品の技術開発ならびに製品化を同時に加速進行しております。

多孔質炭素CNovel(R) (クノーベル(R))は、従来の研究段階から、初期量産および用途展開へと重心を移しており、国内外の幅広い用途・顧客に評価・使用いただくための活動として、製品ラインナップの拡充や、各種認定の手続きを進めており、特に水素エネルギーやクリーンエネルギー分野における用途に注力し、用途開発と評価が国内外で進んでおります。

炭素材料の中に各種金属成分を均一に分散する新技術を用いた金属-炭素複合材料KLASTA MATE(R) (クラスターメイト(R))においては、ナノカーボン分野だけではなく、ダイヤモンドライクカーボン膜のカーボン源としての用途開発を推進しています。

地球環境保護の推進に寄与する製品の開発におきましては、光デバイス白色LED用の製造に欠かせないSiCコーティング黒鉛製品の高純度化、高精度化を図り市場への投入を継続しております。