第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)経営方針

当社グループは、2016年4月に、中長期経営ビジョン「KOBELCO VISION“G+”(ジープラス)」のもとに「素材」「機械」「電力」の3本柱の事業体確立を目指した中期経営計画をスタートしましたが、これまでの進捗状況を踏まえて見直しを実施し、2019年5月に「中期経営計画ローリング」(以下、「中期ローリング」といいます。)を公表いたしました。今後、その達成に向け、様々な戦略的な取組みを推し進めてまいります。また、変化の激しい時代、かつ多様な価値観が存在する中で、当社は「働き方変革活動」や「ダイバーシティの推進」などの取組みも継続して進めております。

2017年には、グループ企業理念を改定し、グループ全社員でこの価値観を意識・共有することによって、全社員が一つになって、より良い企業集団、すなわち「誇り」「自信」「愛着」「希望」溢れる企業集団を作り、当社グループが持続的に発展していくことを目指した活動「KOBELCOの約束 Next100プロジェクト」(次の100年に向けた活動)を開始いたしました。その活動の最中に発覚した品質不適切行為において、お客様をはじめ多くの皆様に多大なるご迷惑をお掛けするとともに、社会に対する大きな影響を与えた反省を踏まえ、同活動の不足している部分を補強し、より強化しております。「KOBELCOの3つの約束」と「KOBELCOの6つの誓い」に基づき、株主様・投資家様、お客様、お取引先様、グループ社員、地域社会の皆様などあらゆるステークホルダーの皆様からの信頼回復に努めるとともに、社会や環境への貢献を通じた持続的な企業価値向上を目指してまいります。

 

※2017年10月に公表いたしました、当社グループにおける不適切行為(公的規格又は顧客仕様を満たさない製品等(不適合製品)につき、検査結果の改ざん又はねつ造等を行なうことにより、これらを満たすものとしてお客様に出荷又は提供する行為。以下、「品質不適切行為」といいます。)

 

KOBELCOの3つの約束

神戸製鋼グループの社会に対する約束事であり、

グループで共有する価値観です。

 

1. 信頼される技術、製品、サービスを提供します

2. 社員一人ひとりを活かし、グループの和を尊びます

3. たゆまぬ変革により、新たな価値を創造します

 

KOBELCOの6つの誓い

私たち神戸製鋼グループに属する全社員は、

「KOBELCOの3つの約束」を果たすために、以下を宣誓します。

1. 高い倫理観とプロ意識の徹底

私たちは、法令、社内ルール、社会規範を遵守することはもちろんのこと、高い倫理観とプロとしての誇りを持って、公正で健全な企業活動を行います。

2. 優れた製品・サービスの提供による社会への貢献

私たちは、「品質憲章」に基づき、安全かつ安心で、優れた製品・サービスを提供し、お客様の満足と社会の発展に貢献します。

 

『品質憲章』

KOBELCOグループは、製品、サービスにおいて「信頼される品質」を提供するために法令、公的規格ならびにお客様と取り決めた仕様を遵守し、品質向上に向けてたゆまぬ努力を続けてまいります。

 

3. 働きやすい職場環境の実現

私たちは、安全で安心して働くことができる職場環境を実現します。また、一人ひとりの人格・個性・多様性を互いに尊重し、それぞれが最大限の能力を発揮して活き活きと働ける職場環境を実現します。

4. 地域社会との共生

私たちは、グループの基盤である地域社会に貢献するよう努めます。

5. 環境への貢献

私たちは、より豊かで住みやすい社会づくりを目指して、環境に配慮した生産活動を行い、技術・製品・サービスで環境に貢献するよう努めます。

6. ステークホルダーの尊重

私たちは、お客様、お取引先、社員、株主等を含む幅広いステークホルダーを仲間として尊重し、健全かつ良好な関係を築きます。

 

(2)経営環境及び対処すべき課題等

 足下の当社グループを取り巻く事業環境は、国内においては雇用・所得環境の改善を背景とした個人消費の持ち直しや企業の設備投資の堅調な増加を受け、緩やかな回復基調が続くことが想定されます。一方、海外では、保護主義的な通商政策の影響を受け、中国や欧州を中心に経済成長が鈍化するものと見込まれます。保護主義的な通商政策などが景気動向に与える影響は引き続き大きな懸念材料であり、注視する必要があります。

 このような環境において、当社グループといたしましては、全てのステークホルダーの皆様からの信頼回復を第一優先としながら、中期ローリングで掲げたテーマをグループ一丸となって推進することで、盤石な事業体を確立し、当社グループが持続的に成長できるよう取り組んでまいります。

 

<品質不適切行為の再発防止策等について>

 当社グループにおける品質不適切行為につきましては、ステークホルダーの皆様には多大なるご迷惑をお掛けしておりますこと、改めてお詫び申しあげます。

 対象となりました不適合製品の安全性の検証に関しましては、2019年3月29日に公表しておりますとおり、不適合製品を納入したことが判明している、のべ688社全てのお客様より、安全上の問題がない、あるいは、安全性に当面の問題はないとのご確認をいただいております。

 また、当社グループは、現在、2018年3月6日付「当社グループにおける不適切行為に関する報告書」にて公表いたしました再発防止策を順次実行に移しております。

 再発防止策の根幹となる意識改革の面では、グループ企業理念の浸透を図るべく、社長による対話活動を2018年4月より、国内・海外の事業所・拠点のライン長クラス、各事業所の係長・職長を対象に、2019年4月末までにのべ42事業所・拠点で、55回実施しているほか、各部門長、経営幹部による対話活動も実施しております。また、毎年10月を『KOBELCOの約束月間』と定め、上司・部下の垣根をなくした語り合う場を設け、コミュニケーションを活性化させる活動を実施しております。こうしたコミュニケーションを通じて、意識改革と現場の困りごとを放置しない企業風土の構築に取り組んでおります。

 このほか、品質マネジメント体制の再構築と徹底、品質管理プロセスの強化、それに伴う設備投資などにも順次着手しております。

 これら再発防止策の各項目、進捗状況の概要は次のとおりですが、詳細につきましては、当社ホームページ(http://www.kobelco.co.jp/progress/relapse-prevention/index.html)をご参照ください。

再発防止策

進捗状況(2019年3月末時点)

1.ガバナンス面-品質ガバナンス体制の構築

 

1) グループ企業理念の浸透

実施中

 

2) 取締役会のあり方

完了

 

3) リスク管理体制の見直し

実施中

 

4) 事業部門の組織再編

詳細検討中

 

5) グループ会社の再編

詳細検討中

 

6) 事業部門間の人事ローテーション実施

実施中

 

7) 現場で生じる諸問題の掌握

実施中

 

8) 品質憲章の制定

完了

 

9) 品質保証体制の見直し

完了

 

10) 事業管理指標の見直し

実施中

2.マネジメント面-品質マネジメントの徹底

 

1) 品質マネジメントの対策

概ね完了

 

2) 品質保証人材のローテーションと育成

一部実施中

 

3) 品質に係る社内教育

実施中

 

4) 本社による品質監査

実施中

3.プロセス面-品質管理プロセスの強化

 

1) 試験・検査データの不適切な取扱い機会の排除及び出荷基準の一本化

「品質ガイドライン」制定完了

品質監査で是正・整備状況の確認を実施中

 

2) 工程能力の把握と活用(素材系)

 

3) 新規受注時の承認プロセスの見直し

 

4) 製造プロセス変更時の承認プロセスの見直し

 

5) 設備投資における品質リスクアセスメントの推進

 これらの再発防止策の進捗については、社外有識者のみで構成される外部品質監督委員会で、継続的にモニタリングいただき、改善に向けた諸提言をいただくこととしておりましたが、2019年3月29日に公表しておりますとおり、外部品質監督委員会より、当社における再発防止策は適切な方法及び内容で、特段の支障なく予定どおり進捗しているとの最終意見を頂戴しております。

 当社は2019年4月に、品質マネジメントに関する専門家である社外有識者を過半数の構成員とした「品質マネジメント委員会」を設置いたしましたが、上述の外部品質監督委員会の最終意見において、今後、「品質マネジメント委員会」の下、再発防止策の進捗管理及び当社グループにおける品質マネジメントの向上のための取組みが継続的に行なわれるものと評価できるため、外部品質監督委員会による再発防止策の進捗状況に対するモニタリングについては2019年3月末日をもって終了するとの判断がなされております。

 当社といたしましては、新たに設置した「品質マネジメント委員会」の下、委員となる社外有識者の提言を取り入れながら、引き続き品質を第一とする姿勢で再発防止に努めてまいります。

 

※「品質マネジメント委員会」は、取締役会の諮問機関として当社が設置した社外有識者が過半数を占める委員会であります。2019年3月末に当社に最終意見書を提出し活動を終えた「外部品質監督委員会」から品質不適切行為に対する再発防止策の実効性のモニタリング活動を引き継ぐとともに、当社グループの品質マネジメント強化活動の継続的なモニタリングと提言を行なう機能を担う組織であります。

 

 なお、品質不適切行為に関し、国内では、当社は2018年7月に不正競争防止法違反の疑いで起訴されたほか、海外では、当社グループが不適合製品を米国のお客様に対して販売した疑いがあるとして、2017年10月より、米国司法省の調査を受けております。

 加えて、当社グループは、(1)カナダにおいて、当社グループが製造した自動車向け金属製品や、それらを使用して製造された自動車に関する、経済的損失の賠償等を求めるクラスアクション、(2)米国において、当社ADR証券に関する、米国証券法違反(コンプライアンス体制等の虚偽表示)に基づくクラスアクション、(3)米国において、当社の製造した金属製品を使用して製造された自動車に関する、転売価値の下落等の経済的損失の賠償等を求めるクラスアクション、の3つの民事訴訟を提起されました。

 上述の民事訴訟のうち、(1)カナダでのクラスアクションについては、2019年6月に原告との間で、当社が和解金として総額1,950千カナダドル(約159百万円)を支払い、原告側が訴訟を取り下げることを主な内容とする和解の基本合意書を締結いたしました。今後、原告との間で正式な和解合意書を締結し、カナダ国ブリティッシュコロンビア州上位裁判所の承認を得るとともに、同裁判所の承認を条件に、同国オンタリオ州上位裁判所における訴訟の却下手続きをとる予定です。また、(2)米国での当社ADR証券に関するクラスアクションについては、当社が500千米ドルの和解金を支払うことで原告側が訴訟を取り下げることに合意し、2019年2月に訴訟が終結いたしました。

 国内における不正競争防止法違反の疑いでの起訴につきましては、2019年3月に罰金1億円の有罪判決が確定いたしました。米国司法省の調査及び上述の民事訴訟の(3)米国での当社の製造した金属製品を使用して製造された自動車に関するクラスアクションについては、現在も継続中であり、当社グループといたしましては、これらの調査及び訴訟を厳粛に受け止め、早期解決に向け、鋭意取り組んでまいります。

 

<中期経営計画の見直しについて>

当社グループは、2016年4月に「2016~2020年度グループ中期経営計画」を策定し、素材系事業・機械系事業・電力事業の3本柱による成長戦略を一層深化させ、盤石な事業体を確立させる中長期経営ビジョン「KOBELCO VISION “G+”(ジープラス)」への取組みをスタートいたしました。

2016年からこれまで、課題として掲げた鋼材事業における上工程の集約、中国での建設機械事業の再構築、電力事業における新規プロジェクトの推進などを順調に進めてまいりました。一方で、原材料価格やエネルギー価格の上昇といった市場環境の変化や、設備トラブルの発生、戦略投資案件の収益化の遅れ、品質不適切行為の発覚など当社グループにおける状況の変化もあり、中長期経営ビジョンを実現するためには、当社グループが取り組むべき新たな課題があると認識しております。

こうした状況を受け、当社グループは、中期経営計画期間の残りの2年間とさらに‘その先’に向けた重点課題と対策を「中期ローリング」としてまとめ、2019年5月に公表いたしました。中期ローリングで掲げた主要テーマは以下となります。

 

 

中期ローリングの主要テーマ

2019~2020年度の

重点テーマ

素材系を中心とした収益力強化

経営資源の効率化と経営基盤の強化

2021年度以降も継続する中長期テーマ

コーポレートガバナンスの継続的強化

(品質不適切行為に対する再発防止策への継続的取組み)

人材確保・育成に関する各種制度の拡充

IT戦略の強化

当社グループの特長を活かしたサステナビリティ経営の推進

(事業活動を通じた環境・社会への貢献と持続的成長の追求)

※「中長期経営ビジョン『KOBELCO VISION“G+”』」の内容の詳細は、当社ホームページ(http://www.kobelco.co.jp) プレスリリース欄 2016年4月5日付「2016~2020年度グループ中期経営計画について」を、「中期経営計画ローリング」の詳細は、2019年5月15日付「中期経営計画ローリング(2019~2020年度)について」をご覧ください。

ご参考)「2016~2020年度グループ中期経営計画」の基本方針と進捗状況

基 本 方 針

取組内容と進捗

1)3本柱の事業成長戦略

輸送機軽量化への取組み

・中国に自動車用冷延ハイテンの生産拠点となる合弁会社開業(日・米・欧・中での「薄板ハイテンのグローバル供給体制」構築完了)

・加古川製鉄所に自動車用超ハイテンの連続焼鈍設備等増設(工事中)

・米国のPRO-TEC Coating Company社に自動車用超ハイテン向け溶融亜鉛めっき設備増設(工事中)

・米国にアルミ押出材生産拠点設立、能力増強(日・米の2極供給体制構築)

・米国の自動車サスペンション用アルミ鍛造部品設備能力増強

・真岡製造所での自動車用アルミパネル材製造設備増強(工事中)

・米国Novelis社との合弁で韓国に日本・中国向けアルミ板母材生産拠点設立

鉄鋼事業の収益力強化

・鋼材生産の上工程設備の加古川製鉄所への集約完了

エネルギー・インフラ分野への取組み

・高砂製作所に世界最大級の非汎用圧縮機運転設備立上げ

・IP装置の世界大手メーカーQuintus Technologies社を買収、産業機械事業を拡大

建設機械事業の収益力強化

・コベルコ建機(株)とコベルコクレーン(株)の経営統合

・米国に油圧ショベルの組立工場設立

・中国油圧ショベル事業の再構築完了

・グローバル市場への安定供給体制構築のため五日市工場設備増強(工事中)

安定収益化への取組み

・既設の神戸発電所について、関西電力(株)と現行契約満了後の受給契約を締結

・真岡、神戸の2つの新規発電プロジェクトの建設工事着工

(真岡 2019年度運転開始予定、神戸 2022年度運転開始予定)

2)経営基盤の強化

ⅰ)コーポレートガバナンスの強化

・監査役会設置会社から監査等委員会設置会社に移行

・取締役会評価制度開始

・役員研修制度の見直し、強化実施

・取締役会構成見直し、多様性の促進

・独立社外取締役構成比率1/3以上に設定、増員

・独立社外取締役の中から取締役会議長を選定

・「指名・報酬委員会」、「独立社外取締役会議」を設置

・「品質マネジメント委員会」設置

ⅱ)人材確保・育成

・全社でのダイバーシティ研修実施などダイバーシティ推進

・19時以降残業原則禁止、会議効率化など「働き方変革活動」推進

・人事制度の見直し(在宅勤務制度の改正、複線型処遇制度、停年退職年齢の引上げなど)

ⅲ)技術開発力・ものづくり力の向上

・自動車向け素材・異材接合技術など当社独自のソリューション提案の推進・加速のため「自動車ソリューションセンター」設立

・人工知能(AI)を活用した製品開発力とものづくり力の強化に向けた専任組織「AI推進プロジェクト部」の新設

3)財務戦略

財務規律の維持とキャッシュ対策の実施

・3年間で約1,100億円のキャッシュ対策実施

2020年度達成目標

 

◆ROA(経常損益/総資産):5%以上

2016年度 △0.8% 2017年度 3.1% 2018年度 1.5%

◆D/Eレシオ(有利子負債/自己資本):1倍以下を堅持

2016年度末 1.17倍 2017年度末 0.98倍 2018年度末 0.98倍

 

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

また、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針(「会社支配に関する基本方針」)は次のとおりであります。

 

1.会社支配に関する基本方針

 当社は、明治38年の創立から110年を超える歴史の中で、独自の事業領域を形成してまいりました。特に、当社の素材系事業や機械系事業は事業の裾野が非常に広く、これらの事業分野を構成する個別の事業の多様性を前提として初めて創出されるシナジーが存在いたします。また、これらの事業は、研究開発や生産現場で果敢な挑戦を続ける当社従業員をはじめ、当社との間で長年に亘り信頼関係を培ってきた輸送機やエネルギー・インフラ分野をはじめとする国内外の取引先並びにお客様等の多様なステークホルダーによって支えられております。さらに、当社は、素材系事業における代替困難な素材や部材、機械系事業における省エネルギーや環境に配慮した製品等、当社独自の多彩な製品群を幅広いお客様に供給するとともに、電力事業においても極めて重要な社会的インフラである電力の供給という公共性の高いサービスを提供しており、社会的にも大きな責任を担っているものと考えております。当社は、こうした各事業間における技術の交流・融合によるシナジー効果や、独自・高付加価値製品の提供とこれにより構築されたステークホルダーとの信頼関係、社会的インフラ提供の責務と社会の皆様からの信頼こそが当社の企業価値の源泉であると考えております。

 当社は、上場会社として、株式の自由な取引の中で、上記のような源泉から生み出される当社の企業価値、ひいては株主共同の利益の確保・向上に資する形であれば、支配権の異動を伴う当社株券等に対する大規模な買付行為であっても、当然是認されるべきであると考えておりますが、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、このような当社の企業価値、ひいては株主共同の利益を向上させる上で必要不可欠な、当社の経営理念、当社を支えるステークホルダーとの信頼関係等の当社の企業価値を生み出す源泉を十分に理解し、その結果として当社の企業価値、ひいては株主共同の利益を確保し、向上させる者でなければならないと考えております。

 したがって、当社は、当社株券等に対する大規模な買付行為を行ない又は行なおうとする者に対しては、関連する法令の許容する範囲内において、適切な対応をとることにより、当社の企業価値及び株主共同の利益の確保に努めなければならないと考えております。

 

2.基本方針の実現に資する特別な取組み

(1)経営戦略の展開による企業価値向上への取組み

 当社は、2016年4月に「2016~2020年度グループ中期経営計画」を策定し、素材系事業・機械系事業・電力事業の3本柱による事業成長戦略を一層深化させ、盤石な事業体を確立させる新たな中長期経営ビジョン「KOBELCO VISION“G+”(ジープラス)」への取組みをスタートさせ、その実現に取り組んでおります。

 輸送機の軽量化やエネルギー・インフラ等の中長期的に伸張する成長分野に経営資源を集中し、当社グループ独自の付加価値をさらに高め、競争優位性を発揮していくことで、事業を拡大・発展させるとともに、社会への貢献を目指してまいります。

 

(2)コーポレートガバナンス強化による企業価値向上への取組み

 当社は、継続的に企業価値を向上させるためには、コーポレートガバナンスの強化が必要であると考えております。

 当社は、監査等委員会設置会社への移行、取締役会メンバーの見直し、独立社外取締役の全員を構成員とし、経営に関する客観的な意見の提供等を行なう場でもある独立社外取締役会議や、委員の過半数を社外取締役で構成する指名・報酬委員会の設置等の様々な取組みを通じて、コーポレートガバナンス体制の強化を図ってまいりました。

 今後も、当社は、独立社外取締役会議において出された意見や、事業年度毎に各取締役に対して行なうアンケート及びその結果に対する監査等委員会の評価に基づいて実施する取締役会実効性評価の結果等を踏まえながら、さらなるコーポレートガバナンスの強化に向けて、継続的に検討を進めてまいります。

 

3.基本方針に照らして、不適切な者によって当社の財務及び事業の決定を支配されることを防止するための取組み

 当社は、当社株券等の大規模な買付行為を行ない又は行なおうとする者に対しては、当社の企業価値及び株主共同の利益を確保する観点から、関係する法令に従い、株主の皆様が大規模な買付行為の是非を適切に判断するために必要かつ十分な情報の提供を求め、あわせて当社取締役会の意見等を開示するとともに、株主の皆様の検討のために必要な時間と情報の確保に努めるものといたします。

 また、仮に大規模な買付行為に対する速やかな対抗措置を講じなければ、当社の企業価値及び株主共同の利益が毀損されるおそれがあると合理的に判断されるときには、株主から経営を負託された当社取締役会の当然の責務として、関連する法令の許容する範囲内において、適宜、当該時点で最も適切と考えられる具体的な措置の内容を速やかに決定し、実行することにより、当社の企業価値及び株主共同の利益の確保に努めてまいります。

 

 なお、上記2.及び3.に記載の取組みは、上記1.に記載の方針に従い、当社の企業価値及び株主共同の利益に沿うものであり、当社の役員の地位の維持を目的とするものではありません。

 

2【事業等のリスク】

当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項は、次のとおりであります。

なお、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項は、「第2 事業の状況」の他の項目、「第5 経理の状況」の注記事項、その他においても記載しておりますので、併せてご参照ください。

また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

1.主要市場の経済状況等

当社グループの国内向け販売は、自動車、造船、電気機械、建築・土木、IT、飲料容器、産業機械などを主な需要分野としております。海外向け販売は、当連結会計年度の売上高の36.3%であり、最大の需要国である中国を含むアジア地域が、海外売上高の過半を占めております。

従って、当社グループの業績は、これらの需要分野の動向、需要地域における経済情勢等により、売上高や受注高の減少の影響を受けることに加え、お客様の財政状態の悪化による債権回収の遅延等の影響を受ける可能性があります。また、海外の各需要地域における政治・社会情勢、各地域における事業の監督や調整の困難さ、労働問題、関税、輸出入規制、通商・租税その他の法的規制の動向が、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、各製品市場において、国内外の競合各社との厳しい競争状態にあり、競合各社による当社製品よりも高性能な製品開発や迅速な新製品の導入等、その状況次第では当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

2.鋼材販売数量・価格の変動

当社グループの販売する鋼材の数量・価格は、国内外の需要分野の動向や国際的な鋼材需給・市況により影響を受けます。

国内鋼材販売の形態は、大きくは製品数量・規格等を直接お客様との間で取り決めて出荷する「紐付き」と、お客様が不特定の状態で出荷する「店売り」とに分かれますが、当社の場合ほとんどが「紐付き」であります。鋼材の需給状況が変動した場合、「店売り」価格の方がより敏感に連動するものの、最終的には「紐付き」価格も影響を受けることになります。また、鋼材販売数量の25%を占める輸出鋼材の販売数量・価格についても、各需要地域における鋼材需給等により影響を受けます。

これらの鋼材販売数量・価格の変動が、当社グループの業績に影響を及ぼします。

 

3.原材料等の価格変動等

当社グループが調達している鉄鉱石、石炭、合金鉄・非鉄金属、スクラップ等の鉄鋼原料価格及びそれらの輸送に関わる海上運賃等は、国際的な市況、為替相場、法規制、自然災害、政治情勢等により影響を受けます。特に、鉄鉱石及び石炭については、原産国や供給者が世界的にも限られていることから、需給動向が国際市況に与える影響が大きくなる傾向があります。これらの価格・運賃の変動が、当社グループの業績に影響を及ぼします。

また、アルミ・銅におきましては、アルミ・銅の地金価格の変動は基本的にお客様に転嫁する仕組みとなっております。しかしながら、地金価格の市況が短期間に大きく変動した場合には、会計上の在庫評価影響などによって、当社グループの業績に一時的に影響が生じる可能性があります。

さらに、当社グループは、耐火物等の副資材、設備投資関連資材及び電装品、油圧機器、内燃機器等の資機材を外部調達しており、これら資機材の価格変動が、当社グループの業績に影響を及ぼします。

加えて、上記原材料やこれらの資機材等の調達先との取引関係に重大な変更があった場合にも、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

4.環境規制等の影響

鉄鋼やアルミ・銅を中心に、その生産活動の過程において廃棄物、副産物等が発生します。当社グループでは、国内外の法規制に則った適切な対応に努めておりますが、関連法規制の強化等によって、過去に売却した工場跡地等であっても土壌汚染の浄化のための費用が発生するなど、業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、今後二酸化炭素等の排出に関連して数量規制や税の賦課が導入された場合には、鉄鋼を中心に当社グループの事業活動が制約を受け、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

5.事故、災害等による操業への影響

当社グループの生産設備の中には、鉄鋼の高炉、転炉など高温、高圧での操業を行なっている設備があります。また、高熱の生産物、化学薬品等を取り扱っている事業所もあります。対人・対物を問わず、事故の防止対策には万全を期しておりますが、万一重大な労働災害、設備事故等が発生した場合には、当社グループの生産活動等に支障をきたし、業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、国内外の製造拠点等において、大規模地震や台風等の自然災害、新型インフルエンザ等の感染症、その他当社グループの制御不能な事態により操業に支障が生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

6.訴訟等のリスク

当社グループは、国内、海外において多岐にわたる分野で事業活動を行なっており、その遂行にあたっては、当社グループが展開している様々な事業に関連する法令(安全保障貿易管理、独占禁止、贈収賄規制などに関するもの)、その他の社会規範を遵守し、公正で健全な企業活動を行なうことを指針としております。しかしながら、法令違反等を理由として罰金等を科される状況が発生した場合には、当社グループの業績や社会的信用力に影響を及ぼす可能性があります。また、製品の品質上の欠陥を理由に、訴訟を提起され若しくはその他のクレームを受けることによる費用の発生や、販売量の減少等により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。さらに、当社グループの製品・生産プロセス等が第三者の知的財産権を侵害する場合や、当社グループの技術・ノウハウを知的財産権等により法的に保護できない場合にも、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

7.財務リスク

① 為替レートの変動

当社グループの外貨建取引は主として米ドル建で行なわれており、当連結会計年度におけるドル収支は輸入超過であります。当社グループは、短期的な対応として為替予約等を実施しておりますが、変動リスクを完全に排除することは困難であり、為替レートの変動は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 金利率の変動等

当連結会計年度末における当社グループの有利子負債残高は7,242億円(電力プロジェクトファイナンスを含めると7,603億円)であります。これらの負債及び新規の借入金・社債等に関し、金融情勢の変化等による金利率及びその他の条件の変動等が、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 融資・債務保証等

当社グループは、関係会社等に対して融資等、及び関係会社やお客様等における一部の金融機関借入等に対して債務保証等を行なっております。将来、これらの融資等の回収が滞ったり、債務保証等の履行を求められる状況が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ たな卸資産の価値下落

当社グループが保有しているたな卸資産について、収益性の低下等に伴い資産価値が低下した場合は、当社グループの業績に影響が生じる可能性があります。

 

⑤ 投資有価証券の価値変動等

当社グループが保有する投資有価証券の当連結会計年度末の連結貸借対照表計上額は1,900億円であります。上場株式の株価変動などに伴う投資有価証券の価値変動は、当社グループの業績に影響を及ぼします。

加えて、年金資産を構成する上場株式の株価変動により、退職給付会計における数理計算上の差異が生じ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 繰延税金資産の計上

当社グループでは繰延税金資産について、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を判断して計上しております。しかしながら、今後将来の課税所得の見積り等に大きな変動が生じた場合には、繰延税金資産の取崩しが発生し、当社グループの業績に影響が生じる可能性があります。

 

⑦ 固定資産の価値下落

当社グループが保有している固定資産について、時価の下落・収益性の低下等に伴い資産価値が低下した場合は、当社グループの業績に影響が生じる可能性があります。

 

⑧ 資金調達

当社グループは、主に銀行借入、社債発行及びコマーシャル・ペーパーの発行等により事業活動に必要な資金を確保しております。従って、景気の後退や金融環境の悪化、当社グループの信用低下等により、資金調達が想定どおりの条件で適時に実施できない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

8.中期経営計画の実現等

当社グループは2016年4月に発表した中期経営計画の進捗状況を踏まえて同計画の見直しを実施し、2019年5月に中期経営計画ローリングとして発表しております。しかしながら、成長分野・地域として掲げた分野・地域の市況や為替レートの状況等の前提条件が想定と異なる場合や、当該差異により予定どおり計画を遂行できない場合、当社グループは、輸送機軽量化やエネルギー・インフラ分野での成長、鉄鋼及び建設機械の収益力強化、電力の安定収益化といった取組みが実現できない可能性があります。

また、当社グループは、海外企業との業務提携やジョイントベンチャーを進めていますが、製品開発・サービス提供が困難を伴うことや、当初予定していたシナジー効果が実現されないこと等、これらの業務提携等が上手くいかない又は想定していた将来の事業機会を得ることができない可能性があります。

 

9.品質不適切行為による影響

当社グループにおいて、公的規格又は顧客仕様を満たさない製品等(不適合製品)につき、検査結果の改ざん又はねつ造等を行なうことにより、これらを満たすものとしてお客様に出荷又は提供する品質不適切行為を行なっていたことが前連結会計年度に判明しました。

当社グループは、不適合製品の出荷先のお客様とともに、不適合製品を使用したお客様の製品に対する品質影響(安全性含む)についての技術的検証を進めてきた結果、不適合製品を納入したことが判明している、のべ688社全てのお客様より、安全上の問題がない、あるいは、安全性に当面の問題はないとのご確認をいただきました。なお、安全性に当面の問題はないとの見解をいただいている製品に関しましては、今後も必要に応じ、お客様にご協力をいただきながら、追加の検証を進めてまいります。

また、品質不適切行為に関し、当社は2018年7月に不正競争防止法違反の疑いで起訴されたほか、当社グループは不適合製品を米国のお客様に対して販売した疑いがあるとして、2017年10月より、米国司法省の調査を受けております。

加えて、当社グループは、(1)カナダにおいて、当社グループの製造した自動車向け金属製品や、それらを使用して製造された自動車に関する、経済的損失の賠償等を求めるクラスアクション、(2)米国において、当社ADR証券に関する、米国証券法違反(コンプライアンス体制等の虚偽表示)に基づくクラスアクション、(3)米国において、当社の製造した金属製品を使用して製造された自動車に関する、転売価値の下落等の経済的損失の賠償等を求めるクラスアクション、の3つの民事訴訟を提起されました。今後も同様の訴訟を提起される可能性があります。

上述の民事訴訟のうち、(1)カナダでのクラスアクションについては、2019年6月に原告との間で、当社が和解金として総額1,950千カナダドル(約159百万円)を支払い、原告側が訴訟を取り下げることを主な内容とする和解の基本合意書を締結いたしました。今後、原告との間で正式な和解合意書を締結し、カナダ国ブリティッシュコロンビア州上位裁判所の承認を得るとともに、同裁判所の承認を条件に、同国オンタリオ州上位裁判所における訴訟の却下手続きをとる予定です。また、(2)米国での当社ADR証券に関するクラスアクションについては、2018年9月に、当社が和解金を支払うことで原告側が訴訟を取り下げるという和解に合意しました。その後、2019年2月には裁判所により和解が承認され訴訟が終結しました。

不正競争防止法違反の疑いでの起訴については、2019年1月の第2回公判において求刑が行なわれ、3月に罰金1億円の有罪判決が確定いたしました。

米国司法省の調査及び上述の民事訴訟の(3)米国での当社の製造した金属製品を使用して製造された自動車に関するクラスアクションについては、現時点で最終的な罰金額・損害賠償額等を合理的に見積ることは困難ですが、金銭的負担が生じる可能性があります。また、お客様などで発生する製品の交換、検査に係る補償等への対応費用が新たに発生する可能性もあります。

今後の進捗次第では、品質不適切行為に係る信用低下による受注等の減少や、お客様等への補償費用を始めとする損失の発生、罰金や損害賠償の発生等が、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは、品質不適切行為を踏まえ、再発防止のための品質ガバナンス体制等を構築し、信頼の回復に努めておりますが、これらの再発防止策が予定どおりに実施されない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

10.人材確保に関するリスク

当社グループは、事業の維持・成長に必要な人材の確保に努めておりますが、今後、少子化、景気回復による労働市場の需給バランスの変化や人材の流動化の進展等により、人材の確保が想定どおりに進まない場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

なお、当連結会計年度末現在では予測できない上記以外の事象の発生により、当社グループの財政状態及び経営成績が影響を受ける可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

①経営成績の状況

 当連結会計年度の我が国経済は、相次いだ自然災害の影響があったものの、雇用・所得環境の改善による個人消費の持直しや企業の設備投資の堅調な推移を受け、緩やかな回復基調が続きました。海外経済については、保護主義的な通商政策の影響などにより、中国や欧州では経済成長の減速傾向が見られたものの、全体としては米国や東南アジアを中心に景気回復傾向が継続しました。

 このような経済環境のもと、当社グループにおいては、鋼材の販売数量は、国内における自動車向けを中心に需要は堅調に推移したものの、加古川製鉄所における生産設備の一過性のトラブルや自然災害の影響などから、前連結会計年度を下回りました。アルミ圧延品の販売数量は、自動車向けの需要が増加した一方で、飲料用缶材向けの需要が減少したことなどから、前連結会計年度を下回りました。銅圧延品の販売数量は、タイ生産拠点での設備トラブル解消による銅管の販売数量の回復などから、前連結会計年度を上回りました。油圧ショベルの販売台数は、欧州、中国を中心に需要が堅調に推移したことから、前連結会計年度を上回りました。

 この結果、当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比907億円増収1兆9,718億円となりましたが、設備トラブルによる販売数量の減少やエネルギーコストの上昇などにより、営業利益は前連結会計年度比406億円減益の482億円、経常利益は前連結会計年度比365億円減益の346億円となりました。特別損益は、固定資産の減損損失を計上した一方で、神鋼不動産(株)の株式の75%を譲渡したことに伴う利益を計上したことなどから143億円の利益となり、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度比272億円減益の359億円となりました。

当連結会計年度のセグメント毎の状況は次のとおりであります。

 

[鉄鋼]

 鋼材の販売数量は、国内における自動車向けを中心に需要は堅調に推移したものの、加古川製鉄所における生産設備の一過性のトラブルや自然災害の影響などから、前連結会計年度を下回りました。販売価格は、主原料価格の上昇などの影響を受け、前連結会計年度を上回りました。

 鋳鍛鋼品の売上高は、製品構成の変化により、前連結会計年度を下回りました。チタン製品の売上高は、航空機分野での拡販等により、前連結会計年度を上回りました。

 この結果、当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比5.4%増の7,539億円となりましたが、経常利益は、上工程の集約による収益改善策が進捗したものの、設備トラブルや自然災害による販売数量の減少に加え、物流費の増加などにより、前連結会計年度比125億円減益の47億円となりました。

 

[溶接]

 溶接材料の販売数量は、東アジアを中心とした造船向けなどの需要が低迷した一方、海外における自動車向けの需要が増加したことなどから、前連結会計年度を上回りました。

 溶接システムについては、国内の建築鉄骨向けの需要が引き続き堅調に推移し、売上高は前連結会計年度並となりました。

 この結果、当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比4.2%増839億円となりましたが、経常利益は、原材料のコストアップなどにより前連結会計年度比12億円減益の36億円となりました。

 

[アルミ・銅]

 アルミ圧延品の販売数量は、自動車向けの需要が増加した一方で、飲料用缶材向けの需要が減少したことなどから、前連結会計年度を下回りました。

 銅圧延品の販売数量は、タイ生産拠点での設備トラブル解消による銅管の販売数量の回復などから、前連結会計年度を上回りました。

 この結果、当連結会計年度の売上高は、アルミ圧延品の販売数量が減少したものの、地金価格の上昇に伴う販売価格の上昇により、前連結会計年度比2.7%増3,590億円となりました。経常損益は、アルミ圧延品の販売数量の減少や、エネルギーコストの上昇及び品質不適切行為の影響などから、前連結会計年度比133億円悪化の15億円の損失となりました。

 

[機械]

 石油精製分野の圧縮機需要が回復基調にあったことや、アジア・中東における石油化学分野の需要が増加したことなどから、当連結会計年度の受注高は、前連結会計年度比13.6%増の1,717億円となり、当連結会計年度末の受注残高は、1,566億円となりました。

 また、当連結会計年度の売上高は、既受注案件が順調に進捗したことから、前連結会計年度比6.3%増1,714億円となったものの、経常利益は、既受注案件の採算性悪化などにより、前連結会計年度比11億円減益の12億円となりました。

 

[エンジニアリング]

 当連結会計年度の受注高は、廃棄物処理関連事業での堅調な受注により前連結会計年度比2.8%増の1,226億円となり、当連結会計年度末の受注残高は、1,693億円となりました。

 また、当連結会計年度の売上高は、大型案件を中心に既受注案件が順調に進捗したことから、前連結会計年度比23.5%増1,517億円となったものの、経常利益は、案件構成の変化などにより、前連結会計年度比3億円減益の65億円となりました。

 

[建設機械]

 油圧ショベルの販売台数は、欧州、中国を中心に需要が堅調に推移したことから、前連結会計年度を上回りました。

 クローラクレーンの販売台数は、国内においては、2018年7月に当社高砂製作所にて発生したクレーン倒壊事故の影響で出荷検査の遅れが生じたことにより、前連結会計年度を下回りましたが、東南アジアなど海外における需要が堅調に推移したため、全体としては前連結会計年度並となりました。

 この結果、当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比5.9%増3,860億円となり、経常利益は、油圧ショベルの販売台数の増加に加え、中国での油圧ショベル事業における滞留債権の回収が進捗したことにより引当金の一部を取り崩したことなどから、前連結会計年度比35億円増益の255億円となりました。

 

[電力]

 販売電力量は、定期検査日数の増加により、前連結会計年度を下回りました。電力単価は、発電用石炭価格の市況上昇の影響を受け、前連結会計年度を上回りました。

 この結果、当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比5.5%増761億円となったものの、経常損益は、神戸の新規発電プロジェクトの資金調達に伴う一時費用が発生したことなどにより、前連結会計年度比82億円悪化の3億円の損失となりました。

 

[その他]

 (株)コベルコ科研においては、試験研究事業の受注が減少しました。また、連結子会社であった神鋼不動産(株)を当連結会計年度において、当社の連結の範囲より除外し、持分法適用関連会社の範囲に含めております。

 この結果、その他事業全体の当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比38.9%減の420億円となり、経常利益は、前連結会計年度比30億円減益の23億円となりました。

 

(注)売上高・受注高には消費税等を含んでおりません。(以下において同じ。)

 

②財政状態の状況

 当連結会計年度末の総資産は、連結子会社であった神鋼不動産(株)を連結の範囲から除外した影響などから有形固定資産が減少したものの、たな卸資産が増加したことなどから、前連結会計年度末に比べ328億円増加し2兆3,849億円となりました。また、純資産については、親会社株主に帰属する当期純利益を計上したことなどから、前連結会計年度末に比べ123億円増加し8,033億円となりました。これらの結果、当連結会計年度末の自己資本比率は31.0%となり、前連結会計年度末に比べ0.6ポイント低下しました。

 

③キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、営業活動によるキャッシュ・フローに係る収入が671億円、投資活動によるキャッシュ・フローに係る支出が△286億円、財務活動によるキャッシュ・フローに係る支出が△95億円となりました。

 以上の結果、換算差額を含めた当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ319億円増加の1,972億円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 税金等調整前当期純利益が減少したことなどから、当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べて1,236億円収入が減少し、671億円となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 神鋼不動産(株)の株式の75%を譲渡したことに伴い、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入が増加したことなどから、当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べて1,329億円支出が減少し、△286億円となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 長期借入れによる収入の増加などから、当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べて570億円支出が減少し、△95億円となりました。

 

④生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度における下記セグメントの生産実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

区分

当連結会計年度(2018年4月~2019年3月)

生産数量 (千トン)

前期比 (%)

鉄鋼

粗鋼

6,978

△7.4

アルミ・銅

アルミ圧延品

355

△7.5

銅圧延品

145

+2.3

(注)粗鋼生産に関連し、2017年10月に神戸製鉄所の上工程設備を休止しております。

 

b.受注実績

 当連結会計年度における下記セグメントの受注実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

区分

当連結会計年度(2018年4月~2019年3月)

受注高

(百万円)

前期比

(%)

受注残高

(百万円)

前期比

(%)

機械

国内

61,225

△2.1

43,274

+5.0

海外

110,499

+24.8

113,363

+14.2

合計

171,724

+13.6

156,637

+11.5

エンジニアリング

国内

90,532

+12.3

104,213

+6.4

海外

32,109

△16.8

65,177

△23.8

合計

122,641

+2.8

169,391

△7.7

 

c.販売実績

 当連結会計年度におけるセグメント毎の販売実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度(2018年4月~2019年3月)

金額 (百万円)

前期比 (%)

鉄鋼

753,953

+5.4

溶接

83,947

+4.2

アルミ・銅

359,053

+2.7

機械

171,488

+6.3

エンジニアリング

151,753

+23.5

建設機械

386,077

+5.9

電力

76,128

+5.5

その他

42,063

△38.9

調整額

△52,597

合計

1,971,869

+4.8

(注) 主な相手先別の販売実績及びそれぞれの総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

 

相手先

前連結会計年度

(2017年4月~2018年3月)

当連結会計年度

(2018年4月~2019年3月)

金額 (百万円)

割合 (%)

金額 (百万円)

割合 (%)

神鋼商事(株)

267,617

14.2

275,601

14.0

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

①重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたっては、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない連結財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用しております。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループにおいては、当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比907億円増収の1兆9,718億円となりましたが、設備トラブルによる販売数量の減少やエネルギーコストの上昇などにより、営業利益は、前連結会計年度比406億円減益の482億円、経常利益は前連結会計年度比365億円減益の346億円となりました。特別損益は、固定資産の減損損失を計上した一方で、神鋼不動産(株)の株式の75%を譲渡したことに伴う利益を計上したことなどから143億円の利益となり、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度比272億円減益の359億円となりました。

中期経営計画で掲げた素材・機械・電力の3本柱の事業体確立に向けた施策については、素材系事業における大型戦略投資の実行や中国での建設機械事業の再構築、電力事業における新規プロジェクトの推進などを順調に進めてまいりました。一方で、原材料価格やエネルギー価格の上昇といった市場環境の変化や、設備トラブルの発生、戦略投資の収益化の遅れ、品質不適切行為の発覚など当社グループにおける状況の変化もあり、中長期経営ビジョンを実現するためには、当社が取り組むべき新たな課題があると認識しております。

こうした状況を受け、当社グループは、中期経営計画期間の残りの2年間とさらに‘その先’に向けた重点課題と対策を「中期ローリング」としてまとめ、2019年5月に公表いたしました。

当社グループといたしましては、全てのステークホルダーの皆様からの信頼回復を第一優先としながら、「中期ローリング」で掲げたテーマをグループ一丸となって推進することで、盤石な事業体を確立し当社グループが持続的に成長できるよう取り組んでまいります。

なお、「中期ローリング」の内容については、「1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(2)経営環境及び対処すべき課題等<中期経営計画の見直しについて>」に記載しております。

また、当連結会計年度のセグメント毎の状況は「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。

 

③経営成績に重要な影響を与える要因

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、需要分野の動向、調達環境や為替変動、関連法制度の動向、製造拠点における操業状況の影響、品質不適切行為に関連する費用などがあります。詳細については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」及び「2 事業等のリスク」に記載しておりますので、併せてご参照ください。

 事業及びセグメント毎の経営成績に重要な影響を与える主な要因は次のとおりであります。

 

a.素材系事業

[鉄鋼][溶接][アルミ・銅]

 素材系事業は、自動車、造船、電気機械、建築・土木、IT、飲料容器などを主な需要分野としており、販売数量・価格は、これら需要分野の動向、経済情勢等の影響を受けます。

 鉄鋼が原料として調達する鉄鉱石、石炭、合金鉄・非鉄金属等の原料価格及びそれらの運賃の変動が、業績に影響を及ぼします。溶接については、調達する鋼材価格の変動が業績に与える影響があります。アルミ・銅の地金価格の変動は、基本的にお客様に転嫁する仕組みとなっておりますが、会計上の在庫評価影響などによって、業績に一時的に影響が生じる可能性があります。

 鉄鋼やアルミ・銅を中心に、その生産活動の過程において廃棄物、副産物等が発生することから、関連法規制の強化等によって、業績に影響を及ぼすような対策費用が発生する可能性があります。また、国内外の製造拠点等において、事故、災害等により操業に支障が生じ、業績に影響を与える可能性があります。

 加えて、品質不適切行為に係る信用低下による受注の減少などが業績に影響を与える可能性があります。

 

b.機械系事業

[機械][エンジニアリング][建設機械]

 機械系事業は、建築・土木、産業機械、石油化学、廃棄物処理関連などを主な需要分野としており、受注件数や販売台数及び受注高は、これら需要分野の動向、経済情勢等の影響を受けます。特に建設機械においては、各国地域における環境規制やインフラ投資政策等が、販売台数に影響を与えます。

 また、原材料価格の変動や資機材等の取引関係の重大な変更、為替レートの変動があった場合にも、業績に影響を及ぼす可能性があります。

c.電力事業

 発電用石炭価格の変動や定期検査日数の変動、事故、災害による操業日数の変動が、業績に影響を与える可能性があります。

加えて、発電所建設に伴うプロジェクトファイナンスについて、金融情勢の変化等による金利率及びその他の条件の変動等が、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④資本の財源及び資金の流動性

a.資金需要の主な内容

当社グループの資金需要は、営業活動については、生産活動に必要な運転資金(材料・外注費及び人件費等)、受注獲得のための販売費、製品競争力強化・ものづくり力強化に資するための研究開発費が主な内容です。投資活動については、事業伸張・生産性向上を目的とした設備投資及び事業遂行に関連した投融資が主な内容です。

今後、将来見込まれる成長分野での資金需要や、最新の市場環境及び受注動向も勘案し、資産の圧縮及び投資案件の選別を行なう一方、必要な設備投資や研究開発投資等を継続してまいります。

 

b.有利子負債の内訳及び使途

 当連結会計年度末現在の有利子負債の内訳は次のとおりであります。

(単位:百万円)

 

合計

1年内

1年超

短期借入金

58,268

58,268

長期借入金

568,043

58,113

509,929

社債

134,052

22,215

111,837

合計

760,364

138,597

621,767

 当社グループは比較的工期の長い工事案件が多く、生産設備も大型機械設備を多く所有していることなどから、一定水準の安定的な運転資金及び設備資金を確保しておく必要があり、当連結会計年度末の有利子負債の構成は、返済期限が1年以内のものが1,385億円、返済期限が1年を超えるものが6,217億円となり、合計で7,603億円となりました。

 これらの有利子負債は事業活動に必要な運転資金、投資資金に使用しており、資金需要が見込まれる輸送機の軽量化やエネルギー・インフラ等の中長期的に伸張する成長分野を中心に使用していくこととしております。

 なお、財務戦略の基本方針は、素材系・機械系事業の成長に向けた大型戦略投資、事業基盤を支える定常投資は、原則として事業キャッシュ・フローにて賄うこととしております。大型戦略投資に含まれる、自動車分野を中心とした成長投資(1,000億円)については、事業環境の変化によるキャッシュ・フロー悪化時にも、財務規律を維持しながら着実に成長投資を実施すべく、海外におけるグループ内資金の有効活用や、上場株式や関係会社株式等の資産売却等により、1,100億円規模のキャッシュ対策を実施しております。

 

⑤経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標

 当社グループは、2016年4月に「2016~2020年度グループ中期経営計画」を策定し、素材系事業・機械系事業・電力事業の3本柱による成長戦略を一層深化させ、盤石な事業体を確立させる新たな中長期経営ビジョン「KOBELCO VISION “G+”(ジープラス)」への取組みをスタートいたしました。また、その後の市場環境の変化や当社グループにおける状況の変化を受け、中期経営計画期間の残りの2年間とさらに‘その先’に向けた重点課題と対策を「中期ローリング」としてまとめ、2019年5月に公表いたしました。

 「2016~2020年度グループ中期経営計画」及び「中期ローリング」における、経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

2020年度達成目標

目標指標設定背景・方針

ROA(経常損益/総資産)

5%以上

 

 当社は、中期経営計画において、将来の成長に向けた戦略投資を着実に実施していくことを標榜しており、投資に対するリターンを確実に挙げていく上でも、分母が総資産、分子が経常損益と、2つの要素で構成するROAが中期経営目標に相応しい指標であると判断し、設定しました。

D/Eレシオ

(有利子負債/自己資本)

1倍以下を堅持

 安定した成長を実現する為には、財務が健全であることが必須であることから、成長投資と財務規律との最適なバランスを考慮したD/Eレシオを重要な指標として位置付けています。

 

 

目標指標推移

目標指標

目標

(2020年度)

2016年度

(実績)

2017年度

(実績)

2018年度

(実績)

2019年度

(見込み)

ROA(経常損益/総資産)

5%以上

△0.8%

3.1%

1.5%

1.2%

D/Eレシオ(注1)

(有利子負債/自己資本)

1倍以下を堅持

1.17倍

(注2)

0.98倍

0.98倍

(注3)

0.9倍程度

(注)1.プロジェクトファイナンスを含まない

2.2017年度分借入金の前倒し調達(1,176億円)含む

  前倒し調達除く2016年度D/Eレシオ:1.00倍

3.2019年度分借入金の前倒し調達(921億円)含む

  前倒し調達除く2018年度D/Eレシオ:0.85倍

 

当連結会計年度のROA(主に経常損益)が前連結会計年度に比べ悪化した要因は、「(1)経営成績等の状況の概況」に記載のとおりであります。

中期経営計画において、安定した成長を実現するための重要指標として「D/Eレシオ1倍以下の堅持」を掲げておりますが、当連結会計年度は、キャッシュ対策等の実施により、目標とする水準を維持しております。

 

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

4【経営上の重要な契約等】

(1) 技術供与契約

 

契約会社

相手会社

契約内容

契約期間

(株)神戸製鋼所

(当社)

Mesabi Nugget Delaware, LLC

(アメリカ)

新還元溶解製鉄法

(ITmk3プロセス)

2002年3月22日から

無期限

 

 

 

(2) その他の経営上の重要な契約

1)United States Steel Corp.との契約

1990年3月に、当社はUSX Corp.(現 United States Steel Corp.)と米国において溶融亜鉛めっき鋼板の製造・販売に関する合弁事業契約を締結し、合弁会社「PRO-TEC Coating Company(現PRO-TEC Coating Company, LLC)」を設立いたしました。2010年12月に同契約を改定し、既存事業に加え、高張力冷延鋼板の製造・販売に関する合弁事業も行なうことといたしました。

2017年9月には、同契約を再度改定し、現有の製造設備に加え、新たに溶融亜鉛めっき鋼板の製造設備を1基増設することを合意いたしました。

 

2)鞍鋼股份有限公司との契約

2013年10月に、当社は鞍鋼股份有限公司と中国において自動車用冷延ハイテンの製造・販売に関する合弁事業契約を締結し、2014年8月に、合弁会社「鞍鋼神鋼冷延高張力自動車鋼板有限公司」を設立いたしました。

 

3)Millcon Steel Public Company Limitedとの契約

2016年2月に、当社はMillcon Steel Public Company Limitedとタイにおいて線材の圧延・販売に関する合弁事業契約を締結し、合弁会社「Kobelco Millcon Steel Co., Ltd.」を設立いたしました。

 

4)Novelis Korea Ltd.との契約

2017年5月に、当社はNovelis Inc.の100%子会社であるNovelis Korea Ltd.と韓国においてアルミ板圧延品を製造する合弁事業契約を締結し、2017年9月に合弁会社「Ulsan Aluminum, Ltd.」を設立いたしました。

 

5)兵庫県神戸市における発電事業に関する会社分割(簡易新設分割)について

当社は、2018年4月4日開催の取締役会において、兵庫県神戸市での電力供給事業承継を目的とした(株)コベルコパワー神戸第二の新設分割を決議し、2018年5月11日付で設立いたしました。

 会社分割の概要は、次のとおりであります。

 

① 会社分割の目的

当社は、兵庫県神戸市において石炭火力発電所を建設するため、2014年から環境アセスメントの手続を開始し、2015年3月には発電した電力全量を関西電力(株)に供給する契約を締結いたしました。環境アセスメントは2018年6月25日を以って完了し、2018年8月30日に神戸市との間で環境保全協定を再締結しました。2018年10月より建設工事を進めております。

本発電所に関わる資金調達に向けて、電力供給を目的とした新会社を簡易新設分割により設立するものです。

 

② 会社分割の方式

当社を分割会社とし、(株)コベルコパワー神戸第二を承継会社とする新設分割です。

 

③ 分割の日程

分割期日(効力発生日):2018年5月11日

 

④ 株式の割当て

承継会社は普通株式300,000,001株を発行し、そのすべてを当社に割り当てます。

 

⑤ 割当株式数の算定根拠

本新設分割は、当社が単独で行なうものであり、本新設分割に際して発行する株式のすべてが当社に割当交付されることから、承継会社の資本金の額等を考慮し、上記株式数を当社に交付することが相当であると判断したものであります。

 

⑥ 承継させた資産及び負債の金額

資産

負債

流動資産

3,490百万円

流動負債

-百万円

固定資産

9,178百万円

固定負債

10,815百万円

合計

12,668百万円

合計

10,815百万円

 

⑦ 会社分割後の組織の状況

 

承継会社

商号

(株)コベルコパワー神戸第二

本店所在地

兵庫県神戸市灘区灘浜東町2番地

代表者の役職・氏名

代表取締役社長 木本 総一

事業内容

電力供給事業

資本金

300百万円

 

6)神鋼不動産(株)の事業提携に伴う株式一部譲渡

当社は、2018年4月27日開催の取締役会において、当社の連結子会社である神鋼不動産(株)の発行済株式の一部を譲渡することを決議し、2018年7月1日に譲渡しました。詳細は、「第5 経理の状況」の注記事項(企業結合等関係)に記載しておりますので、併せてご参照ください。

 

7)電力供給事業に関する契約

当社の連結子会社である(株)コベルコパワー神戸、(株)コベルコパワー真岡、(株)コベルコパワー神戸第二における電力供給事業に係る契約は次のとおりであります。

契約会社

相手会社

契約内容

契約期間

(株)コベルコパワー神戸

(連結子会社)

関西電力(株)

電力受給に関する契約

(石炭火力発電140万kW[1、2号機各70万kW])(注1)

2017年4月1日から

2029年3月31日まで

(1号機の受給開始の日から12年間)

(株)コベルコパワー真岡

(連結子会社)

金融機関等17社

電力供給事業の事業資金に関する限度貸出契約(2019年3月31日現在の借入残高128億円)

2016年3月31日から

2031年3月31日まで

(借入金返済期限)

(株)コベルコパワー真岡

(連結子会社)

(株)ニジオ

電力供給に関する契約

(ガス火力発電124.8万kW

 [62.4万kW2基])

2014年9月29日から

2034年12月31日まで

(後発機の受給開始の日から15年間)

(株)コベルコパワー神戸第二

(連結子会社)

金融機関等12社

電力供給事業の事業資金に関する限度貸出契約(2019年3月31日現在の借入残高232億円)

2018年8月31日から

2036年3月31日まで

(借入金返済期限)

(株)コベルコパワー神戸第二

(連結子会社)

関西電力(株)

電力供給に関する契約

(石炭火力発電130万kW

 [65万kW2基]

2015年3月31日から

2052年1月31日まで

(先発機の受給開始の日から30年間)

 

 

なお、当連結会計年度において、満了した契約は次のとおりであります。

契約会社

相手会社

契約内容

契約期間

(株)コベルコパワー神戸

(連結子会社)

関西電力(株)

電力卸供給に関する契約

(石炭火力発電70万kW(2号機))

1998年1月13日から

2019年3月31日まで

(受給開始の日から15年間)

 

8)新日鐵住金(株)との契約

当社は、事業競争力の強化を目的に新日鐵住金(株)と提携関係にありますが、これに係る契約は次のとおりであります。

 

契約会社

相手会社

契約内容

契約期間

(株)神戸製鋼所

(当社)

新日鐵住金(株)

スラブ取引に関する合意書

2005年6月17日から

2033年5月14日まで

(株)神戸製鋼所

(当社)

新日鐵住金(株)

提携施策の検討継続及び買収提案を受けた場合の対応に関する覚書

2017年11月15日から

2022年11月14日まで

但し、5年毎の自動更新条項あり

(注)2019年4月1日付で本契約の相手会社である新日鐵住金(株)が日本製鉄(株)に商号を変更しました。

 

 

 

5【研究開発活動】

当社グループ(当社及び連結子会社)は、幅広い技術分野での高度な技術力を源泉として、当社グループならではの顧客価値を実現する製品の創出と、それに必要な「ものづくり力」の強化を中心に取り組み、また拡販のための技術支援、ソリューション提案など多くの成果をあげております。

当社技術開発本部では、各事業の基盤と競争力強化に向けた研究開発に加え、将来に向けた新製品・プロセスを具現化する高度で先端的な技術の開発も先導して行なっており、自動車分野、航空機分野、エネルギー分野、人工知能(AI)含むICT分野などでの新たなメニュー創出とそれらを支えるものづくり力を強化していきます。2018年10月に人工知能(AI)を活用して製品開発力とものづくり力の強化を目指す専任組織「AI推進プロジェクト部」を新設しました。産業界におけるAI技術の応用が急速に進む中、当社の幅広い事業分野で培われた多様な経験と専門性を持つ技術者約20名を専任者として配置し、事業競争力の根幹である材料や機械製品の開発とものづくりにおいて、他社との差別化が可能となる技術の確立を目指します。

当社各部門及び連結子会社の技術開発部門では、事業の競争力強化に直結する製品及び生産技術の開発を行なっております。今後とも、グループ全体にわたる研究開発への経営資源の投入を効果的に行なってまいります。

当連結会計年度における当社グループの研究開発費は、344億円であります。なお、本費用には、当社技術開発本部で行なっている事業部門横断的又は基礎的研究開発などで、各事業区分に配分できない費用として計上する費用97億円が含まれております。

主な事業の種類別セグメント毎の研究開発活動の状況は、次のとおりであります。

 

 

[鉄鋼]

鉄鋼では、輸送機分野(自動車、船舶、航空機)や建設分野を中心に特殊鋼や高強度鋼、鋳鍛鋼、チタン、鉄粉の商品力・強みを生かした商品開発と「ものづくり力」の強化に向けた生産技術の開発に引き続き注力して取り組んでおります。

特殊鋼分野では、自動車の電動化や燃費改善に貢献可能な鋼材の開発と、加古川製鉄所への上工程集約を起点とした生産技術力の強化を進めております。

厚板分野では、建設業を中心としたお客様の合理化と工期短縮の要望に対応するために、切断・曲げ・溶接等の厚板加工を高効率で行なうことができる熱加工制御(TMCP)鋼を商品化するとともに、それらの新商品の実現と安定生産の基盤となる圧延や冷却を始めとする生産技術の高度化に取り組んでおります。

薄板分野では、自動車ボディ骨格用高強度鋼板(ハイテン)の適用拡大やさらなる高機能化の要望に対応するために、高強度に加えて加工性、溶接性、衝突特性等を兼備したハイテンの新商品開発を推進しています。これらを具現化する高度なミクロ組織制御を実現するため新連続焼鈍設備の導入を決定し、2021年2月稼動に向けて建設を進めております。

鋳鍛鋼品については、舶用主機関や陸上発電機に使用されるディーゼルエンジンの燃料効率改善等に寄与することを目的として、クランク軸用高強度鋼の開発を進めてきました。その結果、新開発鋼の実機サイズでの特性評価が完了し、船級協会による承認を取得しました。

チタン分野では、航空機向けチタン鍛造品について内閣府「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」を活用し、鍛造における形状並びに組織・材質予測技術を構築することで、品質・工程・設計技術をさらに向上させる取り組みを行ないました。

なお、当連結会計年度における研究開発費は、52億円であります。

 

[溶接]

溶接では、画期的な溶接プロセスである「REGARCTM」を搭載した小型可搬型溶接ロボット「石松」を開発しました。炭酸ガスアーク溶接の大電流域におけるスパッタ・ヒューム発生量を大幅に低減した「REGARCTM」プロセスと人が持ち運べる軽さの「石松」との組合せにより、溶接の自動化ソリューション提案力をさらに充実させました。建築鉄骨溶接ロボット型式認証は取得済みであり、2018年4月の「2018国際ウエルディングショー」でのプレスリリースを経て、2018年7月より受注を開始しました。

また、大型ロボット「ARCMANTM XLmkⅡ」の後継機である「ARCMANTM A80」を開発しました。特長として、下腕フレーム構造をシリアルリンク化することによって従来機を超えた広い動作範囲を実現、また、スリム化、軽量化、ケーブル経路の簡潔化ができております。さらに、新型CBコントローラと接続することにより、センシング動作時間を短縮し、タクトタイムの削減が可能となります。

さらに、溶接材料の面からも溶接の自動化を推進するために、造船大組立ロボット溶接システム専用の溶接ワイヤとして「FAMILIARCTM DW-100R」を開発しました。大組立工程では立向上進溶接が多く、加えて従来技術では溶接困難なルートギャップが自動化を阻害する要因となっていました。「FAMILIARCTM DW-100R」は、立向上進溶接の溶接時間を半減させ、また耐ギャップ性を向上しています。また、水平すみ肉姿勢でも良好なビード形状が得られ、立向/水平姿勢で兼用できるロボット専用ワイヤとなります。

加えて、造船の板継工程に用いられている当社「FCBTM」での溶接品質のさらなる向上、手直し時間の低減による効率化を実現させる「終端割れ防止技術」を開発しました。変形シミュレーションを駆使し、終端割れに影響する諸因子を抽出、引張の塑性ひずみを低減させ、終端割れを防止する施工法を確立しました。なお、本施工法はジャパン マリンユナイテッド(株)と共同で、国土交通省が推進する海事生産性革命(i-Shipping)の革新的造船技術研究開発事業で2017-2018年度に採択されており、その研究成果となります。

なお、当連結会計年度における研究開発費は、37億円であります。

 

[アルミ・銅]

アルミ・銅では、中長期事業競争力の強化に向け、自動車関連部材等「成長分野」への技術開発と品質及び生産技術の向上に注力して研究開発を進めております。また、缶用材料、電子機器材料等の「ボリュームゾーン」では、安定した生産性確保とさらなる品質向上を継続的に推進しています。

アルミ板分野では、自動車パネル材の需要が拡大しており、真岡製造所・神鋼汽車鋁材(天津)有限公司の両拠点での生産が増加しています。また、真岡製造所では熱処理・表面処理設備を建設中で、2020年から稼働開始する予定です。材料・表面処理技術に加えて、当社の特徴である接合や解析技術のソリューション提案力も高く評価されており、自動車へのアルミ板材の採用拡大に貢献しています。飲料缶材料では、進展する薄肉軽量化に対応した高強度・高成形性材料の開発を推進し、高い評価を得ており市場シェアの維持に貢献しています。

鋳鍛分野では、自動車サスペンション用アルミ鍛造部品において北米・中国を始めとしてグローバルに需要が拡大しており、サスペンション部品の生産性向上、さらなる品質向上のための技術開発を推進しています。また、他社との差別化を図るために、高強度合金開発と構造設計の両面から軽量化提案を行い、お客様から高い評価を得ています。さらに自動車分野以外でも、高性能な耐熱材料の開発や、競争力向上のためのプロセス技術の開発を行なっています。

押出分野では、アルミ製バンパーシステムや車両骨格部材などの自動車用押出形材に対して、軽量で衝突安全性に優れた材料のニーズが高まっています。当社では高強度でかつ耐応力腐食割れ性に優れた独自7000系合金押出形材を開発し、日本だけではなく米国でも溶解鋳造から押出、加工までの一貫生産を開始しています。将来の差別化・競争力強化に向けて、さらなる高強度合金開発やその生産技術開発にも注力しております。

銅板分野では、自動車向け電装部品用端子材料の需要が好調であり、低摩擦係数と耐熱性に優れた錫めっき(新リフローめっき)技術が高く評価され、国内外で採用が拡大しています。欧州につづき米国伸銅メーカーへも「新リフローめっき」技術のライセンスを供与し、現地からの供給を始めています。今後もさらなるグローバル供給体制の拡充を推進します。また、自動運転化に伴う電装化の進展から、端子の小型化、多極化に最適な高強度、薄板材料の開発を推進しています。さらに、スマートフォン用などの散熱部材への開発合金の採用も順調に増加しています。

なお、当連結会計年度における研究開発費は、29億円であります。

 

[機械]

機械では、環境、省エネ(CO2削減)をキーワードに、オンリーワン・ナンバーワン技術や商品を創出することで独自性を徹底追求するとともに、マーケット及び生産の両面からさらなるグローバル化を推進し、世界トップレベルの「ものづくり」の実現を目指しています。

圧縮機関連分野では、当社が開発中の「舶用バイナリー発電システム」について、川崎汽船(株)の協力の下、約3年間の実船運用のフィールド試験を行ないます。本技術をグローバルに展開し、舶用業界における環境負荷低減に貢献してまいります。

産業機械関連分野では、樹脂用混練造粒装置のたゆまぬ技術開発がもたらす、優れた混練性能を評価いただき、当社のポリプロピレン向け装置としては過去最大生産規模の「LCM350EX」を受注しました。

加えて、当社子会社のQuintus Technologies ABにて航空機用チタン合金(Ti-6Al-4V)に適用できる高圧熱間成形(High Pressure Warm Forming)プロセスを開発しました。

なお、当連結会計年度における研究開発費は、27億円であります。

 

[エンジニアリング]

エンジニアリングでは、独自プロセス・技術のさらなる差別化、競争力強化に向けた開発を継続するとともに、将来の成長が見込まれる、環境、エネルギー等の有望分野において、積極的に開発を推進しております。

原子力関連分野では、原子力発電所の廃炉に伴う廃棄物の処理技術の開発に取り組んでおります。

還元鉄関連分野では、天然ガスを還元剤とした製鉄法(MIDREXプロセス:世界No.1シェア)の競争力維持・強化に向けた開発を継続しております。

水処理関連分野では、新下水道ビジョンに沿ったバイオマスエネルギー利活用を目指し、高濃度汚泥消化技術など低LCC(ライフサイクルコスト)を実現できる技術開発を実施しています。また、ユーグレナグラシリスEOD-1の機能性の実証に取り組んでいます。

廃棄物処理関連分野では、AIやICTを活用した操業安定化によるプラント運転の省力化に継続的に取り組んでおります。また、従来よりも高温高圧の廃熱ボイラを備えた高効率発電を可能とする流動床式ガス化燃焼炉の第一号機を納入いたしました。

化学・食品機械関連分野では、機能性グラスライニングの開発をさらに進め、また粉体機器の改良など医薬品市場向けに競争力を高める開発や、撹拌式凍結乾燥機の商品化を進める開発に取り組んでおります。

水素関連分野では、水素発生装置において、メンテナンススペースを削減し操作性を向上させた新機種を上市し、従来機種についてもブラッシュアップ、リニューアルにより、コストダウンと省スペース並びに消費電力の削減を実現しました。

なお、当連結会計年度における研究開発費は、23億円であります。

 

[建設機械]

建設機械では、広島大学と、「コベルコ建機夢源力共創研究所」を2018年4月に広島大学内に設置しました。本研究所は、複数の共同研究講座等を統括・マネジメントする機能を持った研究所として、今まで以上に高い次元での組織対組織の研究活動を可能とするとともに、産業・学術の両面で高い成果に結び付けていくものとなります。

クレーン関連分野では、ミニラフテレーンクレーン「LYNX130」(型式:RK130-2/RK130M-2)を2018年5月より国内向けに販売を開始しました。最新のディーゼル特殊自動車2014年排出ガス規制適合エンジンを搭載しており、従来の2ウインチからパワフルな1ウインチに集約することで、操作性・作業効率を大幅にアップしました。

また、テレスコピッククローラクレーン「TK550G(最大つり上げ能力55t)」(型式:TK550G)を2018年6月より国内向けに販売を開始しました。2014年排出ガス規制適合エンジンを搭載しており、クローラならではの安定性とつり上げ能力に、全段シリンダ伸縮のテレスコピックブームの作業性を兼ね備えたモデルとして、さまざまな基礎工事から相番作業まで幅広く活用いただけます。さらに輸送幅2.99mを達成し、最新の輸送規制に対応しました。

さらに、ショベル関連分野において後方超旋回ミニショベル「SK20SR-6」を2018年10月より販売を開始しました。省エネ運転機能である「エコモード」や「オートデセル機能」を標準装備しており、液晶ディスプレイを標準設定することで、機械のメンテナンス情報、異常情報などのマシン情報が一目で確認できるようになりました。

なお、当連結会計年度における研究開発費は、65億円であります。

 

[その他]

(株)コベルコ科研では、エネルギー、自動車、エレクトロニクス、土木・建築、環境など広範囲にわたる分析・試験技術を蓄積するとともに、高度で先端的な評価・解析技術の開発を進めています。さらに、液晶テレビなどのフラットパネルディスプレイ用の配線に用いられる薄膜用のターゲット材料や半導体等の検査装置の開発に取り組んでいます。

当連結会計年度においては、各自動車メーカーはEV化開発を進めており、当社は「EV駆動モータの評価技術」の開発に取り組んでおります。また、パネルメーカーからのニーズであった、既存のIGZO(In-Ga-Zn-O)をさらに進化させた、8K-TV等の次世代高精細大型フラットパネルディスプレイの用途に適した高電子移動度酸化物半導体用スパッタリングターゲット材を上市しました。

なお、当連結会計年度における研究開発費は、10億円であります。