当中間連結会計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。また、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
①経営成績の状況
当中間連結会計期間の我が国経済は、米国の通商政策による輸出産業への影響が見られたものの、雇用・所得環境の改善を背景に、緩やかな回復基調が継続しました。海外経済は、米国では、物価上昇懸念等から個人消費の伸びが鈍化しました。欧州では、個人消費、設備投資に持ち直しの動きが見られた他、サービス業を中心に景気は緩やかな回復を辿りました。中国では、経済対策の効果は見られたものの、不動産市場の低迷の継続等により、景気回復のペースは鈍化しました。
このような中、当中間連結会計期間の売上高は、前年同期比671億円減収の1兆1,814億円となりました。営業利益は、素材系事業での物価上昇分の価格転嫁の進展や機械での既受注案件の進捗による売上高の増加等があったものの、固定費を中心としたコストの増加、電力での燃料費調整の時期ずれによる増益影響の縮小に加え、原料価格の下落に伴う在庫評価影響の悪化等により、前年同期比151億円減益の625億円となり、経常利益は、前年同期比132億円減益の576億円となりました。親会社株主に帰属する中間純利益は、当中間連結会計期間にて、政策保有株式の売却益を計上したこと等から、前年同期比62億円増益の628億円となりました。
当中間連結会計期間のセグメント毎の状況は次のとおりであります。
[鉄鋼アルミ]
(鉄鋼)
当中間連結会計期間の売上高は、原料価格の下落の影響等により、前年同期比9.5%減の4,178億円となりました。経常利益は、物価上昇分の価格転嫁が進展したものの、固定費を中心としたコストの増加や原料価格の下落に伴う在庫評価影響の悪化等により、前年同期比102億円減益の85億円となりました。
(アルミ板)
当中間連結会計期間の売上高は、自動車向けアルミパネル事業の再構築に伴い神鋼汽車鋁材(天津)有限公司が子会社から関連会社となった影響等から、前年同期比10.8%減の881億円となりました。経常損益は、価格転嫁の進展や在庫評価影響の改善等により、前年同期比23億円改善の19億円の損失となりました。
鉄鋼アルミ全体では、当中間連結会計期間の売上高は、前年同期比9.7%減の5,060億円となり、経常利益は、前年同期比78億円減益の65億円となりました。
[素形材]
当中間連結会計期間の売上高は、自動車向け需要が減少したこと等からアルミ押出、サスペンション等で販売数量が減少したものの、価格転嫁が進展したこと等により、前年同期並の1,543億円となりました。経常利益は、価格転嫁の進展等があったものの、自動車向けを中心とした販売数量の減少や在庫評価益の縮小等により、前年同期比14億円減益の8億円となりました。
[溶接]
当中間連結会計期間の売上高は、自動車・建築向けを中心に販売数量が減少したものの、価格転嫁が進展したこと等により、前年同期並の461億円となり、経常利益は、固定費を中心としたコストの増加等により、前年同期比1億円減益の20億円となりました。
[機械]
当中間連結会計期間の受注高は、等方圧加圧装置(IP装置)需要が堅調に推移したこと等から、前年同期比3.4%増の1,233億円となり、当中間連結会計期間末の受注残高は2,385億円となりました。
当中間連結会計期間の売上高は、既受注案件が進捗したこと等から、前年同期比7.4%増の1,290億円となり、経常利益は、前年同期比63億円増益の186億円となりました。
[エンジニアリング]
当中間連結会計期間の受注高は、還元鉄関連事業で大型案件を受注したこと等から、前年同期比48.7%増の884億円となり、当中間連結会計期間末の受注残高は4,450億円となりました。
当中間連結会計期間の売上高は、既受注案件の進捗等により前年同期比13.2%増の739億円となりましたが、経常利益は、案件構成差等により、前年同期比16億円減益の29億円となりました。
[建設機械]
当中間連結会計期間の売上高は、円高の影響等から前年同期比4.8%減の1,880億円となりました。経常利益は、前連結会計年度に計上した固定資産の減損に伴う減価償却費の減少等があったものの、販売地域構成の悪化等により、前年同期比24億円減益の36億円となりました。
[電力]
当中間連結会計期間の売上高は、販売電力量の減少や石炭市況の変動による販売電力単価の下落等により、前年同期比15.1%減の1,134億円となりました。経常利益は、真岡発電所の法定点検に伴う点検日数の増加や燃料費調整の時期ずれによる増益影響の縮小等により、前年同期比57億円減益の235億円となりました。
[その他]
当中間連結会計期間の売上高は、前年同期比30.9%減の25億円となり、経常利益は、前年同期比6億円減益の13億円となりました。
②財政状態の状況
当中間連結会計期間末の総資産は、売掛債権の回収に伴い受取手形、売掛金及び契約資産が減少したこと等から、前連結会計年度末に比べ481億円減少し2兆8,428億円となりました。負債については、社債の償還や借入金の返済等により、前連結会計年度末に比べ634億円減少し1兆5,905億円となりました。純資産は、親会社株主に帰属する中間純利益の計上等により、前連結会計年度末に比べ152億円増加し1兆2,523億円となりました。
③資本の財源及び資金の流動性に関する情報
a.キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間のキャッシュ・フローは、税金等調整前中間純利益の計上等により、営業活動によるキャッシュ・フローは1,521億円の収入となりました。一方、投資活動によるキャッシュ・フローは有形及び無形固定資産の取得による支出等から△273億円の支出となり、その結果、フリーキャッシュ・フローは1,247億円の収入となりました。
また、財務活動によるキャッシュ・フローは、社債の償還や借入金の返済等により△1,107億円の支出となり、当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べて87億円増加し、2,286億円となりました。
当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
原料市況上昇等に伴う棚卸資産の増加等により運転資本が増加した前年同期と比較すると、当中間連結会計期間においては、売掛債権の回収により運転資本が減少したこと等から、1,398億円収入が増加しました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間において投資有価証券を売却したこと等から、前年同期に比べて231億円支出が減少しました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
前年同期においては社債を発行しましたが、当中間連結会計期間では社債の償還を行ったこと等により、前年同期に比べて570億円支出が増加しました。
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(単位:億円) |
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前中間 連結会計期間 |
当中間 連結会計期間 |
差異 |
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営業キャッシュ・フロー |
123 |
1,521 |
1,398 |
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投資キャッシュ・フロー |
△504 |
△273 |
231 |
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フリーキャッシュ・フロー |
△381 |
1,247 |
1,629 |
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財務キャッシュ・フロー |
△536 |
△1,107 |
△570 |
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(うち、株主還元) |
(△177) |
(△217) |
(△39) |
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株主還元後のフリーキャッシュ・フロー |
△559 |
1,030 |
1,590 |
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現金及び現金同等物の期末残高 |
1,954 |
2,286 |
332 |
b.有利子負債の状況
有利子負債は、社債の償還や借入金の返済等により前連結会計年度末に比べ851億円減少の8,012億円となり、株主資本は、親会社株主に帰属する中間純利益の計上等により、407億円増加の1兆424億円となりました。
当社グループでは、比較的工期の長い工事案件が多いことや、大型の生産設備を多く所有していること等から、一定水準の安定的な運転資金及び設備資金の確保が必要となっております。このため、当中間連結会計期間末の有利子負債の構成は、返済期限が1年以内のものが2,402億円、返済期限が1年を超えるものが5,610億円となっており、長期資金を中心に調達を実施しております。
(単位:億円)
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前連結会計年度末 |
当中間連結会計期間末 |
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有利子負債 ※1 (リース債務を含む) |
8,863 |
8,012 |
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株主資本 |
10,017 |
10,424 |
※1 当中間連結会計期間末現在の有利子負債の内訳
(単位:億円)
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合計 |
1年内 |
1年超 |
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短期借入金 |
432 |
432 |
- |
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長期借入金 |
5,805 |
1,588 |
4,216 |
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社債 |
1,300 |
100 |
1,200 |
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リース債務 |
474 |
281 |
193 |
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合計 |
8,012 |
2,402 |
5,610 |
(2) 研究開発活動
当中間連結会計期間における当社グループ(当社及び連結子会社)の研究開発費は、215億円であります。また、当中間連結会計期間における研究開発活動の状況の変更の内容は、次のとおりであります。
技術開発本部では、2025年6月1日に国立大学法人東北大学(以下、東北大学)と『神戸製鋼所×東北大学 先端半導体用素材・プロセス技術 共創研究所』(以下、共創研究所)を東北大学青葉山キャンパス内に設置し、活動を開始しました。近年、半導体技術は急速に進化しており、これに伴い素材・部材の開発及び製造プロセスにおいても新しい技術が求められています。本共創研究所では、半導体市場や技術の変化点を捉え、東北大学の世界トップレベルの半導体関連技術とKOBELCOの保有技術をかけ合わせることで、半導体に関わる新たな素材やプロセス技術の可能性を探索し、共同研究を推進していきます。また、ここで得られた技術知見は、学会発表などを通じて積極的に情報発信し、次世代の技術者や研究者育成を目的とした人材育成を積極的に進めます。
[鉄鋼アルミ]
鉄鋼では、一般社団法人サステナブル経営推進機構(SuMPO)が認証するSuMPO環境ラベルプログラムのSuMPO EPD(旧エコリーフ)を、厚鋼板、建築構造用厚鋼板の2製品で取得しました。SuMPO EPDの取得は、当社として初めてです。
SuMPO EPDは、LCA(ライフサイクルアセスメント)手法を用いて製品のライフサイクル全体を考えた環境情報を定量的に評価する枠組みであり、国際基準に基づき高い信頼性と透明性を確保しています。SuMPO EPDの取得により、製品の環境情報の妥当性や国際規格への適合性が確認され、お客様はその製品の環境負荷を定量的・客観的に把握できるようになります。 また、米国のLEED(Leadership in Energy & Environmental Design)においても加点対象とされており、建物の資産価値の向上に資するものと考えられます。
このたび当社がSuMPO EPDを取得した製品は、以下の2件です。
■厚鋼板:JR-AW-24068E
■建築構造用厚鋼板:JR-AJ-24076E
当該2件のSuMPO EPD取得により、当社が製造するすべての厚鋼板の環境情報が開示されます。当社の厚鋼板は船舶・高層建築・橋梁等の鋼構造物に使用されており、今後も厚鋼板の提供を通して、安全・安心で環境に配慮したインフラの構築を支えることで社会に貢献していきます。
[溶接]
2024年に商品化したワイヤ送給制御プロセス「AXELARC™」をベースに、当社とパナソニック コネクト(株)は、自動車・二輪業種を対象としたアーク溶接新工法・新溶接材料の販売及び開発協力に関する協業に合意しました。同社が保有する薄板向け溶接ロボットシステム「Active TAWERS 4」に本プロセスに最適な溶接材料「AXELARC™ AX-1AS」、「AXELARC™ AX-1A」を搭載することによって、低スパッタ化はもちろんのこと、薄板溶接で要求されるワイヤ狙いズレ裕度や耐ギャップ性を確保しつつ、溶接速度の増加による生産性向上を実現します。また、亜鉛めっき鋼板における気孔欠陥抑制や溶接部の電着塗装性向上によって溶接品質の安定化をも実現できます。今後、国内外の自動車・二輪業種のお客様に対して、これまでの薄板溶接の課題を解決する新たな溶接ソリューションとして提案していきます。
[建設機械]
ショベル分野において、コベルコ建機(株)(以下、コベルコ建機)は、カーボンニュートラル(CN)実現に向けた取り組みの一環として、CN対応建機の開発を推進しています。2025年4月にドイツ・ミュンヘンで開催された国際建設機械展示会「bauma 2025」において、現在開発中の7トンクラスのバッテリー式電動ショベルを初めて展示しました。この電動ショベルは、都市部の狭隘な現場でも小回りが効き、1回当たりの充電可能量が多く、掘削性能や作業スピードにおいて、ディーゼル機と同等のパフォーマンスを実現します。同展示会では重機の遠隔操作システム「K-DIVE®」を活用し、展示会場のコックピットからデンマークや兵庫県神戸市に設置されたショベルを遠隔操作しました。国境を越えた遠隔地においても、実機に搭乗した場合と同等の操作性を実演しました。
また、自動運転ショベルの実用化を見据えて、施工中の工事現場における長期間の安定運用と安全性の確保について(株)安藤・間と共同で実証実験を行いました。2025年4月から6月にかけて、国土交通省発注の「霞ヶ浦導水石岡トンネル(第3工区)新設工事」において、自動運転ショベルによる有人ダンプへの掘削土砂積込み作業を継続的に実施しました。シールド掘削現場特有の土砂の排出量や土砂質の環境変化には、現場人員がタブレットによる調整機能を使って柔軟に対応しました。ダンプトラックの停車位置の変化には、新たに開発した物体検知機能で対応しました。さらに、国土交通省の「自動施工における安全ルールVer.1.0」に沿ってリスクアセスメントを実施し、無人エリアや中継エリア、立ち入り禁止エリアなどを設定しました。無人エリアでは、「K-DIVE®」による遠隔操作と自動運転を組み合わせて無人作業を実現しました。一方で、車両走行路や建屋が近く、自動施工エリアの確保が難しい課題に対しては、自動運転ショベルの動作経路逸脱検知機能やレーザーバリアセンサとの連携によるエリア監視機能を活用し、長期間の作業を無事故で安全に完了しました。これらの成果により、今後、自動運転ショベルの適用工種の拡大と現場展開に向けた取り組みをより一層加速させていきます。
加えて、環境省が公募した「令和7年度コスト競争力強化を図る再エネ等由来水素サプライチェーンモデル構築・実証事業」の一環として採択された、愛知県の「知多市における低炭素水素モデルタウン実証事業」に共同実施者として参画しました。本事業は、全国一の設置数を誇る水素ステーションを拠点に、地域資源を活用して製造・調達した低炭素水素を街利用分野の需要先へ効率的に供給することや、水素供給の低コスト化、水素ステーションの自立化への貢献などを目的に実施されます。コベルコ建機は、2021年から水素燃料電池ショベルの実用化に取り組み、2023年3月に試作機を完成させました。基礎評価を経て、現在は高砂製作所で連続掘削作業などの本格稼働評価を行っています。今回の参画を通じて、実際の工事現場での稼働評価を進め、本格展開を加速させていきます。
該当事項はありません。