当連結会計年度におけるわが国経済は、政府の経済政策により、緩やかな回復基調で推移しました。しかしながら、中国をはじめとするアジア新興国の景気減速や米国における大統領選挙後の政策動向など、わが国経済を取り巻く環境は、依然として先行き不透明な状況が続いております。
当社グループにおきましては、主力製品である鋼材・鍛造品の生産・販売数量は、堅調な需要に支えられ、平成28年1月8日に発生した当社知多工場爆発事故(以後、「1.8事故」)の影響を受けた前連結会計年度に比べ増加しました。
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度(214,120百万円)に比べ0.6%減の212,837百万円となりました。
利益につきましては、1.8事故に起因し取引先にて発生した物流費等の当社負担額4,808百万円の計上や、販売価格の値下がりがあったものの、販売数量の増加やエネルギー価格の下落、海外子会社の業績回復などもあり、1.8事故に対応した代替生産に伴うコストアップなどの影響を受けた前連結会計年度と比較して、営業利益は22.7%増の7,218百万円(前連結会計年度 5,883百万円)となりました。また、経常利益は前連結会計年度(5,835百万円)に比べ17.6%増の6,863百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は、特別損失として1.8事故で損壊した設備の復旧費用など4,426百万円を計上した前連結会計年度(20百万円)に比べ5,064百万円増の5,084百万円となりました。
なお、セグメントの売上高は、次のようになっております。
鋼 材
当社グループの主力製品であります。特殊鋼では自動車関連向けを中心に、またステンレス鋼では国内向けを中心に需要が堅調であったこともあり、当連結会計年度の販売数量は、1.8事故の影響で販売数量が減少した前連結会計年度と比較して増加しました。その結果、当連結会計年度の売上高は97,450百万円(前連結会計年度 94,321百万円)と前連結会計年度に比べ3.3%増加しました。
鍛造品
自動車用型打鍛造品が主力製品であります。販売価格の値下がりや海外子会社の売上高が為替換算の影響で減少したことなどにより、当連結会計年度の売上高は97,751百万円(前連結会計年度 102,248百万円)と前連結会計年度に比べ4.4%減少しました。
電磁品
センサ、磁石、電子部品、デンタルの4分野で展開しており、将来の中核事業化を目指しております。電子部品分野におけるHV(ハイブリッド)車に搭載されているインバータ用放熱部品の販売数量の増加などにより、当連結会計年度の売上高は13,673百万円(前連結会計年度 13,495百万円)と前連結会計年度に比べ1.3%増加しました。
その他
子会社によりサービス事業、コンピュータ・ソフト開発等を行なっております。当連結会計年度の売上高は3,962百万円(前連結会計年度 4,055百万円)と前連結会計年度に比べ2.3%減少しました。
当連結会計年度の現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末(35,628百万円)に比べ9,103百万円増加し、44,732百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の増加は13,350百万円と前連結会計年度(25,193百万円)に比べ11,843百万円減少しました。これは、税金等調整前当期純利益が8,045百万円と前連結会計年度に比べ6,636百万円増加(前連結会計年度は、1,409百万円)したこと、その他の流動負債の増加による資金の増加4,722百万円(前連結会計年度は、その他の流動負債の減少による資金の減少223百万円)、その他の流動資産の減少による資金の増加4,323百万円(前連結会計年度は、その他流動資産の増加による資金の減少4,658百万円)があったものの、売上債権の増加による資金の減少8,676百万円(前連結会計年度は、売上債権の減少による資金の増加10,868百万円)、仕入債務の減少による資金の減少3,819百万円(前連結会計年度は、仕入債務の増加による資金の増加4,814百万円)があったことなどによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は19,677百万円と前連結会計年度(12,122百万円)に比べ7,555百万円増加しました。これは、前連結会計年度に比べ有形固定資産の取得による支出が9,404百万円増加したことなどによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の増加は15,231百万円(前連結会計年度は、財務活動による資金の減少9,466百万円)となりました。これは、当連結会計年度において社債の発行による収入が20,000百万円あったことなどによるものであります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
生産高(百万円) |
前期比(%) |
|
鋼材事業 |
124,745 |
1.8 |
|
鍛造品事業 |
97,955 |
△4.0 |
|
電磁品事業 |
13,756 |
4.0 |
|
その他事業 |
14,917 |
3.1 |
|
合計 |
251,374 |
△0.4 |
(注) 1 セグメント間取引については、内部振替前の金額によっております。
2 金額は、販売価格によっております。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度における鋼材事業・鍛造品事業の受注状況を示すと、次のとおりであります。
なお、電磁品事業及びその他事業は見込生産を行っております。
|
セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前期比(%) |
受注残高(百万円) |
前期比(%) |
|
鋼材事業 |
93,400 |
△6.0 |
15,853 |
△20.3 |
|
鍛造品事業 |
100,944 |
△1.6 |
31,320 |
11.4 |
(注) 1 セグメント間の内部受注金額は、消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
販売高(百万円) |
前期比(%) |
|
鋼材事業 |
97,450 |
3.3 |
|
鍛造品事業 |
97,751 |
△4.4 |
|
電磁品事業 |
13,673 |
1.3 |
|
その他事業 |
3,962 |
△2.3 |
|
合計 |
212,837 |
△0.6 |
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) |
当連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
||
|
販売高(百万円) |
割合(%) |
販売高(百万円) |
割合(%) |
|
|
トヨタ自動車㈱ |
26,857 |
12.5 |
26,855 |
12.6 |
|
豊田通商㈱ |
39,825 |
18.6 |
38,603 |
18.1 |
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社は、国際的な視野にたち、企業集団の総合力を結集して、「研究と創造」の精神で高い技術による魅力ある
商品を提供することにより、株主、顧客、社会に貢献することを経営の基本方針としております。この経営の方針
は、「経営理念」として掲げており、その内容は次のとおりです。
-経営理念-
国際的な視野にたち、活力に溢れ、信頼される企業体質をもとに、
魅力ある商品を提供することによって社会に貢献する。
1.研究と創意につとめ、常に時流に先んずる。
1.相互の信頼と理解のもとに、一致協力する。
1.責任ある判断と行動のもとに、常に最善を尽くす。
この経営理念を実践するにあたり、大きな失敗や事故の未然防止となる「正直(Shojiki)」、品質・生産性向上
の基本となる「清掃(Seiso)」、リスクの顕在化やルール遵守の徹底による「安全(Safety)」のそれぞれを第一
とする「1S文化」を当社グループの企業文化としてその醸成に努めてまいります。
今後のわが国経済の見通しにつきましては、政府の産業構造改革や働き方・労働市場の改革など未来への投資の加速による経済対策効果が期待されるものの、米国・欧州など政治の不透明感が景気減速のリスクを高めており、国内景気への悪影響が懸念されます。
特殊鋼業界においては、今後も中長期に拡大が見込まれる自動車分野をはじめ、各分野の市場では、ますますグローバルでの最適生産体制を模索する動きが活発化しております。
こうしたなか、顧客のモノづくりに貢献していくため、国内外の顧客に、信頼性が高く高機能な素材を安定的に提供し続ける努力をしてまいります。
そして、「ステップアッププラン」の着実な実行でステークホルダーのみなさまの信頼回復に努め、2020年ビジョンを達成し、「世界中で選ばれる会社(Company of Choice Globally)」をめざしてまいります。
具体的には、以下の施策を中心に取り組んでまいります。
1)1.8を忘れず、安全第一・品質至上で、ステップアッププランを全社一丸で推進
①安全人間(危険を察知できる感性を持ち、危険を回避できる人間)づくりとともに、「人はまちがう」ことを前提とした設備づくりによる安心・安全な職場の実現
②受注から出荷までスルーでの在庫管理など、製品・製造管理のしくみの見直しによる真の鍛鋼一貫でのモノづくり
③BCP・BAP充実による「まさかの時」でも顧客への供給責任を果たせる体制づくり
④風土・意識改革で風通しのよい職場風土づくり・ブランド力強化
2)連結経営基盤改革及び事業企画力・モノづくり力強化
①タイムリーなリエンジで品質・生産性など業界No.1の素材づくり
②次世代の需要を先取りする新素材及び新工法の開発
3)カンパニー制の導入による年輪的成長に向けての燃える集団づくり
①「もっといい会社づくり」へ:カンパニープレジデントへの権限・責任集中による事業牽引力の強化
②「もっといい製品づくり」へ:スピード感あふれる後戻りのない事業推進
③「社員が幸せな会社づくり」へ:仕事を通じて成長・幸せを実感できる組織・人材づくり
4)全員参加でのCSR活動の取組みと企業価値向上
①ガバナンスの強化:コーポレートガバナンス・コード(企業統治強化のための規範原則)の有効活用(企業活動のチェックシートとして定期見直し)や会議体の刷新
②人材育成・企業風土改革:現地・現物での職場・仕事・働き方それぞれの改革推進によるプロ集団の育成
③ブランド力改革:タイムリーな情報開示や本館ビジターセンター新設などによる効果的なPR
なお、目標とする経営指標につきましては、当社創立80周年の節目の年となる2020年に連結売上高3,000億円以上、連結営業利益200億円以上達成をめざしてまいります。
当社グループの財政状態、経営成績及び株価等に影響を及ぼす可能性のあるリスクとしては、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 製品需要の変動
当社グループの主力製品である鋼材及び鍛造品の主要需要先は自動車業界であります。そのため、自動車業界の業況変化による製品需要の大幅な変動が、当社グループの財政状態と経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 製品価格の変動
当社グループの主要需要先である自動車業界をはじめとする各業界は、厳しいコスト競争の下にあります。激化する価格競争の環境下で、経済変動による需要の減少などに伴い価格が大幅に低下したり、市場シェアが低下する可能性があります。このような場合、当社グループの財政状態と経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 原材料及びエネルギー価格の変動
当社グループの主力製品は鋼材及び鍛造品であり、その主要原材料である鉄屑とニッケルなどの合金鉄の価格は、国際商品市況の影響を受けて大きく変動することがあります。また、生産活動において大量の電力やLNGなどのエネルギーを消費いたします。原材料及びエネルギー価格の動向は当社グループの財政状態と経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 為替相場の変動
当社グループは、製品の一部を輸出するとともに、原材料であるニッケルなどの合金鉄の大部分を輸入に依存しております。為替相場の変動は、当社グループにおける製品、原材料の輸出入価格及び電力やLNGなどのエネルギー価格に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの外貨建取引及び連結財務諸表作成のための海外子会社の財務諸表数値は、外貨から円貨への換算において、為替相場変動の影響を受け、当社グループの財政状態と経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 特定販売先への依存
当社グループの製品の売上高は、トヨタ自動車株式会社及びトヨタグループ企業集団に対する依存度が非常に高いため、同社の自動車販売台数の動向が、当社グループの財政状態と経営成績に影響を与える可能性があります。なお、同社は、平成29年3月31日現在、当社の議決権の24.5%(間接所有含む)を所有しております。
(6) 自然災害、事故、機械故障等による影響
当社グループは、鉄屑・合金鉄などの原材料を電気炉で溶解し、鋼材から自動車部品の鍛造品を一貫生産しております。しかも当社グループの国内工場の大半は、中部地区に存在しており、取引先の多くも中部地区に存在しております。そのため、南海トラフ巨大地震などの自然災害、事故、機械故障など操業に影響する事象が生じた場合、生産・納入活動が遅延・停止する可能性があります。遅延・停止が長期間にわたる場合、当社グループの財政状態と経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(7) 政治動乱、戦争、テロ又はストライキなどの発生
当社グループは、全世界で事業を展開することに関連して、海外特有のリスクにさらされております。そのリスクには、政治・経済の混乱、戦争、テロ、ストライキなどがあげられます。これらの事象が生じた場合、生産・納入活動が遅延・停止する可能性があります。遅延・停止が長期間にわたる場合、当社グループの財政状態と経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
該当事項はありません。
当社グループは、産業の発展と社会貢献を通じて収益に結びつくオンリーワン技術の開発をめざして、自動車向け特殊鋼の開発、ステンレス鋼の開発、特殊鋼を素材とする自動車部品用鍛造品の開発、さらには電磁品の開発等を中心に積極的な研究開発活動を行っております。
当連結会計年度の研究開発費は、3,304百万円、研究開発人員は約250名であります。
なお、セグメント別の研究の目的、研究成果及び研究開発費は、次のとおりであります。
(1) 鋼材事業
自動車部品用の新しい特殊鋼やステンレス鋼の研究及び製造方法の開発を行っております。当連結会計年度の主な成果は次のとおりであります。
特殊鋼における製造プロセスの革新として、
①新連続鋳造機を起点とした取組みを更に発展(前後工程スルーでの品質ロス低減、生産効率向上活動の実施)
②分塊大形圧延工程リエンジニアリングの効果最大発揮(物流整流化により生産能力向上、品質安定化を達成)
③精整検査工程の搬送設備を増強。建設中の最新精整ライン設置により、出荷リードタイム短縮と検査能力向上を図り高度化する顧客ニーズへの対応力を向上
自動車向け特殊鋼の開発として、
④燃費改善に貢献する「トラック用高強度板ばね用鋼」を実用化
⑤燃費向上に重要なエンジン部品(クランクシャフト、コンロッド)及び駆動伝達部品(ギヤ、シャフト)の軽量化に貢献する高強度な素材・プロセスの研究開発を強力に推進
⑥低コスト化に寄与するモリブデン含有量を低減した歯車用鋼のレパートリーを拡充。拡販に向けた取組みを加速
ステンレス鋼の開発及び市場創出として、
⑦将来の需要増が見込まれるエネルギー・インフラ分野を狙ったステンレス鉄筋バーや二相系ステンレス形鋼の商品レパートリーの拡充及びステンレス部材ビジネスの拡大
⑧水素社会に対応する高圧水素用ステンレス鋼“AUS316L-H2”の拡販と水素社会のさらなる拡大に向けた省合金化による低コスト化を実現する高圧水素用ステンレス鋼の実用化開発
当事業に係わる研究開発費は2,255百万円であります。
(2) 鍛造品事業
自動車部品用の鍛造品製造プロセス開発、製造方法の開発を行っております。当連結会計年度の主な成果は次のとおりであります。
“魅せる工場づくり”として、
①世界一“きれい”な鍛造工場を目指した工場美化活動を、モデル工場からスタート
鍛造プロセスの高効率製造・鍛造品の低コスト化として、
②CVT(※1)用熱間鍛造プレスラインを2ライン建設
(1)高速自動鍛造化により、CVT車に搭載されるシャフト部品の世界トップクラスの生産性を達成
(2)最新のFIA(※2)炉を採用することでエネルギー効率を高め、省エネルギー・CO2削減を図るともに物流改善により生産リードタイムを短縮
(3)従来より進めてきた材料切断から機械加工までの全製造工程スルーでの生産性向上・エネルギー削減・生産リードタイム短縮を完了
③誘導加熱用コイルの保温性能向上による省エネルギー・低CO2化
④鍛造金型の長寿命化を目的とした表面処理技術開発と適用部品拡大
当事業に係わる研究開発費は38百万円であります。
※1 CVT(Continuously Variable Transmission):無断階変速機。変速比を連続的に変化させるトランスミッション
※2 FIA(Forging Isothermal Annealing):熱間鍛造時の保有エネルギーを利用した熱処理
(3) 電磁品事業
MIセンサの開発、モータ用磁石の開発、歯科用磁性アタッチメントの開発、車載電子機器用放熱部品の開発等を行っております。当連結会計年度の主な成果は、平成28年8月に革新工法「一体射出成形技術」によるDyフリーボンド磁石マグファイン®で充電式チェンソー用モータに採用されました。また次世代自動車向け高効率モータ用磁性材料技術開発(NEDO委託業務研究組合)にも参画し、国家プロジェクトでの次世代磁石開発の第一フェーズを終了しました。本年度からは、実用化開発フェーズでNEDOの「戦略的省エネルギー技術革新プログラム」で推進して参ります。
一方、MIセンサの開発では、平成28~29年度の内閣府SIP(※3)の「自動運転」内のプロジェクトにおいて、磁気式レーンガイドシステムの開発を行っております。本システムでは、自動車に搭載されたMIセンサが道路上の磁気マーカの磁力を検知し、レーン内を自動で走行する支援を行います。当社は今後、自動運転バスに搭載する実証実験に参画し、高齢者が多く住む地域へ新たな交通手段を提供し、生活の足を守るとともに交通事故の未然防止につなげ、自動運転の安全性向上に貢献できるよう、鋭意開発に取り組んでおります。
当事業に係わる研究開発費は1,010百万円であります。
※3 SIP:戦略的イノベーション創造プログラム。科学技術イノベーション実現のために内閣府が創設した国家プロジェクト
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、第5「経理の状況」の連結財務諸表の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。
①退職給付に係る負債及び退職給付に係る資産
退職給付に係る負債、退職給付に係る資産及び退職給付費用は、数理計算上使用される前提条件に基づいております。これらの前提条件には、割引率や年金資産の長期期待運用収益率等の多くの見積りが存在します。実際の結果が前提条件と異なる場合又は前提条件が変更された場合、将来の退職給付に係る負債、退職給付に係る資産及び退職給付費用に大きな影響を与える可能性があります。
②繰延税金資産
当社グループは繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して将来の課税所得を合理的に見積っております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するので、その見積り額が減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が増額する可能性があります。
(2) 当連結会計年度の経営成績の分析
当社グループの当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ0.6%減少し、212,837百万円となりました。
セグメント別の売上高については、鋼材事業は特殊鋼では自動車関連向けを中心に、またステンレス鋼では国内向けを中心に需要が堅調であったこともあり、1.8事故の影響で販売数量が減少した前連結会計年度と比較して3.3%増加、鍛造品事業は販売価格の値下がりや海外子会社の売上高が為替換算の影響で減少したことなどにより4.4%減少しました。なお、当社単独での販売数量は、1,057千トンと前連結会計年度(970千トン)に比べ9.0%増加しました。また、電磁品事業の売上高は電子部品分野におけるHV(ハイブリッド)車に搭載されているインバータ用放熱部品の販売数量の増加などにより1.3%増加しました。
当連結会計年度の営業利益は7,218百万円となり、前連結会計年度(5,883百万円)に比べ1,335百万円増加しました。これは、前連結会計年度は1.8事故に対応した代替生産に伴うコストアップなどの影響を受けたこと、当連結会計年度は1.8事故に起因し取引先にて発生した物流費等の当社負担額4,808百万円の計上や、販売価格の値下がりがあったものの、販売数量の増加やエネルギー価格の下落、海外子会社の業績回復などがあったことによるものであります。経常利益は6,863百万円となり、前連結会計年度(5,835百万円)に比べ1,028百万円増加しました。親会社株主に帰属する当期純利益は5,084百万円となり、特別損失として1.8事故で損壊した設備の復旧費用など4,426百万円を計上した前連結会計年度(20百万円)に比べ5,064百万円増加しました。
(3) 資本の財源及び資金の流動性
当連結会計年度末の現金及び現金同等物期末残高は、前連結会計年度末(35,628百万円)に比べ9,103百万円増加し、44,732百万円となりました。
これは、営業活動によるキャッシュ・フローが13,350百万円の資金の増加、投資活動によるキャッシュ・フローが19,677百万円の資金の減少、財務活動によるキャッシュ・フローが15,231百万円の資金の増加であったことによるものであります。
当社グループは、中期的には鋼材・鍛造品の製造設備の合理化や鍛造品及び電磁品の生産能力増強に対応するための設備投資を計画的に行っていく予定でありますので、今後も、営業活動及び投資活動によるキャッシュ・フローの状況を睨みながら、必要に応じて外部資金の調達を行い資金の流動性を維持するとともに、営業活動によるキャッシュ・フローの増加に努め有利子負債の削減を図っていく所存であります。