第2 【事業の状況】

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 

当社は、国際的な視野にたち、企業集団の総合力を結集して、「研究と創造」の精神で高い技術による魅力ある商品を提供することにより、株主、顧客、社会に貢献することを経営の基本方針としております。この経営の方針は、「経営理念」として掲げており、その内容は次のとおりです。

 

-経営理念-

国際的な視野にたち、活力に溢れ、信頼される企業体質をもとに、

魅力ある商品を提供することによって社会に貢献する。

1.研究と創意につとめ、常に時流に先んずる。

2.相互の信頼と理解のもとに、一致協力する。

3.責任ある判断と行動のもとに、常に最善を尽くす。

 

この経営理念を実践することにより、年々変化する経営環境においても持続的な成長を続けると共に、広く社会から信頼され、必要とされるべく、「世界中で選ばれる会社」を目指しています。

そのうえで、コンプライアンスやガバナンスの徹底を進め、「より良き企業市民、より良き企業人」となることを心がけ、良識ある行動を取るための指針となる「企業行動指針」を定めております。

この企業行動指針に加え、当社の「経営理念」を企業活動の中でいかに実現していくかとの観点から、本年1月に当社グループの社員全員が持つべき普遍的な価値観・行動規範を「Aichi Way」として定め、「企業行動指針」とともに「経営理念」を支える体系を構築いたしました。

今後、電気自動車(EV)や燃料電池車(FCV)などの次世代車への加速度的な展開、自動運転の実用化、カーシェアリングなど自動車社会のパラダイムシフトが大きく進展していくとともに、いわゆるスマート社会の到来が確実視されています。そのような環境下、創立100周年を迎える2040年も当社グループが世界で「存在価値ある企業集団」であり続けるため、将来を見据えてめざす姿を描き、グループ全員がめざす姿の実現に向けベクトルを合わせ、揺るぎないグループ経営基盤を確立していくための道標としての「2020年度 中期経営計画」を策定、公表しております。

 

1.中期経営計画の基本方針とめざす姿

(1)基本方針

① 地域/地球環境保全、安心と安全で全てのステークホルダーに貢献

② 多様なニーズに応える技術開発・市場開拓とモノづくりの進化

③ 絶えず環境変化に打ち克つ・しなやかな連結収益/財務基盤

以上により、愛知製鋼グループの「よき社会は、よき素材から」の使命を果たしてまいります。

 

(2)めざす姿

「もっといい製品づくり」、「もっといい構えづくり」、「社員が幸せな会社づくり」を通じた更なるオールアイチ経営の強化

 

2.中期経営計画の重点施策(3本柱)

企業の基軸である“コンプライアンス/ガバナンス”をベースに、「収益力を磨く」「基盤強靭化」「スマートへの布石」を中期経営計画実現への3本柱として、2040年のパラダイムチェンジを見据えた「事業基盤の強化」及び「新規創生」に取り組んでまいります。

(1)収益力を磨く:

① カンパニー制導入による、スピーディな経営へのドライビングフォース加速

② 高水準の戦略投資の実行

③ 盤石なモノづくり基盤構築と安定した収益基盤の実現

④ 素材業のDNAを活かした既存ビジネスの新たな用途・商品開発と展開

 

(2)基盤強靭化:

① 2016年1月の爆発事故を教訓に、モノづくりを含めたあらゆる基盤のレベルアップを図るプロジェクト「ステップアッププラン」完遂(①安心・安全 ②製品・製造管理システム ③BCP/BAPしくみ構築 ④風土・意識・ブランド力改革)

② 「Aichi Way」の浸透とグローバル経営基盤強化

③ 「安全・環境」→「品質」→「生産」→「原価」の優先順位を明確にした経営の更なる深化

 

(3)スマートへの布石: 次世代事業の着実な育成と強化

(EV/FCV、自動運転、水素社会、環境/エネルギー/医療等)

 

3.経営指標

目標とする経営指標につきましては、現中期経営計画の最終年度にあたる2020年度に連結売上高2,500億円以上、連結営業利益200億円以上達成をめざしてまいります。

 

 

2 【事業等のリスク】

当社グループの財政状態、経営成績及び株価等に影響を及ぼす可能性のあるリスクとしては、以下のようなものがあります。 

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 

 

(1) 製品需要の変動

当社グループの主力製品である鋼材及び鍛造品の主要需要先は自動車業界であります。そのため、自動車業界の業況変化による製品需要の大幅な変動が、当社グループの財政状態と経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 製品価格の変動

当社グループの主要需要先である自動車業界をはじめとする各業界は、厳しいコスト競争の下にあります。激化する価格競争の環境下で、経済変動による需要の減少などに伴い価格が大幅に低下したり、市場シェアが低下する可能性があります。このような場合、当社グループの財政状態と経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 原材料、エネルギー及び副資材価格の変動 

当社グループの主力製品は鋼材及び鍛造品であり、その主要原材料である鉄屑とニッケルなどの合金鉄の価格は、国際商品市況の影響を受けて大きく変動することがあります。また、生産活動全般において大量の電力やLNGなどのエネルギー、製鋼工程等において電極・耐火物等の副資材を消費いたします。原材料、エネルギー及び副資材価格の動向は当社グループの財政状態と経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 為替相場の変動

当社グループは、製品の一部を輸出するとともに、原材料であるニッケルなどの合金鉄の大部分を輸入に依存しております。為替相場の変動は、当社グループにおける製品、原材料の輸出入価格及び電力やLNGなどのエネルギー価格に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの外貨建取引及び連結財務諸表作成のための海外子会社の財務諸表数値は、外貨から円貨への換算において、為替相場変動の影響を受け、当社グループの財政状態と経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 特定販売先への依存

当社グループの製品の売上高は、トヨタ自動車株式会社及びトヨタグループ企業集団に対する依存度が非常に高いため、同社の自動車販売台数の動向が、当社グループの財政状態と経営成績に影響を与える可能性があります。なお、同社は、平成30年3月31日現在、当社の議決権の24.5%(間接所有含む)を所有しております。

 

(6) 自然災害、事故、機械故障等による影響

当社グループは、鉄屑・合金鉄などの原材料を電気炉で溶解し、鋼材から自動車部品の鍛造品を一貫生産しております。しかも当社グループの国内工場の大半は、中部地区に存在しており、取引先の多くも中部地区に存在しております。そのため、南海トラフ巨大地震などの自然災害、事故、機械故障など操業に影響する事象が生じた場合、生産・納入活動が遅延・停止する可能性があります。遅延・停止が長期間にわたる場合、当社グループの財政状態と経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 政治動乱、戦争、テロ又はストライキなどの発生

当社グループは、全世界で事業を展開することに関連して、海外特有のリスクにさらされております。そのリスクには、政治・経済の混乱、戦争、テロ、ストライキなどがあげられます。これらの事象が生じた場合、生産・納入活動が遅延・停止する可能性があります。遅延・停止が長期間にわたる場合、当社グループの財政状態と経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当社グループが平成29年4月からカンパニー制を導入し、組織体制を変更したことに伴い、当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。

なお、セグメントに関する前連結会計年度との比較については、前連結会計年度の数値を変更後の区分方法により組み替えを行ったうえで比較しております。

 

(経営成績等の状況の概要)

(1) 経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、中国をはじめアジア新興国等の経済の先行きが懸念されたものの、世界経済の景気が回復するなかで、日本政府や日銀の各種政策により、緩やかな回復基調で推移しました。

当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度(212,837百万円)に比べ11.0%増236,237百万円となりました。 

利益につきましては、前連結会計年度比増益となりました。主な要因としましては、販売数量の増加、販売価格の値上がり及び前連結会計年度における、平成28年1月の爆発事故に起因する原価悪化要因や取引先で発生した物流費等の当社負担がなくなったことなどによるものです。これらにより、減益要因として、原材料・エネルギーなどの購入品価格の値上がりや経費の増加などがあったものの、営業利益は63.7%増11,813百万円(前連結会計年度 7,218百万円)となりました。また、経常利益は前連結会計年度(6,863百万円)に比べ71.6%増11,774百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度(5,084百万円)に比べ60.9%増8,182百万円となりました。 

 

なお、セグメント区分ごとの売上高は、次のようになっております。 

鋼(ハガネ)カンパニー

主力製品である特殊鋼及びステンレス鋼の販売数量の増加と販売価格の値上がりにより、当連結会計年度の売上高は110,974百万円(前連結会計年度 96,225百万円)と前連結会計年度に比べ15.3%増加しました。 

 

鍛(キタエル)カンパニー

主力製品である自動車用型打鍛造品の販売数量の増加や販売価格の値上がりにより、当連結会計年度の売上高は107,352百万円(前連結会計年度 99,599百万円)と前連結会計年度に比べ7.8%増加しました。 

 

スマートカンパニー

電子部品の売上数量の増加により、当連結会計年度の売上高は14,786百万円(前連結会計年度 13,820百万円)と前連結会計年度に比べ7.0%増加しました。 

 

その他事業

当連結会計年度の売上高は3,123百万円(前連結会計年度 3,191百万円)と前連結会計年度に比べ2.1%減少しました。 

 

(2) 財政状態の状況

当連結会計年度末の総資産は、借入金の返済により、現金及び預金が減少したものの、受取手形及び売掛金の増
加などにより、前連結会計年度末(273,107百万円)に比べ4,740百万円増277,847百万円となりました。

負債は、借入金の返済などにより、4,793百万円減117,041百万円となりました。

純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上などにより、9,533百万円増160,806百万円となりました。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度の現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末(44,732百万円)に比べ17,292百万円減少し、27,439百万円となりました。 

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー) 

当連結会計年度における営業活動による資金の増加は13,164百万円と前連結会計年度(13,350百万円)に比べ186百万円減少しました。これは、税金等調整前当期純利益が12,371百万円と前連結会計年度に比べ4,326百万円増加(前連結会計年度は、8,045百万円)したこと、仕入債務の増加による資金の増加2,699百万円(前連結会計年度は、仕入債務の減少による資金の減少3,819百万円)があったものの、たな卸資産の増加による資金の減少3,600百万円(前連結会計年度は、159百万円)、その他流動負債の減少による資金の減少2,316百万円(前連結会計年度は、その他流動負債の増加による資金の増加4,722百万円)があったことなどによるものであります。 

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動による資金の減少は20,954百万円と前連結会計年度(19,677百万円)に比べ1,277百万円増加しました。これは、前連結会計年度に比べ投資有価証券の売却による収入が1,604百万円減少したことなどによるものであります。 

 

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動による資金の減少は9,509百万円(前連結会計年度は、財務活動による資金の増加15,231百万円)となりました。これは、前連結会計年度において社債の発行による収入が20,000百万円あったことなどによるものであります。

 

(生産、受注及び販売の実績)

(1) 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前期比(%)

鋼(ハガネ)カンパニー

148,170

20.0

鍛(キタエル)カンパニー

107,486

7.7

スマートカンパニー

14,734

6.1

その他事業

15,187

7.3

合計

285,579

13.6

 

(注) 1 セグメント間取引については、内部振替前の金額によっております。

2 金額は、販売価格によっております。

3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 受注実績

当連結会計年度における鋼(ハガネ)カンパニー・鍛(キタエル)カンパニーの受注実績を示すと、次のとおりであります。

なお、スマートカンパニー及びその他事業は見込生産を行っております。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残高(百万円)

前期比(%)

鋼(ハガネ)カンパニー

114,023

24.0

18,885

19.3

鍛(キタエル)カンパニー

108,852

5.9

33,073

4.7

 

(注) 1 セグメント間の内部受注金額は、消去しております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前期比(%)

鋼(ハガネ)カンパニー

110,974

15.3

鍛(キタエル)カンパニー

107,352

7.8

スマートカンパニー

14,786

7.0

その他事業

3,123

△2.1

合計

236,237

11.0

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 平成28年4月1日

至 平成29年3月31日)

当連結会計年度

(自 平成29年4月1日

至 平成30年3月31日)

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

トヨタ自動車㈱

26,855

12.6

27,445

11.6

豊田通商㈱

38,603

18.1

46,496

19.7

 

3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 

 

(1) 重要な会計方針及び見積り 

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。 

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。 

①退職給付に係る負債及び退職給付に係る資産

退職給付に係る負債、退職給付に係る資産及び退職給付費用は、数理計算上使用される前提条件に基づいております。これらの前提条件には、割引率や年金資産の長期期待運用収益率等の多くの見積りが存在します。実際の結果が前提条件と異なる場合又は前提条件が変更された場合、将来の退職給付に係る負債、退職給付に係る資産及び退職給付費用に大きな影響を与える可能性があります。

②繰延税金資産

当社グループは繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して将来の課税所得を合理的に見積っております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するので、その見積り額が減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が増額する可能性があります。

 

(2) 当連結会計年度の経営成績

当社グループの当連結会計年度の売上高は、主力製品である鋼材・鍛造品の堅調な需要に支えられ、前連結会計年度に比べ11.0%増加し、236,237百万円となりました。

セグメント別の売上高については、鋼(ハガネ)カンパニーは主力の特殊鋼及びステンレス鋼の販売数量の増加と販売価格の値上がりにより、前連結会計年度と比較して15.3%増加、鍛(キタエル)カンパニーは販売数量の増加と販売価格の値上がりにより、前連結会計年度と比較して7.8%増加、スマートカンパニーは電子部品の売上数量の増加により、前連結会計年度と比較して7.0%増加しました。

利益につきましては、前連結会計年度比増益となりました。主な要因としましては、販売数量の増加、販売価格の値上がり及び前連結会計年度における、平成28年1月の爆発事故に起因する原価悪化要因や取引先で発生した物流費等の当社負担がなくなったことなどがありました。これらにより、減益要因として、原材料・エネルギーなどの購入品価格の値上がりや経費の増加などがあったものの、当連結会計年度の営業利益は11,813百万円となり、前連結会計年度(7,218百万円)に比べ4,595百万円増加しました。経常利益は11,774百万円となり、前連結会計年度(6,863百万円)に比べ4,911百万円増加しました。親会社株主に帰属する当期純利益は8,182百万円となり、前連結会計年度(5,084百万円)に比べ3,098百万円増加しました。

当社グループが目標とする経営指標につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。当該指標の達成を目指して、引き続き、中期取組の確実な実行とグローバル経営基盤強化に努めてまいります。

 

(3) 資本の財源及び資金の流動性

当連結会計年度末の現金及び現金同等物期末残高は、前連結会計年度末(44,732百万円)に比べ17,292百万円減少し、27,439百万円となりました。

これは、営業活動によるキャッシュ・フローが13,164百万円の資金の増加、投資活動によるキャッシュ・フローが20,954百万円の資金の減少、財務活動によるキャッシュ・フローが9,509百万円の資金の減少であったことによるものであります。

当社グループは、中期的には製造設備の合理化や生産能力増強に対応するための設備投資を計画的に行っていく予定でありますので、今後も、営業活動及び投資活動によるキャッシュ・フローの状況を睨みながら、必要に応じて外部資金の調達を行い資金の流動性を維持するとともに、営業活動によるキャッシュ・フローの増加に努め有利子負債の削減を図っていく所存であります。

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

 

5 【研究開発活動】

当社グループは、「素材業のDNA」を活かした用途・商品開発と展開、来るべきスマート社会を見据えた次世代事業の着実な育成と強化をめざして、自動車向け特殊鋼及びステンレス鋼の開発、特殊鋼を素材とする自動車部品用鍛造品の開発、さらには電子機能材料・部品及び磁石応用製品の開発等を中心に積極的な研究開発活動を行っております。

当連結会計年度の研究開発費は、3,777百万円、研究開発人員は約250名であります。

なお、セグメント別の研究の目的、研究成果及び研究開発費は、次のとおりであります。

 

(1) 鋼(ハガネ)カンパニー

自動車部品用の新しい特殊鋼やステンレス鋼の研究及び製造方法の開発を行っております。当連結会計年度の主な成果は次のとおりであります。

特殊鋼における製造プロセスの革新として、

①新連続鋳造機を起点とした取組みをさらに発展(前後工程スルーでの品質ロス低減、生産効率向上活動の実施)

②最新精整ライン設置、稼動開始により、出荷リードタイム短縮と検査能力向上を図り高度化する顧客ニーズへの対応力を向上

自動車向けの燃費向上に重要なエンジン部品(クランクシャフト、コンロッド)及び駆動伝達部品(ギヤ、シャフト)の軽量化に貢献する高強度な素材・プロセスの研究開発として、

③エンジン部品(クランクシャフト、コンロッド)開発において、従来に比較して疲労強度を20%向上した高強度クランク用鋼及び平成25年に開発した世界最高強度を有する高強度コンロッド用鋼のクラッキング性を向上することでコンロッドの製造工程省略につながる高強度クラッキングコンロッド用鋼を開発し、さらに実用化に向けた開発を加速

④HV、EV用を視野に入れた駆動伝達部品(ギヤ、シャフト)開発において、JIS鋼に比較して30%の面圧強度を向上した高強度歯車用鋼のMo含有量を低減した省Mo型高強度ギヤ用鋼を開発し、さらに実用化に向けた開発を加速。低コスト化に寄与するMo含有量を低減した歯車用鋼のレパ-トリを拡充

冷間工具鋼開発として、

⑤従来のSX105Vより強度アップした材料で、SX105Vよりも高いハイテン用金型用として板金プレス金型用フレームハード鋼(冷間工具鋼)SX105スーパーを開発。平成30年夏の販売に向け、生産準備中。

サステイナブル社会に貢献するステンレス鋼の開発及び市場創出として、

⑥将来の需要増が見込まれるエネルギー・インフラ分野を狙ったステンレス鉄筋バーや二相系ステンレス形鋼の商品レパートリーの拡充及びステンレス部材ビジネスの拡大

⑦水素社会に対応する高圧水素用ステンレス鋼AUS316L-H2の拡販と水素社会のさらなる拡大に向けた省合金化による低コスト化を実現する高圧水素用ステンレス鋼AUS305-H2の実用化開発

鋼(ハガネ)カンパニーに係る研究開発費は2,560百万円であります。

 

(2) 鍛(キタエル)カンパニー

自動車部品用の鍛造品製造プロセス開発、製造方法の開発を行っております。当連結会計年度の主な成果は次のとおりであります。

”魅せる工場づくり”として

①世界一”きれい”な鍛造工場を目指した工場美化活動を、モデル工場から他工場へヨコテン

将来のグローバル展開及び次世代車の需要拡大を見据えて

②ディファレンシャルリングギヤ(※1)用熱間ローリングミル(※2)ラインを1ライン建設着工(稼動時期:平成31年3月予定)

(1)新開発の縦型ローリングミル採用による品質向上、保全性向上

(2)国内トップレベルの高歩留り(※3)・高速生産ライン

(3)電動サーボによる数値制御で作業者のスキルに依存しない製造

(4)FIA(※4)炉を採用することでエネルギー効率を高め、省エネルギー・CO2削減を図るとともに物流改善により生産リードタイムを短縮

③誘導加熱用コイルの保温性能向上による省エネルギー・低CO2化

④金型用熱風ヒーター開発による鍛造条件安定化(量産化完了)

⑤成形時に発生するスケール回収技術開発による環境改善(量産化完了)

 鍛(キタエル)カンパニー に係る研究開発費は36百万円であります。

 

※1 ディファレンシャルリングギヤ:車が曲がるときの内側と外側の車輪の速度差を吸収する差動機構に使用されるリング状のギヤ

※2 ローリングミル :ドーナツ状に成形した製品を圧延し外径を広げる工法で、当社が得意とする工法の1つ

※3 歩留り :製品をつくるために必要な材料の重量と製品の重量の比

※4 FIA(Forging Isothermal Annealing):熱間鍛造時の保有エネルギーを利用した熱処理

 

 

(3) スマートカンパニー

車載電子機器用放熱部品の開発、MIセンサの開発、モータ用磁石の開発、歯科用磁性アタッチメントの開発等を行っております。さらに当連結会計年度は、次世代への開発姿勢を明確に打ち出し、その取組みを加速するため、平成30年1月に組織改変を実施、来るべきスマート社会に対する布石として開発リソーセスの集中をいたしました。具体的には、旧組織の先端・機能商品開発部を、モノづくり・未来創生本部に移設、再編、強化し、未来創生開発部を発足。電池材料、自動運転システム、医療センシング、地球環境・バイオなどの研究、開発にも注力しております。当連結会計年度の主な成果は次のとおりであります。

モータ用磁石開発では、次世代自動車向け高効率モータ用磁性材料技術開発(NEDO委託業務研究組合)に引き続き参画し、当連結会計年度から2年契約にて、NEDOから委託を受けた開発業務の「モータ実装環境下の磁性材料評価・解析技術の開発」に取り組んでおります。

MIセンサの開発では、平成29年9月に総合スポーツ用品メーカと共同で、野球ボール回転解析システムのボール内蔵センサモジュール開発に成功しました。また、自動車関係では、車両底部に取り付けたMIセンサモジュールにより、走路に沿って敷設された磁気マーカの微弱な磁力から自車位置を高精度に計測する自動運転支援システムを開発し、同年11月の滋賀県東近江市の道の駅「奥永源寺渓流の里」で国土交通省が実施した自動運転サービス実証実験への参画を皮切りに、数々の公道実証実験に参画し、良好な結果を収めています。当社は今後も、平成30年2月に出資した先進モビリティ株式会社と共に自動運転バスの実証実験などに数多く参画し、高齢者が多く住む地域へ新たな交通手段を提供し、生活の足を守るとともに交通事故の未然防止につなげ、自動運転の安全性向上に貢献できるよう、鋭意開発に取り組んでまいります。

スマートカンパニーに係る研究開発費は1,179百万円であります。