第2 【事業の状況】

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。

 

当社は、国際的な視野にたち、企業集団の総合力を結集して、「研究と創造」の精神で高い技術による魅力ある商品を提供することにより、株主、顧客、社会に貢献することを経営の基本方針としております。この経営の方針は、「経営理念」として掲げており、その内容は次のとおりです。

 

-経営理念-

国際的な視野にたち、活力に溢れ、信頼される企業体質をもとに、

魅力ある商品を提供することによって社会に貢献する。

1.研究と創意につとめ、常に時流に先んずる。

2.相互の信頼と理解のもとに、一致協力する。

3.責任ある判断と行動のもとに、常に最善を尽くす。

 

この経営理念を実践することにより、年々変化する経営環境においても持続的な成長を続けると共に、広く社会から信頼され、必要とされるべく、「世界中で選ばれる会社」を目指しています。

その実現に向け、揺るぎないグループ経営基盤を確立していくための道標としての「2020年度 中期経営計画」を策定、公表しております。

 

1.中期経営計画の基本方針とめざす姿

(1)基本方針

① 地域/地球環境保全、安心と安全で全てのステークホルダーに貢献

② 多様なニーズに応える技術開発・市場開拓とモノづくりの進化

③ 絶えず環境変化に打ち克つ・しなやかな連結収益/財務基盤

以上により、愛知製鋼グループの「よき社会は、よき素材から」の使命を果たしてまいります。

(2)めざす姿

「もっといい製品づくり」、「もっといい構えづくり」、「社員が幸せな会社づくり」を通じた更なるオールアイチ経営の強化

 

2.中期経営計画の重点施策(3本柱)

企業の基軸である“コンプライアンス/ガバナンス”をベースに、「収益力を磨く」「基盤強靭化」「スマート社会への布石」を中期経営計画実現への3本柱として、2040年のパラダイムチェンジを見据えた「事業基盤の強化」及び「新規創生」に取り組んでまいります。

(1)収益力を磨く:

① カンパニー制導入による、スピーディな経営へのドライビングフォース加速

② 高水準の戦略投資の実行

③ 盤石なモノづくり基盤構築と安定した収益基盤の実現

④ 素材業のDNAを活かした既存ビジネスの新たな用途・商品開発と展開

(2)基盤強靭化:

① 2016年1月の爆発事故を教訓に、モノづくりを含めたあらゆる基盤のレベルアップを図るプロジェクト「ステップアッププラン」完遂(①安心・安全 ②製品・製造管理システム ③BCP/BAPしくみ構築 ④風土・意識・ブランド力改革)

② 「Aichi Way」の浸透とグローバル経営基盤強化

③ 「安全・環境」→「品質」→「生産」→「原価」の優先順位を明確にした経営の更なる深化

(3)スマート社会への布石: 次世代事業の着実な育成と強化

(EV/FCV、自動運転、水素社会、環境/エネルギー/医療等)

 

3.経営指標

目標とする経営指標につきましては、現中期経営計画の最終年度にあたる2020年度に連結売上高2,500億円以上、連結営業利益200億円以上達成を目指してまいります。

 

4.対処すべき課題

当社グループを取り巻く環境は、中長期的にはCASE(未来の車の特性をConnected・Autonomous・Shared・Electricの頭文字で表したもの)に代表される自動車業界の大変革が当社グループの事業に大きな影響・変化をもたらすことが確実視される一方で、足元においては、新型コロナウイルスの感染拡大による世界経済の悪化が深刻化しており、主要顧客である自動車業界においても需要が減少しております。感染の収束とともに徐々に回復が見込まれるものの、回復の遅れや感染の第2波到来など、事態が長期化する懸念もあり、経営環境は先行き不透明な状況が続いております。

 

そのようななか、当社グループは創立80周年という節目の年を迎えるにあたって、10年後を見据えた「2030年ビジョン」を策定いたしました。「事業とモノづくり力の変革で収益力を向上させ、ESG経営を実践」を基本方針に掲げ、「①持続可能な地球環境への貢献」「②事業の変革で豊かな社会を創造」「③従業員の幸せと会社の発展」という3つの経営指針を柱に、「“Company of Choice Globally”(世界中で選ばれる会社)」の実現を目指し、全社員で共有できるものとしてまいります。

2020年度は、足元の先行き不透明さに対処しながら、2030年ビジョン達成に向けての第一歩として、「強靭な筋肉体質へ、Aichi Wayでの“大変革”!」をスローガンとして、以下の施策を中心に取り組んでまいります。

(1)新型コロナウイルスの感染拡大による不透明感のなかで、「連結」での限量経営により基盤強靭化

① 安全・品質レベルの向上に向けた、本質的対策の実施・浸透

② 経営リスク・環境変化に対する販売・生産・要員面での迅速・的確な対応と供給責任の完遂

③ TPS(トヨタ生産方式)をベースとした、工程整流化と現場・スタッフの自工程完結(*)推進

   * 「品質は工程で造りこむ」との考え方に基づく、トヨタ式の仕事の進め方

④ 販売価格に見合う、企画段階からの固定費マネジメント改革

⑤ 原単価の改善と損益分岐点マネジメントの推進

(2)グローバルでの連結収益力を磨く

① Home&Awayで当社グループ内の事業体制見直し(統合と移管)

② 売り方・買い方改革とモノづくり力の向上による「稼ぐ力」の引き上げ

③ バルドマン スペシャル スチール社の育成による、アセアン地域への鋼材供給とインド国内ビジネスへの目処付け

(3)明るく、風通しの良い職場に向けて

① メンバー一人一人に焦点を当てた人財育成と全ての社員が達成感を感じられる真の働き方改革

② 社員全員のコンプライアンス徹底と「社員の健康」を大切にした健やかで明るい会社づくり

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 

 

(1) 製品需要の変動

当社グループの主力製品である鋼材及び鍛造品の主要需要先は自動車業界であります。そのため、自動車業界の業況変化による製品需要の大幅な変動が、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 製品価格の変動

当社グループの主要需要先である自動車業界をはじめとする各業界は、厳しいコスト競争の下にあります。激化する価格競争の環境下で、経済変動による需要の減少などに伴い価格が大幅に低下したり、市場シェアが低下する可能性があります。このような場合、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 原材料、エネルギー及び副資材価格の変動 

当社グループの主力製品は鋼材及び鍛造品であり、その主要原材料である鉄スクラップとニッケルなどの合金鉄の価格は、国際商品市況の影響を受けて大きく変動することがあります。また、生産活動全般において大量の電力やLNGなどのエネルギー、製鋼工程等において電極・耐火物等の副資材を消費いたします。原材料、エネルギー及び副資材価格の動向は当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 為替相場の変動

当社グループは、製品の一部を輸出するとともに、原材料であるニッケルなどの合金鉄の大部分を輸入に依存しております。為替相場の変動は、当社グループにおける製品、原材料の輸出入価格及び電力やLNGなどのエネルギー価格に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの外貨建取引及び連結財務諸表作成のための海外子会社の財務諸表数値は、外貨から円貨への換算において、為替相場変動の影響を受け、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(5) 株価の変動

当社グループが保有する投資有価証券の価値が、投資先の業績不振、証券市場における市況の悪化等で大幅に変動した場合、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 特定販売先への依存

当社グループの製品の売上高は、トヨタ自動車株式会社及びトヨタグループ企業集団に対する依存度が非常に高いため、同社の自動車販売台数の動向が、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があります。なお、同社は、2020年3月31日現在、当社の議決権の24.5%(間接所有含む)を所有しております。

 

(7) 自然災害、事故、機械故障等による影響

当社グループは、鉄屑・合金鉄などの原材料を電気炉で溶解し、鋼材から自動車部品の鍛造品を一貫生産しております。しかも当社グループの国内工場の大半は、中部地区に存在しており、取引先の多くも中部地区に存在しております。そのため、南海トラフ巨大地震などの自然災害、事故、機械故障など操業に影響する事象が生じた場合、生産・納入活動が遅延・停止する可能性があります。遅延・停止が長期間にわたる場合、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 法令・公的規制の変更

当社グループは、事業を展開する日本及び各国において、環境、労働・安全衛生、通商・貿易・為替、知的財産、租税等の様々な法令・公的規制の適用を受け、遵守に努めております。今後、これらの法令又は公的規制が改正もしくは変更される場合、対応費用の増加等により、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 政治動乱、戦争、テロ、疫病又はストライキ等の発生

当社グループは、全世界で事業を展開することに関連して、各々の地域におけるリスクにさらされております。そのリスクには、政治・経済の混乱、戦争、テロ、疫病、ストライキ等があげられます。これらの事象が生じた場合、生産・納入活動が遅延・停止する可能性があります。遅延・停止が長期間にわたる場合、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(新型コロナウイルスの感染拡大による影響)

新型コロナウイルスの感染拡大による世界経済の悪化が深刻化しており、経営環境は先行き不透明な状況が続いております。事態が長期化した場合、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。

 

(経営成績等の状況の概要)

(1) 経営成績の状況

当連結会計年度における世界経済は、米中の貿易摩擦を起因とした中国の景気減速や英国のEU離脱問題などにより不安定な状況が続いたことに加え、第4四半期に新型コロナウイルスの世界的感染拡大が深刻化し、世界及び日本経済は先の見えない状況となりました。

このような環境のもと、当連結会計年度の売上高は、主力製品である鋼材・鍛造品の需要が減少し、前連結会計年度(257,315百万円)に比べ5.9%減242,262百万円となりました。 

利益につきましては、販売数量の減少や減価償却費の増加などの減益要因があったものの、鉄スクラップ価格の下落や全社を挙げた収益改善活動の効果などにより、営業利益は25.0%増13,901百万円(前連結会計年度 11,119百万円)となりました。また、経常利益は前連結会計年度(11,324百万円)に比べ21.7%増13,776百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度(6,503百万円)に比べ31.4%増8,543百万円となりました。 

 

なお、セグメント区分ごとの売上高は、次のようになっております。 

 

鋼(ハガネ)カンパニー

主力製品である特殊鋼の販売数量の減少により、当連結会計年度の売上高は121,899百万円と、前連結会計年度(130,180百万円)に比べ6.4%減少しました。 

 

 

鍛(キタエル)カンパニー

主力製品である自動車用型打鍛造品の販売数量の減少により、当連結会計年度の売上高は102,018百万円と、前連結会計年度(109,217百万円)に比べ6.6%減少しました。 

 

スマートカンパニー

電子部品の売上の増加により、当連結会計年度の売上高は14,865百万円と、前連結会計年度(14,627百万円)に比べ1.6%増加しました。 

 

その他事業

当連結会計年度の売上高は3,477百万円と、前連結会計年度(3,290百万円)に比べ5.7%増加しました。 

 

(2) 財政状態の状況

当連結会計年度末の総資産は、受取手形及び売掛金の減少などにより、前連結会計年度末に比べ9,914百万円減280,380百万円となりました。

負債は、支払手形及び買掛金の減少などにより、11,716百万円減116,688百万円となりました。

純資産は、配当金の支払いなどの減少があったものの、親会社株主に帰属する当期純利益の計上などにより、1,802百万円増163,691百万円となりました。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度の現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末(30,312百万円)に比べ7,964百万円増加し、38,276百万円となりました。 

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー) 

当連結会計年度における営業活動による資金の増加は36,308百万円と前連結会計年度(13,580百万円)に比べ22,728百万円増加しました。これは、仕入債務の減少による資金の減少8,732百万円(前連結会計年度は、仕入債務の増加による資金の増加1,960百万円)、その他流動負債の減少による資金の減少1,690百万円(前連結会計年度は、その他流動負債の増加による資金の増加596百万円)があったものの、税金等調整前当期純利益が13,158百万円と前連結会計年度(10,455百万円)に比べ2,703百万円増加、売上債権の減少による資金の増加14,637百万円(前連結会計年度は、売上債権の増加による資金の減少6,043百万円)、たな卸資産の減少による資金の増加2,645百万円(前連結会計年度は、たな卸資産の増加による資金の減少2,805百万円)、法人税等の支払額が2,114百万円と前連結会計年度(4,593百万円)に比べ2,479百万円減少したことなどによるものであります。 

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動による資金の減少は24,517百万円と前連結会計年度(19,765百万円)に比べ4,752百万円増加しました。これは、前連結会計年度に比べ有形固定資産の取得による支出が3,820百万円増加したことなどによるものであります。 

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動による資金の減少は3,290百万円(前連結会計年度は、財務活動による資金の増加9,035百万円)となりました。これは、前連結会計年度において長期借入れによる収入が13,000百万円あったことなどによるものであります。

 

(生産、受注及び販売の実績)

(1) 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前期比(%)

鋼(ハガネ)カンパニー

156,291

△8.7

鍛(キタエル)カンパニー

102,185

△6.3

スマートカンパニー

14,681

3.0

その他事業

17,853

2.7

合計

291,010

△6.7

 

(注) 1 セグメント間取引については、内部振替前の金額によっております。

2 金額は、販売価格によっております。

3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

(2) 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

なお、スマートカンパニー及びその他事業は見込生産を行っているため、記載しておりません。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残高(百万円)

前期比(%)

鋼(ハガネ)カンパニー

115,648

△11.7

13,477

△31.7

鍛(キタエル)カンパニー

89,544

△18.8

21,626

△36.6

 

(注) 1 セグメント間の内部受注金額は、消去しております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前期比(%)

鋼(ハガネ)カンパニー

121,899

△6.4

鍛(キタエル)カンパニー

102,018

△6.6

スマートカンパニー

14,865

1.6

その他事業

3,477

5.7

合計

242,262

△5.9

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2018年4月1日

至 2019年3月31日)

当連結会計年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

トヨタ自動車㈱

29,245

11.4

26,468

10.9

豊田通商㈱

54,366

21.1

52,834

21.8

 

3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 

 

(1) 重要な会計方針及び見積り 

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。 

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。 

①退職給付に係る負債及び退職給付に係る資産

退職給付に係る負債、退職給付に係る資産及び退職給付費用は、数理計算上使用される前提条件に基づいております。これらの前提条件には、割引率や年金資産の長期期待運用収益率等の多くの見積りが存在します。実際の結果が前提条件と異なる場合又は前提条件が変更された場合、将来の退職給付に係る負債、退職給付に係る資産及び退職給付費用に大きな影響を与える可能性があります。

②繰延税金資産

当社グループは繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して将来の課税所得を合理的に見積っております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するので、その見積り額が減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が増額する可能性があります。

 

 

(新型コロナウイルスの感染拡大の影響による会計上の見積り)

当社グループは、新型コロナウイルスの感染拡大による経営成績等への影響が翌連結会計年度において徐々に回復していくものと仮定し、固定資産の減損及び繰延税金資産の回収可能性等の会計上の見積りを行っております。

 

(2) 当連結会計年度の経営成績

当社グループの当連結会計年度の売上高は、主力製品である鋼材・鍛造品の需要が減少し、前連結会計年度と比較して5.9%減少し、242,262百万円となりました。

セグメント別の売上高については、鋼(ハガネ)カンパニーは特殊鋼の販売数量の減少により、前連結会計年度と比較して6.4%減少、鍛(キタエル)カンパニーは鍛造品の販売数量の減少により、前連結会計年度と比較して6.6%減少、スマートカンパニーは電子部品の売上の増加により、前連結会計年度と比較して1.6%増加しました。

利益につきましては、販売数量の減少や減価償却費の増加などの減益要因があったものの、鉄スクラップ価格の下落や全社を挙げた収益改善活動の効果などにより、当連結会計年度の営業利益は13,901百万円となり、前連結会計年度(11,119百万円)に比べ2,782百万円増加しました。経常利益は13,776百万円となり、前連結会計年度(11,324百万円)に比べ2,452百万円増加しました。親会社株主に帰属する当期純利益は8,543百万円となり、前連結会計年度(6,503百万円)に比べ2,040百万円増加しました。

 

(3) 資本の財源及び資金の流動性

当連結会計年度末の現金及び現金同等物期末残高は、前連結会計年度末(30,312百万円)に比べ7,964百万円増加し、38,276百万円となりました。

これは、営業活動によるキャッシュ・フローが36,308百万円の資金の増加、投資活動によるキャッシュ・フローが24,517百万円の資金の減少、財務活動によるキャッシュ・フローが3,290百万円の資金の減少であったことによるものであります。

当社グループは、中期的には製造設備の合理化や生産能力増強に対応するための設備投資を計画的に行っていく予定でありますので、今後も、営業活動及び投資活動によるキャッシュ・フローの状況を睨みながら、必要に応じて外部資金の調達を行い資金の流動性を維持するとともに、営業活動によるキャッシュ・フローの増加に努め有利子負債の削減を図っていく所存であります。

なお、当連結会計年度末の自己資本比率は55.2%(前連結会計年度末は52.6%)となっており、安定した財務基盤を維持しております。新型コロナウイルス感染拡大による厳しい環境下においても、グローバルで金融機関との良好な関係を維持し、資金流動性と調達力を確保してまいります。

 

(4) 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループが目標とする経営指標につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。2020年度目標(連結売上高2,500億円以上、連結営業利益200億円以上)に対して、当連結会計年度の売上高は242,262百万円、営業利益は13,901百万円となっておりますが、新型コロナウイルスの感染拡大による世界経済の悪化が深刻化しており、経営環境は先行き不透明な状況が続いております。

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5 【研究開発活動】

当社グループは、「つくろう、未来を。つくろう、素材で。」のスローガンの下、「素材業のDNA」を活かした用途・商品開発と展開、来るべきスマート社会を見据えた次世代事業の着実な育成と強化をめざして、自動車向け特殊鋼及びステンレス鋼の開発、特殊鋼を素材とする自動車部品用鍛造品の開発、電子機能材料・部品及び磁石応用製品の開発等を中心に積極的な研究開発活動を行っております。

開発テーマの事業化スピードの加速、カンパニーとの一層の連携強化を狙いとし、2020年1月に組織改定を実施し、旧モノづくり・未来創生本部から、技術統括部(旧 技術企画部)、未来創生開発部、部品開発部、材料試験技術部(旧 分析・試験室)を分離し、新しく「開発本部」を立ち上げました。

主力製品である特殊鋼・鍛造品では、自動車の電動化(HV/PHV、EV、FCV)時代の機構革新による、部品機能変化、新規搭載部品、ユニットの更なる小型軽量化、そしてグローバルコスト競争激化に対し、鍛鋼で設計、材料、部品製造プロセス一貫にて、新素材と既存開発鋼を駆使した高機能・高付加価値部品の提供を目指してまいります。

当連結会計年度の研究開発費は、3,758百万円、研究開発人員は約240名であります。

なお、セグメント別の研究の目的、研究成果及び研究開発費は、次のとおりであります。

 

 

(1) 鋼(ハガネ)カンパニー

自動車部品用の新しい特殊鋼やステンレス鋼の研究及び製造方法の開発を行っております。

当連結会計年度の主な成果は次のとおりであります。

鋼材開発では、省資源・低コストを実現した省Mo(モリブデン)鋼「SCrH20」の拡販を推進、更に他の鋼種についても省Mo化を検討しております。また、電動化部品の小型・軽量化に対応した高強度用鋼の開発にも注力しております。ステンレス鋼ではエネルギー/社会インフラの高寿命化に貢献する商品であるステンレス鉄筋バーや二相系ステンレス形鋼の商品レパートリーの拡充、また、ステンレス構造部材ビジネスの拡大や、水素社会に対応する安心安全な省資源・低コストの鋼材開発に取り組んでおります。

また、アイシン・エィ・ダブリュ株式会社、日本製鉄株式会社と共同で開発した『マイルド浸炭用鋼MSB20の開発』が、2020年1月、第8回ものづくり日本大賞の経済産業大臣賞を受賞しました。「MSB20」はMoとCr(クロム)を添加せず省合金化しながら自動車部品のさらなる高強度軽量化を実現し、素材コストの低減や自動車の燃費改善に貢献するだけではなく、省資源化による地球環境への負荷低減も実現した技術として更なる展開が期待されております。

鋼(ハガネ)カンパニーに係る研究開発費は2,219百万円であります。

 

[補足]

ものづくり日本大賞制度は、経済産業省が国土交通省、厚生労働省、文部科学省と連携し、日本の産業・文化を支えてきたものづくりを継承・発展させるため、ものづくりを支える人材の意欲を高めることを目的に導入された顕彰制度です。

 

(2) 鍛(キタエル)カンパニー

自動車部品用の鍛造品製造プロセス開発、製造方法の開発を行っております。

当連結会計年度の主な成果は次のとおりであります。

次世代車における部品の高機能化ニーズを受け、2017年に導入した研究開発用サーボ式鍛造プレスラインをフルに活用し、革新的な工法開発や、より高度な鍛造製品の開発を推進しております。さらに、CAEを用いた成形シミュレーションの精度向上や、IoT技術を用いた、製造データの記録/活用による開発期間短縮などにも取り組んでおります。また、品質を基軸とした活動にも重点をおいており、検査データの有効活用と不良発生のメカニズム解析により、品質ロス(不良率)の低減でも着実な成果を収めております。

鍛(キタエル)カンパニー に係る研究開発費は209百万円であります。

 

(3) スマートカンパニー

車載電子機器用放熱部品の開発、MIセンサの開発、モータ用磁石の開発など、将来のスマート社会に向けた新しい素材、製品の開発等を行っております。

開発の更なるスピードアップのため、2020年1月の組織改定により、未来創生開発部内を、電池材料開発チーム、電子機能部品開発グループ、EVモータ開発グループ、MPS開発グループ、超高感度センサ開発グループ、環境エネルギー素材開発グループ、次世代あぐり開発グループの1チーム6グループに再編しました。更に各チーム/グループに、開発の推進、ビジネス化を牽引する、BPM(ビジネスプランニングマネージャー)を新設、指名し、事業企画及び戦略強化の推進を図っております。

当連結会計年度の主な成果は次のとおりであります。

当社が開発した「磁気マーカシステム」は、2017年から国土交通省、内閣府などと共に様々な場所/環境で実証実験を行い、その性能、信頼性において高い評価を得ておりますが、当連結会計年度はJR東日本管内の気仙沼BRT(バス高速輸送システム)で、当社を含む10社が参画し、より本格的な技術実証が進みました。更には、磁気マーカを正式に道路付属物として位置付ける法律(道路法)も整備されるなど、実用化に向けた動きが着実に進んでいます。

磁石事業では、当社独自のDy(ジスプロシウム)フリーボンド磁石「マグファイン」を用いたドローン用モータを澤藤電機株式会社と共に共同開発しました。従来比3割のモータ軽量化に成功し、積載量アップや飛行時間延長に寄与できるものと期待されております。

このドローン用モータは、株式会社日刊工業新聞社/モノづくり日本会議主催の2019年“超”・モノづくり部品大賞で「モノづくり日本会議 共同議長賞」を受賞いたしました。

また、当社はトヨタグループの株式会社豊田中央研究所、当社子会社の近江鉱業株式会社と共に、高い蓄熱能力を有し、反復利用が可能なカルシウム系蓄熱材を開発し、これを用いて工場排熱を利用できる蓄熱システムを世界で初めて、工場(当社刈谷工場)に設置、実証いたしました。エネルギーコストの削減と共に、地球温暖化抑制に寄与する近未来システムとして、実用化に向けた取り組みを継続してまいります。

スマートカンパニーに係る研究開発費は1,329百万円であります。