当連結会計年度のわが国経済は、政府の経済財政政策の推進などにより、雇用や所得環境の改善が進み、上半期は緩やかながら回復基調を辿りましたが、年度後半には中国をはじめとする新興国の経済減速による輸出の伸び悩みや個人消費及び民間設備投資の回復に遅れがみられるなど、国内企業の収益回復は足踏み状態となっております。
普通鋼電炉業界におきましては、国内の建設関連需要は消費税増税後の反動や人手不足、資材の高騰などによる建設計画の遅れにより減少しました。また、コスト面では、年度後半には鉄スクラップ価格が下落局面を迎えたものの、電力をはじめとするエネルギーコストの高止まりなどによるコスト負担増が続きました。
このような経営環境のなか、当社グループにおきましては、昨年7月に北陸地区の三星金属工業㈱を完全子会社化し、更には、本年3月末に九州地区に異形棒鋼の安定した基盤をもつ㈱トーカイを完全子会社化するなど、全国に5つの製造拠点をもつ事業所体制を構築し、更なる事業の成長と連結経営基盤の強化・拡充を図りつつ、当社グループの製造・販売・購買が一体となって販売、購買環境や生産条件などの変化を迅速に捉えながら、需要見合いの生産に徹することで再生産可能な販売価格の実現に努めてまいりました。
その結果、当連結会計年度の業績につきましては、当社の販売単価が前期比トン当たり7千2百円下落し、鋼材販売数量が前期比12万1千トン減の123万2千トンとなったことに加え、鋼片出荷数量が減少したことから、連結売上高は、1,000億24百万円と前期比255億70百万円の減収となりました。一方で、鉄スクラップ価格が下落したことやコスト削減努力の継続により、連結営業利益は、前期比8億52百万円増益の43億49百万円、連結経常利益は、前期比9億44百万円増益の53億39百万円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期比27億72百万円増益の56億81百万円となりました。
セグメント別の業績は、次のとおりであります。
<鉄鋼事業>
当セグメントにおける売上高は、前期比255億66百万円減収の995億38百万円、セグメント損益(営業損益)は前期比8億46百万円増益の40億40百万円の利益計上となりました。
<その他の事業>
当セグメントにおきましては、子会社を通じて不動産事業を行っており、売上高は、前期比4百万円減収の6億8百万円、セグメント損益(営業損益)は前期比5百万円増益の3億23百万円の利益計上となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末(55億66百万円)より40億5百万円増加し、95億71百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益55億52百万円、売上債権の減少額31億49百万円及び棚卸資産の減少額55億3百万円等の収入に対し、仕入債務の減少額48億16百万円等の支出により、103億9百万円の収入となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形及び無形固定資産の取得による支出25億84百万円に対し、関係会社株式の一部売却による収入33億3百万円等により、2億37百万円の収入となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、子会社の自己株式の取得による支出37億82百万円や配当金の支払額9億38百万円等により、65億41百万円の支出となりました。
セグメントの名称 | 品目 | 前連結会計年度 生産量(千t) | 当連結会計年度 生産量(千t) |
鉄鋼事業 | 粗鋼 | 1,519 | 1,311 |
| 鋼材 | 1,338 | 1,181 |
当社グループの販売実績は、見込生産によるものが大半を占めるため記載を省略しております。
セグメントの名称 | 前連結会計年度 金額(百万円) | 当連結会計年度 金額(百万円) |
鉄鋼事業 | 125,105 | 99,538 |
その他の事業 | 489 | 485 |
合計 | 125,595 | 100,024 |
(注) 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
金額(百万円) | 割合(%) | 金額(百万円) | 割合(%) | |
阪和興業㈱ | 13,047 | 10.4 | 11,194 | 11.2 |
エムエム建材㈱ | 12,684 | 10.1 | 10,430 | 10.4 |
(注) 三井物産メタルワン建材㈱は、平成27年11月1日をもって、エムエム建材㈱へ社名変更しております。
今後のわが国経済の見通しにつきましては、新興国を中心とした経済減速などによる需給バランスの悪化や円高の進行など、輸出環境の改善には至っておらず、雇用や所得環境の改善が進んでいるものの、個人消費は盛り上がりを欠く状況下、企業の収益環境は下振れ要素が懸念される状況となっております。
普通鋼電炉業界におきましては、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催に向けた関連施設および周辺交通インフラ整備などの本格化などにより、年度後半には国内の建設関連需要は持ち直すものと思われますが、引き続き、電力料金の高止まりや再生可能エネルギー買取制度に伴う賦課金負担増などが収益確保の足かせとなっていることに加え、鉄スクラップの価格動向も先行き不透明となっており、経営環境は引き続き厳しい状況が続くと思われます。
このような経営環境の下、当社グループにおきましては、新たにグループに加えた㈱トーカイを含め、全国の複数拠点での事業体制を活用し、製造面では操業技術やノウハウの相互共有を積極的に図ることで製造のバラツキ要因の徹底究明による安定操業技術の向上・定着など、製造実力の一層の向上を図ってまいります。また、販売・購買面でもグループ一体経営のメリットを収益力の強化につなげるように取り組んでまいります。
さらに、利益成長を目指すための必須条件である人材育成もグループ全体で取り組むとともに、企業存続を脅かすコンプライアンス問題への対応力強化を一層図ってまいります。また、昨年5月の改正会社法施行および6月からの東京証券取引所におけるコーポレートガバナンス・コードの適用など、上場会社の企業統治体制に対する社会的な要請の厳格化を踏まえた企業統治体制の抜本的改革と経営の透明性・効率性の向上を目指し、少数での取締役会構成に加え、独立社外取締役の複数選任や監査(役)体制の強化など、グループ全体としての企業価値の向上や電気炉メーカーとして連結経営基盤の強化・拡充を志向し、以って株主の皆様への還元拡充に努めてまいりたいと存じます。
当社グループの経営成績及び財政状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。
①成熟した日本経済の環境下で、長期的視点から、国内の公共事業・民間建設需要が大きく伸長することは考えにくく、需要減少に伴い他社との販売競争が激化して当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
②主原料である鉄スクラップ価格が東アジア地域内の需要拡大、国内高炉メーカー購入増加の影響等を受け、短期的かつ大幅に変動した場合には当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
③中国や韓国を中心に全世界で鉄鋼生産能力増強が進行し、過剰な生産設備による供給過剰問題が顕在化することにより世界的な鉄鋼需給バランスが大きく崩れた場合、海外市場から日本市場への輸出が増加する可能性があります。この場合、当社グループ製品の販売量減少、販売価格下落などにより当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの各事業所及び需要家をはじめとする取引先が、大規模な台風、地震等の自然災害に見舞われた場合には、事業活動が制約を受けることにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、重大な労働災害、設備事故、環境事故、品質問題等が発生した場合、又は重要な訴訟において当社グループに不利な判断がなされた場合には、事業活動の停止・制約、補償等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
該当事項はありません。
当社グループにおける研究開発活動は当社(鉄鋼事業)を中心に行っており、研究開発活動の主眼は、多様な顧客ニーズに応える新製品の開発、コスト低減に通じる現状の鉄鋼製造技術の効率向上と、現製品の品質向上のための設備・装置の改良開発並びに操業技術の改良であります。
鉄鋼事業では、加工製品の継手工法の充実等に対して63百万円を研究開発費として計上しております。
その他の事業では、研究開発費の計上はありません。
当社の連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、本報告書「第一部 企業情報 第5 経理の状況」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、貸倒引当金、賞与引当金、役員退職慰労引当金及び環境対策引当金等の各引当金の計上、固定資産の減損に係る会計基準における回収可能価額の算定、繰延税金資産の回収可能性の判断等につきましては、過去の実績や他の合理的な方法により見積りを行っております。但し、見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
当連結会計年度末における総資産は、たな卸資産の減少(40億61百万円)等により、前連結会計年度末(1,592億15百万円)から52億27百万円減少し、1,539億88百万円となりました。
負債につきましては、支払手形及び買掛金の減少(40億23百万円)等により前連結会計年度末(744億12百万円)から41億88百万円減少し、702億24百万円となりました。
純資産につきましては、親会社株主に帰属する当期純利益の計上(56億81百万円)及び非支配株主持分の減少(67億91百万円)等により、前連結会計年度末(848億2百万円)から10億39百万円減少し、837億63百万円となりました。
この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の48.7%から54.0%に、1株当たり純資産額は495円40銭から532円57銭となりました。
経営成績及びキャッシュ・フローにつきましては、本報告書「第一部 企業情報 第2 事業の状況 1 業績等の概要」に記載のとおりであります。