第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1) 業績

 当連結会計年度における当社グループを取りまく日本経済の環境は、円安基調、原油安の影響もあって期前半は緩やかな回復基調で推移しましたが、期後半は、中国景気の減速及び新興国経済の減速への警戒感、さらには円高の進行により、減速感が強まり、先行きは不透明な状況となっております。また、設備投資については、企業業績を背景に底堅く推移してきましたが、景況感の後退に伴い、投資を先送りする懸念が強まり、力

強さに欠ける状況となっております。

 こうした環境下にあって、鋳鋼・鋳鉄品については大型鉱山機械用の鋳鋼品及び油井管圧延用鋳鋼品の需要が引き続き低調だったものの、半導体向け鋳鋼品及び鋳型等の鋳鉄品の増加により、受注は前年度を2.0%上回り、売上高は前年度比4.8%の増収となりました。一方の公共投資関連は、鋼製支承、伸縮装置等の橋梁部品、

柱脚等が好調であり、受注はほぼ前年度並み、売上高は前年度に比べ8.2%の増収となりました。

 これらの影響によりグループ全体としての連結売上高は11,096百万円と、前年度に比べ、7.2%の増収となりました。利益につきましては、鋳鋼・鋳鉄品では、前年度比増収となったものの、売上高が未だ低調であることから、固定費負担が重く、一方、公共投資関連では、橋梁部品、柱脚等に利益率の改善が見られ、年度累計でのグループ全体の収益は、前年度に比べ2.5倍の225百万円の経常利益となり、親会社株主に帰属する当期純

利益は109百万円となりました。

 

 

 (2) キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益219百万円に加えて、たな卸資産の減少212百万円及び仕入債務の増加166百万円による支出の減少により、584百万円の収入とな

りました。

 投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出232百万円、無形固定資産の取得によ

る支出27百万円により、256百万円の支出となりました。

 財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の期日返済394百万円及び配当金の支払128百万円に対

し、長期借入れによる収入350百万円により、185百万円の支出となりました。

 以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は前連結会計年度末に比べ142百万円増加し407百

万円となりました。

 

 

2【生産、受注及び販売の状況】

 当社グループは「鋳造関連事業」の単一セグメントであります。

 当連結会計年度における実績及び状況を品種別に示すと、次のとおりであります。

 

(1)品種別製品生産実績                                              (百万円)

品種別

当連結会計年度

 

前年同期比(%)

 

素形材

5,631

0.4

エンジニアリング

3,237

0.2

その他

832

13.0

合計

9,701

1.3

  (注)1 金額は、製造原価によっております。

 2 上記金額には消費税等は含んでおりません。

 

(2)品種別製品受注状況                                       (百万円)

品種別

当連結会計年度

受注高

前年同期比(%)

受注残高

前年同期比(%)

素形材

5,826

2.0

1,254

△10.8

エンジニアリング

4,190

△1.2

1,105

△21.3

その他

527

△12.0

49

△67.2

合計

10,544

△0.1

2,409

△18.6

  (注)1 金額は、販売価格によっております。

 2 上記金額には消費税等は含んでおりません。

 

(3)品種別販売実績                                    (百万円)

品種別

当連結会計年度

前年同期比(%)

素形材

5,978

4.8

エンジニアリング

4,488

8.2

その他

629

26.4

合計

11,096

7.2

  (注) 上記金額には消費税等は含んでおりません。

 

3【対処すべき課題】

(1) 経営の基本方針

 当社グループは、鋳造関連事業を主な分野として事業展開を行っております。

 鋳鋼・鋳鉄品では、高機能材としての低熱膨張材(LEX)がIT産業等の先端産業を支え、構造材としての極厚肉

用球状黒鉛鋳鉄(スーパーダクタイル)は機械プラントメーカーの競争力向上に寄与しております。

 公共投資関連では、鋼製支承・ゴム支承・伸縮装置(マウラージョイント)等の橋梁部品が優れた耐震部材として橋梁建設を支え、土木・建築分野では下ナット方式を採用した柱脚(NCベース)が耐震力向上に、また、

建築接合金物が建築物のデザイン性向上に寄与しております。
 

(2)目標とする経営指標

 主たる経営指標としては、ROS5%を安定確保できる収益体制作りを目標とし、収益性・効率性の高い経営を目指しております。

 

(3)中長期的な経営戦略と会社の対処すべき課題

 当社グループは1920年の創立以来、技術を基盤とした事業活動を行っております。

 当社グループが対処すべき課題の最大のものは、事業環境が変化する中においても、強固な技術力に立脚し、

グループの成長と配当の基盤を確保することであります。

 そのためには、次の施策を着実に実行して行くことが必要であると認識しております。

 

① 高付加価値商品の拡充・拡販

② 営業・製造・調達が一体となった一貫工務管理の徹底

③ 健全な取引活動を通じた廉価購買の徹底

④ 調達・販売、両面における海外への事業展開

 

 当社グループは「品質の日本鋳造」を目指し、取引先、提携先と連携を深めつつ、より一層の努力を重ねて参

る所存でございます。

 

 

4【事業等のリスク】

 当社グループが展開しております事業は、様々な要因により収益性等が左右されます。こうした要因になる可能性のある主なリスクは次のとおりです。

(1) 事業環境

① 経済状況と販売市場環境

 当社グループの事業は、鉄鋼・プラント・産業機械・建設機械・橋梁・建築・自動車等の各需要分野の環境に依存しており、各商品市場や地域において競合他社との競争の中で販売展開を行っております。

民間設備投資や公共関連事業の動向により販売量及び販売価額に影響を及ぼす可能性があります。

② 原材料等の需給環境

 当社グループは、各商品の原材料として、銑鉄・鋼屑・非鉄金属・合金鉄及び鋼材・ゴム等を調達しております。

 これらの原材料は、世界的、地域的需給や投機的動向により価額が変動し、販売市場価額に転嫁できない可能性があります。

 また国内の需給状況がコストに影響を及ぼします。

③ その他の収益変動要因には、次の様な要因が含まれます。

・新商品等の開発状況

・設備投資等の効果発揮状況

・自然災害や事故災害による顧客への商品供給影響

・取引先での当社が予期できない状況

(2)その他の外的要因として、次の様な要因が収益又は資産価値に影響を及ぼす可能性があります。

① 為替レートの変動

② 金利の変動

③ 公的規制

④ 保有固定資産及び保有株式等の資産価値の変動

⑤ 退職給付債務計算の前提条件の変動

 

 

5【経営上の重要な契約等】

 当社が技術援助を受けている契約

技術導入先

国籍

内容

対価

契約期間

フリードリッヒ

マウラーゼーネ

ドイツ

橋梁用伸縮装置の製造技術

売上高に対する

ランニングロイヤルティ

昭和60年3月1日より

平成29年12月31日まで

 (注)契約期間満了の12ヶ月前までに当事者の一方が解約通知しない限り、2年間ずつ自動延長となっております。

 

 

6【研究開発活動】

 連結財務諸表提出会社の研究開発は、経営戦略に基づいた生産性向上と商品開発及び基礎技術開発を目的として商品開発に必要な各種設備の整備も行い、また、JFEスチール株式会社との共同研究等の連携も行いながら推進しており

ます。
 当連結会計年度の主な研究開発の内容は次のとおりであり、研究開発費の総額は49百万円であります。

 

(1)素形材LEX関連開発

 平成27年度においても当社素形材商品の中で競争力が高く、かつ将来の発展性が期待される超精密分野向けの低熱膨張材商品「LEX」に関する開発テーマに資源を集中しました。この結果、客先から要求された各種ニーズに応え

るための材料開発と、開発した材料を工業化・商品化するための商品開発の2つを推進いたしました。

 

1. 材料開発

客先ニーズに応えるため、高機能の各種LEX材の開発を進め、以下の成果が得られました。

① 高ヤング率(高剛性)LEX材の開発

 前年度、ヤング率を当社比約30%向上したLEX材の改良を行いましたが、客先の一部仕様(被削性、ヤング率上限値)に対して不満足であったことから更なる材料開発を行い、目標の材料を得ることができ

ました。

② 高温用高強度LEX材の開発

 前年度、高温(600℃)で低熱膨張かつ高強度LEX材を開発いたしましたが、客先から耐酸化性改善を追加要求されました。これに伴い合金組成の大幅見直しが必要であることが判明し、種々検討の結果、

ほぼ目標とするLEX材を開発できました。

③ 中温用LEX材の開発

 客先(シリコンウェーハ処理装置メーカー)より中温(室温~300℃)で低熱膨張性を有する部材のニーズがあり、2ppm/K以下の熱膨張係数のLEX材を開発いたしました。さらに本部材は無欠陥要求があり、熱間鍛造による小型素材を評価した結果、良好な品質を確認できました。本材料は今後多方面の中

温域用途への適用拡大が期待されます。

④ 低温用(マイナス)LEX材の開発

 前年度、LEX-ZEROの低温側適用温度範囲を拡げる目的で材料開発を行いましたが、無視できない熱膨張係数の増加を伴いました。そのため厳密な合金設計と熱処理の最適化を行い、ほぼゼロ膨張で-50℃ま

で組織が安定なLEX材を開発いたしました。

2. 商品開発

開発材料の商品化を図るため、実機サイズの試作を行うとともに各種製造プロセスの開発を行いました。

① LEX材の熱間鍛造技術の確立

 適正な条件で鋳造素材を熱間鍛造することにより、製品内部の欠陥を皆無にすることを目標に下記材

料の鍛造試験を行いました。現在、品質・特性を確認中です。

 対象LEX材:低温用LEX材、高ヤング率LEX材、中温用LEX材

② 低温用LEX材の質量効果把握試験

 肉厚25~200mmの4段階の肉厚品を想定した実機レベルの試作品を製造し、熱膨張係数及び低温安定性に及ぼす質量効果の影響を調べました。その結果、実機製品の低温熱膨張に影響する要因が解明されま

した。これらの知見を基に、更なる低温安定性のある商品を開発いたします。

 

 

(2)エンジニアリング関連開発

  利用者サイドに立った提案を念頭におき、既存商品の高機能化、高付加価値化を主体とした研究開発を推進いたしました。これからも、道路の防災・減災対策に貢献できる耐震補強分野の技術開発や、道路の老朽化対策に貢献でき

 る技術開発を積極的に推進してまいります。

① 機能分離型支承による免震・制震設計

 当社を含む民間8社と独立行政法人土木研究所との共同研究の成果品である『すべり系支承を用いた地震力遮断機構を有する橋梁の免震設計法マニュアル(案)』が発刊されたため、機能分離型支承の受注が増加いたしました。更なる適用拡大の研究やコストダウンの研究を実施し、当社の機能分離型支承の拡販を図ります。

 機能分離支承の商品ラインナップを充実化させるため、新たに、摩擦材の開発及びゴム系以外のダンパー材の開発を実施しております。橋梁用制震部材として低降伏点鋼を使用したLENS型せん断パネルダンパーを商品化しておりますが、更に、制震部材としてシリンダー型ダンパーを商品化し、国土交通省 新技術情報提供システム(NETIS)に登録をいたしました。今後も、顧客ニーズにあった新商品開発に努めてまいります。

② 高減衰ゴム支承(商品名:HDR-S)

 価格優位性、高機能性を武器として、比較設計によりHDR-S支承の提案に努め、堅実な受注成果をあげまし

た。更なる適用拡大の研究やコストダウンの研究を実施し、HDR-S支承の拡販を図ります。

③ Disk Rubber Bearing(商品名:DRB支承)

 固定可動形式橋梁に適用するコンパクト化したゴム支承の商品化を行い、受注成果をあげてまいりました。更なる本技術の活用のため、一般財団法人 土木技術センターの建設技術審査証明書を取得いたしました。今

後も本技術に関しては、更なる適応拡大及びコストダウンの研究を実施し、拡販を図ります。

 

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

 当連結会計年度より、「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号 平成25年9月13日)等を適用し、

「当期純利益」を「親会社株主に帰属する当期純利益」としております。

 

(1) 重要な会計方針

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。

 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、第5(経理の状況)の連結財務諸表の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

(2) 当連結会計年度の経営成績の分析

① 売上高

鋳鋼・鋳鉄品は、半導体向け鋳鋼品及び鋳型等の鋳鉄品の増加があり、5,978百万円(前年同期比4.8%増)、また、公共投資関連は、橋梁部品、柱脚等の増加により、4,488百万円(前年同期比8.2%増)となりました。

この結果、全社売上高は、11,096百万円(前年同期比7.2%増)となりました。

② 売上原価

 売上原価は、売上高の増加に対して、各種合理化の推進とコスト削減に努め、9,868百万円(前年同期比5.9%増)となりました。

③ 販売費及び一般管理費

 販売費及び一般管理費は、1,015百万円(前年同期比6.1%増)となりました。

④ 営業利益

 営業利益は、製品の利益率が改善したことにより、213百万円(前年同期比193.6%増)となりました。

⑤ 営業外損益

 営業外損益は、12百万円(前年同期比22.2%減)の利益となりました。

⑥ 経常利益

 この結果、経常利益は、225百万円(前年同期比154.0%増)となりました。

⑦ 特別損益

 特別損益としては、固定資産除売却損があり、6百万円(前年同期は6百万円の利益)の損失となりました。

⑧ 親会社株主に帰属する当期純利益

 以上の結果、税金等調整前当期純利益は219百万円となり、法人税、住民税及び事業税及び法人税等調整額控除後の親会社株主に帰属する当期純利益は109百万円(前年同期は7百万円の利益)となりました。

(3) 当連結会計年度の財政状態の分析

① 資産の部

 当連結会計年度末の総資産額は、受取手形及び売掛金が増加したことから、前連結会計年度末に比べ100百万

円増加し、18,345百万円となりました。

② 負債の部

 当連結会計年度末の負債額は、支払手形及び買掛金の増加により、前連結会計年度末に比べ171百万円増加

し、7,975百万円となりました。

③ 純資産の部

 当連結会計年度末の純資産額は、その他有価証券評価差額金の減少に伴い、前連結会計年度末に比べ71百万円減少し、10,369百万円(前年同期比0.7%減)となりました。

 

(4) 経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については「第2 事業の状況 4[事業等のリスク]」に記載のとおりであります。

(5) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

① 営業活動によるキャッシュ・フロー

 当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは584百万円の収入(前連結会計年度は605百万円の収入)となりました。

 その主な要因としては、税金等調整前当期純利益219百万円、たな卸資産の減少212百万円及び仕入債務の増加

166百万円による支出の減少によるものです。

 

② 投資活動によるキャッシュ・フロー

 当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは256百万円の支出(前連結会計年度は144百万円の支出)となりました。

 その主な要因としては、有形固定資産の取得による支出232百万円、無形固定資産の取得による支出27百万

円によるものです。

 

③ 財務活動によるキャッシュ・フロー

 当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは185百万円の支出(前連結会計年度は341百万円の支出)となりました。

 その主な要因としては、長期借入金の期日返済394百万円及び配当金の支払128百万円に対し、長期借入れによ

る収入350百万円があったことによるものです。

 

 以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は前連結会計年度末に比べ142百万円増加

し、407百万円となりました。

 

(6) 経営者の問題認識と今後の方針

 当社グループの当連結会計年度におけるROSは2.0%となり、目標としていた5%の確保には至りませんでした。安定的に5%以上を確保するため、「第2 事業の状況 3[対処すべき課題]」に記載しております諸施策を継続的に実行してまいります。