(1) 業績
当連結会計年度は、鋳鋼品については超大型鉱山機械用の鋳鋼品および油井管圧延用鋳鋼品の需要が低調であることに加え、半導体製造装置向けも落ち込み、鋳鉄品についても受注が減少した結果、受注は前年度比6.6%の減少となり、売上高については、前年度比12.3%の減少となりました。一方の公共投資関連は、好調を継続し橋梁部品、柱脚等の受注は前年度比24.2%増加しましたが、売上計上時期の関係で、売上高は前年度比
では14.2%の減少となりました。
以上の結果、連結売上高は9,610百万円と、前年度比13.4%の減少となりました。経常損益では、鋳鋼・鋳鉄品において売上高が低調であることに加え、品質対策や長期滞留棚卸資産について評価減等の一過性の損失が
300百万円程度生じたことにより306百万円の損失となりました。
特別損益では、大型鉱山機械用部品製造ラインについて今後、低稼動状況が継続する可能性が今般、高まったことから、当ラインの帳簿価額について将来キャッシュ・フローの現在価値まで減額し、当該減少額331百万
円を減損損失として計上しました。
また工場建屋のLED化工事に伴い照明用安定器を取り外して個別に銘板の確認を進めたことにより、今般、高濃度PCB機器の数量を推定することが可能となったことから、現在使用中の照明を含めPCB処理費用を見積もり360百万円の引当金計上を行ないました。これにより1,005百万円の税金等調整前当期純損失とな
り、825百万円の親会社株主に帰属する当期純損失となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純損失が1,005百万円に対し、減価償却費332百万円とキャッシュ・フローを伴わない特別損失691百万円(固定資産減損損失331百万円およびPCB処理引当金の増加360百万円)が含まれること、および仕入債務の増加等により、210百万円の収入
となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出403百万円により、408百万円の支出
となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出416百万円および配当金の支払128百万円に対し、短期借入金の増加による収入460百万円および長期借入れによる収入100百万円により、12百万円の
収入となりました。
以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は前連結会計年度末に比べ180百万円減少し226百
万円となりました。
当社グループは「鋳造関連事業」の単一セグメントであります。
当連結会計年度における実績及び状況を品種別に示すと、次のとおりであります。
(1)品種別製品生産実績 (百万円)
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品種別 |
当連結会計年度 |
前年同期比(%)
|
|
素形材 |
5,295 |
△6.0 |
|
エンジニアリング |
3,279 |
1.3 |
|
その他 |
661 |
△20.5 |
|
合計 |
9,236 |
△4.8 |
(注)1 金額は、製造原価によっております。
2 上記金額には消費税等は含んでおりません。
(2)品種別製品受注状況 (百万円)
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品種別 |
当連結会計年度 |
|||
|
受注高 |
前年同期比(%) |
受注残高 |
前年同期比(%) |
|
|
素形材 |
5,440 |
△6.6 |
1,454 |
16.0 |
|
エンジニアリング |
5,204 |
24.2 |
2,456 |
122.3 |
|
その他 |
510 |
△3.2 |
43 |
△13.4 |
|
合計 |
11,155 |
5.8 |
3,954 |
64.1 |
(注)1 金額は、販売価格によっております。
2 上記金額には消費税等は含んでおりません。
(3)品種別販売実績 (百万円)
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品種別 |
当連結会計年度 |
前年同期比(%) |
|
素形材 |
5,240 |
△12.3 |
|
エンジニアリング |
3,852 |
△14.2 |
|
その他 |
517 |
△17.8 |
|
合計 |
9,610 |
△13.4 |
(注) 上記金額には消費税等は含んでおりません。
日本鋳造は常に高い技術と社員の努力によって、「品質の日本鋳造」を実現し、社会に貢献することを通じて、企業の持続的成長を図り、株主の皆様をはじめ全てのステークホルダーにとっての企業価値の向上に努める
ことを経営理念としています。
当社グループは1920年の創立以来、技術を基盤とした事業活動を行っています。2020年に迎える100周年、更に
その先まで継続して会社を発展させるため、事業活動の実践において以下の項目に重点的に取り組んでいます。
① お客様にとって価値ある商品・サービスを価値に見合った価格で提供する。
② 社会との協調性をもち誠実で公正な事業活動を行う社会に開かれた会社を目指す。
③ 企業活動における全ての品質を高め、社員ひとりひとりが会社に誇りを持てる会社を目指す。
経営指標としては、ROS 5%を目標としております。
当社グループは、鋳造関連事業を主な分野として事業展開を行っております。
鋳鋼品では、IT産業等の先端産業向けの高機能材としての低熱膨張材(LEX)や大型鉱山機械用建機部品をはじめとして様々な産業分野向けに製造・販売しており、鋳鉄品では構造材としての極厚肉用球状黒鉛鋳鉄(スーパーダクタイル)や鋳型、鋳鉄連続鋳造材(マイティバー)を中心に製造・販売しております。中でも低熱膨張
材(LEX)および極厚肉用球状黒鉛鋳鉄(スーパーダクタイル)は、お客様から高い評価を得ています。
公共投資関連では、鋼製支承・ゴム支承・伸縮装置(マウラージョイント)等の橋梁部品が優れた耐震部材として橋梁建設を支え、建築分野では下ナット方式を採用した柱脚(NCベース)が耐震力向上に、また、建築接
合金物が建築物のデザイン性向上に寄与しております。
当連結会計年度においては、国内の需要低迷により、当社においても超大型鉱山機械用の鋳鋼品および油井管
圧延用鋳鋼品をはじめとして鋳鋼品の受注減が続き、鋳鉄品についても受注が減少しています。
このような状況の下、当社グループが対処すべき課題は鋳鋼・鋳鉄品における収益確保と人材育成であり、次
の施策を着実に実行していくことが必要であると認識しています。
① LEXを始めとする高付加価値商品の更なる販売拡大(海外マーケティングを含む)
② 研究開発の一層の推進による新商品の開発
③ 品質管理および品質管理体制のレベルアップ
④ 操業改善や合理化投資等による生産性の改善
⑤ 階層別教育の整備や積極的な人事ローテーション等による人材育成
当社グループが展開しております事業は、様々な要因により収益性等が左右されます。こうした要因になる可能性のある主なリスクは次のとおりです。
(1) 事業環境
① 経済状況と販売市場環境
当社グループの事業は、鉄鋼・プラント・産業機械・建設機械・橋梁・建築・自動車等の各需要分野の環境に依存しており、各商品市場や地域において競合他社との競争の中で販売展開を行っております。
民間設備投資や公共関連事業の動向により販売量及び販売価額に影響を及ぼす可能性があります。
② 原材料等の需給環境
当社グループは、各商品の原材料として、銑鉄・鋼屑・非鉄金属・合金鉄及び鋼材・ゴム等を調達しております。
これらの原材料は、世界的、地域的需給や投機的動向により価額が変動し、販売市場価額に転嫁できない可能性があります。
また国内の需給状況がコストに影響を及ぼします。
③ その他の収益変動要因には、次の様な要因が含まれます。
・新商品等の開発状況
・設備投資等の効果発揮状況
・顧客への商品供給に関する状況(品質・納期含む)
・取引先での当社が予期できない状況
(2)その他の外的要因として、次の様な要因が収益又は資産価値に影響を及ぼす可能性があります。
① 為替レートの変動
② 金利の変動
③ 法令・公的規制(環境、労働・安全衛生、租税、独占禁止法等の経済法規、建設業法等の事業関連法規、
その他法令・公的規制)
④ 保有固定資産及び保有株式等の資産価値の変動
⑤ 退職給付債務計算の前提条件の変動
当社が技術援助を受けている契約
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技術導入先 |
国籍 |
内容 |
対価 |
契約期間 |
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フリードリッヒ マウラーゼーネ |
ドイツ |
橋梁用伸縮装置の製造技術 |
売上高に対する ランニングロイヤルティ |
昭和60年3月1日より 平成29年12月31日まで |
(注)契約期間満了の12ヶ月前までに当事者の一方が解約通知しない限り、2年間ずつ自動延長となっております。
連結財務諸表提出会社の研究開発は、経営戦略に基づいた生産性向上と商品開発及び基礎技術開発を目的として商品開発に必要な各種設備の整備も行い、また、JFEスチール株式会社との共同研究等の連携も行いながら推進しており
ます。
当連結会計年度の主な研究開発の内容は次のとおりであり、研究開発費の総額は60百万円であります。
(1)素形材関連開発
平成28年度においても当社素形材商品の中で競争力が高く、かつ将来の発展性が期待される超精密分野向けの低熱膨張材商品「LEX」に関する開発テーマに資源を集中し、材料開発その他を推進しました。また、客先から要求さ
れたニーズに応えるため、制振鋳鋼材(ETA)の材料改善に力を入れました。
1. 低熱膨張材(LEX材)
① 低温用LEX材の開発
電機向け商品において-60℃~250℃の温度範囲で高耐力を有する低熱膨張材の開発要請を受けて鍛造
材の開発に成功しました。LEX‐25Kとして規格化し、次世代機への採用が期待されます。
また、開発要請を受け、‐196~90℃、熱膨張係数≦1.0ppm/℃の材料を開発しました。更に、-269℃(液体He温度)雰囲気に約20日間曝露しても組織が安定である材料も同時に開発しました。LEX-STARシ
リーズとしてこれらの超低温用低熱膨張材料は航空・宇宙分野部への適用が期待されます。
② 高温用LEX材の開発
高温用LEX材としては高炭素系のLEX 40Kがありますが、溶接性や低熱膨張性に優れる材料を商品化できれば付加価値が上がると予想されます。そこで新たに低炭素系の高温用LEX材の開発に着手し、20~
400℃間の平均熱膨張係数をLEX 40Kより大幅に低減できる材料が開発されました。
2. 制振鋳鋼材(ETA材)
精密機械分野では、振動対策が大きな課題であり、設計・構造による対策以外に、材料制振性の特徴を利用する制振材の開発ニーズが増え続けています。当社開発したETA-BF1は一定の振動条件に対応できますが、振幅依存性の改善が新しい課題です。合金設計の上で更なる主要元素の制御によって従来材よ
り倍以上の制振性改善が見込まれ、実機製品への適用に向けて商品化しています。
(2)エンジニアリング関連開発
利用者サイドに立った提案を念頭におき、既存商品の高機能化、高付加価値化を主体とした研究開発を推進しました。これからも、道路の防災・減災対策に貢献できる耐震補強分野の技術開発や、道路の老朽化対策に貢献できる
技術開発を積極的に推進してまいります。
① 機能分離型支承による耐震・免震・制震設計
当社を含む民間8社と独立行政法人土木研究所との共同研究の成果品である『すべり系支承を用いた地震力遮断機構を有する橋梁の免震設計法マニュアル(案)』が発刊されたため、機能分離型支承の受注が増加しました。近年の耐震補強の分野でも、機能を分離した方法の採用が増加しています。このことから、更なる適用
拡大の研究やコストダウンの研究を実施し、当社の機能分離型支承の拡販を図ります。
機能分離支承の商品ラインナップを充実化させるため、新たに、摩擦材の開発及びゴム系以外のダンパー材の開発を実施しています。橋梁用制震部材として低降伏点鋼を使用したLENS型せん断パネルダンパー及びシリンダー型ダンパーを商品化し、国土交通省 新技術情報提供システム(NETIS)にも登録をいたしました。また、橋梁用耐震補強部材として、既設橋梁に適合した耐震ストッパーや上揚力対応装置等の開発・実績も上げ
てきています。今後も、顧客ニーズにあった既存商品の改良や新商品開発に努めてまいります。
② 高減衰ゴム支承(商品名:HDR-S)
価格優位性、高機能性を武器として、比較設計によりHDR-S支承の提案に努め、堅実な受注成果をあげまし
た。更なる適用拡大の研究やコストダウンの研究を実施し、HDR-S支承の拡販を図ります。
③ Disk Rubber Bearing(商品名:DRB支承)
固定可動形式橋梁に適用するコンパクト化したゴム支承の商品化を行い、受注成果をあげてきました。更なる本技術の活用のため、一般財団法人 土木技術センターの建設技術審査証明書を取得いたしました。今後も
本技術に関しては、更なる適応拡大及びコストダウンの研究を実施し、拡販を図ります。
(1) 重要な会計方針
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、第5(経理の状況)の連結財務諸表の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
(2) 当連結会計年度の経営成績の分析
① 売上高
鋳鋼・鋳鉄品は、超大型鉱山機械用の鋳鋼品、油井管圧延用鋳鋼品、半導体製造装置向け鋳鋼品、鋳鉄品について減少があり、5,240百万円(前年同期比12.3%減)となりました。また公共投資関連は、受注が増加しましたが、売上計上時期の関係で、3,852百万円(前年同期比14.2%減)となりました。
この結果、全社売上高は、9,610百万円(前年同期比13.4%減)となりました。
② 売上原価
売上原価は、売上高の減少に伴い、8,878百万円(前年同期比10.0%減)となりました。
③ 販売費及び一般管理費
販売費及び一般管理費は、1,045百万円(前年同期比3.0%増)となりました。
④ 営業損失
営業損失は、売上高の減少に加え、品質対策や長期滞留棚卸資産について評価減等の一過性の損失が生じたこ
とにより、313百万円(前年同期は213百万円の利益)となりました。
⑤ 営業外損益
営業外損益は、7百万円(前年同期比43.5%減)の利益となりました。
⑥ 経常損失
この結果、経常損失は、306百万円(前年同期は225百万円の利益)となりました。
⑦ 特別損益
特別損益としては、減損損失およびPCB処理引当金繰入額があり、698百万円(前年同期は6百万円の損失)の損失となりました。
⑧ 親会社株主に帰属する当期純損失
以上の結果、税金等調整前当期純損失は1,005百万円となり、法人税、住民税及び事業税及び法人税等調整額控除後の親会社株主に帰属する当期純損失は825百万円(前年同期は109百万円の利益)となりました。
(3) 当連結会計年度の財政状態の分析
① 資産の部
当連結会計年度末の総資産額は、受注残高の増加に伴い製品及び仕掛品と原材料及び貯蔵品が増加したものの、売上高の減少により現金及び預金と受取手形及び売掛金が減少したことから、前連結会計年度末に比べ72百
万円減少し、18,272百万円となりました。
② 負債の部
当連結会計年度末の負債額は、支払手形及び買掛金やPCB処理引当金の増加により、前連結会計年度末に比べ812百万円増加し、8,788百万円となりました。
③ 純資産の部
当連結会計年度末の純資産額は、親会社株主に帰属する当期純損失に伴い、前連結会計年度末に比べ884百万円減少し、9,484百万円(前年同期比8.5%減)となりました。
(4) 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については「第2 事業の状況 4[事業等のリスク]」に記載のとおりであります。
(5) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
① 営業活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは210百万円の収入(前連結会計年度は584百万円の収入)となりました。
その主な要因としては、税金等調整前当期純損失1,005百万円に対し、減価償却費332百万円とキャッシュ・フローを伴わない特別損失691百万円(減損損失331百万円およびPCB処理引当金の増加360百万円)が含まれる
こと、および仕入債務の増加450百万円による支出の減少によるものです。
② 投資活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは408百万円の支出(前連結会計年度は256百万円の支出)となりました。
その主な要因としては、有形固定資産の取得による支出403百万円によるものです。
③ 財務活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは12百万円の収入(前連結会計年度は185百万円の支出)となりました。
その主な要因としては、長期借入金の返済による支出416百万円および配当金の支払128百万円に対し、短期借
入金の増加による収入460百万円および長期借入れによる収入100百万円があったことによるものです。
以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は前連結会計年度末に比べ180百万円減少
し、226百万円となりました。
(6) 経営者の問題認識と今後の方針
当社グループの当連結会計年度は経常損失となり、目標としていたROS 5%の確保には至りませんでした。安定的に5%以上を確保するため、「第2 事業の状況 3[経営方針、経営環境及び対処すべき課題等]」に記載しております諸施策を継続的に実行してまいります。