日本鋳造は常に高い技術と社員の努力によって、「品質の日本鋳造」を実現し、社会に貢献することを通じて、企業の持続的成長を図り、株主の皆様をはじめ全てのステークホルダーにとっての企業価値の向上に努める
ことを経営理念としています。
当社グループは1920年の創立以来、技術を基盤とした事業活動を行っています。2020年に迎える100周年、更に
その先まで継続して会社を発展させるため、事業活動の実践において以下の項目に重点的に取り組んでいます。
① お客様にとって価値ある商品・サービスを価値に見合った価格で提供する。
② 社会との協調性をもち誠実で公正な事業活動を行う社会に開かれた会社を目指す。
③ 企業活動における全ての品質を高め、社員ひとりひとりが会社に誇りを持てる会社を目指す。
経営指標としては、ROS(売上高経常利益率) 5%を目標としております。
当連結会計年度は、鋳鋼品については半導体製造装置向けおよび超大型鉱山機械向けの需要が増加し、受注についてはほぼ前年度並みとなりました。橋梁部品、柱脚等は前年度に大型案件があったため、連結子会社㈱ダットを含め受注は前年度比では17%減少しました。
今後の懸念材料として国内では東京オリンピック後の需要減少、海外では、米中の貿易摩擦やブレグジット等の不確実性の高まりによる景気後退リスク等があります。今後も継続的に収益を確保していくためには、鋳鋼・鋳鉄品における収益確保と人材育成の課題に取り組んでいくことが必要であると認識しています。
このために次の施策を着実に実行して参ります。
① 海外展開、新規顧客、新商品開発による販売の拡大
② 生産性改善(納期短縮、コスト削減含む)
③ コスト管理、予実管理の実行
④ 品質改善
⑤ 上記を想定した投資戦略
⑥ 小集団活動の充実
⑦ 階層別教育の充実による人材育成
当社グループが展開しております事業は、様々な要因により収益性等が左右されます。こうした要因になる可能性のある主なリスクは次のとおりです。
(1) 事業環境
① 経済状況と販売市場環境
当社グループの事業は、鉄鋼・プラント・産業機械・建設機械・橋梁・建築・自動車等の各需要分野の環境に依存しており、各商品市場や地域において競合他社との競争の中で販売展開を行っております。
民間設備投資や公共関連事業の動向により販売量及び販売価額に影響を及ぼす可能性があります。
② 原材料等の需給環境
当社グループは、各商品の原材料として、銑鉄・鋼屑・非鉄金属・合金鉄及び鋼材・ゴム等を調達しております。
これらの原材料は、世界的、地域的需給や投機的動向により価額が変動し、販売市場価額に転嫁できない可能性があります。
また国内の需給状況がコストに影響を及ぼします。
③ その他の収益変動要因には、次の様な要因が含まれます。
・新商品等の開発状況
・設備投資等の効果発揮状況
・顧客への商品供給に関する状況(品質・納期含む)
・取引先での当社が予期できない状況
(2)その他の外的要因として、次の様な要因が収益又は資産価値に影響を及ぼす可能性があります。
① 為替レートの変動
② 金利の変動
③ 法令・公的規制(環境、労働・安全衛生、租税、独占禁止法等の経済法規、建設業法等の事業関連法規、
その他法令・公的規制)
④ 保有固定資産及び保有株式等の資産価値の変動
⑤ 退職給付債務計算の前提条件の変動
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
1.財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度は、鋳鋼品については半導体製造装置向けおよび超大型鉱山機械用向けの需要が増加し、受注についてはほぼ前年度並みとなりましたが、売上高については21.7%の増加となりました。一方の橋梁部品、柱脚等は前年度に大型案件があったため、受注は前年度比では17.0%減少し、売上高は前年度比17.2%の減少となりました。
以上の結果、連結売上高は13,741百万円と、前年度比3.1%の増加となりました。利益につきましては、相対的に利益率の高い橋梁部品の売上に占める割合が減少したため、営業利益は668百万円と、前年度比12.2%の減益となりました。営業外収益では、一部のPCB含有安定器の廃棄物処理契約にあたり、軽減制度の適用による処理費用の削減が見込めることになったため見積りの変更を行い、PCB処理引当金戻入額61百万円を計上しました。これにより
連結経常利益は、763百万円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は532百万円となりました。
総資産は、老朽更新および生産性向上とコスト削減を目的とした設備投資による固定資産の増加等により前連結
会計年度末に比べ373百万円増加し、20,679百万円となりました。
負債は主に設備投資に伴う借入金の増加により、41百万円増加し、10,309百万円となりました。
また、純資産は親会社株主に帰属する当期純利益の増加により、10,369百万円となり、自己資本比率は前連結会
計年度に比べ0.7ポイント増加した50.1%となりました。
2.キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローが774百万円の収入に対し、投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得を中心として1,100百万円の支出となり、これらを
合計したフリー・キャッシュ・フローは326百万円の支出となりました。
また、財務活動によるキャッシュ・フローは、設備投資の増加に伴う長期安定資金の確保を目的として新たに1,200百万円の長期借入を行い、短期および長期借入金の返済による支出539百万円ならびに配当金の支払153百万円
と合わせて506百万円の収入となりました。
以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は前連結会計年度末に比べ181百万円増加し445百万
円となりました。
(2)生産、受注及び販売の実績
当社グループは「鋳造関連事業」の単一セグメントであります。
当連結会計年度における実績を品種別に示すと、次のとおりであります。
1.品種別製品生産実績 (百万円)
|
品種別 |
当連結会計年度 |
前年同期比(%)
|
|
素形材 |
7,327 |
18.2 |
|
エンジニアリング |
4,027 |
△11.9 |
|
その他 |
641 |
10.5 |
|
合計 |
11,996 |
5.7 |
(注)1 金額は、製造原価によっております。
2 上記金額には消費税等は含んでおりません。
2.品種別製品受注実績 (百万円)
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品種別 |
当連結会計年度 |
|||
|
受注高 |
前年同期比(%) |
受注残高 |
前年同期比(%) |
|
|
素形材 |
7,603 |
△0.2 |
1,955 |
△19.6 |
|
エンジニアリング |
4,834 |
△17.0 |
1,892 |
△11.7 |
|
その他 |
565 |
△7.7 |
92 |
△10.9 |
|
合計 |
13,003 |
△7.5 |
3,941 |
△15.8 |
(注)1 金額は、販売価格によっております。
2 上記金額には消費税等は含んでおりません。
3.品種別販売実績 (百万円)
|
品種別 |
当連結会計年度 |
前年同期比(%) |
|
素形材 |
8,079 |
21.7 |
|
エンジニアリング |
5,084 |
△17.2 |
|
その他 |
577 |
4.6 |
|
合計 |
13,741 |
3.1 |
(注) 上記金額には消費税等は含んでおりません。
(3)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
1.重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、第5(経理の状況)の連結財務諸表の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
2.当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、前年度に引き続き好調な経営環境に支えられ、経常利益763百万円とROS5.6%の収益を確保することができました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、民間設備投資や公共関連事業の動向による販売量及び販売価額の変動があります。特に鋳鋼品は半導体製造装置向けおよび超大型鉱山機械向けの需要の動向に大きく影響を受けます。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、老朽更新および合理化を目的とした設備投資の増加に伴う長期安定資金の確保を目的として、新たに1,200百万円の長期借入と539百万円の約定弁済を行っており、借入金残高に占める長期借入金の比率を高めております。今後も同水準の設備投資を計画していますが、設備投資効果を含む生産性改善と販売拡大により営業活動によるキャッシュ・フローを主体に賄う予定です。
経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、ROS5%を目標としています。当連結会計年度は前年度に引き続き各分野の需要増加により達成することができましたが、今後の懸念材料として国内では、東京オリンピック後の需要減少リスクがあり、海外では、米中の貿易摩擦やブレグジット等の不確実性の高まりによる景気後退リスク等があります。
今後も継続的に収益を確保していくためには、販売拡大とコスト改善が必要であると認識しています。特に鋳鋼・鋳鉄品においては、国内だけでなく海外展開と新商品開発による販売拡大および生産性の改善による利益率の改善に取り組んでいきます。橋梁部品、柱脚等については固定費の削減により需要の変動に耐えられる体質を目指します。
当社が技術援助を受けている契約
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技術導入先 |
国籍 |
内容 |
対価 |
契約期間 |
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フリードリッヒ マウラーゼーネ |
ドイツ |
橋梁用伸縮装置の製造技術 |
売上高に対する ランニングロイヤルティ |
1985年3月1日より 2019年12月31日まで |
(注)契約期間満了の12ヶ月前までに当事者の一方が解約通知しない限り、2年間ずつ自動延長となっております。
連結財務諸表提出会社の研究開発は、経営戦略に基づいた生産性向上と商品開発及び基礎技術開発を目的として商品開発に必要な各種設備の整備も行い、また、JFEスチール株式会社との共同研究等の連携も行いながら推進しており
ます。
当連結会計年度の主な研究開発の内容は次のとおりであり、研究開発費の総額は
(1)素形材関連開発
2018年度、新規導入した金属3D積層造形設備(3Dプリンター)を用い、競争力が高くかつ将来の発展性が期待される低熱膨張材商品「LEX」に関して新たな分野で開発を行いました。また、当社素形材商品を今までより広い範囲
で適用できるように新規材料開発を進め、材料改善および既存材への機能付加等を推進しました。
① 金属3D積層造形の技術開発
昨年度、当社では30年以上にわたる低熱膨張材料の成分設計・鋳造・熱処理技術を基に、3次元造形品に適
用されるLEX材の開発に成功しました。
その特徴は、「従来の機械加工では不可能な複雑形状の製品を高精度に製造可能」であるとともに、「大幅に工程が省略」できるため「短納期で在庫負担の低減」も実現され、金属粉末の再利用が可能で地球環境にや
さしい製造技術であります。
また、3次元造形品は、従来の製造プロセスとは大きく異なる温度制御が可能であり、「革新的な物性を有した新機能材料の開発」が可能となり、従来の製造方法よりも性質および品質が一層向上できることが確認さ
れました。
今後、お客様のニーズに応じた製品の実用化を目指し開発を進めています。
② LEX-ZERO材の高機能化
LEX-ZEROは「ゼロ膨張」が最大の特徴でありますが、他のLEX材と同様、耐食性やヤング率の改善が必要で
あり、低温安定性の更なる向上が要求されます。
かつて開発されたステンレスインバーは耐食性が高いとされますが実用化・普及が進んでいません。そこでステンレスインバーをベースに実用材の開発を考え、複数鋼種の評価を行いました。その結果、非常に狭い組
成範囲で「ゼロ膨張+高ヤング率+優れた低温安定性+高強度」が得られることが分かりました。
本材料は高価の金属を大量に使うため、鋳造品・鍛造品ではコストパフォーマンス的に普及は難しい場合、
金属3D積層造形品に適用し、高機能化される高商品価値が期待されます。
③ 低温安定性の良好なLEX材の開発
Crは低熱膨張性を阻害するためこれまで不純物として扱ってきましたが、マルテンサイト変態点(Ms点)を低温側に移動する効果が大きいことを利用して当社低熱膨張材LEXの低温安定性を改善することに効果が確認
されました。従来LEX材より低温適用範囲を拡大し、Cr添加により耐候性の改善も期待されます。
(2)エンジニアリング関連開発
利用者が求めている商品テーマの提案を念頭におき、新しい商品のラインナップと既存商品の高機能化を目的として研究開発を行いました。また、道路橋の防災または減災、さらには想定と異なる事態でも貢献する耐震補強製品
と道路橋の老朽化ならびに維持管理対策に貢献する商品の開発を積極的に推進しています。
① 機能分散形式による耐震・免震・制震装置の設計
既設橋梁の耐震補強工事は、機能分散形式、すなわち既設支承に加えて耐震装置を設置する方法が多く採用されています。そのため、既設橋梁に適合した耐震ストッパーや浮き上がり防止装置(上揚力対応)などの開
発を行い、実績を上げています。
また、橋梁用制震装置として、鋼材履歴型ダンパーと粘性系シリンダーダンパーの開発が完了しすでに製品化しています。これらのダンパーを利用して、道路橋の維持管理対策に貢献する商品開発を推進するととも
に、顧客ニーズを満足するための新商品開発と既存商品の改良に努めています。
② 超高減衰ゴム支承(商品名:HDR-S)
橋梁の新設工事は、免震形式が広く採用されています。そのため、高機能性と価格優位性をもつHDR-Sの提案を積極的に行い、堅実な受注成果を上げています。今後は、超高減衰ゴム支承の更なる適用拡大に向けた研
究を行い、拡販と受注増加を図ります。
(3)建材関連商品開発
露出型弾性固定柱脚のNCベースは、下ナット方式のメカニズムが評価され、大スパン構造物、大型倉庫、公共設
備、病院、ホテルなど多岐に渡る建物に採用されています。
近年、JFEスチール殿の建築構造用高強度鋼材(550N/mm2TMCP鋼材)を使用した「鋼板製ベースプレート」を開発
し、高強度柱材への対応が可能になりました。
現在、従来の鋳鋼型から開発した鋼板タイプへの切り替えを推進中であり、更に顧客ニーズにマッチした製品を
開発します。