第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)経営方針

 当社は、日本鋳造グループのすべての役員・社員が共有し、あらゆる活動の拠り所となる経営の基本原則として、経営理念と行動規範を以下のとおり定めています。

 

経営理念

 日本鋳造は、自ら培った技術により、より高い価値・サービスを社会に提供し、貢献していきます。また、それを実行するために社員全員がプライドを持って努力し続けていきます。

行動規範

 ① うそをつかない

 ② 手を抜かない

 ③ まわりの人に配慮し思いやりの気持ちを持とう

 ④ お互い協力しあって仕事しよう

 ⑤ 奉仕と感謝

 

 経営指標としては、ROS(売上高経常利益率) 10%以上、ROE(自己資本利益率)10%以上を目標としております。

 

(2)経営環境

 2020年度の当社を取り巻く経営環境については以下のとおりです。

 2020年度の前半におきましては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により工作機械等の需要は減少しております。また、半導体製造装置向け部品についても、米中貿易摩擦の影響も加わり、その需要は大きく減少しています。しかしながら、2020年度後半から2021年度にかけての半導体製造装置向け部品の需要は、半導体不足の影響もあり増加傾向にあります。

 一方で、2020年度は、製鉄所における高炉改修に伴いこれに使用される部品および道路に使用される防護柵向け部品等の一時的な需要がありました。

 また、エンジニアリング部門では高速道路等の補修工事で使用する橋梁部品等について、一定の需要があり、コロナ禍にあっても大きな影響は受けませんでした。

 

(3)対処すべき課題

 当社は、2020年創立100周年を迎えました。今後事業を継続し、継続的に発展していくためには、グループとしての強みを活かしそれを深化させることが、重要な課題と認識しております。そのために次の施策を実行してまいります。

 

安定的黒字化の実現

 今後継続的に収益を確保していくためにコスト削減とリードタイム削減、品質の向上を図っていきます。

 これを達成するためにIoT(Internet of Things)化やデジタル化を推進し生産性の向上を図っていきます。

変化する環境に対応した働き方の見直し

 新型コロナウイルス感染症対策も踏まえた働き方の見直しを行い、テレワーク・Web会議・押印レス化を推進します。また、RPA(Robotic Process Automation)を活用し、業務の自動化を推進します。

サステナビリティへの取り組み

 新たに取得するISO14001に基づく環境負荷低減やカーボンニュートラルに向けたエネルギーミックスの見直し・省エネルギー化を推進します。また、SDGsに向けた取り組みを実行します。

新商品の開発

 金属3Dプリンター技術や高減衰ゴム支承などの新商品を投入し売上の拡大を図ります。

 

 企業にはこれまで以上に素早く変化に対応する力、将来を見通す力・将来目標へ着実に進む行動力が求められていると言えます。当社はこうした力を発揮していくため、このたび中期経営計画(2021年度~2023年度)を策定しました。この着実な実行により将来に向けた事業基盤の強化と持続的な発展を目指してまいります。

 

2【事業等のリスク】

 当社グループが展開しております事業の主なリスクは次のとおりです。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

リスク項目

リスクシナリオ

リスク対策

①新型コロナウイルス感染症の影響を含む販売市場環境の変化

 

 

 

・新型コロナウイルス感染症拡大に伴う需要減少

・民間設備投資や公共関連事業の動向が当社グループの各需要家(鉄鋼・プラント・産業機械・建設機械・橋梁・建築・自動車等)の経営環境にマイナスの影響を与え、販売量の減少や販売価格が低下する可能性

・設備投資や作業工程見直し、海外OEMによる調達等コスト削減による競争力の確保

・金属3D積層造形品など高機能化・高付加価値
を主体とした新商品開発推進による優位性の確保

②原材料等の需給環境変化

 

 

 

・当社グループが調達している原材料(銑鉄・鋼屑・非鉄金属・合金及び鋼材・ゴム等)の価格が、世界的・地域的需給や投機的動向により高騰し、販売市場価格に転嫁できない可能性

・原単位の向上

・安価原料への切替

③為替レートの変動

・海外OEM品の調達価格の上昇の可能性

・外貨入金を支払に充て、為替影響を軽減

④金利の変動

 

・金利上昇による負担増の可能性

・借入金の削減、借入先の分散

・金利負担と安定資金の確保を考慮した借入金に占める長期借入金の比率の最適化

⑤保有固定資産及び保有株式等の資産価値の変動

・保有株式・土地の時価下落の可能性

・収益性低下による固定資産の減損の可能性

・保有目的および保有メリットを勘案し保有対象を厳選

⑥退職給付債務計算の前提条件の変動

 

・退職給付債務計算の前提条件の変動により、退職給付費用が増加する可能性

・前提条件の変動による影響の適時、適切な把握

⑦法令・公的規制

 

 

 

・「環境」、「労働・安全衛生」、「租税」、「独占禁止法等の経済法規」、「建設業法等の事業関連法規」、その他法令・公的規制が改正もしくは変更され、業績に影響を及ぼす可能性

・法令・公的規制の改正動向および変更内容の適時把握

⑧品質リスク

 

 

 

・重大クレーム(品質クレーム・納期遅延)発生やクレーム頻発等により信頼性が低下し、大幅なシェアダウンにより業績に影響を及ぼす可能性

・試験機更新等による検査データの信頼性向上

・全社QA教育の実施等や、不良品撲滅に向けたPDCA活動の推進

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1)経営成績等の状況の概要

財政状態及び経営成績の状況

 上記に示した経営環境を反映して、素形材部門での売上高は前年度比0.1%の減少となりました。また、エンジニアリング部門での売上高は前年度比2.2%の減少となりました。

 その結果、素形材部門とエンジニアリング部門他を合計した連結売上高は11,902百万円と前年度比1.6%減少となりました。

 しかし、営業利益については品種構成の影響と製造コスト削減(生産原単位の改善、調達ソースの見直し)により前年度比16.9%増の497百万円となりました。営業外収益ではPCB処理引当金戻入額77百万円等を計上し、経常利益は589百万円となりました。特別損益では非連結子会社の白石興産株式会社の清算結了に伴い15百万円の子会社清算益を計上しました。その他、固定資産除売却損26百万円と北秋田市に保有する土地の賃貸終了に伴う減損損失20百万円を計上し、親会社株主に帰属する当期純利益は435百万円となりました。

 

キャッシュ・フローの状況・資本の財源及び資金の流動性

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローが1,538百万円の収入となりました。また、投資活動によるキャッシュ・フローは、老朽更新及び生産性向上とコストダウンを目的とした投資を実行したことにより813百万円の支出となりました。これらを合計したフリー・キャッシュ・フローは724百万円の収入となりました。

 これに対して、財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の返済による支出302百万円(長期借入金の返済による支出402百万円と短期借入による収入100百万円)と配当金の支払128百万円と合わせて431百万円の支出となりました。

 以上の結果、有利子負債は、2,532百万円から2,230百万円と302百万円削減され、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、489百万円となり前連結会計年度末に比べ293百万円増加いたしました。

 

 資金調達の方法については、主として金融機関からの借り入れにより行っております。2018年における設備投資資金の増分については、長期借入金により調達しておりましたが、今後は、投資効果によるキャッシュ・フローの収入分で賄う予定です。長期借入金(一年内返済長期借入金含む)と短期借入金の比率は、当連結会計年度末で35%:65%となっております。

 

生産、受注及び販売の実績

 当社グループは「鋳造関連事業」の単一セグメントであります。

 当連結会計年度における実績を品種別に示すと、次のとおりであります。

 

a.品種別製品生産実績                                              (百万円)

品種別

当連結会計年度

 

前年同期比(%)

 

素形材

6,035

4.3

エンジニアリング

3,391

9.7

その他

410

44.2

合計

9,837

4.9

  (注)1 金額は、製造原価によっております。

 2 上記金額には消費税等は含んでおりません。

 

b.品種別製品受注実績                                       (百万円)

品種別

当連結会計年度

受注高

前年同期比(%)

受注残高

前年同期比(%)

素形材

7,362

1.2

3,078

24.7

エンジニアリング

4,967

1.9

2,132

11.6

その他

374

15.9

32

47.4

合計

12,704

0.9

5,242

18.1

  (注)1 金額は、販売価格によっております。

 2 上記金額には消費税等は含んでおりません。

 

c.品種別販売実績                                    (百万円)

品種別

当連結会計年度

前年同期比(%)

素形材

6,752

0.1

エンジニアリング

4,746

2.2

その他

403

15.2

合計

11,902

1.6

  (注)1 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自  2019年4月1日

至  2020年3月31日)

当連結会計年度

(自  2020年4月1日

至  2021年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

JFEエンジニアリング

株式会社

777

6.4

1,393

11.7

2 上記金額には消費税等は含んでおりません。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。

 

当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容および資金需要の動向

 当連結会計年度におきましては、コロナ禍にも関わらず、連結売上高は、1.6%の微減にとどまっています。これは、素形材部門の主力製品である大型建機向け部品と半導体製造装置向け部品の落ち込みが少なかったこと及び高炉改修等による改修に使用する部材の一時的な需要があったことによるものです。また、橋梁分野についても、高速道路の補修や、公共工事などは、コロナ禍においても発注が継続しており安定しております。2020年度は電力原単位の低減、外注作業の取り込み、生産効率の向上等による変動費削減に取り組み、製造コストを削減致しました。今後はさらに、設備の稼働率を向上させる事を目的に設備集約等を行うことも検討してまいります。

 資金需要につきましては、中期経営計画で予定している通り今後も積極的な設備投資を継続するため引き続き高水準で推移する見込みです。

 一方で、すでにおこなった合理化投資の回収が進むため今後借入金総額は、減少していく見込みです。

 その結果、長期借入金と短期借入金の金額は、ほぼ同額となる見通しです。

 

重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。

 なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、第5(経理の状況)の連結財務諸表の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

 また、新型コロナウイルス感染症の影響については、第5(経理の状況)の連結財務諸表の「追加情報」に記載のとおりであります。

 

 

4【経営上の重要な契約等】

 当社が技術援助を受けている契約

技術導入先

国籍

内容

対価

契約期間

フリードリッヒ

マウラーゼーネ

ドイツ

橋梁用伸縮装置の製造技術

売上高に対する

ランニングロイヤルティ

1985年3月1日より

2021年12月31日まで

 (注)契約期間満了の12ヶ月前までに当事者の一方が解約通知しない限り、2年間ずつ自動延長となっております。

 

 

5【研究開発活動】

 連結財務諸表提出会社の研究開発は、経営戦略に基づいた生産性向上と商品開発及び基礎技術開発を目的として商品開発に必要な各種設備の整備も行い、また、JFEスチール株式会社との共同研究等の連携も行いながら推進しております。
 当連結会計年度の主な研究開発の内容は次のとおりであり、研究開発費の総額は201百万円であります。

 

1.素形材関連開発

(1)金属3D積層造形の技術開発

 昨年に引き続き低熱膨張材料におけるブロック素材からの切削加工品を金属3D積層造形品へ置き換えることを目的に試作品の造形を実施しました。その結果、1社より量産造形の注文を受注することが出来ました。今後さらなる受注拡大に向け開発を進めていきます。

 金属3D積層造形機を使用することにより、鋳造材では出来なかったCoを添加することなく熱膨張率がゼロの低熱膨張材料の開発に成功しました。また、この低熱膨張メカニズムを解明するため共同研究を行っています。

 金属3D積層造形の造形能率向上、コスト削減のために、品質を確保したうえで1回の造形積層厚みを2倍にした造形方法の開発に成功しました。

 金属3D積層造形用の低Co低熱膨張材料及び高強度・高靭性鉄基材料の粉末とその積層造形方法の特許の出願をいたしました。

 

(2)新機能材料の開発

 低熱膨張材料用の溶接ワイヤーの開発を行いました。また、本ワイヤーを使用し、金属粉末による3D積層造形より大型の製品が製造可能なアーク溶接を応用した積層造形(WAAM)での製品試作を行いました。

 

(3)製造技術の開発

 低熱膨張材料の鍛造品の歩留まり、品質向上のため、鍛造素材の製造方法、形状及び鍛造方法の試験研究を行い、表面割れがほぼ発生しない鍛造品を製造することが出来ました。今後さらに歩留まり、品質向上に向け試験研究を続けていきます。

 コスト削減を目的として当社の溶解炉での成分調整を行わず、高炉溶銑をそのまま使用してのFCV及びFCD鋳型を鋳造する製造技術の開発に成功しました。

 

 

2.エンジニアリング関連開発

(1)超高減衰ゴム支承(HDR-S)

 HDR-Sは、大規模橋梁の新設工事などで採用の多い免震形式への提案に努め、実績をあげています。今後、更なる拡販に向けてHDR-Sを提案するとともに、これまで開発を進めてきた橋梁用の新しい高減衰ゴム支承(HDReX)の実適用を図っていきます。

 

(2)ディスク型高面圧ゴム支承(DRB)

 DRBは、固定可動形式の橋梁に適用するコンパクトな支承で、受注成果をあげています。本技術は、平成29(2017)年11月改訂版の道路橋示方書・同解説と平成30(2018)年12月改訂版の道路橋支承便覧に記載の限界状態設計法に対応するため、令和3(2021)年1月に一般財団法人土木研究センターで「建設技術審査証明」を更新しました。今後も、更なる適用拡大に努めるとともに、コンパクト化とコストダウンをテーマに研究を実施し、拡販を図ります。

 

(3)耐震・制震装置

 耐震補強工事や高速道路の大規模なリニューアル工事では、既設支承の取替えに加えて、耐震デバイスを設置することがあります。このことから、当社の独自性を生かした耐震ストッパーや段差防止装置などの開発に努めています。顧客の様々なご要望に対応できるよう、品揃えの充実を図り、拡販に努めます。