第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)経営方針

 当社は、日本鋳造グループのすべての役員・社員が共有し、あらゆる活動の拠り所となる経営の基本原則として、経営理念と行動規範を以下のとおり定めています。

 

経営理念

 日本鋳造は、自ら培った技術により、より高い価値・サービスを社会に提供し、貢献していきます。また、それを実行するために社員全員がプライドを持って努力し続けていきます。

行動規範

 ① うそをつかない

 ② 手を抜かない

 ③ まわりの人に配慮し思いやりの気持ちを持とう

 ④ お互い協力しあって仕事しよう

 ⑤ 奉仕と感謝

 

 経営指標としては、ROS(売上高経常利益率)10%以上、ROE(自己資本利益率)10%以上を目標としております。

 

(2)経営環境

 当連結会計年度における経営環境は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた2020年度からは需給環境が回復し、国内企業の業況感も全体として改善しました。

 当社の素形材部門では、半導体製造装置向け鋳鋼品、工作機械向け鋳鉄品の受注が増加しました。また、国内鉄鋼業の収益拡大を背景に製鉄所高炉改修で使用される部材や特殊鋼向け鋳型を順調に受注、出荷しました。同様に、鉱山機械向け鋳鋼品も下期より回復し増産に転じました。

 エンジニアリング部門に於いても、高速道路等の補修工事で使用する橋梁部品等の需要が安定し豊富な受注残を確保しています。

 

(3)対処すべき課題

 当社グループとしての強みを活かしそれを深化させることが、会社の今後の継続的な発展につながると認識しております。そのために次の施策を着実に実行してまいります。

 

① 素形材事業

・半導体需要増に伴う生産体制の見直しや更なる生産効率の向上

・JFEスチール株式会社東日本製鉄所京浜地区上工程休止やエヌケーケーシームレス鋼管株式会社の2022年度内の

 解散に伴う当社鋳鋼工場池上地区と川崎地区の機能分担の見直し

・押湯切断ロボット、中子自動造型装置などのロボット化・IOT化の推進

・川崎工場動線解析の適用場所の拡大に加えてAI適用による作業分析の高度化などAI化の促進

② エンジニアリング事業

・鋼製支承、ゴム支承の業界シェア向上のための経営資源の投入

③ システム刷新

・素形材営業システム開発・稼働、エンジニアリング営業システムの開発・稼働

④ SDGsへの取り組み

・当社CSR重要課題への取り組みを通じたSDGsへの貢献

・カーボンニュートラルへの挑戦

 ⅰ)太陽光パネルの増設

 ⅱ)燃料電池の活用

 ⅲ)都市ガスの一部を水素ガスに転換

⑤ 多様な働き方

・テレワークの仕組み制度化・定着

・本社在席社員の所在管理システム導入

 

 2022年度は、アフターコロナ、ウィズコロナの環境下での世界経済活動の不透明さやロシア・ウクライナ情勢に起因するエネルギー・原材料価格の高騰など不確実性が高まっていますが、事業環境の見極め・迅速な環境変化への対応を行い、事業の持続的発展を目指していきます。

 

2【事業等のリスク】

 当社グループが展開しております事業の主なリスクは次のとおりです。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

リスク項目

リスクシナリオ

リスク対策

①新型コロナウイルス感染症の影響を含む販売市場環境の変化

 

 

 

・新型コロナウイルス感染症拡大に伴う需要減少

・民間設備投資や公共関連事業の動向が当社グループの各需要家(鉄鋼・プラント・産業機械・建設機械・橋梁・建築・自動車等)の経営環境にマイナスの影響を与え、販売量の減少や販売価格が低下する可能性

・設備投資や作業工程見直し、海外OEMによる調達等コスト削減による競争力の確保

・金属3D積層造形品など高機能化・高付加価値
を主体とした新商品開発推進による優位性の確保

②ロシア・ウクライナ問題に伴う原材

 料等の需給環境変化

 

 

 

・当社グループが調達している原材料(銑鉄・鋼屑・非鉄金属・合金及び鋼材・ゴム等)の価格が、世界的・地域的需給や投機的動向により高騰し、販売市場価格に転嫁できない可能性

・原単位の削減

・安価原料への切替

・販売価格改善

③為替レートの変動

・海外OEM品の調達価格の上昇の可能性

・外貨入金を支払に充て、為替影響を軽減

・円安への対応

④金利の変動

 

・金利上昇による負担増の可能性

・借入金の削減、借入先の分散

・金利負担と安定資金の確保を考慮した借入金に占める長期借入金の比率の最適化

・棚卸資産圧縮

⑤保有固定資産及び保有株式等の資産価値の変動

・保有株式・土地の時価下落の可能性

・収益性低下による固定資産の減損の可能性

・保有目的および保有メリットを勘案し保有対象を厳選

⑥退職給付債務計算の前提条件の変動

 

・退職給付債務計算の前提条件の変動により、退職給付費用が増加する可能性

・前提条件の変動による影響の適時、適切な把握

⑦法令・公的規制

 

 

 

・「環境」、「労働・安全衛生」、「租税」、「独占禁止法等の経済法規」、「建設業法等の事業関連法規」、その他法令・公的規制が改正もしくは変更され、業績に影響を及ぼす可能性

・法令・公的規制の改正動向および変更内容の適時把握

⑧品質リスク

 

 

 

・重大クレーム(品質クレーム・納期遅延)発生やクレーム頻発等により信頼性が低下し、大幅なシェアダウンにより業績に影響を及ぼす可能性

・試験機更新等による検査データの改ざん防止

・全社QA教育の実施等や、不良品撲滅に向けたPDCA活動の推進

⑨情報管理リスク

・コンピュータ-ウイルス、サイバーテロにより重要情報や機密情報が漏えいもしくは消失する可能性

・脆弱性の再点検とセキュリティ体制の強化

・コンピューターウイルス・サイバーテロ対策の教育訓練強化

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1)経営成績等の状況の概要

財政状態及び経営成績の状況

 上記に示した経営環境を反映して、当連結会計年度の売上高は12,106百万円(前年度比1.7%増)となり、営業利益は787百万円(前年度比58.5%増)、経常利益は814百万円(前年度比38.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は663百万円(前年度比52.3%増)となりました。

 

キャッシュ・フローの状況・資本の財源及び資金の流動性

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローが売上債権や棚卸資産など運転資金の増加により427百万円の支出となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、老朽更新及びコストダウンを目的とした有形固定資産の取得による500百万円の支出やシステム改善など無形固定資産の取得による80百万円の支出と投資有価証券の売却による349百万円の収入等で248百万円の支出となり、これらを合計したフリー・キャッシュ・フローは675百万円の支出となりました。

 財務活動によるキャッシュ・フローは510百万円の短期借入および500百万円の長期借入の実行と340百万円の長期借入金の返済を行った結果、有利子負債は2,230百万円から2,900百万円と670百万円増加し、配当金の支払128百万円等と合わせて541百万円の収入となりました。

 以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は前連結会計年度末に比べ133百万円減少し356百万円となりました。

 

 資金調達の方法については、主として金融機関からの借り入れにより行っております。長期借入金(一年内返済長期借入金含む)と短期借入金の比率は、当連結会計年度末で32%:68%となっております。

 

生産、受注及び販売の実績

 当社グループは「鋳造関連事業」の単一セグメントであります。

 当連結会計年度における実績を品種別に示すと、次のとおりであります。

 

a.品種別製品生産実績                                              (百万円)

品種別

当連結会計年度

 

前年同期比(%)

 

素形材

7,037

16.6

エンジニアリング

3,196

△5.8

その他

491

19.8

合計

10,724

9.0

  (注)金額は、製造原価によっております。

 

b.品種別製品受注実績                                       (百万円)

品種別

当連結会計年度

受注高

前年同期比(%)

受注残高

前年同期比(%)

素形材

7,391

0.4

3,057

△0.7

エンジニアリング

5,257

5.8

3,172

48.8

その他

507

35.6

62

92.7

合計

13,156

3.6

6,292

20.0

  (注)金額は、販売価格によっております。

 

c.品種別販売実績                                    (百万円)

品種別

当連結会計年度

前年同期比(%)

素形材

7,411

9.8

エンジニアリング

4,217

△11.2

その他

477

18.3

合計

12,106

1.7

  (注)1 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自  2020年4月1日

至  2021年3月31日)

当連結会計年度

(自  2021年4月1日

至  2022年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

JFEエンジニアリング

株式会社

1,393

11.7

933

7.7

JFEスチール株式会社

1,005

8.4

1,644

13.6

 

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。

 

当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容および資金需要の動向

 当連結会計年度の売上高は12,106百万円(前年度比1.7%増)、営業利益は787百万円(前年度比58.5%増)、経常利益は814百万円(前年度比38.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は663百万円(前年度比52.3%増)となりました。

 売上高は素形材部門に於きましては、第2 1(2)経営環境で示した通り受注環境が好転し、7,411百万円(前年度比9.8%増)となりました。エンジニアリング部門に於きましては、橋梁部品等の需要が安定し豊富な受注残を確保しましたが、一部のプロジェクトで工程変更による出荷時期の遅れが生じたこともあり4,217百万円(前年度比11.2%減)となりました。その他、福山製造所請負作業および鋳造機械部品の売上は477百万円(前年度比18.3%増)となりました。

 売上総利益は原材料高騰によるコストの上昇がある一方で、生産性改善や外注加工内製化の実行、増産による操業度上昇によりコスト改善が進捗、さらに資材費削減等の合理化推進により限界利益率が上昇し1,998百万円(前年同期比15.5%増)となりました。

 以上の結果、経常利益は814百万円(前年度比38.3%増)の黒字となりました。特別利益では、投資有価証券売却益161百万円を計上し、親会社株主に帰属する当期純利益は663百万円(前年度比52.3%増)となりました。

 資金需要につきましては、中期経営計画で予定している通り今後も積極的な設備投資を継続するため引き続き高水準で推移する見込みです。

 一方で、すでにおこなった合理化投資の回収が進むため今後借入金総額は、減少していく見込みです。

 

重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。

 なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、第5(経理の状況)の連結財務諸表の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

 

4【経営上の重要な契約等】

 当社が技術援助を受けている契約

技術導入先

国籍

内容

対価

契約期間

フリードリッヒ

マウラーゼーネ

ドイツ

橋梁用伸縮装置の製造技術

売上高に対する

ランニングロイヤルティ

1985年3月1日より

2023年12月31日まで

 (注)契約期間満了の12ヶ月前までに当事者の一方が解約通知しない限り、2年間ずつ自動延長となっております。

 

 

5【研究開発活動】

 当連結会計年度の主な研究開発の内容は次のとおりであり、研究開発費の総額は174百万円であります。

 

1.素形材関連開発

「常にお客様を意識した活動に徹する」ことを方針とし、以下の活動を行っております。

(1)金属3Dプリンターによる新商品開発

 環境負荷低減に資するコバルトフリーの低熱膨張性合金を用いた3Dプリンター品については完成に至り、特許登録を完了いたしました。旺盛な半導体需要に応えるべく、量産技術の開発に着手しております。

 新商品の開発につきましては、当社独自材料であるLEXと金属3Dプリンター造形技術をもとに、下記の3点を中心に展開しております。

 独自商品(複雑形状・軽量高強度構造・材料特性の大幅な向上)の開発

 小型・少量機械加工品からの置き換え

 製品の大型化に向けた研究開発

 

(2)鋳造プロセス革新

 鋳造工程において、ロボット技術を導入し、鋳造プロセスの高精度化・品質のばらつき低減・自動化によるコストダウンを図る技術を積極的に開発しております。

 本年度は、押し湯切断工程におけるロボット導入を皮切りに、砂型3Dプリンター技術の開発や、溶接工程等におけるロボット化を推進し、製造工程の革新を進めてまいります。

 

(3)生産プロセスのデジタル化

 人的作業に関し、AIによる動線解析を行い作業効率を大幅に向上させると共に、画像処理による製品の欠陥検出を行い、デジタル化を進めてまいります。

 

2.エンジニアリング関連研究開発

(1)高性能型高減衰ゴム支承(HDReX)の市場導入

 開発を進めて参りましたHDReXは、製品化と国土交通省の新技術情報提供システム(NETIS)への登録を完了いたしました。HDReXは、従来の超高減衰ゴム支承(HDR-S)の性能をさらに高めた次世代の免震ゴム支承です。今後は、免震ゴム支承の拡販に向け、HDReXを積極的に提案すると同時に、更なる高機能化・高付加価値化を目指し、引き続き商品開発に尽力してまいります。

 

(2)独自技術を生かした新しい水平力分担装置(DCストッパー)の開発

 当社の高じん性鋳鋼を用いたDCストッパーは、製品化と特許取得を完了いたしました。DCストッパーは、支承部に設置される水平力分担装置で、橋梁の耐震性向上のみならず、想定を上回る地震動が生じた場合でも橋梁の危機耐性向上に寄与いたします。今後は、このような付加価値をもつDCストッパーを積極的に提案するとともに、お客様の様々なご要望に対応しながら、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。