第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 日本鋳造は常に高い技術と社員の努力によって、「品質の日本鋳造」を実現し、社会に貢献することを通じて、企業の持続的成長を図り、株主の皆様をはじめ全てのステークホルダーにとっての企業価値の向上に努める

ことを経営理念としています。

 当社グループは1920年の創立以来、技術を基盤とした事業活動を行っています。2020年に迎える100周年、更に

その先まで継続して会社を発展させるため、事業活動の実践において以下の項目に重点的に取り組んでいます。

 

 ① お客様にとって価値ある商品・サービスを価値に見合った価格で提供する。

 ② 社会との協調性をもち誠実で公正な事業活動を行う社会に開かれた会社を目指す。

 ③ 企業活動における全ての品質を高め、社員ひとりひとりが会社に誇りを持てる会社を目指す。

 

 経営指標としては、ROS(売上高経常利益率) 5%を目標としております。

 

 当期の日本経済は、輸出が底堅く推移するとともに製造業では設備投資が増加し、建設分野では首都圏再開発・東京オリンピック関連需要の増加もあり、総じて堅調に推移しました。こうした環境下にあって当社での取扱い商品では、鋳鋼品が半導体製造装置向けおよび超大型鉱山機械向けの需要が増加し、橋梁部品、柱脚等も建設分野で需要が増加しました。

 一方、今後の懸念材料として国内では東京オリンピック後の需要減少、海外は中国経済の下振れリスクや保護主義の拡大リスク等があります。今後も継続的に収益を確保していくためには、鋳鋼・鋳鉄品における収益確保と人材育成の課題に取り組んでいくことが必要であると認識しています。

 このために次の施策を着実に実行して参ります。

 

 ① 販売・受注拡大(海外展開、新規顧客、新商品開発)

 ② 生産性改善

 ③ 品質改善(試験機・検査装置導入)

 ④ 階層別教育の充実や積極的な人事ローテーション等による人材育成

 

 

2【事業等のリスク】

 当社グループが展開しております事業は、様々な要因により収益性等が左右されます。こうした要因になる可能性のある主なリスクは次のとおりです。

(1) 事業環境

① 経済状況と販売市場環境

 当社グループの事業は、鉄鋼・プラント・産業機械・建設機械・橋梁・建築・自動車等の各需要分野の環境に依存しており、各商品市場や地域において競合他社との競争の中で販売展開を行っております。
 民間設備投資や公共関連事業の動向により販売量及び販売価額に影響を及ぼす可能性があります。

② 原材料等の需給環境

 当社グループは、各商品の原材料として、銑鉄・鋼屑・非鉄金属・合金鉄及び鋼材・ゴム等を調達しております。
 これらの原材料は、世界的、地域的需給や投機的動向により価額が変動し、販売市場価額に転嫁できない可能性があります。
 また国内の需給状況がコストに影響を及ぼします。

③ その他の収益変動要因には、次の様な要因が含まれます。

・新商品等の開発状況

・設備投資等の効果発揮状況

・顧客への商品供給に関する状況(品質・納期含む)

・取引先での当社が予期できない状況

(2)その他の外的要因として、次の様な要因が収益又は資産価値に影響を及ぼす可能性があります。

① 為替レートの変動
② 金利の変動
③ 法令・公的規制(環境、労働・安全衛生、租税、独占禁止法等の経済法規、建設業法等の事業関連法規、

  その他法令・公的規制)
④ 保有固定資産及び保有株式等の資産価値の変動
⑤ 退職給付債務計算の前提条件の変動

 

 

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

 

1.財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度における日本経済は、輸出が底堅く推移するとともに、製造業では設備投資が増加し、建設分野では、首都圏再開発・東京オリンピック関連需要の増加もあり、総じて堅調に推移しました。こうした環境下にあって当社グループでは、鋳鋼品については半導体製造装置向けおよび超大型鉱山機械向けの需要が増加し、受注については前年度比40.0%の増加となり、売上高については26.7%の増加となりました。一方の、橋梁部品、柱脚等は東京オリンピック関連需要の本格化等により、受注は前年度比12.0%増加し、売上高は59.4%の増加となりました。

 以上の結果、連結売上高は13,330百万円と、前年度比38.7%の増加となりました。連結経常利益は、売上高の増加に加えて、前年度に計上した品質対策や評価減等の一過性の費用がなくなり769百万円となりました。特別損益では、高濃度PCBコンデンサの廃棄物処理費用が軽減制度の適用により減少し、151百万円のPCB処理引当金戻入額を計上しました。これにより598百万円の親会社株主に帰属する当期純利益となりました。

 

 総資産は、売上高の増加に伴い受取手形及び売掛金の増加と老朽更新および合理化を目的とした設備投資による固定資産の増加等により前連結会計年度末に比べ2,032百万円増加し、20,305百万円となりました。

 負債は、売上高の増加に伴う支払手形及び買掛金の増加と設備投資に伴う借入金の増加により、1,480百万円増加し、10,268百万円となりました。

 また、純資産は親会社株主に帰属する当期純利益とその他有価証券評価差額金の増加により、10,037百万円となり

ましたが、自己資本比率は総資産の増加により前連結会計年度末に比べ2.5ポイント減少し、49.4%となりました。

 

2.キャッシュ・フローの状況

 営業活動によるキャッシュ・フローが680百万円の収入に対し、投資活動によるキャッシュ・フローは、老朽更新および合理化を目的とした設備投資による有形固定資産の取得856百万円の支出と情報システム投資など無形固定資産の取得等と合わせて888百万円の支出となり、営業活動によるキャッシュ・フローと合計したフリー・キャッシュ・フローは208百万円の支出となりました。

 また財務活動によるキャッシュ・フローは、設備投資の増加に伴う長期安定資金の確保を目的として新たに1,000

百万円の長期借入を行い、短期および長期借入金の返済による支出676百万円ならびに配当金の支払76百万円と合わ

せて245百万円の収入となりました。

 以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は前連結会計年度末に比べ37百万円増加し264百万円となりました。

 

(2)生産、受注及び販売の実績

 当社グループは「鋳造関連事業」の単一セグメントであります。

 当連結会計年度における実績を品種別に示すと、次のとおりであります。

 

1.品種別製品生産実績                                              (百万円)

品種別

当連結会計年度

 

前年同期比(%)

 

素形材

6,198

17.1

エンジニアリング

4,572

39.4

その他

580

△12.3

合計

11,350

22.9

  (注)1 金額は、製造原価によっております。

 2 上記金額には消費税等は含んでおりません。

 

2.品種別製品受注実績                                       (百万円)

品種別

当連結会計年度

受注高

前年同期比(%)

受注残高

前年同期比(%)

素形材

7,616

40.0

2,432

67.2

エンジニアリング

5,826

12.0

2,143

△12.8

その他

612

20.1

104

141.9

合計

14,055

26.0

4,679

18.3

  (注)1 金額は、販売価格によっております。

 2 上記金額には消費税等は含んでおりません。

 

3.品種別販売実績                                    (百万円)

品種別

当連結会計年度

前年同期比(%)

素形材

6,638

26.7

エンジニアリング

6,139

59.4

その他

551

6.7

合計

13,330

38.7

  (注) 上記金額には消費税等は含んでおりません。

 

(3)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。

 

1.重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。

 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、第5(経理の状況)の連結財務諸表の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

2.当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、好調な経営環境に支えられ、経常利益769百万円とROS5.8%の収益を確保することができました。

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、民間設備投資や公共関連事業の動向による販売量及び販売価額の変動があります。特に鋳鋼品は半導体製造装置向けおよび超大型鉱山機械向けの需要の動向に大きく影響を受けます。

当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、老朽更新および合理化を目的とした設備投資の増加に伴う長期安定資金の確保を目的として、短期借入金を320百万円減額し、新たに1,000百万円の長期借入と356百万円の約定弁済を行っており、借入金残高に占める長期借入金の比率を高めております。今後も同水準の設備投資を計画していますが、設備投資効果を含む生産性改善と販売拡大により営業活動によるキャッシュ・フローを主体に賄う予定です。

経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、ROS5%を目標としています。当連結会計年度は各分野の需要増加により達成することができましたが、今後の懸念材料として国内では、東京オリンピック後の需要減少リスクがあり、海外は中国経済の下振れリスクや保護主義の拡大リスク等があります。

今後も継続的に収益を確保していくためには、販売拡大とコスト改善が必要であると認識しています。特に鋳鋼・鋳鉄品においては、国内だけでなく海外展開と新商品開発による販売拡大および生産性の改善による利益率の改善に取り組んでいきます。橋梁部品、柱脚等については固定費の削減により需要の変動に耐えられる体質を目指します。

 

4【経営上の重要な契約等】

 当社が技術援助を受けている契約

技術導入先

国籍

内容

対価

契約期間

フリードリッヒ

マウラーゼーネ

ドイツ

橋梁用伸縮装置の製造技術

売上高に対する

ランニングロイヤルティ

昭和60年3月1日より

平成31年12月31日まで

 (注)契約期間満了の12ヶ月前までに当事者の一方が解約通知しない限り、2年間ずつ自動延長となっております。

 

 

5【研究開発活動】

 連結財務諸表提出会社の研究開発は、経営戦略に基づいた生産性向上と商品開発及び基礎技術開発を目的として商品開発に必要な各種設備の整備も行い、また、JFEスチール株式会社との共同研究等の連携も行いながら推進しており

ます。
 当連結会計年度の主な研究開発の内容は次のとおりであり、研究開発費の総額は56百万円であります。

 

(1)素形材関連開発

 平成29年度は、当社素形材商品の中で競争力が高くかつ将来の発展性が期待される超精密分野向けの低熱膨張材

商品「LEX」に関する開発を中心に、新規材料や改良材の開発および既存材への機能付加等を推進しました。

 

1. 新規材料

① 金属3D積層造形向けLEX-ZERO(ゼロ膨張材)

 LEX材に金属3D積層造形技術を適用すると熱膨張特性や低温安定性の向上が図れることを見出しました。この現象を利用した金属3D積層造形プロセスを前提とする合金設計法を考案し、それに基づいた組成合金材で金属3D積層造形し、諸特性を評価しました。その結果、「ゼロ」膨張でかつ、低温安定性が

標準のLEX-ZEROに比べ大幅に向上した画期的な材料を開発することができました。

② 低炭素系中温用LEX材の開発

 現行の中温(20~400℃)用LEX 40Kは高炭素系材料であるため、溶接性や低熱膨張性に課題があります。そこで、これらの課題を解消する目的で低炭素系の中温用LEX材の開発を行いました。その結果、

20~400℃間の平均熱膨張係数がLEX 40Kより大幅に低減した材料を開発しました。この材料は低炭素であるため熱間加工性にも優れ、鍛造により内部品質を鋳造材に比べ飛躍的に改善することが可能であり

ます。

 

2. 改良材・付加機能材

① 高ヤング率LEX材

 液晶露光装置には高ヤング率低熱膨張の部材が適用されており、部材熱膨張係数(α)が1.75 ppm/℃クラスの機種向けにLEX-18Eを開発済みでありますが、競合他社が独占しており参入できていません。そこで次世代機種への参入を目指し、LEX-18Eをベースに、ヤング率≧145GPaかつα≦1.0ppm/℃を目標と

するLEX-10E材料を開発しました。

② LEX-ZEROへの表面溶射コーティング

 半導体製造装置の一つであるプラズマエッチング装置部材へのLEX-ZEROの適用には、耐プラズマ性が要求されます。溶射メーカと共同で部材表面に特殊溶射層を与える試験を行いました。その結果、被溶射性、被膜の密着性、耐プラズマ性は非常に良好で、LEX-ZEROへの特殊溶射は実用的であることが確認

され、商品化を進めています。

 

 

(2)エンジニアリング関連開発

 利用者サイドに立った提案を念頭におき、既存商品の高機能化、高付加価値化を主体とした研究開発を行いました。今後、道路の防災・減災対策に貢献できる耐震補強分野の技術開発や道路の老朽化対策に貢献できる商品開発を

積極的に推進します。

 

① 機能分離型支承による耐震・免震・制震設計

 近年の耐震補強の分野でも、既設支承に加えて耐震デバイスを設置する方法、すなわち、機能を分離した方法が広く採用されています。橋梁用制震部材として機能分離支承の商品ラインナップを充実化させるため、新

たに鋼材系や粘性系ダンパーの開発を実施し、製品化しています。
 また、低降伏点鋼を使用したレンズ型せん断パネルダンパーやシリンダー型ダンパーを橋梁用耐震補強部材として、既設橋梁耐震ストッパーや上揚力対応装置等に適用し、今後、顧客ニーズに満足する既存商品の改良

や新商品開発に努めています。

 

② Disk Rubber Bearing支承(商品名:DRB支承)

 固定可動形式橋梁に適用するコンパクト化したゴム支承の商品化を行い、受注が増えています。本技術を更なる活用のため、一般財団法人・土木技術センターの建設技術審査証明書を取得しています。今後、更なる適

応拡大及びコストダウンの研究を進め、拡販を図ります。

 

 

(3)建材関連開発

 露出型弾性固定柱脚のNCベースは、下ナット方式のメカニズムが評価され、大スパン構造物、大型倉庫、公共設備、病院、ホテルなど多岐に渡る建物に採用され、開発を続けてきたPシリーズを販売開始しました。また、JFEスチール殿の建築構造用高強度鋼材(550N/mm2TMCP鋼材)が適用される鋼板製ベースプレートを開発し、鉄骨構造の軽

量化が図れる高強度柱材に対応可能で、製造期間も短縮されました。

 今後、従来の鋳鋼型から開発した鋼板タイプへの切り替えを推進し、更に顧客ニーズにマッチした製品を開拓し

ます。