(1)経営方針
当社は、日本鋳造グループのすべての役員・社員が共有し、あらゆる活動の拠り所となる経営の基本原則として、経営理念と行動規範を以下のとおり定めています。
経営理念
日本鋳造は、自ら培った技術により、より高い価値・サービスを社会に提供し、貢献していきます。また、それを実行するために社員全員がプライドを持って努力し続けていきます。
行動規範
① うそをつかない
② 手を抜かない
③ まわりの人に配慮し思いやりの気持ちを持とう
④ お互い協力しあって仕事しよう
⑤ 奉仕と感謝
経営指標としては、ROS(売上高経常利益率)10%以上、ROE(自己資本利益率)10%以上を目標としております。
(2)経営環境
当連結会計年度においては、素形材関連では半導体製造装置向け鋳鋼品の販売が上期では低調だったものの、下期は持ち直しております。一方、鉱山機械向けでは大幅な減少が続き、素形材全体の販売は前年度より落ち込みました。
エンジニアリング関連では、モノレール軌道向け支承の取り込みが予定通り進み、建築用柱脚も物流倉庫の需要により堅調な業績となりました。
(3)対処すべき課題
2025年度は、米国の関税政策に伴う貿易の不安定化に加え、米国・中国間の貿易戦争などによる経済の先行き不透明感、為替や金利の変動、急激なインフレやエネルギー価格・原材料価格の変動など不確実性が高まっていますが、事業環境の見極め・迅速な環境変化への対応を行い、事業の持続的発展を目指していきます。そのために次の施策を着実に実行してまいります。
なお、文中の将来に関する事項は当連結会計年度末現在に於いて当社グループが合理的であると判断したものです。
(課題の骨子)
① 素形材事業
・成長市場への参入(半導体製造装置・再生可能エネルギー分野への取り組み強化)
・DX化推進(溶接ロボット、押湯切断ロボット、砂型3D プリンター、金属3D プリンター、NC加工機、工場動線解析の適用場所の拡大に加えて AI 適用による作業分析の自動化・高度化)
・DX化を含めた生産性改善(外注加工費、労務費削減、欠陥レス技術の開発)
② エンジニアリング事業
・鋼製支承、ゴム支承、伸縮装置、NC ベースの拡販対応のための経営資源の投入(エンジニアの採用・育成、システム)
・ソリューションビジネスの展開(橋梁支承部の耐震補強構造の開発、高性能型高減衰ゴム支承(HDRrex)の拡販)
③ システム刷新による業務効率化
・営業システム・生産管理システム・経理システム・購買システム・工程作成システムの刷新
④ SDGsへの取り組み(人材確保および育成、グリーントランスフォーメーションの推進)
⑤ 資本効率の向上(PBR1倍の達成に向けてROEを改善するための取組み)
⑥ 株式会社ダットの吸収合併による経営の一層の効率化
当社グループは「日本鋳造は、自ら培った技術により、より高い価値・サービスを社会に提供し、貢献していきます。また、それを実行するために社員全員がプライドを持って努力し続けていきます。」という経営理念の下、サステナビリティに関する取り組みを経営の重要課題と捉え、その実践を通じて持続可能な社会の実現への貢献を目指しております。
なお、文中の将来に関する事項は当連結会計年度末現在に於いて当社グループが合理的であると判断したものです。
(1)ガバナンス
当社取締役会にて企業価値向上に資するサステナビリティ施策のあり方・方向性の検討を行っております。具体的に取り組む課題の分野・重要課題等については経営会議にて議論し、その取り組み状況・評価を毎年確認し、PDCAを回しております。加えてサステナビリティ会議SDGs委員会及び環境委員会等の場において、サステナビリティに関するリスクや機会の監視・管理を行っております。
詳細は、「
(2)戦略
①中期計画
3年ごとに作成している中期計画の中で、サステナビリティに関する重要課題を検討・公表しております。新中期計画(2024年度~2026年度)に於いては、2030年度にはCO2削減を2013年度比△70%を目標とし、2050年度には政府目標と同等にカーボンニュートラルを目指しております。特に将来的なカーボンニュートラルを視野に入れた太陽光パネルの新規設置や水素ガス利用の促進を通じて大幅なCO2削減を進めていきます。また、CO2排出ゼロの鋳鋼品(グリーンキャスティングス®)の販売も開始しております。
②目標指標KPIの設定と取り組み
(1)で上述したように、当社では経営会議にてサステナビリティに関する課題の分野・重要課題等について議論し、同時に関する取り組みテーマ、目標指標(KPI)を設定しています。取り組んだ結果・評価については経営会議にて毎年確認するとともに、取締役会に報告しております。
③人材の育成及び社内環境整備に関する方針
当社は多様な人材の確保と育成が中長期的な企業価値向上に繋がるものと考え、女性・外国人・中途採用者について適性ある人材の発掘と積極的な登用に努めております。また、技術力の向上・質の高い人材育成は全社重要経営課題であり、マネジメント研修をはじめとする階層別研修を充実させてまいります。
(3)リスク管理
当社グループでは各部門の業務執行に於いて、担当取締役等がサステナビリティに関するリスク及び機会に関する洗い出しに努めており、経営会議等で審議しております。また、サステナビリティ会議の委員会においても、リスク及び機会の洗い出し、対応方針の協議、検討を継続的に行っております。
詳細は、「
(4)指標及び目標
当社グループは、サステナビリティに関して下表のとおり取り組みテーマ・目標指標(KPI)を制定し、ESGへの取り組みを着実に実行しています。2021年度より、サステナビリティを含む重要課題に対するKPIを当社ホームページ上に掲載しており、年度ごとの目標・KPIならびに実施項目の設定および、年度終了後に、取り組み状況の確認ならびに評価を行っております。
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課題の分野 |
重要課題 |
当社における対応 |
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気候変動
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当社のGHG排出量削減 |
①2050年度カーボンニュートラルに向けた対応・検討 ②GHG排出量認証の継続 ③ISO14001の環境活動計画として省エネ活動推進 ④経済産業省事業者クラス分け評価制度のSクラス維持継続 |
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社会全体へのGHG削減の貢献 |
①グリーンキャスティングス®の販売 ②グリーン調達方針の宣言・継続 ③鉄リサイクル100%、Ni・Coリサイクルの推進 ④産業廃棄物の適正保管と削減 |
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労働安全衛生 |
安全は全てに優先する |
①重大災害件数「0件」の継続 |
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多様な人材の育成 |
ダイバーシティ&インクルージョン 制度・教育の充実 |
①働きやすい職場環境づくり ②階層別研修の継続 ③リスキリング教育の実施 |
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より良い製品及び サービスに向けた イノベーション |
鋳造業界のトップランナーのための技術開発・設備投資 |
①お客様ニーズへの対応 ②研究開発の推進 |
(多様な人材の確保と育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標並びに当該指標を用いた目標及び実績)
当社は多様な人材の確保と育成は、中長期的な企業価値向上に繋がるものと考え、女性・外国人・中途採用者について適性ある人材の発掘と積極的な登用に努めております。役員のうち女性役員比率は23%です。
女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画(計画期間2022年4月1日から2027年3月31日までの5年間)に取り組んでいます。
① 計画期間内に育児休業の取得状況を、次の水準以上にする。
・男性社員期間中に1人以上取得すること
(実績)取得済
・女性社員取得率100%を維持
(実績)2024年度100%を維持
② 働き方改革により、所定外労働時間の削減に努める。
(実績)2024年度の所定外労働時間は2023年度に対し事務技術職は減少しましたが、操業の影響で技能職は増加し、全社平均は2023年度並みでした。
③ 在宅勤務本格制度化検討
(実績)在宅勤務を制度化
当社グループが展開しております事業及びサステナビリティに関する主なリスクは次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
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リスク項目 |
リスクシナリオ |
リスク対策 |
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①世界的な情勢不安及び労務費の価格転嫁等による需給環境の急激な変化
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・当社グループが調達している原材料(銑鉄・鋼屑・非鉄金属・合金及び鋼材・ゴム等)の価格が、世界的・地域的需給や投機的動向により高騰し、販売市場価格に転嫁できない可能性 ・民間設備投資や公共関連事業の動向が当社グループの各需要家(鉄鋼・プラント・産業機械・建設機械・橋梁・建築・自動車等)の経営環境にマイナスの影響を与え、販売量の減少や販売価格が低下する可能性 |
・生産性向上による資材・エネルギー使用量の削減 ・安価原料への切替 ・販売価格改善 ・設備投資や作業工程見直し、海外OEMによる調達等コスト削減による競争力の確保
・金属3D積層造形品など高機能化・高付加価値 |
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②為替レートの変動 |
・海外OEM品の調達価格の上昇の可能性 |
・外貨入金を支払に充て、為替影響を軽減 ・円安への対応 |
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③金利の変動
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・金利上昇による負担増の可能性 |
・借入金の削減、借入先の分散 ・金利負担と安定資金の確保を考慮した借入金に占める長期借入金の比率の最適化 ・棚卸資産圧縮、売掛債権の回収期間短縮 |
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④保有固定資産及び保有株式等の資産価値の変動 |
・保有株式・土地の時価下落の可能性 ・収益性低下による固定資産の減損の可能性 |
・保有目的および保有メリットを勘案し保有対象を厳選 |
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⑤退職給付債務計算の前提条件の変動
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・退職給付債務計算の前提条件の変動により、退職給付費用が増加する可能性 |
・前提条件の変動による影響の適時、適切な把握 |
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⑥カントリーリスク |
・米国の関税政策に伴う貿易の不安定化 ・中国との関係悪化に伴う貿易(輸入)制限、関税上乗せ、中国からの輸出ストップ |
・懸念のあるお客様へは国内調達への転換提案 ・日本国内生産への体制準備 ・合金、資材調達先調査 ・海外渡航、出張の禁止又は制限 |
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⑦法令・公的規制
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・「環境」、「労働・安全衛生」、「租税」、「独占禁止法等の経済法規」、「建設業法等の事業関連法規」、その他法令・公的規制が改正もしくは変更され、業績に影響を及ぼす可能性 |
・法令・公的規制の改正動向および変更内容の適時把握 |
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⑧品質リスク
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・重大クレーム(品質クレーム・納期遅延)発生やクレーム頻発等により信頼性が低下し、大幅なシェアダウンにより業績に影響を及ぼす可能性 |
・試験機更新等による検査データの改ざん防止 ・重要資材の管理強化 ・全社QA教育の実施等や、不良品撲滅に向けたPDCA活動の推進 |
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⑨情報管理リスク |
・コンピュータ-ウイルス、サイバーテロにより重要情報や機密情報が漏えいもしくは消失する可能性 |
・脆弱性の再点検とセキュリティ体制の強化 ・コンピューターウイルス・サイバーテロ対策の教育訓練強化 ・外部との情報授受についてセキュリティの高い外部ストレージを利用 |
(1)経営成績等の状況の概要
①財政状態及び経営成績の状況
上記に示した経営環境を反映して、当連結会計年度の売上高は14,311百万円(前年度比10.5%減)となり、営業利益は408百万円(前年度比68.2%減)、経常利益は387百万円(前年度比69.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は236百万円(前年度比63.7%減)となりました。
②キャッシュ・フローの状況・資本の財源及び資金の流動性
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益329百万円、ほか棚卸資産の減少や売上債権の回収等により685百万円の収入となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、老朽更新に加え高効率の新型電気炉導入、システム化投資を行った結果1,097百万円の支出となり、これらを合計したフリー・キャッシュ・フローは412百万円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入300百万円、短期借入200百万円を行い、長期借入金の返済と配当金の支払と合わせて123百万円の支出となっております。
以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は前連結会計年度末に比べ534百万円減少し586百万円となりました。
資金調達の方法については、主として金融機関からの借り入れにより行っております。長期借入金(一年内返済長期借入金含む)と短期借入金の比率は、当連結会計年度末で42%:58%となっております。
③生産、受注及び販売の実績
当社グループは「鋳造関連事業」の単一セグメントであります。
当連結会計年度における実績を品種別に示すと、次のとおりであります。
a.品種別製品生産実績 (百万円)
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品種別 |
当連結会計年度 |
前年同期比(%)
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素形材 |
6,775 |
△9.9 |
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エンジニアリング |
4,651 |
△12.6 |
|
その他 |
350 |
20.7 |
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合計 |
11,777 |
△10.3 |
(注)金額は、製造原価によっております。
b.品種別製品受注実績 (百万円)
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品種別 |
当連結会計年度 |
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受注高 |
前年同期比(%) |
受注残高 |
前年同期比(%) |
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素形材 |
7,805 |
1.1 |
3,235 |
23.5 |
|
エンジニアリング |
4,459 |
△50.3 |
3,208 |
△43.1 |
|
その他 |
246 |
15.0 |
43 |
81.8 |
|
合計 |
12,512 |
△26.0 |
6,488 |
△21.7 |
(注)金額は、販売価格によっております。
c.品種別販売実績 (百万円)
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品種別 |
当連結会計年度 |
前年同期比(%) |
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素形材 |
7,190 |
△16.1 |
|
エンジニアリング |
6,894 |
△3.7 |
|
その他 |
226 |
△12.7 |
|
合計 |
14,311 |
△10.5 |
(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
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相手先 |
前連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
||
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金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
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日立建機株式会社 |
1,843 |
11.5 |
― |
― |
|
オリエンタル白石株式会社 |
― |
― |
1,742 |
12.2 |
(注)前連結会計年度におけるオリエンタル白石株式会社に対する販売実績及び当連結会計年度における日立建機株式会社に対する販売実績は、各連結会計年度の販売実績の10%未満であるため、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は当連結会計年度末現在に於いて当社グループが合理的であると判断したものです。
①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容および資金需要の動向
当連結会計年度の売上高は14,311百万円(前年度比10.5%減)となり、営業利益は408百万円(前年度比68.2%減)、経常利益は387百万円(前年度比69.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は236百万円(前年度比63.7%減)となりました。
素形材部門に於きましては、第2 1(2)経営環境で示した通り、半導体製造装置向け鋳鋼品の販売が上期では低調だったものの、下期は持ち直しております。一方、鉱山機械向けでは大幅な減少が続き、素形材全体の売上高は7,190百万円(前年度比16.1%減)となりました。
エンジニアリング部門に於きましては、モノレール軌道向け支承の取り込みが予定通り進み、建築用柱脚も物流倉庫の需要により堅調な業績となっております。その結果、売上高は前年度並みの6,894百万円(前年度比3.7%減)となりました。
資金需要につきましては、積極的な設備投資の結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合計したフリー・キャッシュ・フローは412百万円の支出となりました。
今後も資材・人件費高騰、地政学リスク等により不透明な事業環境が継続しますが、設備投資の効果取込み、販価改善等により、安定した利益を確保します。投資効果による製造リードタイム短縮、コスト削減により、棚卸資産在庫等の運転資金の増加を抑制し、借入金総額を削減する計画です。
なお、今後の経営の一層の効率化を図るため、2025年7月に連結子会社である株式会社ダットを吸収合併し、鋼構造品の事業を当社に統合することといたしました。
②重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、第5(経理の状況)の連結財務諸表の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
当社が技術援助を受けている契約
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技術導入先 |
国籍 |
内容 |
対価 |
契約期間 |
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フリードリッヒ マウラーゼーネ |
ドイツ |
橋梁用伸縮装置の製造技術 |
売上高に対する ランニングロイヤルティ |
2024年11月15日より 2044年11月14日まで |
当連結会計年度の主な研究開発の内容は次のとおりであり、研究開発費の総額は
1.素形材関連研究開発
(1)商品開発
弊社はパウダーベット方式による金属3Dプリンターを用いて2018年より研究開発を続けてきた結果、鋳造品内に積層造型品を鋳包むインナーキラー技術を開発しました。これにより、鋳造欠陥を抑制することが可能となり、これを特許・権利化しております。本技術を適用した製品はお客様からの苦情が減少しており、今後さらに適応品種を拡大して顧客満足度(CS)向上に努めてまいります。
また、独自開発した高強度鋳鋼TNCM®材や炭素鋼(S20C)を素材とする3Dプリンター製品を開発・特許化しております。これからも成長が期待される3Dプリンター製品の拡販を進めてまいります。
(2)プロセス開発
弊社は鋳造工程(溶解→造型→仕上→加工→検査→出荷)において、生産性向上、コスト削減、省人化、スキルレスを目的に、ロボット化、デジタル化を進めております。これまでの実績として上述の金属3Dプリンター導入に加え、以下の取組を進めております。
造型:砂型3Dプリンター導入による中子自動造型
仕上:押し湯切断ロボットACROS®導入。自動溶接補修ロボット導入
砂型3Dプリンターは実用化に向けて、さらなるバインダー(接着剤)コストを削減する技術開発に成功し、2025年度に実用化いたします。
押湯切断ロボットは、適用率を2025年度に90%、2026年に100%を目指しております。
自動溶接補修ロボットは、2025年度内に異なる溶接方向(縦向き、横向き)に対応できる溶接技術を開発するとともに、インバー素材への適用を拡大することにより、実生産におけるコスト削減とスキルレス溶接を推進する予定です。
2.エンジニアリング関連研究開発
(1)支承部耐震補強のための移動制限装置の開発
橋梁支承部の耐震補強に用いる移動制限装置は、大規模橋梁の補修工事での採用、引き合いをいただいております。移動制限装置は、従来製品にエネルギー吸収性能を付加することで、地震時における桁の移動量を抑制するとともに、復旧性を高める装置です。今後も、開発装置をより広範囲に適用できるよう更なる提案と実適用を図ってまいります。
(2)支承部耐震補強のための新しいソリューション
橋梁支承部の耐震補強は、一般に既設支承の交換、あるいは水平力分担構造を増設することにより行われます。当社では、これまでに培ったノウハウを生かし、支承交換や水平力分担構造の増設を行わずに既設支承部の保有耐力を向上させる補強構造の開発を進め、引き合いをいただいております。今後、開発製品の更なるバリエーション化を行い、お客様のご要望に対応するとともに、当社のノウハウを生かした製品の開発に努め、持続可能な社会の実現に向けソリューションビジネスを展開してまいります。
(3)高性能型高減衰ゴム支承(HDReX)の拡販
次世代の免震ゴム支承として市場導入いたしましたHDReX(ドレックス)は,大規模橋梁の新設工事などで採用の多い免震形式への引き合いをいただいております。今後も、HDReXを橋梁へ適用した場合の優位性を顧客の皆様に丁寧にご提案させていただきながら、実適用をはかるとともに、環境に配慮したより高い価値とサービスを社会に提供できるよう努めてまいります。