第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)経営方針

 当社は、日本鋳造のすべての役員・社員が共有し、あらゆる活動の拠り所となる経営の基本原則として、経営理念と行動規範を以下のとおり定めています。

 

経営理念

 日本鋳造は、自ら培った技術により、より高い価値・サービスを社会に提供し、貢献していきます。また、それを実行するために社員全員がプライドを持って努力し続けていきます。

行動規範

 ① うそをつかない

 ② 手を抜かない

 ③ まわりの人に配慮し思いやりの気持ちを持とう

 ④ お互い協力しあって仕事しよう

 ⑤ 奉仕と感謝

社長方針

 ① 安全

 ② 一体感(One Team)

 ③ ボトムアップ

 ④ Bad News First

 ⑤ 時間と期限を守る

 ⑥ 基礎体力向上

 ⑦ レクリエーション

 

 経営指標としては、ROS(売上高経常利益率)10%以上、ROE(自己資本利益率)10%以上を目標としております。

 

(2)経営環境

 当事業年度においては、素形材関連では、半導体製造装置向け鋳鋼品の販売が上期で低調だったものの、AI関連の旺盛な需要により下期から大幅に受注が増加しております。ただし、増加した受注に基づく出荷は2026年度となるため、当事業年度への影響は限定的であり、受注は大幅増加となったものの売上は減少しました。

 エンジニアリング関連では、一部の大型案件が前年度までで一巡したことで、減収となったものの、モノレール軌道向け支承、高速道路向け支承などの取り込みが進みました。建築物用柱脚も、物流倉庫の需要により堅調な業績となっております。

 

(3)対処すべき課題

 2026年度は、地政学リスクや、原油高、関税、為替の影響で不透明な事業環境が継続しますが、事業環境の見極め・迅速な環境変化への対応を行い、事業の持続的発展を目指していきます。そのために次の施策を着実に実行してまいります。

 なお、文中の将来に関する事項は当事業年度末現在に於いて当社が合理的であると判断したものです。

 

(課題の骨子)

① 素形材事業

・半導体製造装置向け鋳鋼品の大幅増産への対応

・成長市場への参入(半導体製造装置・エネルギー分野への取り組み強化)

・新設した大型金属3D プリンター活用

・DX化を含めた生産性改善(外注加工費、労務費削減、欠陥レス技術の開発)

・品質管理体制の強化(鋳造欠陥削減、3Dスキャナー導入による寸法形状品質保証強化)

② エンジニアリング事業

・鋼製支承、ゴム支承、伸縮装置、NC ベースの拡販対応のための経営資源の投入(エンジニアの採用・育成、システム)

・新設から保全分野への市場変化に対応し、収益性の高いオンリーワン商品の拡充と新規顧客の開拓(支承補強ブロック等)

③ 清本鉄工株式会社および株式会社川金ホールディングスとの協業の推進

・需要減少に対応するための経営資源の最適化と事業強化に向けた協業の検討

④ SDGsへの取り組み(人材確保および育成、グリーントランスフォーメーションの推進)

⑤ 資本効率の向上(PBR1倍の達成に向けてROEを改善するための取組)

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社は「日本鋳造は、自ら培った技術により、より高い価値・サービスを社会に提供し、貢献していきます。また、それを実行するために社員全員がプライドを持って努力し続けていきます。」という経営理念の下、サステナビリティに関する取り組みを経営の重要課題と捉え、その実践を通じて持続可能な社会の実現への貢献を目指しております。

 なお、文中の将来に関する事項は当事業年度末現在に於いて当社が合理的であると判断したものです。

 

(1)ガバナンス

 当社取締役会にて企業価値向上に資するサステナビリティ施策のあり方・方向性の検討を行っております。具体的に取り組む課題の分野・重要課題等については経営会議にて議論し、その取り組み状況・評価を毎年確認し、PDCAを回しております。加えてサステナビリティ会議において、サステナビリティに関するリスクや機会の監視・管理を行っております。

 詳細は、「第4 提出会社の状況 4.コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要」をご参照ください。

 

(2)戦略

①中期計画

 3年ごとに作成している中期計画の中で、サステナビリティに関する重要課題を検討・公表しております。新中期計画(2024年度~2026年度)に於いては、2030年度にはCO2削減を2013年度比△70%を目標とし、2050年度には政府目標と同等にカーボンニュートラルを目指しております。特に将来的なカーボンニュートラルを視野に入れた太陽光パネルの新規設置や水素ガス利用の促進を通じて大幅なCO2削減を進めていきます。また、CO2排出ゼロの鋳鋼品(グリーンキャスティングス®)の販売も開始しております。

 

②目標指標KPIの設定と取り組み

 (1)で上述したように、当社では経営会議にてサステナビリティに関する課題の分野・重要課題等について議論し、同時に関する取り組みテーマ、目標指標(KPI)を設定しています。取り組んだ結果・評価については経営会議にて毎年確認するとともに、取締役会に報告しております。

 

③人材の育成及び社内環境整備に関する方針

 当社は多様な人材の確保と育成が中長期的な企業価値向上に繋がるものと考え、女性・外国人・中途採用者について適性ある人材の発掘と積極的な登用に努めております。また、技術力の向上・質の高い人材育成は全社重要経営課題であり、マネジメント研修をはじめとする階層別研修を充実させてまいります。

 

(3)リスク管理

 当社は各部門の業務執行に於いて、担当取締役等がサステナビリティに関するリスク及び機会に関する洗い出しに努めており、経営会議等で審議しております。また、サステナビリティ会議においても、リスク及び機会の洗い出し、対応方針の協議、検討を継続的に行っております。

 詳細は、「第2 事業の状況 3.事業等のリスク」をご参照ください。

 

(4)指標及び目標

 当社は、サステナビリティに関して下表のとおり取り組みテーマ・目標指標(KPI)を制定し、ESGへの取り組みを着実に実行しています。2021年度より、サステナビリティを含む重要課題に対するKPIを当社ホームページ上に掲載しており、年度ごとの目標・KPIならびに実施項目の設定および、年度終了後に、取り組み状況の確認ならびに評価を行っております。

 

 

 

課題の分野

重要課題

当社における対応

 気候変動

 

 

 

 当社のGHG排出量削減

①2050年度カーボンニュートラルに向けた対応・検討

②GHG排出量認証の継続

③ISO14001の環境活動計画として省エネ活動推進

④経済産業省事業者クラス分け評価制度のSクラス維持継続

 

 社会全体へのGHG削減の貢献

①グリーンキャスティングス®の販売

②グリーン調達方針の宣言・継続

③鉄リサイクル100%、Ni・Coリサイクルの推進

④産業廃棄物の適正保管と削減

 労働安全衛生

 安全は全てに優先する

①重大災害件数「0件」の継続

 多様な人材の育成

 ダイバーシティ&インクルージョン

 制度・教育の充実

①働きやすい職場環境づくり

②階層別研修の継続

③リスキリング教育の実施

 より良い製品及び

 サービスに向けた

 イノベーション

 鋳造業界のトップランナーのための技術開発・設備投資

①お客様ニーズへの対応

②研究開発の推進

 

(多様な人材の確保と育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標並びに当該指標を用いた目標及び実績)

 当社は多様な人材の確保と育成は、中長期的な企業価値向上に繋がるものと考え、女性・外国人・中途採用者について適性ある人材の発掘と積極的な登用に努めております。役員のうち女性役員比率は23%です。

女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画(計画期間2022年4月1日から2027年3月31日までの5年間)に取り組んでいます。

① 計画期間内に育児休業の取得状況を、次の水準以上にする。

  ・男性社員期間中に1人以上取得すること
  (実績)取得済

  ・女性社員取得率100%を維持
  (実績)2025年度100%を維持

② 働き方改革により、所定外労働時間の削減に努める。

  (実績)2025年度の所定外労働時間は2024年度に対して削減しました。

③ 在宅勤務本格制度化検討

  (実績)在宅勤務を制度化

 

 

3【事業等のリスク】

 当社が展開しております事業及びサステナビリティに関する主なリスクは次のとおりです。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものです。

 

リスク項目

リスクシナリオ

リスク対策

①世界的な情勢不安及び労務費の価格転嫁等による需給環境の急激な変化

 

 

 

・中東紛争情勢悪化に伴う原料・燃料・資材品等の調達難や価格が高騰し、販売価格に転嫁できない可能性

・民間設備投資や公共関連事業の動向が当社のお客様(鉄鋼・プラント・産業機械・建設機械・橋梁・建築・自動車等)の経営環境にマイナスの影響を与え、販売量の減少や販売価格が低下する可能性

・製造部門と調達部門の連携強化および調達先の情報収集

・生産性向上による資材・エネルギー使用量の削減

・設備投資や作業工程見直し、海外OEMによる調達等コスト削減による競争力の確保

・金属3D積層造形品など高機能化・高付加価値
を主体とした新商品開発推進による優位性の確保

②為替レートの変動

・海外OEM品の調達価格の上昇の可能性

・外貨入金を支払に充て、為替影響を軽減

・円安への対応

③金利の変動

 

・金利上昇による負担増の可能性

・借入金の削減、借入先の分散

・金利負担と安定資金の確保を考慮した借入金に占める長期借入金の比率の最適化

・棚卸資産圧縮、売掛債権の回収期間短縮

④保有固定資産及び保有株式等の資産価値の変動

・保有株式・土地の時価下落の可能性

・収益性低下による固定資産の減損の可能性

・保有目的および保有メリットを勘案し保有対象を厳選

・休止した池上工場について使用見込みが少ない設備の撤去工事を発注し、原状回復費用相当を減損損失計上

⑤退職給付債務計算の前提条件の変動

 

・退職給付債務計算の前提条件の変動により、退職給付費用が増加する可能性

・前提条件の変動による影響の適時、適切な把握(2025年度は割引率を金利上昇により見直し、退職給付費用が減少)

⑥カントリーリスク

・米国の関税政策に伴う貿易の不安定化

・中国との関係悪化に伴う貿易(輸入)制限、関税上乗せ、中国からの輸出ストップ

・懸念のあるお客様へ国内調達への転換提案

・日本国内生産への体制準備

・合金、資材調達先調査

・海外渡航、出張の禁止又は制限

⑦法令・公的規制

 

 

 

・「環境」、「労働・安全衛生」、「租税」、「独占禁止法等の経済法規」、「建設業法等の事業関連法規」、その他法令・公的規制が改正もしくは変更され、業績に影響を及ぼす可能性

・法令・公的規制の改正動向および変更内容の適時把握

・支払条件見直しにより「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」へ対応

⑧品質リスク

 

 

 

・重大クレーム(品質クレーム・納期遅延)発生やクレーム頻発等により信頼性が低下し、大幅なシェアダウンにより業績に影響を及ぼす可能性

・試験機更新等による検査データの改ざん防止

・重要資材の管理強化

・全社QA教育の実施等や、不良品撲滅に向けたPDCA活動の推進

⑨情報管理リスク

・コンピュータ-ウイルス、サイバーテロにより重要情報や機密情報が漏えいもしくは消失する可能性

・脆弱性の再点検とセキュリティ体制の強化

・コンピューターウイルス・サイバーテロ対策の教育、標的型メール訓練実施

・外部との情報授受についてセキュリティの高い外部ストレージを利用

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当社は、2025年7月1日付で連結子会社であった株式会社ダットを吸収合併いたしました。

 これにより、当事業年度より単体決算による開示となっております。

 

(1)経営成績等の状況の概要

①財政状態及び経営成績の状況

 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(2)経営環境に示した経営環境を反映して、当事業年度の売上高は12,290百万円(前年度比8.8%減)となり、営業利益は416百万円(前年度比26.4%増)、経常利益は584百万円(前年度比83.8%増)、当期純利益は154百万円(前年度比19.8%減)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況・資本の財源及び資金の流動性

 当事業年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前当期純利益140百万円、ほか棚卸資産の減少や売上債権の回収等により2,123百万円の収入となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、老朽更新に加え大型金属3Dプリンターの設置、システム化投資を行った結果608百万円の支出となり、これらを合計したフリー・キャッシュ・フローは1,515百万円の収入となりました。

 財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の減少による300百万円の支出のほか、配当金の支払があり、372百万円の支出となっております。

 ほか、株式会社ダットの吸収合併に伴う現金同等物の増加が250百万円ありました。

 以上の結果、現金及び現金同等物の当事業年度末残高は前事業年度末に比べ1,396百万円増加し1,739百万円となりました。

 資金調達の方法については、主として金融機関からの借り入れにより行っております。長期借入金(一年内返済長期借入金含む)と短期借入金の比率は、当事業年度末で47%:53%となっております。

 

③生産、受注及び販売の実績

 当社は「鋳造関連事業」の単一セグメントであります。

 当事業年度における実績を品種別に示すと、次のとおりであります。

 なお、当社は2025年7月1日付で連結子会社であった株式会社ダットを吸収合併いたしました。前事業年度は連結財務諸表を作成しているため、前年同期に対する増減率については記載しておりません。

 

a.品種別製品生産実績                                             (百万円)

品種別

当事業年度

 

前年同期比(%)

 

素形材

6,635

エンジニアリング

3,361

その他

35

合計

10,032

  (注)金額は、製造原価によっております。

 

b.品種別製品受注実績                                   (百万円)

品種別

当事業年度

受注高

前年同期比(%)

受注残高

前年同期比(%)

素形材

8,506

4,978

エンジニアリング

6,252

4,025

その他

255

58

合計

15,014

9,062

  (注)金額は、販売価格によっております。

 

c.品種別販売実績                                 (百万円)

品種別

当事業年度

前年同期比(%)

素形材

6,763

エンジニアリング

5,286

その他

241

合計

12,290

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は当事業年度末現在に於いて当社が合理的であると判断したものです。

 

①当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容および資金需要の動向

 当事業年度における当社の業績は、売上は12,290百万円(前年度比8.8%減)となり、営業利益は416百万円(同26.4%増)、経常利益は584百万円(同83.8%増)となり、前年度から減収・増益となりました。

 素形材関連では、第2 1(2)経営環境で示した通り、半導体製造装置向け鋳鋼品の販売が上期で低調だったものの、AI関連の旺盛な需要により下期から大幅に受注が増加しております。ただし、増加した受注に基づく出荷は2026年度となるため、当事業年度への影響は限定的であり、受注は大幅増加となったものの売上は減少しました。合理化、販売価格改定は計画通りに進捗し、前年度に比べて損益は改善しております。

 エンジニアリング関連では、一部の大型案件が前年度までで一巡したことで、減収となったものの、モノレール軌道向け支承、高速道路向け支承などの取り込みが進みました。建築物用柱脚も、物流倉庫の需要により堅調な業績となっております。

 当社は、2025年7月1日付で連結子会社であった株式会社ダットを吸収合併いたしました。一過性の要素として、株式会社ダットからの受取配当金200百万円を経常利益に、抱合せ株式消滅差益11百万円を特別利益に、それぞれ計上しております。

 また、2023年9月に操業を終了した池上地区については、使用の見込みが少ないと判断した池上地区工場建物内の設備について撤去を行うことを決定しました。このため特別損失として、解体撤去費用180百万円(工場建物内の設備撤去費用)、減損損失242百万円(工場建物解体費用)、棚卸資産除却損15百万円(設備予備品の除却)を計上しております。

 このほか、退職給付の債務の算定に使用する割引率を、金利上昇により0.9%から2.9%に見直しております。これに伴い、数理計算上の差異が発生したことから、売上原価、販売費及び一般管理費に含まれる退職給付費用が減少しました。当社は数理計算上の差異及び過去勤務費用については、その発生年度に収益又は費用として処理することとしております。以上の結果、当期純利益は154百万円(同19.8%減)となりました。

 

 資金需要につきましては営業活動によるキャッシュ・フローは2,123百万円の収入となり、投資活動によるキャッシュ・フローを加えたフリー・キャッシュ・フローは1,515百万円の収入となり、実質有利子負債を削減しました。「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(取適法)」施行による影響で仕入債務の減少による支出がありましたが、一方で売上債権の回収が進みました。

 今後も地政学リスクや原油高、関税、為替の影響で不透明な事業環境が継続しますが、設備投資によるコスト削減、販価改善等により、安定した利益を確保します。投資効果による製造リードタイム短縮、コスト削減により、棚卸資産在庫等の運転資金の増加を抑制し、借入金総額を削減する計画です。

 

②重要な会計方針及び見積り

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。

 なお、当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、第5(経理の状況)の財務諸表の「財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

 

5【重要な契約等】

 当社が技術援助を受けている契約

技術導入先

国籍

内容

対価

契約期間

フリードリッヒ

マウラーゼーネ

ドイツ

橋梁用伸縮装置の製造技術

売上高に対する

ランニングロイヤルティ

2024年11月15日より

2044年11月14日まで

 

 

6【研究開発活動】

 当事業年度の主な研究開発の内容は次のとおりであり、研究開発費の総額は271百万円であります。

 

1.素形材関連研究開発

(1)積層造形技術開発と新材料開発

 パウダーベット方式による金属3Dプリンターを用いて2018年より研究開発を続けてきた結果、鋳造品内に積層造型品を鋳包み材として用いる鋳造方法を開発しました。これにより、鋳造欠陥を抑制することが可能となり、特許・権利化し、知見やノウハウを積み上げてきました。

 基礎技術開発から製品化・事業化のステージに移るため、2025年4月1日付で「3Dプリンター活用推進チーム」を新設しています。2026年4月には国内最大級の金属3Dプリンターを導入し、既存鋳造製品を積層造形品に置き換える開発を進めてまいります。

 また、さらなる成長が見込まれる半導体製造装置関連の需要を開拓するため、2025年9月1日付で「半導体向け開拓開発プロジェクト」として当社独自製品である低熱膨張材LEX®材に制振性を付加した新材料や高熱伝導材の開発を進めてまいります。

 

(2)プロセス開発

 弊社は鋳造工程においてロボット化、デジタル化を進めています。これまで押湯切断ロボット(ACROS)を導入して製品への適用を拡大し、熟練工以上の作業効率と切断精度を実現しています。また、鋳造後の溶接補修やグラインダーによる表面仕上工程は、現状人手に依存しており、少子化による人材不足への対応や内製化による生産リードタイムの短縮を目的としてロボット化の開発を進めています。

 今後も「技術・材料開発」と「プロセス開発」の両輪で研究開発を推進してまいります。

 

2.エンジニアリング関連研究開発

(1)支承部耐震補強のための移動制限装置の開発

 地震動によるエネルギーを吸収するとともに、橋梁の桁ずれを抑制し、災害発生後における早期復旧を可能とする移動制限装置の開発を行いました。本技術を適用した移動制限装置については、実橋への採用が開始されており、継続して橋梁規模に応じたさらなる製品ラインナップ化の研究開発を行い販売拡大に努めてまいります。今後も、道路橋および鉄道橋といったあらゆる橋梁に対し国土強靭化への貢献を目指してまいります。

 

(2)既設支承の耐震補強のための新しいソリューション

 橋梁の耐震補強においては、従来、既設支承の交換が一般的に行われておりましたが、施工性や設置空間等の制約により対応が困難なケースも存在しておりました。当社では、既設支承に補強構造を取り付けることにより耐震性能を向上させる独自の支承補強構造を開発し、土木学会田中賞を受賞しております。この製品は、支承交換が施工性や設置空間の制約により困難な場合の新たな選択肢として評価され、多くの引き合いをいただいております。今後は支承補強に対応可能な支承タイプのバリエーションを増やし、お客様のご要望に対応するとともに、持続可能な社会の実現に向けソリューションビジネスの展開を図ってまいります。

 

(3)マウラー・スイベルジョイントの耐久性および製作性に関する調査研究

 国内においては、橋梁技術の進歩や大規模橋梁の建設に伴い、大伸縮量および大遊間に対応する大型伸縮装置の需要拡大が見込まれております。当社が技術導入を行っているマウラー社(ドイツ)では、新構造を有するマウラー・スイベルジョイントの開発が進められており、当社においても国内仕様への適用を目的として、耐久性および製作性に関する調査研究を行っております。今後は、国内市場のニーズに対応した製品開発および品揃えの充実を進め、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。