第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中における将来に関する事項は、本報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

グループ経営理念を「素材の可能性を追求し、人と社会の未来を支え続けます」と定め、大同特殊鋼グループとして、素材または素材に関する技術をもって素材が秘めている可能性をひきだし、新たな価値を創造することで、人と社会の未知のニーズに応え、その発展につながるよう貢献し続けることを目指しております。

 

(2) 経営環境及び対処すべき課題

世界中で持続可能な社会の実現に向けた取り組みが始まっています。その中で、お客様においても地球温暖化ガスの削減が大きなテーマとなっており、自動車の内燃機関や航空機のジェットエンジンの高効率化が求められています。

自動車産業ではさらに、電動化などのパワートレインの多様化や自動運転、コネクテッドカー化など、100年に1度の大きな技術革新が起きようとしています。また、ビッグデータ、AI(人工知能)、IoT(モノのインターネット化)を活かしたデジタル革命が進んでおり、いろいろな産業界に変革がもたらされようとしています。それにより、半導体需要の増加やロボットによる自動化等が進展すると見込まれます。

このような経営環境の中、2020年度(2021年3月期)までの3年間を実行期間とする中期経営計画(大同特殊鋼グループ2020中期経営計画)を策定いたしました。下記の今中期経営計画期間中の経営基本方針、行動方針でグループ経営理念を実現してまいります。

 

 <経営基本方針>

Beyond the Special
 
「機能性に優れた素材で、お客様の技術革新を支える」

 

 

我々は、お客様の技術革新を、機能性に優れた素材を提供することで支えてまいります。例えば、自動車の内燃機関やジェットエンジンの高効率化には高耐熱・高耐食ステンレス鋼や高合金を、自動車の電動化には高性能磁石や高機能粉末を、自動運転化には軟磁性材料等を提供してまいります。デジタル革命に対しても半導体製造装置に必要な高清浄ステンレス鋼や自動化・ロボット化に必要な高性能磁石等、お客様の必要とする高機能な素材を提供することで、その進化・技術革新をしっかりと支えてまいります。 

 

<行動方針>

① ポートフォリオ改革(構造材料から機能材料へ)

成長機会の多い機能材料・磁性材料セグメントへ積極投資を実施し、売上高トップセグメント化を目指します。全社的製品ポートフォリオを改革し、利益の最大化を目指してまいります。
 前述のとおり、今後は耐熱性、耐食性、高清浄度や磁気特性等の機能性に優れた素材へのニーズが高まる見込みです。ステンレス鋼、高合金、粉末といった機能材料や磁性材料の需要が継続的に伸びていくと想定しています。この動きを確実に捉え安定供給を果たすべく、生産能力の増強投資(ステンレス鋼連続鋳造ライン合理化、熱処理・冷間加工設備増強、再溶解設備増強、高級帯製造能力増強、粉末製造能力増強他)、ソリューション機能の強化を順次進めてまいります。また、長期的に大きな市場成長が見込まれる磁石事業については、研究開発体制の強化、海外拠点の新規立地検討等を進め、今後の成長に向けた準備を整えてまいります。

 

② 事業基盤の強化(損益分岐点改善、経営体質強化)

長期継続的な成長を実現するため、事業基盤を強化してまいります。
 事業全体の基盤である鋼材事業に関しては、諸資材価格の高騰に伴う販売価格の是正に対してお客様のご理解をいただけるよう努力していくとともに、徹底したコストダウンを行い、再生産可能な適正マージンを確保することを目指します。また、既存設備の能率向上、一貫歩留の向上、物流の整流化を進め、生産スループットの最大化を目指してまいります。持続可能な社会の実現に向け、環境投資も積極的に進めてまいります。事業基盤の根幹である人材に対しても働き方改革による生産性向上と人材育成の両立を目指してまいります。また、国際会計基準の導入に向けた準備プロジェクトの立ち上げ、本社部門の効率化等も進め、より強固な事業基盤構築を目指してまいります。株主還元につきましては、今中期期間の旺盛な投資を踏まえ、引き続き配当性向20~25%を目安としてまいります。

③ 事業の再構築

不採算事業についての見極めを行い、採算の取れる事業への再構築、あるいは事業継続可否判断を進めてまいります。選択と集中を進めることにより経営効率を上げ、中長期的に資本効率を高めてまいります。

 

 <経営指標>

 

2017年度(実績)

2020年度(目標)

売上高

         5,052億円

         5,800億円

営業利益

          362億円

          470億円

親会社株主に帰属する当期純利益

          239億円

          300億円

ROS(売上高営業利益率)

           7.2%

            8%

ROA(総資産経常利益率)

           5.9%

            7%

ROE(株主資本当期利益率)

           8.8%

            9%

設備投資額(3年累計工事ベース)

          877億円

          950億円

配当性向

                    21.4%

         20~25%

 

 

 

(3) 買収防衛策について

①当社の財務および事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針の概要

当社は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者は、当社の企業理念、当社の企業価値の様々な源泉および当社を支える各利害関係者との信頼関係を十分に理解したうえで、当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を中長期的に確保または向上させることを真摯に目指す者でなければならないと考えております。したがいまして、濫用的な会社経営を行うことを目的とするものであったり、株主の皆様に株式の売却を事実上強要するものであったり、または、株主の皆様が当該買付けの条件等について検討するための十分な時間を確保しないものである等の当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を著しく損なう株式の大規模な買付けを行う者は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者として不適切であると考えます。

②当社の財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他の基本方針の実現に資する特別な取り組みの概要

当社は、上記①の基本方針の実現に資する特別な取り組みとして、上記(2)に記載の企業価値向上に向けた取り組みを実施しております。

また、当社は、コーポレート・ガバナンスの充実に向けた取り組みを上記①の基本方針の実現に資する特別な取り組みのひとつと位置付けております。コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方およびその充実に向けた取り組みにつきましては、「第4 提出会社の状況 6 コーポレート・ガバナンスの状況等」をご参照ください。

③基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取り組みの概要

当社は、平成30年6月27日開催の当社第94期定時株主総会において、「当社の株券等の大規模買付行為に関する対応方針」(以下「本対応方針」といいます。)を導入することを決議いたしました。

本対応方針の概要は、当社の株券等を20%以上取得しようとする大規模買付者に対して、取締役会による大規模買付行為の内容の評価等に必要な情報の提供や期間の確保等、本対応方針に定める大規模買付ルールに従うことを求め、大規模買付者が大規模買付ルールに従わない場合や、大規模買付ルールに従っても当該大規模買付行為が当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を著しく損なうものであると認められる場合に対抗措置を発動できるとするものです。

本対応方針の内容の詳細につきましては、以下の当社ホームページをご参照ください。

https://www.daido.co.jp/ir/pdf/defence.pdf

④上記②の取り組みについての取締役会の判断

当社は、当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を向上させることを目的に上記②の取り組みを実施しております。また、上記②の取り組みは、当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を向上させ、それを当社の株式の価値に適正に反映させていくことにより、上記①に記載されているような株式の大規模な買付けを困難にするものと考えられ、上記①の基本方針に資すると考えております。

したがいまして、上記②の取り組みは上記①の基本方針に沿うものであり、当社の株主の皆様の共同の利益を損なうものではなく、当社の役員の地位の維持を目的とするものでもないと考えております。

⑤上記③の取り組みについての取締役会の判断

上記③の取り組みは、大規模買付行為の内容の評価等に必要な情報と期間を確保することにより、当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を確保しまたは向上させることを図るものです。また、必要な情報と期間の確保の要請に応じない大規模買付者、および当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を著しく損なう大規模買付行為を行おうとする大規模買付者に対して対抗措置を発動できるとすることで、これらの大規模買付者による大規模買付行為を防止するものであり、上記①の基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取り組みです。

さらに、上記③の取り組みにおいては、独立性の高い特別委員会の設置、対抗措置発動時における株主意思の確認等の当社取締役会の恣意的な判断を排し、上記③の取り組みの合理性および公正性を確保するための様々な制度および手続が確保されています。

したがいまして、上記③の取り組みは上記①の基本方針に沿うものであり、当社の株主の皆様の共同の利益を損なうものではなく、当社の役員の地位の維持を目的とするものでもないと考えております。

 

 

2 【事業等のリスク】

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(平成30年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 事業環境の動向による経営成績への影響

当社グループの事業は、自動車、産業機械、電気機械、IT、インフラなどを主な需要分野としております。したがいまして、当社グループの業績は国内外の景気、公共投資、民間設備投資、個人消費、市況等の動向に影響を受けます。また、各製品市場において、国内外の競合各社との激しい競争状態にあり、その状況次第では当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループの主要需要業界は自動車関連産業であり、ユーザーとの厚い信頼関係を基盤に高いシェアを維持しております。このため、種々の事業環境の中でも、国内外における自動車メーカーの生産動向、および当社グループの価格交渉力が業績に影響を与える可能性があります。

 

(2) 原材料・副資材およびエネルギーの価格変動および安定調達

当社グループ製品の主要原材料は、鉄スクラップやニッケル等の合金であります。その他に少量ではありますが磁石製造のためにネオジム等のレアアースを使用しております。また、生産活動の過程において、電極や耐火物等の副資材や大量の電力・LNGなどのエネルギーを消費いたします。したがいまして、原材料・副資材の需要変動による価格変動およびエネルギー需給の変動による価格変動が当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

また原材料・副資材の需給関係が大きく崩れ安定した調達が困難となった場合や、電力需給の悪化による使用制限が発生した場合には当社グループの生産活動に支障をきたし、業績に影響を与える可能性があります。

 

(3) 金利変動

当社グループは設備資金、運転資金の一部を金融機関等からの借入金等で調達しております。近年の市場金利は低位で推移しておりますが、景気動向によっては金利情勢の変化も予想され、業績に影響を与える可能性があります。

 

(4) 保有有価証券の価値変動

当社グループが保有している投資有価証券の価値が、投資先の業績不振、証券市場における市況の悪化等で変動した場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、退職給付信託資産を構成する有価証券の価格変動が業績に影響を与える可能性があります。

 

(5) 為替レートの変動

当社グループは、製品等の輸出および原材料等の輸入において外貨建取引を行っており、また、外貨建の債権、債務を保有しております。このため、為替レートの変動が業績に影響を与える可能性があります。

 

(6) 自然災害および感染症

当社知多工場をはじめとする当社グループの製造拠点の多くは、愛知県内に立地しております。耐震性の強化などの防災対策を進めているほか、津波被害から人命を守るための取り組み、また、既存のサプライチェーンを寸断させること無きよう様々な活動を行っておりますが、懸念されている「東海地震」「東南海地震」「南海地震」などの自然災害に見舞われた場合は操業に支障が生じ、業績に影響を与える可能性があります。

また、各種の感染症の大流行に対しては、感染予防に必要な保護具および衛生用品を備蓄し、感染予防に関する従業員等への教育を実施しているほか、緊急対策本部の設置を定めておりますが、大流行時における社会状況の変化によっては、操業に支障が生じ、業績に影響を与える可能性があります。

 

 

(7) 設備事故・労働災害

当社グループの電気炉や圧延・鍛造機をはじめとする特殊鋼関連主要設備は、高温・高圧下で操業を行っており、また化学薬品による加工処理も行っております。これらを原因とする事故の防止対策には万全を期して操業しておりますが、万一重大な設備事故や労働災害が発生した場合には、当社グループの生産活動に支障をきたし、業績に影響を与える可能性があります。

 

(8) 海外事業展開

当社グループでは、米国をはじめ、中国、アジア、欧州などへ製品輸出および事業展開を行っております。したがいまして、海外における政治経済状況の混乱、法令、規制等の予期せぬ変更、その他の社会的混乱等に起因する事業活動への弊害が発生することもありえます。その場合、海外における事業活動に支障をきたし、業績に影響を与える可能性があります。

 

(9) 法令・規範変更

当社グループは、国内、海外において多岐にわたる分野で事業活動を行なっており、その遂行にあたっては、法令その他の社会的規範を順守し、公正で健全な企業活動を展開しております。しかしながら、将来における法令、規範の変更や社会の諸要求の厳格化による解釈の変更などによって発生する事態が、業績に影響を与える可能性があります。

 

(10) 環境規制

当社グループでは、主な事業活動である特殊鋼製品の製造によって鉄資源のリサイクル推進の役割を果たしておりますが、その生産活動の過程において廃棄物、副産物等が発生いたします。内部統制システムの整備と改善を図り、国内外の法規制を順守し、社会貢献も含めた環境配慮の経営に取り組んでおりますが、関連法規制の強化等によって、過去、現在、将来の事業活動に関し、規制等に対応するための費用が発生する可能性を有しております。

また、関係法令の規制が厳格化され、これに対応する義務が追加されること等により、事業活動が制約を受け、業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社渋川工場の鉄鋼スラグ製品および直下の土壌から環境基準を超えるふっ素等が検出された問題では、国や群馬県をはじめとした各自治体および民間と協議の上、調査および措置を継続しております。措置内容は2015年11月の国、群馬県、渋川市3者連絡会議の基本方針に則して、表面被覆等を実施しています。表面被覆等の措置で存置した施工箇所につきましては、将来、土地改変による掘削や売却等に伴う原状回復において、追加的な対策が必要になることも考えられ、その処置に対し応分の費用負担が発生する可能性があります。

 

(11) 訴訟のリスク

当社グループでは、製品の製造にあたって、品質安定化の追求と、厳格な検査・保証管理体制を構築するとともに、損害保険加入等の対策をとるなど、品質不適合リスクその他事業活動に伴う種々のリスクについて対策を講じております。しかしながら、当社グループの事業活動に関連して、製造物責任や知的財産等に関し訴訟を提起される可能性があり、その結果によっては、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

当社の連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。重要な会計方針につきましては、本報告書「第一部 企業情報 第5 経理の状況」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、貸倒引当金、賞与引当金、環境対策引当金等の各引当金の計上、繰延税金資産の回収可能性の判断等につきましては、過去の実績や他の合理的な方法により見積りを行っております。ただし見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果はこれら見積りと異なる場合があります。

 

(1) 経営成績

当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善を背景に個人消費の持ち直しが緩やかに継続しており、企業活動に関しても鉱工業生産が改善するなど、緩やかな景気回復基調が継続しました。海外経済については、米国は個人消費や設備投資が増加し、着実な景気回復が続きました。欧州は、堅調な雇用環境を背景に、緩やかな景気回復が続きました。中国は、輸出が増加し景気の持ち直しの動きが続きました。
 このような経済環境の中、特殊鋼の主要需要先である日系自動車産業に関しましては、国内販売の回復に加え、中国での販売増加もあり、好調が継続しました。また、建産機用途は中国向けの需要が旺盛で増加しました。半導体関連の設備投資も引き続き活況で、関連需要は好調が継続しました。原料関係では、鉄屑価格は中国での鉄鋼製品価格の上昇等の影響を受け、前期比で上昇しました。
  この結果、当連結会計年度における売上高は、売上数量の増加及び原材料価格の上昇に伴う販売価格の上昇から、前期比600億96百万円増収5,052億19百万円となりました。経常利益につきましては、売上数量増等が寄与し前期比97億57百万円増益361億30百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比75億34百万円増益239億20百万円となりました。

 

2017中期経営計画に対する実績は、売上高は計画5,600億円に対し実績5,052億円、経常利益は計画400億円に対し実績361億円、親会社株主に帰属する当期純利益は計画250億円に対し、実績239億円となりました。売上高は原材料価格が計画よりも低位となったことに伴い、サーチャージ契約での販売価格が下落したことを主因として未達となりました。利益面では、原油価格が大幅に下落したことを受け、石油・ガス掘削分野の需要が大きく後退したことから、未達となりました。ただし、自動車内燃機関の燃費改善に向けた動きの中で、耐熱性や耐食性に優れたステンレス鋼や高合金などを伸ばすなど、機能材料・磁性材料セグメントが大きく成長しました。
 利益率の面では、売上高経常利益率は計画7%に対し、実績7.2%、総資産利益率は計画6%に対し、実績5.9%と、おおむね計画通りでした。
 設備投資に関しては、計画830億円(3年間累計、工事ベース)に対し、実績877億円と積極投資を実施しました。

 

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 

特殊鋼鋼材

構造用鋼は、主要需要先である自動車の販売好調や中国での建産機需要の回復等を受け前期比で数量が増加しました。工具鋼は、在庫調整が終了したことから数量が増加しました。主要原材料である鉄屑の価格は、中国での鉄鋼製品価格の上昇等の影響を受け、前期比で上昇しました。これに伴い、販売価格は前期比で上昇しています。
 これらの結果、当連結会計年度における特殊鋼鋼材の売上高は、売上数量の増加及び原材料価格の上昇に伴う販売価格の上昇から前期比14.9%増加の1,890億95百万円、営業利益は前期比6億64百万円増益64億78百万円となりました。

 

機能材料・磁性材料

ステンレス製品は、自動車、半導体向けが好調で、数量は前期比で増加しました。高合金製品は自動車関連需要が増加したことから、前期比で数量が増加しました。磁石製品は、EPS(電動パワーステアリング)用途が引き続き増加したことに加え、ハイブリッドカーの駆動用モーター向けも増加したこと等から前期比で数量が増加しました。粉末製品はハイブリッドカー向けの需要等は堅調に推移しましたが、海外自動車部品向けの需要に一部弱さが見られ、前期比で数量は横ばいとなりました。
 これらの結果、当連結会計年度における機能材料・磁性材料の売上高は売上数量の増加及び原材料価格の上昇に伴う販売価格の上昇から前期比15.0%増加1,707億87百万円、営業利益は売上数量増及び売上内容の改善が寄与し前期比47億79百万円増益221億95百万円となりました。

 

自動車部品・産業機械部品

自由鍛造品は、航空機関連需要が堅調に推移していることに加え、半導体向けの需要も増加したことから売上高
は前期比で増加しました。型鍛造品・エンジンバルブ部品は、自動車販売の好調を受け、売上高は前期比で増加しました。精密鋳造品は、ターボ関連製品の需要拡大が継続し、売上高は前期比で増加しました。
 これらの結果、当連結会計年度における自動車部品・産業機械部品の売上高は前期比9.0%増加1,062億89百万円、営業損益は売上数量増及び売上内容の改善が寄与し前期比35億86百万円増益30億70百万円となりました。

 

エンジニアリング

真空浸炭炉や部品の売上が増加したことから、当連結会計年度におけるエンジニアリングの売上高は、前期比4.0%増加248億64百万円、営業利益は前期比6億17百万円増益18億35百万円となりました。

 

流通・サービス

特殊鋼鋼材や機能材料等の売上数量が増加し、取引規模が拡大したこと等により、当連結会計年度における売上高は、前期比33.7%増加の141億82百万円、営業利益については前期比11億2百万円増益26億86百万円となりました。

 

 

生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。

 

① 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

特殊鋼鋼材

191,703

+16.3

機能材料・磁性材料

169,601

+14.4

自動車部品・産業機械部品

105,824

+8.6

エンジニアリング

24,864

+4.0

合計

491,993

+13.2

 

 

(注)1 金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

② 受注状況

当社グループ(当社および当社の連結子会社)の受注・販売形態は、素材供給等のグループ間取引が多岐にわたり、また受注生産形態をとらない製品もあるため、セグメントごとに受注規模を金額あるいは重量で示すことは行っておりません。

 

③ 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

特殊鋼鋼材

189,095

+14.9

機能材料・磁性材料

170,787

+15.0

自動車部品・産業機械部品

106,289

+9.0

エンジニアリング

24,864

+4.0

流通・サービス

14,182

+33.7

合計

505,219

+13.5

 

 

(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 主な相手別の販売実績は、総販売実績に対する販売割合が100分の10以上の相手先がないため、記載を省略しております。

3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

(2) 財政状態

当社グループの当連結会計年度末の総資産は、前期末に比べ708億72百万円増加6,450億41百万円となりました。総資産の増加の主な内訳は、「受取手形及び売掛金」の増加178億35百万円、「たな卸資産」の増加165億86百万円、「有形固定資産」の増加211億13百万円です。

総資産の増加の主な要因として、「受取手形および売掛金」は、売上高の増加に伴い増加しました。なお、一部の製品を除き受注生産を行っており、当期の受注数量の増加に伴う適正在庫確保のため、「たな卸資産」は前期末対比で増加しました。

設備投資については、特殊鋼鋼材等既存事業の収益基盤強化および成長分野、新規事業への戦略投資を厳選して実施しております。今期は、設備の維持更新および合理化投資に加え、自動車部品・産業機械部品事業における精密鋳造新工場の建設・設備増強、自動車部品・産業機械部品事業および流通・サービス事業における新規連結等により「有形固定資産」は増加しました。

また、当社グループの当連結会計年度末の非支配株主持分を含めた純資産は、前期末に比べ259億8百万円増加3,164億9百万円となりました。純資産の主な増加の内訳と要因は、親会社株主に帰属する当期純利益239億20百万円の計上による増加等による「利益剰余金」の増加183億2百万円、保有株式の時価の上昇による増加等による「その他有価証券評価差額金」の増加62億61百万円です。
 この結果、当連結会計年度末の自己資本比率は44.1%となりました。

 

(3) キャッシュ・フロー

当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前期比65億73百万円増加し、402億59百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、310億43百万円(前期比26億53百万円の増加)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益368億31百万円によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、302億15百万円(前期比37億66百万円の増加)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出302億54百万円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果得られた資金は、54億77百万円(前期比73億20百万円の増加)となりました。これは主に、短期借入金の純増減額174億18百万円によるものであります。

当社グループでは、今後も売上の拡大につとめるとともに生産リードタイム短縮によるたな卸資産の削減を図ることで、営業キャッシュ・フローの最大化を図ってまいります。また、特殊鋼鋼材等既存事業への合理化投資および成長分野への戦略投資を積極的に実施していく予定です。資金需要については、設備投資資金は長期借入金や社債により、運転資金は短期借入金により安定的に調達することを基本方針としております。

当社グループの資金の流動性は、手許の運転資金については、当社及び一部の国内連結子会社においてCMS(キャッシュ・マネジメント・サービス)を導入し、各社における余剰資金を当社へ集中し、一元管理を行うことで、資金効率の向上を図っております。また、突発的な資金需要については、機動的かつ確実な資金調達を目的に、コミットメントラインを設定しております。

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

技術援助等を与えている契約

 

契約会社名

相手方の名称

国名

契約内容

契約締結日

契約期間

大同特殊鋼㈱

(当社)

TimkenSteel Corporation

米国

特殊鋼製造・供給に関する協業テーマの推進

平成19年1月16日

平成19年1月16日から
平成31年1月16日まで

 

 

 

5 【研究開発活動】

当社グループは特殊鋼をベースにした高い技術力を背景に「素材の可能性を追求し、人と社会の未来を支え続けます」を経営理念とし、「新製品・新事業の拡大」「既存事業の基盤強化」のため、積極的な研究開発活動を行っております。現在、当社「技術開発研究所」を中心に、新製品、新材料、新技術の研究開発を推進しており、研究開発スタッフはグループ全体で286名であります。

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は54億19百万円であり、各セグメント別の研究の目的、主要な研究成果および研究開発費は次のとおりであります。

 

(1) 特殊鋼鋼材

主に当社が中心となり、自動車用構造材料、工具鋼などの素材開発および製鋼、精錬、凝固から製品品質保証までプロセス革新等の研究開発を行っております。当事業に係る研究開発費の総額は13億円であり、当連結会計年度の主な成果は次のとおりであります。

・1600MPa級高強度調質ボルト

自動車用分野では初となる1600MPa級塑性域締結調質ボルト鋼を開発し、日系自動車メーカーのエンジン部品に採用され量産を開始いたしました。高強度化の課題である水素起因の耐遅れ破壊性を、適量の合金添加とプロセス条件の適正化により有害となる炭化物を球状分散させることで克服いたしました。また、製造時に問題となる焼割れも防止可能で安定した量産品質を確保しています。

・プラスチック金型用鋼「RPD815」

プラスチック光学製品の成形に適した金型用の材料を開発いたしました。成分の適正化により金型の錆発生を低減するとともに切削性を両立し、金型で発生した錆が光学製品に混入してしまう不良の低減を図りながらも微細な形状加工が可能なことが評価され、自動車のランプで採用が拡大しているLED導光体の成形金型に採用されました。

・高減衰材向けフェーズドアレイ超音波検査技術

特殊鋼製品の内部品質保証には超音波探傷技術を用いており、お客さまからの品質厳格化の要求にお応えするため、製造プロセス内でより高精度に検査する技術を開発しております。従来、粗大な結晶組織の影響で超音波検査が困難であった鋼片に対して、高精度な探傷技術を導入して品質保証能力を向上させております。

 

(2) 機能材料・磁性材料

主に当社が中心となり、耐食・耐熱材料、高級帯鋼、接合材料、電磁材料等の素材開発および電子デバイスの研究開発を行っております。当事業に係る研究開発費の総額は26億53百万円であり、当連結会計年度の主な成果は次のとおりであります。

・世界最高レベルの高透磁率を実現した軟磁性材「MENPC2-S」,「MENPB-S」

自動車の電動化、自動運転化への動きに伴いニーズが増大している、センサの高感度化に対応できる、世界最高水準の高透磁率の軟磁性材を開発いたしました。これを契機に、高透磁率の軟磁性材のラインアップを広げ、自動車用の各種センサ向けに販売してまいります。

・重希土類元素フリーHEV向け磁石が「ものづくり日本大賞」を受賞

当社グループの㈱ダイドー電子が製造する、独自の熱間加工工法を用いたネオジム磁石が、日系自動車メーカーと共同で、第7回「ものづくり日本大賞」の経済産業大臣賞を受賞いたしました。2016年9月の採用から順次採用車種が拡大しておりますが、一層の採用拡大に向け、さらなる高性能化を目指してまいります。

 

(3) 自動車部品・産業機械部品

主に当社が中心となり、ターボチャージャーやエンジンバルブ等の自動車部品および各種産業機械部品の研究開発を行っております。当事業に係る研究開発費の総額は13億34百万円であり、当連結会計年度の主な成果は次のとおりであります。

・耐熱チタン合金「DAT54」がAMS規格を取得

弊社が開発した耐熱チタン合金DAT54が米国のAMS(Aerospace Material Specifications)機関の審査を通過し、2018年3月4日にUNS №: R56443、AMS №: AMS6952 として発効いたしました。航空機エンジンの中でも特に重要な部材である回転体に使用できる優れた高温強度を有し、日本で開発された耐熱チタン合金として初めてのAMS認定取得となります。今後、航空機分野での採用拡大に向けて活動してまいります。

 

(4) エンジニアリング

主に当社が中心となり、環境保全・リサイクル設備や省エネルギー型各種工業炉等の開発を行っております。

当事業に係る研究開発費の総額は1億30百万円であります。