当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善の継続を背景に個人消費が持ち直しつつあり、企業に関しても鉱工業生産に回復の動きがみられるなど、緩やかな回復基調となりました。欧米では、英国のEU離脱や米国でのトランプ大統領誕生など大きな動きがありましたが、雇用拡大を背景に緩やかな景気拡大が続きました。中国は政府の景気対策を背景に、自動車販売台数が大きく伸びるなど、比較的安定した成長となりました。
このような経済環境の中、特殊鋼の主要需要先である自動車産業に関しましては、北米・中国での販売好調を受け、下期には生産が増加しました。当社の主要原材料である鉄スクラップ価格は、中国ビレット価格の影響を受け春先に急騰・急落したあと、比較的安定的に推移していましたが、原料炭価格の上昇を受け秋口以降上昇しています。
この結果、当連結会計年度における売上高は、原材料価格の動きに連動する販売価格の低下等から、前期比154億54百万円減収の4,451億22百万円となりました。経常利益につきましては、売上数量増等が寄与し、前期比12億65百万円増益の263億73百万円となりました。また、前連結会計年度に計上した特別損失であるソフトウエア開発中止に伴う損失および環境対策引当金繰入額がなくなったことから親会社株主に帰属する当期純利益は前期比96億40百万円増益の163億86百万円となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
①特殊鋼鋼材
構造用鋼は、主要需要先である自動車の北米・中国販売が好調に推移したこと等から、数量が前期比で増加しました。工具鋼は、在庫調整の影響で数量が前期比で減少しました。主要原材料である鉄スクラップ価格は、中国ビレット価格の影響を受け春先に急騰・急落したあと、比較的安定的に推移していましたが、原料炭価格の上昇を受け秋口以降上昇しています。
これらの結果、当連結会計年度における特殊鋼鋼材の売上高は、原材料価格の動きに連動する販売価格の低下等から前期比3.4%減少の1,646億36百万円、営業利益は11月以降の原材料価格の上昇に伴うコスト増加等が影響し前期比17億47百万円減益の58億13百万円となりました。
②機能材料・磁性材料
ステンレス製品は、自動車、半導体向けが好調で、数量は前期比で増加しました。一方、販売価格は原材料であるニッケル価格の下落に伴い低下しました。高合金製品は自動車関連需要が増加したことから、前期比で数量が増加しました。磁石製品は、EPS(電動パワーステアリング)用途を中心に数量が増加しました。粉末製品は海外自動車部品向けの需要が堅調で、数量が増加しました。
これらの結果、当連結会計年度における機能材料・磁性材料の売上高は前期比4.4%減少の1,484億68百万円、営業利益は数量増が寄与し前期比50億85百万円増益の174億16百万円となりました。
③自動車部品・産業機械部品
自由鍛造品は、原油価格の下落を背景にオイル&ガス関連の需要が大幅に減少したことから、売上高は前期比で減少しました。型鍛造品は、原材料価格等に連動する販売価格の低下等により売上高は前期比で減少しました。エンジンバルブ部品は、北米・中国の自動車販売が好調を維持し、売上高は前期比で増加しました。精密鋳造品は、ターボ関連製品の需要拡大基調が継続し、売上高は前期比で増加しました。
これらの結果、当連結会計年度における自動車部品・産業機械部品の売上高は前期比2.2%減少の974億91百万円、営業損益は自由鍛造品の需要減少等が影響し前期比18億14百万円減益の5億16百万円の損失となりました。
④エンジニアリング
エンジニアリングについては、一部製品の海外向け売上は好調であったものの、全体としては売上案件が減少し、当連結会計年度におけるエンジニアリング部門の売上高は、前期比8.4%減少の239億17百万円、営業利益は前期比8億52百万円減益の12億18百万円となりました。
⑤流通・サービス
流通・サービス部門については、大同特殊鋼(上海)有限公司を新たに連結したこと等から、当連結会計年度における売上高は、前期比17.5%増加の106億8百万円、営業利益については前期比4億10百万円増益の15億83百万円となりました。
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前期比88百万円減少し、336億85百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、283億90百万円(前期比173億41百万円の減少)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益273億55百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、264億49百万円(前期比32億84百万円の増加)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出278億93百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、18億43百万円(前期比183億21百万円の減少)となりました。これは主に、自己株式の取得による支出49億88百万円によるものであります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前期比(%) |
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特殊鋼鋼材 |
164,889 |
△2.9 |
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機能材料・磁性材料 |
148,244 |
△4.3 |
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自動車部品・産業機械部品 |
97,404 |
△2.5 |
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エンジニアリング |
23,917 |
△8.4 |
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合計 |
434,455 |
△3.6 |
(注)1 金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当社グループ(当社および当社の連結子会社)の受注・販売形態は、素材供給等のグループ間取引が多岐にわたり、また受注生産形態をとらない製品もあるため、セグメントごとに受注規模を金額あるいは重量で示すことは行っておりません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前期比(%) |
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特殊鋼鋼材 |
164,636 |
△3.4 |
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機能材料・磁性材料 |
148,468 |
△4.4 |
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自動車部品・産業機械部品 |
97,491 |
△2.2 |
|
エンジニアリング |
23,917 |
△8.4 |
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流通・サービス |
10,608 |
+17.5 |
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合計 |
445,122 |
△3.4 |
(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 主な相手別の販売実績は、総販売実績に対する販売割合が100分の10以上の相手先がないため、記載を省略しております。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(平成29年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、創業100周年を迎えた2016年8月に、グループ経営理念を「素材の可能性を追求し、人と社会の未来を支え続けます」と定めました。大同特殊鋼グループとして、素材または素材に関する技術をもって素材が秘めている可能性をひきだし、新たな価値を創造することで、人と社会の未知のニーズに応え、その発展につながるよう貢献し続けることを目指しております。
(2) 経営環境及び対処すべき課題
前中期計画(2014中期経営計画、2012~2014年度)期間においては、得意商品拡大によるアジア成長の取込み、製造コストの抜本的改善、海外市場取込みも見据えた複眼的アライアンスの推進等を進めてまいりました。しかしながら、想定以上の海外現地調達化の進展やエネルギーコストの高騰など、経営環境としては厳しさが増した面がありました。
今中期計画(2017中期経営計画、2015~2017年度)期間の経営環境につきましては、先進国は雇用環境が堅調で緩やかな成長を続けています。中国の経済成長は想定より減速しており、新興国市場の拡大ペースはやや鈍化しています。その中で主要需要先である自動車は堅実な成長を続けております。資源・エネルギー関連の需要は中長期的に拡大すると想定していますが、原油価格の低下を受け足元では減少しています。
一方で、特殊鋼への機能要求は高まっております。例えば、地球温暖化対策として二酸化炭素排出規制が強化される中、自動車などの内燃機関に使用される特殊鋼は究極の燃焼効率を目指して、耐熱性や薄肉化などの機能面でこれまでの限界を超えた性能が要求されています。当社グループは、お客様とより一体となって、これらの難題を解決していきたいと考えています。
今中期計画(2017中期経営計画、2015~2017年度)における経営基本方針および重点施策、目標とする経営数値は以下の通りです。
<経営基本方針>
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「世界に貢献する特殊鋼メーカー」 |
<重点施策>
① お客様との共創
世の中が必要とするイノベーションを、お客様と一体となって産み出してまいります。お客様とより密接なコミュニケーションを取れる営業体制へ組織改編を行い、情報収集能力を高め、グループ内の商品群、技術力を余すところなく提供できる体制へ変革し、当社グループの商品ラインナップ、素材技術とお客様の製品技術を高度に融合させてまいります。このお客様との共創を通じて、これまでの限界を超えるトータルソリューションを世界に提供してまいります。
② 成長領域への注力
今後大きく成長が望まれる分野において、市場の発展を支えることで世界に貢献してまいります。これまでに培ってきた幅広い特殊鋼先端技術力をさらに磨き上げ、車載分野でのターボ部材・磁石製品・センサ関連部材(高機能ステンレス、高機能粉末等)、オイル&ガス向けの高合金製品など、世界の成長を支える新しい特殊鋼を産み続けてまいります。
③ QCD競争力の強化
特殊鋼で世界に貢献するための土台として、世界で戦えるQCD(品質、コスト、納期対応力)競争力をさらに強化してまいります。例えば、溶解プロセスの最適化など、製造プロセスの更なる高度化を追求し、品質、コスト、納期対応力すべての点でより競争力を高めてまいります。また、型鍛造品製造拠点としてタイ、中長期的にオイル&ガスの成長が見込まれる北米ヒューストンに新拠点を設けるなど、グローバルにサプライチェーンを強化し、必要とされる場所で商品を提供できる体制を整えてまいります。
④ 多様な人材能力の活用
少子高齢化、人口減による労働力人口の減少が懸念され、近い将来優秀な人材の確保が難しくなることを想定し、平成26年10月に「女性の活躍推進」を最優先課題とした「ダイバーシティ(多様性)推進プロジェクト」を立上げております。
その中で、特に女性の採用比率に目標を設定し、取り組んでおります。従来から鉄鋼業は「男性の職場」と思われがちであったことなどから、当社で活躍する女性従業員の姿を紹介することで当社への理解を深め、応募者増を図ってまいります。また、入社後の女性従業員が活躍できる職域を拡大するため、配属職場の理解促進や就労環境のさらなる改善を進めております。
さらに従業員が、その能力を最大限発揮できるように、従来からの育成を念頭においたキャリアプランの検討、社内風土や意識改革のための研修の実施、多様な人材の活躍を支援するための制度改定などに加え、今年度からは「働き方改革」に向けた取り組みも推進してまいります。
<目標とする経営数値>
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2014年度実績 (平成27年3月期) |
2017年度中期経営計画 (平成30年3月期) |
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売上高 |
4,836億円 |
5,600億円 |
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経常利益 |
217億円 |
400億円 |
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親会社株主に帰属する当期純利益 |
109億円 |
250億円 |
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ROS |
4.5% |
7% |
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ROA |
3.8% |
6% |
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配当性向 |
25.9% |
20~25% |
当社グループに与えられた使命は、より進化した製品や技術の開発を通して社会に貢献して行くことと認識しております。この使命を果たすため、常に最先端の技術開発とその活用に努め、グループ一丸となって持続的な企業価値の向上を目指してまいります。
(3) 買収防衛策について
当社は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者は、当社の企業理念、当社の企業価値の様々な源泉および当社を支える各利害関係者との信頼関係を十分に理解したうえで、当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を中長期的に確保または向上させることを真摯に目指す者でなければならないと考えております。したがいまして、当社の株式を買い集め、多数派株主として自己の利益の追求のみを目的として濫用的な会社経営を行うものであったり、株主の皆様に当社の株式の売却を事実上強要するものであったり、または、株主の皆様が当該買付けの条件・方法等について検討し、当社取締役会が代替案の提示等を行うための十分な時間を確保しないものである等の当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を著しく損なう株式の大規模な買付けを行う者は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者として不適切であると考えます。
当社は、上記①の当社の財務および事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針(以下「基本方針」といいます。)の実現に資する特別な取り組みとして、上記(2)に記載の企業価値向上に向けた取り組みを実施しております。
また、当社はコーポレート・ガバナンスの充実に向けた取り組みを基本方針の実現に資する特別な取り組みのひとつと位置付けております。コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方およびその充実に向けた取り組みにつきましては、「第4 提出会社の状況 6 コーポレート・ガバナンスの状況等」をご参照ください。
当社は、当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益の確保または向上を目的として、平成27年6月26日開催の当社第91期定時株主総会において株主の皆様のご賛同を得て導入した「当社の株券等の大規模買付行為に関する対応方針」(以下「本対応方針」といいます。)を継続することを、平成29年6月28日開催の当社取締役会において決定いたしました。
本対応方針の概要は、当社の株券等を20%以上取得しようとする大規模買付者に対して、取締役会による大規模買付行為の内容の評価・検討等に必要な情報の提供や期間の確保等、本対応方針に定める大規模買付ルールに従うことを求め、大規模買付者が大規模買付ルールに従わない場合や、大規模買付ルールに従っても当該大規模買付行為が当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を著しく損なうものであると認められる場合に対抗措置を発動できるとするものです。
本対応方針の内容の詳細につきましては、以下の当社ホームページをご参照ください。
http://www.daido.co.jp/ir/pdf/defence.pdf
上記②の取り組みは、当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を向上させ、それを当社の株式の価値に適正に反映させていくことにより、上記①に記載されているような当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を著しく損なう株式の大規模な買付けを困難にするものと考えられ、上記①の基本方針に資するものであると考えております。
また、当社は、多数の投資家の皆様に中長期的に継続して当社に投資していただくため、当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を向上させることを目的に、上記②の取り組みを実施しております。
したがいまして、上記②の取り組みは上記①の基本方針に沿うものであり、当社の株主の皆様の共同の利益を損なうものではなく、当社の役員の地位の維持を目的とするものでもないと考えております。
上記③の取り組みは、大規模買付行為の内容の評価・検討等に必要な情報の提供と期間の確保の要請に応じない大規模買付者、および当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を著しく損なう大規模買付行為を行おうとする大規模買付者に対して対抗措置を発動できるとすることで、これらの大規模買付者による大規模買付行為を防止するものであり、上記①の基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取り組みであります。
また、上記③の取り組みは、当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を確保しまたは向上させることを目的として、大規模買付者に対して、当該大規模買付者が実施しようとする大規模買付行為の内容の評価・検討等に必要な情報の提供と期間の確保を求めるために実施されるものです。
さらに、上記③の取り組みにおいては、株主の皆様の意思を確認する手続の導入、独立性の高い委員により構成される特別委員会の設置およびその勧告の最大限の尊重、合理的かつ客観的な対抗措置発動要件の設定、株主意思確認株主総会の決議に基づく対抗措置発動等の当社取締役会の恣意的な判断を排し、上記③の取り組みの合理性および公正性を確保するための様々な制度および手続が確保されています。
したがいまして、上記③の取り組みは上記①の基本方針に沿うものであり、当社の株主の皆様の共同の利益を損なうものではなく、当社の役員の地位の維持を目的とするものでもないと考えております。
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(平成29年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの事業は、自動車、産業機械、電気機械、IT、インフラなどを主な需要分野としております。したがいまして、当社グループの業績は国内外の景気、公共投資、民間設備投資、個人消費、市況等の動向に影響を受けます。また、各製品市場において、国内外の競合各社との激しい競争状態にあり、その状況次第では当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの主要需要業界は自動車関連産業であり、ユーザーとの厚い信頼関係を基盤に高いシェアを維持しております。このため、種々の事業環境の中でも、国内外における自動車メーカーの生産動向、および当社グループの価格交渉力が業績に影響を与える可能性があります。
当社グループ製品の主要原材料は、鉄スクラップやニッケル等の合金であります。その他に少量ではありますが磁石製造のためにネオジム等のレアアースを使用しております。また、生産活動の過程において大量の電力やLNGなどのエネルギーを消費いたします。したがいまして、原材料の需要変動による価格変動およびエネルギー需給の変動による価格変動が当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
また原材料の需給関係が大きく崩れ安定した調達が困難となった場合や、電力需給の悪化による使用制限が発生した場合には当社グループの生産活動に支障をきたし、業績に影響を与える可能性があります。
当社グループは設備資金、運転資金の一部を金融機関等からの借入金等で調達しております。近年の市場金利は低位で推移しておりますが、景気動向によっては金利情勢の変化も予想され、業績に影響を与える可能性があります。
当社グループが保有している投資有価証券の価値が、投資先の業績不振、証券市場における市況の悪化等で変動した場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、退職給付信託資産を構成する有価証券の価格変動が業績に影響を与える可能性があります。
当社グループは、製品等の輸出および原材料等の輸入において外貨建取引を行っており、また、外貨建の債権、債務を保有しております。このため、為替レートの変動が業績に影響を与える可能性があります。
当社知多工場をはじめとする当社グループの製造拠点の多くは、愛知県内に立地しております。耐震性の強化などの防災対策を進めているほか、津波被害から人命を守るための取り組み、また、既存のサプライチェーンを寸断させること無きよう様々な活動を行っておりますが、懸念されている「東海地震」「東南海地震」「南海地震」などの自然災害に見舞われた場合は操業に支障が生じ、業績に影響を与える可能性があります。
また、各種の感染症の大流行に対しては、感染予防に必要な保護具および衛生用品を備蓄し、感染予防に関する従業員等への教育を実施しているほか、緊急対策本部の設置を定めておりますが、大流行時における社会状況の変化によっては、操業に支障が生じ、業績に影響を与える可能性があります。
当社グループの電気炉や圧延・鍛造機をはじめとする特殊鋼関連主要設備は、高温・高圧下で操業を行っており、また化学薬品による加工処理も行っております。これらを原因とする事故の防止対策には万全を期して操業しておりますが、万一重大な設備事故や労働災害が発生した場合には、当社グループの生産活動に支障をきたし、業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、米国をはじめ、中国、アジア、欧州などへ製品輸出および事業展開を行っております。したがいまして、海外における政治経済状況の混乱、法令、規制等の予期せぬ変更、その他の社会的混乱等に起因する事業活動への弊害が発生することもありえます。その場合、海外における事業活動に支障をきたし、業績に影響を与える可能性があります。
当社グループは、国内、海外において多岐にわたる分野で事業活動を行なっており、その遂行にあたっては、法令その他の社会的規範を順守し、公正で健全な企業活動を展開しております。しかしながら、将来における法令、規範の変更や社会の諸要求の厳格化による解釈の変更などによって発生する事態が、業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、主な事業活動である特殊鋼製品の製造によって鉄資源のリサイクル推進の役割を果たしておりますが、その生産活動の過程において廃棄物、副産物等が発生いたします。内部統制システムの整備と改善を図り、国内外の法規制を順守し、社会貢献も含めた環境配慮の経営に取り組んでおりますが、関連法規制の強化等によって、過去、現在、将来の事業活動に関し、規制等に対応するための費用が発生する可能性を有しております。
また、関係法令の規制が厳格化され、これに対応する義務が追加されること等により、事業活動が制約を受け、業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、製品の製造にあたって、品質安定化の追求と、厳格な検査・保証管理体制を構築するとともに、損害保険加入等の対策をとるなど、品質不適合リスクその他事業活動に伴う種々のリスクについて対策を講じております。しかしながら、当社グループの事業活動に関連して、製造物責任や知的財産等に関し訴訟を提起される可能性があり、その結果によっては、業績に影響を及ぼす可能性があります。
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契約会社名 |
相手方の名称 |
国名 |
契約内容 |
契約締結日 |
契約期間 |
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大同特殊鋼㈱ (当社) |
TimkenSteel Corporation |
米国 |
特殊鋼製造・供給に関する協業テーマの推進 |
平成19年1月16日 |
平成19年1月16日から |
当連結会計年度において締結した契約
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契約会社名 |
相手方の名称 |
国名 |
契約内容 |
契約締結日 |
契約期間 |
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大同特殊鋼㈱ (当社) |
大同興業㈱ |
日本 |
当社を株式交換完全親会社とし、大同興業株式会社を株式交換完全子会社とする株式交換 |
平成28年5月31日 |
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株式交換の概要は、以下のとおりです。
当社は、大同興業株式会社(以下、「大同興業」といいます。)の有する海外拠点と人材を最大限活用してマーケティング力の強化を図るとともに、ターボ部材事業、磁石事業及び高合金事業にかかるノウハウと経営資源を融合することで、商品開発から量産に至る一貫した事業モデルの構築を更に加速させていくことを目的として、株式交換を実施いたしました。
① 株式交換の内容
当社を株式交換完全親会社とし、大同興業を株式交換完全子会社とする株式交換
② 株式交換の日(効力発生日)
平成28年10月1日
③ 株式交換に係る割当ての内容
大同興業の普通株式1株に対して、当社普通株式1.53株を割当て交付しております。ただし、当社が保有する大同興業株式については、本株式交換による株式の割当ては行っておりません。また、交付する当社株式には、当社が保有する自己株式を充当し、新株式の発行を行っておりません。
④ 株式交換に係る割当ての内容の算定方法
本株式交換に用いられる株式交換比率の決定にあたって公正性・妥当性を期すため、当社は、独立した第三者機関である株式会社三菱東京UFJ銀行(以下、「三菱東京UFJ銀行」といいます。)に大同興業の株式価値の算定を依頼しました。三菱東京UFJ銀行は、非上場会社である大同興業の普通株式については、大同興業が継続企業であることから、将来の事業活動の状況を適切に評価に反映するためディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法を採用して株式価値の算定を行いました。
当社および大同興業は、その算定結果を参考に、総合的に勘案して、両者間において協議のうえ、株式交換比率を決定いたしました。
⑤ 株式交換完全親会社となる会社の概要(平成29年3月31日現在)
商号 :大同特殊鋼株式会社
本店の所在地:名古屋市東区東桜一丁目1番10号
代表者の氏名:代表取締役社長 石黒 武
資本金の額 :37,172百万円
事業の内容 :特殊鋼鋼材、機能材料・磁性材料、自動車部品・産業機械部品等の製造・販売
当社グループは特殊鋼をベースにした高い技術力を背景に「21世紀社会に貢献する創造的、個性的な企業集団」を目指すことを基本理念としており、「新製品・新事業の拡大」および「既存事業の基盤強化」のため、積極的な研究活動を行っております。
現在、当社「技術開発研究所」内の「特殊鋼研究部」、「電磁材料研究部」、「プロセス研究部」を中心に、新製品、新材料、新技術の研究開発を推進しており、研究開発スタッフはグループ全体で281名であります。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は62億5百万円であり、各セグメント別の研究の目的、主要な研究成果および研究開発費は次のとおりであります。
主に当社が中心となり、自動車用構造材料、工具鋼などの素材開発および製鋼、精錬、凝固から製品品質保証までプロセス革新等の研究開発を行っております。
当事業に係る研究開発費の総額は15億24百万円であり、当連結会計年度の主な成果としては次のものがあります。
自動車の部品軽量化のために高強度材料を適用する場合、機械加工などの製造性悪化が課題となっています。従来の非調質鋼に比べて低炭素のベイナイト組織に制御することで加工性に優れ、かつ、時効硬化現象を活用することで大幅に硬くできるため、加工コストの低減と高強度化の両立が可能となりました。今後、非調質鋼が適用されているクランクシャフトやコンロッド、燃料噴射部品などの小型軽量化に貢献すべく実用化を進めてまいります。
・フェーズドアレイ超音波検査技術
特殊鋼製品の内部品質保証には超音波探傷を用いており、お客さまからの品質厳格化の要求にお応えするため、製造プロセス内で全数を高精度に検査する技術を開発しております。鋼片や棒鋼製品での実用化を目指しており、すでに医療用チタン棒鋼向けには高精度な自動探傷装置を導入して品質保証能力を向上させております。
主に当社が中心となり、耐食・耐熱材料、高級帯鋼、接合材料、電磁材料等の素材開発および電子デバイスの研究開発を行っております。
当事業に係る研究開発費の総額は30億86百万円であり、当連結会計年度の主な成果としては次のものがあります。
窒素はステンレス鋼において強度・耐食性の両方を向上させる有効な元素であります。この窒素の効果を最大限に利用することで、58HRC以上の硬さとSUS630相当の耐食性を両立させました。従来鋼では適用が難しかった厳しい腐食環境下での利用が可能であり、すでに機械刃物や軸受などに採用されております。今後は、高耐食材ニーズが高まっている自動車部品など幅広い用途に採用されることが期待されております。
弊社グループのダイドー電子では独自の熱間加工工法を用いてリング磁石を製造しておりますが、その技術を応用した板磁石を開発いたしました。組織制御により高い耐熱性を持ち、重希土類元素を全く使用せずにハイブリッド自動車の主機モータなどに使用できます。すでに日系自動車メーカーに採用されており、今後拡大を目指してまいります。
主に当社が中心となり、ターボチャージャーやエンジンバルブ等の自動車部品および各種産業機械部品の研究開発を行っております。
当事業に係る研究開発費の総額は14億49百万円であり、当連結会計年度の主な成果としては次のものがあります。
火力発電設備やゴミ焼却設備などで、高温に曝される炉内の炉壁に用いられる水冷壁パネルの耐食性、耐摩耗性を向上させるために、現地施工でパネル表面に高合金鋼を肉盛する技術を開発しております。溶接ワイヤを用いたMIG法よりも希釈率が低く、薄肉で施工することが可能なPPW(プラズマ粉体肉盛)法を用い、粉末供給を適切に制御することで、立てたままのパネル表面に肉盛層を滑らかに形成する技術を確立いたしました。
主に当社が中心となり、環境保全・リサイクル設備や省エネルギー型各種工業炉等の開発を行っております。
当事業に係る研究開発費の総額は1億45百万円であります。
当社の連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。重要な会計方針につきましては、本報告書「第一部 企業情報 第5 経理の状況」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、貸倒引当金、賞与引当金等の各引当金の計上、繰延税金資産の回収可能性の判断等につきましては、過去の実績や他の合理的な方法により見積りを行っております。ただし見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果はこれら見積りと異なる場合があります。
当社グループの当連結会計年度末の総資産は5,741億円と前期末に比べ384億円の増加となりました。
総資産の主な増加の内訳と要因は次のとおりであります。
・「受取手形及び売掛金」の増加98億円…主として売上高の増加に伴う増加。
・「投資有価証券」の増加255億円…主として退職給付信託の一部返還および保有株式の時価の上昇による増加。
また、当社グループの当連結会計年度末の非支配株主持分を含めた純資産は2,905億円と前期末に比べ221億円の増加となりました。
純資産の主な増加の内訳と要因は次のとおりであります。
・「利益剰余金」の増加142億円…主として親会社株主に帰属する当期純利益163億円の計上による増加。
・「その他有価証券評価差額金」の増加74億円…主として保有株式の時価の上昇による増加。
この結果、当連結会計年度末の自己資本比率は45.3%となり、1株当たり純資産額は609円47銭と前期末に比べ64円21銭増加しております。
当社グループの当連結会計年度の売上高は原材料価格の動きに連動する販売価格の低下等から4,451億円と前期に比べ154億円の減収となりました。セグメント別の増減要因につきましては「1 業績等の概要」に記載しております。
当社グループの当連結会計年度の営業利益は、売上数量増等が寄与し、255億円と前期に比べ10億円の増益となりました。
当社グループの当連結会計年度の経常利益は263億円と前期に比べ12億円の増益となりました。これは、前期対比10億円の営業利益の増益等によるものであります。
当社グループの当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は163億円と前期に比べ96億円の増益となりました。これは、前期対比12億円の経常利益の増益と、前期に計上した特別損失であるソフトウエア開発中止に伴う損失55億円および環境対策引当金繰入額53億円がなくなったこと等によるものであります。
当社グループの当連結会計年度の「営業活動によるキャッシュ・フロー」の収入は283億円と前期に比べ173億円の減少となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の増加はあるものの、運転資金が増加したことによるものです。一方、「投資活動によるキャッシュ・フロー」の支出は264億円と前期に比べ32億円の増加となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出の増加によるものです。以上を合計した「フリー・キャッシュ・フロー」は19億円となりました。
また、自己株式の取得による支出を中心として、「財務活動によるキャッシュ・フロー」は18億円の減少となりました。
これらの結果、当連結会計年度の資金は、前期末に比べ0億円減少の336億円となりました。