第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

グループ経営理念を「素材の可能性を追求し、人と社会の未来を支え続けます」と定め、大同特殊鋼グループとして、素材または素材に関する技術をもって素材が秘めている可能性をひきだし、新たな価値を創造することで、人と社会の未知のニーズに応え、その発展につながるよう貢献し続けることを目指しております。

 

(2) 経営環境及び対処すべき課題

今後の世界経済は、新型コロナウイルス感染症のワクチン普及により、徐々に正常化に向かうことが期待されますが、変異種の流行による感染の再拡大など、先行きについては依然として不透明な状況にあります。当社の主要需要先である自動車関連の受注は、今後も緩やかな回復が見込まれますが、足元の半導体不足による自動車メーカーの減産リスクに注視していく必要があります。また、原材料価格の高騰や、米中の通商問題に起因する景気後退懸念など、当社収益に影響を与えるリスク要因も複数認識しております。このような状況下、固定費を中心とした徹底的なコスト圧縮策を引き続き推し進めることで、事業への影響が最小限となるよう努めてまいります。

他方、中長期的な視点では、持続可能な社会の実現に向けた取り組みが地球規模での大きなテーマとなっています。お客様におきましても地球温暖化ガスの削減が大きなテーマとなっており、自動車の電動化、また、自動車の内燃機関や航空機のジェットエンジンの高効率化などが求められています。当社は、機能性に優れた素材を提供することでこれらお客様の技術革新を支え、お客様とともに持続可能な社会の実現と当社の中長期的な成長に取り組んでまいります。

なお、2020中期経営計画の結果および2023中期経営計画の方向性については次のとおりです。

 

<2020中期経営計画の結果>

2020中期経営計画では、下記3点の行動方針のもと一定の成果を挙げましたが、同時に今後の対処すべき課題も見えてまいりました。

 

(行動方針)

①ポートフォリオ改革(構造材料から機能材料へ)

成長機会の多い機能材料・磁性材料セグメントへ積極投資を実施し、売上高トップセグメント化を目指すと同時に、全社的製品ポートフォリオを改革し、利益の最大化を目指してまいりました。
 知多第2工場のステンレス棒鋼加工ラインの増設を始めとした生産能力の増強投資を実施し、ステンレス鋼、高合金、粉末といった継続的に伸びていく需要を確実に捕捉できる生産体制を整え、長期的に大きな市場成長が見込まれる磁石事業についても、中津川先進磁性材料開発センターを開設し、次世代の革新モーター技術とそれにふさわしい搭載磁石に関する研究を強化してまいりました。

これらの結果、目標であった機能材料・磁性材料の売上高トップセグメント化を達成しましたが、新型コロナウイルス感染症の影響により、投資した設備の効果が最大限発現できておらず、この点は今後の課題となりました。

 

②事業基盤の強化(損益分岐点改善、経営体質強化)

長期継続的な成長を実現するため、事業全体の基盤である鋼材事業に関しては、ベース値上げにより一定レベルの再生産可能なマージンを確保し、また固定費を中心とした徹底的なコスト削減の実施により、損益分岐点の改善を図ってまいりました。

将来の国内特殊鋼需要の減少を見据え、さらなる損益分岐点の改善と激しく変化する外部環境に適応していくことが今後の課題と認識しております。

 

③事業の再構築

ターボハウジング部門において、市場競争の激化を受け、収益性が低下したものと判断し、国内では固定資産の減損処理を実施し、また中国事業についても清算しました。流通・サービスセグメントにおいても、ホテル・ゴルフ場の営業を停止しました。今後も選択と集中を進め、資本効率を高めてまいります。

 

 

(経営指標)

 

2020年度(実績)

2020年度(目標)

売上高

         4,127億円

         5,800億円

営業利益

          100億円

          470億円

親会社株主に帰属する当期純利益

           45億円

          300億円

ROS(売上高営業利益率)

           2.4%

            8%

ROA(総資産経常利益率)

           2.0%

            7%

ROE(自己資本利益率)

           1.6%

            9%

設備投資額(3年累計工事ベース)

          963億円

          950億円

配当性向

                    33.0%

         20~25%

 

 

<2023中期経営計画の方向性>

昨今では、自動車の電動化や脱炭素社会への移行が加速しております。これら激変する外部環境に適応するため、2030年のあるべき姿を描いたうえで、そこからバックキャストで中期ビジョンを策定してまいります。同時に、2020中期経営計画で見えた課題の解決を加えながら持続的な成長を達成するため、以下の取り組みを実施します。

 

 (組織体制の変更)

①特殊鋼鋼材事業 <再編>

自動車電動化の加速等による中長期的な国内特殊鋼鋼材の需要減少に備え、営業部門はビジネスユニット制を廃止し、体制を大括り化した営業本部に再編するとともに、製造部門も一元的に統括できる生産本部体制とすることにより、基軸となる鋼材事業の強靭化を図ってまいります。また、海外営業部を設置し、成長する海外特殊鋼需要の捕捉を加速してまいります。

 

②素形材・工具鋼事業 <統合>

自由鍛造品を扱う事業を統合し、効率的な生産を志向することにより、コスト競争力を強化してまいります。また、素形材事業は高合金海外営業部を、工具鋼事業は工具鋼海外営業部を、それぞれ設置し、海外市場における拡販を強固に推進してまいります。

 

③機能製品事業・次世代製品開発センター <新設>

自動車のCASE(*)領域、先進医療、次世代エネルギー分野などで需要拡大が見込まれる機能製品群(粉末・帯鋼・電子部材)に関し、これら製品群の成長を包括的に推進するため機能製品事業部を新設するとともに、萌芽領域の製品群の事業化を担う次世代製品開発センターを創設し、新規需要を創出してまいります。

 

*CASE(Connected(コネクティッド)、Autonomous/Automated(自動化)、Shared(シェアリング)、Electric(電動化))

 

 (気候変動対応の取り組み)

当社は、気候変動問題にも積極的に対応するため、「Daido Carbon Neutral Challenge」を策定しており、次の方針により、2050年でのカーボンニュートラル実現を目指してまいります。

 

①既存技術を結集させた徹底省エネ  ②脱炭素電源の活用  ③脱炭素技術の導入

 

2030年においては、当社の既存省エネ技術の全面展開、COフリー電力への切り替えにより、2013年度対比で50%のCO削減を目指してまいります。加えて、経団連と連携して脱炭素社会の構築に向けた「チャレンジ・ゼロ」のプロジェクト活動も推し進めることで、鉄鋼業界全体のCO削減にチャレンジしてまいります。

 

新組織体制での事業計画および気候変動を中心としたESG対応を踏まえた2023中期経営計画については現在策定中であり、決定次第速やかに公表いたします。

 

2 【事業等のリスク】

当社グループの経営成績および財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクを、以下の表にて発生の可能性や時期、影響の大きさの観点から重要性が高いと判断している項目順に記載しております。ただし、すべてのリスクを網羅したものではなく、現時点では予見できない、または重要とは見なされていないリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。
 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

項目

リスクの内容

主要な取り組み

 (1)事業環境の動向

発生可能性:高

影響度:大

 

〇経営企画部門による経済環境のモニタリング、事業計画の審査

〇競合に対する差別化、技術の向上

〇経営会議・投資検討会を通じた経営戦略、投資の妥当性の審議および収益獲得に向けたフォローアップ

〇CASE時代を見据えた機能製品事業の強化

・国内外の景気悪化、公共投資・民間設備投資の抑制、個人消費の低迷、特に当社グループの主要需要業界である自動車メーカーの減産、電動化の進展加速、当社グループの価格交渉力低下による経営成績および財政状態への影響

・需要環境の構造的変化による事業用資産の減損および戦略的投資を行なった事業の計画未達に伴う固定資産の減損

 (2)自然災害

発生可能性:中

影響度:大

 

○耐震性の強化などの防災対策、津波対策、BCM・BCP活動

・南海トラフ巨大地震や気候変動に伴う大規模洪水などの自然災害による知多工場、星崎工場の操業への甚大な影響

 (3)設備事故・労働災害

発生可能性:中

影響度:大

 

○停電時の二次災害防止などの設備投資を含めた事故防止対策の実施

〇製造現場を中心とした自主的な設備安全に関する改善活動

○安全研修会等により他社改善事例を社内へ展開

・特殊鋼関連を主とする大規模主要設備の、過酷な環境下での操業による重大な設備事故や労働災害の発生

 (4)環境規制・カーボンニュートラル

発生可能性:中

影響度:大

 

○社会貢献も含めた環境配慮の経営への取組み

○当社グループの事業活動に関連する各種法規制の洗い出し、および遵守状況のモニタリング

○国や群馬県をはじめとした各自治体および民間との協議の上、調査および措置を継続

●継続的な省エネ、コスト改善の実行

・環境保全に対する法規制の強化・厳格化に伴う対応のための事業活動の制約、費用の発生

・当社渋川工場の鉄鋼スラグ製品および直下の土壌からの環境基準を超えるふっ素等の検出によって、追加的な対策が必要となった場合の、応分の費用負担発生

・CO削減対策費用の増大、再生可能エネルギー発電促進賦課金減免の縮小

 (5)法令・規範の変更

発生可能性:中

影響度:大

 

○法令その他の社会的規範の遵守、変更や厳格化への速やかな対応、公正で健全な企業活動の展開

○法的要求事項等で違反認定された事例の水平展開

○e-ラーニングシステムの導入

・労働、安全衛生、カルテル、輸出管理、個人情報保護、その他事業活動に関連する法令・規範の変更や社会の諸要求の厳格化による課徴金や行政処分の発生

 (6)人材

発生可能性:高

影響度:中

 

○採用HPの整備、就職情報サイトの活用、リクルーター制度整備

○階層別教育制度の拡充

○e-ラーニングシステムの導入

●働き甲斐のある職場づくり

・少子高齢化などによる必要な人材の確保、育成の未達

・各種ハラスメント防止やダイバーシティへの対応が不十分だった場合の人材定着率の低下

 (7)新型コロナウィルス

発生可能性:高

影響度:中

 

○出張自粛、マスク着用等を定めた感染症対策ガイドラインに沿った感染防止策の実施と出社率管理

○リモート会議、テレワーク環境、サテライトオフィスの整備

○主要取引銀行とのコミットメントラインによる資金の安全性確保

・従業員の健康と安全への影響、社内でのクラスター発生による事業活動への影響

・新型コロナウィルス感染拡大の長期化による事業環境の悪化(需要激減、取引先の信用不安)

 

 

項目

リスクの内容

主要な取り組み

 (8)IT環境・情報セキュリティ

発生可能性:中

影響度:中

 

○ITセキュリティ体制の整備

○IT技術とデータの利活用推進

○レガシーシステム整備に向けた課題抽出と中長期方針策定

●情報管理強化に向けた組織横断的ワーキンググループ

・不正アクセスによる情報漏洩

・デジタル技術革新への対応遅延による競争力の低下

・基幹システムの肥大化およびブラックボックス化によるシステムトラブルの発生

 (9)海外事業展開

発生可能性:中

影響度:中

 

〇現地情報のタイムリーな収集、関連グループを含めた迅速な情報共有

●海外法規の調査、駐在員管理強化

・海外における政治経済状況の混乱、法令、規制等の予期せぬ変更

・その他の社会的混乱等に起因する事業活動への弊害

(10)関係会社のガバナンス

発生可能性:中

影響度:中

 

○内部統制、重要法規の教育および本社監査部門による監査の実施

○各社監査役の会合、教育を通じた監査役監査の充実

○内部統制、リスクマネジメント等のグループ内啓蒙活動

○e-ラーニングシステムの導入

・関係会社における各種の不正行為や不適切な会計処理等の発生

(11)製品品質保証・製造物責任のリスク

発生可能性:低

影響度:中

 

○品質安定化の追求、厳格な検査・保証管理体制構築、損害保険加入等

・大規模な製造物責任賠償やリコールによる多額の費用発生や社会的な信用低下

(12)金融商品の価値変動

発生可能性:低

影響度:中

 

〇資産圧縮によるリスク低減

・投資先の業績不振、証券市場における市況の悪化による投資有価証券の価格下落

(13)原料、エネルギーの価格変動および安定調達

発生可能性:中

影響度:小

 

〇製品価格の原材料サーチャージ

〇調達ソースの複数化、数量に柔軟性を持たせた契約の締結

〇調達先との密な情報交換

〇電力に関する個別相対取引契約

・価格の変動(鉄スクラップ、合金鉄、レアアース、電極や耐火物、電力、LNGなど)

・需給バランスの崩れによる調達の不安定化、電力使用制限の発生に伴う生産活動への支障

 

○:対応着手済、●:今後対応予定        

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 経営成績

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、年度前半は厳しい状況で推移しましたが、年度後半にかけては輸出や鉱工業生産に持ち直しの動きがみられ、景気は回復基調に転じました。しかしながら、足元では新型コロナウイルスの変異種等により感染症が再拡大しており、先行きは依然として不透明な状況が継続しております。

このような経済環境の中、特殊鋼の主要需要先である自動車関連の受注は、第1四半期を底に回復基調となり、第3四半期以降は前年同期を上回る水準まで回復しましたが、年度累計においては、前期比で減少しました。産業機械の受注は経済活動の停滞で減少していましたが、第3四半期から回復基調となり、第4四半期については、外需の牽引により前年同期を上回る水準まで回復しました。また半導体関連の受注は、設備投資の回復により堅調に推移しました。この結果、足元での受注は回復しているものの、年度前半における減少の影響を大きく受け、鋼材売上数量は前年同期比で減少しました。一方、原材料・資材関係については、鉄屑価格は第3四半期から国内需給のタイト化および国際価格の上昇により急激に高騰しましたが、前期対比では概ね同水準となり、また製鋼工程で使用する黒鉛電極等の副資材価格は下向きとなりました。

この結果、当連結会計年度の連結経営成績は、売上高は前期比776億98百万円減収4,127億22百万円、経常利益は前期比116億56百万円減益126億42百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比64億71百万円減益45億16百万円となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 

特殊鋼鋼材

構造用鋼は、主要需要先である自動車関連や産業機械向けの受注減少を受け、前期比で数量が減少しました。工具鋼も、足元では自動車関連や中国向けの受注を中心に回復の動きがあるものの、前期比では数量が減少しました。主要原材料である鉄屑価格は、概ね前期と同水準となり、また製鋼工程で使用する黒鉛電極等の副資材価格は下向きとなりました。

この結果、当連結会計年度における特殊鋼鋼材の売上高は、売上数量の減少により前期比19.7%減少1,458億42百万円、営業損益は、一部連結子会社における退職給付債務の計算方法の変更による影響もあり、前期比77億80百万円減益26億32百万円の損失となりました。

 

機能材料・磁性材料

ステンレス鋼および高合金は、半導体関連の受注は設備投資の回復により堅調に推移しましたが、自動車関連や産業機械向けの受注は回復基調にあるものの、前期比では数量が減少しました。磁石製品および粉末製品も、自動車関連需要で回復基調となりましたが、前期比では売上高が減少しました。

この結果、当連結会計年度における機能材料・磁性材料の売上高は、売上数量の減少により前期比10.7%減少1,494億20百万円、営業利益は前期比14億65百万円減益121億72百万円となりました。

 

自動車部品・産業機械部品

自由鍛造品は、重電需要が好調に推移しましたが、航空機需要等が減少し、売上高は前期比で減少しました。エンジンバルブ部品・型鍛造品は自動車生産の減少を受け、精密鋳造品は、自動車生産の減少に伴うターボ関連製品の需要が減少し、それぞれ売上高は前期比で減少しました。

この結果、当連結会計年度における自動車部品・産業機械部品の売上高は、売上数量の減少により前期比17.0%減少807億50百万円、営業損益は前期比25億40百万円減益21億9百万円の損失となりました。

 

 

エンジニアリング

自動車部品向け熱処理炉の受注減少およびメンテナンス事業の案件減少により、当連結会計年度におけるエンジニアリングの売上高は、前期比24.0%減少202億5百万円、営業利益は前期比21億1百万円減益8億58百万円となりました。

 

流通・サービス

当連結会計年度における売上高は、前期比5.5%減少165億4百万円、営業利益は前期比7億94百万円減益17億86百万円となりました。

 

当社グループが目標としてまいりました2020中期経営計画の経営指標につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。また、今後目標とする新たな経営指標につきましては、現在策定中であり、決定次第速やかに公表いたします。

 

生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。

 

① 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

特殊鋼鋼材

146,078

△19.4

機能材料・磁性材料

148,625

△11.0

自動車部品・産業機械部品

80,220

△17.6

エンジニアリング

20,205

△24.0

合計

395,129

△16.3

 

 

(注)1 金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

② 受注状況

当社グループ(当社および当社の連結子会社)の受注・販売形態は、素材供給等のグループ間取引が多岐にわたり、また受注生産形態をとらない製品もあるため、セグメントごとに受注規模を金額あるいは重量で示すことは行っておりません。

 

③ 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

特殊鋼鋼材

145,842

△19.7

機能材料・磁性材料

149,420

△10.7

自動車部品・産業機械部品

80,750

△17.0

エンジニアリング

20,205

△24.0

流通・サービス

16,504

△5.5

合計

412,722

△15.8

 

 

(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 主な相手別の販売実績は、総販売実績に対する販売割合が100分の10以上の相手先が
ないため、記載を省略しております。

3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

(2) 財政状態

当社グループの当連結会計年度末の総資産は、前期末に比べ396億7百万円増加6,655億6百万円となりました。総資産の増加の主な内訳は、「現金及び預金」の増加77億56百万円、「受取手形及び売掛金」の増加81億90百万円、「投資有価証券」の増加286億16百万円、減少の主な内訳は、「たな卸資産」の減少86億41百万円、「有形固定資産」の減少56億46百万円であります。

総資産の増減の主な内訳と要因は、下記のとおりであります。

・「現金及び預金」は、新型コロナウイルス感染症に伴う事業や金融環境の変化に対応するため手元資金の流動性を高めたことにより増加しております。

・「受取手形及び売掛金」は、第4四半期以降に売上が伸長したため増加しております。

・「投資有価証券」は、保有株式の時価の上昇等により増加しております。

・「たな卸資産」は、高水準となっていた前期末在庫の適正化を図ったことにより減少しております。

・「有形固定資産」は、設備投資を機能材料・磁性材料事業の合理化投資等に厳選したこと、自動車部品・産業機械部品事業の一部連結子会社において収益性が低下した事業用資産を当期に減損したことにより減少しております。

また、当社グループの当連結会計年度末の非支配株主持分を含めた純資産は、前期末に比べ302億17百万円増加3,393億53百万円となりました。純資産の増加の主な内訳と要因は、親会社株主に帰属する当期純利益45億16百万円の計上等による「利益剰余金」の増加42億21百万円、保有株式の時価の上昇等による「その他有価証券評価差額金」の増加212億11百万円であります。

この結果、当連結会計年度末の自己資本比率は45.6%となりました。

 

(3) キャッシュ・フロー

当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前期末に比べ77億15百万円増加し、655億58百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、337億66百万円(前期比72億67百万円の減少)となりました。収入の主な内訳としては、税金等調整前当期純利益100億65百万円、非資金損益項目である減価償却費259億12百万円、たな卸資産の減少83億33百万円であり、支出の主な内訳は、売上債権の増加79億49百万円であります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、293億95百万円(前期比99億30百万円の減少)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出278億19百万円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果得られた資金は、29億99百万円(前期比75億27百万円の減少)となりました。収入の主な内訳は、長期借入れによる収入327億91百万円であり、支出の主な内訳は、長期借入金の返済による支出177億73百万円、コマーシャル・ペーパーの減少70億円であります。

 

当社グループでは、受注回復に伴い営業収入を拡大させるとともに、たな卸資産の増加抑制、固定費を中心としたコスト圧縮を推し進め、安定的なキャッシュ・フローを創出するよう事業活動を続けてまいります。設備投資資金は長期借入金や社債により、運転資金は短期借入金により安定的に調達することを基本方針としております。また、手元流動性の適正レベルは時々の環境を考慮し、弾力的に運営してまいります。

 

(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益および費用の報告額に影響を及ぼす見積りおよび仮定を用いておりますが、これらの見積りおよび仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りおよび仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

 

(1) 技術援助等を与えている契約

 

契約会社名

相手方の名称

国名

契約内容

契約締結日

契約期間

大同特殊鋼㈱

(当社)

TimkenSteel Corporation

米国

特殊鋼製造・供給に関する協業テーマの推進

2007年1月16日

2007年1月16日から
2022年1月16日まで

 

 

(2) ㈱大同キャスティングスによる大同凱思英鋳造(蘇州)有限公司の譲渡

グループ経営の強化を一段と進めることを目的として、当社連結子会社の㈱大同キャスティングスは、子会社である大同凱思英鋳造(蘇州)有限公司について譲渡契約を締結いたしました。

 

契約会社名

相手方の名称

契約内容

契約締結日

契約期間

㈱大同キャス
ティングス

(連結子会社)

3社共同

蘇州星凱睿商貿有限公司

浙江亜辰新材料科技有限公司

豫洲短板産業株式会社

大同凱思英鋳造(蘇州)有限公司に関する譲渡契約

2020年9月7日

 

 

(3) 大同特殊鋼(上海)有限公司による鉄姆肯鋼材(上海)有限公司の全持分の取得

中国における新規の製品市場および顧客の開拓を目的として、当社連結子会社の大同特殊鋼(上海)有限公司は、TimkenSteel Corporationとの間で鉄姆肯鋼材(上海)有限公司の全持分取得に関する契約を締結いたしました。

 

契約会社名

相手方の名称

国名

契約内容

契約締結日

契約期間

大同特殊鋼(上海)
有限公司

(連結子会社)

TimkenSteel Corporation

米国

鉄姆肯鋼材(上海)有限公司の全持分取得に関する契約

2021年3月31日

 

 

 

5 【研究開発活動】

当社グループは特殊鋼をベースにした高い技術力を背景に「素材の可能性を追求し、人と社会の未来を支え続けます」を経営理念とし、「新製品・新事業の拡大」「既存事業の基盤強化」のため、積極的な研究開発活動を行っております。現在、当社「技術開発研究所」を中心に、新製品、新材料、新技術の研究開発を推進しており、研究開発スタッフはグループ全体で330名であります。

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は4,722百万円であり、各セグメント別の研究の目的、主要な研究成果および研究開発費は次のとおりであります。

 

(1) 特殊鋼鋼材

主に当社が中心となり、自動車用構造材料、工具鋼などの素材開発および製鋼、精錬、凝固から製品品質保証までプロセス革新等の研究開発を行っております。当事業に係る研究開発費の総額は958百万円であり、当連結会計年度の主な成果は次のとおりであります。

・破断分割型コンロッド用高強度非調質鋼

自動車エンジンに用いられる破断分離型コンロッドでは、強度と破断分離の容易性が必要ですが、特に最近は、燃費改善を目的とした高強度化が強く求められています。当社では、鋼材成分を最適化することで、破断分離性を確保しつつ、自動車用としては最高クラスの強度が得られる新たな非調質鋼を開発いたしました。本開発鋼は自動車用コンロッドに採用され、2020年から量産を開始しております。

・ホットスタンプトリム金型用鋼

近年、生産性改善のため、従来のレーザ加工に代わり、ホットスタンプの熱間成形中にプレス機内で穴あけ、トリム加工を実施するプレスメーカーが増えています。今回、硬さと熱伝導率に優れたホットスタンプトリム金型用の材料を開発し、一部のユーザー様で採用されました。今後、さらなる採用拡大を目指してまいります。

・高耐食高靭性プラ型用鋼「NAK86K,PAT868S」

 自動車のヘッドライト製造に使われる金型用鋼として、NAK80と同じ硬さで、割れ難く錆び難いNAK86Kを、また、ガラスフィラー含有樹脂や腐食性樹脂など金型への高負荷化に対応できる金型用鋼として海外で多く使用されるH13と同じ硬さと割れ難さで、錆び難いPAT868Sを開発いたしました。両鋼種共にプラスチック成形技術の変化とユーザーの動向にいち早く応えた商品で、順調に売り上げを伸ばしております。

 

(2) 機能材料・磁性材料

主に当社が中心となり、耐食・耐熱材料、高級帯鋼、接合材料、電磁材料等の素材開発および電子デバイスの研究開発を行っております。当事業に係る研究開発費の総額は2,838百万円であり、当連結会計年度の主な成果は次のとおりであります。

・パ-マロイ箔「STARPAS」

 自動車の電動化や自動運転、IoT機器で課題となる磁気ノイズの抑制用にパ-マロイ箔を開発し、販売を開始しました。当社の軟磁性材料を、kHz~MHzの帯域でもっとも効果が高まるように箔化し、さらに熱処理条件の適性化を図りました。また、打ち抜きなどの加工も可能であり、ラミネ-トによる積層品の提供も行ってまいります。

・赤色点光源LEDのフラットタイプ表面実装部品(SMD)「MED7P14-SMF-1」

 お客様からの光出力向上や生産性向上、高密度実装化への高い要求から、世界最高レベルの光出力を有する赤色点光源LEDの表面実装部品を開発、リリースいたしました。今後の需要拡大が見込まれる工場自動化、ロボット、3Dセンシング等への用途拡大を目指してまいります。

・AI(機械学習)を用いた丸棒外観検査

 星崎工場で製造される耐食・耐熱丸棒鋼は、表面の酸化スケールを除去するためピーリング加工をして出荷しております。表面疵のない高品質な製品を提供するため、外観検査技術開発を進めております。特に近年注目されているAI技術を使った検査技術の実用化を目指しております。

 

 

(3) 自動車部品・産業機械部品

主に当社が中心となり、ターボチャージャーやエンジンバルブ等の自動車部品および各種産業機械部品の研究開発を行っております。当事業に係る研究開発費の総額は801百万円であり、当連結会計年度の主な成果は次のとおりであります。

・Ni基超合金組織制御技術の確立

 鍛造プロセスにおける組織変化をモデル化したシミュレーション技術を活用し、渋川工場の自由鍛造7000トン油圧プレスでは未経験領域であった大型で難加工な産業用ガスタービンディスクの製造技術を開発しました。従来の型鍛造品対比で安価かつ短いリードタイムで提供することが可能になり市場の期待に貢献しております。

 

(4) エンジニアリング

主に当社が中心となり、環境保全・リサイクル設備や省エネルギー型各種工業炉等の開発を行っております。

当事業に係る研究開発費の総額は123百万円であります。