文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
グループ経営理念を「素材の可能性を追求し、人と社会の未来を支え続けます」と定め、大同特殊鋼グループとして、素材または素材に関する技術をもって素材が秘めている可能性をひきだし、新たな価値を創造することで、人と社会の未知のニーズに応え、その発展につながるよう貢献し続けることを目指しております。
(2) 経営環境及び対処すべき課題
今後の世界経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が緩和されることで、世界経済の回復が継続すると見込まれます。当社におきましても、自動車関連を中心に一定の需要が見込まれますが、変異種の流行による感染の再拡大や半導体などの部材不足による自動車生産の減少、またウクライナ情勢を起因とした原材料価格の高騰など、収益を下押しする大きなリスクを内包した先行き不透明な環境と認識しております。このような状況の下、原価低減活動のさらなる推進や固定費の徹底的な圧縮策を引き続き推し進めることで、事業への影響が最小限となるよう努めるとともに、再生産可能な価格水準に向けた販売価格の改定を実施してまいります。
他方、中長期的な視点では、世界規模での地球温暖化抑制への取り組みが本格化し、CO2排出量の削減を目的とした社会構造の転換が進展することが見込まれます。当社の主要需要先である自動車産業においては電動化が加速し、内燃機関自動車は2020年代半ばにピークアウトすることが想定されます。化石燃料からグリーンエネルギーへのシフトによる水素など新エネルギー市場の拡大が注目されております。またデジタル革命の加速により、情報通信などデジタル化を支える半導体産業は、今後も持続的な成長が見込まれます。
このような経営環境の中、2030年のありたい姿、および2023年度(2024年3月期)までの3年間を実行期間とする中期経営計画(大同特殊鋼グループ2023中期経営計画)を2021年6月に策定いたしました。2023中期経営計画では、2020中期経営計画の行動方針を深化させつつ、2030年のありたい姿を具現化するため、将来の環境変化に備えた事業活動を推進いたします。
<2030年のありたい姿>
当社を取り巻く外部環境が目まぐるしく変化するなかでも、経営理念である「素材の可能性を追求し、人と社会の未来を支え続けます」を実現するため、2030年のありたい姿として[高機能特殊鋼を極め、「グリーン社会の実現」に貢献する]を策定しております。当社グループは、これまで機能性に優れた素材でお客様の技術革新を支えてまいりました。この方針に変更はありませんが、これからの外部環境変化に適応するため、事業の強靭化を進め、環境変化への耐性を強化するとともに、高機能特殊鋼を極めることにより新しい社会ニーズに応えることで、グリーン社会の実現に貢献してまいります。
<2023中期経営計画行動方針>
①成長分野のビジネス拡大(将来を見据えた種まき)
今後の成長市場である、CASE(自動車)、半導体関連製品、グリーンエネルギー分野の需要を捕捉するための取り組みを強化いたします。
CASE関連においては、高周速対応減速機用歯車など特殊鋼鋼材については、これまでの高品質歯車用鋼の製造技術に関する知見に加え、特殊表面処理技術を組み合わせることによりさらに信頼性の高いソリューションを提供してまいります。また、主機・補機・センサ用磁石については、中津川先進磁性材料開発センターの最大活用により主機モータ用特殊配向磁石に加え、特徴あるセンサ用および補機用ボンド磁石で新たな需要を捕捉してまいります。
通信・情報分野で一層の急成長が期待される半導体関連につきましても、グループの幅広い高機能製品群でそのニーズを確実に捉えてまいります。
グリーンエネルギー分野においては、高温・高圧水素環境下で耐え得る対水素脆化用鋼の開発、工業炉用水素バーナーの実用化でそのニーズに確実に応えてまいります。
グリーンエネルギー分野、半導体関連製品においては、それぞれの新市場におけるニーズの探索および当社グループが保有するシーズを幅広く捉え、今後の製品戦略・拡販活動へ繋げていくため全社横断型ワーキンググループを設置しております。
②事業体質の強靭化(2020中期経営計画の深化)
外部環境変化への耐性強化、既存事業のプレゼンス拡大を図るため、営業サイドでは適正マージンの確保やポートフォリオ改革により高限利品を拡大してまいります。生産サイドでは堅調なステンレス鋼需要を捕捉するため、2020年中期経営計画に実行した戦略投資の補完として知多工場の製鋼部門を中心に生産上方弾力性改善投資を実行いたします。また長期的な内燃機関向け特殊鋼の需要減少への対応として主力工場間の生産集約、生産性向上投資、歩留向上等の損益分岐点引き下げに寄与する諸施策を今中期より実行し、生産効率向上およびコスト削減を進めてまいります。また生産体制についても、人員の最適配置・適正化、DX推進による省工数・省人化を図り、労働生産性の向上を目指します。
③海外展開拡大
東アジア市場を中心に海外での高機能ステンレス鋼、高合金、工具鋼の売上拡大を目指します。2021年8月にティムケンスチール社の中国営業拠点の全持分を取得いたしました。本件を契機に、ティムケンスチール社との協業関係をさらに深化させ、中国市場向けのSBQ製品(Special Bar Quality)のさらなる拡販および高合金や特殊ステンレス鋼の販売力強化に繋げてまいります。
また、海外規格対応による欧米市場の開拓、円安環境下を活かした自由鍛造品を中心とした海外需要の捕捉など、販売強化に向けた取り組みを加速いたします。
④ESG経営の推進
当社ではサステナビリティを経営の中核に位置付け、SDGsなど社会課題の解決による持続可能な社会の実現と、持続可能な企業価値向上の両立を目指しております。この取り組みをより強力に推進するため、2022年4月1日付でサステナビリティ委員会を設置するとともに、サステナビリティ施策を全社に展開・推進する専任組織としてサステナビリティ推進室を設置しております。
またESGへの取り組みについては以下のとおりであります。
環境の面では、2030年度でのCO2排出量を2013年度対比で50%の削減を目指します。当社は2050年でのカーボンニュートラル実現を目指し、「Daido Carbon Neutral Challenge」を策定しましたが、その過程である2030年においては、自社・既存省エネ技術の全面展開、CO2フリー電源への切り替えにより、CO2排出量削減を推進いたします。加えて、経団連と連携して脱炭素社会の構築に向けた「チャレンジ・ゼロ」のプロジェクト活動も推し進めることで、鉄鋼業界全体のCO2削減にチャレンジしてまいります。
社会の面では、引き続き健康経営やダイバーシティの推進など、これまでの取り組みを深化させ、従業員を始めとした各ステークホルダーからの信頼性確保に努めてまいります。
ガバナンス面では、政策保有株式の金額を今中期経営計画期間において目標としていた純資産の20%以下まで縮減いたしました。今後はみなし保有株式を含め純資産の20%以下となるよう、さらなる縮減を目指すことで資本効率の向上に努めてまいります。また2022年6月24日をもって監査等委員会設置会社へ移行し、取締役会の体制を見直すことでコーポレート・ガバナンス強化に繋げてまいります。
<経営計画目標>
本計画で掲げた行動方針の遂行により、最終年度である2023年度において、以下指標の実現を目指します。
最終年度(2024年3月期)
当社グループの経営成績および財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクを、以下の表にて発生の可能性や時期、影響の大きさの観点から重要性が高いと判断している項目順に記載しております。ただし、すべてのリスクを網羅したものではなく、現時点では予見できない、または重要とは見なされていないリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
○:対応着手済、●:今後対応予定
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 注記事項 (会計方針の変更)および(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。また、一部の連結子会社14社について、当連結会計年度より決算日を3月31日に変更、または連結決算日に仮決算を行う方法に変更しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)および(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が普及したことにより、経済活動の正常化に向けた動きが見られましたが、第4四半期以降はオミクロン変異株の発生による感染再拡大やウクライナ情勢を起因とする原材料価格の高騰やサプライチェーンの混乱が加速するなど、依然として不透明な状況が継続しております。
このような経済環境の中、特殊鋼の需要は、新型コロナウイルス感染症の影響により大幅に減少した前年と比べ大きく回復しました。主要需要先である自動車関連の受注は、自動車生産の回復に加え、今後の更なる増産に備えた在庫補填の動きが見られましたが、足元では部品不足や新型コロナウイルス感染症の再拡大による生産調整により、回復のペースが鈍化しています。産業機械関連の受注は、国内外の景気回復に伴い堅調に推移しました。また半導体関連の受注は、5Gやデータセンター、車載向けなど幅広い需要が堅調に拡大し、高位な状況が継続しました。この結果、鋼材売上数量は前期比で増加しました。
一方、主要原材料である鉄屑価格は、国内需給のタイト化および国際価格の上昇により前期比で高騰し、ニッケルなどの各種合金類についても、グローバルでの需要増加や供給制約によって大幅な価格上昇が発生しました。また原油・LNG市況がひっ迫したことを受け、エネルギーコストも大きく増加しました。これらを含めたコスト上昇分については、原価低減活動により吸収を図るとともに、再生産可能な価格水準に向けた販売価格の改定にも取り組んでおります。
この結果、当連結会計年度の連結経営成績は、売上高は前期比1,169億44百万円増収の5,296億67百万円、経常利益は前期比265億58百万円増益の392億円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比223億78百万円増益の268億94百万円となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
特殊鋼鋼材
構造用鋼は、主要需要先である自動車関連や産業機械向けの受注増加を受け、前期比で数量が増加しました。工具鋼も、自動車関連需要を中心に各業態で受注が高位となり、前期比で数量が増加しました。主要原材料である鉄屑価格は、国内需給のタイト化および国際価格の上昇により前期比で高騰し、エネルギーコストも原油価格の高騰により増大しました。
この結果、当連結会計年度における特殊鋼鋼材の売上高は、売上数量の増加および原材料価格の上昇を販売価格に反映したことにより前期比35.6%増加の1,978億3百万円、営業利益は、前期比64億60百万円増益の38億27百万円となりました。
機能材料・磁性材料
ステンレス鋼および高合金は、自動車関連や産業機械向けの受注増加に加え、半導体関連需要も高位で推移したことで、前期比で数量が増加しました。磁石製品は、自動車関連および半導体関連の需要増加により、粉末製品は、自動車関連を中心とした需要の増加により、売上高は前期比で増加しました。
この結果、当連結会計年度における機能材料・磁性材料の売上高は、売上数量の増加およびニッケルなど各種合金価格の上昇により前期比32.2%増加の1,976億4百万円、営業利益は前期比144億77百万円増益の266億50百万円となりました。
自動車部品・産業機械部品
エンジンバルブ部品・型鍛造品は、自動車生産の増加を受け、精密鋳造品は、自動車生産の増加に伴うターボ関連製品の需要が底打ちし、それぞれ売上高は前期比で増加しました。自由鍛造品は、航空機需要が調整継続しているものの、半導体関連や重電需要、舶用バルブが好調に推移し、売上高は前期比で増加しました。
この結果、当連結会計年度における自動車部品・産業機械部品の売上高は、売上数量の増加により前期比14.6%増加の925億4百万円、営業利益は前期比70億88百万円増益の49億79百万円となりました。
エンジニアリング
主に自動車部品向け熱処理炉を中心とした受注減少により、当連結会計年度におけるエンジニアリングの売上高は、前期比9.9%減少の182億14百万円、営業損益は前期比21億35百万円減益の12億77百万円の損失となりました。
流通・サービス
当連結会計年度における売上高は、連結子会社の決算期変更の影響もあり、前期比42.6%増加の235億40百万円、営業利益は前期比10億48百万円増益の28億34百万円となりました。
当社グループが目標とする経営指標につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。2023年度の当該指標の達成を目指し、行動方針として掲げております①成長分野のビジネス拡大、②事業体質の強靭化、③海外展開拡大、④ESG経営の推進を実施してまいります。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 当連結会計年度において、前期に比べ、当社グループの生産実績が著しく増加しており
ます。これは主に、新型コロナウイルス感染症の影響により減少していた自動車関連や
産業機械向けの受注が回復しているためであります。
当社グループ(当社および当社の連結子会社)の受注・販売形態は、素材供給等のグループ間取引が多岐にわたり、また受注生産形態をとらない製品もあるため、セグメントごとに受注規模を金額あるいは重量で示すことは行っておりません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 主な相手別の販売実績は、総販売実績に対する販売割合が100分の10以上の相手先が
ないため、記載を省略しております。
3 当連結会計年度において、前期に比べ、当社グループの販売実績が著しく増加しており
ます。これは主に、新型コロナウイルス感染症の影響により減少していた自動車関連や
産業機械向けの受注が回復しているためであります。
当社グループの当連結会計年度末の総資産は、前期末に比べ626億80百万円増加し7,281億87百万円となりました。総資産の増加の主な内訳は、「棚卸資産」の増加560億92百万円、「受取手形、売掛金及び契約資産」の増加150億57百万円、減少の主な内訳は、「現金及び預金」の減少91億72百万円、「有形固定資産」の減少81億45百万円であります。
総資産の増減の主な内訳と要因は、下記のとおりであります。
・「棚卸資産」および「受取手形、売掛金及び契約資産」は、原材料市況の高騰、堅調な需要への生産対応および売上増加等により増加しております。
・「現金及び預金」は、前期末では新型コロナウイルス感染症に伴う事業や金融環境の変化に対応するため増加させておりましたが、事業の安定および金融情勢の正常化に伴い平常水準に戻したため、当連結会計年度末では減少しております。
・「有形固定資産」は、設備投資を事業基盤再構築投資等に厳選したこと、自動車部品・産業機械部品事業において収益性が低下した事業用資産を当期に減損したことにより減少しております。
また、当社グループの当連結会計年度末の非支配株主持分を含めた純資産は、前期末に比べ256億50百万円増加し3,650億4百万円となりました。純資産の増加の主な内訳と要因は、親会社株主に帰属する当期純利益268億94百万円の計上等による「利益剰余金」の増加220億85百万円であります。
この結果、当連結会計年度末の自己資本比率は45.3%となりました。
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前期末に比べ99億14百万円減少し、556億44百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は、166億84百万円(前期は337億66百万円の獲得)となりました。収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益407億46百万円、非資金損益項目である減価償却費267億97百万円であり、支出の主な内訳は、棚卸資産の増加508億93百万円、売上債権及び契約資産の増加238億96百万円、仕入債務の減少28億17百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、145億68百万円(前期比148億26百万円の減少)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出190億66百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、194億2百万円(前期比164億2百万円の増加)となりました。収入の主な内訳は、コマーシャル・ペーパーの増加370億円、長期借入れによる収入78億円、短期借入金の増加37億34百万円であり、支出の主な内訳は、長期借入金の返済による支出103億69百万円、社債の償還による支出100億円であります。
当社グループでは、原材料およびエネルギー価格の高騰により運転資金が増加していることから、原燃料コストの上昇に応じた販売価格の改定を進めるとともに、効率的な生産運営や原価低減活動、固定費の圧縮を推し進め、安定的なキャッシュ・フローを創出するよう事業活動を続けてまいります。設備投資資金は長期借入金や社債により、運転資金は短期借入金により安定的に調達することを基本方針としております。また、手元流動性の適正レベルは時々の環境を考慮し、弾力的に運営してまいります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益および費用の報告額に影響を及ぼす見積りおよび仮定を用いておりますが、これらの見積りおよび仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りおよび仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
技術援助等を与えている契約
当社グループは特殊鋼をベースにした高い技術力を背景に「素材の可能性を追求し、人と社会の未来を支え続けます」を経営理念とし、「新製品・新事業の拡大」「既存事業の基盤強化」のため、積極的な研究開発活動を行っております。現在、当社「技術開発研究所」を中心に、新製品、新材料、新技術の研究開発を推進しており、研究開発スタッフはグループ全体で319名であります。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は
主に当社が中心となり、自動車用構造材料、工具鋼などの素材開発および製鋼、精錬、凝固から製品品質保証までプロセス革新等の研究開発を行っております。当事業に係る研究開発費の総額は
コモンレールなどディーゼルエンジン用の耐高圧部品では、燃費、環境性からさらなる高圧化が指向されています。また最近では、カーボンニュートラルに向けた、製造時の熱処理省略も求められています。当社では、鋼材成分を最適化することで、熱処理を省略しつつ、かつディーゼルエンジンとしては最高クラスの高圧にも耐えうる高強度非調質鋼を開発いたしました。本開発鋼は、一部の耐高圧部品に採用され、2021年から量産を開始しております。
主に当社が中心となり、耐食・耐熱材料、高級帯鋼、接合材料、電磁材料等の素材開発および電子デバイスの研究開発を行っております。当事業に係る研究開発費の総額は
当社が開発した、最も幅広く使用されているTi-6Al―4V合金と同等の機械的特性を有しつつ、レアメタル(希少金属)のV(バナジウム)を含まないチタン合金DAT57Mが世界最大規模の標準化団体である米国試験材料協会ASTM Internationalの規格ASTMB348/B348M(チタン・チタン合金の棒およびビレットの規格)にGrade41として登録されました。今後、レアメタルフリー化などを通じて、SDGs(持続可能な開発目標)に貢献してまいります。
タッチパネルの表面電極、メタルメッシュ用黒化膜を成膜出来るターゲット材料を開発いたしました。従来の黒化膜よりも信頼性(長期変色耐性)が高いため、ITOに代わりタッチパネルのメタルメッシュ化が進むとされる車載ディスプレイや電子黒板などの用途に最適です。今後これらの用途への採用に向けてマーケティングを継続してまいります。
主に当社が中心となり、エンジンバルブやガスタービンディスク等の自動車部品および各種産業機械部品の研究開発を行っております。当事業に係る研究開発費の総額は
航空機エンジン用タービンディスクの次世代新材料として新Ni基合金を㈱IHIと共同で開発いたしました。既存の類似合金より高温強度等の特性を向上し、実製品規模の製造プロセス技術も同時に開発いたしました。これらの成果は、世界的に権威のある国際会議Superalloys2020(2021年9月開催)にて発表しております。今後実用化へ向けた取り組みを継続してまいります。
近年発展しているIoT、AI技術を使用し、切削工程をリアルタイムで監視、そのセンシングデータを機械学習で解析することにより工具の異常検知や寿命予知をする基盤技術を開発いたしました。今後この成果を応用し、実操業ラインでの生産能率の向上、製造コストダウンへの貢献が期待されます。
主に当社が中心となり、環境保全・リサイクル設備や省エネルギー型各種工業炉等の開発を行っております。当事業に係る研究開発費の総額は
日本政府が掲げる2050年カーボンニュートラル実現に向け、温室効果ガスの排出量削減に対するニーズは年々高まっており、工業炉についてもその対策が求められています。
水素はその燃焼においてCO2を全く排出しない、脱炭素化の実現に有効なエネルギーであることから、当社では2021年に水素を燃料とするラジアントチューブバーナの開発に着手し、自社内の実験装置を用いて燃焼テストを重ねることで、環境性能の確認に取り組んでまいりました。
本開発は、今後さらなる検証を重ね、来たる水素社会へ向け製品展開することで、地球環境の保護とお客様の永続的な発展に寄与してまいります。