(1)経営方針
当社グループは、工具鋼、特殊合金の非量産型高級特殊鋼製品及び鋳鉄製品の製造販売を通じ、幅広い産業分野(自動車、エレクトロニクス、産業機械、エネルギー、住宅他)へ優れた製品を提供して顧客及び社会の発展に貢献してまいります。
(2)経営環境及び対処すべき課題
当社グループは、経営理念『魅力ある製品の提供を通じ、環境と人間が融和した社会づくりに貢献します』に基づき、持続的な事業継続を行うためのグループ中期経営計画(2024-2026年度)を策定いたしました。
私たちを取り巻く事業環境は、少子高齢化、地政学リスクの高まりやインフレ、金融引き締めの影響による需要の減少が懸念され、今後も先行き不透明な状況が続くと想定しております。経営環境変化が激しい中でも、持続的成長を果たすための経営基盤の強化を図っていきます。
当社は以下の3つを基本方針として、取り組んでいきます。
◆ポートフォリオ変革
特殊鋼部門では、成熟市場である工具鋼でのシェア堅守に加えて、私たちの特色である“小ロット・多品種対応”に経営資源を集中させて、今後の成長が期待できる「半導体、医療、エネルギー、防衛宇宙」分野に使用される高機能材を拡販し、稼ぐ力を強化していきます。
鋳鉄部門では、私たちが培ってきた“技術力・提案力”を一層磨いて、お客様とのパートナーシップを構築し、共同で課題解決を進めることで、高難度で付加価値の高い製品の受注拡大を目指します。
◆事業基盤強化
品質・コスト競争力強化のための特殊溶解の増強、製造設備の自動化、検査機器等の設備投資や操業実績のデジタル化を推進していきます。また、新商品開発や難加工材の製造技術開発と設備生産性向上により、ポートフォリオ変革を加速させていきます。
◆サステナビリティ経営推進
2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、CO2排出削減を進めていきます。また、原料リサイクルや環境に配慮したモノづくりに取り組み、魅力ある製品の供給を通じて、お客様のサステナビリティ経営に貢献してまいります。
気候変動が社会に与える影響は大きく、当社としても取り組むべき重要な社会問題と捉えています。気候変動がもたらす事業へのリスクと機会について、分析と対応を一層強化し、関連情報の開示を推進していくとともに、2050年の脱炭素社会実現に貢献する取り組みを進めてまいります。
具体的には、日本政府のカーボンニュートラル宣言を受け、当社環境管理委員会でCO2排出削減レベルを考慮し、Scope1・2において「2030年度に46%削減(2013年度比)」「2050年にカーボンニュートラルを目指す」の目標を設定し、取締役会で審議・決定いたしました。
気候変動に関する重要事項は、環境管理委員会にて諸問題・課題の審議を行います。取締役会は環境管理委員会から定期的に報告を受け、重要事項の審議を行います。
さらに、KOBELCOグループ企業理念である「KOBELCOの3つの約束と6つの誓い」を念頭に置き、安全活動、環境保全、防災対策、リスクマネジメント体制の強化を進めます。また、多様な人材がそれぞれの能力を発揮できる環境を整備し、デジタル化による業務効率、生産性向上も進めていきます。
気候変動が社会に与える影響は大きく、当社としても取り組むべき重要な社会問題と捉えています。気候変動がもたらす事業へのリスクと機会について、分析と対応を一層強化し、関連情報の開示を推進していくとともに、2050年の脱炭素社会実現にむけて、取り組みを継続してまいります。
また、人材の確保・育成については、当社グループの持続的発展のため、多様性の確保、働きがい・働きやすい環境の整備など長期的な視点で取り組みを進めてまいります。
(1)ガバナンス
下記、環境方針に基づき環境保全や気候変動対策に取り組んでおります。
環境方針
私達は、地球社会の一員として環境の重要性を認識し、その保全、保護、改善のために不断の努力を行い、社会的役割と事業活動を両立させる環境保全企業を志向する。
①法令等の遵守 : 環境関連法規及び環境保全協定などを遵守する。
②環境負荷の低減 : 企業活動において、環境保全、資源保護、リサイクル等の視点から点検を行い、
環境負荷の低減に努める。
③社会との共生 : 地域社会の環境保全活動に積極的に参画する。
④環境意識の向上 : 社員に対する教育、啓発を進め、環境意識の向上に努める。
⑤環境改善活動 : 具体的な目的及び目標を設定し、継続的な改善活動を推進するとともに、
定期的な見直しを行う。
また、気候変動に関する重要事項は、社長を最終責任者とした環境管理組織にて対策の立案と推進、進捗管理等を実施しております。グループ安全環境防災担当役員を責任者に置き、環境管理委員会にて環境に関する諸問題・課題に対する審議を行います。なお、取締役会は環境管理委員会から定期的に報告を受け、重要事項の審議を行います。
(2)戦略
気候変動による世界的な平均気温の上昇が社会に及ぼす影響は甚大であると認識し、気温上昇を抑制することを目指す動きに貢献していくことが重要であると考えております。気温上昇抑制への対応力を強化すべく、気候変動によるリスクと機会がもたらす事業への影響を把握し、戦略の策定を進めてまいります。
将来の労働力不足が懸念される中、人材の確保、育成に関しては企業における人材の多様性が重要であると考えております。性別や国籍等に拘らない採用や仕事と家庭の両立を実現することのできる働き方を進めてまいります。
(3)リスク管理
環境管理委員会では、環境関連指標の推移などの内部情報と、環境規制や法令改正などの外部情報をモニタリングしております。
これらモニタリングの結果を踏まえ、リスクの見直しを行い、製造所各部署にリスク対策課題を提示し、製造所各部署は具体的な行動計画(リスク対応策)を立案し実行しております。
重要なリスクについては、予算編成を通じて取締役会でも審議され、事業運営に反映しております。
(4)指標及び目標
当社は、日本政府のカーボンニュートラル宣言を受け、下記の目標を設定し、2050年に脱炭素社会の実現を目指す旨、環境管理委員会及び取締役会にて審議・決定しました。
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項目 |
基準年 |
目標年 |
目標内容 |
2023年実績 |
評価及び今後の施策 |
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Scope1,2 |
2013年度実績 ( |
2030年 |
46%削減 (△61千t-CO2/年) |
39%削減達成 (△52千t-CO2/年) |
各種取り組みにより、排出量は減少している。今後も目標達成に向けた取り組みを加速していく。 |
当社は多様な人材を確保していくためには、女性活躍の推進が必須と考え、以下の行動計画を策定し取り組んでおります。
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指標 |
目標 |
2024年度実績 |
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現時点では、いずれも当社のみを対象としていますが、将来的には連結子会社も含めた指標及び目標の設定に向けて努めてまいります。
当社グループ(当社及び連結子会社)の経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のある事項及び当社グループの事業活動を理解する上で重要と考えられる事項には以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。
(1)景気の動向等の影響
当社グループでは、経済環境変化に対応しながら、事業体質の強化と収益力強化に取り組んでおりますが、国内外の経済動向の変化等により、自動車業界等当社グループの主要な需要業界の生産が影響を受けた場合、当社グループの生産及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)原材料価格の変動
当社グループの製品製造に使用される鉄スクラップやニッケル等のレアメタルは市況商品であり、その価格変動によって当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。一部の製品については、原材料価格の変動に製品価格を連動させる制度(サーチャージ制)を導入し、長期的には価格変動の影響を受けにくいシステムを確立しております。しかしながら、原材料価格の動きよりも製品価格の動きが後追いとなるため、短期的には価格上昇局面では、コストアップが製品値上げに先行し、下降局面では、コスト低減が製品値下げに先行することで、当社グループの期間業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)エネルギー価格の変動
当社グループは生産活動の過程において大量の電力やガス、重油等のエネルギーを消費いたします。従いまして、エネルギー価格の変動が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)株式会社神戸製鋼所との関係について
当社は親会社である株式会社神戸製鋼所より、同社が製造した軸受鋼の圧延材を購入し、鋼線等の二次加工業務を行い、同社に製品を販売しております。また、銑鉄等の原材料を同社から購入しております。同社との取引高は2025年3月期における当社グループ売上高の18.5%、仕入高の10.7%を占めております。従って、同社からの受注の増減や原材料の購入の制約等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、資金調達についても、同社グループが運営するキャッシュ・マネジメント・サービス等に依存しており、同社の資金政策に影響を受ける場合があります。
同社からの人材の受入については、当社の役員10名(取締役7名、監査役3名)のうち、取締役1名は同社の職員が兼任しております。
(5)事故、災害等の影響
当社グループには、鉄スクラップ等を溶解するための電炉、中間生産物を加工するための加熱炉、鍛造プレス機等の生産設備があります。また、高熱の生産物、化学薬品等を取扱っております。生産設備の故障や事故の防止対策には万全を期しておりますが、万一重大な労働災害、設備故障・事故等が発生した場合には、当社グループの生産及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、台風、地震などの自然災害、感染症の流行等により、工場の操業に支障が生じる場合や需要の減少により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)環境規制等の影響
当社グループの生産拠点においては、大気、水質、騒音、振動あるいは廃棄物の処理等について、法規制に則り、適切な環境マネジメントに努めておりますが、関連法規制の強化等によって、これに対応する費用が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、近年では世界的に脱炭素化の流れが加速しております。継続的な省エネ、コスト削減などを通じて、CO2排出量削減に努めておりますが、国内外において、法規制の厳格化、炭素税や排出量取引制度が導入された場合、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(7)品質リスク
当社グループでは、製品の品質には万全を期しておりますが、万一重大な瑕疵のある製品が市場に流出した場合、交換、回収、損害賠償、訴訟等当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(8)人材確保による影響
当社グループは、事業の維持・成長に必要な人材確保・育成に努めておりますが、今後、少子化、人材の流動化の進展等により、人材確保・育成が想定どおり進まない場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
① 経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、雇用・所得環境の改善や設備投資の持ち直しの動きがみられるなど、景気は緩やかな回復が続きました。一方、物価上昇の継続や米国の関税政策の影響による景気減速懸念など依然として先行き不透明な状況にあります。
こうした経済環境の中、当社グループにおいては自動車や建設機械など主要分野での需要の伸び悩みや、サプライチェーンにおける在庫調整など外部環境の変化により売上高が低位で推移しております。原燃料の価格下落に加えて、販売価格の改善活動継続や固定費の削減への取り組みに努めましたが需要が低迷し、損益面では厳しい状況が続きました。
これらの結果、当連結会計年度の業績は、売上高367億7千4百万円(前年同期比0.4%増)、営業損失7億8千7百万円(前年同期は16億3千5百万円の営業損失)、経常損失7億2千8百万円(前年同期は15億8千5百万円の経常損失)となりました。また、当社および連結子会社である株式会社カムスにおいて、固定資産の減損損失を計上したことから、親会社株主に帰属する当期純損失は77億3千8百万円(前年同期は66億1千2百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。
各セグメントの業績は、次のとおりであります。
<特殊鋼部門>
軸受鋼等の売上数量減少や工具鋼、特殊合金の品種構成悪化があったものの、工具鋼、特殊合金の売上数量が増加し、売上高は286億1千6百万円(前年同期比3.2%増)となりました。損益面では、固定費の削減や原燃料価格の下落等はあったものの、軸受鋼等の数量減および工具鋼、特殊合金の品種構成の悪化をカバーするには至らず8億4千9百万円の営業損失(前年同期は15億8百万円の営業損失)となりました。
<鋳鉄部門>
自動車、建設機械向けの売上数量が減少し、売上高は81億5千8百万円(前年同期比8.3%減)となりました。損益面では、売上数量の減少はあったものの、販売価格の改善や固定費の削減および原燃料価格の下落等により、営業利益は6千2百万円(前年同期は1億2千7百万円の営業損失)となりました。
② 財政状態の状況
当連結会計年度末の総資産は、主に減損損失を計上したことに伴う有形固定資産の減少等により、前連結会計年度末に比べ68億3千4百万円減少し、321億2千3百万円となりました。
負債合計は、仕入債務や未払法人税等が減少した一方、短期借入金が増加し、前連結会計年度末に比べ12億7千2百万円増加し、184億6千1百万円となりました。
純資産の部は、親会社株主に帰属する当期純損失の計上により、前連結会計年度末に比べ81億7百万円減少し、136億6千1百万円となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ6億2千5百万円減少し、2億4百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と増減の要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
税金等調整前当期純損失の計上、棚卸資産や法人税等の支払額の増加および仕入債務の減少等により、41億9百万円の支出(前年同期は23億2千9百万円の支出)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
有形固定資産の取得による支出等により、8億4千6百万円の支出(前年同期は105億8千万円の収入)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
借入金の増加等により、43億2千9百万円の収入(前年同期は81億5千万円の支出)となりました。
④ 生産、受注及び販売の実績
1)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
特殊鋼(百万円) |
26,525 |
3.6 |
|
鋳鉄(百万円) |
7,968 |
3.4 |
|
合計(百万円) |
34,493 |
3.6 |
(注)金額は、販売価格によっております。
2)受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高 |
前年同期比(%) |
受注残高 (百万円) |
前年同期比(%) |
|
特殊鋼 |
29,283 |
9.4 |
6,824 |
10.8 |
|
鋳鉄 |
8,310 |
△5.4 |
771 |
24.6 |
|
合計 |
37,594 |
5.8 |
7,596 |
12.1 |
3)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
特殊鋼(百万円) |
28,616 |
3.2 |
|
鋳鉄(百万円) |
8,158 |
△8.3 |
|
合計(百万円) |
36,774 |
0.4 |
(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
||
|
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
||
|
|
㈱神戸製鋼所 |
7,578 |
20.7 |
6,796 |
18.5 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて作成されています。この連結財務諸表の作成に当たっては、当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
なお、連結財務諸表作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
特殊鋼部門では、軸受鋼等の売上数量減少や工具鋼、特殊合金の品種構成悪化があったものの、工具鋼、特殊合金の売上数量が増加し、前年同期比で売上高は増加しました。また、損益面では、固定費の削減や原燃料価格の下落等はあったものの、軸受鋼等の数量減および工具鋼、特殊合金の品種構成の悪化をカバーするには至らず当期は前期に続いて営業損失を計上することとなりました。今後、私たちの特色である“小ロット・多品種対応”に経営資源を集中させて、今後成長が期待される「半導体、医療、エネルギー、防衛宇宙」分野に使用される高機能材を拡販し、稼ぐ力及び事業基盤の強化を進めてまいります。
鋳鉄部門では、自動車、建設機械向けの売上数量が減少し、前年同期比で売上高は減少しました。また、売上数量の減少はあったものの、販売価格の改善や固定費の削減および原燃料価格の下落等により、当期は営業利益を計上しました。今後は、私たちが培ってきた“技術力・提案力”を一層磨いてお客様とのパートナーシップを構築し、共同で課題解決を進めることで、高難度で付加価値の高い製品の受注拡大を目指します。また、生産性を含めた高採算品種の受注拡大に取り組んでまいります。
③ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは、主に神戸製鋼グループのキャッシュ・マネジメント・サービスの利用、売掛債権等の債権流動化により資金調達を行っております。
重要な設備の改修の計画は、第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画 をご参照ください。
当社は2025年5月12日(以下、「同日」という)開催の臨時取締役会で、株式会社神戸製鋼所(以下「神戸製鋼
所」という)および当社(以下、神戸製鋼所と当社を総称して「両社」という)との間において、2026年2月2日
(予定)に神戸製鋼所を株式交換完全親会社、当社を株式交換完全子会社とする株式交換(以下「本株式交換」とい
う)を実施することを決議し、同日、両社間で株式交換契約(以下「本株式交換契約」という)を締結いたしました。
株式交換の概要は、以下のとおりであります。
(1) 株式交換の内容
株式会社神戸製鋼所を完全親会社とし、当社を完全子会社とする株式交換
(2) 株式交換の日(効力発生日)
2026年2月2日(予定)
(3) 株式交換の方法
本株式交換により神戸製鋼所が当社の発行済株式(ただし、神戸製鋼所が保有する当社株式を除く)の全てを取
得する時点の直前時における当社の株主(ただし、当社による自己株式消却後の株主をいい、神戸製鋼所を除く)
に対して、その保有する当社株式の数の合計に本株式交換比率を乗じて得た株数の神戸製鋼所株式を交付します。
(4) 株式交換比率
|
|
株式会社神戸製鋼所 |
当社 |
|
株式交換比率 |
1 |
0.26 |
(5) 株式交換比率の算定根拠
株式交換比率の算定に当たって、神戸製鋼所は野村證券株式会社を、当社は山田コンサルティンググループ株式
会社をファイナンシャル・アドバイザーおよび第三者算定機関として選定しました。
野村證券株式会社は、神戸製鋼所については市場株価平均法、当社については市場株価平均法、類似会社比較
法、DCF法(ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法)を採用して株式交換比率を算定しました。
山田コンサルティンググループ株式会社は、神戸製鋼所については市場株価平均法、当社については市場株価平
均法、類似会社比較法、DCF法を採用して株式交換比率を算定しました。
これらの算定結果を参考に当事者間で協議し株式交換比率を決定しました。
(6) 株式交換完全親会社となる会社の概要
資本金 250,930百万円
事業内容 鉄鋼・非鉄金属及びその合金の製造販売、鋳鉄品・鋳鍛鋼品及び非鉄合金の鋳鍛造品の製造販売、
電気供給事業、産業機械器具・輸送用機械器具・電気機械器具及びその他の機械器具の製造販売、
各種プラントのエンジニアリング及び建設工事の請負等
所在地 兵庫県神戸市中央区脇浜海岸通二丁目2番4号
また、同日、両社および大同特殊鋼株式会社(以下「大同特殊鋼」という)の取締役会において、本株式交換の効
力発生を条件として、当社が保有する当社連結子会社の高周波鋳造株式会社の普通株式および当社が鋳鉄事業に関連
して保有する資産を当社から神戸製鋼所に対して現物配当(以下「本現物配当」という)すること、ならびに、本株
式交換の効力発生および本現物配当の実施を条件として神戸製鋼所が大同特殊鋼に対して当社株式を譲渡することを
決定し、同日、神戸製鋼所と大同特殊鋼との間で株式譲渡契約を締結しました。
当社グループ(当社及び連結子会社)の研究開発活動は、お客様と協働での新商品の開発、高付加価値材の製造技術確立による当社製品の拡販、品質向上およびコストダウンを目的に推進しております。
特に、近年は伸張分野である医療や半導体分野への更なる参入を目指し、技術部が中心となって高付加価値な新製品開発・試作を推進しております。
当連結会計年度の研究開発費は
(1) 特殊鋼部門
主に当社が中心になって、(株)神戸製鋼所グループ等との連携も実施し、新商品開発・試作、及び生産技術開発に挑戦しております。
当部門に係る研究開発費は
[新商品開発・試作]
24年度はステンレス鋼の耐食性向上に取り組んでおり、少量試作に成功し、現在実機試作に進んでいます。
[生産技術開発]
24年度は高清浄度ステンレス鋼の製造技術確立に取り組んでおり、半導体製造装置向けや医療向けの試作・評価段階に進んでいます。
また、FEM解析(数値解析ソフトによる解析)を活用した鍛造パススケジュールの再設計にも取り組んでおり、パス数低減、品質改善、コスト改善の成果が出てきています。
(2) 鋳鉄部門
高周波鋳造㈱が担当し、主に鋳鉄素材や部品の製造技術開発ならびに製造工程の自動化に取り組んでおります。
鋳鉄素材の製造技術開発では、凝固・湯流れ解析ソフトについてオプション機能を追加したことで解析精度の向上を図りました。
一方、製造工程の自動化では、製造における特定作業のロボット化などの導入を検討しております。
当部門に係る研究開発費は