第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社は、「資源リサイクル」による鉄づくりを原点として、新たなる社会的価値の創出に挑戦することを存在理念とし、また、トータル・テクノロジーを基盤とし、市場を見つめた経営を実践することを経営理念としております。

当社の電気炉による厚板の製造は、ユーザーニーズに対応したタイムリーな基礎資材の供給とともに、資源の有効活用、省エネルギー等を通して、近時、社会的要請となっている環境の保全、循環型社会の構築にも寄与できるものと考えております。

経営にあたっては、株主・取引先・従業員・地域社会など当社にかかわる全ての人々に受入れられ、期待される会社となるよう、経営基盤の強化と持続的な成長を目指して企業活動を行っております。

 

(2) 経営環境及び中長期的な会社の経営戦略

当社グループの主要セグメントである鉄鋼関連事業においては、国内外需要が2020年前半の新型コロナウイルス感染症の影響による落ち込みからは回復しつつあるものの、米中貿易摩擦の影響や、新型コロナウイルス感染症の影響による一段の下押しもあり得る厳しい情勢と認識しております。また中長期的に見ても、厚板市場のメイン・サプライヤーである高炉メーカーにおいて国内生産設備を集約する動きがある一方、国内人口の減少による需要の減少が懸念されており、決して予断を許さない環境にあるということが言えます。

また足許では「カーボンニュートラル」等環境面への配慮も一段と必要になっております。このような環境下、当社グループはこのたび2021年度から3年間にわたる「21中期経営計画」を策定致しました。大都市で操業を続ける製鉄所として時代の要請である「循環型社会」「脱炭素社会」への貢献を果たし、ESG/SDGs課題へも真摯に向き合いつつ100年企業へさらなる成長を遂げる所存です。

 

『21中期経営計画 基本方針』

① 循環型社会への貢献(スクラップリサイクル)

② 成長戦略の推進

③ 持続可能な基盤整備の推進

ESG/SDGs課題に対する取組の強化

⑤ ㈱中山製鋼所との業務提携の推進

 

 

 

21中期経営計画目標

販売量

70万トン

経常利益

40億円

配当性向

30%

 

 

① 循環型社会への貢献(スクラップリサイクル)

環境に調和した電気炉の建設を検討するとともに、鉄資源の効率的なリサイクルの推進、省エネルギー設備投資や省資源操業を通じて、循環型社会へ貢献してまいります。

 

② 成長戦略の推進

成長の3本柱に、製造力、営業力、商品力を据え、設備投資の実行、ITやDXの積極活用により、お客様のご支持を得られるよう努めてまいります。

 

③ 持続可能な基盤整備の推進

現場現物に立脚した人材育成、安全環境防災への一層の資源投入により、持続的な事業発展の基盤を整備してまいります。

 

ESG/SDGs課題に対する取組の強化

品質管理や環境管理など、コンプライアンスの徹底により、お客様をはじめ、社会からの信頼を確固たるものにしてまいります。またワークとライフの調和を図り、働き甲斐のある職場づくりを進めてまいります。

 

 

⑤ ㈱中山製鋼所との業務提携の推進

生産設備の相互有効活用による鋳片及び厚板での受委託枠の拡大、保全・調達・物流での相互協力の推進、グループ会社も含めた両社ネットワーク活用などにより、相互にメリットを享受しながら、循環型社会に貢献してまいります。

 

(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① 電気炉設備の更新

当社の中核設備である国内最大級の200トン電気炉は、操業開始後59年を経過しており、設備更新が課題となっております。更新投資を行った場合の投資効果、生産体制、コスト、エネルギー使用量、財務体質への影響等を慎重に見極めつつ投資の可否を決定してまいります。

 

② 鉄鋼事業のコスト競争力強化

今後予想される厳しい経営環境を見据えると、さらなる省人化、諸資材原単位やエネルギーコストの低減、固定費の削減など幅広くコスト低減に取り組む必要があります。そのために、適時適切な設備投資の実行、人材育成を含めた安定操業体制の整備等に取り組んでまいります。

 

③ 新製品や新規事業分野の開拓

これまでも取り組んできた新製品の開発や、新規事業分野の開拓に精力的に取り組んでまいります。また、2021年4月27日に締結した㈱中山製鋼所との包括的業務提携契約に基づき具体的施策を推進していくとともに、他社との提携やM&Aにもシナジー効果や投資効果を見極めつつ前向きに対応してまいります。

 

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 製品市況及び競業による影響について

当社グループの主力事業である国内厚板市場は、国内高炉各社及び国内電炉大手との厳しい競合に晒されており、設備増強の進んだ中国をはじめアジア近隣諸国からの余剰品の流入、国内景気低迷による国内需要の減退、競合他社の輸出不振による国内向け供給増加などをきっかけに厳しい価格競争となり、製品市況の下落に繋がることが懸念されます。その場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 原材料価格の変動による影響について

当社グループの主力製品である厚板の主要原材料は鉄スクラップです。鉄スクラップの購入価格は国内需給の影響のみならず、世界鉄鋼生産の動向による国際的な市況の影響を受けて大きく変動する懸念があります。原材料価格の上昇に連動した当社製品への価格転嫁が適切に行えない場合には、鉄スクラップの価格高騰が収益を圧迫し当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) エネルギー単価の高騰による影響について

当社グループの主力製品である厚板の製造には電力及びLNG等のエネルギーを大量に消費します。極力単価の安い深夜帯を利用しての電力消費を行う等、コスト削減努力を行っておりますものの、為替レート、原油価格の変動、政府のエネルギー政策等によりエネルギー単価が高騰した場合には製造コストが上昇し、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 重大な災害、事故等による影響について

当社グループは、主力製品の厚板製造工場を含め、その大半が愛知県名古屋市及びその近郊に立地しております。このため当地域が、地震、津波、台風といった大規模な自然災害、新型コロナウイルス等の感染症の流行、あるいはテロ活動などに見舞われた場合、操業が停止する可能性があり、これが長期にわたる場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、設備事故、労働災害等の重大な災害、環境問題、品質問題等が発生した場合、事業活動の停止・制約等により、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 環境規制による影響について

当社グループの主力製品である厚板の製造工程においては、大量のエネルギー及び資材を消費し、廃棄物、副産物等が発生します。これらの消費・排出・処理に関する諸規制は近年益々厳しくなる傾向にあり、今後求められる環境水準が高まった場合には、これらに関わる事業上の制約や新たに必要となる対策費用が当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 投資有価証券の価値変動による影響について

上場株式の株価変動などに伴う投資有価証券の価値変動は、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼします。また、年金資産を構成する上場株式の株価変動により、退職給付会計における数理計算上の差異(前提と実績の乖離)が生じた場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 経営成績

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により経済活動が制限され、企業収益や雇用環境が悪化するなど依然として厳しい状況で推移しました。2021年に入り感染症の再拡大が見られるなど、経済回復への動きは鈍く、先行き不透明な状況が続いております。

当社グループが行う事業分野におきましても、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が見られました。主力セグメントである鉄鋼関連事業につきましては、企業の設備投資意欲が依然として低水準で推移したことから、産業機械・建設機械向け需要が減少しました。また、物流倉庫や首都圏再開発案件などの大型建築案件は堅調に推移したものの、中小規模の建築案件が低調であったことから建築向け需要も減少しました。レンタル事業につきましては、イベントの縮小や中止などにより広告看板需要が減少しました。物流事業につきましては需要先の生産活動が低水準で推移したため、危険物倉庫取扱量は減少しました。エンジニアリング事業につきましては、製造業の設備投資意欲低下によりメンテナンス・工事需要が減少しました。

このような厳しい事業環境の中、コストダウン・省人化・省力化を推進するとともに、18中期経営計画で掲げた企業グループの事業基盤強化、鉄鋼事業の競争力強化、関係会社の収益力強化、ステークホルダーとの関係強化に努めてまいりました。

その結果、当連結会計年度における連結業績は、売上高につきましては403億2千7百万円となり、前連結会計年度に比べ41億4千7百万円、9.3%の減収となりました。経常利益につきましては、25億3千2百万円となり、前連結会計年度に比べ21億2千3百万円、45.6%の減益となり、親会社株主に帰属する当期純利益は15億9千3百万円と前連結会計年度に比べ11億5千4百万円、42.0%の減益となりました。

 

 

セグメントの業績は次のとおりです。

 

(鉄鋼関連事業)

鉄鋼関連事業につきましては、土木物件など一部分野において需要回復の兆しが見られたものの、主需要先である産業機械・建設機械向け需要が低調であったため、主要製品である厚板の販売数量が減少しました。販売価格につきましては、適正水準確保のための営業活動により、年度末にかけて上昇しましたが、通期では前年度を下回りました。また、主原料である鉄スクラップ価格は、生産活動停滞の影響による発生量の減少や、海外相場上昇の影響を受け前年度に比べ上昇しました。その結果、売上高は375億1千3百万円と前連結会計年度に比べ42億円の減収、セグメント利益(営業利益)は22億4千7百万円と前連結会計年度に比べ19億8千4百万円の減益となりました。

 

(レンタル事業)

レンタル事業につきましては、相次ぐイベント開催中止・縮小の影響により広告看板部門の受注が減少したものの、グリスフィルターレンタルの営業エリアの拡大等により、売上高は6億3千9百万円と前連結会計年度に比べ2千1百万円の増収となりました。一方で営業エリア拡大に伴う費用増加に伴い、セグメント利益(営業利益)は5千5百万円と前連結会計年度に比べ2千8百万円の減益となりました。

 

(物流事業)

物流事業につきましては、需要先の生産活動の落ち込みにより危険物倉庫取扱量が減少したことから、売上高は6億7千5百万円と前連結会計年度に比べ4千万円の減収、セグメント利益(営業利益)は2億4千5百万円と前連結会計年度に比べ4千5百万円の減益となりました。

 

(エンジニアリング事業)

エンジニアリング事業につきましては、工事案件が減少するなか大型案件の検収により、売上高は14億9千9百万円と前連結会計年度に比べ7千2百万円の増収となりましたが、利益率の低下によりセグメント損失(営業損失)は5千1百万円(前連結会計年度のセグメント損失(営業損失)は1千7百万円)となりました。

 

 

(2) 生産、受注及び販売の実績

① 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

生産高(百万円)

前期比(%)

鉄鋼関連事業

30,919

△0.5

エンジニアリング事業

1,927

△3.4

合計

32,847

△0.7

 

 

(注) 1

セグメント間取引については、相殺消去しておりません。

 2

生産高の記載は、製造原価によっております。

 3

上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

② 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残高(百万円)

前期比(%)

鉄鋼関連事業

35,461

△7.5

3,205

5.0

エンジニアリング事業

1,300

△19.0

120

△62.2

合計

36,761

△8.0

3,326

△1.4

 

 

(注) 1

セグメント間取引については、相殺消去しております。

 2

上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 3

当連結会計年度において、エンジニアリング事業の受注残高に著しい変動がありました。これは、エンジニアリング事業において、製造業向け大型案件が減少したことによるものであります。

 

 

③ 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(百万円)

前期比(%)

鉄鋼関連事業

37,513

△10.1

レンタル事業

639

3.4

物流事業

675

△5.6

エンジニアリング事業

1,499

5.1

合計

40,327

△9.3

 

 

(注) 1

セグメント間取引については、相殺消去しております。

 2

上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 3

主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

 

 

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

株式会社メタルワン

7,696

17.3

6,385

15.8

 

(注)

上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

主要な原材料価格の変動については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績」に記載しております。

 

(3) 財政状態

 

(資産の部)

流動資産は432億3百万円で、前連結会計年度末より11億9千6百万円の増加となりました。その主な要因は、有価証券が減少したものの、受取手形及び売掛金、原材料及び貯蔵品、商品及び製品、仕掛品が増加したことによるものです。

固定資産は262億6千2百万円で、前連結会計年度末より7百万円の減少となりました。その主な要因は、投資有価証券が増加したものの、有形固定資産において減価償却が進んだこと及び繰延税金資産が減少したことによるものです。

 

(負債の部)

流動負債は56億4千万円で、前連結会計年度末より4億2千3百万円の減少となりました。その主な要因は、支払手形及び買掛金が増加したものの、未払法人税等及び未払消費税等が減少したことによるものです。

固定負債は10億5千7百万円で、前連結会計年度末より4百万円の減少となりました。その主な要因は、退職給付に係る負債が減少したことによるものです。

 

(純資産の部)

純資産は627億6千8百万円で、前連結会計年度末より16億1千7百万円の増加となりました。その主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が増加したことによるものです。

 

 

(4) キャッシュ・フロー

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は117億6千4百万円となり、前連結会計年度末より20億2千6百万円の減少となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動による収入は3億5千8百万円(前期は132億7千5百万円の収入)となりました。

主として、たな卸資産の増加20億9千8百万円、法人税等の支払額15億6千9百万円、売上債権の増加15億5千万円などの支出があったものの、減価償却費の計上25億7千3百万円、税金等調整前当期純利益24億8千8百万円、仕入債務の増加9億2千7百万円などの収入があったことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動による支出は15億9千3百万円(前期は90億6千3百万円の支出)となりました。

主として、有価証券及び投資有価証券の売却及び償還200億7千万円、定期預金の払戻140億円などの収入があったものの、有価証券の取得189億円、定期預金の預入140億円、有形固定資産の取得15億3千9百万円、投資有価証券の取得10億5千7百万円などの支出があったことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動による支出は7億7千5百万円(前期は5億5千3百万円の支出)となりました。

主として、配当金の支払7億7千2百万円などの支出があったことによるものです。

 

(5) 資本の財源及び資金の流動性

当社グループの事業活動における主な運転資金需要は、原材料等の仕入、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また、投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものです。現在、これらの資金需要につきましては自己資金により充当しており、当社グループの財務の健全性は十分に確保されていると認識しております。また、手許の運転資金につきましては、当社及び国内連結子会社においてCMS(キャッシュ・マネジメント・サービス)を導入することにより、各社における余剰資金を当社へ集中し、一元管理を行うことで、資金効率の向上を図っております。

 

(6) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表及び財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表及び財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表及び財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」及び「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

なお、新型コロナウイルス感染症の影響に関する会計上の見積りにつきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」及び「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載しております。

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5 【研究開発活動】

研究開発活動は、鉄鋼関連事業において需要家ニーズに即した新商品開発に取り組んでおります。また生産技術・設備技術並びに操業プロセスにおける自動化技術など現事業分野における市場競争力の強化に資する問題に取り組んでおります。

なお、研究開発費総額は、73百万円であります。