第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)経営方針について

当社グループは、パイプのリーディング・カンパニーとして、すぐれた製品を供給し顧客の信頼に応えることにより、社会に貢献することを使命としております。当社グループの経営の方向性として、株主重視の経営を推進し、企業価値の最大化に向けて取り組んでおります。そして、鋼管業界において、グローバルで質・量ともに世界でもトップと言える企業集団への成長発展を目指します。

当社は引き続き、国内の高い収益力を維持しつつ、海外を中心に将来の成長のために必要な投資を積極的に行い、この厳しい環境を克服し成長していくため、第5次中期経営計画の主要施策の実行をすすめてまいります。

 

第5次中期経営計画の内容は、以下のとおりとなっております。

第5次中期経営計画期間:2018年4月1日(2019年3月期) ~ 2021年3月31日(2021年3月期)

1.連結経営目標:当社実績および第5次中期経営計画の目標

 

 

2018年度実績

2019年度目標

2019年度実績

第5次中期経営計画
最終年度
2020年度目標
 2018年3月9日発表

2020年度予想
 2020年5月13日発表

売上高(億円)

1,674

1,700

1,549

1,750

1,605

営業利益(億円)

192

196

147

240

153

営業利益率

11.5%

11.5%

9.5%

13.7%

9.5%

ROE

5.5%

5.5%

2.4%

6.5%

4.0%

株主還元率

50.7%

50.0%

129.6%

50.0%

50.6%

社会への利益還元

2,500万円

3,000万円

3,800万円

3,000万円

(3年間平均)

2,600百万円

 

 

2.第5次中期経営計画の主要施策と取り組み

1) 国内での取り組み

①高収益体質の維持、営業力の更なる強化

⇒東京工場 2号機製管機更新工事完了(2018年6月)

⇒丸一鋼販新潟営業所移転(2019年3月)

⇒東京工場スリッター更新(20195月)

⇒堺工場SR加熱機更新(20195月)

⇒鹿島特品工場拡縮管加工設備新設(20201月)

②人手不足時代への対応と生産性の向上

◎IoTやAIを活用した生産、事務の効率化

◎設備更新、採用方針や働き方の見直し

◎女性人材、外国人の活用

⇒本社を含めグループ4拠点を統合し、なんばスカイオ(大阪市中央区)に移転(2018年10月)

2) 海外での取り組み

①米国3社:新設/更新設備の活用、販売力の一層の強化による業容拡大

Leavitt社 2インチミル更新工事完了(2018年7月)

⇒MOST社 2インチミル新工場建設完了(2018年11月)

⇒MAC社 2インチミル新設(2018年12月)

 

②SUNSCO(HCM)社:パイプを中心とした国内営業力の強化と設備稼働率/歩留りの改善による一層のコスト削減と黒字体質の定着

⇒NO,2冷間圧延機増設に着手(2019年4月)

③自動車/二輪車関連:各国での生産拡大に対応した設備投資の実施と営業力の強化

⇒フィリピンMPST社竣工式実施(20197月)

⇒インドKUMA3拠点目となるGujarat工場新設完了(20202月)

④優秀な現地人材の確保と一層のレベルアップ。本社派遣者から現地人材への交代促進

⑤海外収益の配当/Royalty等での国内への利益還元強化

3) 国内外共通の取り組み

①労働時間及び人件費当たりの労働生産性の向上

②より一層の環境への配慮、エネルギー効率の向上、安全への対応強化

③国内外でのM&Aを含めた事業投資の積極的な検討

⇒コベルコ鋼管㈱の買収(20204月)

4) 株主重視政策及び社会貢献方針の堅持

①配当方針:「単体経常利益×(1-法人実効税率)×50%」の堅持

②配当実施後の単体純利益の0.5%程度の社会貢献支出の継続

③国内外での社会貢献の強化

◎国内:文化芸術、スポーツ、医療、教育、自然環境保護分野への貢献

◎新興国:貧困撲滅、健康医療、教育振興への貢献強化

 (ベトナム:「アジア失明予防の会」への支援、インド:貧困地区の高校生への奨学金支給、ビジネス拡大による雇用の創出)

 

(2)経営環境及び対処すべき課題等について

今後の見通しにつきましては、新型コロナウィルス感染症の影響により厳しい状況が続くと見込まれます。感染症が日本を含む全世界経済へ悪影響と下振れリスクをもたらし、先行き不透明感が一段と高まっております。当社といたしましては、新型コロナウィルス感染症の拡大防止に努めながら、第5次中期経営計画の最終年度として主要施策の着実な実行の為、各地域での状況変化を的確に把握し、マイナス要因をミニマイズする迅速な対応を引き続き進めてまいります。なお、2021年3月期(2020年度)は、国内外共に新型コロナウィルス感染症の影響を大きく受ける見込みとなっており、セグメント別の経営環境及び対処すべき課題等については以下のとおりです。

(日本)

国内事業は2019年度下期から市況が盛り上がりに欠け、建設向け・自動車向け製品共に需要減が鮮明になっていた時期に新型コロナウィルス感染症による緊急事態宣言が発せられました。足元の状況は前年度比約15%程度の数量減となっており、このトレンドは2020年度を通じて続くと想定し、販売数量見込みは、上期前年同期比△15.0%、下期前年同期比△6.9%、通期前年度比△11.0%としております。一方販売価格は数量減により下落圧力がかかりますが、きめ細かい営業活動による販売価格維持に加えて、全社的なコストダウンを図りスプレッド維持に努めて参ります。また、新たに連結子会社となった、丸一ステンレス鋼管㈱(旧コベルコ鋼管㈱)は、半導体製造装置向けなどの需要が回復し、前年度対比増収増益を見込んでおり、精密細管での高い技術力を生かし新たな成長商品分野への進出を図って参ります。

設備関連では、顧客ニーズのある環境対応仕様のカラー鋼管製造設備の導入を、九州丸一鋼管㈱及び北海道丸一鋼管㈱で進めて参ります。

(北米)

米国MAC社、Leavitt社、MOST社は米国の安全保障上重要と位置付けられている鉄鋼業に属しており、ロックダウン環境下でも対象外として操業を続けておりましたが、4月以降は受注が落ち込み、4~9月の販売数量は3社合計で前年同期比△12%程度と予想しております。ただ、各社とも1~3月は前年同期比プラスで推移したことから、通期の販売数量は前年度比で△2%程度の落ち込みに止まるとしました。メキシコのMaruichimex社も1~3月は前年同期比数量増となったものの、4月13日以降カーメーカーに合わせて5月中旬まで操業停止としたため、4,5月の売上は大きく落ち込み、6月以降は当初計画比50%程度(前年同期比75%程度)と見込んでおります。北米3拠点ともに2インチラインを更新・増設済みであり、小径サイズの販売拡充など、需要の回復を期して対応を進めております。また、メキシコMaruichimex社では、自動車向け鋼管拡販に向けた切断体制強化など進めております。

 

(アジア)

ベトナムでは原則自宅待機の措置が執られておりましたが、感染防止措置を徹底すれば工場の操業は可能であるため、SUNSCO社・SUNSCO(HNI)社ともに操業を続け、足元では国内の移動制限は解除されております。SUNSCO(HNI)社は販売先の二輪メーカーの操業停止の影響から、年間販売数量は前年度比△13%程度落ち込むと予想しております。なお、SUNSCO社の冷間圧延能力不足の解消、コスト削減、品質向上などに向け第2冷間圧延機の設置工事は予定通り進めております。インドはロックダウンの影響でKUMA社の操業は5月中旬まで停止しており、解除後のカーメーカーの稼働状況が不透明ですが、現時点では前年度比△35%ダウンと見ております。KUMA社のGujarat第3工場は2月に完成しており、ロックダウン解除後に当面はパイプ切断工場として稼働する予定です。

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、これらの事項は当連結会計年度末現在において判断したものであります。

(1)当社製品の需要動向に伴う経営成績への影響について

当社グループで製造・販売している各種鋼管及びメッキ鋼板製品は、店舗・工場・倉庫などの中低層建造物の建築資材、自動車等輸送機器向け、ビニールハウス向け農芸用資材、公共施設・各種工場やプラントにおける電線管、配管用の資材及び道路標識や街灯の支柱などが主たる用途です。したがって、中低層の建築投資、輸送用機器の生産量、企業の設備投資及び公共投資、及び当社製品ユーザーの生産動向等によって、連結経営成績は影響を受ける可能性があります。

 

(2)原材料市況の変動等について

当社グループが取扱っている各種鋼管は、熱延コイルを主要原材料としておりますが、熱延コイルの市況は世界の鉄鋼原料及び鉄鋼製品の需給動向等によって変動いたします。当社グループでは、国内外の高炉メーカーを原材料の仕入先として安定した価格での購入と適正な販売価格体系構築に努めておりますが、原材料の価格が上昇し、販売価格への転嫁が十分に図れない場合等には、連結経営成績に影響が出る可能性があります。

 

(3)製品クレームによるリスク

当社グループでは、各種の規格、品質管理基準に従って製品を生産し、需要家のニーズに応えるべく品質の維持向上に万全を期しておりますが、全ての製品に欠陥が無いとは限らず、製造物賠償責任等に伴う費用が発生する可能性があります。

 

(4)固定資産の価値下落について

当社グループが保有している固定資産について収益性が低下し投資の回収が見込めなくなった場合、固定資産の減損損失が発生し連結経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)有価証券並びに投資有価証券等の価値変動

当社グループの有価証券及び投資有価証券は、総資産の約2~3割を占めており、主な内容は、当社の関係会社株式、主要な取引先の株式及び債券となっております。当社グループでは、時価のある有価証券については、期末日時点での時価が帳簿価額に対して30%以上下落した場合、減損処理を実施しております。

このため、株式市場の低迷等、当社グループが保有する有価証券並びに投資有価証券の時価が大きく変動した場合、連結経営成績に影響が出る可能性があります。

 

(6)技術変化への対応について

当社グループは鋼管製造において成熟された技術力を有し、高品質・多品種・小ロットといった顧客の需要に応える生産体制を整えており、同業他社に対して優位性を確保しておりますが、鋼管製造において技術革新が起きた場合、当社の優位性が失われ連結経営成績に影響を受ける可能性があります。

 

 

(7)自然災害・パンデミック・事故等のリスク

当社グループでは、国内外において需要地生産体制をとり、生産拠点を需要地に設けることで自然災害やパンデミックに対するリスクを分散しております。また、工場等の安全対策として安全教育部による従業員教育を徹底して実施しておりますが、地震や風水害等の大規模災害、パンデミックの発生や事故等により当社グループの工場操業に支障が出た場合、連結経営成績に影響を受ける可能性があります。

 

(8)地政学リスク、カントリーリスク

当社グループが事業活動を展開する国や地域において、紛争やテロ、デモ、ストライキ、政情不安、通貨危機等が発生した場合、当社グループの事業に大きな影響を与えるリスクがあります。

 

(9)事業活動にかかる環境規制

当社グループは太陽光発電設備の導入や環境対応塗料の採用を進め、環境負荷の低減に取り組んでまいりましたが、二酸化炭素の排出量削減などを義務付ける新たな環境規制が導入された場合には、当社グループの事業活動に制約を受けたり、規制に適合する設備更新などに多額の費用が発生し連結経営成績に影響が出る可能性があります。

 

(10)法規制について

当社グループはグローバルに事業を展開し、各国における法令並びに条例を遵守しておりますが、貿易摩擦等で関税の引き上げや、輸出入に関する規制が強化されることにより事業活動に支障が生じた場合、連結経営成績に影響を与えるリスクがあります。

 

(11)人的資源の確保について

当社グループは国内の労働力人口の減少への対応や海外で活躍できる人材の育成と現地人材のレベルアップのため、女性の採用や海外研修に積極的に取り組んでおります。また、再雇用制度による技術継承や設備更新による省力化を進めております。これらの施策が計画通りに進まず優秀な人材を確保できなかったり、技術継承が行えなかった場合、当社グループの継続的発展に影響を与えるリスクがあります。

 

(12)情報セキュリティ

当社は情報セキュリティポリシーを策定し情報管理に万全を期しておりますが、予期せぬ事態により顧客・取引先等の機密情報、従業員の個人情報や営業秘密が漏えいした場合、当社グループの社会的評価や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)財政状態の状況

① 事業全体及びセグメント情報に記載された区分ごとの状況
a. 事業全体の状況

総資産は、前年度比108億9千8百万円減少3,101億2千万円となりました。

流動資産は、37億1千9百万円増加1,693億8千2百万円となりました。譲渡性預金が満期になったことなどから有価証券が103億8千万円減少し、現金及び預金が230億5千9百万円増加しました。世界経済の先行き見通しが読めない状況下、現預金の確保は必要と考えております。また、北米においては在庫の圧縮が急務であったことから、鋭意削減をすすめた結果、製品が16億2千4百万円、原材料及び貯蔵品が37億5千6百万円減少しました。

固定資産は、146億1千8百万円減少1,407億3千7百万円となりました。主な増減要因は、SUNSCO社の固定資産減損から有形固定資産が33億9千万円、政策保有株式の一部売却や株価下落などから投資有価証券が104億6千9百万円減少したことによります。

負債は、32億4千5百万円減少428億3千7百万円となりました。主な増減要因は、たな卸資産削減や減価償却費回収により海外子会社の借入金圧縮を進めたことから、短期借入金が33億円、長期借入金が8億7千6百万円減少しました。また、支払手形及び買掛金が32億6百万円増加する一方、未払法人税等が11億円、繰延税金負債が23億5百万円減少したこともあります。

純資産につきましては、76億5千2百万円減少2,672億8千2百万円となりました。主な増減要因は、親会社株主に帰属する当期純利益を63億5千4百万円確保する一方、配当金の支払が73億7千3百万円あり、その他有価証券評価差額金が48億8千9百万円、為替換算調整勘定が8億6千7百万円減少したことによります。株主に対する配当の重要性は認識しており、利益配当の基本方針に沿った配当に加え今年度は記念配当を実施する一方、将来の戦略的事業及び設備投資に備えた内部留保も重要と考えております。結果、自己資本比率は83.0%(前年度は実績82.2%)となっております。

なお、資本の財源および資金の流動性については、前連結会計年度と大きな変動は無く、運転資金及び設備資金は自己資金を中心に充当し、海外子会社の借入金返済の流動性は満たしておりますが、新型コロナウィルス感染症の拡大に伴う先行き不透明感からも、当社グループ全体での円滑な事業活動の資金について留意してまいります。

 

b. セグメント情報に記載された区分ごとの状況
(日本)

当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末と比べて13億1千9百万円減少し、1,049億7百万円となりました。連結子会社において工場建屋の新設などの設備投資を行った結果、固定資産が増加した一方で、前期の期末日が休日であったことから、受取手形及び売掛金が減少しました。

(北米)

当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末と比べて51億8千8百万円減少し、204億3千1百万円となりました。在庫の圧縮が急務であったことから、鋭意削減を進めた結果、たな卸資産(製品、原材料及び貯蔵品)が減少しました。また、減価償却により固定資産は減少しました。

(アジア)

当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末と比べて59億2千6百万円減少し、152億3千5百万円となりました。SUNSCO社において固定資産減損を計上したことにより固定資産が減少し、在庫の圧縮を進めた結果、たな卸資産(製品、原材料及び貯蔵品)も減少しました。

 

 

(2)経営成績の状況

① 事業全体及びセグメント情報に記載された区分ごとの状況
a. 事業全体の状況

北米・アジアでの販売数量の前年度比減少に加え、日本国内も下期から数量減に転じたことから、販売単価の上昇はあったものの、連結業績の売上高は1,549億2千6百万円前年度比7.5%減)と減収になりました。利益面も、前年度は好調であった北米が赤字となり、営業利益は147億1千2百万円同23.6%減)と減益になりました。

営業外損益で、持分法による投資利益が悪化したものの、為替差損の減少などから前年度比2千3百万円改善しましたが、経常利益は171億4百万円同20.9%減)と減益になりました。特別利益で固定資産売却益や投資有価証券売却益が増加しました。一方、特別損失で、ベトナムSUNSCO社の固定資産減損損失33億3千6百万円の計上に加え、株式市場低迷から38億6千1百万円の投資有価証券評価損を計上したことから、特別損益は前年度比66億2千6百万円悪化しました。これらの結果、親会社株主に帰属する当期純利益は63億5千4百万円同55.4%減)と減益になりました。

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、パイプの販売価格と材料コイルの仕入価格との値差(スプレッド)の変動が最も大きなものです。当連結会計年度は、このスプレッドの改善が進んだものの販売数量減の影響が大きく、営業利益・経常利益共に減益となりました。

 

b. セグメント情報に記載された区分ごとの状況
(日本)

国内事業につきましては、特に下期以降は月を追って落ち込み幅が大きく、販売数量が前年度比減少となりました。販売単価は前年度比では上昇したものの、数量減をカバーできず、加えて自動車向け比率の高い㈱アルファメタルの不振もあり、セグメント売上高は1,012億6千9百万円前年度比2.5%減)と減収になりました。材料コイルは海外価格の見直しによりスプレッドの改善は出来たものの、数量減からの製造コスト負担増や発送費の値上がり等から、セグメント利益は155億2千8百万円同1.5%減)と微減しました。

(北米)

北米事業につきましては、米国3社は米中摩擦の影響から農業機械向けが不振となり、エネルギー部門の開発も低迷し、販売数量は大幅減となりました。ただカナダ向け輸出ウェイトの高い米国MOST社は、カナダ政府による報復関税の撤廃に加え、北米の鋼管市況の一時的な底打ち感も出始めたことで、下期は北米全体の販売数量は前年同期を若干上回りました。しかし、年度では14.5%数量減と大幅な落ち込みとなりました。メキシコMaruichimex社は拡販努力により12%数量増と健闘しました。結果、セグメント売上高は260億6千6百万円前年度比19.8%減)と大きく落ち込み、販売数量の減少に加え、高値のコイル在庫を抱え消費コイル価格の高止まりや在庫評価損の計上などからスプレッドが悪化し、セグメント損益は15億2千7百万円の赤字(前年度は25億5千3百万円の黒字)となりました。

(アジア)

アジア事業につきましては、ベトナムSUNSCO社ではベトナム国内市場の競争激化と他国の輸入制限措置拡大に加えて、現有の冷間圧延機の不調が重なり、販売数量の減少と併せてスプレッドも悪化し赤字が拡大しました。この結果、2期連続赤字となり、当社連結決算においてSUNSCO社の固定資産の減損損失を計上することになりました。また、ベトナムSUNSCO(HNI)社では、販売数量は増加したものの販売単価の下落があり、またインドKUMA社では、前年度好調であったインド国内の4輪&2輪の販売に急ブレーキがかかり、鋼管の販売数量が前年度比11.6%減となるなど期待に反する状況となりました。結果、セグメント売上高は275億9千万円前年度比11.2%減)、セグメント利益は4億7千6百万円同31.8%減)と減収減益になりました。

 

c. 目標とする経営指標の達成状況等

目標とする経営指標及びその達成状況につきましては、「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 の(1)経営方針について」の第5次中期経営計画をご参照ください。

 

② 生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前期比(%)

日本

95,284

△2.9

北米

25,086

△26.1

アジア

27,824

△14.4

合計

148,195

△10.0

 

(注) 1.金額は、販売価格によっております。

2.上記金額は消費税等を含んでおりません。

 

b. 受注状況

当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。

 

c. 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前期比(%)

日本

101,269

△2.5

北米

26,066

△19.8

アジア

27,590

△11.2

合計

154,926

△7.5

 

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は当該割合が10%に満たないため記載を省略しております。

3.上記金額は消費税等を含んでおりません。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

① 現金及び現金同等物

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)の残高は、前連結会計年度末より156億3千5百万円増加し、707億3千2百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況と増減要因は以下のとおりであります。

② 営業活動によるキャッシュ・フロー

営業活動によって増加した資金は297億3千9百万円前連結会計年度比140億7千6百万円の収入増)となりました。主な収入は、税金等調整前当期純利益100億6千1百万円、減価償却費63億5千4百万円、たな卸資産の増減額49億8千万円、仕入債務の増減額34億9百万円であります。主な支出は、法人税等の支払額59億6千8百万円であります。特に、海外子会社でのたな卸資産の削減を進めたことから、収入は前連結会計年度比で大幅増加しました。

③ 投資活動によるキャッシュ・フロー

投資活動によって減少した資金は26億9千万円前連結会計年度比48億9千9百万円の支出減)となりました。主な収入は、有価証券の純増減額98億8千5百万円、投資有価証券の売却及び償還による収入84億5千4百万円であります。主な支出は、投資有価証券の取得による支出81億3千2百万円、定期預金の純増減額81億1千7百万円、有形及び無形固定資産の取得による支出56億9千7百万円であります。余資の効率的運用を図るべく、有価証券及び投資有価証券の取得を行いましたが投資有価証券の売却及び償還があったことから前年度対比で支出が減少しました。

④ 財務活動によるキャッシュ・フロー

財務活動によって減少した資金は113億3千7百万円前連結会計年度比53億3千万円の支出増)となりました。主な支出は、短期借入金の純増減額24億8千8百万円、長期借入金の返済による支出17億4千6百万円、配当金の支払額73億7千8百万円などであります。たな卸資産の削減などから借入金の圧縮を図りました。

 

 

⑤ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの運転資金及び設備資金については、主に自己資金を中心に、海外子会社の一部などは借入金により充当しております。当連結会計年度末における資金の残高は、前連結会計年度末より156億3千5百万円増加し、707億3千2百万円となりました。一方、当連結会計年度末の借入金残高は、短期借入金55億2千7百万円・長期借入金9億6百万円であり、これらの返済に必要な流動性は十分に満たしていると認識しております。従って、当社グループの財務の健全性は引き続き確保されており、第5次中期経営計画に沿った投融資・設備投資を含む当社グループの円滑な事業活動の資金には、大きな支障は無いと考えております。また、新型コロナウィルス感染症の拡大に伴う先行き不透明感からも、当社グループ全体での円滑な事業活動の資金について留意してまいります。

 

(4)重要な会計方針上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

 

(減損会計における将来キャッシュ・フロー)

減損損失を認識するかどうかの判定及び使用価値の算定において用いられる将来キャッシュ・フローは、収益計画の前提となった数値を、経営環境などの外部要因に関する情報や当社グループが用いている内部の情報と整合的に修正し、資産グループの現在の使用状況や合理的な使用計画等を考慮し見積っております。当該見積りには、売上高に影響するベトナムの市場成長率の見込、新規設備である第2冷延設備の稼働による収益の改善見込みなどの仮定を用いております。

当社グループは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結損益計算書関係) ※6固定資産の減損損失」に記載のとおり、当連結会計年度において減損損失(3,336百万円)を計上いたしました。回収可能価額は使用価値により算定しておりますが、その際に用いられる税引前の割引率は、貨幣の時間価値と将来キャッシュ・フローがその見積値から乖離するリスクの両方を反映したものであり、借入資本コストと自己資本コストを加重平均した資本コストによっております。当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において追加の減損損失(特別損失)が発生する可能性があります。

 

4 【経営上の重要な契約等】

(コベルコ鋼管株式会社の株式の取得)

当社は、2019年11月27日開催の取締役会において、コベルコ鋼管株式会社の全株式を2020年4月1日に取得することについて決議し、同日、株式譲渡契約を締結いたしました。この契約に基づき2020年4月1日に株式譲渡が完了したことからコベルコ鋼管株式会社(現 丸一ステンレス鋼管株式会社)は当社の連結子会社となっております。

 

 

5 【研究開発活動】

当社グループは自動車、建築、エネルギーを主体として積極的に海外事業を展開しており、研究開発は市場開発活動を通じて、年々高度化・多様化する需要家のニーズ、動向を先取り把握することで新製品の開発を行うほか、世界的に高まっている環境負荷低減の要求への対応、生産技術の革新やコストの低減などについて、製造現場との意思の疎通を図りながらたえず幅広く行っております。

また、SDGsへの対応として環境面への配慮から、環境マネージメント委員会を発足し、廃棄物の削減として特に副資材における廃プラのリサイクル化に着目した取組みを進めております。

当連結会計年度の主要な技術開発は次のとおりです。

日本国内では、農芸用・仮設用・輸送機用などに使用されるめっき鋼管の一時防錆表面処理について、膜厚の均一化を図り、更なる防錆力を高めるための技術開発をしており、現在、設備面の改善を含めた実用化を進めております。

耐食性に優れためっき製品であるAL-Z55について、フェンスや道路資材等の用途拡大化の一環として、塗装下地に適した表面処理の開発を進めております。

農芸用鋼管に関しては、近年激しさを増してきた自然災害(豪雪・暴風)への対応を考慮し、従来タイプの高強度農芸用鋼管より、更なる高強度化、加工性に優れたハイテン農芸用鋼管の開発を進めており、現在、量産化段階に至っております。また、併せて当該ハイテン農芸用鋼管と一緒に使用するジョイント部材についても、市場ニーズを受け、鋼管と同等の高強度化を図り量産化段階に至っております。

鋼構造物に使用される角形鋼管、軽量形鋼などについては、一時防錆塗料として「公共建築工事標準仕様書」に規定された「鉛・クロムフリーさび止めペイント JIS K 5674」対応塗料(グレー色、鉛丹色)の使用について市場ニーズが加速している事を受け、既に一部の工場で適用完了しておりますが、さらに他の工場でも適用するべく、設備導入を進めております。

AIやIoTといった技術を国内基幹工場で活用し、製造現場での異常停止、不良発生データおよび製造設備メンテナンスデータをデジタル管理化することで、稼働率向上を目的とした製造の見える化の推進および効率的な設備保全を目的とした設備保全システムの導入を進めております。また、事務業務の効率化を目的としてRPAの活用も進めております。なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は147百万円であります。

北米においては、MAC社にて設備の老朽化によるライン停止の対策として、6インチミルの電気品更新を行い、ラインの長時間停止のリスク低減を図り、Maruichimex社では自動車向けの需要に対応する為に、寸法切り工場および寸法切り設備の増設を進めております。

一方、アジアにおいては、ベトナムSUNSCO社で、安定生産・生産量の増大・品質の向上を目的として№2冷延ミルの増設計画を進めております。

また、フィリピンMPST社では、新工場を建設し、二輪車及び自動車向けの需要に対応する為に、2インチミルを新設し生産を開始致しましたが、更なる需要の高まりに対応するために、寸法切り設備の増強を進めております。インドKUMA社では、新たにGujaratに工場を建設し、寸法切り設備を設置して、客先への納入を開始いたします。