第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)経営方針について

当社は2021年4月7日に第6次中期経営計画(2021年4月~2024年3月)を公表いたしました。

今中期経営計画は70周年を迎えた当社が、100周年を健全に迎えることができるサステナブル企業グループを目指すとの方針のもと、その基盤固めの3ヶ年と位置づけております。 経営計画を確実に推進することにより、経営基盤を確固としたものにし、また環境への配慮を更に進めゼロカーボンに向けた体制も早期に確立し、長期安定的な成長によるサステナブル企業グループを目指します。

 

第6次中期経営計画の内容は、以下の通りとなっております。

1.基本方針

①長期的成長のための収益基盤:売上高:2,000億円、営業利益:260億円、営業利益率:13%

②計画策定の前提となる経営環境の想定

・国内:鉄鋼需要は長期的な減少傾向にあるが、この3年間はコロナの影響が前半で収束し最終年度は2018年度のレベルまで回復

・海外:各国とも後半にはコロナの影響から脱し、アジアを中心に成長路線に戻る

・鉄鋼市況:前半は乱高下を予想するが、徐々に落ち着くと想定

・国内外の自動車関連:各国のEV化の動向を注視し、必要な対応を開始

・競争力のある原材料の安定的な調達に努力

 ③デジタル化の一層の推進による製造/営業での生産性向上

 ④ESGを意識した経営により、企業の長期的安定的成長を目指す

 

2.数値目標 (想定為替レート:1米ドル105円)

 

全体

国内連結

うち単体

海外連結

売上高(億円)

2,000

1,300

(1,050)

700

営業利益(億円)

260

195

(160)

65

営業利益率

13.0%

15.0%

(15.2%)

9.3%

株主還元率

50.0%

 

 

 

環境目標

本社及び北海道/四国/九州工場での「CO2直接排出量相当実質0」

 

①売上高:国内外での販売数量の回復を見込

②営業利益/営業利益率:単体は営業利益率15%、主要連結各社は営業利益率最終10%

(Leavittのみ5%以上)を目標

③株主還元率:引き続き配当方針を堅持し高い還元率を実現

④環境方針:本社及び北海道/四国/九州工場での「CO2直接排出量相当分実質0」をめざす

 

3.計画実現に向けての主要施策

1)国内での取り組み

①生産販売の回復と高収益体質の維持

②丸一ステンレス鋼管の営業利益率10%目標:半導体/自動車向けBA管の生産能力増強、

自動化投資による生産効率の向上

③グループ企業間のシナジー効果の発揮:丸一ステンレス鋼管、東洋特殊鋼業、アルファメタル、丸一鋼販間

④堺工場のSR仕上工程、九州工場のGHライン、東京/名古屋工場の設備改修など168億円の投資

 

⑤生産及び営業でのデジタル化の一層の推進による生産性の向上

・IoT:生産ラインの稼働データの自動収集と分析システムの全工場への展開

・DXを活用した営業関連のIT化推進(WEB化、電子化、リモートワーク環境の整備等)

・AI/RPAを活用した事務システムの本格運用と利用範囲の拡大

・生産現場における検査と品質管理の全自動化

⑥ESGレポートの作成。ゼロカーボンへの対応の国内関連会社や海外現法への順次展開

⑦女性人材、海外人材の一層の活用

⑧遊休土地、建物の利活用

⑨オープンイノベーションの展開:設備メーカーとの協働による造管新技術の開発

顧客との協働によるソリューションビジネスの新たな取り組み

2)海外での取り組み

①営業利益率目標:米国Leavitt社の5%以外は10%の達成を目標とする

②SUNSCO:国内販売比率を更に高め(50%以上)収益基盤を強固に

第2冷延設備稼働によるコスト削減と品質の向上による収益への貢献

③自動車二輪車関係工場での設備投資の継続と収益の拡大

④インドKUMA社の四輪二輪の排ガス用ステンレス鋼管以外の製品需要の捕捉と投資の検討

⑤丸一ステンレス鋼管の海外進出の検討

⑥現地人材の育成による人材現地化の更なる推進

⑦海外でのESGへの取り組み

⑧国内外でのM&Aを含めた事業投資の積極的な検討の継続①高収益体質の維持、営業力の更なる強化

 

 3)株主還元と社会貢献

①株主還元:配当方針の堅持

②社会貢献:各国での社会貢献を継続(配当実施後の純利益の1%程度を目途)

 

(2)経営環境及び対処すべき課題等について

今後の見通しにつきましては、新型コロナウイルス感染症の影響により引き続き厳しい状況が続くと見込まれます。一方、米国での新政権は前政権の通商拡大法232条に基づく鉄鋼輸入関税率25%を引き継ぎ、加えて大規模な財政出動などインフラ整備の期待感が強く、米国の熱間圧延コイル(HRC)価格(英国CRU社による米国中西部コイル価格指数)は高騰し続けており、アジアではいまだコロナ禍に苦しむ国が多い中、いち早く回復した中国景気を背景に鋼材需要の拡大が見込まれています。日本国内でも、この海外の薄板需給タイト化を反映してHRC供給は非常にタイトとなり、価格面も大幅な値上がりとなりつつあり、大変厳しい情勢となっています。

このような情勢のもと、当社といたしましては、感染症の拡大防止に努めながら、第6次中期経営計画のスタート年度として主要施策の着実な実行の為、各地域での状況変化を的確に把握し、マイナス要因をミニマイズする迅速な対応を引き続き進めてまいります。セグメント別の経営環境及び対処すべき課題等については以下のとおりです。

(日本)

国内単体事業につきましては、足元で仮需を含め需要回復の兆しがある一方で、材料コイル供給が極めてタイトであることから、年間の販売数量を前年度比約+5%で計画しました。これは前々年度では約△8%弱程度の数量であり、現在の薄板需給タイトな状況から判断し、コロナ前の水準には当面戻らない見通しとしました。

更に、材料コイル調達価格が急激かつ大幅な値上げとなるため、販売数量の確保以上に製品価格の値上げを優先して鋭意取り組んでまいります。この製品値上げ効果によりスプレッドの悪化に歯止めをかけ、工場の生産性向上やコストダウンに努め、業績予想の確保に取り組んでまいります。

また、丸一ステンレス鋼管㈱も、ステンレス管は鉄鋼需要減の影響から受注が減少しておりますが、5Gやデジタル化を背景に需要拡大が期待される付加価値の高い半導体製造装置向けと自動車用のBA管の取り組み強化を行い、収益力向上の為、各種社内活動の推進を図ってまいります。設備投資関連では、環境対応仕様の角管カラー製品需要の拡大に対応すべく、連結子会社である九州丸一鋼管㈱に続き、北海道丸一鋼管㈱でのカラー塗装設備の導入を順調に進めております。更には、連結子会社の丸一鋼販㈱では、昨年12月の浜松の新切断工場建設に続き、四国営業所に倉庫新築・岡山営業所に倉庫増築などを進めており、エンドユーザーの木目細かいニーズに対応してまいります。

(北米)

北米事業につきましては、経済活動の早期再開に加え、新政権による追加経済対策のインフラ整備への期待もあり、鉄鋼価格が急上昇し、需要の回復により受注数量も堅調に推移しております。足元ではコイル価格が過去最高水準まで急激かつ大幅に上昇しており、販売数量の確保と共に製品価格の値上げが業績改善のカギであり、鋭意取り組んでまいります。また、未経験な高値レベルとなったHRC価格(現在US$1,600/トン)の急落が大きなリスクであり、木目細かな仕入・在庫量のコントロールを図り適正水準を維持して在庫保有リスクの軽減努力をしてまいります。

(アジア)

アジア事業につきましては、米国の通商問題や近隣諸国の輸入制限措置の影響で供給過剰によるアジア地区全体の鉄鋼市況は混乱しております。ベトナムSUNSCO社では、ベトナム国内の販売シェア拡大・販売数量確保と販売価格アップと共に、在庫の圧縮や設備の減価償却を進め、借入金を削減する経営に注力してまいります。また、冷間圧延能力不足の解消、コスト削減、品質向上などに向け第2冷延ミルの新設工事は順調に進めております。ベトナムSUNSCO(HNI)社では、販売数量の確保と共に、二輪メーカーとの製品納入価格の値上げ交渉に取り組んでまいります。インドKUMA社では、ロックダウン解除後に二輪&四輪市場の需要が急回復しており、加えて環境規制強化から二輪向け排気管需要が増加しており、バンガロール工場でのライン増設を決定しました。但し、新型コロナウイルス感染が再拡大しており、対策としての行動制限が需要悪化を再び引き起こす懸念も依然としてあり、気が抜けません。

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、これらの事項は当連結会計年度末現在において判断したものであります。

(1)当社製品の需要動向に伴う経営成績への影響について

当社グループで製造・販売している各種鋼管及びメッキ鋼板製品は、店舗・工場・倉庫などの中低層建造物の建築資材、自動車等輸送機器向け、ビニールハウス向け農芸用資材、公共施設・各種工場やプラントにおける電線管、配管用の資材及び道路標識や街灯の支柱などが主たる用途です。したがって、中低層の建築投資、輸送用機器の生産量、企業の設備投資及び公共投資、及び当社製品ユーザーの生産動向等によって、連結経営成績は影響を受ける可能性があります。

 

(2)原材料市況の変動等について

当社グループが取扱っている各種鋼管は、熱延コイルを主要原材料としておりますが、熱延コイルの市況は世界の鉄鋼原料及び鉄鋼製品の需給動向等によって変動いたします。当社グループでは、国内外の高炉メーカーを原材料の仕入先として安定した価格での購入と適正な販売価格体系構築に努めておりますが、原材料の価格が上昇し、販売価格への転嫁が十分に図れない場合等には、連結経営成績に影響が出る可能性があります。

 

(3)製品クレームによるリスク

当社グループでは、各種の規格、品質管理基準に従って製品を生産し、需要家のニーズに応えるべく品質の維持向上に万全を期しておりますが、全ての製品に欠陥が無いとは限らず、製造物賠償責任等に伴う費用が発生する可能性があります。

 

(4)固定資産の価値下落について

当社グループが保有している固定資産について収益性が低下し投資の回収が見込めなくなった場合、固定資産の減損損失が発生し連結経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(5)有価証券並びに投資有価証券等の価値変動

当社グループの有価証券及び投資有価証券は、総資産の約2~3割を占めており、主な内容は、当社の関係会社株式、主要な取引先の株式及び債券となっております。当社グループでは、時価のある有価証券については、期末日時点での時価が帳簿価額に対して30%以上下落した場合、減損処理を実施しております。

このため、株式市場の低迷等、当社グループが保有する有価証券並びに投資有価証券の時価が大きく変動した場合、連結経営成績に影響が出る可能性があります。

 

(6)技術変化への対応について

当社グループは鋼管製造において成熟された技術力を有し、高品質・多品種・小ロットといった顧客の需要に応える生産体制を整えており、同業他社に対して優位性を確保しておりますが、鋼管製造において技術革新が起きた場合、当社の優位性が失われ連結経営成績に影響を受ける可能性があります。

 

(7)自然災害・パンデミック・事故等のリスク

当社グループでは、国内外において需要地生産体制をとり、生産拠点を需要地に設けることで自然災害やパンデミックに対するリスクを分散しております。また、工場等の安全対策として安全教育部による従業員教育を徹底して実施しておりますが、地震や風水害等の大規模災害、パンデミックの発生や事故等により当社グループの工場操業に支障が出た場合、連結経営成績に影響を受ける可能性があります。

 

(8)地政学リスク、カントリーリスク

当社グループが事業活動を展開する国や地域において、紛争やテロ、デモ、ストライキ、政情不安、通貨危機等が発生した場合、当社グループの事業に大きな影響を与えるリスクがあります。

 

(9)事業活動にかかる環境規制

当社グループは太陽光発電設備の導入や環境対応塗料の採用を進め、環境負荷の低減に取り組んでまいりましたが、二酸化炭素の排出量削減などを義務付ける新たな環境規制が導入された場合には、当社グループの事業活動に制約を受けたり、規制に適合する設備更新などに多額の費用が発生し連結経営成績に影響が出る可能性があります。

 

(10)法規制について

当社グループはグローバルに事業を展開し、各国における法令並びに条例を遵守しておりますが、貿易摩擦等で関税の引き上げや、輸出入に関する規制が強化されることにより事業活動に支障が生じた場合、連結経営成績に影響を与えるリスクがあります。

 

(11)人的資源の確保について

当社グループは国内の労働力人口の減少への対応や海外で活躍できる人材の育成と現地人材のレベルアップのため、女性の採用や海外研修に積極的に取り組んでおります。また、再雇用制度による技術継承や設備更新による省力化を進めております。これらの施策が計画通りに進まず優秀な人材を確保できなかったり、技術継承が行えなかった場合、当社グループの継続的発展に影響を与えるリスクがあります。

 

(12)情報セキュリティ

当社は情報セキュリティポリシーを策定し情報管理に万全を期しておりますが、予期せぬ事態により顧客・取引先等の機密情報、従業員の個人情報や営業秘密が漏えいした場合、当社グループの社会的評価や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)財政状態の状況

① 事業全体及びセグメント情報に記載された区分ごとの状況
a. 事業全体の状況

総資産は、丸一ステンレス鋼管㈱を新規連結したこともあり、前年度比201億3千1百万円増加3,302億5千2百万円となりました。

流動資産は、1億2千6百万円減少1,692億5千6百万円となりました。丸一ステンレス鋼管㈱の株式譲受資金137億2千4百万円の支出はあったものの、譲渡性預金の満期などから有価証券が58億7千6百万円減少し、現金及び預金の減少は19億5千万円となりました。一方、丸一ステンレス鋼管㈱の新規連結等から受取手形及び売掛金が38億7百万円、原材料及び貯蔵品が51億1千万円増加したことによります。

固定資産は、202億5千8百万円増加1,609億9千6百万円となりました。主な増減要因は、丸一ステンレス鋼管㈱の新規連結等から有形固定資産が101億1千4百万円増加、および株価の回復から投資有価証券が107億8千8百万円増加したことによります。

負債は、104億3千7百万円増加532億7千5百万円となりました。主な増減要因は、丸一ステンレス鋼管㈱の新規連結等から、短期借入金が9億5千4百万円、退職給付に係る負債が18億2千7百万円増加、また未払法人税等が18億8千5百万円増加、繰延税金負債も32億6千9百万円増加しました。

純資産につきましては、96億9千4百万円増加2,769億7千7百万円となりました。主な増減要因は、親会社株主に帰属する当期純利益を138億5千7百万円確保し配当金の支払が74億9千8百万円あったことに加え、その他有価証券評価差額金が84億8千8百万円増加したことによります。

なお、資本の財源および資金の流動性については、従来と大きな変動は無く、運転資金及び設備資金は自己資金を中心に充当し、国内及び海外子会社の借入金の返済の流動性は満たしておりますが、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う先行き不透明感からも、引き続き当社グループ全体での円滑な事業活動の資金について留意してまいります。

 

b. セグメント情報に記載された区分ごとの状況
(日本)

当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末と比べて183億1千2百万円増加し、1,232億1千9百万円となりました。丸一ステンレス鋼管㈱を新規連結したことにより222億5百万円増加したことによるものです。

(北米)

当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末と比べて33億1千6百万円減少し、171億1千5百万円となりました。在庫の圧縮が急務であったことから、鋭意削減を進めた結果、たな卸資産(製品、原材料及び貯蔵品)が減少しました。また、減価償却により固定資産は減少しました。

(アジア)

当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末と比べて23億4千万円増加し、175億7千6百万円となりました。SUNSCO社において第2冷延設備の投資を進めたことにより固定資産が増加しました。

 

 

(2)経営成績の状況

① 事業全体及びセグメント情報に記載された区分ごとの状況
a. 事業全体の状況

販売数量面では、北米4拠点合計・アジア3拠点合計ともに前年度を上回りましたが、日本国内の落ち込みが大きく、全体では1割弱の減少となりました。丸一ステンレス鋼管㈱の新規連結効果から、表面上の売上高は1,611億3千8百万円前年度比4.0%増)と増収になりましたが、実質ベースでは約10%強の減収となりました。利益面は、国内も増益になり、北米・アジアが前年度比改善したことから、営業利益は183億3千2百万円同24.6%増)と増益になり、丸一ステンレス鋼管㈱を除外した実質ベースでも約18%弱の営業増益となりました。

営業外損益は、受取配当金が減少したことなどから、支払利息の減少や前年度に発生した為替差損が無かったものの、前年度比1億3千7百万円悪化しました。営業増益から、経常利益は205億8千7百万円同20.4%増)と増益になりました。特別損益は固定資産売却益が減少したものの、前年度に発生した投資有価証券評価損が無かったことや減損損失が大幅減少したことから、前年度比69億6千6百万円改善しました。

これらの結果、親会社株主に帰属する当期純利益は138億5千7百万円同118.1%増)と増益になりました。

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、パイプの販売価格と材料コイルの仕入価格との値差(スプレッド)の変動が最も大きなものです。当連結会計年度は、販売数量が減少したものの、スプレッドの改善が進んだことで、丸一ステンレス鋼管㈱を除外した実質ベースでも営業利益・経常利益共に増益となりました。

 

b. セグメント情報に記載された区分ごとの状況
(日本)

国内事業につきましては、単体の販売数量が需要減少から落ち込み、上期△16.8%・下期△7.0%と落ち込み幅は改善縮小したものの、年間で前年度比△11.9%に終わりました。加えて、販売単価も前半は需要低迷から低下傾向にあり、下期よりコイル価格は反転上昇し始め、当社でも製品値上げに取り組みました。期末では前年単価を上回ったものの、年間ベースでは前年度を下回りました。売上高は、丸一ステンレス鋼管㈱の新規連結効果によって1,114億7千7百万円前年度比10.1%増)と表面上は増収となりましたが、既存売上高は実質△12.3%の減収に止まりました。セグメント利益は155億4千1百万円(同0.1%増)と増益になりましたが、丸一ステンレス鋼管㈱を除くと、上期までの材料コイル調達価格の低下によって年間のスプレッドは改善出来た一方、販売数量の減少および製造コスト負担増等から△6.4%の減益になりました。

(北米)

北米事業につきましては、米国マルイチ・アメリカン・コーポレーション(MAC社)、米国マルイチ・レビット・パイプ・アンド・チューブLLC(Leavitt社)、米国マルイチ・オレゴン・スチール・チューブLLC(MOST社)の米国3拠点合計の販売数量は、鉄鋼製造業として安全保障上ロックダウン適用外で操業が継続出来たことに加え、下期は景気回復から前年同期比2桁伸長し、年間では前年度比+8.7%となりました。一方、メキシコのマルイチメックスS.A.de C.V.(Maruichimex社)はロックダウンの影響もあり、年間販売数量は前年度比△12.0%となりました。

北米4拠点合計の売上高は、前年度比で販売単価の下落もあって234億9千7百万円前年度比9.9%減)と減収になりました。一方セグメント利益は、前年度の高値のコイル在庫に起因する損失が当年度では発生しなかったことから、9千9百万円に黒字転換(前年度は15億2千7百万円のセグメント損失)しました。

また、MOST社は経営環境の変化などから、のれんを含んだ企業の公正価値が帳簿価額を下回ったことから、のれんの減損損失351百万円を特別損失に計上しました。なお、Leavitt社は2期連続の営業赤字となりましたが、回収可能性のテストを行った結果、固定資産の減損損失の認識は不要となりました。

 

(アジア)

アジア事業につきましては、ベトナムのマルイチ・サン・スチール・ジョイント・ストック・カンパニー(SUNSCO社)ではベトナム国内市場の競争激化と近隣国の輸入制限措置拡大等はあったものの、ベトナム国内販売シェア拡大などから販売数量は前年度比+1.7%を確保しました。一方、マルイチ・サン・スチール・(ハノイ)・カンパニー・リミテッド(SUNSCO(HNI)社)では、新型コロナウイルス感染症対策として二輪車ディーラーの営業停止があり、その影響から販売数量は前年度比△14.4%となりました。インドのマルイチ・クマ・スチール・チューブ・プライベート・リミテッド(KUMA社)では、4月から6月はロックダウンによる操業停止が続き販売数量が前年同期比8割減と大幅に減少しましたが、7月から12月は経済活動の再開から販売数量は一転して前年同期比4割増となり、年間では前年度比+8.0%になりました。

結果、売上高は261億6千2百万円前年度比5.2%減)と減収になりましたが、セグメント利益は前年度に固定資産を減損処理したSUNSCO社の減価償却費負担の低減やKUMA社での回収遅延債権の全額回収による貸倒引当金戻入益もあり、24億5千2百万円同414.7%増)と増益になりました。

 

c. 目標とする経営指標の達成状況等

第5次中期経営計画(2018年度~2020年度)の実績

 

第5次中計

目標

2018年度
実績

2019年度

実績

2020年度

実績

売上高(億円)

1,750

1,674

1,549

1,611

営業利益(億円)

240

192

147

183

営業利益率

13.7%

11.5%

9.5%

11.4%

ROE

6.5%

5.5%

2.4%

5.3%

株主還元率

50.0%

73.0%

(3年平均)

社会への利益還元

(百万円)

 30
(3年平均)

32

(3年平均)

 

 

② 生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前期比(%)

日本

104,858

+10.0

北米

22,543

△10.1

アジア

27,289

△1.9

合計

154,691

+4.4

 

(注) 1.金額は、販売価格によっております。

2.上記金額は消費税等を含んでおりません。

3.当連結会計年度において、生産実績に著しい変動がありました。これは日本セグメントにおいて、丸一ステンレス鋼管株式会社を連結の範囲に含めたことにより、22,130百万円増加したことによるものです。

 

b. 受注状況

当社グループは、主として見込み生産をしており、金額的に重要性がないため、記載を省略しております。

 

 

c. 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前期比(%)

日本

111,477

+10.1

北米

23,497

△9.9

アジア

26,162

△5.2

合計

161,138

+4.0

 

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は当該割合が10%に満たないため記載を省略しております。

3.上記金額は消費税等を含んでおりません。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

① 現金及び現金同等物

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)の残高は、前連結会計年度末より66億4千5百万円減少し、640億8千6百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況と増減要因は以下のとおりであります。

② 営業活動によるキャッシュ・フロー

営業活動によって増加した資金は243億5千5百万円前年度比53億8千3百万円の収入減)となりました。主な収入は、税金等調整前当期純利益205億9百万円、減価償却費58億2千8百万円、たな卸資産の増減額42億7千1百万円であります。主な支出は、法人税等の支払額43億5千5百万円、仕入債務の増減額39億2千1百万円であります。

③ 投資活動によるキャッシュ・フロー

投資活動によって減少した資金は168億4千1百万円前年度比141億5千1百万円の支出増)となりました。主な収入は、有価証券の純増減額65億5千万円、投資有価証券の売却及び償還による収入38億5千万円であります。支出につきましては、国内での新たな商品分野への進出を目指して、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出137億1千9百万円を計上したほか、有形及び無形固定資産の取得による支出62億6千7百万円、定期預金の純増減額46億4千1百万円等によるものであります。

④ 財務活動によるキャッシュ・フロー

財務活動によって減少した資金は139億6千8百万円前年度比26億3千万円の支出増)となりました。主な支出は、配当金の支払額74億9千8百万円、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出25億8千8百万円のほか、資本効率の向上並びに機動的な資本政策の遂行を可能とするため行った、自己株式の取得による支出19億7千5百万円などであります。

 

⑤ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの運転資金及び設備資金については、主に自己資金を中心に、一部連結子会社は借入金により充当しております。当連結会計年度末における資金の残高は、前連結会計年度末より66億4千5百万円減少し、640億8千6百万円となりました。一方、当連結会計年度末の借入金残高は、短期借入金64億8千1百万円・長期借入金4億5千8百万円であり、これらの返済に必要な流動性は十分に満たしていると認識しております。従って、当社グループの財務の健全性は引き続き確保されており、第6次中期経営計画に沿った投融資・設備投資を含む当社グループの円滑な事業活動の資金には、大きな支障は無いと考えております。また、新型コロナウィルス感染症の拡大に伴う先行き不透明感からも、当社グループ全体での円滑な事業活動の資金について留意してまいります。

 

(4)重要な会計方針上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

特に、有形固定資産および無形固定資産の減損損失については重要な会計上の見積りが必要となります。当該見積り及び仮定の不確実性の内容やその変動により経営成績等に生じる影響などは、「第5 経理の状況」(重要な会計上の見積り)に注記しております。

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5 【研究開発活動】

当社グループは自動車、建築、エネルギーを主体として積極的に海外事業を展開しており、研究開発は市場開発活動を通じて、年々高度化・多様化する需要家のニーズ、動向を先取り把握することで新製品の開発を行うほか、世界的に高まっている環境負荷低減の要求への対応、生産技術の革新やコストの低減などについて、製造現場との意思の疎通を図りながらたえず幅広く行っております。

また、SDGsへの対応として環境面への配慮から、環境マネージメント委員会を発足し、廃棄物の削減として特に副資材における廃プラのリサイクル化に着目した取組みを進めております。

当連結会計年度の主要な技術開発は次のとおりです。

日本国内では、農芸用・仮設用・輸送機用などに使用されるプレめっき鋼管の一時防錆表面処理について、膜厚の均一化を図り、更なる防錆力を高めるための技術開発をしてきましたが、厚鋼電線管をはじめとする後めっき鋼管にも同様の処理を適用し、従来と比較して防錆力向上並びに環境負荷低減を目指した開発を進めております。

耐食性に優れためっき製品であるAL-Z55について、フェンスや道路資材等の用途拡大化の一環として、塗装下地に適した表面処理の開発を継続して進めております。

農芸用鋼管に関しては、近年激しさを増してきた自然災害(豪雪・暴風)への対応を考慮し、従来タイプの高強度農芸用鋼管よりさらに高強度で、必要な加工性を有するハイテン農芸用鋼管を開発し、各地域での普及が進んでおります。併せて当該ハイテン農芸用鋼管と一緒に使用するジョイント部材についても、鋼管と同等の高強度化を達成し、ハイテン農芸用鋼管とともに展開しております。

鋼構造物に使用される角形鋼管、軽量形鋼などについては、一時防錆塗料として「公共建築工事標準仕様書」に規定された「鉛・クロムフリーさび止めペイント JIS K 5674」対応塗料(グレー色、鉛丹色)の使用について市場ニーズが加速している事を受け、既に東京・名古屋・四国の各工場で適用しておりましたが、当連結会計年度では九州工場に設備導入し、適用完了しました。さらに苫小牧工場でも適用するべく設備導入を進めており、完了すれば当社グループにおける当該製品を製造する全てのラインで適用可能となります。

国内の丸一鋼販の各営業所(浜松、四国、岡山)では、客先要望に応えるために、寸法切り及びコラム切断・開先加工の設備導入を進めています。

ステンレス鋼シームレス管を扱う丸一ステンレス鋼管(株)では、自動車分野の環境規制強化に対応したエンジンの燃料高圧噴射化に応える高強度鋼種開発に取り組んでおり、燃料噴射管用ステンレス鋼管KRSA-A31としてユーザ各社へのサンプル提供および量産実証の段階に進んでいます。

AIやIoTに関連する技術に関しては、国内の主工場で製造現場での操業データの収集・解析を行う事により、安定的・効率的な生産稼働体制の構築を進めております。また生産ラインの異常停止、不良発生データおよび製造設備メンテナンスデータをデジタル管理化することで、稼働率向上につながる設備保全システムの検討も進めています。

また、事務業務の効率化を目的としてRPAの導入展開を進めており、利用部門の拡大に取組んでおります。

なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は301百万円であります。

北米においては、Maruichimex社では自動車向けの需要への対応と効率的な寸法切り加工目的で、全自動の寸法切り設備の増設を進めております。

一方 アジアにおいては、ベトナムSUNSCO社で、安定生産・生産量の増大・品質の向上を目的として第2冷延ミルの増設計画は順調に進められており、2021年6月に本稼働の予定です。

インドKUMA社では、Bangalore工場に 二輪向け排気管用造管機の増設計画を進めています。