当社は2021年4月7日に第6次中期経営計画(2021年4月~2024年3月)を公表いたしました。
今中期経営計画は70周年を迎えた当社が、100周年を健全に迎えることができるサステナブル企業グループを目指すとの方針のもと、その基盤固めの3ヶ年と位置づけております。 経営計画を確実に推進することにより、経営基盤を確固としたものにし、また環境への配慮を更に進めゼロカーボンに向けた体制も早期に確立し、長期安定的な成長によるサステナブル企業グループを目指します。
第6次中期経営計画の内容は、以下の通りとなっております。
①長期的成長のための収益基盤:売上高:2,000億円、営業利益:260億円、営業利益率:13%
②計画策定の前提となる経営環境の想定
・国内:鉄鋼需要は長期的な減少傾向にあるが、この3年間はコロナの影響が前半で収束し最終年度は2018年度のレベルまで回復
・海外:各国とも後半にはコロナの影響から脱し、アジアを中心に成長路線に戻る
・鉄鋼市況:前半は乱高下を予想するが、徐々に落ち着くと想定
・国内外の自動車関連:各国のEV化の動向を注視し、必要な対応を開始
・競争力のある原材料の安定的な調達に努力
③デジタル化の一層の推進による製造/営業での生産性向上
④ESGを意識した経営により、企業の長期的安定的成長を目指す
①売上高:国内外での販売数量の回復を見込
②営業利益/営業利益率:単体は営業利益率15%、主要連結各社は営業利益率最終10%
(Leavittのみ5%以上)を目標
③ROE:連結ROE6.5%を目標とする
④株主還元率:引き続き配当方針を堅持し高い還元率を実現
⑤環境方針:CO2排出量を2013年度比、国内グループ2030年△46%(2023年度比△30%)削減
1)国内での取り組み
①生産販売の回復と高収益体質の維持
②丸一ステンレス鋼管の営業利益率10%目標:半導体/自動車向けBA管の生産能力増強、
自動化投資による生産効率の向上
⇒BA管の生産能力を2023年度から25万本/月に引き上げ
③グループ企業間のシナジー効果の発揮:丸一ステンレス鋼管、東洋特殊鋼業、アルファメタル、丸一鋼販間の連携
⇒2024年3月期より東洋特殊鋼業の連結子会社化
④堺工場のSR仕上工程、九州工場のGHライン、東京/名古屋工場の設備改修など168億円の投資
⑤生産及び営業でのデジタル化の一層の推進による生産性の向上
・IoT:生産ラインの稼働データの自動収集と分析システムの全工場への展開
・DXを活用した営業関連のIT化推進(WEB化、電子化、リモートワーク環境の整備等)
・AI/RPAを活用した事務システムの本格運用と利用範囲の拡大
・生産現場における検査と品質管理の全自動化
⑥ESGレポートの作成。ゼロカーボンへの対応の国内関連会社や海外現法への順次展開
⇒2022年度版ESGレポート発行済み
⑦女性人材、海外人材の一層の活用
⇒女性の生産現場への配属、女性管理職登用実施
⑧遊休土地、建物の利活用
⑨オープンイノベーションの展開:設備メーカーとの協働による造管新技術の開発
顧客との協働によるソリューションビジネスの新たな取り組み
⇒操業条件のデジタル化、設備自動化、作業省力化等を導入した次世代型造管機を名古屋工場に導入
(2024年末稼働開始予定)
2)海外での取り組み
①営業利益率目標:米国Leavitt社の5%以外は10%の達成を目標とする
②SUNSCO:国内販売比率を更に高め(50%以上)収益基盤を強固に
第2冷延設備稼働によるコスト削減と品質の向上による収益への貢献
③自動車二輪車関係工場での設備投資の継続と収益の拡大
④インドKUMA社の四輪二輪の排ガス用ステンレス鋼管以外の製品需要の捕捉と投資の検討
⑤丸一ステンレス鋼管の海外進出の検討
⇒MST-X社設立(2022年8月)
⑥現地人材の育成による人材現地化の更なる推進
⑦海外でのESGへの取り組み
⑧国内外でのM&Aを含めた事業投資の積極的な検討の継続
⇒米国GENEVA社(現マルイチ・ネブラスカ・チューブLLC)を買収(2021年11月)
3)株主還元と社会貢献
①株主還元:配当方針の堅持
②社会貢献:各国での社会貢献を継続(配当実施後の純利益の1%程度を目途)
今後の見通しにつきましては、欧米の金融引締め長期化に伴う景気減速やエネルギー価格の高止まり等、景気後退懸念リスクもあり、引き続き厳しい状況が見込まれます。米国では、(決算期が3ケ月ズレており)米国のHRC価格は、12月に681$/トンまで下落したものが、足元4月では1,300$近くの水準まで回復しております。アジアは、中国のゼロコロナ政策の転換による行動規制の緩和があるものの、不動産市況の下落等中国経済への警戒感が強く、鉄鋼製品価格は頭打ちの状況にあります。日本国内では、足元では需要が盛り上がりに欠ける中で販売数量の確保が難しい状況となっています。
このような情勢のもと、当社といたしましては、第6次中期経営計画の最終3年目として主要施策の着実な実行の為、各地域での状況変化を的確に把握し、マイナス要因をミニマイズする迅速な対応を引き続き進めてまいります。セグメント別には以下の通りとなっております。
(日本)
国内単体事業につきましては、建築分野を始め需要回復は期待薄で、年間の販売予定数量は前年度比微増に止まる見通しとしております。パイプ販売単価も、前年度末までは値上げ価格の維持が出来ていたものの、足元一部値下げを見込まざるを得ない状況です。一方、コイル仕入価格は海外輸入材の値上げも想定され、スプレッドの悪化が見込まれます。加えて、電力等のエネルギーコストや塗料などの副資材等の製造コストやパイプの切断加工賃やハンドリング等の外注コスト等の上昇もあり、引き続き自助努力として工場の生産性向上やコストダウンに努めますが、厳しい状況です。丸一ステンレス鋼管㈱も、好調であったBA管が、半導体価格の下落に加え米国の対中半導体装置輸出規制問題もあり、半導体製造工場の建設遅延や、需要家でのBA管の在庫圧縮の動きもあり、1~2年はBA管需要が減少する見込みです。
設備投資関連では、女性も扱える次世代造管機をコンセプトとして造管機メーカーと共同で開発を進め、名古屋工場3号機(6インチミル)の老朽化更新への採用を進めるべく、これに先駆けて既存カラー塗装設備の新建屋建設による移設についても進めております。また、工場の現場作業の環境対策の一環として、東京工場で製造現場のエアコン設置の検討も開始しました。丸一ステンレス鋼管㈱ではコイル管の生産能力増強も検討しております。
(北米)
北米事業につきましては、金融引締めによる影響はあるものの、景気は底堅さを維持しております。米国のHRC価格は、年初以降は上昇し続けており、足元では受注・出荷も好調に推移しており、価格上昇局面での数量確保とスプレッドの先行確保による利益改善を期待しております。また、2021年11月に買収した米国MNT社について、取引先との販売条件の見直しや高付加価値販売先へのシフトを図り、年明け以降は単月で黒字化出来ており、コイルのスリット内製化についても設備投資を進めてまいります。米国の半導体需要拡大に伴い昨年8月にテキサス州に新規設立したBA管製造子会社マルイチ・ステンレス・チューブ・テキサス・コーポレーション(MST-X社)では、土地の取得も終え建屋着工など2024年4月以降の稼働開始予定ですが、足元の一過性と思われる半導体需要の落ち込みもあり、稼働時期は柔軟に対応し進めております。
(アジア)
アジア事業につきましては、中国経済の不透明感から、コイル及び製品価格の上昇は頭打ちの状況にあります。ベトナムSUNSCO社では、ベトナム国内の販売比率拡大や家電向け鋼板の拡販に加え、増加した在庫と借入金の圧縮に取り組んでまいります。ベトナムSUNSCO(HNI)社では、二輪車のサプライチェーン問題も解消したものの、バイク販売台数の落ち込みが見込まれ、販売数量予想は前年度割れとしています。インドKUMA社では、四輪市場の需要が急回復しており、加えて環境規制強化から商用車向け大径排気管需要が増加しており、増設したバンガロール工場ラインも含め、販売数量の増加を見込んでおります。フィリピンのMPST社では、半導体供給不足等から現地二輪車生産が減少していましたが、足元二輪メーカーの現地生産の拡大を背景に受注を確実に取込み販売数量の2桁伸長を見込んでおり、累損解消に取り組みます。
当社グループは、「顧客の信頼に応えることにより社会に貢献し、人間尊重を基本としてすべての人々を大切にする」という経営理念のもと、すべてのステークホルダーに配慮し事業活動を行うことによって、持続的な成長の実現を目指します。自らの持続的な成長とともに、持続可能な社会の実現に貢献するために、以下の方針に沿って重要課題(マテリアリティ)に取り組み、企業価値の向上を目指します。
当社グループは、株主の権利を尊重し経営の公平性・透明性を確保するとともに、取締役会を中心として株主に対する受託者責任・説明責任を果たし、同時に経営ビジョンの実現に向けて、コーポレート・ガバナンスを経営上の重要課題と位置付け、迅速かつ的確な意思決定および監督機能の強化を図ります。また、中長期的な企業価値向上と経営の健全性維持のため最良のコーポレート・ガバナンスを追求し、その充実に継続的に取り組みます。
当社グループでは、エンドユーザーに与える影響を配慮しつつお客様のニーズに適合した安全かつ高品質な製品を供給し、ご相談に誠実、迅速、かつ的確に対応するよう努めます。また、製品に関する情報提供を適切に行い、あらゆるお客様のさらなる満足の確保、維持、向上に努めます。さらに、各国の法およびその精神を遵守し、お客様をはじめ事業活動に関わる全ての人々の個人情報の保護を徹底します。
当社グループは、商取引にあたっては、正しい判断と節度を持って行動し、誤解や不名誉な評価を受けることのないよう、不当な利益を与えたり、得たりすることは行いません。商取引は、製品かサービスかを問わず、誠実で正当な交渉に基づき取引内容を公平に比較・評価したうえで正しい手続きを踏んで進めます。また、当社グループは賄賂を認めず、反社会勢力との関係を断絶し、あらゆる形態の腐敗に関与しません。
当社グループでは、将来世代に住み良い環境を提供するため、法令遵守による社会的責任の遂行を基本として、より一層の地球環境保護に貢献します。リサイクル性の高い鉄を使用した製品の提供を通じて循環型社会の一端を担うとともに、生産活動における大気・水質・土壌等の環境汚染を予防します。また、日々技術を追求し、エネルギー、水、原料などの資源の効率的な活用のため努力します。これらに関連する目標、目的を設定し継続的な改善活動のためのマネジメントシステムを整備します。
当社グループは、さまざまな国、地域社会と共に発展・成長を遂げることを目指しています。事業を通じた貢献として、国や地域の多様なニーズに応じた製品を安定的に供給することで、産業のプラットフォームの構築と発展に寄与します。また、雇用機会の拡大、納税等による利益の再配分を通じ、豊かな社会の実現に寄与します。事業を行うにあたっては、環境・社会負荷を削減するよう配慮することで、事業の持続可能性を追求します。また、コミュニティの一員として社会課題解決への意識を持ち、社会貢献活動を積極的に展開することで、同じコミュニティに属し、志を共有する人々と積極的にエンゲージメントを図ります。
当社グループでは、「人間尊重」の理念のもと、多様な社員が平等にディーセントワーク(働きがいのある人間らしい仕事)に取り組むことで、人生を託すにふさわしい、夢にあふれた会社を実現します。そのために、個々の事情にあったワークライフバランス、多様で柔軟な働き方を実現します。高い安全衛生基準のもとで1人1人の能力開発を促進し、従業員が心身ともに安全・健康に働ける環境を整備します。また、従業員代表との対話の機会を設け、健全な労使関係を構築します。
当社グループでは、間接的な関与を含むあらゆる人権侵害行為を未然に防ぎます。また、性別や国籍等の個人の属性に関係なく、社会的に弱い立場や危機的状況にある人を含むすべてのステークホルダーの人権を守ります。人権を侵害する事業体に対する製品の提供や購買活動を行わず、人権を侵害された人を救済するための措置を整備します。
当社グループは、上記7つの基本方針の中でも、昨今の気候変動問題は地球レベルでの気候危機に相当し、重要な経営課題の一つとの認識の下、地球上のすべてのステークホルダーに配慮した事業活動を行うことによって、パリ協定が示す「平均気温の上昇を1.5℃未満に抑えた世界」の実現を目指しております。そのため、当社グループは「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に賛同し、同提言に基づき、「ガバナンス」、「戦略」、「リスク管理」、「指標と目標」についての情報開示をして参ります。
TCFD提言は、すべての企業に対し、「ガバナンス」、「戦略」、「リスク管理」、「指標と目標」の4つの項目に基づいて開示することを推奨しています。当社グループは、TCFD提言の4つの開示項目に沿って、当社の気候関連への取組みを開示します。
・当社グループの気候変動に係る諸課題への対応のため、国内外グループ各社に環境管理責任者を置き、環境最高責任者(当社社長)をヘッドとする丸一グループ・カーボンニュートラル環境委員会を設置。
・環境最高責任者は、丸一グループ全体におけるカーボンニュートラルについての方針及び施策を決定し、その進捗について取締役会へ報告(半期に1回以上)。
・IPCCやIEAが公表する4℃シナリオおよび2℃未満シナリオを用いてリスク及び機会を分析。
・リスク及び機会を特定し、定量分析が可能な項目については2030年度時点における財務インパクトを試算。
・丸一グループ・カーボンニュートラル環境委員会が気候関連のリスクを識別し、財務インパクトへの影響度を評価、管理。
・コンプライアンス委員会が全社リスクと上記気候関連のリスクの相対的な評価を行い、発生頻度や財務インパクト等から重要なリスクを特定し定期的にモニタリング。
・リスク管理状況を取締役会へ報告し、リスクへの対応策を経営戦略や中期経営計画へ反映。
<主な気候関連リスク・機会と評価>
・2030年に国内当社グループのCO₂排出量を46%削減(2013年度比)。
・2050年にカーボンニュートラルの実現を目指す。
Scope別CO₂排出量データ(2021年度)
(注) 1.2021年度及び2022年度Scope2は、再エネ由来電力購入による削減分を減じた後の排出量です。
2.Scope3の算定範囲は、カテゴリ1~7、カテゴリ9、カテゴリ10、カテゴリ13です。
CO₂排出量削減のロードマップ
当社は2050年カーボンニュートラルの実現を達成するために、中長期CO₂排出削減計画(ロードマップ)を作成し、CO₂排出量削減に取り組んでおります。

2030年までは、更なる省エネルギー活動、低炭素エネルギーへの転換、再生可能エネルギーの活用(自家使用太陽光発電設備設置、再生可能エネルギー由来電力の導入)などによってCO₂排出量の削減を推進して参ります。また、海外の当社グループについては、2023年度中に各国の状況を踏まえてCO₂排出量削減目標を策定する予定です。
当社では、「人間尊重」の理念のもと、「すべての人を大切にする」会社としてのあり方を追求し、雇用の維持、働き甲斐のある職場作りや、「少数が精鋭を作る」との考えの下、一人が複数の業務をこなす多能工の育成を大切にしてきましたが、変化の大きい不確実性が高い現在社会において、採用間口の拡大や長期的視野に立った育成・教育といった課題があります。
変化の大きな事業環境・グローバル展開を踏まえ、ダイバーシティ&インクルージョンを推進し、少子高齢化に対応するため女性・外国人・高齢者をより活用していくことで、課題を解決し企業価値の創出をしていきます。
社員が活躍する環境作りとして、もともと「男性社会」である鉄鋼業界にあって、これまで見落とされがちだった女性の視点を積極的に取り入れております。
女性の離職を防ぎ、持続的にその能力を発揮できる環境を構築するため、ライフイベントに対応する制度として育児休暇制度、育児短時間勤務制度、育児休暇早期復職サポートを導入し、スキル形成に向けた研修等の施策を実施しています。
また、業務内容の見直しや工場設備・職場環境のリニューアルにより、技能職においても女性社員が活躍できる環境をさらに整備してまいります。
他に、グローバルに活躍できる環境づくりとして、①人種や出身国・地域に関わらず活躍できる会社づくりとして外国人留学生の積極採用、②海外現地法人から技術職社員を国内工場で受け入れることにより、現地人材のスキルアップや帰国後の現地産業の発展に貢献、③社員の海外研修や国内当社グループから積極的に海外拠点へ出向することで、今後の当社グループをけん引するスキルフルな人材の育成等を行っております。
当社は、1人1人が複数の技術・知識を身につけ、幅広い業務に対応するマルチスキル人材を育成しております。
2021年3月期からは人事制度の抜本的な見直しを実施し、年功序列ではなく優秀な社員が早期にキャリアアップできる仕組みをつくりました。
また、階層別研修を実施し、新入社員から役員まで各階層で必要不可欠なスキルを身につけることで会社全体のレベルの底上げを図っております。その他にも社員の自己啓発を目的として業務に必要とされる資格取得を支援する制度を導入しております。
当社では、労働安全衛生方針・行動指針に従い、製造現場で働く社員および協力会社の社員に対し作業内容と設備の改善と安全衛生教育に継続して取り組み、安全で健康な職場環境の構築に向けて取り組んでおります。
具体的な取り組みとして、安全教育部を設置し新入社員から階層別研修を実施するとともに、社長をトップとした安全会議において全国各工場を一斉に巡回し、不安全行動の指摘やヒューマンエラー撲滅に向けた指差呼称の指導、安全衛生の基本である5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)の確認を行っております。
万が一、労働災害が発生した際は、現場担当者と安全教育部が中心となって、発生原因を分析、対策を立案して、全工場に展開することで類似災害の防止に取り組み、また、過去に発生した災害に対してもOJTによる教育訓練を定期的に実施しております。
また、職場環境の改善やメンタルヘルスケアを実施することで心身ともに安全かつ健康に働けるよう取り組んでおります。
人的資本・多様性に関する指標及び目標については、従業員の状況に記載しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、これらの事項は当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループで製造・販売している各種鋼管及びメッキ鋼板製品は、店舗・工場・倉庫などの中低層建造物の建築資材、自動車等輸送機器向け、ビニールハウス向け農芸用資材、公共施設・各種工場やプラントにおける電線管、配管用の資材及び道路標識や街灯の支柱などが主たる用途です。したがって、中低層の建築投資、輸送用機器の生産量、企業の設備投資及び公共投資、及び当社製品ユーザーの生産動向等によって、連結経営成績は影響を受ける可能性があります。
当社グループが取扱っている各種鋼管は、熱延コイルを主要原材料としておりますが、熱延コイルの市況は世界の鉄鋼原料及び鉄鋼製品の需給動向等によって変動いたします。当社グループでは、国内外の高炉メーカーを原材料の仕入先として安定した価格での購入と適正な販売価格体系構築に努めておりますが、原材料の価格が上昇し、販売価格への転嫁が十分に図れない場合等には、連結経営成績に影響が出る可能性があります。
当社グループでは、各種の規格、品質管理基準に従って製品を生産し、需要家のニーズに応えるべく品質の維持向上に万全を期しておりますが、全ての製品に欠陥が無いとは限らず、製造物賠償責任等に伴う費用が発生する可能性があります。
当社グループが保有している固定資産について収益性が低下し投資の回収が見込めなくなった場合、固定資産の減損損失が発生し連結経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの有価証券及び投資有価証券は、総資産の約2~3割を占めており、主な内容は、当社の関係会社株式、主要な取引先の株式及び債券となっております。当社グループでは、時価のある有価証券については、期末日時点での時価が取得原価に対して30%以上下落した場合、減損処理を実施しております。
このため、株式市場の低迷等、当社グループが保有する有価証券並びに投資有価証券の時価が大きく変動した場合、連結経営成績に影響が出る可能性があります。
当社グループは鋼管製造において成熟された技術力を有し、高品質・多品種・小ロットといった顧客の需要に応える生産体制を整えており、同業他社に対して優位性を確保しておりますが、鋼管製造において技術革新が起きた場合、当社の優位性が失われ連結経営成績に影響を受ける可能性があります。
当社グループでは、国内外において需要地生産体制をとり、生産拠点を需要地に設けることで自然災害やパンデミックに対するリスクを分散しております。また、工場等の安全対策として安全教育部による従業員教育を徹底して実施しておりますが、地震や風水害等の大規模災害、パンデミックの発生や事故等により当社グループの工場操業に支障が出た場合、連結経営成績に影響を受ける可能性があります。
当社グループが事業活動を展開する国や地域において、紛争やテロ、デモ、ストライキ、政情不安、通貨危機等が発生した場合、当社グループの事業に大きな影響を与えるリスクがあります。
当社グループは太陽光発電設備の導入や環境対応塗料の採用を進め、環境負荷の低減に取り組んでまいりましたが、二酸化炭素の排出量削減などを義務付ける新たな環境規制が導入された場合には、当社グループの事業活動に制約を受けたり、規制に適合する設備更新などに多額の費用が発生し連結経営成績に影響が出る可能性があります。
当社グループはグローバルに事業を展開し、各国における法令並びに条例を遵守しておりますが、貿易摩擦等で関税の引き上げや、輸出入に関する規制が強化されることにより事業活動に支障が生じた場合、連結経営成績に影響を与えるリスクがあります。
当社グループは国内の労働力人口の減少への対応や海外で活躍できる人材の育成と現地人材のレベルアップのため、女性の採用や海外研修に積極的に取り組んでおります。また、再雇用制度による技術継承や設備更新による省力化を進めております。これらの施策が計画通りに進まず優秀な人材を確保できなかったり、技術継承が行えなかった場合、当社グループの継続的発展に影響を与えるリスクがあります。
当社は情報セキュリティポリシーを策定し情報管理に万全を期しておりますが、予期せぬ事態により顧客・取引先等の機密情報、従業員の個人情報や営業秘密が漏えいした場合、当社グループの社会的評価や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
総資産は、前年度比230億8千7百万円増加し3,931億6千5百万円となりました。
流動資産は、248億1千4百万円増加し2,173億7千7百万円となりました。主な増減要因は、現金及び預金が174億9千2百万円増加すると共に、原材料価格の高騰や円安の進行による海外子会社在庫の円換算差額もあり原材料及び貯蔵品が54億6千7百万円増加しました。
固定資産は、17億2千7百万円減少し1,757億8千8百万円となりました。主な増減要因は、MPST社を新規連結したことや円安による換算差額もあり有形固定資産が49億2千8百万円増加した一方で、投資有価証券が時価評価の影響や投資有価証券の償還・売却等により68億3千3百万円減少したことによります。
負債は、64億6千万円増加し689億4千5百万円となりました。主な増減要因は、海外子会社での運転資金の短期借入金が36億7百万円増加すると共に、国内子会社において海外子会社設立出資のための長期借入金が13億7百万円増加したことによります。
純資産につきましては、166億2千7百万円増加し3,242億2千万円となりました。主な増減要因は、親会社株主に帰属する当期純利益を241億6千4百万円確保、円安の進行により為替換算調整勘定が55億9千3百万円増加した一方で、配当金の支払で72億7千4百万円、その他有価証券評価差額金が投資有価証券の時価評価の影響で27億8千2百万円減少したこと等によります。
なお、資本の財源および資金の流動性については、前連結会計年度と大きな変動は無く、運転資金及び設備資金は自己資金を中心に充当し、国内及び海外子会社の借入金の返済の流動性は満たしておりますが、経営環境の先行き不透明感からも、当社グループ全体での円滑な事業活動の資金について留意してまいります。
当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末と比べて116億4百万円増加し、1,527億9千5百万円となりました。売上の伸長から受取手形及び売掛金が35億7千4百万円、原材料価格の高騰等により原材料及び貯蔵品が49億9千万円、製品が20億4千万円増加したことによるものです。
当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末と比べて18億2千2百万円減少し、287億7千3百万円となりました。MST-X社の新規設立で、土地を取得したこと等により7億9千3百万円増加した一方で、原材料価格の下落等により原材料及び貯蔵品が11億6千8百万円、製品が17億3千万円減少したことによるものです。
当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末と比べて38億4千4百万円増加し、266億5百万円となりました。MPST社を新規連結したことで16億2千9百万円、SUNSCO社において在庫数量が増加したこと等により原材料及び貯蔵品が15億4千4百万円、製品が4億9千3百万円増加したことによるものです。
販売数量面では、下期以降に日本(単体)が前年同期比割れとなったことに加え、北米の伸び悩みやアジアSUNSCO社の落ち込みから、全体では新規連結2社(MNT社・MPST社)を加えても、前年度比△3.7%の減少となりました。売上高は、各地域セグメントでの製品値上げ効果から2,734億1千6百万円(前年度比21.9%増)と増収になりました。利益面は、日本は増益を確保したものの、北米・アジアの落ち込み幅が大きく、営業利益は300億1千9百万円(同17.2%減)と減益になりました。営業外損益は、受取配当金の増加や持分法による投資利益の改善から前年度比22億1千4百万円改善しましたが、経常利益は344億1千6百万円(同10.5%減)と減益になりました。特別損益は、投資有価証券売却益の増加よりも投資有価証券売却損の増加の方が上回ったものの減損損失が減少したことから、前年度比6千2百万円改善しました。これらの結果、親会社株主に帰属する当期純利益は241億6千4百万円(同13.0%減)と減益になりました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、パイプの販売価格と材料コイルの仕入価格との値差(スプレッド)の変動が最も大きなものです。当連結会計年度は、製品価格の値上がりにより増収となった一方で、北米セグメントにおいてスプレッドが縮小したことに加え、在庫評価損計上の影響もあり、営業利益・経常利益共に減益となりました。
国内事業につきましては、中小建築案件の需要低迷と自動車生産が本格回復には至らず、鋼材全般にタイト感に欠け市況が盛り上がらない中、単体の販売数量は上期までは何とか前年同期比横ばいの水準に止まったものの、下期以降は前年同期比マイナスの見通しを更に下回る実績となりました。材料コイルの調達価格の上昇に連動して製品価格の値上げに取り組み、その価格の維持に努めました。売上高は、単体での製品値上げに加え、丸一ステンレス鋼管㈱でのステンレス管・BA管の値上げおよびBA管販売本数の増加もあり、1,632億4千4百万円(前年度比19.9%増)と増収になりました。セグメント利益は、単体での製品値上げ効果により引き続きスプレッドが改善維持出来たことから、単体営業利益は過去最高益を更新したことに加え、丸一ステンレス鋼管㈱での値上げ効果と管種の構成比変動やステンレス管の輸出採算改善も寄与し、274億8千8百万円(同27.9%増)と増益になりました。
北米事業につきましては、(決算期が1~12月とズレており)米国の熱間圧延コイル(HRC)価格(英国CRU社による米国中西部コイル価格指数)が、年初1,646$/トンでスタートしたものが3月初旬に1,031$/トンまで下がり続けましたが、ウクライナ侵攻から再上昇し4月中旬には1,645$/トンまで上昇したものの、再び下がり始め12月第1週には681$/トンと半値以下まで大幅に下落しました。米国MAC社、米国Leavitt社、米国MOST社の米国3拠点合計の販売数量は、客先が当用買い姿勢となり前年度比△0.6%となりました。また、メキシコのMaruichimex社の販売数量も、サプライチェーン混乱による自動車の減産影響から前年度比△10.1%となりました。2021年11月に新規連結した米国MNT社を加えた北米5拠点合計の販売数量は前年度比+8.4%となりました。
売上高は、一昨年来からの販売単価の上昇により650億5千1百万円(前年度比33.6%増)と増収になりました。一方、セグメント利益は、前年度がHRC価格の急騰に連動して製品販売価格の値上がりがコイル消費単価の上昇に先行し、結果スプレッドが大幅改善出来たものに対し、当年度は逆にスプレッドが縮小したことに加え、在庫評価損計上の影響もあり11億7千8百万円(同89.5%減)と大幅減益になりました。また、MNT社は一部取引先との納入価格条件が厳しく、2期連続の営業赤字となったことから、1億2千3百万円の固定資産(のれん)の減損損失を特別損失に計上しました。なお、有形固定資産4億7千1百万円及び無形固定資産その他4億5千7百万円については回収可能性判定の結果、中期事業計画に基づいて算定された割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を上回ったため、減損損失は認識しておりません。
アジア事業につきましては、ベトナムのSUNSCO社では、中国の市況の影響を受けた東南アジアの鉄鋼市況軟化に伴い、鋼管の日系ユーザー向けひも付きは健闘しているものの、鋼板の販売が落ち込み、販売数量は前年度比△19.0%となりました。また、SUNSCO(HNI)社では、二輪車メーカーのサプライチェーン問題が解消し、販売数量は前年度比+13.7%となりました。新規連結したフィリピンのMPST社の販売数量は、半導体供給不足等による現地二輪車生産の減少もありましたが、7月以降は損益分岐を上回る予定数量を確保しました。インドのKUMA社では、乗用車販売が好調で、販売数量は前年度比10.4%増加しコロナ前の水準を上回り過去最高の販売数量まで回復しました。
結果、売上高は451億1千9百万円(前年度比14.5%増)と増収になりましたが、セグメント利益はSUNSCO社での在庫評価損の計上も含めた赤字幅が大きく、他のアジア各社は増益を確保したものの、全体では9億8千4百万円(同69.7%減)と減益になりました。
目標とする経営指標及びその達成状況につきましては、「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 の(1)経営方針について」の第6次中期経営計画をご参照ください。
② 生産、受注及び販売の実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 金額は、販売価格によっております。
当社グループは、主として見込み生産をしており、金額的に重要性がないため、記載を省略しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は当該割合が10%に満たないため記載を省略しております。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)の残高は、前連結会計年度末より220億6千5百万円増加し、751億2千4百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況と増減要因は以下のとおりであります。
営業活動によって増加した資金は244億9千1百万円(前年度比93億9千5百万円の収入増)となりました。主な収入は、税金等調整前当期純利益342億6千万円、減価償却費63億1千9百万円であります。主な支出は、法人税等の支払額100億1千1百万円、棚卸資産の増減額27億4千2百万円であります。
投資活動によって増加した資金は43億5百万円(前年度比143億1千6百万円の支出減)となりました。主な収入は、投資有価証券の売却及び償還による収入82億2千9百万円であります。支出につきましては、有形及び無形固定資産の取得による支出66億3千4百万円等によるものであります。
財務活動によって減少した資金は76億1千7百万円(前年度比90億3千8百万円の支出減)となりました。主な収入は海外子会社において、運転資金の借入のために行った短期借入金の純増減額27億2千7百万円、国内子会社において海外子会社設立出資のために行った長期借入による収入18億円などであります。主な支出は、配当金の支払額72億7千3百万円及び、ベトナムSUNSCO社をより安定運営するために行った、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出33億8千万円などであります。
当社グループの運転資金及び設備資金については、主に自己資金を中心に、一部連結子会社は借入金により充当しております。当連結会計年度末における資金の残高は、前連結会計年度末より220億6千5百万円増加し、751億2千4百万円となりました。一方、当連結会計年度末の借入金残高は、短期借入金64億8千2百万円・長期借入金16億5千2百万円であり、これらの返済に必要な流動性は十分に満たしていると認識しております。従って、当社グループの財務の健全性は引き続き確保されており、第6次中期経営計画に沿った投融資・設備投資を含む当社グループの円滑な事業活動の資金には、大きな支障は無いと考えております。また、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻による先行き不透明感からも、当社グループ全体での円滑な事業活動の資金について留意してまいります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。
当社グループにおける重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況」(重要な会計上の見積り)に注記しております。
該当事項はありません。
当社グループは自動車、建築、エネルギーを主体として積極的に海外事業を展開しており、研究開発は市場開発活動を通じて、年々高度化・多様化する需要家のニーズ、動向を先取り把握することで新製品の開発を行うほか、世界的に高まっている環境負荷低減の要求への対応、生産技術の革新やコストの低減などについて、製造現場との意思の疎通を図りながらたえず幅広く行っております。
当連結会計年度の主要な技術開発は次のとおりです。
日本国内では、農芸用・仮設用・輸送機用などに使用されるプレめっき鋼管の一時防錆表面処理について、膜厚の均一化を図り、更なる防錆力を高めるための技術開発を継続しております。表面処理の薬剤のラボ評価等は完了し、設備面の検討・手配を進め、2022年度にはオフラインのテストミルを設置し、実機と同環境でのテストを数次にわたり実施して、塗装条件の見極めを行いました。2023年度には実ラインへの設備実装を行い、量産開始する予定です。
フェンスや道路資材の耐食性ニーズの高まりを受け、新たに原材料のめっき鋼帯の見直しも視野に入れて、粉体塗装を施す鋼管用途に適用することについて検討を進めました。2023年度には造管トライし、各種評価を進める予定です。
鋼構造物に使用される角形鋼管、軽量形鋼などについては、一時防錆塗料として「公共建築工事標準仕様書」に規定された「鉛・クロムフリーさび止めペイント JIS K 5674」対応塗料(グレー色、鉛丹色)を既に当該製品を製造する全てのラインに適用済みですが、BCPの観点からサプライヤーの複数化を進めており、従来とは異なるメーカーの塗料も順次ライントライを実施中です。
AI、IoT及びDXに関連する技術に関して、社内基幹系システムの構築を推進しております。その一環として、社内業務の効率化や、国内の主工場で製造現場での操業データの収集・解析を行うことにより、安定的・効率的な生産稼働体制の構築を進めております。また、生産ラインの異常停止、不良発生データ等各種データを利用し稼働率向上につながる仕組みづくりの検討も進めています。
設備メーカーとの協働による次世代造管機の開発・検討ラインは、これまで人の感覚や勘に頼っていた各種操業条件のデジタル化やロボットの採用を行うことで、今までの造管ラインからさらに省力化・自動化を進めております。
また、丸一鋼販の各営業所(浜松、四国、岡山)では、客先要望に応えるために、寸法切り及びコラム切断・開先加工の設備導入を行いました。加えて浜松営業所では、寸法切り加工から梱包作業までの効率化・自動化の目的で、全自動・高速タイプの寸法切り設備の増設を行いました。
ステンレス鋼シームレス管を扱う丸一ステンレス鋼管(株)では、製造技術を確立した石油化学分野むけコイル管の量産体制を構築しました。また、水素社会、カーボンニュートラル社会の実現にむけた耐熱鋼、耐食鋼の開発も推進中です。
なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は