第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

当中間連結会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクの発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」について重要な変更はありません。

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

(1) 財政状態及び経営成績の状況

当中間連結会計期間におけるわが国経済は、物価高の継続は経済活動への影響が懸念されるものの、雇用情勢及び企業収益等は総じてみれば改善しており、一部に足踏みが残るものの緩やかな回復基調となりました。

海外経済については、中国における不動産市場の停滞、欧米における高水準の金利、中東地域やウクライナ情勢の緊迫化等の影響を受けて景気減速懸念はあるものの、底堅い個人消費や雇用・所得環境等に支えられ、持ち直しが見られる推移となりました。

このような状況のもと、当社グループの売上高並びに損益の大半を占めるニッケル事業の主需要先であるステンレス鋼業界は、中国不動産市場の低迷に伴う建築需要等の減退から高水準の在庫が積み上がり、一部には調整も見られ、生産設備の稼働率は総じてばらつきがあり、盛り上がりの欠く推移となりました。

フェロニッケル需要は、前述の環境に加え、海外ステンレス生産者は価格優位性の見られるニッケル銑鉄へ一部調達をシフトしており、また、カーボンニュートラルを意識したステンレススクラップ配合比率見直しも見られ、鈍化傾向の推移となりました。

調達面では、フェロニッケル製品の主原料であるニッケル鉱石の価格は底堅いニッケル鉱石需要等を背景に価格高であり、また、世界的な資源高により諸原燃料価格は高水準にあり、生産コストは高止まりが継続しました。

ロンドン金属取引所(LME)におけるニッケル価格は、中国景気の鈍化、外国為替相場や金融資本市場の変動及び中東やウクライナ情勢の緊迫化、また、ニューカレドニアで発生した暴動に伴うニッケル鉱石の供給懸念等、複合的な要因が意識され、比較的上下動の激しい推移となりました。

その中で、当社のフェロニッケル販売数量は、前述した価格優位性の見られるニッケル銑鉄の価格が当社の販売価格へも影響する環境となっており、一定の収益性を損なわない戦略的な数量抑制方針を継続する中で、海外向けの増加により前中間連結会計期間と比べ全体では7.6%の増加となりました。

フェロニッケル生産数量は、販売数量抑制方針であるため、前中間連結会計期間と比べ減少しました。

フェロニッケル製品の販売価格は、当社適用平均為替レートは前中間連結会計期間比9.4%の円安の一方で、当社適用LMEニッケル価格は前中間連結会計期間比25.4%下落し、また、当社適用価格相場に加えて、ニッケル銑鉄の価格も一部参考としたことから従来と比べ販売価格安となり、収入が伸び悩む厳しい販売環境が継続しました。

このように、厳しい事業環境ですが、採算性重視の受注を徹底、臨機応変な生産販売体制の構築、コストミニマムを追求するための業務効率改善の強化等に努めております。収益基盤の再構築を企図した取り組みでは、海外企業と共同で海底資源から電池用金属材料及び製鋼原料を製造する事業のフィジビリティスタディを進めており、加えて、県内企業中心に推進するベリリウム製造販売の事業化に向けて当社工場のリソースを最大限に活用する包括的業務提携の締結、また、LIB関連の研究開発等を積極的に進め、新規事業立ち上げの早期実現を目指しており、GHG排出量低減に関するカーボンニュートラルの取り組みを含め、業績の底上げ及び収益安定化に向けた取り組みを継続しております。

その結果、当中間連結会計期間の連結経営成績は、売上高が7,835百万円、前中間連結会計期間比では3.1%の減収となりました。損益面では、棚卸資産簿価切下げ額の戻入れを計上したことにより売上原価は減少しましたが減収の影響が大きく営業損失は4,468百万円(前中間連結会計期間営業損失6,194百万円)、営業外収益へ計上した持分法による投資利益2,244百万円等を含めた経常損失は2,316百万円(前中間連結会計期間経常損失2,487百万円)、親会社株主に帰属する中間純損失は1,877百万円(前中間連結会計期間親会社株主に帰属する中間純損失2,611百万円)となりました。

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

①ニッケル事業

ニッケル事業についての経営成績は、「(1) 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

その結果、当部門の売上高は7,498百万円、前中間連結会計期間比2.6%の減収、営業損失は4,395百万円(前中間連結会計期間営業損失6,147百万円)となりました。

②ガス事業

ガス事業についての経営成績は、計画どおり安定した操業ではあったものの原燃料価格上昇の影響等もあり、損失計上となりました。

その結果、当部門の売上高は367百万円、前中間連結会計期間比14.7%の減収、営業損失は71百万円(前中間連結会計期間営業損失43百万円)となりました。

③その他

その他の事業部門では、不動産事業で売買成約はありましたが、管理費等を上回る販売収入ではなかったため、損失計上となりました。

その結果、当部門の売上高は7百万円(前中間連結会計期間売上高零)、営業損失は6百万円(前中間連結会計期間営業損失8百万円)となりました。

 

当中間連結会計期間末における当社グループの資産、負債及び純資産は、次のとおりであります。

資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,334百万円減少し、72,455百万円となりました。

流動資産では、在庫数量の減少に伴う商品及び製品、原材料及び貯蔵品等が減少し、その他の要因も含め前連結会計年度末に比べ2,100百万円の減少となりました。

固定資産では、持分法による投資利益の増加による投資有価証券の増加等があり、その他の要因も含め前連結会計年度末に比べ765百万円の増加となりました。なお、当社の投資有価証券24,524百万円の主な内訳は、持分法適用による連結額20,454百万円、関連会社株式2,316百万円、フィリピンの株式市場へ上場している当社持分法適用関連会社のホールディングカンパニーNickel Asia Corporation株式1,346百万円であります。

負債合計は、前連結会計年度末に比べ161百万円増加し、4,890百万円となりました。

流動負債では、支払手形及び買掛金が決済等の影響で増加し、その他の要因も含め前連結会計年度末に比べ268百万円の増加となりました。

固定負債では、その他有価証券評価差額金の影響に伴う繰延税金負債の減少等もあり、その他の要因も含め前連結会計年度末に比べ107百万円の減少となりました。

純資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,495百万円減少し、67,565百万円となりました。

株主資本は、損失計上等により1,877百万円の減少、その他の包括利益累計額は持分法適用関連会社に関する為替換算調整勘定の増加等により418百万円の増加及び非支配株主持分36百万円の減少となりました。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当中間連結会計期間における営業活動によるキャッシュ・フローは、主な増加要因である棚卸資産の増減額3,087百万円、利息及び配当金の受取額1,696百万円等に、主な減少要因である持分法による投資利益2,244百万円、税金等調整前中間純損失1,735百万円等を加減算し1,257百万円の収入で、前中間連結会計期間に比べ544百万円の収入増となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、主な増加要因である有価証券の償還による収入300百万円等に、主な減少要因である有形固定資産の取得による支出258百万円等を加減算し、148百万円の収入で、前中間連結会計期間に比べ723百万円の収入増となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、4百万円の支出で、前中間連結会計期間に比べ2百万円の支出増となりました。

現金及び現金同等物の増減額は、前中間連結会計期間に比べ1,050百万円の増加となりました。

以上の結果、現金及び現金同等物の中間期末残高は23,465百万円となり前中間連結会計期間に比べ5,960百万円の増加となりました。

 

(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

連結業績予想につきましては、中国における不動産市場の停滞、欧米における高水準の金利、中東地域やウクライナ情勢の緊迫化等の影響を受けて、依然不確実性が高い状態で推移しております。

当社フェロニッケル製品の数量面については、環境に大きな変化は見られず、収益性の観点から数量抑制の方針を継続しており、前回公表計画と同程度を見込んでおります。

損益について、フェロニッケル製品の販売価格面では、当社適用価格相場に加えてニッケル銑鉄の価格も一部参考とした価格水準のため収入は一定程度抑えられ、また、調達価格面では、主原料であるニッケル鉱石価格及び原燃料や電力の価格は引き続き高水準であるため、価格面で大きな影響を与えることが見込まれます。

その他では、棚卸資産簿価切下げ額について、上期から下期にかけて棚卸資産在庫の数量減少等に伴い簿価切下げ額の圧縮が進行することから、売上原価へ簿価切下げ額の戻入れ(売上原価の減少)が見込まれます。

このように、厳しい状況は継続しておりますが、こうした事業環境等への対応は、当社グループの中期経営計画において掲げる基本方針等で取り組む活動に合致しており、引き続き強く推し進めて参ります。

 

(4) 研究開発活動

当中間連結会計期間の研究開発活動の総額は198百万円であります。

 

(5) 生産、受注及び販売の実績

当中間連結会計期間において、販売及び生産の実績に著しい変動がありました。その内容については、「(1)財政状態及び経営成績の状況」に記載の通りであります。

 

3 【経営上の重要な契約等】

当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。