第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

 当連結会計年度における当社グループの経営環境は、2015年12月まではスクラップ価格下落の影響で増益効果はあったものの、総じて需要の盛り上がりには欠け、また中国からの安価な鉄鋼製品・半製品の輸出の影響を受けた1年となりました。
 日本におきましては、中国の景気減速の影響等から設備投資は停滞し、鋼材需要は全体として盛り上がりに欠ける状況が続きました。そのようななか、当社は引き続き実需に見合う生産・販売に努めた結果、鋼材の販売数量は前年度を下回り前期比減収となったものの、営業利益は前期比増益となりました。一方、造船所向けの船尾骨材等につきましては、数量・価格とも厳しい状況が続いております。
 連結子会社を有する韓国、タイ国、また持分法適用関連会社を有する米国、バーレーン王国、サウジアラビア王国におきましては、いずれも2015年1月~12月の業績が当連結会計年度に反映されます。
 韓国のワイケー・スチールコーポレーションでは、2015年半ばから韓国のアパート建設が上向いた影響で鉄筋需要が回復してきたことから、通期の営業利益ではほぼ収支均衡の水準となりました。この鉄筋需要の先行きには不透明な面があり、また、中国からの安価な輸入材の影響など不安要素もありますが、以前に比べ業況に少し明るさが出てきております。なお、ワイケー・スチールコーポレーションでは当第4四半期において、一部業務のアウトソーシング化を図ることに伴い、早期希望退職者を募りました。これにより、一層の業務の効率化とコスト競争力強化に努めております。
 タイ国のサイアム・ヤマト・スチールカンパニーリミテッドでは、タイ国で景気回復が進まないなか、民間投資の伸びの鈍化から鋼材需要と鉄鋼製品価格の低迷が続いております。また、東南アジア市場では引き続き中国からの安価な鉄鋼製品・半製品流入がもたらした市況の低迷の影響を受け、前期比で大幅な減収となり、営業利益も減益となっております。
 米国の持分法適用関連会社につきましては、スクラップ価格下落の影響も受け、一定の収益を確保しております。
 バーレーン王国の持分法適用関連会社スルブカンパニーBSC(c)では、石油価格下落により中東地域での新規投資及び公共事業が減少し、形鋼需要が落ち込んでいることや、中国等からの安価な鉄鋼製品・半製品の流入が、最終製品だけでなく中間材のDRI・半製品の販売にも悪影響を及ぼしていることから、生産量・販売量が伸び悩み、また販売価格も著しく下落し、赤字計上を余儀なくされました。 

 以上の結果、当連結会計年度の売上高は前連結会計年度と比べ36,472百万円減の150,978百万円となりました。利益につきましては、営業利益は前連結会計年度と比べ4,222百万円増の11,215百万円、経常利益は前連結会計年度と比べ4,083百万円増の26,747百万円となりました。
 親会社株主に帰属する当期純利益は、当第4四半期に韓国のワイケー・スチールコーポレーションにおいて、早期希望退職者に対する特別退職金873百万円(特別損失)を計上したこと、第2四半期に米国子会社で法人税等還付税額1,027百万円(税金費用のマイナス)を計上したこと等を反映した結果、前連結会計年度と比べ1,506百万円増の14,884百万円となりました。

 

 セグメントの業績は、次のとおりです。

① 鉄鋼事業(日本)

 中国の景気減速の影響等から設備投資は停滞し、鋼材需要は全体として盛り上がりに欠ける状況が続きました。そのようななか、当社は引き続き実需に見合う生産・販売に努めました。また、造船所向けの船尾骨材等につきましては、数量・価格とも厳しい状況が続いております。以上により、当事業の売上高は、前連結会計年度と比べ6,863百万円減の40,762百万円、セグメント利益(営業利益)は、前連結会計年度と比べ1,094百万円増の5,943百万円となりました。

 

 

② 鉄鋼事業(韓国)

 2015年半ばから韓国のアパート建設が上向いた影響で鉄筋需要が回復してきたことから、通期の営業利益ではほぼ収支均衡の水準となりました。この鉄筋需要の先行きには不透明な面があり、また、中国からの安価な輸入材の影響など不安要素もありますが、以前に比べ業況に少し明るさが出てきております。以上により、当事業の売上高は、前連結会計年度と比べ10,748百万円減の44,536百万円、セグメント利益(営業利益)につきましては、56百万円(前連結会計年度はセグメント損失(営業損失)3,695百万円)となりました。

 

③ 鉄鋼事業(タイ国)

 タイ国で景気回復が進まないなか、民間投資の伸びの鈍化から鋼材需要と鉄鋼製品価格の低迷が続いております。また、東南アジア市場では引き続き中国からの安価な鉄鋼製品・半製品流入がもたらした市況の低迷の影響を受けております。以上により、当事業の売上高は、前連結会計年度に比べ17,916百万円減の59,790百万円、セグメント利益(営業利益)は、前連結会計年度に比べ421百万円減の5,917百万円となりました。

 

④ 軌道用品事業

 当事業の売上高は、前連結会計年度に比べ950百万円減の5,623百万円、セグメント利益(営業利益)は前連結会計年度に比べ264百万円減の714百万円となりました。

 

⑤ その他

 その他の売上高は、前連結会計年度に比べ5百万円増の266百万円、セグメント利益(営業利益)は24百万円(前連結会計年度はセグメント損失(営業損失)42百万円)となりました。

 

(2) キャッシュ・フロー

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、営業活動によるキャッシュ・フローが33,386百万円増加し、投資活動によるキャッシュ・フローでは5,394百万円減少し、財務活動によるキャッシュ・フローは7,582百万円減少しました。これに資金に係る換算差額の減少653百万円を加えた結果、前連結会計年度末に比べ19,757百万円増加し、当連結会計年度末の資金残高は32,540百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において、営業活動による資金の増加は33,386百万円であり、前連結会計年度に比べ10,642百万円増加しました。これは主に、当連結会計年度において、たな卸資産の増減額が9,867百万円(前連結会計年度は1,504百万円)であったこと等によります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において、投資活動による資金の減少は5,394百万円であり、前連結会計年度に比べ15,982百万円減少しました。これは主に、当連結会計年度において、定期預金の預入による支出が△15,594百万円(前連結会計年度は△29,798百万円)であったこと等によります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において、財務活動による資金の減少は7,582百万円であり、前連結会計年度に比べ3,064百万円増加しました。これは主に、当連結会計年度において、自己株式の取得による支出が△2,225百万円(前連結会計年度は△0百万円)であったこと等によります。

 

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

鉄鋼事業(日本)

40,600

△12.4

鉄鋼事業(韓国)

42,532

△23.1

鉄鋼事業(タイ国)

55,753

△29.7

軌道用品事業

5,562

△16.5

その他

合計

144,448

△23.0

 

(注) 1 金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 受注状況

当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残高(百万円)

前期比(%)

鉄鋼事業(日本)

41,703

△11.9

7,389

14.6

鉄鋼事業(韓国)

44,536

△19.4

鉄鋼事業(タイ国)

59,687

△20.7

6,839

△1.5

軌道用品事業

5,639

△1.7

625

2.6

その他

合計

151,566

△17.5

14,853

6.1

 

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

鉄鋼事業(日本)

40,762

△14.4

鉄鋼事業(韓国)

44,536

△19.4

鉄鋼事業(タイ国)

59,790

△23.1

軌道用品事業

5,623

△14.5

その他

266

2.2

合計

150,978

△19.5

 

(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が100分の10以上の相手先がないため、記載を省略しております。

 

 

3 【対処すべき課題】

今後の見通しにつきましては、各連結子会社、持分法適用関連会社を通じ、引き続き厳しい経営環境が予想されます。当社グループが属する各事業分野では、国内外メーカーとの競争が激化するものと予想されますが、国内外の各事業において、生産設備の更新、拡充等により生産性の向上と原価低減を図り、また顧客重視による受注の確保、営業販売努力に努め、当社グループとしてさらなる収益の向上を目指してまいります。
 当社グループは、持株会社体制のもと、社会に貢献できる可能性をあらゆる角度から検討し、傘下の事業会社のそれぞれの特性と機能を活かし、活力と調和のとれたグループ経営を推し進めるとともに、世界市場をターゲットとした事業を展開してまいります。

 

4 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結会社)が判断したものであります。

 

(1) 海外進出に潜在するリスク

当社グループの生産及び販売活動は、国内のみならず、米国、タイ国、韓国、バーレーン王国並びにサウジアラ
ビア王国で行われ、世界市場をターゲットにグローバルな事業を展開しております。これらの海外市場への事業進
出においては、各国で発生する恐れのあるテロ、戦争、その他の要因による社会的混乱により関係会社の業績と財
務状況に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。また、各国での予期し得ない政治又は法環境の変化、経済状況
の変化等により、事業の遂行に問題が生じる可能性もあります。

 

(2) 為替レートの変動

当社グループは、世界市場をターゲットにグローバルな事業を展開しており、在外子会社、関連会社等の業績が
連結の経営成績に大きく影響を及ぼします。連結財務諸表は、各国の現地通貨を円換算して作成しているため、為
替レートの変動により財務内容に影響を及ぼします。また、当社グループが保有する現金及び預金のうち、外貨の
占める割合は高く、一般に、他の通貨に対する円高は、当社に悪影響を及ぼし、円安は当社に好影響をもたらすこ
とになります。なお、為替レートの変動による為替換算調整勘定の増減が包括利益並びに純資産に大きく影響を及
ぼしますが、為替換算調整勘定は在外子会社等を保有することで生じる連結財務諸表の報告上のものであり、当社
の業績そのものを左右するものでなく、今後とも引き続き海外事業の展開を続ける方針であることから為替換算調
整勘定の変動に対してヘッジは行っておりません。

 

(3) 製品販売価格とスクラップ価格の変動

当社グループの主力である鉄鋼事業の業績は、製品販売価格と主原料であるスクラップ価格の変動に大きく影響され、各々の市場価格は、国内外の経済情勢をはじめ外部環境により大きく影響を受ける可能性があります。
 なお、中国からの鉄鋼製品・半製品の高水準な輸出が世界の鉄鋼市況を低迷させており、当社グループにも世界各地で大きく影響を及ぼしております。今後とも中国の鋼材供給の動向に注意を払う必要があります。

 

(4) 電力リスク

当社グループはグローバルに事業を展開する電炉メーカーであり、大量の電力を使用する当社グループにとって、大幅な電力単価の引上げや電力使用制限があれば、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

 (5) 中東合弁事業のリスク

当社は、世界市場をターゲットにグローバルな事業を展開しており、米国、タイ国、韓国に続く新たな展開先として、2007年に形鋼需要の拡大が見込まれる中東地域への進出を決定し、中東事業の合弁先であるFoulath社と共に、2009年にはバーレーン王国にスルブカンパニーBSC(c)「以下SULB社」を設立し、主にH形鋼の生産・販売のため、直接還元鉄から製鋼、圧延の一貫工場を建設し、2011年には特別目的会社を通じてサウジアラビア王国の鉄鋼メーカーの資産買収を行い、ユナイテッド・スルブカンパニー(“サウジスルブ”)LLC「以下Saudi Sulb社」を設立し、中東での事業を進めてまいりました。
 SULB社は2013年7月末より商業生産を開始し、既にフル生産体制は確立しておりますが、石油価格下落による中東地域での需要低迷、中国等からの安価な鉄鋼製品・半製品の流入による販売価格低迷、バーレーン王国における電気、ガス、水道価格の値上げによるコスト増、直接還元鉄の原材料となるペレットの安定調達の課題等、当初想定していなかった様々な要因により、非常に厳しい経営環境に直面しております。また、Saudi Sulb社においても、同様に厳しい状況となっております。
 当社は中東合弁事業に多額の投資(貸付、債務保証含む)を行っており、中東の営業活動に伴う損失に加え、今後、多額の投資損失が発生した場合は、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

  

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

6 【研究開発活動】

当社グループの研究開発は、鉄鋼事業(日本)及び軌道用品事業を中心に各製造工程の技術スタッフが共同して行っております。

鉄鋼事業(日本)では主に製鋼・圧延工程の生産効率及び品質向上等に関連した生産技術及び付加価値の高い新製品の開発に取り組んでおります。

軌道用品事業では新しい溶接技術や締結方法の開発に取り組み、ユーザーの求める鉄道の高速化・重量物輸送に適し、かつ保守性に優れた軌道用品の開発に努めております。

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は76百万円であります。

当連結会計年度における各セグメント別の主な研究の目的、主要課題、研究成果及び研究開発費は以下のとおりであります。

 

(1) 鉄鋼事業(日本)

船舶用鋳鋼品等の性能向上に不可欠な鋳鋼品の強度向上に関する研究を産学連携で行っております。
  当事業に係る研究開発費は6百万円であります。
 

(2) 軌道用品事業

ローラー床板、PCまくらぎ分岐器、各種締結装置等の開発を行うことにより、分岐器の省メンテナンス化に取り組んでおります。また、新幹線用の地震対策に関する脱線防止ガード・逸脱防止ガード等の受託研究を共同で行っております。
 当事業に係る研究開発費は、受託研究費を含めて69百万円であります。
 

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 財政状態の分析

(流動資産)

当連結会計年度末における流動資産の残高は162,586百万円であり、前連結会計年度に比べ2,310百万円減少しました。減少の主な要因は、たな卸資産の残高が11,731百万円減少したことによります。

 

(固定資産)

当連結会計年度末における固定資産の残高は184,112百万円であり、前連結会計年度に比べ2,943百万円減少しました。減少の主な要因は、有形固定資産の残高が6,877百万円減少したことによります。

 

(流動負債)

当連結会計年度末における流動負債の残高は23,131百万円であり、前連結会計年度に比べ5,833百万円減少しました。減少の主な要因は、支払手形及び買掛金の残高が3,765百万円減少したことによります。

 

(固定負債)

当連結会計年度末における固定負債の残高は15,709百万円であり、前連結会計年度に比べ2,654百万円減少しました。減少の主な要因は、長期借入金の残高が1,825百万円減少したことによります。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産の残高は307,857百万円であり、前連結会計年度に比べ3,234百万円増加しました。増加の主な要因は、利益剰余金の残高が9,385百万円増加したことによります。

また、自己資本比率は83.2%であり、前連結会計年度に比べ2.3ポイント増加しております。

 

なお、キャッシュ・フローの分析については、「1 業績等の概要(2)キャッシュ・フロー」に記載のとおりであります。

 

 (2) 経営成績の分析

(売上高)

当連結会計年度の売上高は150,978百万円であり、前連結会計年度に比べ36,472百万円減少しました。これは、各国において鋼材需要は全体として盛り上がりに欠ける状況が続くなか、スクラップ価格の下落及び中国からの安価な鉄鋼製品・半製品の輸出の影響を受け、販売数量・価格とも厳しい状況となったこと等によります。

 

(売上原価、販売費及び一般管理費)

当連結会計年度の売上原価は127,029百万円であり、前連結会計年度に比べ40,222百万円減少しました。また、販売費及び一般管理費は12,733百万円であり、前連結会計年度に比べ471百万円減少しました。

 

(営業外収益、営業外費用)

当連結会計年度の営業外収益は16,323百万円であり、前連結会計年度に比べ340百万円減少しました。これは、主に持分法による投資利益が13,461百万円と前連結会計年度に比べ523百万円減少したことによります。また、営業外費用は792百万円であり、前連結会計年度に比べ202百万円減少しました。

 

(特別利益、特別損失)

当連結会計年度の特別利益は123百万円であり、特別損失は1,681百万円でありました。特別損失の主なものは関係会社株式売却損530百万円及び特別退職金873百万円であります。

 

 

(法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額)

当連結会計年度の法人税、住民税及び事業税(法人税等還付税額を含む)と法人税等調整額の総額は8,615百万円であり、前連結会計年度に比べ1,025百万円増加しました。

 

(非支配株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度の非支配株主に帰属する当期純利益は1,689百万円であり、前連結会計年度に比べ87百万円減少しました。

 

以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高は前連結会計年度と比べ36,472百万円減の150,978百万円となりました。利益につきましては、営業利益は前連結会計年度と比べ4,222百万円増の11,215百万円、経常利益は前連結会計年度と比べ4,083百万円増の26,747百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度と比べ1,506百万円増の14,884百万円となりました。