第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

 当社は、顧客のニーズに応える高品質・高付加価値の製品作りにより、企業の発展・展開と社会的責任を果たすことを目指しています。鉄スクラップを再利用して製品化する循環型処理の過程において、最新設備の導入と技術力の開発により、省資源、省エネルギーそして環境の保全問題という、いま社会に最も求められているテーマに対して地球規模で取り組んでまいります。また、高速かつ大量の鉄道輸送と船舶輸送の一翼を担う製品作りにつきましても、日本国内にとどまらずグローバルな事業展開を通じて、社会経済の発展に貢献してまいります。

 また、当社は、2019年に創立75周年を迎えたことを機に、これからの当社の方針・理念をより明確にするため、あらたに下記のとおりMission, Vision, Yamato SPIRITを制定いたしました。

 

 


 

 この新たなMission, Vision, Yamato SPIRITのもと、当社グループの成長の源泉は、成熟市場となった日本ではなく海外事業にあることを改めて発信し、今後も海外事業を更に安定・発展・拡大させていく所存です。そのためにも、モノづくり企業として技術、経営のベースである国内姫路の工場を当社の海外展開を支えるグループのマザー工場として位置付け、更なる基盤強化を推し進めるとともに、コスト競争力の強化、品質の安定と向上、デリバリーを含む顧客サービスの向上に不断の努力を続けてまいります。また、人材教育・育成にもより一層力を入れ、海外事業への展開、発信に努めてまいります。
 当社グループは持株会社体制のもと、社会に貢献できる可能性をあらゆる角度から検討し、傘下の事業会社のそれぞれの特性と機能を活かし、活力と調和のとれたグループ経営を推し進めるとともに、世界市場をターゲットとした事業を展開してまいります。

 

(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標

 当社は、世界的な経済構造の激しい変革に対応できる経営方針として、事業の一極化をさけ、主に海外に事業投資を行い、投資の分散化を進めてまいりました。健全な財務体質を維持しつつ、将来の成長分野へ投資する方針であり、キャッシュ・フローを重視した経営を行ってまいります。なお、当社グループの業績は、製品販売価格と原材料価格の変動に大きく影響され、各々の市場価格は、国内外の経済情勢をはじめ外部環境に大きく影響を受けることから、中長期の収益計画は作成しておりません。

 

 

 

(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 新型コロナウイルス感染症拡大に伴う経済活動の停滞、原油価格の急落が当社の海外事業に影響を与えることが懸念されるなか、中国における鉄鋼生産量はさほど減少しておらず鋼材在庫が積み上がっております。また、一部の製品については輸出時に増値税の還付税率引き上げによる輸出促進の動きが見られるなど、当面は当社グループにとって、厳しい事業環境が続くことが予想されます。
 そのような状況のもと、当社グループが属する各事業分野では、今後も国内外メーカーとの競争が激化するものと予想され、これに対処するために国内外の各事業において、生産設備の更新、拡充等により生産性の向上と原価低減を図り、当社グループとして更なる収益性の向上を目指してまいります。

 国内の鉄鋼事業につきましては、製鋼部門で2019年に更新したスクラップ予熱装置(SSP)の本格稼動後、シール装置や排ガス分析装置の導入により、更なる省エネルギー化・安全操業の確保に努めており、連続鋳造工程ではパウダー自動供給装置導入、モールド冷却水自動制御化等により、半製品の品質向上にも努めております。また、圧延部門におきましては、品質・生産性向上のため、製品寸法をオンラインで自動計測するためのプロファイルゲージ設置等を進めております。
 なお当社グループにおきましては従来より鉄鋼製品製造会社間で技術会議を毎年開催し、技術情報の交換と技術向上に努めておりますが、人材育成面や更なる技術交流の機会を創出していくためにも、海外の関係会社と姫路のヤマトスチール株式会社との間でエンジニアの交流等を一層活発化させることでグループの技術情報の共有及び人材の底上げを図り、競争力の強化にも努めていく所存です。
 また、営業部門においては顧客向けECサイトの構築により、事務作業の合理化やサービスの品質向上を図ってまいります。事務部門につきましては、ヤマトスチール株式会社、大和軌道製造株式会社の財務、経理、人事、総務といった間接部門を大和工業株式会社内に統合し、大和工業グループ全社目線で対応できる人材の育成にも努めてまいります。
 海外の鉄鋼事業につきましては、鉄鋼事業(タイ国)のサイアム・ヤマト・スチールカンパニーリミテッドにおいて操業を始めた大型の鋼材物流センターを活用し、小ロット短納期対応が可能という強みを生かし、輸入材との差別化を図るとともに、鋼材加工の一部内製化に伴い、タイ国で展開するソリューション事業の強化や、プロジェクト案件に向けて現地ファブリケーターやゼネコンへの営業にも注力してまいります。

 また、米国のニューコア・ヤマト・スチールカンパニーにおける圧延ミルの更新については、バーレーン王国におけるスルブカンパニーBSC(c)での操業実績を踏まえ同タイプの導入を決定するなど、引き続き、鉄鋼製品製造会社間での技術力の発信、向上に努めてまいります。
 なお、2020年3月期より当社の持分法適用関連会社となったベトナム社会主義共和国のポスコ・ヤマト・ビナ・スチールジョイントストックカンパニーにつきましては、品質や生産コストの改善、マーケティング戦略などを進め、パートナーであるPOSCOと連携し、早期の業績改善に努めてまいります。

 

(サイアム・ヤマト・スチールカンパニーリミテッドの鋼材物流センター)


 

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 中東合弁事業のリスク
 当社は、世界市場をターゲットにグローバルな事業を展開しており、2007年に中東地域への進出を決定し、中東事業の合弁先であるFoulath社と共に、2009年にバーレーン王国にスルブカンパニーBSC(c)「以下SULB社」を設立し、主にH形鋼の生産・販売のため、直接還元鉄から製鋼、圧延の一貫工場を建設し、2011年に特別目的会社を通じてサウジアラビア王国の鉄鋼メーカーの資産買収を行い、ユナイテッド・スルブカンパニー(“サウジスルブ”)LLC「以下Saudi Sulb社」を設立し、中東での事業を進めてまいりました。
 SULB社は2013年7月末より商業生産を開始し、既にフル生産体制は確立しておりますが、中東地域での公共投資の低迷、安価な輸入品の流入、政府補助カットに伴う湾岸諸国での電気、ガス、水道価格の実質上の値上げによるコスト増、直接還元鉄の原材料となる鉄鉱石ペレットの安定調達の課題等、当初想定していなかった様々な要因により、非常に厳しい経営環境に直面しております。また、Saudi Sulb社においても、同様に厳しい状況となっております。
 当社は中東合弁事業に多額の投資(貸付、債務保証含む)を行っており、中東の営業活動に伴う損失に加え、今後、多額の投資損失が発生した場合は、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 新型コロナウイルス感染症及び将来におけるパンデミックに係るリスク
 当社グループは、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い不要不急の外出・出張・会合等の自粛などに加え、在宅勤務・交代勤務の活用、時差出勤や出退勤時の公共交通機関利用回避などを実施しております。引き続き感染者の発生や拡大防止に努め、社員ならびに関係者の皆様の安全を優先しながら事業継続に全力で取り組んでまいります。
 現時点では、建設現場や鋼材加工を行うファブリケーターの稼働率の低下や、輸送の停滞等が発生しており、今後の事態の展開によっては、建設・土木プロジェクトの延期や中止による鋼材消費の落込みが考えられ、鋼材需要が2021年3月期中に、2020年3月期の水準まで回復することは困難と予想しております。
 なお、将来において未知のウイルス等によるパンデミックが発生し、政治、経済環境の制限等が課された場合には経済活動の停滞により、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。 

 

(3) 海外進出に潜在するリスク
 当社グループの生産及び販売活動は、国内のみならず、米国、タイ国、韓国、バーレーン王国、サウジアラビア王国並びにベトナム社会主義共和国で行われ、世界市場をターゲットにグローバルな事業を展開しております。これらの海外市場への事業進出においては、各国で発生する恐れのあるテロ、戦争、その他の要因による社会的混乱により関係会社の業績と財務状況に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。また、各国での予期し得ない政治又は法環境の変化、経済状況の変化等により、事業の遂行に問題が生じる可能性もあります。

 

(4) 製品販売価格と主原料価格の変動
 当社グループの主力である鉄鋼事業の業績は、製品販売価格と主原料であるスクラップ価格の変動に大きく影響されます。また、SULB社では当社グループで唯一、鉄鉱石ペレットを主原料としております。これらの市場価格は、国内外の経済情勢をはじめ外部環境により大きく影響を受ける可能性があります。

 

(5) 為替レートの変動

当社グループは、世界市場をターゲットにグローバルな事業を展開しており、在外子会社、関連会社等の業績が
連結の経営成績に大きく影響を及ぼします。連結財務諸表は、各国の現地通貨を円換算して作成しているため、為
替レートの変動により財務内容に影響を及ぼします。また、当社グループが保有する現金及び預金のうち、外貨の
占める割合は高く、一般に、他の通貨に対する円高は、当社に悪影響を及ぼし、円安は当社に好影響をもたらすこ
とになります。なお、為替レートの変動による為替換算調整勘定の増減が包括利益並びに純資産に大きく影響を及
ぼしますが、為替換算調整勘定は在外子会社等を保有することで生じる連結財務諸表の報告上のものであり、当社
の業績そのものを左右するものでなく、今後とも引き続き海外事業の展開を続ける方針であることから為替換算調
整勘定の変動に対してヘッジは行っておりません。

 

(6) 電力リスク

当社グループはグローバルに事業を展開する電炉メーカーであり、大量の電力を使用する当社グループにとって、大幅な電力単価の引上げや電力使用制限があれば、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

  

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
 

(1) 経営成績

当連結会計年度における当社グループの連結業績につきましては、海外の連結子会社及び持分法適用関連会社の業績は2019年1月~12月の業績が当連結会計年度に反映されており、国内の連結子会社の業績は2019年4月~2020年3月までの業績が反映されております。足下では新型コロナウイルス感染症の拡大により、世界全体の経済が深刻な打撃を受けておりますが、当連結会計年度における当社グループの連結業績は以上の理由により、大半が新型コロナウイルス感染症の影響が大きく顕在化する前の決算である点にご留意ください。
 
 当連結会計年度における当社グループの経営環境は、米中貿易摩擦による景気の先行き懸念から、鋼材需要は総じて弱含みで推移しました。主原料であるスクラップ価格は2019年末にかけ、一旦下げ止まったものの、鋼材需要の鈍化から2020年に入り再び下落基調に転じております。また、製造コストに大きな影響を与える電極価格につきましては、2019年初め頃から低下に転じております。一方で、当社グループで唯一、鉄鉱石ペレットを主原料とするスルブカンパニーBSC(c)(以下SULB社)では、鉄鉱石価格は一時の高騰期を脱したものの、中国の旺盛な需要により引き続き高値圏を維持している影響を大きく受けております。
 日本におきましては、ハイテンションボルト不足による工期遅れの状況は脱したものの、景気の先行き不透明感から工場・中小ホテル建設等の新規投資を見直す動きが鋼材需要に影響を与えており、2020年3月期末に向け、販売数量は減少傾向となっております。このような状況のもと、当社は需要に見合う生産・販売に努めた結果、鋼材の販売数量は前期を下回り、前期比減収となったものの、営業利益は主原料であるスクラップ価格低下メリットを受け前期比増益となりました。なお、造船所向けの船尾骨材等につきましては造船所が過去の低船価で受注した船の建造を進めていることから数量・価格とも厳しい状況が続いております。
 連結子会社を有する韓国、タイ国、また持分法適用関連会社を有する米国、バーレーン王国、サウジアラビア王国におきましては、いずれも2019年1月~12月の業績が当連結会計年度に反映されます。
 韓国のワイケー・スチールコーポレーションでは、韓国政府が行った借入残高の上限設定等の不動産取引規制により、新規のアパート建設着工数減少の影響を受け始めており、下期は厳しい状況となりましたが、上期において、スクラップ価格低下のメリットを受け利益を確保できたことから、営業利益は前期比増益となっております。
 タイ国のサイアム・ヤマト・スチールカンパニーリミテッドでは民間の設備投資が落ち込んでおり、国内需要は公共投資向けに支えられている状況が継続しております。そのような状況のもと、タイ国内市場ではアンチダンピング規制が終了した中国からの輸入は少量ながらも継続していることに加え、マレーシアで本格的に操業を開始した新興メーカーからのH形鋼流入の影響を受けております。また、主要輸出先である東南アジア市場では、バーツ高に加え、韓国・中国・マレーシアからの輸出攻勢を受け、販売数量は減少しております。その結果、売上高は前期比減収となっておりますが、営業利益はスクラップ価格低下のメリットを背景に、前期比で増益となっております。また、タイ国内においては、2019年11月に稼働を始めた鋼材物流センターを活用し、小ロット短納期対応という強みをさらに押し出すとともに、屋内での鋼材保管能力の増強、外部委託していた鋼材加工の一部内製化による付加価値向上などにより、輸入材との差別化及び顧客要望への対応力強化を図ってまいります。
 米国の持分法適用関連会社につきましては、通商拡大法第232条による輸入関税や、中国からの輸入品に対する通商法第301条の発動もあり、一定の収益を確保しております。また、プロジェクト案件の獲得等、需要の捕捉体制強化に引き続き取り組んでおります。
 バーレーン王国の持分法適用関連会社SULB社では、先行き不透明感や中東情勢不安等によりGCC諸国における政府支出等の回復が期待ほど進まず、中東市場での形鋼需要は低迷しております。そのような状況のもと、販売面では、スクラップ価格の下落に連動した製品販売価格及び中間材であるDRI・半製品販売価格の低下に加え、安価な鉄鋼製品の流入が続いております。また、コスト面でも中国の鉄鋼生産量が引き続き高水準となるなか、鉄鉱石価格はスクラップ価格と比べ高止まりしており、厳しい状況となっております。
 
 なお、2020年3月27日に開示しましたとおり、当社グループがベトナム社会主義共和国の鉄鋼メーカーPOSCO SS VINA JOINT STOCK COMPANYの株式の49%を取得したことから、2020年3月期において、同社は持分法適用関連会社となっております。また、同社は2020年4月28日付で、名称をPOSCO YAMATO VINA STEEL JOINT STOCK COMPANY(略称 PY VINA)に変更しております。PY VINAの連結業績への反映につきましては、同社の会計期間が1月~12月であることから、2021年3月期第2四半期連結累計期間より開始いたします。
 

 

 なお、当連結会計年度の経営分析の結果は以下のとおりです。

 

(売上高)

当連結会計年度の売上高は181,964百万円であり、前連結会計年度に比べ19,335百万円減少しました。事業を営む各所在国で主にスクラップ価格の低下を理由とする販売単価の引き下げ等により売上高が減少しました。

 

(売上原価、販売費及び一般管理費)

当連結会計年度の売上原価は155,738百万円であり、前連結会計年度に比べ21,118百万円減少しました。また、販売費及び一般管理費は14,892百万円であり、前連結会計年度に比べ278百万円減少しました。

 

(営業外収益、営業外費用)

当連結会計年度の営業外収益は12,301百万円であり、前連結会計年度に比べ9,942百万円減少しました。これは、主に持分法による投資利益が7,744百万円と前連結会計年度に比べ9,325百万円減少したことによります。また、営業外費用は509百万円であり、前連結会計年度に比べ462百万円増加しました。

 

(特別利益、特別損失)

当連結会計年度の特別利益は13百万円であり、特別損失は349百万円でありました。

 

(法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額)

当連結会計年度の法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額の総額は6,421百万円であり、前連結会計年度に比べ984百万円減少しました。

 

(非支配株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度の非支配株主に帰属する当期純利益は1,604百万円であり、前連結会計年度に比べ302百万円増加しました。

 

以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高は前連結会計年度と比べ19,335百万円減181,964百万円となりました。利益につきましては、営業利益は前連結会計年度と比べ2,061百万円増11,333百万円、経常利益は前連結会計年度と比べ8,343百万円減23,125百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度と比べ8,030百万円減14,762百万円となりました。

 

 セグメントの業績は、次のとおりです。

① 鉄鋼事業(日本)

ハイテンションボルト不足による工期遅れの状況は脱したものの、景気の先行き不透明感から工場・中小ホテル建設等の新規投資を見直す動きが鋼材需要に影響を与えており、2020年3月期末に向け、販売数量は減少傾向となっております。このような状況のもと、当社は需要に見合う生産・販売に努めた結果、鋼材の販売数量は前期を下回り、前期比減収となったものの、営業利益は主原料であるスクラップ価格低下メリットを受け前期比増益となりました。なお、造船所向けの船尾骨材等につきましては造船所が過去の低船価で受注した船の建造を進めていることから数量・価格とも厳しい状況が続いております。以上により、当事業の売上高は、前連結会計年度と比べ6,466百万円減47,552百万円、セグメント利益(営業利益)は、前連結会計年度と比べ652百万円増6,161百万円となりました。

 

 

② 鉄鋼事業(韓国)

韓国政府が行った借入残高の上限設定等の不動産取引規制により、新規のアパート建設着工数減少の影響を受け始めており、下期は厳しい状況となりましたが、上期において、スクラップ価格低下のメリットを受け利益を確保できたことから、営業利益は前期比増益となっております。以上により、当事業の売上高は、前連結会計年度と比べ1,953百万円減59,703百万円、セグメント利益(営業利益)は、前連結会計年度と比べ1,024百万円増1,735百万円となりました。

 

③ 鉄鋼事業(タイ国)

民間の設備投資が落ち込んでおり、国内需要は公共投資向けに支えられている状況が継続しております。そのような状況のもと、タイ国内市場ではアンチダンピング規制が終了した中国からの輸入は少量ながらも継続していることに加え、マレーシアで本格的に操業を開始した新興メーカーからのH形鋼流入の影響を受けております。また、主要輸出先である東南アジア市場では、バーツ高に加え、韓国・中国・マレーシアからの輸出攻勢を受け、販売数量は減少しております。以上により、当事業の売上高は、前連結会計年度に比べ10,382百万円減66,882百万円、セグメント利益(営業利益)は、スクラップ価格低下のメリットを背景に、前連結会計年度に比べ1,112百万円増5,268百万円となりました。

 

④ 軌道用品事業

当事業の売上高は、前連結会計年度に比べ547百万円減7,518百万円、セグメント利益(営業利益)は前連結会計年度に比べ179百万円減636百万円となりました。

 

⑤ その他

その他の売上高は、前連結会計年度に比べ15百万円増307百万円、セグメント利益(営業利益)は前連結会計年度に比べ27百万円減10百万円となりました。

 

 

 生産、受注及び販売の実績は以下のとおりであります。

① 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

鉄鋼事業(日本)

46,585

△14.1

鉄鋼事業(韓国)

60,209

1.6

鉄鋼事業(タイ国)

67,205

△12.4

軌道用品事業

7,656

△6.0

その他

合計

181,657

△8.4

 

(注) 1 金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

② 受注状況

当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残高(百万円)

前期比(%)

鉄鋼事業(日本)

43,188

△13.2

4,461

△49.5

鉄鋼事業(韓国)

50,015

△39.5

20,059

△32.6

鉄鋼事業(タイ国)

66,847

△12.2

7,432

△0.5

軌道用品事業

7,696

△3.5

1,164

18.1

その他

合計

167,747

△22.5

33,116

△29.6

 

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

③ 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

鉄鋼事業(日本)

47,552

△12.0

鉄鋼事業(韓国)

59,703

△3.2

鉄鋼事業(タイ国)

66,882

△13.4

軌道用品事業

7,518

△6.8

その他

307

5.2

合計

181,964

△9.6

 

(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が100分の10以上の相手先がないため、記載を省略しております。

 

 

(2) 財政状態

(流動資産)

当連結会計年度末における流動資産の残高は162,829百万円であり、前連結会計年度に比べ16,390百万円減少しました。減少の主な要因は、受取手形及び売掛金の残高が8,159百万円減少したことによります。

 

(固定資産)

当連結会計年度末における固定資産の残高は220,196百万円であり、前連結会計年度に比べ15,347百万円増加しました。増加の主な要因は、長期預金の残高が4,359百万円増加したことによります。

 

(流動負債)

当連結会計年度末における流動負債の残高は23,012百万円であり、前連結会計年度に比べ10,662百万円減少しました。減少の主な要因は、支払手形及び買掛金の残高が7,809百万円減少したことによります。

 

(固定負債)

当連結会計年度末における固定負債の残高は17,406百万円であり、前連結会計年度に比べ706百万円増加しました。増加の主な要因は、繰延税金負債の残高が547百万円増加したことによります。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産の残高は342,606百万円であり、前連結会計年度に比べ8,914百万円増加しました。増加の主な要因は、利益剰余金の残高が8,781百万円増加したことによります。

また、自己資本比率は83.0%であり、前連結会計年度に比べ1.9ポイント増加しております。

 

(3) キャッシュ・フロー並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 ①キャッシュ・フロー

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、営業活動によるキャッシュ・フローが26,105百万円増加し、投資活動によるキャッシュ・フローでは22,319百万円減少し、財務活動によるキャッシュ・フローは6,694百万円減少しました。これに資金に係る換算差額の減少166百万円を加えた結果、前連結会計年度末に比べ3,073百万円減少し、当連結会計年度末の資金残高は26,487百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において、営業活動による資金の増加は26,105百万円であり、前連結会計年度に比べ1,712百万円増加しました。これは主に、当連結会計年度において、売上債権の増減額が8,240百万円(前連結会計年度は△1,465百万円)であったこと等によります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において、投資活動による資金の減少は22,319百万円であり、前連結会計年度に比べ9,310百万円増加しました。これは主に、当連結会計年度において、関係会社株式の取得による支出が△11,163百万円であったこと等によります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において、財務活動による資金の減少は6,694百万円であり、前連結会計年度に比べ2,744百万円増加しました。これは主に、当連結会計年度において、配当金の支払額が△5,977百万円(前連結会計年度は△3,321百万円)であったこと等によります。

 

 

 

 ②資金需要
 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、製品製造のための原材料、副資材、電気代、燃料代等の製造費用と販売費及び一般管理費等、営業費用によるものです。また、当社グループの投資資金需要のうち主なものは、生産設備の合理化、省力化を進め、品質の向上及び省エネルギー化による原価低減及び環境・安全対策のための設備投資によるものです。また、将来の成長に向けた戦略的な資金需要に関しては、当社グループが所属する業界では、新規工場建設、買収資金等の投資額が非常に多額となること、市況産業であることから業績は景気変動に大きく影響を受けること、当社が展開している中東事業において、多額の貸付金、債務保証等実施していること等により、今後も財務健全性の維持に努めながら、将来の成長投資に向け内部留保を維持していく方針です。なお、株主還元につきましては、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載のとおり、連結配当性向30%を目処に毎期の配当額を決定し、1株あたり最低配当額を年間50円としておりますが、継続的かつ安定的な配当の維持に努めてまいります。

 

 ③資金調達

 当社グループの運転資金及び設備投資資金については、営業活動により獲得したキャッシュ・フローより充当することを基本方針としております。また、戦略的な資金についても主として内部資金によって充当していく方針です。なお、不測の事態に備え、当社と金融機関3行との間で10,000百万円のコミットメントライン契約を設定しており、不測の事態にも資金調達が適時滞りなく実施可能と認識しております。

 

(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成され ております。連結財務諸表の作成にあたっては、可能な限り合理的な根拠に基づいた仮定を用いて会計上の見積りを行っております。新型コロナウイルス感染症の拡大により、当社グループが被る影響については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に記載のとおりですが、連結財務諸表作成時には予測できなかった事象の発生等により、実際の結果が作成時の見積りと異なる場合も想定されます。

 また、在外子会社及び在外関連会社(以下「在外子会社等」という。)の決算日は12月31日であるため、新型コロナウイルス感染症が拡大する前の事実及び状況に基づいて作成された在外子会社等の財務諸表を基礎として、当社グループの連結財務諸表は作成されております。

 

 なお、以下に掲げる事項については、連結財務諸表等の作成における会計上の見積りに関して、実際の結果が作成時の見積もりと異なる場合が有りうると判断しております。

 

・中東合弁事業に係る投融資の評価

 「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、当社は中東合弁事業に対し、多額の投資及び融資を行っております。これらの会社の財務諸表の作成における会計上の見積りの判断は、当社の財務諸表及び当社グループの連結財務諸表における投資及び融資の評価に影響を及ぼす可能性があります。

 当連結会計年度においては、SULB社は、IAS第36号「資産の減損」に従って、有形固定資産に係る減損テストを行った結果、回収可能価額が帳簿価額を上回っているため、減損損失は認識しておりません。減損テストの回収可能額は、使用価値により算定されており、その算定の基礎として、将来のスクラップ価格や鉄鉱石価格、見込販売数量等、見込成長率並びに割引率等の仮定が用いられております。なお、これらの仮定については、新型コロナウイルス感染症拡大の影響は反映されておりません。また、SULB社に対する融資の回収可能性については、SULB社の直近の財政状態及び経営成績等を考慮して判断しております。

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

(POSCO SS VINA JOINT STOCK COMPANYの株式取得について)

当社は、2019年12月13日開催の取締役会において、当社グループがベトナム社会主義共和国の鉄鋼メーカー POSCO SS VINA JOINT STOCK COMPANY(以下、PSSV)の株式取得に向け、POSCOとの株式購入契約及びPSSVとの株式引受契約を締結することについて決議し、同日付で両契約を締結いたしました。なお、株式取得後の当社グループのPSSVへの出資比率は49.00%となり、同社は持分法適用関連会社となっております。
 

1.株式取得の理由

当社は、需要が堅実な市場や今後インフラ投資の伸びが期待できる新興国などに拠点を持ち、その国の成長に寄与していくと同時に成長の果実として収益を取り込んでいくことを経営方針としております。従来から、東南アジアの形鋼市場は当社グループにとって今後の成長が期待できる最も重要なマーケットのひとつと位置付けておりましたが、この度、特に成長が見込まれるベトナム社会主義共和国において、同国唯一の形鋼メーカーであるPSSVの株式の49.00%を取得することといたしました。
 なお、PSSVは鉄筋及び形鋼の製造販売を行っておりましたが、鉄筋事業からは撤退し、今後は形鋼事業に注力してまいります。また、PSSVは2020年4月28日付で名称をPOSCO YAMATO VINA STEEL JOINT STOCK COMPANYに変更しております。

 

2.契約締結日

2019年12月13日

 

3.株式取得完了日

2020年3月27日

 

(連結子会社の会社分割及び新会社株式の譲渡)

当社は、2020年6月19日付の取締役会決議に基づき、当社の連結子会社であるワイケー・スチールコーポレーション(以下「YK Steel」)が営む鉄鋼製品の製造販売事業を会社分割により新会社に承継させ、YK Steelが有する新会社の株式の51.00%をDaehan Steel Co., Ltd.(以下「大韓製鋼社」)に譲渡することとし、YK Steelは2020年6月19日付にて大韓製鋼社との間で株式譲渡契約を締結いたしました。
 詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項」の(重要な後発事象)をご参照ください。

 

5 【研究開発活動】

当社グループの研究開発は、鉄鋼事業(日本)及び軌道用品事業を中心に各製造工程の技術スタッフが共同して行っております。

鉄鋼事業(日本)では主に製鋼・圧延工程の生産効率及び品質向上等に関連した生産技術及び付加価値の高い新製品の開発に取り組んでおります。

軌道用品事業では新しい溶接技術や締結方法の開発に取り組み、ユーザーの求める鉄道の高速化・重量物輸送に適し、かつ保守性に優れた軌道用品の開発に努めております。

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は71百万円であります。

当連結会計年度における各セグメント別の主な研究の目的、主要課題、研究成果及び研究開発費は以下のとおりであります。

 

(1) 鉄鋼事業(日本)

スラグの有効利用に関する研究及び、船舶用鋳鋼品等の品質向上に関する研究を産学連携で行っております。
  当事業に係る研究開発費は2百万円であります。
 

(2) 軌道用品事業

ローラー床板、PCまくらぎ分岐器、各種締結装置等の開発を行うことにより、分岐器の省メンテナンス化に取り組んでおります。また、新幹線用の地震対策に関する脱線防止ガード・逸脱防止ガード等の受託研究を共同で行っております。
 当事業に係る研究開発費は、受託研究費を含めて69百万円であります。