第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループは、鉄鋼素材から土木・建築向け加工製品までの一貫体制のなかで、より高付加価値製品の開発・拡充を指向し、他社との差別化、優位性を図り経営基盤の安定・強化を目指している。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。

 今後の見通しについては、引き続き鋼材需要の大幅な回復を期待することは難しい状況であることに加え、米国の通商政策が鉄鋼需給だけではなく世界経済全般に大きな影響を及ぼす可能性があることなど、不透明かつ厳しい経営環境となることが予想される。

 このような環境下、当社グループとしては、重要課題である加工品事業の強化、電気炉更新の検討を含む省エネルギー、カーボンニュートラルなどを実現させるための施策や2030年長期ビジョンの達成に向けた取り組みを精力的に推進していく。

 

 ① 事業収益力の強化

 国内鉄筋棒鋼市場が急速に縮小するなか、引き続き加工品事業を成長戦略の中核として位置付け、新製品の開発や建設現場の省人化、国土強靭化ニーズに応える製品に注力していく。また、素材製品事業も含め、ビジネスパートナーとの連携拡大、販売体制強化により市況変動下でも安定した粗鋼生産量確保と収益性の向上を図る。

 

 ② 固定費の適正化・デジタル基盤の強化

 需要変動に機動的に対応できる柔軟な生産体制の確立を目指していく。また、基幹システムの更改や製造現場へのIT・デジタル技術の実装及び管理間接業務の効率化やデジタル活用により一人当たりの生産性を高め、競争力のあるコスト構造の構築を目指していく。

 

 ③ ESG経営の推進

 電気炉更新を含む省エネルギー設備への投資や燃料転換によりCO₂排出量を削減し、カーボンニュートラルに向けた取り組みを推進していく。加えて人的資本経営の更なる深化、地域貢献活動などを通じてサステナブルな社会の実現と企業価値向上を目指していく。

 

 今後とも、当社の株主価値・企業価値の向上を目指し、株主・投資家の皆さまとの対話の機会を重視し、関係性を強化していく。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりである。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。ただし、「中期経営計画 2027」に係る記載については2025年6月2日に公表した「「中期経営計画2027」(2025-2027年度)策定に関するお知らせ」及び2025年6月6日に公表した「2025年3月期 決算説明資料」に基づいている。

 

(1)サステナビリティ全般

(基本的な考え方)

 当社グループは、「事業の存続と発展を通じて、広く社会の公器としての責務を果たし、持続可能な循環社会の実現に貢献する」ことを経営理念に掲げ、地域の発展とともに企業の発展があるという想いのもと、地域循環型で低炭素な社会の実現に向けて取り組みを進めてきた。

 2019年に長期ビジョン「Metal Vision 2030<絆>」において発表した、「ものづくりのその先へ。エコとソリューションを提供し、持続可能な社会の実現に貢献します。」という基本方針のもと、サステナビリティの考え方に沿った経営の実現に取り組んでいる。電気炉メーカーとして、当社グループの力を結集させ、持続可能な社会の実現に貢献できるよう挑戦し続けていく。

 

① ガバナンス

  当社グループは、取締役会を経営の基本方針や重要事項並びに法令や定款に定められた事項を決定するための最高意思決定機関と位置づけ、原則月に1回の定例の取締役会に加え、必要に応じて臨時取締役会を開催している。また、経営監視機能として監査役会や、取締役会が的確、適正かつ迅速な経営判断を行えるよう経営会議を開催しているほか、コンプライアンス・リスク管理委員会、指名・報酬委員会等任意の機関を設置し、統治機能の強化を図っている。

  なお、詳細については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等(1)コーポレート・ガバナンスの概要」を参照のこと。

 

② 戦略

  当社グループでは、ESGの観点から、長期ビジョン「Metal Vision 2030<絆>」を策定している。

  2020年度から2024年度までの5年間を対象とした前中期経営計画「絆 2024」では、ESGを意識したSDGs経営の取り組みとして、環境への貢献の観点から太陽光発電の設置によるグリーンエネルギー化や重油から都市ガスへの転換等を実施し、また、グリーン物流の観点から一部加工製品のモーダルシフトを推進してきた。また、社会への貢献の観点から継続的に「長岡まつり大花火大会」への協賛や、アルビレックス新潟レディースのオフィシャルスポンサーとしてのサポートと近隣の小学校でサッカー教室を共同開催、長岡ものづくりフェアへの参加など地域に密着した取り組みを実施している。

  2025年度から2027年度までの3年間を対象とした新中期経営計画「中期経営計画 2027」においても、ESGを重要な戦略の一つとして掲げており、今後も引き続き推進していく。

 

 <「中期経営計画 2027」におけるESGの取り組み内容>

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③ リスク管理

  当社グループでは、企業行動における法令及び企業倫理の遵守とリスク管理に関する基本事項を定めた「コンプライアンス・リスク管理規程」に基づき、原則年に2回、コンプライアンス・リスク管理委員会を開催し、グループとして統一した方針のもと、リスク管理を推進している。

  なお、事業等に重要な影響を与える可能性があると認識しているリスクの詳細については、「3 事業等のリスク」を参照のこと。

 

(2)人的資本

(基本的な考え方)

 当社グループでは、社員との絆を大切にすることこそが成長の源泉と認識しており、社員一人ひとりが最大限パフォーマンスを発揮できる環境の整備に力を入れている。

 

① ガバナンス

  人的資本に関するガバナンスは、当社グループのサステナビリティ関連のガバナンス体制に含まれている。

  詳細は「(1)サステナビリティ全般①ガバナンス」を参照のこと。

 

② 戦略

  当社では、メンバーシップ型(職能等級)をベースにしながらも、ジョブ型(職務等級)の要素を取り入れた人事制度としている。変化のスピードが速い現代社会に対応できる人材を育成し、長期ビジョン「Metal Vision 2030<絆>」で掲げた持続可能な社会の実現に向けた推進力を向上させていく。

  人事制度のコンセプトである当社の持続的成長・発展に向けて失敗を恐れずに挑戦し続ける社風の醸成につながる人材マネジメントの実現を目指すという考えに基づき人材育成に取り組んでいる。また、人材育成に関する取り組みの土台となる、社内環境を整えていくことが重要との考えから健康経営や従業員エンゲージメントの向上に取り組んでいる。これらの考えに基づき、以下の3つの重点施策を実行している。

 

1.人材戦略

 当社では、働く人の多様性を尊重し、全ての構成員がそれぞれの能力を十分に発揮でき、活き活きと働ける環境を重視している。

<人材育成>

・自己啓発支援

 自ら学ぶ「自律型人材」を育成するため、自身のキャリア形成のために必要な知識やスキルの習得を支援する自己啓発支援制度を導入し、社員が成長できる環境を整えている。

・1on1ミーティング

 目標設定のタイミングや評価を伝える振り返り面談/フィードバック面談において、必ず上司と部下で1on1ミーティングを行うこととしており、キャリア形成や仕事上の悩みなどの相談を気軽にできる環境を整えている。

・ブラザー・シスター制度

 先輩社員が指導者(ブラザー又はシスター)として、仕事と職場に不慣れな新入社員を指導・育成するとともに、新入社員の社会生活における悩みを聞き、アドバイス(メンタルケア)を行っている。

・教育体系の強化

 人事制度の中で求める人材像について、コンピテンシーを定めている。2024年4月より、等級別教育制度を新たに導入し、各等級に求められるコンピテンシーを体系的に開発できるよう研修を整備した。また、継続的に経営幹部を育成し続けるサイクルとして、次世代経営幹部候補層や次々世代層への教育を行っている。

 

<ダイバーシティ>

・女性活躍推進に向けた取り組み

 管理職の女性比率向上に向けて、性別によってキャリアの道が狭まることのないよう、誰もが積極的に挑戦できる人事制度としている。

・障がい者雇用の取り組み

 障がいのある方も仕事を通じて活躍できるよう、適材適所の採用を行っている。今後も継続して働く機会を創出していくことで、社会的責任を果たしていく。

 

・60-65歳選択定年制度の導入

 2024年3月より、従来の60歳定年・65歳まで定年再雇用制度に加え、正社員定年年齢を60歳から65歳へ引き上げ、本人の意志により60歳以降は1年ごとに選択できる選択定年制度を導入した。60歳以上の人材の人事評価制度を整備し、評価を給与や待遇に反映することで、ベテラン社員がさらにモチベーション高く働ける環境を目指す。

 

2.健康経営

 当社では、社員の健康の保持と増進を経営の重要課題と捉え注力している。人材不足が加速する中、社員一人ひとりが健康で活き活きと働き続けられるよう支援を行っている。

・有所見者の再受診の促進

 病気や体調不良の原因を早期に発見するため、健康診断後の有所見者に対して、積極的に再受診を促す取り組みを行っている。

・禁煙の支援

 2024年度より喫煙規制を行い、2025年度からは事業所敷地内は全面禁煙とする。健康保険組合による禁煙外来補助や、オンラインによる禁煙プログラム、禁煙支援講座の開催、禁煙補助アイテムの支給など、禁煙に挑戦する社員の支援を行っている。

 

3.従業員エンゲージメント

 当社では、長期ビジョン「Metal Vision 2030<絆>」を達成するための土台として、従業員エンゲージメントの向上を目指している。2022年7月にエンゲージメント向上プロジェクトを立ち上げ、2023年4月より、エンゲージメントサーベイを導入し、定期的に測定している。本プロジェクトの目的は、「自走」の状態(=自組織の課題は自分たちで解決できる状態)を築くことである。これまでプロジェクトチームが主体となり、管理職層への研修やモデル部門による活動のほか、部門ごとに改善項目を定め、PDCAサイクルを回す活動を促進してきた。2025年3月を持ってプロジェクトは終了したが、今後は各部門が主体となり、日々のマネジメント活動の一環として引き続きエンゲージメント向上を図っていく。部門単位で改善が難しい事柄については、経営幹部が出席する会議において報告を行い、会社単位で改善を図っていく。

 

③ 指標及び目標

  人材戦略及び健康経営に関する主な指標の内容、並びに当該指標を用いた目標及び実績については、以下のとおりである。なお、当社グループではグループ各社の事業特性を踏まえた各々の取り組みを実施しており、当社グループとしての目標設定は実施していないため、当社の目標及び実績を記載する。

戦略

指標

2024年度実績

2025年度目標

1.人材戦略

<人材育成>

自己啓発支援制度の受講完了数

70

前年度以上

1on1ミーティングの実施率

100.0

100.0

1.人材戦略

<ダイバーシティ>

管理職女性比率

6.1

10.0

労働者の男女の賃金の差異

84.5

女性管理職を増やす等の取り組みにより差異を縮小させていく

(賃金制度上、同一資格等級での男女差異はないが、上位資格等級に占める女性の割合が少ないことが差異の主な理由であるため)

男性労働者の育児休業取得率

66.7

100.0

障がい者雇用率

2.5

2.5%以上保持

2.健康経営

健康診断の有所見者再受診率

65.7

100.0

(注)改正育児介護休業法の施行にあわせて、当社では2022年11月に出生時育児休業(産後パパ育休)及び育児休業の分割取得を導入するとともに全社員へ周知・浸透を図ってきた。日本政府が掲げる「2025年までに男性育児休業取得率50%」という数値目標の達成に向け今後とも適宜施策を実施していく。

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりである。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。

 

(1)市場環境等の変化によるリスク

 当社グループは、鉄鋼資源のリサイクル企業として、鉄スクラップを主原料とし特色ある高品質・高付加価値製品を市場に供給することで経営の安定、発展を図っているが、当社の属する普通鋼電炉業界は、市況産業であり業績が景気変動の影響を受けやすい産業である。特に公共投資、民間設備投資及び住宅建築等の鋼材需要の変動や製品の市場価格によって、当社グループの業績及び財務状況に大きく影響する。

 当社グループが消費する主原料である鉄スクラップ、合金鉄、エネルギー等の価格は国際的な経済状況の動きを反映して、大幅に変動する可能性がある。

 従って、このような原料等の値上がり分を考慮して、製品価格の改善並びにコスト低減をすべく努力するものの、製品価格の改善が図れなかった場合は、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性がある。

 

(2)ウイルス等の感染症によるリスク

 当社グループでは、ウイルス感染症に対する安全衛生の徹底等により社員等への感染予防に努めるものの、ウイルス等の感染症により社会・経済・市場等が混乱し、ステークホルダーに重大な影響が及んだ場合には事業活動に制約を受ける可能性があり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性がある。

 

(3)電力供給及び電力料金の変動によるリスク

 当社グループは、地域を中心に鉄スクラップを主原料として、電気炉を活用し鉄鋼製品を生産する「鉄リサイクル」を基幹事業としている。

 当社グループでは、大量の電力を消費するため、設備の改造や補助燃料等の活用など電気炉エネルギー効率の高度化を図っているが、電力需要が逼迫した場合は電力供給の制約を受ける可能性がある。また、電力料金についても石油、液化天然ガス、為替等の動向によって大幅に変動する可能性があり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性がある。

 

(4)法的規制によるリスク

 当社グループの事業活動は、様々な規制や法令の適用を受けている。

 当社グループは、グループ行動規範を定め法令順守の強化に努めているものの、法規制の変更・強化等によって事業活動に制約を受ける可能性があり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性がある。

 

(5)災害、事故によるリスク

 当社グループは、災害の未然防止対策や設備の事前点検を実施し、災害防止に努めているが、大規模な地震、台風等の自然災害に見舞われ、重大な設備事故や人的被害が発生した場合には、工場の操業停止等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性がある。

 

(6)人材育成・確保難によるリスク

 当社グループは、人材を最大の財産と考え、「人財」の力を高めることこそが当社グループの価値創造の源泉であると認識している。

 当社グループでは、社員の働きがいの向上を図るため、働く人々の多様性を尊重し、全ての構成員がそれぞれの能力を充分に発揮でき、活き活きと働ける環境の実現を目指し、人材の育成、自己啓発の支援、省力化への投資、人材確保に向けた取り組みなどを行っている。

 今後の国内は、少子化、労働人口の減少という現実があり、当社グループにおいて人材確保が計画未達となった場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性がある。

 

(7)その他

 当社グループは、事業等に関するリスクの発生の可能性を認識した上で発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針である。

 しかし、現時点では予測できない上記以外のリスクの発生によって、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性がある。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりである。

 なお、本報告書提出日現在においては、当社グループの関連業界では、紛争の長期化や中東情勢の緊迫化、円安局面の継続により資源燃料価格は高止まりで推移している。今後も米国の通商政策による世界経済への波及や諸外国における地政学リスクの顕在化などによって、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性がある。

 ①財政状態及び経営成績等の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境や企業収益の改善などが緩やかな回復を支えていたが、幅広い業種における人手不足問題の影響などにより、景気の下振れリスクが高まるなど、先行きが不透明な状況が続いた。

 当社グループを取り巻く環境としては、主要販売先である建設業界では働き方改革による労働時間の減少に伴い、慢性的な人手不足に拍車がかかっていることに加え、各種資機材の高騰により建設計画の延期・見直しの動きが相次ぎ、鋼材需要が減少するなど、厳しい経営環境となった。

 当社グループとしては、地元である新潟県内の案件の着実な受注や加工製品の拡販などに努めたものの、需要環境が大幅に悪化したことにより、販売数量は減少した。一方、主原料である鉄スクラップ価格は下落基調で推移したが、こうした環境下において、販売価格の維持及び物流費・人件費などの諸コスト上昇分の転嫁に取り組んだ結果、鉄スクラップ価格と販売価格の値差であるメタルスプレッドは拡大した。また、製造面においても、各種改善活動の推進及び安定操業に努めてきた。

 この結果、当連結グループにおける売上高は28,729百万円(前連結会計年度比9.7%減)、営業利益は668百万円(前連結会計年度比26.4%増)、経常利益は796百万円(前連結会計年度比21.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は572百万円(前連結会計年度比22.3%増)となった。

 ②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ532百万円減少し、当連結会計年度末には2,238百万円となった。

a.営業活動によるキャッシュ・フロー

 営業活動の結果得られた資金は、1,617百万円(前連結会計年度は2,027百万円の収入)となった。収入の主な内訳は、売上債権の減少額1,937百万円、減価償却費1,061百万円、税金等調整前当期純利益772百万円、支出の主な内訳は、仕入債務の減少額2,011百万円である。

b.投資活動によるキャッシュ・フロー

 投資活動の結果使用した資金は、1,029百万円(前連結会計年度は1,126百万円の支出)となった。支出の主な内訳は、有形固定資産の取得による支出1,005百万円である。

c.財務活動によるキャッシュ・フロー

 財務活動の結果使用した資金は、1,120百万円(前連結会計年度は380百万円の支出)となった。支出の主な内訳は、長期借入金の返済による支出658百万円、短期借入金の純減額300百万円、社債の償還による支出100百万円である。

 

 ③生産、受注及び販売の実績

 a.生産実績

  当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

鉄鋼

23,843,141

87.6

(注)金額は、製造原価による。

 

 b.受注実績

  当社グループの生産は主に見込み生産を行っているため、記載を省略している。

 

 c.販売実績

  当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

鉄鋼

28,729,754

90.3

(注)主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりである。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

伊藤忠丸紅住商テクノスチール㈱

12,461,607

39.2

11,388,260

39.6

阪和興業㈱

3,134,797

10.9

エムエム建材㈱

2,951,270

10.3

(注)阪和興業㈱及びエムエム建材㈱については前連結会計年度の総販売実績に対する割合が10%未満であるため、記載を省略している。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。

 ①財政状態の分析

a.資産

 当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ2,071百万円減少して、26,688百万円となった。

 これは主に、電子記録債権の減少(前連結会計年度末比1,294百万円の減少)や、受取手形及び売掛金の減少(前連結会計年度末比642百万円の減少)などにより、流動資産が前連結会計年度末に比べ2,391百万円減少して12,994百万円となったことによるものである。

b.負債

 当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ2,895百万円減少して、8,895百万円となった。

 これは主に、支払手形及び買掛金の減少(前連結会計年度末比1,984百万円減少)や短期借入金の減少(前連結会計年度末比565百万円減少)などにより、流動負債が前連結会計年度末に比べ2,670百万円減少して6,417百万円となったことによるものである。

c.純資産

 当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ824百万円増加して、17,793百万円となった。

 これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益572百万円の計上により、利益剰余金が前連結会計年度末に比べ513百万円増加して13,298百万円となったことに加え、その他有価証券評価差額金が前連結会計年度末に比べ272百万円増加して1,142百万円となったことによるものである。

 また、自己資本比率については、前連結会計年度末の59.0%から7.7ポイント増加して、当連結会計年度末には66.7%となった。

 

 ②経営成績の分析

a.売上高

 当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度に比べ3,093百万円減少の28,729百万円であった。

 これは主に、人手不足や諸資材価格の高止まりに起因する建設工事案件の進捗の伸び悩みなどから鋼材需要が低位に推移した結果、素材製品の販売数量が前連結会計年度に比べ20千トン減少し、202千トンになったことによるものである。

b.経常利益

 当連結会計年度における経常利益は、前連結会計年度に比べ139百万円増益の796百万円となった。

 これは主に、素材製品の販売数量は減少したものの、主原料である鉄スクラップ購入価格が前連結会計年度に比べ4千円/トン程度安価に推移したことや製品販売価格の維持に努めたことによるものである。

c.特別損益

 当連結会計年度における特別損益は、前連結会計年度の5百万円(純額)の利益から28百万円損失(純額)が拡大し、23百万円(純額)の損失となった。

 これは主に、固定資産除却損を24百万円計上したことによるものである。

d.親会社株主に帰属する当期純利益

 当連結会計年度における税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度に比べ110百万円増益の772百万円となり、法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額を差し引いた親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ104百万円増益の572百万円となった。

 その結果、1株当たり当期純利益は、前連結会計年度に比べ26.97円増加して、148.61円となった。

 

 

 ③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりである。

 当社グループの運転資金及び設備投資等資金は、主として営業活動によるキャッシュ・フローである自己資金により充当し、必要に応じて金融機関からの借入又は社債の発行を実施することを基本方針としている。

 この方針に従い、当連結会計年度における運転資金、設備投資等資金については、自己資金及び金融機関からの借入により充当した。

 今後の資金需要についても、基本方針に基づき、主に自己資金により充当する予定であるが、必要に応じて金融機関からの借入を実施するなど、負債と資本のバランスに配慮しつつ、必要な資金を調達する。

 

 ④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されている。

 重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりである。

 連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、貸倒引当金等の各引当金の計上、固定資産の減損に係る会計基準における回収可能価額の算定、繰延税金資産の回収可能性の判断、棚卸資産の評価等については、過去の実績や他の合理的な方法により見積りを行っているが、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりである。

 

 

5【重要な契約等】

 該当事項なし。

 

 

6【研究開発活動】

 当社グループ(当社及び連結子会社)は、グループ全体の経営基盤の強化発展を目指すため、既存製品の高品質化並びに高付加価値化を図るとともに、新製品の開発を進めている。

 当連結会計年度における研究開発は、顧客のニーズに応える新製品の開発や品質向上に努めた。特に、労働力人口減少による人手不足が懸念されている建設業界において、現場作業の省力化及び省コストに貢献する建築用加工製品の開発活動を実施してきた。

 なお、当連結会計年度における試験研究費の総額は46百万円である。