(1)業績
当期においては、国内の鋼材需要は引き続き底堅かったものの、海外鋼材市況が中国からの過剰輸出の拡大により急落した影響から、国内鋼材市況も大幅な値下がりを余儀なくされた。一方、新興国の経済成長ペースの一層の鈍化を受け、世界経済の減速が一段と鮮明になるなか、各資源価格も暴落し、当社の主原料である鉄スクラップ価格はリーマン・ショック以来の安値を記録した。
このような状況のもと、当社においては、製品出荷単価は前期比で8,800円低下したが、鉄スクラップ購入単価の下落が10,700円となって製品出荷単価の値下がりを吸収し、また、全社を挙げての省エネルギー・省力化等の一層のコストダウンへの取り組みに加え、原油価格等の急落を反映して電力料金やその他のエネルギーコストが大幅に下落したことにより、前期を大きく上回る利益を計上することができた。
売上高は、製品価格の値下がりから134,159百万円(前年実績 165,658百万円)と前年より2割程度減収となったが、利益面では、営業利益は17,784百万円(前年実績 13,205百万円)、経常利益は18,039百万円(前年実績 13,854百万円)となり、それぞれ3割以上拡大した。また、当期純利益については、繰延税金資産の計上もあって、19,156百万円(前年実績 10,497百万円)と大幅な増益となった。
以上のような次第から、平成28年1月22日開催の取締役会において35億円を上限とする自己株式の取得を決議し、当期において4,910千株、3,496百万円の自己株式取得を実施した。
(2)キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、17,097百万円の税引前当期純利益の計上等により、前事業年度末に比べ7,799百万円増加し、当事業年度末の資金残高は48,756百万円となった。なお、営業活動によるキャッシュ・フローに投資活動によるキャッシュ・フローを合算したフリーキャッシュ・フローは、22,432百万円の収入である。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は26,627百万円(前事業年度 27,031百万円)となった。これは、主として税引前当期純利益が17,097百万円であったことと、たな卸資産の減少額が5,732百万円であったためである。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は4,194百万円(前事業年度 139百万円)となった。これは、主として有形固定資産の取得による支出が4,117百万円となったためである。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は14,691百万円(前事業年度 11,588百万円)となった。これは、主として借入金の返済による支出が10,000百万円であったことと、自己株式の取得による支出が3,497百万円であったことによるものである。
(1)生産実績
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品目 |
生産数量(トン) |
前期比(%) |
|
|
製品 |
鋼材 |
2,062,883 |
90.8 |
|
半製品 |
鋼片 |
2,189,808 |
91.6 |
(2)受注実績
輸出は受注生産を行っており、その受注状況は次のとおりである。
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品目 |
受注高 |
受注残高 |
||
|
数量(トン) |
前期比(%) |
数量(トン) |
前期比(%) |
|
|
鋼材 |
154,487 |
80.9 |
18,848 |
99.2 |
|
鋼片その他 |
21,433 |
63.8 |
- |
- |
|
計 |
175,921 |
78.3 |
18,848 |
65.0 |
(注) 販売価格は、出荷時点で決定されるため、受注高及び受注残高とも金額による表示は困難であるので数量表示によっている。
(3)販売実績
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品目 |
販売高(百万円) |
前期比(%) |
|
鋼材 |
130,984 |
80.3 |
|
鋼片その他 |
3,175 |
123.3 |
|
計 |
134,159 |
81.0 |
(注)1 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりである。
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相手先 |
前事業年度 |
当事業年度 |
||
|
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
|
エムエム建材㈱ |
- |
- |
20,039 |
14.9 |
|
阪和興業㈱ |
19,146 |
11.6 |
13,057 |
9.7 |
|
岡谷鋼機㈱ |
16,765 |
10.1 |
12,701 |
9.5 |
2 エムエム建材㈱は、平成27年11月1日付で三井物産メタルワン建材㈱が商号変更したものである。なお、前
事業年度については同社の総販売実績に対する割合が10%未満であるため、記載を省略している。
3 上記の金額には、消費税等は含まれていない。
今後の見通しについては、海外鋼材市場は、これまでの市況の急落を受け各国の鉄鋼メーカーの採算が著しく悪化するなか、赤字回避の動きが強まり、底入れから改善に向かうと期待される。そのようななか、国内鋼材需要は、震災復興案件や都市再開発投資等に加え、東京オリンピック・パラリンピック関連需要が本格化することから引き続き底堅く、国内鋼材市況も回復に向かうと期待できる。
そのような状況のもと、当社においては、引き続き、収益重視の方針のもと、需要に見合った生産を徹底することで製品販売価格の値戻しをはかるとともに、営業部門と生産部門の連携を一層強化して、国内外の製品・原料事情の変化に対し、より迅速・柔軟に対応できる体制の構築に取り組み、収益の拡大に努めていく。
営業面では、引き続き国内外で新規需要先の開拓に努め、電気炉鋼材の特性を活かしたレーザ切断性の高い鋼板や特寸H形鋼など、需要ニーズに沿った製品供給を拡大していく。さらに、より迅速に顧客ニーズにお応えするため、製品在庫販売の一層の拡充にも取り組んでいく。
生産面では、全ての工場で、安全管理体制をさらに強化し、法令遵守を徹底するなかで、引き続き、歩留まりの向上と副原料その他各原材料使用原単位の低減を一段と進める等のコストダウンの取り組みを一層強化していく。また、将来の資源価格の反転による電気・燃料等のエネルギー価格の上昇に対処するため、全社を挙げての省エネルギーの取り組みのさらなる強化をはかっていく。その一環として、2018年稼動を目指す岡山工場の新型連続鋳造機の導入をはじめとする省エネルギー推進のための投資については、引き続き積極的に実施していく。また、コストダウンの取り組みに加え、各工場においては、品質管理体制をさらに強化することで高品質の維持・向上をはかるとともに、より幅広い顧客ニーズにお応えするため、技術開発部門が中心となって、全社横断的な研究・開発を一層推進し、より幅広い製造品種を生産できるよう、鋭意取り組んでいく。
鉄鋼製品生産1トン当たりの当社のCO2発生量は、鉄鉱石・石炭を主原料とする場合と比較して概ね四分の一であり、貴重な国内資源である鉄スクラップを、付加価値の高い様々な鉄鋼製品にリサイクルしていくことは、地球温暖化防止のためにも、ますますその重要性が高まっている。
弛まぬコストダウンと品質向上への取り組みをさらに強力に推し進めるなか、条鋼類・鋼板類ともに、ますます多様化する需要家のニーズにお応えしながら、鉄スクラップの高度利用を一段と推進することで、さらなる企業業績の向上をはかるため、全社一丸となって、ますます尽力していく所存である。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがある。なお、文中における将来に関する事項は、当事業年度末(平成28年3月31日現在)において当社が判断したものである。
(1)財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の変動に関わるもの
当社の属する普通鋼電炉業界の特色は市況産業であることである。従って、製品の販売価格及び主原料である鉄スクラップ価格については、国内外の経済情勢、市場動向の変化等、当社を取り巻く外部環境の変化に大きく影響される可能性がある。
(2)特定の取引先等で取引の継続性が不安定であるもの
当社の当事業年度における輸出は主としてアジア向けであり、今後の同地域の経済情勢又は保護主義的な政策等により、受注環境が変化する可能性がある。
また、主原料である鉄スクラップについても、アジア地域の鉄鋼需要の拡大により、日本からの輸出が増加することにより、当社の調達価格並びに入荷量に影響を及ぼす可能性がある。
加えて、アジア域内の生産設備の拡張による供給余力が、日本への製品輸出の増加を伴い、日本国内の競争の激化を招く可能性がある。
(3)為替変動に関わるもの
当社は、輸出取引に伴う外貨建取引の為替変動によるリスクを回避する目的で、先物為替予約を利用することがある。しかし、間接的な影響を含め、為替変動による影響をすべて排除することは困難であり、当社の業績に影響を及ぼす可能性がある。
(4)法規制等の変更に関わるもの
当社は、現時点の規制に従って業務を遂行している。将来における法律、規則、政策等の変更並びにそれらによって発生する事態が、当社の業務遂行や業績等に影響を及ぼす可能性がある。
(5)災害や停電等による影響
当社は、災害等が発生した場合に製造ラインの中断による影響を最小にするため、全工場において定期的な災害防止検査と設備点検を行っている。しかしながら、生産施設で発生する災害、停電その他の中断事象による損害を完全に防止または軽減できる保証はない。
該当事項なし。
当社は、顧客ニーズに応えられる製品の多様化をはかるとともに、生産効率の向上と品質の向上を主目的とした生産技術の研究開発に取り組んでいる。
また、循環型社会・低炭素社会の構築が企業としての社会的使命となっているなかで、資源リサイクル産業の一員として、省資源、省エネルギー及び環境保全のための研究も積極的に推進している。これらの研究開発は、技術開発部を中心に活動を行っている。技術開発部では、高付加価値の電気炉鋼材の開発を行うとともに、製造ラインへの技術指導から顧客への品質説明まで一貫して行うことで、多様なニーズに、より迅速に対応できるよう取り組んでいる。
当事業年度においては、品種及び鋼種の拡大、品質向上のための設備改良、エネルギー効率の向上等の研究に注力してきた。
研究開発費の総額は119百万円である。
(1)業績比較
当事業年度の売上高は、134,159百万円(前期 165,658百万円)となった。一方、売上原価は、101,140百万円(前期 136,890百万円)となった。
販売費及び一般管理費は、15,234百万円(前期 15,562百万円)であり、営業利益は17,784百万円(前期 13,205百万円)となった。
営業外収益は、受取配当金222百万円等により715百万円(前期 1,150百万円)となった。また、営業外費用は、460百万円(前期 501百万円)となった。以上から、経常利益は18,039百万円(前期 13,854百万円)となった。
特別損失は、942百万円(前期6,148百万円)となった。これに、法人税、住民税及び事業税720百万円及び法人税等調整額△2,780百万円を計上した結果、当期純利益は19,156百万円(前期 10,497百万円)となった。
(2)資金の流動性
営業活動によるキャッシュ・フローは、前事業年度比で403百万円減少し、26,627百万円の収入となった。これは、主として税引前当期純利益が17,097百万円であったことと、たな卸資産の減少額が5,732百万円であったためである。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前事業年度比で4,054百万円増加し、4,194百万円の支出となった。これは有形固定資産の取得による支出が4,117百万円となったためである。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前事業年度比で3,103百万円減少し、14,691百万円の支出となった。これは、主として借入金の返済による支出が10,000百万円であったことと、自己株式の取得による支出が3,497百万円であったことによるものである。
これらの結果、現金及び現金同等物期末残高は、前事業年度比で7,799百万円増加し、48,756百万円となった。
(3)財政状態
当事業年度末の流動資産合計の残高は、前事業年度比で3,102百万円減少し、74,502百万円となった。また、固定資産合計の残高は、前事業年度比で655百万円減少し65,661百万円となった。これは主として有形固定資産が前事業年度比で577百万円減少したこと等による。以上により、資産合計の残高は、前事業年度比で3,758百万円減少し、140,164百万円となった。
流動負債合計の残高は、前事業年度比で6,897百万円減少し、33,602百万円となった。一方、固定負債合計の残高は、前事業年度比で10,538百万円減少し、8,318百万円となった。これは主として、長期借入金が前事業年度比で9,000百万円減少したこと等による。以上により負債合計の残高は、前事業年度比で17,436百万円減少し、41,921百万円となった。
純資産合計の残高は、前事業年度比で13,677百万円増加し、98,243百万円となった。これは、主として利益剰余金が、17,964百万円増加したこと等による。これらにより、当事業年度末の自己資本比率は、70.1%となった。