(1)業績
当期における国内鋼材市場は、中国を起因とする海外市場の混乱と円高要因により、春先の一時的な上昇の後、秋口にかけ一貫して値下がりが続き、その後は高炉原料価格の高騰を受け、昨年末からは一転して値上がりするという、極めて不安定な展開となった。
このような状況のもと、当社においては、製品売出し価格を、5月契約で値上げ後、その後値下がりが続いた市況実勢にあわせるため10月契約で大幅に値下げし、12月契約以降3ヶ月は一転して連続値上げを実施すること等で、市場の急激な変動に対処したが、販売価格の値上がりが出荷価格に反映されるには時間を要することもあり、期間の製品出荷単価は前期比で5,200円の大幅な低下となった。一方、当社の主原料である鉄スクラップ価格は、高炉原料価格の急騰の影響もあって期間の平均購入単価は2,500円の上昇となり、当社収益を圧迫した。そのようななか、当期の利益は、電力料金やその他のエネルギーコストが前期比で大幅に低減するなか、全社を挙げて一段のコストダウンを実現することで、期初の予想を上回ったものの、販売価格の低下と原料価格の上昇による利幅の減少を吸収しきれず、前期対比では、大幅な減益を余儀なくされた。
売上高は、製品価格の値下がりから前期比で9.3%減収し、121,748百万円(前年実績134,159百万円)となった。利益面では、営業利益は10,514百万円、(前年実績17,784百万円)、経常利益は11,164百万円(前年実績18,039百万円)、当期純利益は、11,140百万円(前年実績19,156百万円)とそれぞれ4割程度の減益となった。
(2)キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、9,000百万円の借入金の返済による支出等により、前期末に比べ308百万円減少し、当期末の資金残高は48,448百万円となった。なお、営業活動によるキャッシュ・フローに投資活動によるキャッシュ・フローを合算したフリーキャッシュ・フローは、9,984百万円の収入である。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は14,641百万円(前期 26,627百万円)となった。これは、主として税引前当期純利益が10,591百万円であったことと、仕入債務の増加額が7,237百万円であったためである。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は4,657百万円(前期 4,194百万円)となった。これは、有形固定資産の取得による支出が4,368百万円であったこと等によるものである。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は10,297百万円(前期 14,691百万円)となった。これは、借入金の返済による支出が9,000百万円であったこと等によるものである。
(1)生産実績
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品目 |
生産数量(トン) |
前期比(%) |
|
|
製品 |
鋼材 |
2,113,205 |
102.4 |
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半製品 |
鋼片 |
2,241,701 |
102.4 |
(2)受注実績
輸出は受注生産を行っており、その受注状況は次のとおりである。
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品目 |
受注高 |
受注残高 |
||
|
数量(トン) |
前期比(%) |
数量(トン) |
前期比(%) |
|
|
鋼材 |
234,888 |
152.0 |
39,470 |
209.4 |
|
鋼片その他 |
- |
- |
- |
- |
|
計 |
234,888 |
133.5 |
39,470 |
209.4 |
(注) 販売価格は、出荷時点で決定されるため、受注高及び受注残高とも金額による表示は困難であるので数量表示によっている。
(3)販売実績
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品目 |
販売高(百万円) |
前期比(%) |
|
鋼材 |
119,741 |
91.4 |
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鋼片その他 |
2,007 |
63.2 |
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計 |
121,748 |
90.7 |
(注)1 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりである。
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相手先 |
前事業年度 |
当事業年度 |
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金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
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エムエム建材㈱ |
20,039 |
14.9 |
18,348 |
15.1 |
|
阪和興業㈱ |
13,057 |
9.7 |
15,159 |
12.5 |
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伊藤忠丸紅住商テクノスチール㈱ |
10,439 |
7.8 |
14,099 |
11.6 |
2 上記の金額には、消費税等は含まれていない。
今後の見通しについては、米国の景気拡大と中国のインフラ投資の政策等を受けて、世界経済は緩やかながら回復しているため、海外の鋼材需給は改善が続くと期待される。国内においても、都市再開発投資に加え、東京オリンピック・パラリンピック関連工事の本格化が見込まれることから、鋼材需要は引き続き底堅く推移すると期待できる。一方、世界経済の回復を受け、各資源価格が底入れから反転している影響から、電力料金・副資材価格・運送費の上昇等のコストアップが懸念される。
そのような状況のもと、当社においては、引き続き、収益重視の方針のもと、需要に見合った生産を徹底することで製品販売価格の値戻しをはかるとともに、営業部門と生産部門の連携を一段と強化して、国内外の製品・原料事情の変化に対し、より迅速・柔軟に対応できる体制の構築に取り組み、一層のコストダウンに繋げることで、収益の拡大に努めていく。
営業面では、引き続き国内外で新規需要先の開拓に努め、電気炉鋼材の特性を活かしたレーザ切断性の高い鋼板や特寸H形鋼など、需要ニーズに沿った製品供給を拡大していく。さらに、より迅速に顧客ニーズに応えるため、製品在庫販売の一層の拡充にも取り組んでいく。
生産面では、全ての工場で、安全管理体制をさらに強化し、法令遵守を徹底するなかで、引き続き、歩留まりの向上と副原料その他各原材料使用原単位の低減を一段と進める等のコストダウンの取り組みを一層強化していく。加えて、引き続き全社を挙げての省エネルギーの取り組みのさらなる強化をはかっていく。その一環として、来年1月の稼動を目指す岡山工場の新型連続鋳造機の導入をはじめとする省エネルギー推進のための投資については、引き続き積極的に実施していく。
また、コストダウンの取り組みに加え、各工場においては、品質管理体制をさらに強化することで高品質の維持・向上をはかるとともに、より幅広い顧客ニーズにお応えするため、技術開発部門が中心となって、全社横断的な研究・開発を一層推進し、より幅広い製造品種を生産できるよう、鋭意取り組んでいく。
鉄鋼製品生産1トン当たりの当社のCO2発生量は、鉄鉱石・石炭を主原料とする場合と比較して、概ね四分の一であり、貴重な国内資源である鉄スクラップを、付加価値の高い様々な鉄鋼製品にリサイクルしていくことは、2030年度において我が国の温室効果ガスを2013年度比で26%削減し、さらに2050年までには80%削減するという政府目標達成のためにも、ますますその重要性が高まっている。弛まぬコストダウンと品質向上への取り組みをさらに強力に推し進めるなか、条鋼類・鋼板類ともに、ますます多様化する需要家のニーズに応えながら、鉄スクラップの高度利用を一段と推進することで、さらなる企業業績の向上をはかるため、全社一丸となって、ますます尽力していく所存である。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがある。なお、文中における将来に関する事項は、当事業年度末(平成29年3月31日現在)において当社が判断したものである。
(1)財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の変動に関わるもの
当社の属する普通鋼電炉業界の特色は市況産業であることである。従って、製品の販売価格及び主原料である鉄スクラップ価格については、国内外の経済情勢、市場動向の変化等、当社を取り巻く外部環境の変化に大きく影響される可能性がある。
(2)特定の取引先等で取引の継続性が不安定であるもの
当社の当事業年度における輸出は主としてアジア向けであり、今後の同地域の経済情勢又は保護主義的な政策等により、受注環境が変化する可能性がある。
また、主原料である鉄スクラップについても、アジア地域の鉄鋼需要の拡大により、日本からの輸出が増加することにより、当社の調達価格並びに入荷量に影響を及ぼす可能性がある。
加えて、アジア域内の生産設備の拡張による供給余力が、日本への製品輸出の増加を伴い、日本国内の競争の激化を招く可能性がある。
(3)為替変動に関わるもの
当社は、輸出取引に伴う外貨建取引の為替変動によるリスクを回避する目的で、先物為替予約を利用することがある。しかし、間接的な影響を含め、為替変動による影響をすべて排除することは困難であり、当社の業績に影響を及ぼす可能性がある。
(4)法規制等の変更に関わるもの
当社は、現時点の規制に従って業務を遂行している。将来における法律、規則、政策等の変更並びにそれらによって発生する事態が、当社の業務遂行や業績等に影響を及ぼす可能性がある。
(5)災害や停電等による影響
当社は、災害等が発生した場合に製造ラインの中断による影響を最小にするため、全工場において定期的な災害防止検査と設備点検を行っている。しかしながら、生産施設で発生する災害、停電その他の中断事象による損害を完全に防止または軽減できる保証はない。
該当事項なし。
当社は、顧客ニーズに応えられる製品の多様化をはかるとともに、生産効率の向上と品質の向上を主目的とした生産技術の研究開発に取り組んでいる。
また、循環型社会・低炭素社会の構築が企業としての社会的使命となっているなかで、資源リサイクル産業の一員として、省資源、省エネルギー及び環境保全のための研究も積極的に推進している。これらの研究開発は、技術開発部を中心に活動を行っている。技術開発部では、高付加価値の電気炉鋼材の開発を行うとともに、製造ラインへの技術指導から顧客への品質説明まで一貫して行うことで、多様なニーズに、より迅速に対応できるよう取り組んでいる。
当事業年度においては、品種及び鋼種の拡大、品質向上のための設備改良、エネルギー効率の向上等の研究に注力してきた。
研究開発費の総額は246百万円である。
(1)業績比較
当事業年度の売上高は、121,748百万円(前期 134,159百万円)となった。一方、売上原価は、95,909百万円(前期 101,140百万円)となった。
販売費及び一般管理費は、15,325百万円(前期 15,234百万円)であり、営業利益は10,514百万円(前期 17,784百万円)となった。
営業外収益は、為替差益244百万円等により945百万円(前期 715百万円)となった。また、営業外費用は、294百万円(前期 460百万円)となった。以上から、経常利益は11,164百万円(前期 18,039百万円)となった。
特別損失は、572百万円(前期 942百万円)となった。これに、法人税、住民税及び事業税△33百万円及び法人税等調整額△514百万円を計上した結果、当期純利益は11,140百万円(前期 19,156百万円)となった。
(2)資金の流動性
営業活動によるキャッシュ・フローは、前事業年度比で11,985百万円減少し、14,641百万円の収入となった。これは、主として税引前当期純利益が10,591百万円であったことと、仕入債務の増加額が7,237百万円であったためである。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前事業年度比で462百万円減少し、4,657百万円の支出となった。これは有形固定資産の取得による支出が4,368百万円であったこと等によるものである。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前事業年度比で4,393百万円増加し、10,297百万円の支出となった。これは、主として借入金の返済による支出が9,000百万円であったこと等によるものである。
これらの結果、現金及び現金同等物期末残高は、前事業年度比で308百万円減少し、48,448百万円となった。
(3)財政状態
当事業年度末の流動資産合計の残高は、前事業年度比で8,461百万円増加し、82,963百万円となった。また、固定資産合計の残高は、前事業年度比で1,740百万円増加し67,402百万円となった。これは主として投資有価証券が前事業年度比で1,607百万円増加したこと等による。以上により、資産合計の残高は、前事業年度比で10,202百万円増加し、150,366百万円となった。
流動負債合計の残高は、前事業年度比で1,084百万円減少し、32,518百万円となった。これは主として、1年内返済予定の長期借入金が前事業年度比で9,000百万円減少したこと等による。一方、固定負債合計の残高は、前事業年度比で326百万円増加し、8,644百万円となった。以上により負債合計の残高は、前事業年度比で757百万円減少し、41,163百万円となった。
純資産合計の残高は、前事業年度比で10,959百万円増加し、109,203百万円となった。これは、主として利益剰余金が、9,843百万円増加したこと等による。これらにより、当事業年度末の自己資本比率は、72.6%となった。