経営の基本方針としては、当社は、鉄鋼資源のリサイクルを通じ、省エネルギーと省資源に努め、環境の保全に貢献していく。
中期的な会社の経営戦略としては、当社は、鉄スクラップの高度利用を推進するとともに、需要家のニーズに応えるべく、製品の多様化と生産性・品質の向上を進めてきた。引き続き、鉄鋼資源のリサイクルが重要使命の一つであるとの認識に立ち、生産面においては、生産性と品質の向上をさらに進めるとともに一層のコストダウンをはかり、営業面では、機動的な販売・物流体制をとることで顧客満足度のさらなる向上に努めていく。また、将来に向けての経営基盤の一層の安定をはかるため、キャッシュ・フローを重視した経営を推進するなかで、不要資産の整理を徹底的に進めるなど、財務内容をより強固なものとするよう取り組んでいる。
目標とする経営指標としては、経済のグローバル化が進み、さらに競争の激しい時代を迎えて、投資を的確かつ機動的に行っていくことがますます重要となっている状況のなかで、当社は、キャッシュ・フローへの貢献度を個々の事業推進のための経営判断の指標と捉えることで、内部留保の一層の充実をはかり、将来の必要な投資を的確に実行できる、より強固な経営基盤の構築に努めていく。
今後の見通しについては、米国の鉄鋼輸入制限から保護主義的な動きが広がることに懸念はあるものの、新興国に加えて先進国においても経済成長が持続すると期待されることから、世界的な鋼材需要は拡大基調が続くと見込まれる。国内においては、景気の回復が持続し、首都圏を中心とした都市再開発や、好調な企業業績を背景とした設備投資など、鋼材需要は引き続き底堅く推移すると期待される。
一方、当社の属する電炉業界においては、電極や耐火煉瓦をはじめとする諸資材価格のさらなる高騰が見込まれることに加え、人手不足による輸送関連費用の増大もあり、コストの大幅な上昇が避けられないと懸念される。
このような状況のもと、当社においては、引き続き収益重視の方針のもと、需要に見合った生産を徹底することで製品販売価格の値上げをはかるとともに、営業部門と生産部門の連携を一段と強化して、国内外の製品・原料事情の変化に対し、より迅速・柔軟に対応できる体制の構築に取り組み、加えて、一層のコストダウンに繋げることで、収益の拡大に努めていく。
営業面では、引き続き国内外で新規需要先の開拓に努め、電炉鋼材の特性を活かしたレーザ切断性の高い鋼板や特寸H形鋼など、需要ニーズに沿った製品の供給を拡大していく。さらに、より迅速に顧客ニーズに応えるため、製品在庫販売の一層の拡充にも取り組んでいく。
生産面では、全ての工場で、安全管理体制をさらに強化し、法令遵守を徹底するなかで、引き続き、歩留まりの向上と副原料その他各原材料使用原単位の低減を一段と進める等のコストダウンの取り組みを一層推し進めていく。加えて、引き続き全社を挙げての省エネルギーの取り組みのさらなる強化をはかっていく。稼動を開始した岡山工場の新型連続鋳造機をはじめとした、省エネルギー推進のための投資については、今後も積極的に取り組んでいく。
また、コストダウンの取り組みに加え、各工場においては、品質管理体制をさらに強化することで高品質の維持・向上をはかるとともに、より幅広い顧客ニーズに応えるため、技術開発部門が中心となって、全社横断的な研究・開発を一層展開し、より幅広い製造品種を生産できるよう、鋭意取り組んでいく。
さらに、当社は、2017年6月に、電炉鋼材の普及を通じて環境の保全に貢献するとの目標を掲げて、「Tokyo Steel EcoVision 2050」を発表した。鉄鋼製品生産1トン当たりの当社のCO2発生量は、鉄鉱石・石炭を主原料とする場合と比較して概ね四分の一であり、貴重な国内資源である鉄スクラップを付加価値の高い様々な鉄鋼製品へとリサイクルすることにより、「循環型社会」と「低炭素社会」の実現に向けて、一層貢献していく所存である。
弛まぬコストダウンと品質向上への取り組みをさらに強力に推し進めるなか、条鋼類・鋼板類ともに、ますます多様化する需要家のニーズに応えながら、鉄スクラップの高度利用を一段と推進することで、さらなる企業業績の向上をはかるため、全社一丸となって、ますます尽力していく所存である。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがある。なお、文中における将来に関する事項は、当事業年度末(平成30年3月31日現在)において当社が判断したものである。
(1)財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の変動に関わるもの
当社の属する普通鋼電炉業界の特色は市況産業であることである。従って、製品の販売価格及び主原料である鉄スクラップ価格については、国内外の経済情勢、市場動向の変化等、当社を取り巻く外部環境の変化に大きく影響を受ける可能性がある。
(2)特定の取引先等で取引の継続性が不安定であるもの
当社の当事業年度における輸出は主としてアジア向けであり、今後の同地域の経済情勢又は保護主義的な政策等により、受注環境が変化する可能性がある。
また、主原料である鉄スクラップについても、アジア地域の鉄鋼需要の拡大により、日本からの輸出が増加することにより、当社の調達価格並びに入荷量に影響を及ぼす可能性がある。
加えて、アジア域内の生産設備の拡張による供給余力が、日本への製品輸出の増加を伴い、日本国内の競争の激化を招く可能性がある。
(3)為替変動に関わるもの
当社は、輸出取引に伴う外貨建取引の為替変動によるリスクを回避する目的で、先物為替予約を利用することがある。しかし、間接的な影響を含め、為替変動による影響をすべて排除することは困難であり、当社の業績に影響を及ぼす可能性がある。
(4)法規制等の変更に関わるもの
当社は、現時点の規制に従って業務を遂行している。将来における法律、規則、政策等の変更並びにそれらによって発生する事態が、当社の業務遂行や業績等に影響を及ぼす可能性がある。
(5)災害や停電等による影響
当社は、災害等が発生した場合に製造ラインの中断による影響を最小にするため、全工場において定期的な災害防止検査と設備点検を行っている。しかしながら、生産施設で発生する災害、停電その他の中断事象による損害を完全に防止または軽減できる保証はない。
業績等の概要
(1)業績
当期においては、世界的に堅調な経済情勢を受けて鋼材需要が高まるなか、中国からの輸出が大幅に減少し、海外鋼材市況は上昇した。国内では、景況感の改善が進むなかで、都市再開発に加えて、東京オリンピック・パラリンピック関連の工事が本格化するなど、引き続き底堅い需要に支えられ、鋼材市況は上昇基調を辿った。
当社においては、秋口以降連続して製品価格を値上げした結果、平均販売単価が前期比で1万円強上昇した一方、主原料である鉄スクラップ単価は9千円弱の上昇におさまった。しかしながら、電力料金や諸資材価格が高騰したことに加え、岡山工場の連続鋳造機の立ち上げに係るコストアップや、期末在庫の評価損計上等もあり、利益面では、前期とほぼ同等の水準にとどまった。
売上高は、製品価格の上昇と出荷数量の増加により164,137百万円(前年実績121,748百万円)となった。営業利益は10,475百万円(前年実績10,514百万円)、経常利益は11,803百万円(前年実績11,164百万円)、当期純利益は、11,305百万円(前年実績11,140百万円)となった。
(2)キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税引前当期純利益の増加等により、前期末に比べ6,227百万円増加し、当期末の資金残高は54,676百万円となった。なお、営業活動によるキャッシュ・フローに投資活動によるキャッシュ・フローを合算したフリーキャッシュ・フローは、9,389百万円の収入である。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は17,093百万円(前期 14,641百万円)となった。これは、主として税引前当期純利益が11,219百万円であったことと、仕入債務の増加額が9,379百万円であったこと等によるものである。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は7,703百万円(前期 4,657百万円)となった。これは、有形固定資産の取得による支出が6,384百万円であったこと等によるものである。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は3,239百万円(前期 10,297百万円)となった。これは、自己株式の取得による支出が1,800百万円であったこと等によるものである。
生産、受注及び販売の実績
(1)生産実績
|
品目 |
生産数量(トン) |
前期比(%) |
|
|
製品 |
鋼材 |
2,441,545 |
115.5 |
|
半製品 |
鋼片 |
2,580,519 |
115.1 |
(2)受注実績
輸出は受注生産を行っており、その受注実績は次のとおりである。
|
品目 |
受注高 |
受注残高 |
||
|
数量(トン) |
前期比(%) |
数量(トン) |
前期比(%) |
|
|
鋼材 |
233,296 |
99.3 |
40,780 |
103.3 |
|
鋼片その他 |
- |
- |
- |
- |
|
計 |
233,296 |
99.3 |
40,780 |
103.3 |
(注) 販売価格は、出荷時点で決定されるため、受注高及び受注残高とも金額による表示は困難であるので数量表示によっている。
(3)販売実績
|
品目 |
販売高(百万円) |
前期比(%) |
|
鋼材 |
162,043 |
135.3 |
|
鋼片その他 |
2,094 |
104.3 |
|
計 |
164,137 |
134.8 |
(注)1 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりである。
|
相手先 |
前事業年度 |
当事業年度 |
||
|
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
|
エムエム建材㈱ |
18,348 |
15.1 |
23,136 |
14.1 |
|
阪和興業㈱ |
15,159 |
12.5 |
22,654 |
13.8 |
|
伊藤忠丸紅住商テクノスチール㈱ |
14,099 |
11.6 |
- |
- |
2 上記の金額には、消費税等は含まれていない。
3 当事業年度の伊藤忠丸紅住商テクノスチール㈱については、総販売実績に対する割合が10%未満のため記載を省略している。
財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
(1)重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されている。この財務諸表の作成にあたり、見積りが必要となる事項については、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っている。
詳細については、本報告書「第5 経理の状況 2 財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載している。
(2)業績比較
当事業年度の売上高は、164,137百万円(前期 121,748百万円)となった。一方、売上原価は、136,223百万円(前期 95,909百万円)となった。
販売費及び一般管理費は、17,438百万円(前期 15,325百万円)であり、営業利益は10,475百万円(前期 10,514百万円)となった。
営業外収益は、補助金収入1,068百万円等により1,823百万円(前期 945百万円)となった。また、営業外費用は、495百万円(前期 294百万円)となった。以上から、経常利益は11,803百万円(前期 11,164百万円)となった。
特別損失は、583百万円(前期 572百万円)となった。これに、法人税、住民税及び事業税21百万円及び法人税等調整額△107百万円を計上した結果、当期純利益は11,305百万円(前期 11,140百万円)となった。
(3)資金の流動性
営業活動によるキャッシュ・フローは、前事業年度比で2,451百万円増加し、17,093百万円の収入となった。これは、主として税引前当期純利益が11,219百万円であったことと、仕入債務の増加額が9,379百万円であったためである。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前事業年度比で3,046百万円減少し、7,703百万円の支出となった。これは有形固定資産の取得による支出が6,384百万円であったこと等によるものである。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前事業年度比で7,058百万円増加し、3,239百万円の支出となった。これは、主として自己株式の取得による支出が1,800百万円であったこと等によるものである。
これらの結果、現金及び現金同等物期末残高は、前事業年度比で6,227百万円増加し、54,676百万円となった。
(4)財政状態
当事業年度末の流動資産合計の残高は、前事業年度比で17,651百万円増加し、100,615百万円となった。また、固定資産合計の残高は、前事業年度比で6,252百万円増加し、73,655百万円となった。これは主として機械及び装置が前事業年度比で5,099百万円増加したこと等による。以上により、資産合計の残高は、前事業年度比で23,904百万円増加し、174,271百万円となった。
流動負債合計の残高は、前事業年度比で14,197百万円増加し、46,716百万円となった。これは主として、買掛金が前事業年度比で8,804百万円増加したこと等による。一方、固定負債合計の残高は、前事業年度比で920百万円増加し、9,565百万円となった。以上により負債合計の残高は、前事業年度比で15,118百万円増加し、56,281百万円となった。
純資産合計の残高は、前事業年度比で8,786百万円増加し、117,989百万円となった。これは、主として利益剰余金が、9,865百万円増加したこと等による。これらにより、当事業年度末の自己資本比率は、67.7%となった。
該当事項なし。
当社は、顧客ニーズに応えられる製品の多様化をはかるとともに、生産効率の向上と品質の向上を主目的とした生産技術の研究開発に取り組んでいる。
また、循環型社会・低炭素社会の構築が企業としての社会的使命となっているなかで、資源リサイクル産業の一員として、省資源、省エネルギー及び環境保全のための研究も積極的に推進している。これらの研究開発は、技術開発部を中心に活動を行っている。技術開発部では、高付加価値の電気炉鋼材の開発を行うとともに、製造ラインへの技術指導から顧客への品質説明まで一貫して行うことで、多様なニーズに、より迅速に対応できるよう取り組んでいる。
当事業年度においては、品種及び鋼種の拡大、品質向上のための設備改良、エネルギー効率の向上等の研究に注力してきた。
研究開発費の総額は215百万円である。