経営の基本方針としては、当社は、鉄鋼資源のリサイクルを通じ、省エネルギーと省資源に努め、環境の保全に貢献していく。
中期的な会社の経営戦略としては、当社は、鉄スクラップの高度利用を推進するとともに、需要家のニーズに応えるべく、製品の多様化と生産性・品質の向上を進めてきた。引き続き、鉄鋼資源のリサイクルが重要使命の一つであるとの認識に立ち、生産面においては、生産性と品質の向上をさらに進めるとともに一層のコストダウンをはかり、営業面では、機動的な販売・物流体制をとることで顧客満足度のさらなる向上に努めていく。また、将来に向けての経営基盤の一層の安定をはかるため、キャッシュ・フローを重視した経営を推進するなかで、不要資産の整理を徹底的に進めるなど、財務内容をより強固なものとするよう取り組んでいる。
目標とする経営指標としては、経済のグローバル化が進み、さらに競争の激しい時代を迎えて、投資を的確かつ機動的に行っていくことがますます重要となっている状況のなかで、当社は、キャッシュ・フローへの貢献度を個々の事業推進のための経営判断の指標と捉えることで、内部留保の一層の充実をはかり、将来の必要な投資を的確に実行できる、より強固な経営基盤の構築に努めていく。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがある。なお、文中における将来に関する事項は、当事業年度末(2020年3月31日現在)において当社が判断したものである。
当社の属する普通鋼電炉業界の特色は市況産業であることである。従って、製品の販売価格及び主原料である鉄スクラップ価格については、国内外の経済情勢、市場動向の変化等、当社を取り巻く外部環境の変化に大きく影響を受ける可能性がある。
当社としては、営業部門と生産部門の連携を一層強化して、このような市況変動に迅速かつ柔軟に対応できる体制の構築に努めるとともに、需要に見合った生産を徹底し、収益の維持・向上を達成することで対処していく。
当社の当事業年度における輸出は主としてアジア向けであり、今後の同地域の経済情勢又は保護主義的な政策等により、受注環境が変化する可能性がある。
また、主原料である鉄スクラップについても、アジア地域の鉄鋼需要の拡大により、日本からの輸出が増加することにより、当社の調達価格並びに入荷量に影響を及ぼす可能性がある。
加えて、アジア域内の生産設備の拡張による供給余力が、日本への製品輸出の増加を伴い、日本国内の競争の激化を招く可能性がある。
当社としては、電炉鋼材の特性を活かした製品の開発や、顧客ニーズに応える製品品質の実現により差別化をはかるとともに、主原料として国内の鉄スクラップを使用する利点を生かしつつ、徹底したコストダウンを推し進めることで、競争力の維持・向上に努めていく。
当社は、輸出取引に伴う外貨建取引の為替変動によるリスクを回避する目的で、先物為替予約を利用することがある。しかし、間接的な影響を含め、為替変動による影響をすべて排除することは困難であり、当社の業績に影響を及ぼす可能性がある。
当社は、現時点の規制に従って業務を遂行している。将来における法律、規則、政策等の変更並びにそれらによって発生する事態が、当社の業務遂行や業績等に影響を及ぼす可能性がある。
当社は、災害等が発生した場合に製造ラインの中断による影響を最小にするため、全工場において定期的な災害防止検査と設備点検を行っている。しかしながら、生産施設で発生する災害、停電その他の中断事象による損害を完全に防止または軽減できる保証はない。
当社は、同一製品を複数の拠点で生産すること等により、災害等による生産中断を極力回避できるよう努めている。
また、年初に発生した新型コロナウイルス感染症は、未だ終息の兆しが見えず、この影響が継続・拡大した場合には、当社や顧客における生産活動に大きな支障が生じることが懸念されるため、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性がある。
(6) 気候変動の及ぼす影響
気候変動に起因する自然災害が深刻化した場合、洪水・高潮等による生産設備の故障や、サプライチェーンの寸断による操業停止等の損失が発生する可能性がある。また、炭素税や排出権取引制度といった温室効果ガスの排出規制が導入された場合、原材料価格や電力料金等の操業コストが高騰し、収益性が低下する可能性がある。
当社は気候変動問題を経営上の重要な課題として捉えており、2017年6月に公表した長期環境ビジョン「Tokyo Steel EcoVision 2050」の中で、CO2排出量を、2030年時点で2013年比の40%を削減し、2050年では80%を削減する目標を掲げている。また、2019年5月には「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」の提言に賛同を表明している。今後も気候変動が及ぼすリスクと機会の分析と対応を行い、有価証券報告書や環境報告書、ホームページなどにおいて継続的な情報開示を行っていく。
当期においては、米中貿易摩擦の長期化が世界経済への影響を強めるなか、国内でも、貿易の停滞や設備投資の鈍化などにより経済環境が次第に悪化し、さらに、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が、景況感の悪化に追い打ちをかける状況となった。鉄鋼業界においては、人手不足による建設工事の遅延や、輸出関連の製造業向け需要の伸び悩みなどから、粗鋼生産量が2009年以来となる1億トン割れとなり、また、海外相場の軟化を背景に、製品市況には下押し圧力が強まった。
このような状況のもと、当社においては、前期と比較して製品出荷数量が約8%減少したうえ、製品出荷単価は4千円強の落ち込みとなった。しかしながら、主原料である鉄スクラップは、国内外で需要が鈍化して市況が下落基調となり、当社の平均単価も前期比で8千円を超える大幅な値下がりとなったことから、製品出荷単価の値下がりや生産数量減に伴うコストの上昇を吸収して、利益を押し上げることとなった。
売上高は、製品出荷数量の減少と製品出荷単価の低下により、179,924百万円(前年実績207,109百万円)となった。営業利益は17,360百万円(前年実績16,027百万円)、経常利益は17,858百万円(前年実績17,311百万円)とそれぞれ前年を上回ったが、投資有価証券評価損と繰延税金資産の取り崩しによる法人税等調整額の計上などにより、当期純利益は、13,795百万円(前年実績15,444百万円)となった。
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前期末に比べ6,572百万円増加し、当期末の資金残高は66,746百万円となった。なお、営業活動によるキャッシュ・フローに投資活動によるキャッシュ・フローを合算したフリーキャッシュ・フローは、14,584百万円の収入である。
営業活動の結果得られた資金は23,738百万円(前期 18,991百万円)となった。これは、主として税引前当期純利益が16,357百万円であったことと、棚卸資産の減少が7,847百万円であったこと等によるものである。
投資活動の結果使用した資金は9,153百万円(前期 7,151百万円)となった。これは、有形固定資産の取得による支出が7,226百万円であったこと等によるものである。
財務活動の結果使用した資金は7,997百万円(前期 6,488百万円)となった。これは、自己株式の取得による支出が7,095百万円であったこと及び配当金の支払が1,902百万円であったこと等によるものである。
資本の財源及び資金の流動性について、装置産業と市況産業に属する当社は、業績が景気変動に大きく左右されるなかで、最新の生産技術を保持し生産性と競争力を向上させるための設備投資を、自己資金を活用し、自己の判断で的確なタイミングで実施することを原則としている。
また、株主還元については、一定の株主還元を保つという考え方をとるのではなく、業績に応じて総還元性向を決定する方針である。
このような方針のもと、将来に向けたより強固な経営基盤の構築のため、当社では、キャッシュ・フローへの貢献度を個々の事業推進のための経営判断の指標としている。
当期においては、当社の資金は6,572百万円増加し、66,746百万円となった。
輸出は受注生産を行っており、その受注実績は次のとおりである。
(注) 販売価格は、出荷時点で決定されるため、受注高及び受注残高とも金額による表示は困難であるので数量表示によっている。
(注) 1 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりである。
2 上記の金額には、消費税等は含まれていない。
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されている。この財務諸表の作成にあたり、見積りが必要となる事項については、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っている。詳細については、本報告書「第5 経理の状況 2 財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載している。
市況産業に属する当社の業績は、景気変動に大きく左右されることがある。また、今般の新型コロナウイルス感染症の感染拡大は、当社を取り巻く経済環境に重大な影響を及ぼすことも想定される。当社としては、会計上の見積りにあたり、期末時点で入手可能な情報を基に、以下の検証を行っている。
(繰延税金資産)
当社は、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上している。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性がある。
(固定資産の減損処理)
当社は、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上している。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しているが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性がある。
当事業年度の売上高は、179,924百万円(前期 207,109百万円)となった。一方、売上原価は、143,130百万円(前期 170,740百万円)となった。
販売費及び一般管理費は、19,434百万円(前期 20,342百万円)であり、営業利益は17,360百万円(前期 16,027百万円)となった。
営業外収益は、受取配当金337百万円等により757百万円(前期 1,620百万円)となった。また、営業外費用は、259百万円(前期 336百万円)となった。以上から、経常利益は17,858百万円(前期 17,311百万円)となった。
特別利益は、156百万円(前期 該当なし)となった。特別損失は、1,657百万円(前期 944百万円)となった。これに、法人税、住民税及び事業税927百万円及び法人税等調整額1,634百万円を計上した結果、当期純利益は13,795百万円(前期 15,444百万円)となった。
営業活動によるキャッシュ・フローは、前事業年度比で4,747百万円増加し、23,738百万円の収入となった。これは、主として税引前当期純利益が16,357百万円であったことと、減価償却費が5,297百万円であったこと等によるものである。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前事業年度比で2,001百万円減少し、9,153百万円の支出となった。これは有形固定資産の取得による支出が7,226百万円であったこと等によるものである。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前事業年度比で1,509百万円減少し、7,997百万円の支出となった。これは、主として自己株式の取得による支出が7,095百万円であったこと及び配当金の支払が1,902百万円であったことによるものである。
これらの結果、現金及び現金同等物期末残高は、前事業年度比で6,572百万円増加し、66,746百万円となった。
当事業年度末の流動資産合計の残高は、前事業年度比で7,119百万円減少し、105,064百万円となった。また、固定資産合計の残高は、前事業年度比で240百万円減少し、73,249百万円となった。これは主として繰延税金資産が前事業年度比で1,281百万円減少したこと等による。以上により、資産合計の残高は、前事業年度比で7,359百万円減少し、178,313百万円となった。
流動負債合計の残高は、前事業年度比で13,379百万円減少し、36,323百万円となった。これは主として、買掛金が前事業年度比で9,892百万円減少したこと等による。一方、固定負債合計の残高は、前事業年度比で2,012百万円増加し、12,097百万円となった。以上により負債合計の残高は、前事業年度比で11,366百万円減少し、48,420百万円となった。
純資産合計の残高は、前事業年度比で4,007百万円増加し、129,892百万円となった。これは、主として繰越利益剰余金が、11,904百万円増加したこと等による。これらにより、当事業年度末の自己資本比率は、72.8%となった。
該当事項なし。
当社は、顧客ニーズに応えられる製品の多様化をはかるとともに、生産効率の向上と品質の向上を主目的とした生産技術の研究開発に取り組んでいる。
また、循環型社会・低炭素社会の構築が企業としての社会的使命となっているなかで、資源リサイクル産業の一員として、省資源、省エネルギー及び環境保全のための研究も積極的に推進している。これらの研究開発は、技術開発部を中心に活動を行っている。技術開発部では、高付加価値の電気炉鋼材の開発を行うとともに、製造ラインへの技術指導から顧客への品質説明まで一貫して行うことで、多様なニーズに、より迅速に対応できるよう取り組んでいる。
当事業年度においては、品種及び鋼種の拡大、品質向上のための設備改良、エネルギー効率の向上等の研究に注力してきた。
研究開発費の総額は