経営の基本方針としては、当社は、鉄鋼資源のリサイクルを通じ、省エネルギーと省資源に努め、環境の保全に貢献していく。
中期的な会社の経営戦略としては、当社は、鉄スクラップの高度利用を推進するとともに、需要家のニーズに応えるべく、製品の多様化と生産性・品質の向上を進めてきた。引き続き、鉄鋼資源のリサイクルが重要使命の一つであるとの認識に立ち、生産面においては、生産性と品質の向上をさらに進めるとともに一層のコストダウンをはかり、営業面では、機動的な販売・物流体制をとることで顧客満足度のさらなる向上に努めていく。また、将来に向けての経営基盤の一層の安定をはかるため、キャッシュ・フローを重視した経営を推進するなかで、不要資産の整理を徹底的に進めるなど、財務内容をより強固なものとするよう取り組んでいる。
目標とする経営指標としては、経済のグローバル化が進み、さらに競争の激しい時代を迎えて、投資を的確かつ機動的に行っていくことがますます重要となっている状況のなかで、当社は、キャッシュ・フローへの貢献度を個々の事業推進のための経営判断の指標と捉えることで、内部留保の一層の充実をはかり、将来の必要な投資を的確に実行できる、より強固な経営基盤の構築に努めていく。
今後の見通しについては、新型コロナウイルス感染症の影響については予断を許さないものの、米国の大規模な財政出動や、中国の景気刺激策などを受けて、世界経済は昨年の落ち込みから回復し、海外の鋼材需要は拡大に向かうと予想される。国内の鋼材需要についても、設備投資の持ち直しや、製造業の生産水準の改善などにより、総じて回復基調をたどると見込まれる。このような状況のもと、鉄鋼製品市況は国内外で上昇することが期待される一方で、鉄鋼生産の拡大を背景とした原料価格の高止まりや、電力料金・諸資材価格の上昇によるコストアップが懸念される。
当社としては、引き続き、需要に見合った生産を徹底しつつ、販売価格の回復をはかっていく。また、国内外の製品・原料事情の変化に対応しつつ、営業部門と生産部門の一層の連携により、より迅速・柔軟に対応できる体制の構築に取り組んでいく。
営業面では、引き続き国内外で新規需要先の開拓に努め、電炉鋼材の特性を活かしたレーザ切断性に優れた鋼板や特寸H形鋼の拡販に加えて、製造品種のサイズ拡大など、顧客ニーズを満たす製品の供給を拡大していく。
生産面では、全工場で安全管理体制をさらに強化し、法令遵守を徹底するなかで、引き続き、歩留まりの向上と副原料その他各原材料の使用原単位の低減に積極的に取り組み、徹底したコストダウンを実現して利益の向上をはかっていく。加えて、全社を挙げて省エネルギーの取り組みを進め、そのための設備投資についても、引き続き積極的に実施していく。さらに、品質面では、社長直轄の技術開発部が、営業部門・生産部門とのより密接な連携のもとに、特に鋼板類の顧客ニーズに的確に応える品質の実現を推進するとともに、全社横断的な研究・開発を一層展開し、より幅広い製造品種を生産できるよう、鋭意取り組んでいく。
近年、SDGsの推進が社会の共通認識となり、我が国においても2050年に向けたカーボンニュートラルに係る目標が掲げられるなか、当社は、「Tokyo Steel EcoVision 2050」とともに、電炉鋼材の普及に一層積極的に取り組んでいく。鉄鋼製品生産1トン当たりの当社のCO2発生量は、鉄鉱石・石炭を主原料とする場合と比較して概ね四分の一である。貴重な国内資源である鉄スクラップを、より付加価値の高い様々な鉄鋼製品へアップサイクルすることを通じて、当社は引き続き、「循環型社会」と「脱炭素社会」の実現に寄与すべく尽力していく。
そして、上記の理念や目標を現実のものとするためにも、日々、弛まぬコストダウンと品質向上への取り組みを強力に推し進め、条鋼類・鋼板類ともに、多様化する需要家のニーズに応えながら、鉄スクラップの高度利用をはかっていくことで、さらなる企業業績の向上を実現するべく、全社一丸となって、ますます尽力していく。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがある。なお、文中における将来に関する事項は、当事業年度末(2021年3月31日現在)において当社が判断したものである。
当社の属する普通鋼電炉業界の特色は市況産業であることである。したがって、製品の販売価格及び主原料である鉄スクラップ価格については、国内外の経済情勢、市場動向の変化等、当社を取り巻く外部環境の変化に大きく影響を受ける可能性がある。
当社としては、営業部門と生産部門の連携を一層強化して、このような市況変動に迅速かつ柔軟に対応できる体制の構築に努めるとともに、需要に見合った生産を徹底し、収益の維持・向上を達成することで対処していく。
当社の当事業年度における輸出は主としてアジア向けであり、今後の同地域の経済情勢又は保護主義的な政策等により、受注環境が変化する可能性がある。
また、主原料である鉄スクラップについても、アジア地域の鉄鋼需要の拡大により、日本からの輸出が増加することにより、当社の調達価格並びに入荷量に影響を及ぼす可能性がある。
加えて、アジア域内の生産設備の拡張による供給余力が、日本への製品輸出の増加を伴い、日本国内の競争の激化を招く可能性がある。
当社としては、電炉鋼材の特性を活かした製品の開発や、顧客ニーズに応える製品品質の実現により差別化をはかるとともに、主原料として国内の鉄スクラップを使用する利点を生かしつつ、徹底したコストダウンを推し進めることで、競争力の維持・向上に努めていく。
当社は、輸出取引に伴う外貨建取引の為替変動によるリスクを回避する目的で、先物為替予約を利用することがある。しかし、間接的な影響を含め、為替変動による影響をすべて排除することは困難であり、当社の業績に影響を及ぼす可能性がある。
当社は、現時点の規制に従って業務を遂行している。将来における法律、規則、政策等の変更並びにそれらによって発生する事態が、当社の業務遂行や業績等に影響を及ぼす可能性がある。
当社は、災害等が発生した場合に製造ラインの中断による影響を最小にするため、全工場において定期的な災害防止検査と設備点検を行っている。しかしながら、生産施設で発生する災害、停電その他の中断事象による損害を完全に防止または軽減できる保証はない。
当社は、同一製品を複数の拠点で生産すること等により、災害等による生産中断を極力回避できるよう努めている。
また、昨年発生した新型コロナウイルス感染症は、未だ終息の兆しが見えず、この影響が継続・拡大した場合には、当社や顧客における生産活動に大きな支障が生じることが懸念されるため、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性がある。
(6) 気候変動の及ぼす影響
気候変動に起因する自然災害が深刻化した場合、洪水・高潮等による生産設備の故障や、サプライチェーンの寸断による操業停止等の損失が発生する可能性がある。また、炭素税や排出権取引制度といった温室効果ガスの排出規制が導入された場合、原材料価格や電力料金等の操業コストが高騰し、収益性が低下する可能性がある。
当社は気候変動問題を経営上の重要な課題として捉えており、2021年6月に改定した長期環境ビジョン「Tokyo Steel EcoVision 2050」の中で、CO2排出原単位を、2030年時点で2013年比の60%を削減し、2050年では実質ゼロとする目標を掲げている。また、2019年5月には「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」の提言に賛同を表明している。今後も気候変動が及ぼすリスクと機会の分析と対応を行い、有価証券報告書や環境報告書、ホームページなどにおいて継続的な情報開示を行っていく。
(7) 繰延税金資産に関するリスク
当社は、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上している。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性がある。
(8) 固定資産の減損処理に関するリスク
減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性がある。
当期においては、新型コロナウイルス感染症の拡大が、我が国経済に甚大な影響を及ぼすなか、国内の粗鋼生産量は、およそ半世紀ぶりとなる水準まで落ち込み、鉄鋼製品市況は秋口にかけて低迷した。一方下半期には、海外で各国の景気刺激策などにより鋼材需要が高まり、世界的に鉄鋼生産が回復したため、鉄鋼原料価格に強い上昇圧力がかった。
このような状況のもと、当社においては、製品販売数量が、国内鋼材需要の低迷を受けて、前期比で30万トンを超える落ち込みとなった。製品出荷単価については、期初以降、前期を大幅に下回る水準で推移するなか、段階的に販売価格を値上げしたが、販売単価の上昇が出荷単価に反映されるまでには時間を要することもあり、当期間の平均出荷単価は前期比で8千円弱の下落となった。一方、主原料である鉄スクラップの平均単価は、第3四半期以降の海外市況の急伸を背景に、前期から2.5千円程度上昇したため、利幅が縮小し、当社の業績を圧迫した。
売上高は、製品出荷数量の減少と製品出荷単価の下落により141,448百万円(前年実績179,924百万円)となった。利益面では、営業利益は3,995百万円(前年実績17,360百万円)、経常利益は4,994百万円(前年実績17,858百万円)となった。また、繰延税金資産を追加計上したこと等により、当期純利益は5,889百万円(前年実績13,795百万円)となった。
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前期末に比べ8,414百万円減少し、当期末の資金残高は58,332百万円となった。なお、営業活動によるキャッシュ・フローに投資活動によるキャッシュ・フローを合算したフリーキャッシュ・フローは、1,366百万円の支出である。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は7,585百万円(前期23,738百万円)となった。これは、主として税引前当期純利益が4,293百万円であったことと、減価償却費が5,563百万円であったこと等によるものである。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は8,952百万円(前期9,153百万円)となった。これは、有形固定資産の取得による支出が7,418百万円であったこと等によるものである。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は7,220百万円(前期7,997百万円)となった。これは、自己株式の取得による支出が5,625百万円であったこと及び配当金の支払額が2,002百万円であったこと等によるものである。
資本の財源及び資金の流動性について、装置産業と市況産業に属する当社は、業績が景気変動に大きく左右されるなかで、最新の生産技術を保持し生産性と競争力を向上させるための設備投資を、自己資金を活用し、自己の判断で的確なタイミングで実施することを原則としている。
また、株主還元については、一定の株主還元を保つという考え方をとるのではなく、業績に応じて総還元性向を決定する方針である。
このような方針のもと、将来に向けたより強固な経営基盤の構築のため、当社では、キャッシュ・フローへの貢献度を個々の事業推進のための経営判断の指標としている。
当期においては、当社の資金は8,414百万円減少し、58,332百万円となった。
輸出は受注生産を行っており、その受注実績は次のとおりである。
(注) 販売価格は、出荷時点で決定されるため、受注高及び受注残高とも金額による表示は困難であるので数量表示によっている。
(注) 1 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりである。
2 上記の金額には、消費税等は含まれていない。
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されている。この財務諸表の作成にあたり、見積りが必要となる事項については、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っている。詳細については、本報告書「第5 経理の状況 2 財務諸表 注記事項 重要な会計方針 及び 重要な会計上の見積り」に記載している。
市況産業に属する当社の業績は、景気変動に大きく左右されることがある。また、今般の新型コロナウイルス感染症の感染拡大は、当社を取り巻く経済環境に重大な影響を及ぼすことも想定される。当社としては、会計上の見積りにあたり、期末時点で入手可能な情報を基に、以下の検証を行っている。
(繰延税金資産)
当社は、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上している。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性がある。
(固定資産の減損処理)
当社は、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上している。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性がある。
当事業年度の売上高は、141,448百万円(前期 179,924百万円)となった。一方、売上原価は、121,639百万円(前期 143,130百万円)となった。
販売費及び一般管理費は、15,813百万円(前期 19,434百万円)であり、営業利益は3,995百万円(前期 17,360百万円)となった。
営業外収益は、受取配当金301百万円等により1,188百万円(前期 757百万円)となった。また、営業外費用は、189百万円(前期 259百万円)となった。以上から、経常利益は4,994百万円(前期 17,858百万円)となった。
特別利益は、17百万円(前期 156百万円)となった。特別損失は、718百万円(前期 1,657百万円)となった。これに、法人税、住民税及び事業税34百万円及び法人税等調整額△1,631百万円を計上した結果、当期純利益は5,889百万円(前期 13,795百万円)となった。
営業活動によるキャッシュ・フローは、前事業年度比で16,152百万円減少し、7,585百万円の収入となった。これは、主として税引前当期純利益が4,293百万円であったことと、減価償却費が5,563百万円であったこと等によるものである。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前事業年度比で201百万円増加し、8,952百万円の支出となった。これは有形固定資産の取得による支出が7,418百万円であったこと等によるものである。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前事業年度比で777百万円増加し、7,220百万円の支出となった。これは、主として自己株式の取得による支出が5,625百万円であったこと及び配当金の支払額が2,002百万円であったこと等によるものである。
これらの結果、現金及び現金同等物の期末残高は、前事業年度比で8,414百万円減少し、58,332百万円となった。
当事業年度末の流動資産合計の残高は、前事業年度比で326百万円増加し、105,391百万円となった。また、固定資産合計の残高は、前事業年度比で7,247百万円増加し、80,496百万円となった。これは主として投資有価証券が前事業年度比で4,832百万円増加したこと等による。以上により、資産合計の残高は、前事業年度比で7,573百万円増加し、185,887百万円となった。
流動負債合計の残高は、前事業年度比で5,691百万円増加し、42,014百万円となった。これは主として、買掛金が前事業年度比で8,060百万円増加したこと等による。一方、固定負債合計の残高は、前事業年度比で872百万円増加し、12,969百万円となった。以上により負債合計の残高は、前事業年度比で6,563百万円増加し、54,984百万円となった。
純資産合計の残高は、前事業年度比で1,010百万円増加し、130,903百万円となった。これは、主として繰越利益剰余金が、3,965百万円増加したこと等による。これらにより、当事業年度末の自己資本比率は、70.4%となった。
該当事項なし。
当社は、顧客ニーズに応えられる製品の多様化をはかるとともに、生産効率の向上と品質の向上を主目的とした生産技術の研究開発に取り組んでいる。
また、循環型社会・低炭素社会の構築が企業としての社会的使命となっているなかで、資源リサイクル産業の一員として、省資源、省エネルギー及び環境保全のための研究も積極的に推進している。これらの研究開発は、技術開発部を中心に活動を行っている。技術開発部では、高付加価値の電気炉鋼材の開発を行うとともに、製造ラインへの技術指導から顧客への品質説明まで一貫して行うことで、多様なニーズに、より迅速に対応できるよう取り組んでいる。
当事業年度においては、品種及び鋼種の拡大、品質向上のための設備改良、エネルギー効率の向上等の研究に注力してきた。
研究開発費の総額は