第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

当社グループは、以下の「経営理念」、「行動指針」を経営の基本方針としております。

〈経営理念〉

 大阪製鐵グループは、鉄スクラップを鉄鋼製品にリサイクルし、省資源・省エネルギーを通じて地球環境の保全に努めるとともに、社会の発展に貢献する電炉グループです。顧客ニーズを追求し、合理的でオープンな経営により、ゆるぎない競争力を持ち、信頼される企業グループを目指します。私達は、この目標の実現に向け、自らの成長と変革を通じ、挑戦を続けます。

〈行動指針〉

 1.自ら考え、行動します

 2.失敗を恐れず、挑戦します

 3.技術を極め、技術を磨きます

 4.役割を認識し、期待に応えます

 5.対話と信頼を通じ、連携します

 

(2) 経営環境

当社の国内事業環境については、主たる需要分野となる建設分野は人手不足・働き方改革による工事遅延や資材高により需要が低迷しており、中長期的にも需要が大きく伸びないことと想定しております。一方、海外市場については、東南アジアを中心に一定の経済成長の持続が見込まれます。

また、主原料であるスクラップは、長期的にカーボンニュートラル実現に向けた環境変化により需給はタイト化されるとともに、再生可能エネルギー比率の上昇による電力供給構造の変化や少子高齢化の更なる進展等、当社経営を取り巻く環境は、絶え間なく変化するものと想定しております。

 

2025年度における国内経済の見通しは、個人消費や設備投資は回復の動きが続くものと期待され、インドネシア経済においても堅調な個人消費に支えられて底堅く推移するものと見込まれますが、一方で米国の通商政策を受けた世界経済の下振れリスクがあり、先行き不透明な状況が継続することが想定されます。当社の経営環境は、建設向け需要は大幅な回復が望めず、コスト面においても更なる電力料金等の値上げが見込まれ、一段と厳しさを増しております。また、インドネシア事業におきましては、政府の政策転換によりインフラ開発予算が削減された影響で需要動向が不透明となっており、厳しい経営環境が継続すると想定されます。

 

 (3) 対処すべき課題

当社グループは、2021年に公表した2025年中期経営計画の諸施策に継続して取り組んできました。また、2024年1月30日に「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた取り組みについて」を公表した上で、ROEの改善、PBR向上を通じた企業価値向上の検討を重ねてまいりました。今般、事業環境の変化や市場から求められる指標変化も踏まえ、2025年度中期経営計画を見直し、2027年度を目標とした中期経営計画を2025年1月31日に策定致しました。

その内容は以下の通りであります。

 

 

 

大阪製鐵グループ中期経営計画

 

1.収益改善と資本効率化対策

 2024年3月期ROE(株主資本利益率)は2.1%であり、株主資本コスト(7~8%程度)を下回っており、PBR(株価純資産倍率)は1倍を下回る水準で推移しています。

 収益基盤の確立・強化を最優先課題として収益改善に取り組むと共に、併せて資本効率化対策を推進することで、株主資本コストを上回るROEを目指すこととし、そのステップとして、2027年度にROE5%の達成を図る計画を策定致しました。

 更に、株主・投資家への情報開示・対話などのIR、SR活動の強化を図り、PER向上(期待成長率の上昇、株主資本コストの低下)、ひいてはPBR向上に繋げてまいります。

 

 

  (1)収益改善、事業基盤強化対策

    ①国内事業基盤の強化

 当社の主たる需要分野となる建設分野は、人手不足・働き方改革による工事遅延や資材高により需要が低迷しておりますが、今後も需要は大きく伸びないことを想定しています。当社は、当社製品の強みである高品質(寸法精度・直進性)な商品競争力や納期対応力を最大限活かし、お客様からの更なる評価・信頼を獲得し、業界におけるプレゼンス向上を図ってまいります。また、東日本における東京鋼鐵との販売連携等により、お客様のご要望に応えるきめ細かく機動的な製品供給体制の拡充等を通じた営業強化を推進していきます。

 生産体制につきましては、国内4拠点の有機的な連携を更に強めると共に、省エネ、省人化対策を通じたコスト削減を強化してまいります。主力工場である堺工場においては、省エネ・省CO2型電気炉を2025年度に稼働させ、CO2削減を図るとともに国内トップクラスのコスト競争力を構築します。これまで実施してきた圧延工程の体質強化対策(Sプロ)の効果、今後実行予定の納入対応力向上を目的とした倉庫能力強化対策を加え、堺工場の製鋼~圧延~出荷までの一貫体質強化を図ります。また、輸送業界の働き方改革や輸送時CO2を削減の観点からも、各地区における倉庫能力強化対策を実施してまいります。

 調達面では、主原料であるスクラップの上級屑を中心にした需給タイト化が見込まれる中、安価屑の利用拡大を含めた調達ソースの多様化やスクラップの保管対策をはじめとしたスクラップ調達力の強化を図ります。

 

    ②海外事業の状況

 当社のインドネシア子会社(KOS:PT.KRAKATAU OSAKA STEEL)は、2021年に黒字化しましたが、2022年以降、当期損益赤字が継続しており、2023年期末には▲18億円の債務超過に陥っています。2024年1-9月は▲16億円の当期損益赤字であり、同期末も当期損益赤字の見通しのため、債務超過状態が継続する見通しです。

 5%程度の経済成長が続き、引き続き安定した鋼材需要が見込まれるインドネシアにおける事業改善に注力することとし、その一方で、事業価値を減耗させないために、在庫増減や与受信増減等の一過的な要因を除いた構造的なFCFを四半期ごとにフォローし、それが継続的にマイナスとならないことを基準として事業継続性を総合的に判断していくこととしています。

 仮に事業撤退をする場合には、その時期や方法によっては、200億円規模の損失発生の可能性があります。

 製販連携強化によるプロジェクト向け拡販、大阪製鐵と一体となった事業運営(営業連携強化による販路拡大、ビレット調達)等、実効的な諸施策の継続・強化により事業改善を図ってまいります。

 

 

  (2)資本効率化対策

 今回、ROE向上のため、上記収益改善策の検討と併せ、資本効率の改善策を検討いたしました。その過程で、手元資金について、今後3年間に必要な商品競争力強化、カーボンニュートラル、スクラップ調達力強化等に資する戦略投資、基盤強化投資や老朽更新投資による必要資金を算出するとともに、上記収益改善策により見込まれるキャッシュフローや運転資金を検証した結果、配当性向30%を目途とした配当に加え、今後3年間で300億円を上限とする株主還元策が可能と判断し、これを実施することと致しました。

 その一環として、今般、ROEの向上に加えて、当社の流通株式比率の向上にも資する施策として、自己株式の公開買付けおよび当社が保有する自己株式を消却致します。

 

 

2.サステナビリティ課題の取り組み

 (1)カーボンニュートラルに向けた取り組み

 当社はCO2排出量削減目標として、2030年度に2013年度比46%の削減目標、2050年度のカーボンニュートラルをビジョンとして取り組みを進めています。2024年度には「カーボンニュートラル推進委員会」を設置し、具体的施策・計画の策定、着実な実行に向けたマネジメント強化を図っています。

 CO2削減対策に加え環境認証取得を進め、グリーン商品の拡販に繋げてまいります。

 

 

 (2)人的資本への取り組みとDX推進

 人材の確保・育成および社員のエンゲージメント向上、D&I推進、健康経営の推進に資する人的資本対策は経営の重要課題と位置づけ、継続した取り組みを進めてまいります。また、社員がより生産性の高い職務で能力発揮できるようグループシステム統合やデジタル技術を活用した業務効率化、および操業関連プロセスの省力化投資を積極的に推進してまいります。

 

 

 

 

 

3.経営指標

   以下の経営指標に基づき、持続的な成長と企業価値の更なる向上を目指してまいります。

 

 

2024年度実績

2027年度目標

連結売上高

1,164億円

1,250億円

連結経常利益

49億円

95億円

ROE

2.1%

5%程度

株主還元

配当性向41.0%

配当性向30%程度

+300億円上限/3年

(2025~27年度)

 

 

 

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理

 当社はサステナビリティに係る対応を経営上の重要課題と認識し、以下の「サステナビリティ基本方針」を定めています。

〈サステナビリティ基本方針〉

 大阪製鐵グループは、「人々のために、社会のために、そして地球のために」のスローガンの下、地球に優しく、高品質で、お客様のニーズに応える製品を製造・提供し続けることにより、持続可能な社会の実現に貢献します。

 

 このサステナビリティ基本方針に基づき、ステークホルダー視点で導き出した抽出課題から、当社グループが取り組むべきマテリアリティを以下内容に特定しております。

重要課題グループ

重要課題(マテリアリティ)

サステナブル社会の実現に向けて

地球環境への対応

CO2排出量の削減

社内ゼロエミッションに向けた取り組み

安全・安心な環境づくりに向けて

安全・環境・防災及び品質を最優先とした企業活動の継続

安全最優先の取り組み強化

環境リスクマネジメントの推進

災害リスクの徹底排除

高品質で安全・安心な商品提供

多様な人材の活躍に向けて

人権を尊重し、社員一人ひとりが多様性を活かした働きがいのある職場環境の実現

女性社員が活躍できる雇用環境の整備

多様な人材が活躍できる働き方の実現

(仕事と生活の両立支援)

障がい者が働きやすい職場環境の整備

健康経営

公正で誠実な企業活動に向けて

健全で公正な企業活動を行い、社会の信頼と期待に応える経営を実践

コンプライアンスの徹底

 

 

①ガバナンス

当社は、代表取締役社長が委員長を務め、委員長が指名した者により構成されるサステナビリティ委員会を設置し、年2回開催しております。同委員会において、気候変動に関する事項を含むマテリアリティ(重要課題)の特定やサステナビリティ戦略について審議し、経営会議・取締役会に定期的に報告をする体制を構築しております。

また、経営会議・取締役会は定期的にサステナビリティ委員会より取組状況や目標の達成状況の報告を受けることによりリスク管理の監督を行っております。

 

②リスク管理

 サステナビリティ関連のリスク・管理の特定・評価やリスクの最小化と機会の獲得に向けた方針については、各委員会(全社安全衛生防災会議、カーボンニュートラル推進委員会等)において検討し、これをサステナビリティ委員会に報告します。サステナビリティ委員会はその他のサステナビリティ関連事項とともに取り纏め、社内関係部門・グループ会社に対応を指示します。また、対応策の取組状況や設定した目標の達成状況についても審議し、定期的に経営会議・取締役会に報告しています。

 

(2)気候変動への対応について

 当社グループは、2050年カーボンニュートラルの実現に向けてあらゆる努力を継続的に取り組み、気候変動を含む地球環境リスクに真摯に向き合い、持続可能な社会の実現に向けて貢献していきます。

①戦略

当社グループは気候変動が当社事業に与える影響を、シナリオ分析を活用して想定し、リスクに適切に備えるとともに、ビジネス機会の捕捉に向けた取り組みを推進しております。

シナリオ分析にあたって想定した1.5℃シナリオ、4℃シナリオの世界観および利用した主要な報告書等は下記の通りです。

シナリオ

シナリオ概要

主な参照シナリオ

1.5℃

シナリオ

エネルギー政策や炭素税の導入、また、低炭素技術の幅広い導入により、産業革命前からの平均気温の上昇が1.5℃程度に抑えられるシナリオ。4℃シナリオほどではないが、若干の自然災害の増加がみられる。

鉄鋼の生産には電炉が広く普及し、スクラップの需給がタイトになる。また、低炭素・サステナブルな製品・材料に関する購買活動が活発になる。

IPCC:第6次評価報告書 SSP1-1.9

IEA :Energy Outlook 2024 NZE
   シナリオ

4℃

シナリオ

化石燃料の活用が変わらず旺盛、かつ再生可能エネルギーの導入は限定的であり、平均気温の上昇が産業革命前と比べて4℃程度に達するシナリオ。大雨や熱波などの極端気象が頻発し、労働生産性への影響も含めて社会への影響も大きくなる一方、経済活動は1.5℃シナリオに比べて活発になる。

鉄鋼の生産も電炉等はあまり普及しない。また、低炭素・サステナブルな製品・材料に関する購買志向はあまり上昇しない。

IPCC:第6次評価報告書 SSP5-8.5

IEA :Energy Outlook 2024 STEPS
   シナリオ

 

   (注)IPCC:気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate Change)

     IEA :国際エネルギー機関(International Energy Agency)

 

〈シナリオ分析〉

発現
シナリオ

区分

影響
内容

リスク・機会概要

対応策

発生
時期

影響の大きさ

1.5℃
シナリオ

移行

リスク

政策・法

操業
コスト

炭素税やGHG排出規制をはじめとした気候変動対策のための規制等の導入により操業コスト上昇

省エネ設備や再生可能エネルギー導入等によるGHG排出量削減

短期~中期

政策・法

調達
コスト

炭素税やGHG排出規制をはじめとした気候変動対策のための規制等の導入の影響により、サプライチェーン上の脱炭素コストが上昇し、これにより調達コストが上昇

製品価格への転嫁、調達ソースの拡大による収益力確保

短期~中期

技術

スクラップ調達コスト

鉄鋼事業者における電炉導入が進展することによるスクラップ需給がタイト化し、調達の不安定化や調達コストの上昇などが顕在化

多様な品位の鉄スクラップ使用可能化、調達ソースの拡大による調達量の確保

長期

評判

自社
評判

適切なサステナビリティ開示を実施しない場合、投資家を含めた外部ステークホルダーからの評価が低下

CDPなどをはじめとしたサステナビリティ関連情報の適切な開示の実施

短期~中期

機会

製品・サービス

売上
機会

顧客において低炭素製品に対する要求が高まり、これを満たす電炉により生産された製品の販売機会が増加

グリーン認証等に相当する製品の開発や認証の着実な取得、また市場への適切な訴求

短期

市場

売上
機会

電化の進展により関連設備の需要が増加し、売上機会が増加

コスト・品質競争力の更なる向上及び生産上方弾力性の確保や適切な営業体制構築による需要の捕捉

長期

4℃
シナリオ

物理的リスク

急性

自社の操業への影響

洪水等自然災害の影響により自社の設備が被害を受け、操業に影響が生じることによる生産量減少、また、復旧コストが発生

BCPにおける洪水対策や防災対策の適切な推進

長期

急性

サプライチェーンの途絶

洪水等の自然災害の影響によりサプライチェーン上の事業者の操業が影響を受け、材料等の供給が一時的に途絶することにより生産量が減少

調達ソースの拡大、適正在庫の管理強化

長期

慢性

生産量減少
 

平均気温上昇による労働生産性の低下や労働力の確保の困難化に伴い生産量が減少

省力化投資の推進及び職場環境対策投資の継続

中期~長期

 

(注)1.発生時期 短期:~3年 中期:4~6年 長期:7年~

2.影響の大きさ 

大:数十億円以上の規模の売上の増減もしくは損失または利益といった、業績に大きな影響を及ぼす可能性のあるリスク・機会

中:数億円規模の売上の増減もしくは損失または利益といった、業績に一定の影響を及ぼす可能性のあるリスク・機会

小:業績への影響が軽微であることが想定されるリスク・機会

 

 

②指標及び目標

当社グループでは気候変動に関する取り組みを示す指標として、温室効果ガス(GHG)の排出量を利用しています。当社のGHG削減目標(Scope1+2)及び排出量実績は以下の通りとなります。進捗として、2024年度は2013年度比31%の削減を実行しております。

 Scope1及びScope2以外のその他の間接排出量(Scope3)につきましては、現在算定中です。

 

2023年度排出量実績
(千tCO2)

2024年度排出量実績
(千tCO2)

目標

Scope1
(注)1、2

126

118

2030年度:2013年度比46%削減

2050年度:カーボンニュートラル

Scope2
(注)1、3

266

246

 

(注)1.国内製造拠点のエネルギー及び炭材起因CO2を対象に算定

(注)2.環境省データベースを使用

(注)3.調整後排出係数(2023年度確定値)を使用

 

 

 

(3)人的資本、多様性について

①人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針とその実施状況

ⅰ.人材育成基本方針

当社グループは、人的資本が企業価値を構成する最重要な価値と位置づけ、経営理念において、「全ての力を人材育成と技術力強化に向け、自己実現を通じ、社会に貢献します」と行動指針を定めております。

当社グループの人材育成の基本は、上司と部下が業務に関し日々の対話を重ねながら、具体的な業務スキルを伝えていくものです。あわせて人材育成に関する社内環境整備を図ることによる実効性ある人材育成施策を講じて、最終的に社会貢献を果たしていくとともに、従業員エンゲージメントの最大化も図ってまいります。

当社グループは、サステナビリティの基本方針(マテリアリティ)に、「地球環境への対応」「人権を尊重し、社員一人ひとりが多様性を活かした働きがいのある職場環境の実現」を掲げており、

・新しい技術や社会的課題に積極果敢にチャレンジできる人材

・多様性を尊重し、対話と協働による持続的な成長ができる人材

・当社グループの成長戦略であるインドネシアプロジェクトを中心にグローバルに活躍できる人材

の育成に重点的に取り組んでまいります。

 

1)技術職の人材育成

技術職の人材育成は、当社の技術力を根幹から支えており、円滑に技能伝承を行うことが必須であり、入社した従業員全員を一人前に育て上げる仕組みの構築が必要不可欠なため、習得すべき技能を明確にした上で上司と部下が会話し、具体的な育成計画を作成・実行しております。また、必要な資格取得の特別講習や、指導員としての役割意識の向上及び日常におけるコミュニケーション能力の向上等を図る「指導員研修」、ストレスマネジメント等を学ぶ「教わり方研修」などのOFF-JT研修を階層別に実施し、一人ひとりがスキルアップの向上が図れる人材育成に努めております。

 

2)スタッフ系人材育成

スタッフ系についてはOJTを基盤とした人材育成を進めております。具体的には、上司・部下との対話をより活発化させ、相互の意思疎通を深め、目標の設定・共有化を図ることを目的とした「個人育成対話シート」の取り組みにより、PDCAを効果的に回す仕組みを構築しております。とりわけ入社後一定期間を育成期間と定め、全社適材適所を目指した人員配置/ローテーションを行い、経営方針に基づくOJTによる人材育成を図るとともに、各世代にわたり階層別研修や目的別研修の充実化を図り、DX研修や部門別エキスパート研修、海外人材育成研修等のOFF‐JT研修による人材育成を進めております。

 

3)管理者人材育成

マネジメントを狙いとした管理職研修をはじめ、管理者としての成長、経営層への登用等も踏まえた階層別研修や管理職の役割、責任を正しく理解した上で、円滑に管理者としてのスタートを切るべく新任管理者研修等のOFF-JT研修を実施しています。当社グループの中枢を担う人材育成強化を目指して、更に充実を図ってまいります。

また、海外事業等においてジョブ型雇用を進めております。今後、多様化する雇用形態に対応した制度化、人材育成施策の充実をさらに推進してまいります。

 

ⅱ.社内環境整備方針

当社グループの経営計画、人材育成基本方針に基づき、現在~将来にわたる人材ポートフォリオを整備し、階層別、社員区分別の人員配置・人材育成に視点を当てたローテーション計画を作成した上で、人事施策、人材育成施策に反映しております。

人材ポートフォリオにおいては、成長戦略で海外事業に関連する人材、地球環境に対応しうる人材、DX対応人材、将来の経営を担う人材等、事業継続性を考慮した中で細分化した上で策定し、必要な人材育成施策の検討に繋げています。その結果を踏まえ、時代の変化に応じた要員管理、人員配置、ローテーション施策を実行してまいります。

 

 

②指標及び目標(提出会社)

 当社グループでは、上記「①人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針とその実施状況」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に係る指標については、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取り組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われていないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、次の指標に関する実績は、当社グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。

指標

目標

2024年度実績

管理職に占める女性労働者の割合(注1)

2025年:21年度比2倍(約3

2030年:21年度比3~4倍(約4.5~6%)

1.3

男性労働者の育児休業取得率(注2)

50以上

64.7

育児休業と育児目的休暇を合わせた取得率(注3)

80以上

94.1

労働者の男女の賃金の差異(全労働者)(注4)

中長期目標100

85.1

 同(正規雇用労働者)

 〃

83.1

 同(パート・有期労働者)

 〃

75.3

有給休暇平均取得率

80以上

84

人材活性化研修実施率

100

100

 

(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

3.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第2号における育児休業及び育児目的休暇の取得割合を算出したものであります。

4.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

正規雇用労働者においては、それぞれの社員に求められる役割とそれに伴う配置のあり方に応じて、管理職、スタッフ、エリアスタッフ、技術職の区分を設定し、区分別の給与制度を設けております。各区分の給与制度および評価・運用は、男女の別なく全社員同一としております。

男女の賃金差異は、男女それぞれの社員数に占める各区分の構成比が異なることや、同一区分内でも男女での平均勤続年数が異なることによって発生しております。

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

 

(1)鋼材需給の変動

 普通鋼電炉業界は、国内において需要量に対し供給能力過剰の構造にあり、過剰生産及び販売による販売価格の下落リスクがあります。また、東アジア諸国を中心とした需給バランスの変化等による海外市況の下落リスクがあり、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社は、鋼材の需要・供給動向を十分に見極めながら、需要に見合った生産に努め、当該リスクの最小化に取り組んでおります。

 

(2)原料価格等の変動

  鋼材の生産に必要な鉄スクラップ、副原料である合金鉄や各種資材等は、国際マーケットで取引されており、東アジア諸国を中心とした鉄鋼生産の変動や、環境負荷低減へ向けたリサイクル資源である鉄スクラップの使用拡大等による価格の高騰及び乱高下リスクがあり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
 当社は、生産に見合った原料等の最適調達に努め、当該リスクの最小化に取り組んでおります。
 

(3)電力供給等

 大量の電力を使用する当社グループは、地域紛争などによる原油や液化天然ガスなど資源価格の変動や再生可能エネルギーの拡大、脱炭素化に向けた電力需給環境の変化により、電力購入価格が大幅に上昇するリスクがあります。また、国内各発電所の稼働状況及び天候等の影響により電力需給が逼迫した場合、電力供給の制約を受ける可能性があります。
 当社は省資源・省エネルギーを追求した鋼材の生産に努め、当該リスクの最小化に取り組んでおります。

 

(4)海外投資等

  当社はインドネシア共和国に連結子会社を所有しております。同社の業績は、市場環境の変化は元より、為替相場の変動や同国の政治・経済情勢及び法規制等が変化した場合、影響を受けます。また、同国において突発的な政情不安及び自然災害等が発生した場合、工場の操業休止等の事態に陥るリスクがあります。これらのリスクが顕在化した場合、当社グループの業績に悪影響が生じる可能性があります。
 当社グループは、グループ一貫での連携強化に努め、当該リスクの最小化に取り組んでおります。
 

(5)人材確保・育成

 当社グループの成長のためには、有能な人材の確保及び育成が重要な課題でありますが、少子高齢化に伴う労働需給の逼迫は、今後の当社グループの事業活動、業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社は、採用チャネルの拡大やソースの多様化による採用力の強化、IT技術等の活用による労働生産性の向上、実効性ある人材育成施策の推進、従業員エンゲージメントの最大化を図るなど、人的資本の充実・強化に努め、当該リスクの最小化に取り組んでおります。
 

 

(6)設備投資等

  製鉄事業は資本集約的産業であり、継続的に多額の設備投資及び設備修繕支出を必要とします。老朽化した設備の更新等を行う際は、できる限りの機能向上や省エネルギー対策を織込みながら実行しております。しかしながら、これらが計画通りに立ち上がらず効果が十分に発揮できない場合、当社グループの業績や財政状態に悪影響が生じる可能性があります。
  当社は、現在、堺工場において省エネ・省CO2型電気炉の建設を進めており、計画通りの立ち上げに向け、プロジェクト体制を敷くなど、リスクの最小化に取り組んでおります。
 

(7)気候変動

 当社グループは気候変動の影響を受けることにより業績に悪影響が生じる可能性があります。

 想定されるリスク及び対応については、第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組(2)気候変動への対応について に記載のとおりであります。

 

(8)各種自然災害や感染症の拡大等

 当社グループの各事業所において大規模な台風、地震等の自然災害及び感染症の拡大等に見舞われた場合、事業活動が制約を受けることにより、業績に悪影響が生じる可能性があります。

  各種自然災害については、耐震工事等のハード対策の実行に加え、対応マニュアルの整備を進めるとともに、全事業所において各種訓練の実施や工場パトロールを行っております。これらの訓練を通じ、継続して工場の緊急事態対応力の強化を図っております。
 また、感染症対策につきましては、新型コロナウイルス感染症への対応を通じて確立した制度とその運用の定着を図っております。

 

(9)設備事故、労働災害等

  当社グループの製鉄事業の生産活動は、電気炉、取鍋精錬炉、連続鋳造機、加熱炉、圧延機、発電設備等の特定の重要設備に依存しています。これらの設備において、電気的または機械的事故、火災や爆発、労働災害等が生じた場合、操業の中断による生産・出荷の遅延、費用や補償の支払いなどの発生、また当社グループの信用・信頼を損なうことにより、業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
  当社グループは、人材の確保、安全環境防災教育をはじめとした人材育成や技能伝承に向けた取り組み及び日々の設備メンテナンスや老朽化設備の更新等、人と設備の両面から基盤整備・強化策を推進しております。
 

(10)品質問題等

 当社グループは、鉄鋼製品を顧客に提供しております。製品に欠陥が見つかり品質問題が生じた場合は、顧客等から代品の納入や補償を求められるほか、当社グループまたは当社グループの製品に関する信頼が損なわれて売上が減少すること等により、当社グループの業績や財政状態に悪影響が生じる可能性があります。
  当社は、「品質は会社の鏡 一人一人が責任者」のスローガンをもとに、「常にお客様の信頼と満足を得る品質を提供する」、「関連する法律、規制を遵守して、各プロセスで発生するあらゆる不適合を低減する」等の品質方針を定め、内部品質監査の充実など、様々な取り組みを実施しております。
 

(11)情報システムの障害

  当社グループの事業活動は、情報システムの利用に大きく依存しており、また、自社及び顧客・取引先の営業機密や個人情報等の機密情報が情報システムに保管されております。当社グループの情報システムにおいて、悪意ある第三者からウイルス感染等のサイバー攻撃等により、システム停止、機密情報の外部漏洩や毀損・改ざん等の事故が起きた場合、生産や業務の停止、訴訟、社会的信用の低下等により、当社グループの業績等に悪影響が生じる可能性があります。
  当社においては、技術情報をはじめとする機密情報の漏洩対策については最重要の経営課題のひとつとして認識し、情報セキュリティ基盤の強化対策を実行しつつ、重要なシステム及びネットワーク等については、二重化してデータセンターへ移設し、堅牢な環境下で運用管理をしております。さらに加えて、社員の情報セキュリティ意識を向上すべく、情報セキュリティ教育や疑似不審メールによる訓練等の対策も実施しております。 

 

 

(12)事業活動にかかる環境規制

当社グループは、事業活動を行う日本及びインドネシアにおいて、大気・水・土壌の汚染、化学物質の利用、廃棄物の処理・リサイクル等に関する広範な環境関連規制の適用を受けており、今後、これらについて、より厳格な規制が導入されたり、法令の適用・解釈が厳しくなったりすることにより、当社グループの事業活動の継続が困難となったり、法令遵守のための費用が増加する可能性があります。
 これらのリスクについて、当社グループは事業所毎に異なる環境リスクへのきめ細やかな対応や各地域の環境保全活動を通じた環境リスクマネジメントを推進し、グループ全体での環境負荷軽減に取り組んでおります。
 また、当社グループは今後化石燃料の利用に対する新たな規制等が導入された場合には、当社グループの事業活動が制約を受けたり、費用が増加したりする可能性があります。
 当社は省資源・省エネルギーを追求した鋼材の生産に努め、当該リスクの最小化に取り組んでおります。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、当社グループは普通鋼の生産及び製品等の販売並びにこれらの運送を営む単一のセグメントとなっております。

また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営成績等の状況の概要

①経営成績の状況

当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ0.6%減少し1,164億2千4百万円、経常利益は同22.1%減少し49億1千1百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同3.4%増加し32億2千7百万円となりました。

 

②財政状態の状況

イ 資産

流動資産は、前連結会計年度に比べ5.4%減少し、1,088億9千万円となりました。これは、主として、現金及び預金が42億3千万円増加し、売掛金が41億5千7百万円、未収入金が29億8千1百万円、預け金が32億2百万円減少したことによるものです。

固定資産は、前連結会計年度に比べ5.5%増加し、945億9千4百万円となりました。これは、主として、機械装置及び運搬具が9億7千5百万円、建設仮勘定が29億3千7百万円増加したことによるものです。

この結果、総資産は、前連結会計年度に比べ0.6%減少し、2,034億8千5百万円となりました。

ロ 負債

流動負債は、前連結会計年度に比べ10.9%減少し、403億7千9百万円となりました。これは、主として、短期借入金が16億4百万円増加し、支払手形及び買掛金が74億4千5百万円減少したことによるものです。

固定負債は、前連結会計年度に比べ2.3%減少し、48億9千4百万円となりました。

この結果、負債合計は、前連結会計年度に比べ10.1%減少し、452億7千3百万円となりました。

ハ 純資産

純資産合計は、前連結会計年度に比べ2.5%増加し、1,582億1千1百万円となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ10億2千8百万円増加し、441億4千万円となりました。

イ 営業活動によるキャッシュ・フロー

営業活動の結果、得られた資金は76億1千3百万円(前連結会計年度10億6千7百万円の支出)となりました。収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益53億4千5百万円、減価償却費47億8千6百万円、売上債権の減少額49億8千7百万円、未収入金の減少額29億8千5百万円、支出の主な内訳は、仕入債務の減少額85億3千2百万円、法人税等の支払額24億7千8百万円、未払金の減少額9億7千8百万円であります。

 投資活動によるキャッシュ・フロー

投資活動の結果、使用した資金は58億7千5百万円(前連結会計年度29億2千3百万円の支出)となりました。収入の主な内訳は、補助金の受取額10億9千5百万円、支出の主な内訳は、固定資産の取得額74億5千9百万円であります。

ハ 財務活動によるキャッシュ・フロー

財務活動の結果、使用した資金は14億7千2百万円(前連結会計年度166億3千3百万円の支出)となりました。支出の主な内訳は、配当金の支払いによる支出11億4千8百万円であります。

 

生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。

a.生産高

(当連結会計年度)

 

品目

生産数量(千トン)

前年同期比増減率(%)

鋼片

1,009

△8.5

鋼材

1,050

△2.7

 

 

 

b.受注実績

(当連結会計年度)

 

品目

受注高
(百万円)

前年同期比増減率(%)

受注残高
(百万円)

前年同期比増減率(%)

鋼材・鋼片

112,519

△2.9

9,628

△36.9

 

 

 

c.販売実績

(当連結会計年度)

 

品目

販売高(百万円)

前年同期比増減率(%)

鋼材

108,144

△2.2

鋼片他

8,279

26.8

合計

116,424

△0.6

 

 

(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

 

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

 

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

 

日鉄物産㈱

29,491

25.2

27,846

23.9

 

PT.KRAKATAU WAJATAMA OSAKA STEEL MARKETING

18,637

15.9

24,207

20.8

 

エムエム建材㈱

15,007

12.8

14,134

12.1

 

 

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 ①重要な会計方針及び見積り

当社の連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、本報告書「第5 経理の状況」に記載しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

なお、財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 イ.当連結会計年度の経営成績等の分析

当期の国内経済につきましては、高水準の企業収益を背景に設備投資は底堅く推移し、雇用・所得環境の改善により個人消費に持ち直しの動きがみられた一方、鉱工業生産の停滞や物価高影響からくる消費マインドの悪化もあり、緩やかな回復傾向にあるものの、力強さを欠いた状況となりました。
 当社の主要需要先である建設業界の需要は、資機材価格の上昇や人手不足の影響が継続し、前年より更に落ち込み低迷いたしました。コスト面におきましても、電力会社の契約見直しによる電力料の高騰に加えて2024年の物流問題に端を発した物流費の本格的な上昇があり、主原料である鉄スクラップ価格は一定程度低下したものの、厳しいコスト環境が継続いたしました。
 当社が事業を営むインドネシアの経済につきましては、堅調な個人消費や輸出を背景にGDP成長率は5%台を維持するなど緩やかに回復いたしました。
 このような環境の下、お客様の理解を得ながら販売価格の維持を図り、適正なマージンの改善を最優先課題として取り組むとともに、自助努力による徹底的なコスト改善を進めてまいりましたが、営業利益及び経常利益は前期実績を下回る結果となりました。

 

 

 ロ.当連結会計年度における重点課題への主要な取り組み

現場活動を中心とした地道な歩留・原単位の改善を継続するとともに、堺工場の省エネ・省CO2型電気炉(2025年完工)の本工事の開始や西日本熊本工場の新製品倉庫の完工など、各拠点において計画に沿った設備投資を実行してまいりました。

これら施策と並行し、サステナビリティ課題への取り組みを推進しております。人的資本強化として、従業員の給与水準の引き上げや11月には健康経営宣言を策定するなど、従業員エンゲージメント向上策を推進いたしました。環境面においては、カーボンニュートラル推進委員会を設置し、CDPの気候変動スコアの取得(B-)やSCOPE3でのGHG排出量の算定に取り組むなど、2050年度カーボンニュートラルに向けた取り組みを強化しております。また、共生の森づくり活動への参画や当社に続いてグループ会社においてもマレーシアSIRIMエコラベルを取得する等、環境対応も実行しております。

インドネシア事業につきましては、鉄塔向け形鋼の需要捕捉や高付加価値棒鋼の拡大などにより出荷量は増加し、コスト改善も進展したことにより、収益面では前年に比べ改善したものの、引き続き厳しい収益・財政状況が継続しております。

なお、本年1月には、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応として「大阪製鐵グループ中期経営計画」を策定・公表いたしました。収益改善対策と資本効率化対策を計画し、資本効率化対策・株主還元策の一環として本年4月に自己株式9,000,000株を22,050百万円にて取得しております。

 

 

(3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料や副資材の購入費用のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は主に設備投資によるものであります。

株主還元につきましては、大阪製鐵グループ中期計画におきまして連結配当性向30%程度を目標としております。当社の配当政策につきましては、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載しております。

今後の資金需要の主なものは、設備の新設、改修等に係る投資額等でありますが、その財源は自己資金にてまかなう予定としております。

 

 

(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当期における当社グループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等は、本報告書「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)対処すべき課題」に記載しております。

 

 

 

 

5 【重要な契約等】

該当事項はありません。

 

 

 

 

 

 

 

6 【研究開発活動】

当社は新商品開発、製造プロセス改善、圧延生産性向上、ビレット及び製品品質向上をテーマに上げ、技術開発・操業改善に取り組んでおります。

なお、当連結会計年度においては、新商品開発にかかる研究開発費を35百万円計上しております。