第2 【事業の状況】

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中における将来に関する事項は、当年度末現在において当社が判断したものです。

当社は、「グローバル・メジャー・ブランド(以下「GMB」)」すなわち「最も多くのお客様から信頼されることによって、最も多くの社会貢献をなしうる企業(ブランド)」となることを長期目標としております。この実現を加速するため、2030年を見据えた長期ビジョン「GMB2030」の中で、当社のあるべき姿として「豊かな社会と自然の循環にコミットする命を支えるプラットフォーマー」を掲げております。食料の生産性・安全性を高めるソリューション、水資源・廃棄物の循環を促進するソリューション、都市環境・生活環境を向上させるソリューションを通じて持続可能な社会へ最大限の貢献をすることにより、長期にわたる持続的発展をめざすべく、次の内容に取組んでおります。

 

(1) ESGを経営の中核に据えた事業運営の推進

企業の社会的責任がますます重くなる中で今後もサステナブルな企業であり続けるため、当社はESGを意識した当社独自の取組み(K-ESG)を進めていきます。「食料・水・環境」分野を事業領域とし「環境負荷低減・社会課題解決」に事業として取組む企業として、ESGの一般的な施策に加え、クボタグローバルアイデンティティ(企業理念)に根差した事業活動を推進することによって企業としての存在価値を高めていくことをめざします。

 

(2) GMB2030実現の土台づくり

現在、当社が進めている中期経営計画2025は、2025年までの5年間をGMB2030実現のための土台づくりを行う期間と位置付け、5つのメインテーマ「ESG経営の推進、次世代を支えるGMB2030の実現への基礎づくり(次世代成長ドライバー候補の確保)、既存事業売上高の向上、利益率の向上、持続的成長を支えるインフラ整備」と、共通テーマとしてのDXの推進を中心に取組むものです。しかし、当社を取巻く事業環境は大きく変化しており、グローバル化の新たな局面に対応しつつ、事業運営のスピードを上げて中期経営計画2025やGMB2030を実現させるためには、選択と集中や重点志向によりリソースを生み出す必要があります。そこで「製品・事業ポートフォリオの見直し」、「経営体制(フォーメーション)の改革」、「バックオフィス機能の充実」、「オペレーション(業務)の変革」に取組むことでリソースを確保し、GMB2030の土台づくりを進めます。

 

製品・事業ポートフォリオの見直し

中期経営計画2025の成長ドライバーについては、北米建設機械事業の拡大と水・環境事業のソリューションビジネスへの転換は順調です。一方で、その他の成長ドライバーはもう一段の加速が必要ですが、経営リソースの不足が課題となっております。その対応策として技術・製品・事業ポートフォリオの見直しを行い、全方位ではなく収益の上がる成長ドライバーや当社の未来を担う事業へリソースをシフトさせていきます。

 

経営体制(フォーメーション)の改革

経営体制は、売上高が現在の半分以下であった10年前と本質的には大きく変わっておりません。一方、単なる製品販売・サービス事業からソリューションプロバイダーになるには、より一層の事業部門間の連携強化と社外パートナーとの協力関係構築が必要です。また、グローバル企業として発展していくためには、本部と各地域の連携強化により、スピード感のあるマーケットイン活動を行い、各地域で競争優位に立つ展開を図る必要があります。これら2つの観点から、現在の経営体制が今後持続的成長を遂げるための体制として最適かどうか、今一度検討し、必要な改革を行います。

 

バックオフィス機能の充実

当社は様々な事業や製品を生み出すことで売上拡大を成し遂げてきましたが、海外売上高比率が7割を超え、開発・製造機能の海外移転が進むなか、これからの体制にマッチしたバックオフィス機能を作り上げる必要があります。各々の機能強化に取組みつつ、権限と責任が明確でコミュニケーションがしっかり取れる「One Kubota」の体制づくりを進めます。

 

オペレーション(業務)の変革

当年度は特に新型コロナウイルス感染症や地政学的問題に伴うサプライチェーンの混乱等への対応でイレギュラーなオペレーションが発生しました。まずはそれを正常化することが必要です。その上で製造現場、事務所部門のどちらもKPS(Kubota Production System/クボタ生産方式)の考え方に基づき、その業務は本当に必要かという原点に立ち返り、業務そのものを見直した上で、AI等のDXによる業務の進化・変革に取組んでいきます。

 

(3) 中期経営計画2025の推進

当年度における中期経営計画2025の各テーマの進捗状況は次のとおりです。

「次世代を支えるGMB2030の実現への基礎づくり(次世代成長ドライバー候補の確保)」については、KSAS(クボタスマートアグリシステム)のオープン化により社外との連携が進みました。

「既存事業売上高の向上」については、北米でのコンパクトトラックローダ生産開始により供給能力が向上しました。また、水・環境ソリューションではクボタ初のコンセッション(自治体からの下水処理事業の運営委託)案件を獲得し、ソリューションビジネスへの転換が進んでおります。

「利益率の向上」については、海外部品事業が順調に拡大していることに加え、様々な体質強化活動も進んでおります。

「持続的成長を支えるインフラ整備」については、海外への生産移管やBCP対策投資が進みました。

「共通テーマとしてのDXの推進」については、AIデータ分析や動画解析等による製品・サービス・生産現場での変革やビジネスプロセスについても事務の自動化やペーパーレス化を進めました。

 

2 【事業等のリスク】

当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況に重要な影響を及ぼす可能性のある主要なリスクには次のようなものがあります。

なお、文中における将来に関する事項は、当年度末現在において当社が判断したものです。

 

(1) 経済状況

当社製品には生産財・資本財が多いため、民間設備投資、建設投資、国内公共投資等の低迷により、当社製品の需要が減退し、売上が減少する可能性があります。また、農業政策が農業関連製品の売上に影響を与える可能性があります。海外、特に欧米においては、小型トラクタ等の売上が個人消費や住宅建設投資等の一般景気の低迷により減少する可能性があります。これらの結果、当社の経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 原材料の価格高騰・調達難

当社は外部の供給業者から多くの原材料、部品を調達しております。また、事業のグローバル化に伴って海外生産拠点での調達も増加しており、世界規模での調達網の構築による最適地調達を推進しております。しかし、原材料、部品の価格が需給の逼迫や市況の変動等によって急激に高騰し、それが長期化した場合は利益を減少させる可能性があります。また、原材料、部品の調達に支障をきたした場合、製品の製造や販売が困難となり、売上が減少する可能性があります。これらの結果、当社の経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 国際的事業展開に伴うリスク

当社が大規模な海外展開を行っている事業は、海外事業に付随したリスクを抱えております。これらのリスクが顕在化した場合、安定的な製品の製造及び販売が困難になり、売上の減少や調達・輸送コストの増加等により当社の経営成績等に重要な影響を及ぼし、成長を阻害する可能性があります。重要なリスクとしては次のようなものがあります。

① 重要な市場における政府による許認可政策や補助金政策の変化に伴うリスク

② 国際貿易政策による予期せぬ関税や輸出入割当量の変化に伴うリスク

③ 各国法規制の予期せぬ変化に伴うリスク

④ 地政学リスク

⑤ 発展途上国における未成熟な技術水準や不安定な労使関係

⑥ 人的資源確保の困難性

⑦ サプライチェーンやロジスティクスの混乱に伴うリスク

⑧ 各国税制の予期せぬ変化に伴うリスク

⑨ 移転価格や事前確認申請の交渉における予期せぬ結果に伴うリスク

 

(4) 為替レートの変動

当社は海外に経営成績等に大きく貢献する複数の製造・販売・金融子会社を有しております。各海外子会社の現地通貨建ての財務諸表は、円換算後に連結財務諸表に反映されております。また、親会社が海外の子会社や外部顧客に輸出する場合、その取引の多くは現地通貨建てで行われ、獲得した外貨は円貨へと換算されます。従って、現地通貨と円貨との為替レートの変動が経営成績等に影響を与えます。通常は他の通貨に対して円高になれば当社の経営成績等にマイナスの影響を及ぼします。為替レートの変動によるマイナスの影響を軽減するため、地産地消を目的とした生産拠点の現地への移行を進めております。また、先物為替契約等のデリバティブを利用しております。しかし、これらの活動にもかかわらず、著しい為替レートの変動は当社の経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 金利変動リスク

当社は有利子負債を有しており、これらは固定金利または変動金利が課されております。金利が上昇した場合、支払利息が増加するほか、金融事業に関連して特に米国において、インセンティブコストが上昇します。金利の上昇による影響を軽減するため、金利スワップ契約等のデリバティブにより金利の変動に対応しております。しかし、こうしたリスクヘッジにもかかわらず、著しい金利水準の変動は当社の経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 株式相場の変動リスク

当社は有価証券を保有しており、その大半が株式であるため株式相場の動向次第で公正価値が大きく変動する可能性があります。また、株式相場の下落により退職給付制度に関する制度資産が減少する可能性があります。なお、制度資産については許容できるリスクのもとで可能な限りの運用成果を上げることを運用方針としており、リスクを分散するため、金利変動リスク、経済成長率、通貨の種類等の投資収益に影響する要因を考慮の上、投資先の産業、会社の種類、地域等を慎重に検討してポートフォリオのバランスをとっております。しかし、有価証券の公正価値変動、制度資産の減少が当社の経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 第三者との戦略的提携、合併・買収等の成否

当社は今後も第三者との提携、合併・買収等に取組み、新たな成長を模索する可能性がありますが、このような活動の成否は事業を取巻く環境、取引相手の能力、あるいは当社と相手が共通の目標を共有しているか否か等に影響されると考えられます。このような活動が成功しない場合や投資に対するリターンが予想を下回る場合は、収益性の悪化により当社の経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 他社との競争

当社は各事業において競合他社との厳しい競争にさらされているため、取引条件、研究開発、品質等で競争優位性を維持できない場合には、売上の減少等により経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 製品やサービス

当社は品質教育の実施、品質問題の未然防止への取組み及び品質に関する社内監査等を実施し、品質の維持・向上に努めております。しかし、当社が提供する製品やサービスに重大な契約不適合や欠陥があった場合、賠償責任を負うことで多額の費用が発生する可能性があります。また、そのような事態が発生した場合には、当社に対する社会的評価及びブランド価値の低下を招き、当社製品に対する需要が減退し、売上が減少する可能性があります。これらの結果、当社の経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(10) 環境汚染、公害等

当社は環境法令を確実に遵守して環境事故を未然に防止するため、環境マネジメントシステムを構築し、ルールに基づいた業務運営と環境保全活動の継続的な改善に努めております。しかし、これらの努力にもかかわらず、当社が有害物質の排出・漏洩、大気汚染、水質汚濁、土壌汚染等を引き起こした場合、その是正措置をとるために多額の費用や支出が発生したり、訴訟に発展したりする可能性があります。この結果、当社の経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(11) アスベスト関連

当社は過去、1954年から2001年にわたりアスベストを含む製品の製造に携わっておりました。アスベスト健康被害に関連して、健康被害にあった方々への支払や訴訟に関する費用が発生し、それらの費用が多額になるような場合には、当社の経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(12) コンプライアンスリスク

当社は法令遵守と倫理に基づいた企業活動を行う旨を宣言し、当社の取締役、執行役員及び従業員が事業遂行にあたって、各種法令や倫理基準並びに社内行動規範等から逸脱した行為を行うことがないよう、グループ全体への徹底を図っております。しかし、万一、それらの行為が発生し、当社がコンプライアンス上の問題に直面した場合には、監督官庁等からの処分、訴訟の提起や社会的信用の失墜等を招き、売上の減少や費用の増加等により当社の経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(13) ITシステム及びネットワーク

当社はデータ及びITシステムの機密性、可用性及び完全性といった情報セキュリティを毀損するような一定のリスクを抱えております。これらのリスクを低減すべく、適切な情報管理を目的としたセキュリティシステム、方針・方策、過程、手法、専門チームや技術を構築しております。しかし、これらの努力にもかかわらず、当社のITシステム及びネットワーク上の問題が発生した場合、業務運営の中断によって事業機会を喪失するほか、社内情報流出に伴う損害賠償責任を負ったり、知的財産権を侵害されたりする可能性があり、多額の費用や支出が発生する可能性があります。また、そのような事態が発生した場合、当社に対する社会的評価及びブランド価値の低下を招き、当社製品に対する需要が減退し、売上が減少する可能性があります。これらの結果、当社の経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(14) 環境規制への対応

当社は製造販売する製品や事業活動に関する様々な環境規制に対応する必要があります。今後さらなる規制の強化、例えば温室効果ガス排出規制や排ガス規制、主要材料の使用制限等が行われた場合、その対応のために相当のコスト負担をする可能性があり、それが当社の経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(15) 自然災害等予測困難な事象による被害

当社は日本、北米、欧州及びアジア等で事業活動を営んでおります。それらの国・地域において予測困難な事象が発生した場合、原材料の調達を含む製品の製造や物流、販売活動に被害を受けることにより、当社の経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。予測困難な事象には、地震や津波、洪水、台風、干ばつといった自然災害や感染症の流行、戦争やテロ、火災等の事故及び情報システムや通信ネットワークの停止、電力供給の停止または不足等が含まれます。昨今、地球温暖化や気候変動により、世界中で災害リスクが高まっております。また、日本は世界でも有数の地震多発国であり、強度の地震もしくは津波の被害を受ける可能性があります。

なお、新型コロナウイルスの感染拡大がいまだ収束しない中、当社は各国政府や地域行政機関の方針に従いながら、社内外への感染拡大の防止とお客様をはじめとする関係者の安全確保を最優先に考えて事業活動を行っております。また、事業活動の様々な場面でオンラインを活用しているほか、拠点の特性に応じた在宅勤務の促進やそれに向けた制度・環境の整備に取組んでおります。

しかし、新型コロナウイルス感染拡大の収束時期や将来的な影響は依然として不透明であり、現時点では想定が困難です。今後、感染拡大の状況が悪化した場合には、当社の経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中における将来に関する事項は、当年度末現在において当社が判断したものです。

 

(1) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

当年度における、経営者の視点による当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

 

① 経営成績

当年度の売上高は前年度比4,820億円(21.9%)増加して2兆6,788億円となりました。

国内売上高は水・環境は増収となりましたが、機械が農業機械等を中心に減収となったほか、その他も減収となったため、前年度比4億円(0.1%)減の6,024億円となりました。

海外売上高は機械、水・環境ともに増収となり、前年度比4,824億円(30.3%)増の2兆764億円となりました。当年度の海外売上高比率は前年度比4.9ポイント上昇して77.5%となりました。

営業利益は値上げ効果や為替の改善等の増益要因がありましたが、原材料価格の上昇や物流費の増加等の減益要因により、前年度比256億円(10.5%)減の2,189億円となりました。税引前利益は営業利益の減少により前年度比170億円(6.8%)減少して2,339億円となりました。法人所得税は591億円の負担、持分法による投資損益は16億円の利益となり、当期利益は前年度比128億円(6.8%)減の1,764億円となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は前年度を186億円(10.6%)下回る1,562億円となりました。

 

事業別セグメントの外部顧客への売上高及びセグメント利益の状況は次のとおりです。

(機械)

当事業セグメントでは主として農業機械及び農業関連商品、エンジン、建設機械の製造・販売等を行っております。

当事業セグメントの売上高は前年度比24.8%増加して2兆3,280億円となり、売上高全体の86.9%を占めました。

国内売上高は前年度比2.5%減の3,026億円となりました。農業機械及び農業関連商品が米価低迷や経営継続補助金の終了により減収となりました。

海外売上高は前年度比30.3%増の2兆254億円となりました。北米では、トラクタは市場縮小傾向にあるもののディーラー在庫充足のための出荷が進んだことにより、建設機械はインフラ工事需要により増収となりました。欧州では、建設機械、エンジンを中心に堅調に推移しました。アジアでは、タイは前年度の政府事業の反動により稲作向け機械は減少となりましたが、畑作市場の開拓が堅調に進みました。中国では、排ガス規制前の駆込みもありトラクタは増加しましたが、上半期のロックダウンによる田植機等の減販をカバーするには至りませんでした。インドでは、第2四半期連結会計期間からエスコーツ Ltd.(現 エスコーツクボタ Ltd.、以下「EKL社」)を連結子会社化したことにより増収となりました。

当事業セグメントのセグメント利益は値上げ効果や為替の改善等の増益要因がありましたが、原材料価格の上昇や物流費の増加等の減益要因により前年度比4.7%減少して2,371億円となりました。

 

(水・環境)

当事業セグメントでは主としてパイプシステム関連製品(ダクタイル鉄管、合成管等)、素形材・都市インフラ関連製品(反応管、スパイラル鋼管、空調機器等)、環境関連製品(各種環境プラント、ポンプ等)の製造・販売等を行っております。

当事業セグメントの売上高は前年度比7.3%増加して3,276億円となり、売上高全体の12.2%を占めました。

国内売上高は前年度比4.1%増の2,766億円となりました。環境関連製品は前年度の排水ポンプ車特需の反動により減収となりましたが、パイプシステム関連製品は値上げ効果や合成管の増加により、都市インフラ関連製品は国内工場向けが順調で増収となりました。

海外売上高は反応管等の素形材が堅調で前年度比28.6%増の510億円となりました。

当事業セグメントのセグメント利益は原材料価格の上昇を値上げでカバーするも、インフレ等による経費の増加により前年度比22.5%減少して173億円となりました。

 

(その他)

当事業セグメントでは主として各種サービスの提供等を行っております。

当事業セグメントの売上高は前年度比12.8%減の232億円となり、売上高全体の0.9%を占めました。

当事業セグメントのセグメント利益は前年度比16.5%減少して31億円となりました。

 

上記のとおり、当年度は、前年度から続くサプライチェーンの逼迫と混乱に加え、地政学リスク、エネルギー価格の高騰をはじめとしたインフレの加速等により、市場環境が激変した1年でした。

当社は中期経営計画2025を推進しており、当年度における進捗状況については「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 中期経営計画2025の推進」に記載のとおりです。また、こうした厳しい環境下において、市場開拓の加速を目的としたインドのEKL社の連結子会社化や、グローバルな研究開発体制の構築を目的とした日本や北米における大型研究開発拠点の開設等、将来の成長につながる布石を打ちました。

一方で、市場環境が激変する中、中期経営計画2025を達成し長期ビジョン「GMB2030」を実現させるために、グローバル化の新たな局面への対応及び事業運営のスピード向上が必要な状況となっております。当社が置かれている状況及び対処すべき課題については「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) GMB2030実現の土台づくり」に記載のとおりです。

 

② 財政状態

当年度末の資産合計は前年度末比9,576億円増加して4兆7,313億円となりました。

資産の部では、北米での増収により営業債権が増加したほか、輸送中在庫の増加等により棚卸資産が増加しました。また、EKL社の連結子会社化に伴ってのれんが増加したほか、グローバル技術研究所の設立等により有形固定資産も増加しました。

負債の部では、金融債権の増加やEKL社株式の取得に伴い、社債及び借入金が増加しました。

親会社の所有者に帰属する持分は、利益の積み上がりや為替の変動等に伴うその他の資本の構成要素の改善により増加したものの、親会社所有者帰属持分比率は前年度末比4.7ポイント減少して39.8%となりました。

 

③ キャッシュ・フロー

当年度の営業活動によるキャッシュ・フローは77億円の支出となりました。主に営業債権が増加したことから前年度比1,002億円の収入減となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは3,185億円の支出となりました。子会社の取得及び有形固定資産の取得による支出の増加により、前年度比1,911億円の支出増となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは2,826億円の収入となりました。資金調達の増加等により前年度比2,220億円の収入増となりました。

これらのキャッシュ・フローに為替レート変動の影響を加えた結果、当年度末の現金及び現金同等物残高は期首残高から328億円減少して2,258億円となりました。

なお、当社は中期経営計画2025において、営業活動によるキャッシュ・フロー及びフリー・キャッシュ・フローを重要指標としており、これらの拡大に取組んでいきます。

 

(2) 資金の源泉及び流動性

当社の財務の基本方針は、操業に必要となる資金源を十分に確保すること、及びバランスシートの健全性を強化することです。

当社は運転資金の効率的な管理を通じて、事業活動における資本効率の最適化を図るとともに、グループ内の資金を親会社や海外の金融子会社に集中させることにより、グループ内の資金管理の効率改善に努めております。

当社は営業活動によるキャッシュ・フロー並びに現金及び現金同等物を内部的な資金の源泉と考えており、資金需要に応じて金融機関からの借入、社債の発行、債権の証券化による資金調達、コマーシャル・ペーパーの発行等を行っております。運転資金及び設備投資のための資金については、主として内部資金により充当することとしており、必要に応じて金融機関からの借入金等を充当しております。当年度の社債及び借入金の使途は主として販売金融、EKL社の連結子会社化及び設備投資にかかわるものです。なお、資金調達に係る債務の残高については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 ※15 社債及び借入金」をご参照ください。

現在のところ、当社は健全な財務基盤及び安定したキャッシュ・フロー創出力により、事業運営や投資活動のための資金調達に困難が生じることはないと考えております。

 

(3) 生産、受注及び販売の実績

① 生産実績

当年度における事業別セグメントの生産実績は次のとおりです。

 

事業別セグメントの名称

金額(百万円)

前年度比(%)

機械

2,352,009

20.8

水・環境

340,104

8.8

その他

22,698

△14.9

合計

2,714,811

18.8

(注) 1 セグメント間取引については相殺消去しております。

2 金額は販売額をもって計上しております。

 

② 受注実績

当年度における事業別セグメントの受注実績は次のとおりです。

なお、機械部門は一部を除き受注生産を行っておらず、水・環境、その他の各事業部門についても一部受注生産を行っていない事業があります。

 

事業別セグメントの名称

受注高(百万円)

前年度比(%)

受注残高(百万円)

前年度末比(%)

機械

3,204

264.5

5,352

1,546.8

水・環境

294,286

2.4

301,006

13.9

その他

4,903

△19.7

3,017

△10.7

合計

302,393

2.7

309,375

15.5

(注) セグメント間取引については相殺消去しております。

 

③ 販売実績

当年度における事業別セグメントの販売実績は次のとおりです。

 

事業別セグメントの名称

金額(百万円)

前年度比(%)

機械

2,327,990

24.8

水・環境

327,602

7.3

その他

23,180

△12.8

合計

2,678,772

21.9

(注) 1 セグメント間取引については相殺消去しております。

2 販売額が総販売額の10%以上に及ぶ販売先は前年度、当年度ともにありません。

 

(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社はIFRSに準拠して連結財務諸表を作成しており、会計方針の適用並びに資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を使用しております。実際の業績はこれらの見積り及び仮定とは異なる場合があります。見積り及び仮定は継続して見直され、当該見直しによる影響は会計上の見積りの変更として、見積りを変更した報告期間及び将来の報告期間において認識されます。

重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 ※2 作成の基礎 (4) 重要な会計上の判断、見積り及び仮定」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 ※3 重要な会計方針」に記載しております。

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5 【研究開発活動】

当社は食料・水・環境を一体のものとして捉え、技術とソリューションを通じてこの3つを正しく循環させることで持続可能な社会の実現をめざしております。近い将来起こり得る社会課題を予見し、それを見越した製品開発と新たなサービス・事業の創出を通じて、より一層社会に貢献していきます。これに向けて、事業に直結した製品・技術の開発と会社の持続的な発展を支える中長期的研究開発の両立に努めております。

また、当社は、中期経営計画2025のメインテーマの一つとして「次世代の成長ドライバー候補の確保に向けた取組み」を掲げ、GMB2030実現へ向けた基礎づくりを進めており、グローバル規模での競争を勝ち抜いて持続的な成長を実現するために、研究開発に積極的に資源を投入しております。

当年度に発生した研究開発支出は899億円であり、事業別セグメントごとの研究開発支出及びその主な研究開発成果等は次のとおりです。なお、事業の研究開発支出及び特定の事業部門に関連づけられない基礎研究支出等は、合算の上で「その他・全社」として分類しております。

 

(1) 機械

農業機械及び農業関連商品、エンジン、建設機械等の製品開発とそれに関連する先行基礎研究開発を行っております。主な成果は次のとおりです。

 

農業支援システム「KSAS」の営農データをオープン化した「KSAS API」の開発

「KSAS(注1)」に蓄積されている営農データを他社がサービス提供する各種システムで利用できるようにするため、システム開発者向けに「KSAS API(注2)」を開発しました。

当社では、すでに官民共同の農業データ連携基盤「WAGRI」の「農機Open API」を介して当社の農業機械の稼働情報等のデータを提供しておりますが、さらにほ場情報、農薬情報、肥料情報、作業履歴といったKSASに蓄積されているデータもオープン化し、他社システムと容易に連携できるようになります。これによりKSASと他社システムを併用するユーザの利便性向上を図ることが可能となります。

(注) 1 クボタスマートアグリシステム。当社が提供する営農・サービス支援システム。

2 アプリケーション・プログラミング・インターフェース(Application Programing Interface)の略称。システム間連携を容易にするために、連携のルール・仕様を定義し、一部の機能を効率的に共有できる仕組み。

 

アグリロボトラクタ「MR1000AH (KVT仕様)」の開発

アグリロボトラクタのラインアップを拡充し、無段変速KVT(注3)を搭載した「MR1000AH (KVT仕様)」を開発しました。主な特長は以下のとおりです。

① 有人仕様では、オペレータがトラクタに搭乗した状態での自動運転が可能です。ほ場の仕上がり状態の確認がしやすく、作業精度が向上するとともに、オペレータの疲労を軽減させます。また、未熟練者でも簡単に操作を行うことができます。無人仕様では、使用者の監視下において、トラクタの無人自動運転が可能です。標準装備の無線リモコンにより離れた位置からでも自動運転の開始や停止を行えるほか、監視タブレットでの耕深・車速の指示も可能で、ほ場内の状況に合わせた作業が行えます。保有トラクタとの同時作業を行うことで、大幅な作業効率の向上に貢献します。

② ほ場外周走行によるマッピング操作及び作業に必要な情報を入力するだけで、ほ場形状に合わせた効果的な作業ルートを自動生成でき、未熟練者でも効率的な作業を行えます。スイッチを押すだけで、枕地幅を考慮した作業開始位置まで自動で移動できる機能により、ロス(過度の重複、残耕)の少ない作業を行えます。

③ 「耕うん」・「代かき」・「粗耕起」・「肥料散布」・「播種」の作業に対応しております。使用するインプルメントの作業幅やサイズの任意設定が可能となり、使用可能なインプルメントを大幅に拡充しました。

④ 直進オートステア機能を搭載しており、自動運転対象外の作業においても、直進時のステアリング操作はトラクタに任せることができるため、未熟練者でも各種作業を高い精度で行えると共に、作業能率も向上させることができます。ほ場中央部の自動運転作業後に残った枕地周り作業を自動操舵で行うことができる「ルートオートステア機能」と、前進だけでなく後進時も自動操舵を行うことができる「後進オートステア機能」を新たに追加しました。

⑤ トランスミッションは無段変速KVTを採用し、変速操作なしで発進から最高速度までスムーズな走行が可能になりました。ノークラッチでのブレーキ停止が可能になるため、スムーズな発進ができることに加え坂道発進補助機能も備えており、登坂発進時のずり下がりも抑制します。クルーズ機能を搭載し、車速重視の作業においては負荷に応じてエンジン回転を自動で増減し車速を一定に保つため、作業効率が向上します。

(注) 3 クボタ・バリアブル・トランスミッション(Kubota Variable Transmission)の略称。

 

たまねぎ調整機「KOC-10」の開発

たまねぎ調整作業の軽労化、省力化に貢献するたまねぎ調整機「KOC-10」を開発しました。主な特長は以下のとおりです。

① 供給部と本体部の段差が小さいため、たまねぎの損傷を抑えられます。

② たまねぎの根を振り子の軌跡で切断するため、高精度な根切りを行えます。

③ 切断された根は排出コンベアにより機械外に自動排出されるため、定期的な清掃の必要がなく、連続運転が可能です。

④ 供給部と本体部の配置が選択できるため、作業場に合わせたレイアウトが可能です。

 

当セグメントに係る研究開発支出は600億円です。

 

(2) 水・環境

パイプシステム関連製品(ダクタイル鉄管、合成管等)、素形材・都市インフラ関連製品(反応管、スパイラル鋼管、空調機器等)、環境関連製品(各種環境プラント、ポンプ等)の製品開発とそれに関連する先行基礎研究開発を行っております。主な成果は次のとおりです。

 

マンホールポンプAI異常検知システム(デジタル版)の開発

全国すべてのマンホールポンプに導入可能なAI異常検知システムを開発しました。主な特長は以下のとおりです。

① ポンプの運転時間と運転回数による異常検知を実現したことにより、従来必要としていた電流値・流量・水位センサ等を追加せずに異常検知ができるようになりました。

② 電流センサや水位センサのないマンホールポンプでも導入可能なほか、マンホールポンプのメーカーにかかわらず導入可能なため、従来のアナログ版のシステムでは25%程度であったカバー率が、100%(すべてのマンホールポンプに導入可能)となりました。

③ 国土交通省「下水道革新的技術実証事業(B-DASHプロジェクト)」に採択され、3つの自治体のマンホールポンプ201箇所で実証実験を行い、効率化効果や運用方法の確立等で十分な成果が得られたとの評価を受けました。

 

直胴型遠心脱水機(高遠心力モデル)「SCM-G型」の開発

直胴型遠心脱水機のラインアップを拡充し、高遠心力モデル「SCM-G型」を開発しました。主な特長は以下のとおりです。

① 最大遠心効果を従来の2,500Gから3,500Gに高めたことにより、難脱水汚泥でも安定して低いケーキ含水率が得られます。

② スクリュー軸の駆動に油圧モータ方式を採用したことにより、含水率が低下した脱水ケーキでも強力に搬送・排出できます。

③ ケーキ発生量をデカンタ型に比べ、25%程度削減(注4)できます。

④ 温室効果ガス(GHG)排出量をデカンタ型に比べ、87%程度削減(注5)できます。

(注) 4 混合生汚泥を想定した場合のケーキ発生量。

5 ケーキの焼却処理を想定。補助燃料の削減効果を含む。

 

当セグメントに係る研究開発支出は51億円です。

 

(3) その他・全社

当社はK-ESG経営を推進しており、研究開発においても環境・社会課題の解決に資するイノベーションの創出に向けた取組みを加速しております。カーボンニュートラルでは、農業機械・建設機械についてBEV(注6)の製品化に向けた取組みや、燃料電池や水素等新動力源の実現に向けた取組みを行っております。

また、これまで進めてきた燃焼効率向上等の低燃費化やバイオディーゼル含有率向上等の研究開発にも引き続き注力して取組んでおります。さらに、自動運転技術による作業ロス低減や最適省エネ運転、バイオマス(農業残渣や食料残渣)の活用等、多面的な取組みを結集することで、カーボンニュートラルを実現していきます。

スマート農業については、他社に先駆けてトラクタ・コンバイン・田植機の自動運転技術を確立しておりますが、より一層使いやすい機械とすべく、AIや先進センサの活用研究等の取組みを進めております。天候情報、生育モデル、リモートセンシングの活用等、データ農業の取組みも現地実証を計画的に進めております。

また、田んぼダムに関する研究等、営農支援システム「KSAS」、ほ場水管理システム「WATARAS(注7)」及び水環境プラットフォーム「KSIS(注8)」の連携に関する研究開発も計画的に進めております。

(注) 6 バッテリー式電気自動車 (Battery Electric Vehicle)の略称。

7 当社が提供する、水田の給水・排水をスマートフォンやパソコンでモニタリングしながら遠隔操作または自動で制御するシステム。

8 クボタスマートインフラストラクチャシステム。水環境インフラ施設・機器向けのIoTソリューションシステム。

 

当セグメントに係る研究開発支出は248億円です。