第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営の基本方針

当社グループは、1909年の創業以来114年にわたって、お客様満足第一の製品の供給とサービスの提供により、社会のインフラ整備、ライフラインや産業設備の拡充に取り組んでまいりました。引き続き、次の100年に向けて一層価値ある企業であるために、バランスの取れた着実な持続的成長に向けて、企業理念ならびに経営理念の実践を通じ、お客様満足に徹したモノづくりで、社会の生命線と人々の暮らしを守り、社会に貢献してまいります。

また、透明性をもった健全経営を実践し、当社に投資したいと思える「企業価値」を提供し続けるため、積極的な情報開示に努め、社内に優秀な人材を育成し、CSRの充実を図ることを基本方針としております。

 

① 社是

当社の社是は、クリモトグループの精神、心の拠り所であり、経営者・従業員すべての人々にとって、あらゆる理念や、方針の土台となるものです。

一、技術並びに経営の革新に努める

一、英知を育て、衆知を集める

一、有効性に徹する

 われらはこの基本的理念に従い、栗本人としての親和を深め、企業の発展を通じてわれらの福祉向上と人類の幸福に貢献しよう。  

 

② 企業理念

企業全体の目的、方向性、存在意義を表現したもので企業普遍の考え方

1.私達は水と大気と生命(いのち)の惑星、地球を大切にし、人間社会のライフラインを守ります。

2.私達は「安心」という価値を提供し、社会と顧客の信頼に応えます。

3.私達は顧客の声をよく聴き、顧客から学び、独自の技術を深め、新しい技術を加え、顧客にオリジナルな「最適システム」を提案します。

4.私達はモノづくりを通して、社員の幸せと人間社会の幸せを目指します。

5.私達はこれらの実践のため、コンプライアンス経営を徹底し、継承と変革の調和を計り、個性と創意を尊重し、企業の発展と社会への貢献に努めます。

 

③ 経営理念

・私たちは、全てのステークホルダーの期待と信頼に応え、常に最適なシステムを提供し、『夢ある未来』を創造します。

経営者が経営環境に応じて定める、目指すべき将来の姿を描いたこの経営理念に基づき、これからのクリモトに求められる事業活動は、社会インフラ分野・産業インフラ分野へ最適なシステムを提供することとしています。

事業を通じた持続可能な社会の実現に貢献し、これからも社会から必要とされ続ける企業グループを目指してまいります。

 

(2) 中長期的な会社の経営戦略

当社グループは、着実な持続的成長の道筋を付けるために2021年度を起点とする中期3ヵ年経営計画を策定しております。事業基盤を強化しつつ、前中期3ヵ年経営計画で芽吹いた新たな事業をさらに成長させることで収益性の向上を図り、事業戦略の方向性として、国土強靭化の実現に向けた最適なソリューション提供、および脱炭素社会の実現に向けた最適なソリューション提供に注力しております。

なお、定量目標値としましては、当中期3ヵ年経営計画の公表時に、2023年度の計画値を売上高1,200億円、営業利益55億円、売上高営業利益率4.6%、ROE5.4%としておりましたが、直近の事業環境を踏まえ2023年度の業績目標値を、売上高1,200億円、営業利益60億円、売上高営業利益率5.0%、ROE5.5%としております。

当社グループは、経営の基本方針に加え、人的資本や資本コストをより意識した経営を推進することにより、企業の持続的成長と収益性の改善を目指してまいります。

 

中期3ヵ年経営計画業績目標

 

 

 

 

 

 

2021年度

2022年度

2023年度

 

計画値

実績

計画値

実績

計画値

目標値

売上高        (百万円)

107,000

105,954

115,000

124,827

120,000

120,000

営業利益        (百万円)

3,500

4,172

4,500

6,840

5,500

6,000

売上高営業利益率  (%)

3.3

3.9

3.9

5.5

4.6

5.0

ROE       (%)

3.6

4.5

4.8

6.9

5.4

5.5

 

※ 計画値は中期3ヵ年経営計画公表時の数値

 

(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

(ライフライン事業)

パイプシステム部門の主要市場である上水道市場では、施設老朽化に伴う更新需要は依然としてあるものの、水道事業の民間業務委託が増加傾向にあるなど、事業環境が変化しつつあります。当社グループにおいても、従来から行っている資材の製造・販売といったビジネスモデルに加えて、工事・サービスも含めたソリューションの提供を行うビジネスモデルの確立が急務となっております。CO排出削減も視野に生産合理化を進めるとともに、設計・施工・メンテナンスといった業務の受託に向けた体制を整備し、今後の事業拡大を推進してまいります。

 

(機械システム事業)

当事業にて、熱間鍛造プレスなどを供給している自動車産業は、「CASE」に代表されるような世界規模の大きな変革の時を迎えております。当社グループにおきましては、鍛造プレス機や混練・混合機などの産業設備の製造技術や、強化プラスチック製品の製造ノウハウといった当社グループ保有のコア技術を活かし、軽量で高強度な先進材料として注目されているCFRPなどの強化プラスチックや二次電池などの製造設備へ最適なシステムを提供することで、自動車業界をはじめ様々な分野において、脱炭素社会の実現へ貢献してまいります。

 

(産業建設資材事業)

建築、下水道、電力、鉄道など様々な市場へ資材を提供している当事業では、グループ経営の新たな柱となる事業を長年模索しております。その中で、特に需要増大が期待される道路・橋梁の維持メンテナンス市場でのビジネス拡大を推進してまいります。国土強靱化の流れの中、道路や橋梁本体の補修・メンテナンスのみならず、メンテナンス用設備やその周辺資材へのニーズは増加傾向にあります。当社グループはかねてより、多種多様な周辺資材の製造・販売を行ってきた強みに加えて施工会社をグループ会社とすることで、提供するソリューションのラインナップ拡充により、国土強靱化へ貢献すると共に事業拡大を目指してまいります。

 

いずれの事業におきましても、当社グループが主に行ってきた資材や設備の製造・販売に加えて、設計・施工・メンテナンスなどのサービスも含めた付加価値をお客様へ提案することにより課題解決をはかるとともに、経営理念で謳う「最適システムの提供」により、広く社会に貢献してまいります。

 

(財務戦略)

当社グループは前中期3ヵ年経営計画より「変わる・稼ぐ」を掲げ、現中期3ヵ年経営計画では、より一層、成長性・収益性の向上を意識し、獲得したキャッシュをバランスよく成長投資と株主還元に配分すると言う方針のもと、財務基盤の強化及び安定且つ継続的な配当を意識し取り組んでまいりました。当社の株主還元方針は、成長投資とのバランスを鑑みながらステークホルダーの皆様のご期待に応えるべく、 配当性向30%超を目指しつつ、安定した株主還元を実施しております。この方針に則り、2023年3月期の配当につきましては、業績および経営環境等を総合的に判断し、年2回の増配(年20円増)により、中間配当額40円、期末配当額50円の年間配当額を90円としました。来期以降も引き続き、配当性向30%超を目指しつつ自社株購入も勘案し、安定した株主還元に努めてまいります。また、資本収益性を重視し、より効率的な経営を推進すべくROEのさらなる向上に努めます。その手段の一助として、事業単位のROIC管理を基軸にした経営展開も視野に入れております。上記の財務戦略にてクリモトグループとして、中期3ヵ年経営計画で掲げました「国土強靭化」と「脱炭素」へのソリューションの提供による社会課題の解決を通じて、事業の価値の創造・持続的成長を実現し、「夢ある未来」の創造を支えてまいります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティに関する基本的な考え方

当社は、今から114年前に「世の人々にあまねく衛生的で綺麗な水を届けたい」という栗本勇之助の想いから創業いたしました。以来、当社グループはその想いを継承し、世界の人々が安全・安心な生活を過ごせることを目指して事業活動を行ってまいりました。それらの取組を一層強化するため、2023年4月、「サステナビリティ基本方針」を制定いたしました。これからも、独自の技術、製品、サービス、最適システムの提供により、長期的な企業価値の向上を目指すとともに、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

 

~サステナビリティ基本方針~

『継承と革新』で未来を創る!

 クリモトグループは社是及び企業理念に基づき、創業より培った技術と経験(=継承)、

大きな壁を乗り越えるチャレンジ精神と創造力(=革新)で、

すべての人々を幸福にするモノづくりを通じて、

長期的な企業価値の向上を目指すとともに、

社会と地球の持続的な発展に貢献してまいります。

 

(2) 気候変動に対する取組(TCFD提言に基づく情報開示)

当社は、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に基づき、気候変動が事業に与えるリスクと機会に関して、ガバナンス・戦略・リスク管理・指標及び目標の観点から情報を開示します。

 

① ガバナンス

当社は、社会および企業の持続可能な発展を追求するために、代表取締役社長を委員長とするCSR委員会を設置し、サステナビリティの観点を踏まえた経営を推進しています。

本委員会は年2回の頻度で開催されており、重要議題の一つとして気候変動について議論をしています。決定した内容は取締役会に報告され、グループ全体の経営に反映されます。

2021年度には、カーボンフリー電力への切り換えやバイオ燃料の使用に関する件、GHG排出量削減に寄与する生産体制の件が取締役会にて議論され、当社は2030年度に温室効果ガス(GHG)排出量を50%削減(2013年度比)するという目標が決議されました。

 

図1:サステナビリティ推進体制図


 

② 戦略

 気候変動によって生じるリスクと機会の影響を把握するために、シナリオ分析を実施しました。

 

・シナリオ分析方法

気候変動による事業への影響を明らかにするために、以下の2つのシナリオを用いてシナリオ分析を実施しました。気候変動対応への積極的な政策・法規制により気温上昇が抑えられる1.5℃シナリオと、消極的な対応により気候変動が進む4℃シナリオを採用しました。各シナリオで分析のために参考にしたシナリオは、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)から報告されているRCPシナリオと、IEA(国際エネルギー機関)から報告されているシナリオです。RCPシナリオは、気候変動による物理リスク(物理的な影響)の分析のために使用し、IEAのシナリオは移行リスク(脱炭素経済への移行に伴う影響)の分析に使用しました(表1)。また、対象の時間軸は、2050年カーボンニュートラルを達成するために重要な時点とされている2030年を設定しました。

さらに、従来の財務項目と比較する際に、気候変動がもたらす影響度を把握するために、試算可能な項目については財務的影響額を試算しました(図2)。

 

表1:シナリオ分析で参考にした気候変動シナリオ

 

 

政策により気温上昇が抑えられる世界

気温上昇・気候変動が進む世界

1.5℃シナリオ

4℃シナリオ

概要

19世紀後半からの気温上昇が1.5℃に抑えられるシナリオ(2100年時点)。カーボンプライシング導入など脱炭素社会への移行に伴う影響(移行リスク)を受ける。物理リスクの影響は4℃シナリオに比べ相対的に小さい。

19世紀後半からの気温上昇が4℃上昇するシナリオ(2100年時点)。災害など気候変動による物理的な影響(物理リスク)を受ける。気候変動に関する規制強化は行われず、移行リスクの影響は小さい。

参考シナリオ

移行
リスク

IEA Net Zero Emission by 2050(NZE)
IEA Sustainable Development Scenario(SDS)

IEA Stated Polices Scenario(STEPS)

物理
リスク

IPCC RCP 2.6

IPCC RCP 8.5

※1.5℃シナリオの情報がない場合は、2℃シナリオに分類される参考シナリオを使用

 

 

・シナリオ分析結果(表2)

 

<1.5℃シナリオ>

1.5℃シナリオでは、炭素税の導入や再エネ・省エネに関する政策・法規制の推進など、脱炭素社会への移行に伴う影響が起きることが予想されます。当社事業へのリスクとしては、炭素価格(炭素税・排出量制度)に係る制度や再エネ・省エネ政策の導入、原材料コストの増加が挙げられます。そのため、再生可能エネルギー由来のカーボンフリー電力の導入や、生産設備の最適化によるエネルギー効率の見直しといった対応に取り組んでいます。今後は製品の軽量化や代替材料の導入なども検討していきます。一方で、機会としては、再生可能エネルギーの普及、お客様で使用される生産設備のさらなる省エネ化、自動車のEV化に伴う二次電池需要の世界的増加等が見込まれるため、再エネ・省エネ関連製品や二次電池製造プロセスの関連製品の売上増加が挙げられます。そのため、発電施設用バルブや発電用プラント機器などといった再エネ関連製品や、二次電池製造プロセスで利用される連続式二軸混練機といった省エネ関連製品・システムの戦略的拡販に取り組んでおります。

 

<4℃シナリオ>

4℃シナリオでは、気候変動によってもたらされる異常気象の激甚化などの物理的な影響が発生することが予想されます。当社事業へのリスクとしては、異常気象がもたらす風水災害による自社設備の被災や、それに伴う製品販売の遅延や停止が挙げられます。そのため、自社だけでなくサプライヤーを巻き込んだBCP対応の整備や、リスク低減を目的とした分散型調達を進めております。一方で、機会としては、異常気象の激甚化により、ライフラインシステムである送水網の拡張に伴う鉄管需要の増加が挙げられます。今後は、社会インフラに携わる企業グループとして、災害対応に係る製品の販売により一層注力していきます。

 

表2:シナリオ分析結果

気候関連問題による影響

(リスク・機会)

想定される事象

重要度評価

自社の取組

1.5℃
シナリオ

4℃
シナリオ

脱炭素経済への移行に伴う影響

リスク

炭素価格の導入

[全社]炭素税や排出量取引など、炭素価格メカニズムが導入されることによって、企業の温室効果ガス(GHG)の排出量に応じて、支払う税金や排出枠購入などのコストが生じる。

・カーボンフリー電力の導入

・工場の設備最適化による生産性向上

・低炭素自動車への切り替え

(営業車)

化石燃料の使用に関する規制

[ライフライン]鉄管製造における化石燃料の使用が規制され、代替燃料の切り替えに伴うコストが発生する。

[機械システム]石油化学・鉄鋼業の顧客の売上が低迷し、関連製品の需要が減少する。

・バイオコークスの導入試験

 

プラスチック規制

[機械システム]プラスチック製造を事業とする顧客の売上が低迷し、関連製品の需要が減少する。

 

再エネ・省エネ政策の導入

[全社]再エネ導入により、電力コストが増加する。

[全社]企業の省エネ性が求められることで、設備の更新などが必要となり設備コストが増加する。

・工場の設備最適化による生産性向上

・ICP導入による設備導入の促進

情報開示義務

[機械システム]

・自動車や電池業界などを中心に製品あたりのCO2排出量の算定(CFP算定)が要請され、対応費用が発生する。

 ・CFP算定未対応の場合に、顧客の商品選好から除外される。

 

エネルギーミックスの変化

[機械システム]

石炭火力発電関連の製品の需要が低下する。

 

原材料コストの変化

[全社]

・製品の製造に使用する化石燃料の価格が変動する。

・原材料となる、鋼材や金属価格の高騰が生じる。

・原材料調達ルートの多様化

・代替品の検討

機会

リサイクル規制

[機械システム]

リサイクルに関する規制が強化され、リサイクル事業関連製品の需要が増加する。

 

再エネ政策の導入

[機械システム・ライフライン]

再エネの普及に伴い、再エネ関連製品の売上が増加する。

・再エネ関連製品の拡販

(発電施設用バルブや発電用プラント機器など)

省エネ政策の導入

[機械システム]

EVの普及に伴い、二次電池関連製品の需要が増加する。

・省エネ関連製品の拡販

(二次電池製造プロセス製品など

顧客・投資家の評判変化

[全社]環境に対する積極的な取り組みを開示することで、新たな顧客獲得や投融資機会が増加する。

・TCFD提言による情報開示

・CSRレポートによる環境情報開示

・グリーン調達の検討

気候変動による物理的な影響

リスク

異常気象の激甚化

[全社]

・納期遅延・代替品確保等の対応が発生する。

・自社設備が被災する可能性が増加する。

・顧客の被災による購買力の低下により売上が減少する。

・自社のBCP対応の整備

平均気温の上昇

[全社]

気温上昇により、夏季における空調費が増加する。

・適切な温度設定

労働条件の悪化
労働法制の強化

[全社]

・屋外での作業を伴う場合、夏季の猛暑により労働生産性が低下し、収益性が低下する。

・労働法制が強化される場合、労働環境改善が必要となる。

 ・職場環境の改善に資する設備投資

・健康経営優良法人(大規模法人部門)の認定取得

機会

異常気象の激甚化

[ライフライン]
 送水網の拡張による鉄管需要の増加

・災害対応に係る製品の販売注力

 

 

 

 

図2:財務的影響の試算結果 


 

③ リスク管理

当社は、事業を取り巻く様々なリスクに対して的確な管理・実践を可能にすることを目的とし、リスクマネジメント体制を築いております(図1)。 気候変動がもたらすリスクに関しては、CSR委員会と連携しながら、全社的なリスクマネジメント体制に統合されています。当社のリスクマネジメント規定に則り、各事業部および関係会社に関連するリスクを3年毎の頻度で特定を行い、コンプライアンス・リスクマネジメント委員会の専門部会であるリスクマネジメント部会にて棚卸しリスク一覧表を作成します。特定されたリスクは、リスクの種類・重大性・発生頻度または可能性・経営への影響度から評価されています。具体的には、リスクの種類を人的・物的・賠償・信用の4つに区分し、リスクの重大性(経営への影響度を含む)を4段階、リスクの発生頻度または可能性を4段階で評価したリスクマトリクス一覧表を作成(毎年4月または大幅な事業環境変化が生じた時に見直し)し、その結果をコンプライアンス・リスクマネジメント委員会が検討・承認を行っています。評価されたリスクを管理するために、対応策を検討し実行する専門部会を設置するとともに、委員会・専門部会での検討事項を従業員へ周知し、取り組みを推進・実行しています。以上のリスクマネジメント体制により、当社の事業に重大な影響を与えうるリスクが発見・特定され、経営計画に反映されています。

 

④ 指標及び目標

当社は、自社のサステナビリティ経営の進捗および気候変動に対する政策等の影響を評価・管理するために、温室効果ガス排出量を指標として設定しており、2030年度に2013年度比で50%以上削減することを目標として掲げています。今後は、目標達成にむけて、自社工場の省エネ化や再生可能エネルギーの導入を進めていきます。

表3:温室効果ガス(GHG)排出量[t-CO2]

 

 

          2013年度

          2021年度

自社の活動によるGHG排出(Scope1+Scope2)

76,134

62,823

(内訳)

Scope1(燃料の使用による排出)

50,015

44,600

Scope2(電力の使用による排出)

26,119

18,223

対象範囲:株式会社栗本鐵工所単体

 

 

 

 

 

(3)人的資本

① ガバナンス

代表取締役社長を委員長とし、取締役を委員とする「人材開発委員会」を中心に、人材の活用(採用、配置、評価、育成)に資する全社的な方針・取り組みについて審議し、当社の人的資本経営を牽引する仕組みを設けております。

② 戦略

イ.人事方針

クリモトグループでは、「人は企業にとって最も重要な財産である」という視点に立ち、持続的な成長を実現するために、人事の考え方を次のとおり定めています。

◇組織風土の改革、社員の意識改革・行動改革をおこします

・社員全員に自らがチャレンジする機会を与え、それを支える体制をつくります。

・自己責任、自己完結型の組織づくりを推進します。

・組織に属する者のすべての能力を結集、発揮させ創造的・独創的な価値を生み出す組織風土をめざします。

◇働きがいのある職場づくりをおこないます

・ワーク・ライフ・バランスを推進し、また多様な人材が活躍できる柔軟な仕組みを作ります。

・年齢に関係なく、行動し成果をあげた者が公正に報われる制度を確立し、やりがい、働きがい、幸福感を感じられるような仕組みを作り、エンゲージメント向上を目指します。

◇ダイバーシティの取り組みを推進します

・「英知を育て、衆知を集める」との社是に則り、女性、外国人、障がい者、様々な職歴をもつキャリア採用者など、多様な人材が活躍することができる職場環境や必要な能力開発の機会を整備します。

・多様な価値観を結集し、最大限に活かすことにより、変化の激しい市場環境に対応し、持続的成長を実現することを目指します。

 

ロ.人材育成方針

企業理念の一文にある「私達はモノづくりを通じて、社員の幸せと人間社会の幸せを目指します」を受け、以下の基本方針を掲げその実現に努めております。

◇社員の能力開発と組織の活性化を通じて、付加価値ある製品やサービスを生み出し、顧客価値創造と社会貢献を実現します。

◇社員のキャリア形成と能力開発を支援し、社会人・組織人として社会に貢献できる能力と豊かな人間性の形成を図ります。

具体的に取り組むテーマとして、主に以下の5項目に重点を置いて研修等の教育施策を展開し、社員の能力開発と組織力向上を推進しております。

・学習する組織風土の醸成

・企業経営の中核を担う基幹職層の組織マネジメント力の強化

・若手、中堅社員からの計画的なコンセプチュアルスキル(論理的思考力、問題解決力)強化

・次期経営幹部候補者、およびイノベーション人材の発掘・育成

・働き方改革、ダイバーシティ推進および持続可能な社会の実現に向けてのCSR教育

 

ハ.社内環境整備方針

前記の方針に基づき、現中期3ヵ年経営計画(2021~2023年度)にて人材に関する戦略を次のとおり掲げ、社内環境の整備に取り組んでおります。

◇変革・改革を奨励する企業風土づくり

・変革行動プロセスの評価

 失敗をおそれず挑戦する行動を高く評価し、その結果を能力開発に活用するために目標管理制度を見直します。

・働き方の多様化促進

 変化の起こりやすい環境を整備するため、「働き方」(ワークスタイル)の変革・多様化をはかるための業務プロセスを見直します。

・ダイバーシティの推進

 人材の多様化をはかるため、女性、障がい者、キャリア採用者の採用にかかる目標を設けて採用活動をおこなうとともに、その活躍を後押しする環境整備を進めます。

◇個人の挑戦や成長を促進し、強みを生かす人材マネジメントの仕組みの整備

・基幹人材の早期育成(経営人材・海外人材・リーダー等)

 将来の事業構想を踏まえて人材ポートフォリオの策定と分析をおこない、かつ基幹人材となる経営人材・海外事業人材・リーダー人材の早期育成をはかります。

・自発的なキャリア志向の醸成とキャリア開発に向けた体制の構築

 社員の一人ひとりが自身の強点・啓発点を認識することができる仕組みを設けると共に、リスキリングを含めた自主・自発的な能力開発・強化を支援するための仕組みやツール(研修プログラムや教育材料)を拡充します。

◇エンゲージメント(働きがい)の向上

・社員エンゲージメント向上への取り組み

 個人と会社の関係が対等に変化しつつあることを踏まえ、「期待度」と「満足度」のギャップを見ることで現状の職場状態の把握と組織課題を解決することにより、社員のエンゲージメント向上をはかります。

・魅力ある(特色ある)人事制度への改定

 「人生100年時代」の到来に備え、長期にわたって働きがいを持続できる基盤として「定年延長」を含め、社員が「成長」を実感できる人事制度を構築します。

 

③ 指標及び目標

人的資本に関して、「多様性」と「働きやすさ」の観点から次の目標を掲げ、モニタリングしております。

指標

目標
(%)

2022年度実績
 (%)

備考

管理職に占める女性比率

3

0.3

2030年度目標

定期採用者の採用10年前後の継続雇用率

80

62.8

 

 

   対象範囲:株式会社栗本鐵工所単体

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

リスクが顕在化した場合、当社グループの業績及び財務状況に重要な影響を与える可能性があるため、当社グループは事業の継続性を確保する観点から経営戦略と一体となったリスク管理を実践しております。また、当社グループはこれらリスクの発生回避及び発生した場合の迅速な対応に努める所存であり、リスク管理体制等についての詳細は、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載しております。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

①経済状況の変動リスク

当社グループの事業は、国際情勢・国内経済・為替・疫病の蔓延等、当社グループに起因しない外部環境の変動が、受注量や原材料調達コストの増減等で当社グループの事業、業績及び財務状況に重要な影響を与える可能性があります。

(新型コロナウイルス感染症蔓延による業績への影響)

当社グループは、主要事業が国内公共事業に関連する分野であり、官需分野と民需分野の売上高構成比率がほぼ同等となり、業績は比較的安定的に推移しますが、2021年度の民需分野の業績は、新型コロナウイルス感染症蔓延の影響による前年度の民間設備投資の中止・延期による受注の減少により、売上高や利益が一時的に減少しました。
 2022年度は、新型コロナウイルス感染症の世界的流行は収束に向かい、国内景気の回復と共に、当社グループの業績も回復しましたが、今後流行が再燃した場合は、発注延期や工事進捗遅延などによる売上高や利益の減少などの影響を受ける可能性が考えられます。

②見積り前提条件の変動リスク

当社グループは連結財務諸表を作成するに際して、棚卸資産の評価、工事原価、有価証券の減損、固定資産の減損、売上債権の回収可能性、繰延税金資産に対する評価性引当額、従業員の退職給付制度に関して見積りを行っております。これらの見積りは将来に関する一定の前提に基づいており、その前提が実際の結果と相違する場合には、予期せぬ追加的な費用計上が必要となり、当社グループの事業、業績及び財務状況に重要な影響を与える可能性があります。

③有価証券の損失計上リスク

当社グループの保有する有価証券については、その大半が市場性のある株式であるため、経済状況、株式市場の動向によっては譲渡及び評価損失等が発生し、当社グループの事業、業績及び財務状況に重要な影響を与える可能性があります。

④固定資産の損失計上リスク

当社グループの保有する固定資産については、今後の事業の収益性や市況等の動向によっては譲渡及び評価損失等が発生し、当社グループの事業、業績及び財務状況に重要な影響を与える可能性があります。

⑤環境汚染、公害等のリスク

当社グループの現在及び過去における事業活動において、有害物質の排出・漏洩、大気汚染、水質汚濁、土壌汚染等を引き起こした場合、その是正措置をとることによって当社グループの事業、業績及び財務状況に重要な影響を与える可能性があります。

⑥訴訟その他のリスク

当社グループと取引企業との取引において、取引先の予期せぬ倒産等で債権回収に支障が生じた場合、当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループを対象とした訴訟において、当社グループの主張や予測と異なる結果となった場合、あるいは当社グループに対して巨額の損害賠償請求や事業の遂行に長期的な制限が加えられた場合等、重大な法的責任の発生及び規制当局による措置は、当社グループの事業、業績及び財務状況に重要な影響を与える可能性があります。

⑦自然災害、事故災害のリスク

地震、台風等の自然災害や火災等の事故災害が発生した場合、当社グループの拠点における設備等の損壊や電力、ガス、水の供給困難により、一部または全部の操業が中断し、生産及び出荷が遅延する可能性があります。また、損害を被った設備等の修復のために多額の費用が発生し、当社グループの事業、業績及び財務状況に重要な影響を与える可能性があります。

⑧コンプライアンス違反のリスク

当社グループは、日本及び世界各国の各種法令、行政による許認可や規制に基づき、その遵守に努めております。しかし、各種法令に対する理解が不十分、もしくは改正等への対応が適切でない場合には、各種法令違反と認定され、課徴金支払命令等による損失計上やそれに伴う社会的信頼の低下等によって、当社グループの事業、業績及び財務状況に重要な影響を与える可能性があります。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

(1) 財政状態の状況

①事業全体及びセグメント情報に記載された区分ごとの状況

a.事業全体の状況

流動資産

当連結会計年度末の流動資産は、前連結会計年度末と比べて4,317百万円増加し93,466百万円となりました。主な要因は、受取手形、売掛金及び契約資産の増加4,666百万円等によります。

今後は売上債権及び棚卸資産の回転率を上げ、キャッシュコンバージョンサイクル等も意識した資産効率の良い経営を目指してまいります。

固定資産

当連結会計年度末の固定資産は、前連結会計年度末と比べて1,124百万円増加し51,697百万円となりました。主な要因は、投資有価証券の増加871百万円等によります。

今後は経営環境の変化を注視しつつ、中期3ヵ年経営計画に基づき、将来の事業拡大を見据えた戦略的投資を継続してまいります。

流動負債

当連結会計年度末の流動負債は、前連結会計年度末と比べて465百万円増加し62,311百万円となりました。主な要因は、支払手形及び買掛金、電子記録債務の増加949百万円、未払法人税等の増加1,805百万円、賞与引当金の増加870百万円、借入金の減少2,925百万円等によります。

固定負債

当連結会計年度末の固定負債は、前連結会計年度末と比べて367百万円減少し9,889百万円となりました。主な要因は、長期借入金の減少596百万円、退職給付に係る負債の減少483百万円、リース債務の増加761百万円等によります。

純資産

当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末と比べて5,343百万円増加し72,963百万円となりました。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益による増加4,727百万円、その他有価証券評価差額金の増加956百万円等によります。

 

b.セグメント情報に記載された区分ごとの状況 

ライフライン事業セグメント関連

ライフラインセグメント関連は、当連結会計年度末のセグメント資産につきましては、前連結会計年度末と比べて2,004百万円増加し58,315百万円となりました。その主な要因は、加賀屋工場における生産合理化に向けた設備投資等によるものです。

機械システム事業セグメント関連

機械システムセグメント関連は、当連結会計年度末のセグメント資産につきましては、前連結会計年度末と比べて3,978百万円増加し27,747百万円となりました。その主な要因は、売上高の増加に伴う売上債権の増加等によるものです。

産業建設資材事業セグメント関連

産業建設資材セグメント関連は、当連結会計年度末のセグメント資産につきましては、前連結会計年度末と比べて379百万円減少し26,303百万円となりました。その主な要因は、受注残高の減少に伴う棚卸資産の減少等によるものです。

(2) 経営成績の状況

①事業全体及びセグメント情報に記載された区分ごとの状況

a.事業全体の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響の中、政府による行動制限緩和等により景気回復に向かいつつあったものの、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化、為替相場の変動、資源価格の高騰や物価上昇の影響により、依然として経済情勢は不透明な状況で推移いたしました。
 当社グループとしましては、新型コロナウイルスの感染拡大防止対策を講じ、製品の安定的な生産・供給を行いました。また、企業価値の更なる向上と経営基盤強化のため、コストダウン活動や営業活動の強化を進めてまいりました。
 このような状況の中で、当社グループの当連結会計年度の業績は、「ライフライン事業」、「機械システム事業」、「産業建設資材事業」のすべてのセグメントにて、売上高が前連結会計年度を上回り、前連結会計年度比18,872百万円増収124,827百万円となりました。

損益面では、営業損益では、「ライフライン事業」、「機械システム事業」、「産業建設資材事業」のすべてのセグメントにて、前連結会計年度を上回り、前連結会計年度比2,668百万円増益の6,840百万円の利益となりました。また、経常損益は、前連結会計年度比2,688百万円増益の6,868百万円の利益となり、親会社株主に帰属する当期純損益は、投資有価証券売却益の計上、関係会社株式評価損の計上、法人税等の計上などにより、前連結会計年度比1,809百万円増益の4,727百万円の利益となりました。

今後も引きつづき企業価値の向上と持続的な成長を達成してまいります。

 

b.セグメント情報に記載された区分ごとの状況 

ライフライン事業セグメント関連

「ライフライン事業」は、売上高につきましては、パイプシステム部門、バルブ部門において売上高が増加したことなどにより、前連結会計年度比3,401百万円増収60,879百万円となりました。

営業損益につきましては、原材料価格の高騰もありましたが、販売価格の改定による影響もあり、パイプシステム部門、バルブ部門がともに増収となり、前連結会計年度比662百万円増益3,679百万円の利益となりました。

今後は、当セグメントでは老朽化する社会インフラや人口減少に伴う社会構造変化などの社会の課題に対して、資材供給だけではなく設計、施工、メンテナンスといったソリューションビジネスの拡大により国土強靭化の実現へ貢献するとともに、生産合理化を推進することで収益性の向上を目指してまいります。

機械システム事業セグメント関連

「機械システム事業」は、売上高につきましては、機械部門において新型コロナウイルス感染症による一時的な投資の手控えからの回復の影響もあり、粉体機器、プレス機器の売上高が増加したことなどにより、素形材部門においては、破砕機、鋳物部品の売上高が増加したことなどにより、前連結会計年度比12,006百万円増収34,102百万円となりました。

営業損益につきましては、機械部門を中心に大幅な増収となった影響などにより、前連結会計年度比1,770百万円増益2,208百万円の利益となりました。

今後は、当セグメントでは脱炭素社会への対応など、日本国内はもとより世界各国におけるあらゆる産業に対して、最適システムを提案してまいります。

産業建設資材事業セグメント関連

「産業建設資材事業」は、売上高につきましては、建材部門において空調製品、消音製品の売上高が増加したことなどにより、化成品部門においては下水道向け製品やFRP製検査路の売上高が増加したことなどにより、前連結会計年度比3,464百万円増収29,845百万円となりました。

営業損益につきましては、原材料価格の高騰の影響もありましたが、建材部門、化成品部門がともに増収となった影響などにより、前連結会計年度比364百万円増益1,404百万円の利益となりました。

今後は、当セグメントでは道路インフラ分野における維持メンテナンス、新素材などの開発によって新たな事業領域への進出を加速してまいります。

 

c.目標とする経営指標の達成状況等

当社グループは2023年3月期の目標とする経営指標を「連結売上高115,000百万円」「連結営業利益4,500百万円」としておりましたが、売上高、営業利益ともに目標を大きく上回る結果となりました。主な要因は、売上高につきましては、新型コロナウイルス感染症による投資の手控えから市況の回復が想定以上に進んだことなどによるもので、営業利益につきましては、原材料費の高騰などの影響はあったものの、販売価格の見直し、製造原価でのコスト低減、増収効果などによるものです。
 次期の連結業績につきましては、ライフライン事業など国内公共事業関連の官需分野では、潜在需要はあるものの、エネルギー、資機材、労務費等の物価上昇の影響により市場での購買力が低下し、需要が減少すると見込んでおり、また機械部門を中心とする民需分野では、投資の手控えからの本格回復が期待できる一方で、2022年度に売上高が大幅に増加した反動や、原材料・エネルギー・輸送コストの高騰、ウクライナ情勢などの地政学的リスクなどもあり、市場回復への懸念が拭いきれない点もあります。そのような状況を鑑み、2023年度通期の業績見込値は売上高120,000百万円、営業利益6,000百万円としております。
 2021年度よりスタートした中期3ヵ年経営計画では、前中期3ヵ年期間の事業の方向性「事業基盤を確立しつつ、新たな事業規模拡大、収益性向上の種をまく」に基づく活動で進展した分野(「レジリエンス(国土強靭化)」、「新素材(コンポジット等)」、「水ビジネス」等)を中心にさらなる事業の拡大を目指してまいります。加えて、脱炭素社会の実現、防災・減災等、よりクローズアップされつつある社会課題の解決に向けて最適なソリューションを提案することにより、ステークホルダーの皆様にとって大きな存在価値となる会社を目指して、グループ一丸となって企業価値向上と経営基盤強化に努めてまいります。
 なお、今後の事業環境の変化に伴い、業績見込値の変動が明らかになった場合は速やかに公表いたします。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

①現金及び現金同等物

当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物は、前連結会計年度末より1,024百万円減少し20,275百万円となりました。

②営業活動によるキャッシュ・フロー

営業活動によるキャッシュ・フローは、5,064百万円の収入となりました。これは税金等調整前当期純利益6,879百万円に減価償却費等の非資金項目と売上債権・棚卸資産を中心とする流動資産、仕入債務を中心とする流動負債等の増減によるものであります。

③投資活動によるキャッシュ・フロー 

投資活動によるキャッシュ・フローは、1,741百万円の支出となりました。これは有形及び無形固定資産の取得による支出によるものであります。 

④財務活動によるキャッシュ・フロー 

財務活動によるキャッシュ・フローは、4,495百万円の支出となりました。これは短期借入金及び長期借入金の減少、配当金の支払い等によるものであります。

⑤資本の財源及び資金の流動性に係る情報  

当社グループの主要な資金需要は、主に製品製造のための材料費、労務費、経費、販売費及び一般管理費等の営業費用並びに当社グループの設備新設、更新等に係る投資であります。

当社グループは、運転資金及び設備資金につきましては、内部資金または借入により資金調達をすることとしており、事業運営上必要な流動性と資金を安定的に確保することを基本としております。

なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は、21,967百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、20,275百万円となっております。

当社は2020年12月28日に関係金融機関との間で、シンジケーション方式による総額300億円のコミットメントライン契約を締結しております。

 

(キャッシュ・フロー関連指標の推移)

 

2019年3月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

自己資本比率(%)

42.6

43.1

47.6

47.5

49.3

時価ベースの自己資本比率(%)

14.3

18.5

17.1

14.7

18.3

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

6.1

4.3

3.8

8.6

4.1

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

24.4

38.5

39.3

18.3

33.1

 

(注) 自己資本比率:自己資本/総資産

 時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

 キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

 インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

 1 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

 2 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数により算出しております。

  3 営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。又、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

 

 

(4) 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

ライフライン事業

55,670

9.3

機械システム事業

22,317

23.5

産業建設資材事業

23,243

4.0

合計

101,231

10.8

 

(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 金額は、売価換算額によります。

 

b.受注実績

当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高
(百万円)

前期比(%)

受注残高
(百万円)

前期比(%)

ライフライン事業

63,031

9.8

13,733

18.6

機械システム事業

33,356

24.1

25,120

△2.9

産業建設資材事業

29,250

△0.4

7,090

△7.7

合計

125,638

10.6

45,944

1.8

 

(注) セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

c.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

ライフライン事業

60,879

5.9

機械システム事業

34,102

54.3

産業建設資材事業

29,845

13.1

合計

124,827

17.8

 

(注)  セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

 

(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

なお、新型コロナウイルスの影響に関する会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しております。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

①繰延税金資産の回収可能性

繰延税金資産の回収可能性の評価については、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能と認められない金額については、評価性引当額を計上しています。

なお、当社及び一部の国内子会社は、グループ通算制度を適用しているため、繰延税金資産の回収可能性の判断については、グループ通算制度を適用しているグループ全体の課税所得の見積りにより判断しています。

当該見積りについて、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度の連結財務諸表において認識する繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に重要な影響を与える可能性があります。

繰延税金資産の内訳等については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(税効果会計関係)」に記載のとおりであります。

②退職給付債務の算定

当社及び一部の子会社は、従業員の退職給付制度として、確定給付制度を採用しております。退職給付債務に係る負債及び退職給付費用は、数理計算上使用される前提条件に基づいて算定しております。

これらの前提条件には、割引率や年金資産の長期期待運用収益率等の多くの見積りが存在します。当該見積りについて、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する退職給付債務に係る負債及び退職給付費用の金額に重要な影響を与える可能性があります。

なお、当連結会計年度末の退職給付債務の算定に用いた主要な数理計算上の前提条件は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(退職給付関係)(9)数理計算上の計算基礎に関する事項」に記載のとおりであります。

③工事契約における収益認識

工事契約における一定の期間にわたり充足される履行義務については、履行義務の充足に係る進捗度を見積り、当該進捗度に基づき収益を一定の期間にわたり認識しております。

 工事契約における収益認識にあたっては、収益を認識する基となる工事原価総額及び進捗度の合理的な見積りが可能であることが前提となります。当該見積りについて将来の事業環境の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する収益の金額に重要な影響を与える可能性があります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループは有用な製品とサービスを社会に提供して、人類社会の幸福に貢献するという企業理念のもと、基盤となる事業ドメイン「社会インフラ」および「産業設備」において、鋭意研究開発活動に努めております。近年は新事業創造に向けた研究開発成果の早期創出を目指して、コーポレート研究開発部門(クリモト創造技術研究所)と各事業部門との連携をより一層強化しており、市場直結型の技術開発を推進すると共に、オンリーワンの高機能材料ならびにその生産プロセスの開発に取り組んでおります。

当連結会計年度の研究開発費の総額は、1,600百万円であり、セグメント別の研究開発費は、ライフライン事業368百万円、機械システム事業177百万円、産業建設資材事業163百万円であります。主な研究概要とその成果については次のとおりであります。なお、研究開発費については、コーポレート研究開発部門で行っている新規分野開発と基盤技術研究の費用891百万円が含まれております。

 

~主要研究開発活動~

(社会インフラ関連)

①  水道管路耐震化に向けた製品の開発およびICTを活用した水道管工事管理業務の効率化

地震が頻発するわが国において、管路の耐震性を高めることは重要課題でありますが、現状耐震性を有する管路比率は41.2%程度に留まっております。ところが管路更新が捗らず、管路の老朽化は年々進んでいるため耐用年数を超過した管路の比率(管路経年化率)は既に20.6%を超えています。そのような状況を踏まえ、管路更新・耐震化促進に資するため、長寿命を特長とする耐震管GX形のラインナップを拡充(全口径75mm~450mm)し、拡販に努めており、全国の政令指定都市をはじめ多くの事業体様にご採用いただいております。また、GX形に加え、さらに低コストで軽量化を実現したNS形E種管(全口径75mm~150mm)のラインナップ並びに中大口径管路の更新事業においても当社独自工法となる「ハイブリッドシステム工法」、さらには類似工法となる「DSW(ディ・エス・ダブリュ)工法」もラインナップし、事業体様からの多様な要望に応えるとともに、市場での拡販を精力的に進めてまいります。

さらに、昨今の人口減少に伴う水需要量の減少および官民ともに技術者不足、技術の継承といった問題が顕在化しており、これらの課題に対しても業務の効率化に資するICTを活用した水道管工事施工管理システムの開発にも努めてまいりました。具体的には工事現場での情報をスマートフォンやタブレット等の携帯端末に入力することで、工事書類作成の自動化や情報のクラウド上でのリアルタイム共有化により業務の効率化を図り、水道事業運営コストの削減による老朽管路の更新、耐震化の促進に貢献すべく、取り組んでまいります。

 

②  橋梁補修分野の商材拡充ならびにFRP(M)材の再利用に関する研究

当社は連続引抜成形技術をコア技術として、水及び電力など、インフラ市場向けにFRP製品の製造ならびに販売を行ってきました。近年、橋梁補修分野において上記技術を活用したFRP製検査路を市場投入しそのラインナップを現在も拡充しております。今後もその分野で多くの新商材を開発、さらには橋梁補修技術の発展に努めてまいります。併せて、連続引抜成形法は他の成形法と比較して電気使用量が少ない或いは成形時の端材が少ないなど、現代社会の要求に合致した特長があり、本成形法による商材開発ならびに技術革新を積極的に進めてまいります。

また、インフラで使用されてきたFRP(M)材は販売から50年が経過し、今後、更新事業の発注拡大に伴って廃材が増加すると予想されています。加えて、生産活動で排出される端材や副資材を含め、FRP(M)材の再利用に関する研究開発を加速し、新たに設備導入を進めることでプラスチック資源の有効利用に努めてまいります。

 

(産業設備関連)

①  二次電池向けプロセス設備の開発

自動車メーカが掲げるEV化への展望を始めとする世界的な二次電池市場の拡大を見据え、二次電池関連の製造設備市場へ装置・システム・プラントで積極的に参入すべく2011年より試験研究、販売活動を推進しております。営業活動、PR効果促進はもとより日進月歩で開発される各種電池材料に対する技術ノウハウの獲得・構築およびコストダウンを加味した各装置の改良・改善に取組んでおり、販売実績も得られてまいりました。2021年度には粉体機器の組立専用工場も開設しております。また当社住吉工場内テストセンターに、長年の粉体装置事業で培った技術を活かした電池スラリーの混練設備(ドライルーム)、電池原料の乾燥・焼成・粉砕設備を設置し、顧客対応実証実験と自主実験による研究開発を進め、さらに創意工夫を重ねて改良・改善を行い、国内外に営業展開を進めてまいります。また、近年ではエネルギー負荷の低い、次世代型電極製造プロセスにも採用いただいております。

 

② サーボプレスの応用技術開発

当社は近年、湿式クラッチブレーキの開発、サーボプレスの開発を行い、納入実績を積み重ねております。サーボプレスにおいては油圧装置と組み合わせた複合成形にも取り組み、鍛造技術の開発を進めております。更に、数年前に開発済みのM2M(遠隔監視装置)に加えて、プレスの状態が把握でき、保全性が高まる「見える化」の開発も進めており、両輪により営業活動を強めていく予定であります。

 

(コンポジットプロジェクト関連)

炭素繊維強化プラスチック(CFRP)のハイサイクル成形システムおよび成形品の開発

炭素繊維強化プラスチックは軽くて強いという性質を持つ優れた部材であり、近年では金属製部品の代替として様々な分野・製品への適用が進んでおります。しかしながら、自動車部品など身近な製品へのさらなる普及のためには、製造コストの低減や生産サイクルの短縮、品質管理の強化など様々な課題を克服する必要があります。

当社は、混練装置やプレス機などの設備製造技術と国内有数のFRP成形実績を基盤とし、独自のCFRP量産テクノロジーの開発を進め、各種課題の解決に取り組んでおります。主な取り組みとしては、Carbon-LFTDシステム*1、ハイサイクルRTMシステム*2およびCFRP引抜成形について、デモ成形設備を設置し、具体的なCFRPパーツの設計、試作、量産から設備までのトータル・ソリューション開発を進めてきました。2019年には開発の拠点として新たにクリモトコンポジットセンターを開設し、大型試作から小量産まで対応できる体制を構築しております。また大型成形機を開発し、実際の製品レベル(1.5m×1.5m)で、Carbon-LFTDおよびハイサイクルRTMの大型試作、検証が可能となっております。新規導入設備を有効活用して成形設備および成形品分野での事業展開を目指します。

*1 Carbon-LFTDシステム:原材料である炭素繊維ロービングと熱可塑性樹脂を直接混練してプレス成形する

    CFRTP成形システム。

*2 ハイサイクルRTMシステム:積層された炭素繊維シートに、熱硬化性樹脂を注入・含浸させ、加熱硬化させて

    成形するシステム。

 

(クリモト創造技術研究所関連)

磁気粘性流体(MRF)の開発

磁気粘性流体とは、油の中に鉄微粒子を分散させた機能性流体であります。流体に磁力を与えると急激に粘性が増して半固体状態になり、磁力を取り除くと流動性のある液体状態に戻るという特徴があります。これを利用して、自動車用ダンパー等に実用化されております。当社では、鉄微粒子を今までより小さいナノサイズにしたMRF(商標名:SoftMRFⓇ)を新たに開発し、従来適用例が少なかった回転系高性能デバイスの創製と感触技術分野での用途開発に取り組んでおります。鉄微粒子のナノサイズ化によって、流体の再分散性および耐久性が向上しました。また、この流体を用いたデバイスは俊敏な磁気変化に対する応答性能が優れていることから、リアルな触感を発現できます。

これらの特長を活かしてSoftMRFⓇの製品として下肢装具関節部への適用やVR(バーチャル・リアリティ)アクティビティおよびeスポーツの部品への採用が実現しました。また、本デバイスを用いた感触提示用ユニットを開発し、感触提示用アプリと組み合わせて、クラウドファンディングを通じてコンテンツビジネスの可能性を検証しているところです。

今後、これらの採用実績をベースにエンターテイメント業界での採用拡大を促進すると共に、産業分野での実用化など適用範囲を広げ、市場拡大が予想されるハプティクス市場における優位性確立とブランド力アップを目指して、流体のバリエーション充実、コストダウンと品質向上を両立させる安定生産技術の開発を進めると同時に、SoftMRFⓇ使用のハプティクスデバイス*の標準化と販売を進めていく予定であります。

* ハプティクスデバイス:人間が手などを使って得る触覚や力覚を情報として扱う学問分野をハプティクスと

   称し、ここではナノMRFを使って主に力覚を人工的に与えられるデバイスを指します。